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2021年1月29日金曜日

少女レイ

 思い出に逆行していきながら


 生きて行く中で、あの時こうしておけばという瞬間が沢山あります。
 そして、それはずっと残らずに心の中で再生されていく。
 今回は、加藤結さんの動画の「少女レイ」を観て行きましょう。
 2021年1月29日現在、4本アップされている「歌ってみた動画」の中で僕は一番好きな曲です。



 まず、この曲の南国を思わせるリズムやセミの鳴き声と、明るい曲調が凄く聴き心地が良いですね。そして、それとは真逆な歌詞の世界。
 
 曲の始まりから、登場人物が踏切へと飛び込むシーンというのがとても衝撃的で、このシーンで「君」は死んでしまいまったのではと思います。
 そして、歌詞の「フラッシュバック」にある通り、どんどん思い出が甦ってきます。
 「二度と帰らぬ君」、「永遠に千切れてく」、「夏が消し去った」、何度も死を連想させる言葉が羅列されていきます。
 
 で、2番の歌詞で、なんとも心をえぐられましてね。
 机に花瓶を置くいじめがあって、このいじめを仕掛けたのが「僕」で、「君」には「僕」の助けが必要なんだ、というシチュエーションを作ろうとしています。
 いやあ、この人間の醜い業というか、共依存のようなものが凄く苦手でしてね。
 何故苦手かというと、この曲の世界では友人同士ですが、恋人との関係におきかえると悲しいですが、少し共感できてしまうんですよね。そういう手をしか思いつかない「僕」の幼さも含めて、とても恥ずかしくなるので、苦手です。
 「仕掛けたのは僕だった」で音が止まるところもゾッとしますね。
 
 さて、この曲の中で「君」は「透明」な状態になってしまいます。
 この「透明」を「死」と考えるならば、「透き通った世界で愛し合えたら」は、自分も死んだらという読み解き方が見えてきます。
 この場合、「僕」が最初のシーンで踏切に飛び込んで、「君」は夏の教室で「切り裂くような悲鳴」を上げて命を絶った可能性もありますが、解釈が分かれそうです。

 最後の透明な君が僕を指さすというのは、罪悪感の表れにも読み取れます。
 なんとも悲しい世界観で僕は、とても好きな曲です。

 普段、ボカロ曲を聴かないので、こういう形で触れることが出来るのが、かとゆいの「歌ってみた」配信の良いところですね。
 
 今回の見所としては、最後にどう反応したらいいのか、照れたような表情になるのが良いですね。
 彼女が持っている明るい雰囲気と少し困ったような笑顔が、悲しみや怒りをはらんだ曲の世界ともあっているのでは、と思います。でも、次はハッピーな曲が来ても良いと思います。「チュンチュンワールド」とか。



 麻雀はあまり知りませんが、「中」は「ちゅん」と読むらしくて、僕はあの牌を映画とかでみる度に頭の中でメロディが流れます(超どうでも良い情報)。

 SKE48を辞めて新たなスタートを始めたかとゆい。
 こういう時こそ、再生回数を回して、「ちゃんと聴いている人はいるぞ、まずは収益化だ」とよくこの曲を聴いています。
 これまでの人生を含めて、凄く魅力的で応援したくなる人なので、どうか、これからも表現を続けられるように彼女の場所をみんなで確立していければ良いなと思っています。

 個人的には、前も書きましたが、「君に晴れ」が聴きたいですね。
 かとゆいや早香先生の世界と凄く合いそうな気がします。
 
 

※「秒針を噛む」の感想はこちら!

2021年1月27日水曜日

覚えていてくれシネマズ 10期映画祭編

 10期映画祭編

※初めて読まれる方は、「覚えていてくれシネマズ 8期配給編」を読んでおくと、更に楽しめるとか楽しめないとか。

https://oboeteitekure.blogspot.com/2021/01/blog-post_11.html




 俺が仕事を失ったのは、今年の始めだった。
 働いていた映画館に、あるぬいぐるみを地球の98、8パーセントの量、部下が注文した。
 なんとか、ぬいぐるみを劇場の至るところに配置し、お客さんを入れたところでフロアの床が全て抜けた。
 あの大惨事を事務所の16枚のモニターから、俺は別々の角度で見ていた。
 下のフロアは不幸中の幸いか、水族館の大型水槽だったので、死者は出ずに済んだが、賠償責任により俺は映画館を懲戒解雇され、多額の借金を背負った。
 社会復帰するために、いくら面接を受けても「あ、あの覚えていてくれシネマズの支配人だ」と、と死神扱いされて就職することも叶わなかった。
 毎日、かかってくる電話に怯えながら、俺は工事現場の日雇い仕事を続けていた。
 

 そういえば、あの「栄」という男は何をしているのか。
 俺と一緒にある商品を盛り上げようと映画館に大量注文した男だ。

 最後に観た時は体にダイナマイトを巻き付けて、こちらを振り返って笑うと、闇の中に消えていった。爆発はしなかったので、多分、どこかで生きているのだろう。
 

 それから、俺は都会を離れて地方のミニシアターに転職が決まった。
 スクリーンは僅かに二つだが、良質な作品を上映することが多く、常連客の若者や老人も多い、地方密着型のミニシアターだ。
 支配人は俺より年下だが、とても尊敬の念を持って接してくれた。
 よくどの作品を次回上映するか、ということや、スクリーンの効率的な上映スケジュールの組み方を聞いてくれた。
 そして、今回は関西のある映画祭に行くことをお願いされた。
 ミニシアターの良いところとして、大手の配給会社とのしがらみが少なく、自分が上映したい映画をかけやすいというところがある。今回映画祭に参加したのは、いくつか上映される作品の中から良質な作品の上映権を獲得しようということだ。そこで、俺を選んでくれたのがありがたい。
 

 映画祭がある映画館はショッピングモールの中にあった。
 いくつもの映画館にまたがる映画祭も地方では多いが、今回は一つの劇場で順番に作品がかけられ、最終的にグランプリが決まる。いわゆる、審査上映も兼ねているので、観客の質も高い。
 俺は、自分が働く劇場の視察証を見せて、名前と連絡先を書く。一般参加の場合は、料金を払う必要があるのだが、無料で済む。
 受付を終え、俺は該当するシアターに入る。
 

 映画祭にしては、客席数が多そうなシアターで、おそらくM列ぐらいまであるんじゃないか。だいたい、審査員が後ろの方に座ることが多い。俺も後ろから2列目あたりに座る。客席には、やけに華のある人が座っている。こういう場合、映画の出演者のことが多い。映画祭あるあるだ。荷物を置いて、上映を待つ。
 ふと、シアターの入り口から不審な男が入ってきた。恰好はスーツ姿だが、丁度、ひらがなの「し」を逆さにしたような体制で、あきらかに自分の靴のつま先しか見ていないかのような曲がり具合だった。男は入り口から一番近い席に座った。
 まさか、あいつ、「栄」じゃないか!
 やつれているが、確かに面影がある。
 確かめようとしたところで、上映が始まった。


 作品は5分のショートフィルムもあれば、60分の作品もあった。
 すべての上映が終わり、シアターが明るくなった。
 良い作品を観た後は、この明るくなるのが恨めしい時もある。
 これから審査員による会議が始まる。
 この間、観客は過去の受賞作を見て待つか、一旦劇場を出て食事などをして待つか選べる劇場が多い。
 ふと、栄の方を見ると、もう座席にいない。
 俺は荷物をまとめるとシアターを出た。
 

 劇場のロビーに出ても、栄の姿は無い。
 どこだ。一旦、劇場を出る。
 同じ階のショッピングモールを歩き回ってみたが姿は無い。
 仕方なく、一旦、外に出ることにした。
 もうすぐ、春が来るかというのに、吹く風は寒く、木々に彩りは無かった。空は雲に覆われ、時々日差しが差す。
 その彩りのまだ無い木が等間隔に植えられていて、下にベンチが置かれてた。
 ベンチから少し右手に離れて歩行者用の通路と車道がある。
 道行く人々は、きっとこの木々やベンチに座る人々の姿を見て、季節の変化を楽しむのかも知れない。だが、いくつか並んだベンチの3つ目に、全ての季節を止めたような顔の男が座っていた。
 栄だ。
 ゆっくり動いていく影が栄の背中に差した光を消していく

 俺は駆け寄ると、「うぃ、久しぶり」と声をかけた。
 栄は暫く黙って俺の顔を見た後、ゆっくり会釈した。

 「すいません」
 それが久しぶりに聞いた声だった。
 ずいぶん、かすれている。
 「いいよ。俺のことはなんとかなってる。それより、お前は何してる?」
 「無職です」
 「えっ、あれから大分だったよな?大丈夫か?」
 「大丈夫じゃないです。あの、映画の話しません?さっき観た。僕、今、映画の話してるぐらいしか楽しいことが無いんです」
 栄の眼は俺の方ではなく、もっと彼岸にある何かを見ているようだった。

 

 「そうだなあ」
 俺は鞄から映画祭のリーフを出す。
 このリーフに上映スケジュールや監督や出演者のプロフィールが書かれている。
 「まずは、じゃあ、この作品だな『コード301 真実をかけた戦い』」
 「いやあ、びっくりしましたね」
 急に栄の声に生気が宿る、やはり、この男は映画が好きなんだろう。
 「だいたい、映画祭の1作目ってある程度、安定感のあるものを持ってくることが多いじゃないですか。この林美澪監督は、既に黒真珠映画祭にノミネートされてますよね。だから、結構見る目が厳しくなるんですけど、かなり、期待が持てますね」
 「うん、こっちが想像以上に力強い表現に目が行った。笑顔と真剣な表情のギャップにやられる観客は多いんじゃないかな?」
 「噂によると、ただ表現力があるだけではなく、過去の作品のフリ起こしを70作以上してるらしくて、こういう努力家な面も知名度と一緒に知られて欲しい監督ですね」
 「なるほどな、『みれい』という名前と数字の語呂合わせも色々出来そうだな」
 「お子さんが生まれたら名前を数字にして、あだ名を日本語にするのもいいですね?」
 「なんで囚人みたいに子供を番号で呼ばなきゃいけないんだよ!BOOWYの『DREAMIN‘』か!!夢を持ってるやつらへ子供の名前捧げないんだよ!」
 

 「次は、『かわいいたのちいサーモンハンティング』ですね」
 「いやあ、映画祭の楽しいところって、こういう自分が準備してない感動に立ちあえるところだよな」
 「えっ、感動するとこありました?西井美桜監督の作品、初めて観ましたけど、愉快なとろサーモン映画でしたけど」
 「そんな映画のジャンル初めて聴いたよ。主人公の女の子が大阪から一人で名古屋に出てきて、一人暮らしを始める。そして、机もないから床にご飯の皿を置いて食べるところとか、俺は凄く共感したよ。俺もあったあった、ガンバレって」
 「僕は親の脛をかみ砕くように実家ぐらしなんで、分からないですね」
 「本当、映画『葛城事件』みたいなことだけは起こさないで欲しいよ。それはさておき、お母さまが大阪から出てくるところなんて、俺は泣いちゃったよ」
 「僕はレオナルド、ミケランジェロ、ドナテロ、ラファエロと仲良く暮らしてるんで、あんまり」
 「なんで全員奇跡的に忍者タートルズの名前と同じなんだよ。でも、ワンシーンワンシーン、実家から離れた娘を応援したくなるような、本当に良い作品だったよ。少しずつ変化を楽しんでいける凄く良い作品だった」


 「次は、『 ドキュメンタリーオブ歩南 奇跡のAtoZ』ですね」
 「うん、杉山歩南監督は、よく林美澪監督の作品と映画祭で同時にかけられることが多いけど、まず、歩南監督作単体で観ると、王道映画が似合う監督なんだよな。過去作のリブートもしてるけど、『雨の動物園』や『ガラスのI LOVE YOU』を勉強の為に確認してみると、『ガラス』の方がしっくりと来る気もしたよ」
 「この作品では、主人公の姿を映しつつも要所要所で友人の証言で話が進んでいき、等身大の歩南監督の姿が見えてきますね。エンディングで流れた野菜の歌も素敵でした」
 「うん、これからどんな感じで作品を展開していくか未知数だけど、作品を観に来たお客さんとのフィードバックも頻繁にしていて、徐々に関係が強まっていく気がするね」
 「現役の中学生の何気ない日常を教室の隅から見てる気分になりますね。地縛霊として」
 「教室を『事故物件』にするな。住むな。出ていけ!」


 「次は、『みくるんとテロルン』ですね」
 「急に趣味に走ってないか?元ネタの映画、確か、上映だけでソフト化されない映画だったよな」
 「まあまあ、2年連続作者のベスト1だったんで、ぶっこみたかったんでしょう」
 「いやあ、今回映画祭に来てみて良かったのが、こういう発見があるところでさ。俺の中では色白の監督ぐらいのイメージしかなかったんだけど、尊敬する江籠監督とのストーリーとか、これから面白そうだし、未経験の要素が多いだけにこれからどこが変化していくか、それを観て行くのが凄く楽しそうな監督だよね」
 「はい、僕は監督のブログの載せている服が色彩豊かで、開く度に今日は何色かなっていう楽しみもありますね。黒も似合いますけど、僕は赤が新鮮でした」
 「俺は少しのんびりした感じの作風が落ち着くから、もし、周りが急にスピードを上げてきても、順番とか関係なく自分のペースでやって欲しい感じだね」
 「僕たちも時代の最後尾を走ってますからね」
 「もう、お前は周回遅れだけどな!」

 

 「あっ、ここでトイレ休憩入ったんですね」
 「うん、映画祭は3作品とか4作品ぶっ通しで上映して、トイレ休憩が多い」
 「で、トイレ帰りに観に来てた俳優さんにばったり会うと、不思議な気分になることがありますね。あれ、さっきまでスクリーンの中に居た人だって」
 「次は、そんなスクリーンに愛された監督、澤田奏音さんの『日曜日のラジオ』です」
 「いやあ、俺は個人的にこの監督が最優秀賞だわ」
 「えっ、僕は顔が作者の母親に似てるっていう理由であまりチェックしてなかったですよ」
 「いや、作者の超どうでもいい理由はいいんだよ。まず、監督自体のスペックというか才能が凄くて、自分で主演・キャスティング・企画・作詞作曲・撮影まで出来るんだよ」
 「これで自分でケータリングまで作り始めたら、マジでジャッキー・チェンですね」
 「うん、ちょっと若手でここまで多彩な監督は久しぶりなんじゃないかな。他の監督を巻き込んで作品作りをしていくことで、違う監督のファンに作品を知ってもらうことも出来ているし、歌やお芝居の経験もきちんと活かせている」
 「僕は監督のお団子ヘアーが凄く発見でしたね。あと『シンデレラは騙されない』が凄く似合う。作品自体も日本全国の食を求めて旅するロードムービーなんですが、彼女はひょっとすると、外に出ることで更に進化していくかも知れませんね」
 「個人的には、松村香織監督が、ぐぐたすをハックし、白井琴望監督がshowroomをハックしたように、彼女も今あるプラットフォームの中で一番彼女の才能を活かせるものを見つけた時に、一気に跳ねる可能性があると俺は思ってるよ」
 「僕らも穴を掘ってまた穴を埋めるアプリ作りましょう」
 「ナチスの収容所じゃねえか!なんで、スマホの中にアウシュビッツを作らなきゃいけないんだよ。毎日、シンドラー気分じゃねえか!」


 「次は、石塚美月監督の『100枚の手紙』ですね」
 「これはクラウドファンディングで制作された映画で監督と支援者の人達との間でのリターンが注目されたな」
 「人を動かそうと思った時に、まず相手に自分が関わるとどうなるかな、と想像させるっていうのが重要だと思うんですが、それがしっかりと出来てるんですよね。『禁じられたふたり』はどんな作品が出来るんだろうとか」
 「うん、監督独自の100通のメールというのは、事前準備がしっかりしてたら金額以上の宝になる気がする」
 「伊藤監督との共作もあるんで、この二人のストーリーも面白くなりそうですね。あと、この作品は本来の尺は凄く長くてディレクターカット版も出したいみたいですね」
 「ハロウィンのコスプレぐらいから、色々なコスチュームが映える人だな、と感じた。個人的には、モデル仕事とか来て欲しい監督でもある。美肌だし、帽子とかも似合いそうだよ。直接観られなかったけど、10月に公開された『檸檬の頃』も観たかったなあ」
 「あの頃、僕らは『鬼滅』前の準備で死にかけてましたからね」
 「俺らは鬼と一緒にコンコロリンされたけどな!」


 「次は伊藤実希監督の『IT それが見えたらミキミキ』です。こちらもクラウドファンディング作品ですね」
 「いやあ、ホラー映画かと思ったら、スポーツ少女の物語とはね」
 「多分、作者が他の映画のタイトルを引っ張ってこれなかったんでしょうね」
 「俺としては、北川綾巴監督のリブートが決定した時のエピソードが凄く好きでさ。心情の流れが凄く丁寧だし、必死にもがく姿が凄く良かった」
 「クラウドファンディングの個人公約の料理も、一緒に頑張ってくれた支援者の癒しになりそうですね。悔しい思いをした分だけ大きくなれる型と自己分析していましたが、彼女にも様々なストーリーがこれから降り注ぎそうですね」
 「『木立に朝もや』の続きが見られるといいな」
 「だいだい、僕はこの後の歌詞を忘れて、『どこまでもあなた』に飛びがちです」


 「最後は青木莉華監督の『NANDEYANEN』ですね。僕的にはこれが最優秀賞です」
 「いやあ、ギャスパーノエ監督の『クライマックス』を思い出す、アシッドムービーだったな」
 「僕はあのメロディが頭から離れなくなりましたからね。そこからどんどん青木監督への興味が湧いてきましたよ。今年、新成人というのが吉と出るか凶と出るかは仕事次第ですかね。僕としては『綺麗なお姉さん』という言葉が似合う監督です」
 「お前、今年38だろ。個人的にはサイリウムカラーが紫と白という中西優香監督を思い出させる配色がにくいね」
 「既に個人仕事も来ていますが、大阪のめんどくさい女に立候補するぐらい愉快な監督でもありますよね」
 「うん、『恋落ちフラグ』で全体に合流した時、どんな先輩監督とシンメトリーになると映えるかを一番想像させてくれたのはこの監督だったよ」
 

 時計を見ると、そろそろ審査結果が出る頃だった。
 俺が立ち上がるそぶりを見せても、栄は立たない。
 「結果観に行かないのか?」
 「うう、行っても意味ないですよ」
 そういうと、栄は一枚のチラシを鞄の中から出した。
 そこには「早香シスト」のキービジュアルとタイトルが印刷されていた。
 「それは、公開延期になったホラー映画」
 「ええ、試写で観客が叫びながら死んだという幻の作品です」
 たまに、映画館の客席で声を思わず上げる人がいるが、その度に「えっ、漏らしたの?」と心配になるのは俺だけだろうか。
 「監督の五十嵐早香監督は、これまでの映画界には居なかった才能でした。食への描写、ホラー描写、そして、別れの描写」 
 「確かに、一度目の木内さんとの別れが風景描写中心でそれだけで悲しみを伝えているのに対して、二度目の加藤さんとの別れは抽象表現に後半は置き換えて悲しみを表現してみせているな」
 「ええ、それだけじゃありません。『平手友梨奈』に似ていると外のファンからは言われますが、キレイもカッコいいもどちらも行けそうな魅力と国際的に作品を届けられそうな素養もあります」
 「まあ、今回の公開延期は仕方ないよ…」
 「僕、自殺しようとしたんです」
 背中のあたりが急に寒くなった。
 「葬式もEX早割で予約して」
 「早割あんの?」
 「それから、死のうとしたんです。薬を一気に飲んで」
 再び、背中に寒気が走る。
 「睡眠薬とかか?」
 「ニンニク卵黄です」
 「めちゃくちゃ元気になるじゃん!」
 「戒名もチャッピーかコロンか迷ってるんですよ」
 「なんで犬につけそうな名前にしたんだよ!!」
 「死ねなくて、こうして映画をまた観にきました」
 自殺の経緯と方法が馬鹿すぎるが、死ねなかったんだろう。

 「お前さ、五十嵐作品って何が魅力だと思う?」
 「えっ、構成力とか文章力ですかね?」

 「俺はさ、いつも『生』と接続しているところだと思うよ。ホラーって、怖さの近くに『死』があるわけじゃん。観てる人間は『ああ、これが現実じゃなくてよかった』とか、『あれは怖かったなあ。もうちょっとで死ぬとこだった』って自分の『生』を実感するだろ?」
 「はい」
 「そして、五十嵐作品は『食』という『生』に直接つながるものを丁寧に描く。食べ物に興味がなかったお前が、食べ物の写真を撮ってアップするようになったのも早香さんの影響だろう」

 いつの間にか、栄は俯いて泣き始めていた。
 「あの話の続きが…僕は読みたい…」
 「なら、生きるしかねえな」
 「でも、もうしんどくて」
 「はあ、あのさ。俺の権力なんか皆無だけどな。俺が働いてるミニシアターのさ、支配人に紹介してやるよ。受かるかは分からないけどな」
 「うう、ありがとうございます」
 「気にすんな。俺たちは、いつでも全力」
 「うう…。前のめり」

 少しだけ暖かい日差しが、枯れた木に差し込んできた。

 劇終


※「10期生五十嵐早香のブログは何故面白いのか?」の記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/03/blog-post_21.html

2021年1月26日火曜日

1月のnote更新

 1月のnote更新


 私的なことを書くnoteの1月分のまとめです。
 今月は結構書きましたね。
 サポートをくださった方々、本当にありがとうございます。

① 2021年1月14日

 まず、僕が今、一番お勧めの漫才師、金属バットに関する記事です。
 いやあ、こんなに好きなのはオードリー以来です。

https://note.com/oboeteitekure913/n/n58163b141bc5


② 2021年1月16日「それでも続けることについて」

 そして、STU48の兵頭葵さんについての記事ですね。

 丁度、誕生日近くだったはずです。
https://note.com/oboeteitekure913/n/nd3e1f99ef634


③ 2021年1月22日「once again」

 僕がもう色々とダメになってしまった「once again」。
 冗談抜きで、ああ、死ぬなと思った3日間でした。
https://note.com/oboeteitekure913/n/nb78685d41b4e

 

④ 2021年1月22日「おすすめの本「アイドル生活10年やってわかった “わたしが主人公”として生き抜く方法」

 今月は、本に関する記事が少なかったんですが、元NMB48でyoutuberの吉田朱里さんの著作に関する記事ですね。凄い面白かった。

https://note.com/oboeteitekure913/n/n193dad7aad17


⑤ 2021年1月24日「ラジオ覚えていてくれ 第0回」

 Twitterで話す内容をアンケートで決めて話した「ラジオ覚えていてくれ」ですね。これから、余裕があれば毎週やってみたいと思います。何故かって?文章の記事の2倍ぐらい聴かれてるからですよ、何なら3倍の時もあります。

https://note.com/oboeteitekure913/n/n845d344289a8


⑥ 2021年1月26日「物が語る物語の場合」

 最後は、古畑奈和ちゃんの夢が形になっていく過程と今の自分について。
 なんというか、全然部屋の準備が進みません。
 いつもの2倍ぐらいの量を書きました。
 こういう文章をコンスタントに書けるようになりたいと思っています。

https://note.com/oboeteitekure913/n/n9f19f4864ac4

2021年1月24日日曜日

黒とピンクと水色と黄緑

 君が染める色

 皆さんは、服を買う時に何色の服を選ぶことが多いでしょう。 
 黒と白を除くと、何色の服を選んでいますかね?
 僕は若い頃は10代から20代前半はピンクで、20代後半から30代前半は紫、30代後半は紺色と、歳をとるごとに色味が深くなっています。
 社会学や分類学で着る服によって統計を取り、どんなタイプの人が多いのかを調べた本が世に沢山出ていますが、僕は太田うにさんが女性向けのファッション雑誌に連載していたイラスト入りの本が好きでよく読んでいました(ちなみに、ピンクをよく着るおとこは愛されお坊ちゃんが多いそうです。愛されないし、坊ちゃんでもないぞ!)。
 選ぶ色でそこまで分かるものかね、と思いつつも心理的な影響(自分に対してのこともあれば、相手に対してのこともあり)は実際にマーケティングやコピーを作る際にも重要視されているので、無関係ではなさそうです。僕自身も新しい服を買った時のワクワク感とこの色がしっくり来るなというのがあります。

 そこで、今回は先日、アップされたKANGOL REWARDさんの動画からインスパイアされた、古畑奈和と色について考えていきたいと思います。
 


 とりあえず、服着換える前の衣装の佇まいが森川葵みたいで、上品な美しさがありますね。
 ううむ、コラボトレーナーはどれも似合っていますが、ワインカラーの服を着ている奈和ちゃんが新鮮ですね。コーディネート込みだと、パープルの合わせ方がカッコいいです。こういう仕事が何の争奪戦とかせずに手に入れられるのは、流石です。後輩たちに良い前例をどんどん作って行ってほしいです。
 
 さて、奈和ちゃんの色というと、何色を連想するでしょう?
 推しの方々からしたら、サイリウムカラーの水色と黄緑かも知れません。
 髪の色も2018年ぐらいから自由自在に変えていき、ちょっと遠くから見ても「おお、あの辺りに奈和ちゃんがいるわい」と発見できるようになっています。
 ただ、僕はどちらかというと、奈和ちゃんの色は「黒」のイメージが強いんですね。
 多分、着ている服のイメージからかも知れません、確か、奈和ちゃんも好きな色で黒を挙げてなかったかな、と思って調べてみたんですね。

 
 黒髪に落ち着きを感じて、黒が好きという話をしています。
 で、黒に落ち着きを感じる人の心理について調べ始めたんですが、カラーセラピーとかを含めて、あまりにも書いてあることがバラバラなので、一旦、置いておき、再び奈和ちゃんと色について調べて行きます。

 2016年9月26日のブログでも、黒色について書いています。
 そして、ピンクについても。

 ちなみに、2017年11月25日のブログでは、髪色をいつか金色にしたいということと、少しだけピンクを入れたことも書いていました。ううむ、この時点で金色への意識があったのか。愛を試す体質も奈和ちゃんらしいですね。

 2018年8月14日のブログでは、好きな色についてまた語っています。ここでは黒に加えて、ピンクが加わります。

 えっ、「数年前は紺色」?
 あったっけ、と調べてみると、2013年のブログに書いてましたね。

 こう拾っていくと、寒色系から黒、そして黒とピンクという流れになってきますね。
 そして、2018年10月19日のブログで、サイリウムカラーの変更について相談しているんですが、この日のブログで奈和ちゃんの色に関するイメージも見えてくるので、見てみましょう。

 水色、黄緑色には「優しすぎて」というイメージが面白いですね。
 「気持ちの変化」とありますが、この時はもう総選挙で2回目の選抜入りを果たした後なんですよね。優等生的なアイドル像ではなく、自分を解放している時でもあると思います。
 青色と赤色の解釈も面白いです。

 ちなみにこちらに関しては、結局、変わらなかったんですよね(2019年3月8日のブログより)。

 自分の原点になる色を失わずに、大事にサイリウムカラーで残しておくという考えは、とても好きです。「優しすぎる」色だったら、彼女らしくてなおさら。代わりと言っては何ですが、彼女の髪色はどんどん「エネルギッシュでガンガンいこうぜ状態」の色になっていきます。

 ただ、2019年7月24日のブログでは「黒」や「くすんだ色」に好きな色が戻っていたりもしてるんですがね。

 ううむ、ちょっと行き詰った感があるんですが、ちょっと待てよと思いましてね。
 僕が好きな文学における色のアプローチが使えないかと考えたんですね(特にここ数年は近代詩や和歌が中心です)。
 明治期に「私」を獲得した日本文学は、夏目漱石たちが使い始めた「白」のイメージが広がります。これは穢れの無さや神秘性以外に「開放」や「自由」もイメージさせることが多いです。
 それとは対照的に「黒」は「抑え込む」や「不自由」を表すことが多かったです。
 この二つの色のイメージを更に拡張していったのが、大正から昭和期の詩人たちだと思っています(たとえば、中原中也の『サーカス』)。
 話を奈和ちゃんに戻すと、彼女がよく着る黒い衣装が「抑え込む」もので、何を抑え込んでいるかというと、自分の髪の色のような明るく自由な攻めの「本能」だとしたら。

 小さなライブハウスで行われるヒップホップのコンサートに行った時に、歌っていないMCがただ立ってたり、水を飲みまくっていると、非常に悪い意味で目立ちます。逆に、意識的に歌っていない時の立ち位置や動きまで意識できているベテランのラッパーもいます。
 冒頭に書いたようにコンサート会場で、奈和ちゃんはカメラに抜かれてなくても、大人数の中で目立ってしまいます。実際にこの記事のためにいくつか2019年頃のライブを中心に確認していったんですが、遠くにいる時でもちゃんとステージ上では、曲の世界観を体現しているんですよね。
 集団に埋没せずに遠くの人の視線も受けて立つという気概も感じます。それはこれまで積み重ねた実績もあるんだと思います。
 
 自由な「攻め」の色で、ステージで輝く奈和ちゃん。
 客席では「優しさ」で照らすファンの皆さん。
 時々、本能は衣装でも抑えきれないぐらいに溢れてくる。
 次は、どんな色を奈和ちゃんがまとうのか?
 その答えは、もう彼女の中にあるのかも知れません。


 さて、皆さんは、何色で今を染めますか?



2021年1月23日土曜日

シン:SKE48は来るのか?

 2次創作の限界と新しい物語の書き手は誰か?


 皆さん、人生の中で「新世紀エヴァンゲリオン」は通ってきましたでしょうか?
 本放送時は愛媛県の田舎に居た僕は観ることができず、当時のアニメージュの表紙になっていた青い髪の少女に、「このアニメはなんじゃい?」と思いながら、文字情報で追っていました。
 とにかく、毎月の特集ページの増加と読者ページの拡大(読者投稿のエヴァ補計画の熱量は凄まじかったです)、何かが起こっていると思い角川から出ていたフィルムブックを買って、文字情報に加えてセル絵情報で更に追うことになりました。特に最終回放送後の号での賛否両論の盛り上がりは、当時、中学生だった僕は、アニメを「消費」するのではなく、「考察」する楽しみ方があるというのを教えてもらった気がします。
 最終回後の盛り上がりを受けて、再放送が始まるんですが、丁度、レンタルビデオのリリースも始まり、配信サービスが無かった頃の田舎のファンはこうして都会の情報をカバーしていました。
 こうして春映画の公開までに、テレビ版を追って作品に臨むことが出来ました。
 そして、やってきた夏映画。
 この頃には、完全に社会現象になっていて、いったいどんな結末が待っているのか、とドキドキしながら観ました。
 ネタバレは避けますが、映画のラストの台詞で呆然となった僕は、翌月発売のアニメージュに載っていた庵野監督のFAXインタビューを読んで、よし、アニメ観るのやめよう、とジャンルから離れました(それから基本的にアニメはよほどお勧めの作品以外は自発的には観なくなりました)。それぐらい、エヴァは自分にとっての重要な作品であり、傷でもありました。

 それから時は流れて、新劇場版が公開されます。
 「序」の初日に、仕事を休んでメチャクチャ上司に怒られつつも、なんとか初日に観ることが出来た僕は、絵が綺麗になったな、ぐらいの感想しかありませんでした。知ってる話でしたしね。
 「破」も初日に観に行きましたが、アクションが気持ちいいな、「今日の日はさようなら」がいいな、と感じました。でも、知っている話でもありました。それでも、ブルーレイを何度も再生しました。
 「Q」も初日に行きましたが、この頃はもうイベントムービー的な消費の仕方で(2020年で言えば、『鬼滅の刃』を観に行く感覚です)、とりあえず、続きも付き合わなきゃね、という感じでした。前半と後半でえらくテンションが違う作品で、震災という社会的な背景も考えられますが、「知らない物語」が始まるワクワク感がありました。カヲル君とのやりとりにあんなに尺いるのかね、という疑念はあるものの、徐々に新しいエヴァを体感していくことが出来ました。しかし、映画が終わった後に、これ、どうやって終わるんだろう、という不安だけが僕の中で渦巻いていました。

 

 昨夜、久しぶりに「破」を観ました。
 10年以上経って、久しぶりに観ると初代ガンダムの語り直しのような2次創作のような感じもしまたし、マリという「あなた達こういうの好きでしょ的なキャラ」に何故、自分がハマらなかったのかがよく分かりました。あと、綾波レイが「ポカポカする」とか食事会の予約をするという違和感もやはり抱きました。
 公開当時、これはループしているんじゃないか、という説も出ましたが、だとしたら、余計にテレビ版のような「この後、どうなるんだ?」というようなヒリヒリとした感覚が無い、安心感がどこかに漂ってしまっていました。

 ここまで読んだ方からしたら、うわあ、アニメを素直に楽しめないやつだ、と思われたかも知れませんが、なかなかアニメと接続しない人間からしたら、非常に貴重な作品でもあるので、やはり、一定以上の期待をしてしまうんです。特に「シン・ゴジラ」で特撮映画を更新してくれた庵野監督なので、次に公開される「シン:エヴァンゲリオン」には期待もしています。



 テレビ版の意図的ではない「事故」のようなライブ感があったからこそ、あのアニメは伝説になったのかも知れません。そういう意味では「まごころを君に」の方が公開後の賛否両論の盛り上がりや、とんでもない事故に巻き込まれた感覚があったかも知れません。
 新劇場版は、安心感がありますし、幅広い年齢層にも親しまれています。それに対して、どう考えるかは、人それぞれですが、エヴァに影響を受けた人間の一人としては、次の「シン:エヴァンゲリオン」で凄まじい終わりを見せて欲しいなと期待しています。

 で、ふとテレビ版の意図的ではない「事故」のようなライブ感で思い出したのが、かつての48グループです。
 2012年から2014年頃ぐらいまでは、僕は毎日、公式サイトやまとめサイトを観る時にドキドキしていました。
 今日はどんなことがあったんだろう、誰かのスキャンダルが出ていたらどうしよう、何かやすすがまた馬鹿なことを始めるんじゃないか、とかね。
 我らがSKE48に目を移すと、この3年間で様々なことが起こり、様々な奇跡が起こりました。総選挙における松村香織の爆上げは運営からしたら想定外の「事故」だったかも知れませんし、リクアワでの「羽豆岬」、ガイシでの「それを青春と呼ぶ日」の白いサイリウムの海、本店ドームツアーでの名古屋ドーム初日での「SKE48」コール。名古屋ドームでの達成感。
 明日は何が起こるんだ、というライド感がありました。
 そして、その物語には「物語に参加する楽しさ」と「誰かを推し上げる楽しさ」、そして、一つ一つの現象を考えられる楽しさもあったかもしれません。
 それから、大組閣が起こり「ペナントレース」という大悪手で、徐々に雲行きが怪しくなりました。
 そして、坂道グループの台頭があり、昔のような大幅な物語の進展はなくなっていきました。
 松井玲奈の卒業、小畑優奈の登場と卒業。総選挙の終わり。
 年に1回のセンター交代。
 少しずつイベントは減っていき、いつの間にかSKE48は、物凄く安心して見られるグループになりました。
 勿論、コロナ禍の影響もありますし、予算の問題もあると思います。
 劇場公演がメインだから、というコンセプトもあります。僕自身が麻痺してしまったのかも知れません。

 それでも、少しずつ「新しい物語」が始まっています。
 「12周年公演フェス」、「恋落ちフラグ」の全員選抜、そして、「ティーンズユニット」、規模こそ内側向けですが、少しずつ「新しい物語」が始まっています。
 ひょっとすると、今は「SKE48 Q」ぐらいまで来ているのかも知れません。
 (これまでの「エヴァ」の世界にいなかったキャラであるマリが来たように、新しい価値観で登場したゆななのセンターが「破」と仮定したらの話ですが)。

 丁度、昨日は吉田朱里さんの著作に関する記事を書くために(かおたんとの比較をしながら)、お隣りNMB48について、少しだけ近頃の流れを追っていったんですが、女性人気をある程度確保した上で、19年頃からグラビアに多くのメンバーを輩出して男性ファンも新たに獲得しようと動いています。また、チームを6つに分けて新しいドラマを作る仕掛けも始めているようです。

 48グループの「握手会」、「総選挙」というフォーマットはここ数年で弱体化していきました。大会場でのライブも難しくなりました。
 今だからこそ、僕らの「知っている物語」の二次創作ではなく、新しい語り口でブレイクスルーするメンバーが出てくるのではないか、と21年は期待しています。
 
※「おすすめの本 アイドルを10年やってわかった"わたしが主人公"として生き抜く方法」の記事はこちら!

2021年1月22日金曜日

「『未来は少女たちの手の中』PRタイム争奪チャレンジ / Team S」編の感想 

 シャッターチャンスの連続


 皆さんは「弱虫ペダル」という漫画をご存じでしょうか?
 昨年、実写映画化もされた自転車のロードレースを描いた漫画です。
 (ちなみに僕は舞台の『弱虫ペダル』も大好きです)
 ロードレースの中で、選手は登り道が得意なクライマー、直線のスパートが得意なスプリンター、そして、バランスのとれたオールラウンダーと選手の得意分野をカテゴライズすることで、この選手はここの道で光るのか、ということを分かりやすくしてくれています。
 今回観ていく動画では、チームSのティーンズユニット候補生たちが登場するんですが、チームSをロードレース目線で見て行くと面白くなるのではないか、と思いましてね。まずは、公式動画を見てみましょう!

 このブログの熱心な読者の方ならなんとなく感じてらっしゃるかも知れませんが、僕は多分、9期とD3が一番知識的に弱いと思うんですね。なので、この機会に新たな魅力を発見しようじゃないか、という意図も実はあります。
 スギちゃんの腕をくんで立つというマスターガンダムみたいな立ち方がカッコいいですね。
 ちなみに、足を上げる高さがメンバーそれぞれに工夫がありました。上村プロは最小限の高さで体重をコントロールしていたところは流石です。
 中坂さんがベストパフォーマンス賞に選ばれましたが、彼女も見事にコントロールしていましたね。
 
 まさかの自分に全部賭け。
 幽遊白書の左京さんの「侵入者が勝つ方に66兆2000億円」を思い出しましたよ。
 結果は上村亜柚香ぴょんの大勝利。
 いきなり、全てを失います。
 しかし、熊崎支配人の温情で、可愛くおねだり台詞を言い復活フェニックス。
 
 ここでは、9期生の荒野姫楓さんが、10回以上飛べるに10枚ベット。
 ううむ、帰りの燃料を積んでない感じの賭け方、いいじゃない。
 結果はというと、見事に10回以上飛ぶ熊崎さん。
 見事に荒野さんの一人勝ち。
 そして、今度はスギちゃんがコインが無くなりゲームオーバーに!
 アイドル歴6年のキャリアを爆発させる燃え台詞を言って、再びゲームに戻ることになります。
 まず、印象的だったのが、けん玉をする荒野さんの立ち姿。
 そして、一発で成功させる中坂さん。
 ちなみに私服だと、まりんちゃんの服がカッコいいですね。
 ですが、その生き様、魅力的過ぎます。
 前半組は、上村さんの大喜利力がこれでもかというぐらい発揮されます。
 後半組は、スギちゃんの勢いがとにかく凄まじかったですね。
 中でも3rdゲームでクイーンが出て、56分の4の確率でしかハイが出ないものの、ギャンブラーの血が騒ぐ荒野さんが魅力的でしたね。こんな見た目でそんな男気あるんかい、と。将来他のメンバーが好きなゲームを聞かれて「どうぶつの森です」とか答えている中「よくロシアンルーレットしてますね」とか答えて欲しい、危険な魅力があります。
 ももたんの「こういう賭ける系のゲーム嫌です」という表情も、負けたけど素敵でした。
 
 SNSの更新も頑張っているんですね。
 ふと、思ったんですが、「恋落ちフラグ」って全員にアメブロが来るんですかね。
 勝因の「計画性」も信用が出来る言葉。
 ううむ、彼女は静かなるスプリンタータイプかも知れません。
 徐々に直線で一人ずつ抜いていく。
 こういう勝ち方も良いじゃないか、と思います。
 

 まずは、登場シーンのフレッシュ感を出す「スギちゃん」こと杉山愛佳さんの「城持ち大名になりたいな」みたいなポーズ(何を言っているか分からない人は『敦盛2011』で動画サイトを探しましょう)が、もう分かってますね。すっかりベテランの風格が出ているものの、まだまだティーンだったんですね。物凄い頼もしさがあります。
 ううむ、チームSは半分が9期生なんですね。

 まずは、目を瞑って片足立ちをするゲームからですね。
 続いては「ありがとう選手権」。
 ここで、平野百菜さんが勝負にでます。
 言った後の照れて後ろにダッシュするところが素敵でしたね。
 次は支配人が何回二重飛びが飛べるかゲームです。
 
 ここで、もうすぐ卒業する珠理奈からのミッションは「ダジャレを言う」。
 ううむ、久しぶりに珠理奈のダジャレを聞いた気がしますね。
 そして、各メンバーのダジャレを発表していくんですが、正直、これ、前も聞いたことあるかも、というものが多かったですね。その中で中坂さんはオリジナリティがありました。

 さあ、ここからがいよいよ跳ねてくるプレッシャーゲーム、けん玉ですよ。
 着ている服のせいもあってか、スタイルが凄く良いですね。
 静かですが、確実に成果を出していきますね。
 そして、再び、コインを失うスギちゃんとももたん。
 もう、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のデカプリオみたいな加速度で、落ちぶれていきます。
 
 さて、次はモノボケ対決ですね。
 個人的には、まりんちゃんのなまはげが好きです。
 
 いよいよ最後は「ハイ&ロー」ゲーム。
 そして、ラストゲームでは中坂さんの逆を選ばないと、他のメンバーには勝ち目がない状況に!ううむ、中坂さん堅実に結果を出してますね。何故か、煽りまくる上村プロ。
 結果はローで、中坂さんの優勝!
 でね、直接ゲームの内容の中では書かなかったんですが、石黒友月さんは司会の熊ちゃんの言葉なんかに後列でも一つ一つリアクションを取っていて、それが毎回、目の中に飛び込んできました。
 
 優勝インタビューでの中坂さんの「やっと若手にチャンスが回ってきた思いました」という言葉には、静かですが力強さがある。なんというか青い炎のようでしたね。
 こちらとしては、後々の資料としてありがたいんですが、メンバーはどう使いわけていくかも注目ですね。
 ちなみに、上村さんなんかは、オールラウンダータイプではないかと動画を観ながら思いました。公演やMCの回しだけでなく、バラエティでも結果を出すところは流石です。
 ううむ、残りのメンバーも当てはめてみたら面白いかも、と思っていたんですが、「この場合のクライマーってなんだ?」という問題にぶち当たりましてね。SKE48における「登り坂」って何?公演のアンコールぐらいから?とかそもそもの定義付けが難しそうなんですが、なんとなく荒野さんは、クライマータイプの気がします。逆境の中になればなるほど、輝くタイプの気がします。
 
 果たして、誰がティーンズユニットに選ばれるのか、個人的には9期生のメンバーの魅力に少しだけ触れられた素敵な動画でした。
 

※ チームE編はこちら!

2021年1月21日木曜日

「『未来は少女たちの手の中』PRタイム争奪チャレンジ / Team E」の感想 

 それぞれの個性が生きるバラエティ


 いやあ、この3日間ぐらいSKE48どころか、この世から少し離れていたんですが、死ななくて良かった!流動食でも食えるのがありがたいぜ!

 なんと、今日からティーンズユニットのPR動画がアップされてるじゃあないですか、お侍さん!
 一通り観たんですが、僕のお勧めはチームE編!
 はっきり言って、「このまま特典映像として使ってもいいんじゃ?」というぐらいの豪華さですが、まずは本編をチェック! 


 まず、司会を6期生のくまっきぃコンビにしたこと。
 メンバーの良さを伸ばそうとするコメントが多かったですし、鎌田さんのパスの出し方やフォローの仕方、熊ちゃんのボケやすい空気の作り方もなかなか良かったですね。

 個人的に日向坂46の「日向坂で会いましょう」が大好きなんですが、アイドルのバラエティ番組としてはどうかしているぐらい面白くて、「BLT」の「ひなまし」特集号が増刷されるぐらいの人気番組でもあります(アイドル雑誌の増刷は非常に稀)。
 その秘密は、該当する特集号やその前後のインタビュー、司会の「オードリーのオールナイトニッポン」を聴いていると、アイドル番組とは思えないぐらいのバラエティスキルが要求されるお題と、テロップにいたるまでメンバーへの愛がこもった制作会社のこだわりがあります。また、オードリーのなるべく話を聞いて広げてみようという姿勢もあります。
 
 今回の動画を観ていると、「おっ、SKE48もお題次第では、全然いけるじゃない!」と思いましたし、「SKE48ってどんなの?」と思っている人にも勧めやすい動画なんじゃないか、と思っています。
 
 まず、目をつぶって片足立ちをするゲームですが、鎌田さんの「罵り合いならいいですよ」というパスに「やってもいいってことですか?」と答えて「武闘派」というテロップが出るのが秀逸ですね。
 あと、倉島杏実先輩の「片足で目をつぶって計るっていう記録を計る場所に居たことがあって」という新しいエピソード。いったい、倉島先輩、何してたんですか?
 昔の映画ならそのうち、「かつて倉島先輩が居た施設の生き残りがSKE48に加入、二人は目を閉じて片足上げ対決で激突!」みたいな展開になりますよ!
 そして、バランスボールの上に乗って「ソーユトコあるよね?」が踊れる深井ねがいちゃん。いや、もう「からくりサーカス」じゃない!
 
 でね、このブログをよく読む方なら、「こいつ、9期の知識弱いな」と感じられている方も多いんじゃないでしょうか?
 はっきり言うと、弱いです。
 そういう僕みたいな人間も魅力の発見ができるのがこの動画の良さですね。
 「BESTありがとう」対決でのここなさんの大声やその後の釣り台詞の照れるところとか、一気にここなさんの情報が更新されていきましたよ。

 「熊崎支配人が何かい二重飛びできるか対決」は、思ったより静かな感じで終わりましたが、ティーンズメンバーから見た熊ちゃん観が見られて面白かったですね。

 そして、だーすーからの「握手会の釣り台詞」対決。
 ここで、選抜メンバーの握手スキルの高さをガンガンに我々は食らうことになります。
 まず、おーちゃんこと末永桜花さんの「私にだけ、カワイイって言いに来てくれる」の特別感の作り方ですよ。
 そして、浅井ゆうかたんのシンプルな「ありがとう」の素材で勝負感!
 やはり、相手は歴戦の勇士。
 そんな中で、好ポイントを獲得したここなさんも流石です。
 くまっきぃが二人ともニヤニヤしていましたね。
 そして、「握手会」という「大喜利」をちゃんと料理するほのの。
 もう、信頼感があります。
 深井ねがいちゃんの握手対応は、正統派でしたね。
 ここなさんへのフォローのコメントを見ていると、真っすぐな人柄が伝わりますね。
 
 次はプレッシャーゲームということで、けん玉対決なんですが、ここでまたも倉島先輩の特技が分かります。なんとけん玉を「小学生の頃に狂ったようにやっていた」そうなんですね。
 ううむ、多分、あと2時間ぐらいエピソードトークをしていると、「『ベスト・キッド』のミヤギさんに空手を教わっていた」とか「ドラマ『フルハウス』に出ていた」とか色々なエピソードが出てきそうですね。
 ただ、倉島先輩の魅力の一つが、この「狂ったように」にあると僕は思っています。
 もっとそんなエピソードをくれ!と思ってしまいます。けん玉も安定の成功。これは紅白であのけん玉の演歌歌手と共演ですね。

 そして、注目すべきはここなさんが見事にけん玉を成功させるところ。
 ううむ、本番に強いタイプですね。
 そして、おーちゃんの失敗後のこれでもかというほどの、「売り込み芸」はこの後、更に爆発します。

 次は、バラエティーの定番「モノボケ」。
 まずは、おーちゃん、ほのの、ねがいちゃんの第1組。
 おーちゃんのグイグイくる売り込み。そして、尺もガンガン取っていきながら、ちゃんとポイントを取っていきます。
 ねがいちゃんは、少し苦戦していた感じでしょうか。
 ここで、ほののボケ力が爆発します。
 思えば、彼女は自粛期間もTwitterで様々な動画を上げていましたが、アイディアの瞬発力は流石です。まさかの被せをしてくるとは。鎌田さんの「明日刺されない?大丈夫?」というツッコミも良かったですね。

 第2組はゆうかたん、倉島先輩、ここなさん。
 ゆうかたんが安定したボケ力を見せているところが凄かったですね。
 そして、ここなさんの「ほののさん」というボケ。
 まさか、この子、闘いの中で闘いを覚えるタイプか…。
 
 最後は「ハイ&ローゲーム」!
 映画「ハイ&ローシリーズ」は勢いとアクションだけはどうかしているので、おススメですよ。
 話を戻すと、トランプのカードの数字よりも多いか少ないかを選ぶいったてシンプルなゲーム。「オーシャンズ13」のカジノのシーンでやってたアレですかね。

 このゲームでもほののが盛り上げてくれてましたね。
 堅実にベットしていく倉島先輩も素晴らしい。
 最後はゆうかたんの見事な逆転優勝。
 いやあ、ゆうかたん、勝負強い。
 釣り台詞の同点のじゃんけんで勝つところでもそうですが、勝負強さを感じさせてくれますね。
 PRタイムでの「7期生として入ってきて6年」や「殻を破って見せていきたい」というコメントは彼女への期待が持てますね。
 罰ゲームのおーちゃんの車掌さんのモノマネは、さっきまでの明るい照明とは対照的に暗めのライトでシュールでしたが、おーちゃんの電車好きという要素がちゃんとフックとして入っているので、良かったんじゃないか、と僕は思っています。

 ううむ、毎週このレベルとは言わないですが、せっかくなので、ベテランメンバー編とかもやってみて欲しいですし、月1でこういうバラエティ企画をやって欲しいな、と思う次第です。
 えっ?
 他のチームも?
 あの、僕、今日の9時ぐらいまで、仮死状態だったんだよ。
 書くに決まってるじゃない、激熱じゃないですか!
 というのは、嘘で、少しずつ更新していきますね。
 真面目で熱いSKE48も大好きですが、時々、こういうバラエティ企画をやってくれることで、メンバーの新しい一面を知っていけるので、継続希望です!

2021年1月18日月曜日

祝!20歳!!兵頭葵さんとSTU48の記事まとめ

 これまでの兵頭葵さんを振り返る。

 本日1月18日は兵頭葵さんの20回目の誕生日!
 そこで、今回は一番古い兵頭さんに触れた記事から最新の記事までをラインナップしました。

⓪ 2019年2月17日「備忘録」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_17.html

 まだ私的なことをnoteに書いていなかった頃ですね。
 伊達博物館と弟のエピソードトークで兵頭葵さんと中村舞さんが、宇和島市出身なのを知ります。

① 2019年2月20日の「風を待つ」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_60.html

 ううむ、この頃はまだ少しだけ触れる程度でしたね。
 そして、自分でもびっくりするんですが、この頃から、甲斐心愛ちゃんに触れていたんですね。


② 2019年2月22日の「出航」

 https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_82.html

 この辺りも、まだ曲のことが中心ですね。
 もう甲斐心愛ちゃんを最後に持ってくることが定型化し始めていますね。


③ 2019年2月23日「原点」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_23.html

 これはMVのないカップリング曲ですね。
 少しだけ兵頭さんの名前が出る短い記事です。
 

④ 2019年3月4日「ペダルと車輪と来た道と」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/blog-post_4.html

 こちらも、曲とMVが中心の記事です。
 個人的な好きなSTU48の曲の一つです。
 ブログに詳しく書きましたが、サビの疾走感が好きです。

⑤ 2019年3月19日「STU48 愛媛vr」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/stu48-vr.html

 STU48に関する記事で、初めて初日で3桁の閲覧数になった記事ですね。
 21年の現在読むと、宇和島の名産についても触れていて、最近の兵頭さんのshowroom配信とも繋がりますね。
 兵頭さんの笑顔について書いたのもこの記事です。
 甲斐心愛ちゃんネタも久々に復活していますね。

 兵頭葵さん推しとしてではなく、ブログを書く人間として、初めてSTU48関連の記事で手応えを感じた記事です。
⑥ 2019年3月31日「2周年公演の感想」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/stu48.html

 初めて観たSTU48のライブの感想ですね。
 この頃はまだ1ユニットだった四国観光大使が、この後曲を獲得していくとは。
 兵頭さんと「ひこうき雲」って世界観が合う気がして好きです。

⑦ 2019年4月18日「思い出せてよかった」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/04/blog-post_97.html

 STU48に感じる懐かしさに関する記事ですね。
 個人的には、秋元康が書く地方出身者の曲としてはかなり上位にくるぐらい好きです。
 あと、甲斐心愛ちゃんネタでは、複数の友人から連絡が来たのはこれだけでした。


⑧ 2019年5月7日「クラシック大好きアイドル全員集合!」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/05/blog-post_7.html

 めちゃくちゃ勉強になったラジオ放送です。
 未だに僕のクラシック知識の根本はこの時聴いた情報が多いです。
 兵頭さんだけでなく、瀧野さんも出ていた回ですね。
 こういう一つのテーマで色々なアイドルが集まる放送はこれからもやって欲しいですね。


⑨ 2019年8月11日「大好きな人」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/08/blog-post_11.html

 「風を待つ」と比較する形で3枚目のシングルについて書いた記事ですね。
 最後の大サビの盛り上がりがとても好きな1曲です。
 夕陽のMVも美しい。


⑩ 2019年8月14日「海の色を知っているか?」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/08/blog-post_14.html

 自己内省的な曲の世界を考えた記事ですね。
 メンバーたちの衣装の色が、美しい海の色を連想させる美しさがあります。
 暗闇との関連性も考えています。


⑪ 2019年9月22日「榊美優生誕祭の感想」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/09/stu.html

 これは、兵頭さんが出ていた公演の感想の記事ですね。
 どちらかというと、MCに関することが中心ですね。
 

⑫ 2019年11月30日「兵頭葵さんがTwitterを始めている!」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/11/stutwitter.html

 再読してみて気づいたんですが、タイトル以上の情報が何も書かれて居ない!
 過去一番閲覧数が少なかったのも覚えています。
 甲斐心愛ちゃんネタだけ、相変わらず出どころの気合いが入ってますね。


⑬ 2020年1月12日「2020年1月12日 僕たちの恋の予感 夜公演の感想」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/01/stu.html

 どちらかというと、公演の感想をじっくりと書いている感じですね。
 兵頭さんに関しては、この後の記事ですね。


⑭ 2020年1月12日「となりのバナナ」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/01/blog-post_2.html

 実は、STU48フォロワーさんが増えた記事がこちらです。
 兵頭葵さんと甲斐心愛ちゃんが、「となりのバナナ」で共演という夢のようなユニットですね。
 兵頭さんのデュエット曲は、他にどんな組み合わせがあるのかも気になりましたね。


⑮ 2020年1月18日「祝!STU48、兵頭葵さん 19歳の誕生日」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/01/stu_18.html

 ううむ、まだ日本語コロナ禍に包まれる前の記事なので、「握手会とか言ってみたいわん」とか書いてますが、21年現在、また無職に戻って明日にも死にそうな身としては、兵頭さんと比べてこの1年間全く成長していない、という感じですね。


⑯ 2020年1月24日「兵頭葵さんの生誕祭の言葉から考えたこと」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/01/blog-post_24.html

 短めの記事ですが、彼女の生誕祭での言葉から、なんとなく彼女の人間性やSTU48での立ち位置について考えた記事です。今年は生誕祭どうするんでしょうね?


⑰ 2020年1月28日「一瞬のスリル」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/01/blog-post_46.html

 「無謀な夢は醒めることがない」のカップリング曲で兵頭葵さんが参加している曲ですね。兵頭さんというよりは、曲の内容についてじっくりと考えた記事です。この曲はメロディが好きなんですよね。


⑱ 2020年2月6日「緊急提言!STU48プロフィール問題について考える」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/02/blog-post_39.html

 なんというか、どこの運営も時々こういうことがあるなあ、という記事です。
 後半は、普段甲斐心愛ちゃんについてデレデレしている人間とは思えないぐらい、真面目に書いてますね。


⑲ 2020年2月28日「STU48ぷるぷるで何を思考する?」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/02/stu48.html

 地獄のスマホゲーム、「STU48ぷるぷる」について書いた記事ですね。
 あの波の音は、もうトラウマですね。確か、徹夜でこのゲームして就職面接に行って落ちたのを覚えています。


⑳ 2020年2月28日「瀬戸リスト 広島 呉編の感想」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/02/blog-post_28.html

 何気に、2020年の前半のSTU48の記事では人気の記事でした。
 地域と根差した関係という、各地方の48グループとして理想的な関係が好きです。
 

㉑ 2020年4月1日「STU48 Waklker」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/04/stu48walker.html

 雑誌とのコラボの感想を書いた記事ですね。
 何気にプロフィールブックとしてもこの本は優秀なんですよね。
 まだ買ってない人は是非、買ってチェックです。


㉒ 2020年5月9日「君はあおぞラジオを知っているかね?」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/05/blog-post_9.html

 コロナ禍におけるアイドルの企画としては、個人的に大ヒットでした。
 本当にまたやって欲しいです。


㉓ 2020年5月25日「僕らの春夏秋冬」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/05/blog-post_25.html

 僕らの当たり前が徐々に変わってきた時に、物凄く心に響いたSTU48の曲です。
 曲の世界に関することが中心です。


㉔ 2020年9月2日「青春各駅停車」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/09/blog-post_90.html

 「青い向日葵」の名曲ですね。
 兵頭さんの世界観とも通じる感じがして、好きな1曲です。


㉕ 2020年9月3日「思い出せる恋をしよう」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/09/blog-post_3.html

 曲の世界観について書いた記事ですね。
 特にこの曲は時間軸に注目しながら聴いていくと、より深く味わるのではというアプローチですね。


㉖ 2020年11月15日「祝ブログ700回記念! 何故推すのか?」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/11/blog-post_15.html

 人を推す理由について書いた記事です。
 その中で兵頭葵さんについても語っています。
 いやあ、まさかこの頃は700も書くとは思っていませんでした。


㉗ 2020年11月16日「緊急提言!いまこそ、STU48兵頭葵さんのスキルを見直すべき!」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/11/blog-post_16.html

 STU48のyoutubeチャンネルが充実してきたので、これは書くしかない、と記事にした時のものですね。演奏力だけでなく、ダンス力もあるのか、と衝撃を受けた回でした。


㉘ 2020年12月19日「隣りの席の中村さんが気になる」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/12/blog-post_19.html

 瀬戸内学園シリーズの第1弾ですね。
 この回の最大の衝撃は、僕の苗字が明らかになるところですね。


㉙ 2020年12月25日「今夜決定!兵頭葵大賞!」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/12/blog-post_54.html

 2020年の兵頭葵さんの活動を振り返り、勝手に賞を贈るという迷惑はなはだしい記事ですね。21年も大活躍してほしい!

㉚ 2021年1月9日「後輩上手の兵頭さんが気になる!」

https://oboeteitekure.blogspot.com/2021/01/blog-post_9.html

 普段はしっかりもののイメージがある兵頭さんが、後輩を演じるという年の初めから刺激的な内容でした。まだ、こんな顔もあるのか、と演技の仕事もやってみて欲しいと思わせる回でしたね。


㉛ 2020年12月4日「故郷 宇和島市について」

https://note.com/oboeteitekure913/n/nc87a1f20233c

 私的なことや映画・本の感想を書くためのnoteに兵頭さんと自分の故郷について書いた記事です。普段、アイドルに興味がない人が読むメディアだったので、SNSだけでなく、リアルの友人から褒めてもらえたのが、嬉しかった記事です。


㉜ 2021年1月16日「それでも続けることについて」

https://note.com/oboeteitekure913/n/nd3e1f99ef634

 2021年1月18日現在、最新の記事ですね。
 彼女の誕生日を祝う記事です。
 こちらもnoteに書きました。

㉝ 2021年2月8日「トゥルーカラーズ」

 兵頭さんの髪型についての記事ですね。
 個人的には、黒髪だけでなく少し非日常的な髪色も似合う気が僕はしています。

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: トゥルーカラーズ (oboeteitekure.blogspot.com)


㉞ 3月20日「板の上の魔物」
 STU484周年公演での兵頭さんの活躍について書きました。ライブは生ものだと改めて実感させられた回でした。ここでの兵頭さんの機転が素晴らしい。

 栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 板の上の魔物 (oboeteitekure.blogspot.com)

 いやあ、気づいたら34も記事を書いてたんですね。
 過去の自分の記事を読んでいると、あまりの下手さやタイトル以上のことを言えてないことにクラクラしますが、今年も頑張って応援していきたいと思いますよ。


 

 


2021年1月17日日曜日

SKE48の何が良いのか?

 すぐに燃えつきる恋よりずっと愛しい君で居て


 「アイドルが好きなんです」
 「へえ、どこ?」
 「SKE48です」
 「へえ、アイドル詳しくないんだけど、何が良いの?」


 こんな会話を何十回してきたでしょう?
 SKE48の何が良いのかを説明する時、皆さんはどんな言葉で語っているでしょうか?
 何故、SKE48なんでしょうか?

 パフォーマンスなら国内ならハロープロジェクトが凄いですし、KーPOPのアイドル達は育成の過程から完璧なパフォーマンスが出来るまでを我々に見せてくれます。完璧なパフォーマンスにストーリーまで乗ってくるわけです。
 曲の世界観やMVならば、坂道の方が予算をしっかりと組んで有名なクリエイターと共にそれぞれのグループの色を作っています。
 ももいろクローバーのような安定したメディア出演やCM出演もありません。
 全力のダンスと言っても、逆に全力で踊ってないグループの方が今は少ないのではないでしょうか?

 何でSKE48なんでしょうか?
 先日、「#あなたはどこからSKE48」というハッシュタグで自分のSKE48にハマるきっかけを皆さんがツイートしていました。
 最近ハマったというツイートは、僕が探した限りでは見つけられませんでした(もし、ツイートされている方がいらっしゃれば申し訳ないです)。
 何故、ずっとSKE48が好きでいられるんでしょうか?
 

 今、SKE48は何度目かの成熟期を終えて、衰退期に入っていると思います。それはどこの48グループも同じかも知れませんが、坂道グループのメディア露出や認知度と比べるとかなり分が悪いです。
 たとえば、欅坂46の平手友梨奈さんのカリスマ性。
 孤高の天性と危うさは、多くの若者を熱狂させました。
 その極限が「角を曲がる」と「不協和音」ではないかと思います。
 でも、ベクトルが違えど、珠理奈にもカリスマ性を感じることがあったのではないかと僕は思っています。「片想いFinally」の時の彼女は、この後この人はどうなるんだろう、という色気と危うさがありました。丁度、SKE48が成長期から成熟期へ差しかかり始めた頃だと思います。
 乃木坂46のように各女性誌のモデルをしているわけでも、日向坂46のようにレギュラー番組を特集したテレビ雑誌が増刷されるほどの人気があるわけでもありません。
 

 でも、SKE48を見ているのは何故でしょうか?
 何が良いんでしょうか?
 2021年現在、総選挙もありませんし、コロナの影響で大箱コンサートの開催も難しくなってきています。
 新しいシングルはいつの間にか年に1度になってしまいました。
 それでもまだ見続ける理由は何でしょうか?
 

 今年の2月にアイドルマスターの京セラドームコンサートに友人に連れて行ってもらった時の事、初めて行く声優さんたちのコンサートにドキドキしていました。
 コンサート会場に向かいながら「SKE48のメンバーがブスとか言われてムカつかないの?」と聞かれたことがあります。
 「全然、慣れてるから」と僕は答えました。
 「じゃあ、日向坂46は?」
 「超ムカつくね。僕、箱推しだしね。みんな可愛いよ」と答えていました。
 そういえば、日向坂46の魅力をアイドルに詳しくない人に語る時は、ルックスや曲の良さ、バラエティでの適応力とスラスラ出てくるのに、SKE48について語る時は、とても慎重に話しているのを思い出しました。
 なんで慎重になっているんだろう。
 正確に伝えたいという思いもあるんですが、何かが違うなと思いました。
 このモヤモヤはよく分からないまま、頭の中の保留ボックスに収納されました。
 

 それから、今年の9月頃、ある記事を書く為に過去のメンバーのブログを読んで行っている時に、気になるものがありました。特にこの時のブログを使うことはなかったのですが、ずっとメモしていました。
 2019年12月28日の髙畑結希のものです。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12562886462.html?frm=theme


 「誰かの為に何かをする」ということ。
 まず、ここがSKE48の魅力の根幹なのではないかと思いました。
 誰かの本気を笑わずに応援が出きる。
 そして、スポーツ観戦によく行く方ならば、分かりやすいかも知れませんが、全力のプレーにはやはり、心を動かされます。
 そして、応援はプレーしている選手の力や自身にも繋がると思います。
 自分のお金や時間をメンバーに使う。
 時にはメンバーの序列が変わることもある。
 だから、メンバーもファンも全力になる。
 

 次に、同じテーマの須田亜香里のブログを読んでみましょう。
 2019年12月29日のブログです。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12562964334.html?frm=theme

 

 人との出会いですね。
 よく「SKE48ファンは熱い」と言われます。
 総選挙の時の強さは、最後の総選挙のオーバーキルに留まらず、毎年の総選挙用の動画やチラシ、ファンコミュニティ等でも伺えます。
 僕はこのブログを始めるまでは、ほとんど一人でSKE48を楽しんできたので、自分もSKE48ファンなのに、SKE48ヲタって凄いなあ、と見ていました。
 なんというんでしょう。
 「ガチ恋」という言葉がありますが、そんなレベルじゃなくて、もう「愛」と言った方が言いんじゃないかというぐらいなんですね。しかも、特に見返りは求めてないという。それぞれが自分のやり方で自分の推しメンを大事にする。
 ううむ、さっき、僕が慎重に説明しようとしたのも、この辺りにあるのではないか、と勝手に思っています。

 ①「誰かの為に」、②「人との出会い」でも、それだけだと、まだ他の48グループや投票イベントがあるアイドルでも言えますね。
 それでは、更に深く考える為に、同じテーマの鎌田菜月さんのブログを読んでみましょう。

 2019年12月28日のものです。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12562877058.html?frm=theme

 ③「メンバーの多様性」と④「推されが全てではない」。
 いやあ、悔しいぐらい素晴らしい分析力です。
 「メンバーの多様性」は、48グループ随一ではないでしょうか?
 だって、松村香織が居たグループですよ。
 そして、彼女の成り上がりストーリーは、まさに「推されが全てではない」だと思います。
 彼女だけではありません。
 柴田阿弥の2013年の速報は未だに忘れられません。
 この辺りもSKE48ファンの熱さだと思います。
 

 さて、ここまではメンバーの言葉を通して、SKE48の魅力を書いていきました。

 上記のことに僕の考えを加えるならば、⑤「ギリギリまで追い詰められた時の輝き」です。
 それはメンバーに負荷がかかることでもあります。
 「ラムネの飲み方」公演を手に入れるまでのエピソード。
 松井珠理奈がフルで出場できないことを逆手にとったガイシ2012。
 リクアワエストアワーでの数々の物語。
 「マツムラブ!」が発売された雨の朝。
 2017、2018の総選挙での古畑奈和の逆転劇。
 誰も予想していなかった2018年総選挙でのダブルフィニッシュ。
 いきなりパンチラインでの須田亜香里の代打センター。

 いつも、人間の際を越えて、SKE48のメンバーたちは輝きを見せます。
 それを誘発するような大きなイベントが、2021年現在は少なくなっています。
 それでも、まだまだ小さなエピソードが続いていきながら、やがて、「新しい物語」が出来て行くと僕は信じています。
 それは、昔僕らが見ていた「大きな物語」と外見は違うかも知れませんが、根幹に流れるものは一緒だと信じています。「新しい物語」の書き方は、まだ探り探りです。だからこそ、これから始まる「新しい物語」に立ち会える楽しみがあると僕は思っています。静かな日常の中で幸せを見つけて行くのか?
 昨年の12周年公演フェスのような熱いうねりが、今年もどこかで起こるのか?
 メンバーだけが頑張るイベントなのか?
 ファンも共に頑張るのか?
 コロナ禍でコンサートも頻繁には出来なくなりましたが、どうか、恐れずに新しい自分たちの夢をメンバーたちが語れる環境を作ってほしいと思います。
 自分の好きなものや夢を語ると冷笑されることもあると思います。
 顔も名前もあやふやな人に傷つけられることもあるかも知れません。
 現実を見ろよ、と言われるかも知れません。
 それでも、新しい夢を語れるメンバーが出てきて欲しいです。

 2014年1月31日。
 名古屋ドームコンサートの前日にインタビューされた中西優香は、「過去の自分に言っても信じないと思う」と語っていました。
 今の自分には未来は分かりません。だから、自分の嗅覚と仲間やファンを信じて、勇気を出して大きな夢も語り始めて欲しいと思います。

 

 松井珠理奈という絶対的なセンターが卒業します。
 今が第何章か分かりませんが、SKE48の新章がもうすぐ来ようとしています。
 日常の中に「アイドル」という要素を入れることで、嬉しいこともあれば、ストレスを感じることもあると思います。
 でも、少しだけ他人の物語と接続することで、自分自身も少しだけ変わるのではないかと思います。
 僕の話になって恐縮ですが、「ああ、こんなことで泣ける自分もいるのか」という発見や「こんなバカみたいに毎日ブログ書けるんだな」とか、SKE48という鏡に反射することで自分の新しい一面も見られました。

 長編映画のシリーズを最初から観て行くのは、本当に面倒くさいです。
 文学を体系的に読んで行くのも、今からもう1回やれと言われたら、クラクラします。
 でも、こんなに心が揺れるノンフィクションはこれまで観たことがないですし、読んだことがありません。しかも、この物語は公的なものが一つというわけではなく、握手会やトーク会、SNS上などでも小さな章が紡がれています。時にはそれが自分だけの特別な章になることもあると思います。 

 メンバーとファンの双方向で紡いでいくこの大長編。
 これまでの物語も面白かったですが、これからの物語にライドできるチャンスがメンバーたちや新しいファンの方々にも来ていると思います。
 だから、想像する楽しみがあるグループですし、創造していく楽しみがあるグループだと思っています。
 次は誰が突き抜けて、どんな素晴らしい曲が生まれるのでしょう?
 物語の終わりに立ち会えたり、別の物語の始まりに気づけたり。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12068015388.html

 長くなりましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
 あなたの好きは笑われても、あなたの愛は笑われないと僕は思っています。

  (2021年1月17日 『10年桜』を聴きながら)

 
 

2021年1月16日土曜日

未来は少女たちの手の中①

物語が終わった世界で

 
 映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」は、もうご覧になったでしょうか?
 ネタバレにならない程度に書くと、開始2分で韓国がゾンビだらけになって、韓国は国として見捨てられます。その4年後、そこから逃げてきた主人公が韓国に残っているらしい2000$を求めて、再び、ゾンビだらけの半島に潜入する話です。
 潜入してみるとビックリ、韓国にはまだ生き残っている人が居た!というところからストーリーがスタートしていきます。
 多くのシーンが夜で、ウイルスに死滅させられた都市は、現代のロックダウンした都市ともリンクする気がします。
 あるシーンで、年老いた登場人物が、幼い少女に対して「こんな世界にしてしまって、すまない」というような言葉を語ります。
 この場面を観ながら、ああ、これから生まれてくる世代はこの老人が味わってきたような幸せをどれぐらい味わえるんだろう、と考えさせられました。
 
 映画館を出て、人の少ない夜の町を歩きながら、ふと思ったことがあります。
 今、SKE48に入ってきたメンバーたちは幸せなんだろうか、ということです。
 勿論、シングルの全員選抜ということで、CDのパッケージになる等、嬉しいことも沢山あるとは思うんですね。でも、全国放送のレギュラー番組や映画の出演はほとんどありません。各アイドル雑誌に毎月のように出ているわけでもありません。
 それでも、ひたむきにSKE48に取り組んでくれているのは、SKE48の楽曲や劇場公演があることが大きいのかな、と考えています。
 総選挙や名古屋ドームといった「大きな物語」が終わった後にやってきた世代は、どんな夢を見られるのか?
 
 今回のティーンズユニットの選抜イベントは、SKE48における小さな総選挙と考える人も多いと思います。しかし、このイベントは一人ではなくて二人を選ぶというところが面白いところだと思います。
 いかに二人目の票を獲得できるのかが、勝負なのではないか、と僕は思っています。自分の推しに一票、そして、推しではないけどこの子に入って欲しいから1票という単推しの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 勿論、1推し、2推し、3推しぐらいが十分、選択肢の二人の中に入っている方もいらっしゃるかも知れませんが、この2票目をDDや箱推しの人から獲得することで、まだファンの数が少ないメンバーにも勝ち目があるかも知れません。

 個人的には、「いや、9期や10期のティーンよりも年の上のメンバーにもチャンスちょうだいよ」と思ったりもするわけですよ。特にアピール動画でのメンバーの語り口が「未来のSKE48をつくる」という場合は、余計にそれを感じてしまいます。
 どうしてもこれは書いておきたかったので、念のため。

 各メンバーの動画のコメント欄にはファンの方々のメッセージがあり、SNS上には推しをアピールする画像がアップされ始めています。きっと僕の知らないところで、様々な物語の「小さな章」が今この瞬間も書かれ続けているのだと思います。
 活動をしながら、苦汁を舐めながらやっとチャンスが来たメンバーも居れば、初のチャンスが巡って来たというメンバーも居ます。
 23分の6に誰が入るのか?
 いつか、彼女たちに大きな舞台でも勝負させてあげたい。
 いや、本当は勝負しなくてもチャンスが巡ってくるといいな、と思います。
 「新感染半島 ファイナル・ステージ」の最後にこんなセリフがあります。
 僕の記憶違いかも知れませんが、こんな内容です。
 「これでこんな地獄のようなところから出られるわね」
 「いえ、私はそうでもありませんでした」
 過酷な場所でも大事な人達との絆や幸せを感じて生活していた人物の台詞です。
 今は厳しい状態かも知れませんが、「大きな物語」が終わったのなら「小さな章」が集合して行って、「新しい物語」になれば良い。その中で希望や絆が感じられるイベントになればと僕は願っています。
 彼女たちの幸せや絆をファンの方々と作って欲しい。
 大人が語る「昔はこうだった」とか無視して、「これからはこうです」と夢を語ってくれるメンバーが出てきて欲しいです。

2021年1月13日水曜日

覚えていてくれシネマズ 7D2配給編

 2021/1/12 17:45~

 先生から手紙が届いたのは、正月のことだった。
 いつも年賀状の代わりに先生からは手紙届くのだが、今回は手紙と一緒に映画の招待券が入っていた。細長い紙の招待券で、期限は2021年1月15日までとある。
 さては先生が、株主優待か何かでため込んで使い損ねた券を、使いきれずに私に送ってきたのではないか、そう苦笑して書斎の机の引き出しの中にしまった。


 門松が取れ、七草粥も食べて、そろそろ寒さが本格的になった。
 私の仕事は土日祝日が休みだが、たまたま1月の3連休の1日に会社の休日出勤が入り、代休を1月12日の火曜日にしていた。
 二度寝をしてから起きた私は、朝昼兼用の食事をして、見逃していた動画をいくつかチェックした後、ふと、引き出しの中にしまったチケットのことを思い出した。

 さて、これといって観たい映画も無いのだが、このまま使わないのも勿体ないし、次に先生とあった時に少し気まずいので、厚着をして出かけることにした。
 曇った空から、雪が静かに降り始めていた。
 古い歌でこんな日に出かける曲があったが、曲名を思い出せない。
 そんな名前を忘れた曲をマスクの中で口ずさみながら、駅の近くにある映画館まで歩いた。
 平日の夕方の映画館は人影はまばらだった。
 映画館に入った時に絨毯の感触がする。これはホテルなどにも言えるが、非日常感を我々が感じるのは、ひょっとすると地面の感触からかも知れない。
 これから公開されるであろう映画の予告がいくつものモニターでバラバラに流れていた。賑やかであるはずなのに物足りなさを感じた。
 物足りなさの正体を探っていると、匂いだと気づいた。
 そういえば、昔は映画館に行くとポップコーンの匂いがしていたな。
 マスクをそっと下すと、確かにポップコーンの匂いがしたが、従業員らしき女性と目があったので、また戻した。


 さて、何の映画を観ようか。
 券売機の上にある電子掲示板のスケジュール表を見ても、判る作品が無い。
 ステイホーム中に配信で、いくつか映画を観る機会があったが、不思議なもので若い頃に観た映画ばかりで新しいものはほとんど観ることがなかった。
 腕を組んで、スケジュール表を睨んでいると声をかけられた。
 「お客様、何かお困りですか?」
 眼鏡の神経質そうな男だった。顔は20代にも見えるし、40代にも見える。
 他の従業員がベストを着ているのに対して、この男だけはスーツで、何かの担当者なのかも知れない。私は、自分の事情を簡単に説明した。
 男は、私の話を何度か頷きながら聞いた。瞬きをするというよりは、目を長い間閉じて聞く。

 「かしこまりました。それでは、チケットカウンタ―までご案内します」
 男は、自動券売機の横にあるバーのカウンターのような場所を示した。
 胸元に付けている小さなマイクのスイッチを男は押して、何かを喋っている。
 私は男に促されるままに、カウンターまで歩いた。
 カウンターには白いシャツにベストを着たショートカットの女性が居た。CAのように首元に鮮やかな柄のスカーフに目が行く。
 男は、その女性に頼んで、B4サイズのファイルとタブレットを取り出した。
 「お客様、それでは当劇場で公開している映画の紹介をさせていただきますので、少しだけお時間を頂戴しますね」


 男が青いファイルをめくると、そこにはアニメのリーフが挟まっていた。
 どこか見覚えのある絵だ。
「まず、紹介させていただきますのが、『樺乃と雪の女王2』ですね。子供向けの映画ではないか、と敬遠される方も多いかも知れませんが、非常に間口が広い作品です。特に歌唱シーンは、年齢関係なく心を打つものがありますね。『夢の在処』へという挿入歌も凄く良いんですよ。映画館の豪華な音響で聴くと更に歌声が更に楽しめると思います」
「そんなに歌が良い映画なんですか?」
「はい、これからより個々人のスキルが求められる時代になると思うので、この映画はロングランが期待できると私は思っております」
「じゃあ、それにします」
「待ってください!」
「えっ?」
「まだ、1作しか説明してないですよ?」
「いや、別にもうこれでいいんですけど」
「あなた、それはサザエさんのオープニングだけ観て、『ああ、サザエさんって、気球でウロウロする人の話でしょ?コロナ禍なのに命知らずな主婦の話ですよね』って言ってるようなもんですよ?」

 全く共感は出来ないが、どうやらこの男は別の映画の紹介をしたいらしい。
 まるで、無人島に次の漂流者が来たような目をしている。

「えっと、それじゃあ、次なんですが、『裕華たん ファー・フロム・ホーム』ですね。こちらは、『SKEアベンジャーズ』という人気シリーズの最新作ですね。浅井裕華たんが尊敬するだーすーの意志を継いで、独り立ちしていくまでのストーリーなんですが、これが泣けるんですよ」
「えっ、シリーズをほとんど観たことないんだけど、大丈夫ですか?」
「安心してください。この裕華たんから入っても十分楽しめますし、過去に遡っていくと更に楽しめるということですね。名監督の木﨑ゆりあとの関係も良いですよ。選抜アベンジャーズ入りして、これからどんな作品が出てくるか楽しみですね。個人的には次はホラーとかも出して欲しいんですけどね。彼女の重いところって、何故か負のイメージが付かない稀有な才能だと思うので」
「ああ、じゃあ、それで」
「ちょっと待ってください!」
「えっ?」
「まだ、当劇場の作品、まだ二つしか紹介してないでしょ。こんな限られた情報で、把握できますか?『キテレツ大百科』のキテレツぐらいですよ。あんな雑な設計書でコロ助を作られたのは」

 なんだか分かったような分からないような喩えだが、私は止む無く次の説明を待った。
 男は、1日1回だけ看守と喋れる囚人のような顔で笑いながら、次のページをめくった。


「『OOちゃん ノー・タイム・トゥ・ダイ』ですね。大人気の『OOちゃんシリーズ』の最新作ですね。毎回、豪華な鉄道が出てくるのが特徴的で、主演の末永桜花さんのコスプレも楽しめるんですよね」
「あれ、これはまだ公開延期前の作品なんじゃ…」
「ぎくっ!」
 私は擬音語を口に出していう人に初めて会った。
「あの、うちの映画館はほら、試写会いっぱい取ってくる映画館なんですよ…。ええ…。それは置いといて、ある程度自分の世界観を末永さんここ数年で作り始めていると思うんですね。2019年の2月に行われたソロ作品映画祭でもそれを感じるんです。ここから少し回り道になるかも知れませんが、自分の世界観をより確立していくことで、今の配給会社を飛び出した時に、独立してやっていけそうな気がするんですよね。柴田阿弥監督みたいに」
「なるほどね。それじゃあ、それで」
「ちょっと待ってください!」
「ひょっとして、このくだりずっとするの?」
「『ドラえもん』でドラえもんが道具ださずに毎回、のび太に『自力で解決しろや』って漫画読んでたら、どう思います?必要なくだりってあるんですよ!」


 男はよくわからない熱意を込めて、次のページをめくった。
 今度はタブレットをいじり、ある動画を私に見せた。
 それはある女性が「あっち向いてほい」をしている動画だった。
 その動画をいくつか見せられた。何度か男からの視線を感じたので、ずっと画面を観ていた。
 信じられないほど、女性は相手の指と同じ方向に首を振っていた。

「こ、これは?」
「ドキュメンタリー映画『放送局員』です。太田彩夏監督の初出演作でもあります。ある地方ラジオ局を舞台に聴取率を上げる為に様々な宣伝をしていくノンフィクションなんです」
「えっ、オモシロ映画じゃなくて?」
「はい、予告だけ観ると、そう感じるんですが、実は映画界におけるバランサー的な監督でもありまして、シリアスな作品、コメディ作品どちらを取らせても良い作品を作ることができる稀有な監督なんです」
「じゃあ、もうそれにしよう!」
「待ってくださいよお!」
「だって、もう4作も聞いたしさ。君も疲れてきてるだろう?」
「こっちは帰りの燃料積まずに生きてるんですよ。気にしないでください。それより、次の作品ですよ」
 

 男のスーサイド気質な人生観は全く共感出来ないが、まだまだ何を観るか絞られずにいるのも事実だ。

「次は『なるぴー 結び』ですね。これだけで元の映画が分かる人が何人いるか分かりませんが、ついに名作シリーズが完結するんですよ!うちの劇場での公開が今月いっぱいなので、是非、今のうちに味わっておいて欲しい作品なんです。劇場に魅せられた少女が徐々に、踊りの楽しみを覚えて行き、数々の試練を乗り越えていく映画なんです。今なら入場者プレゼントの草も貰えますよ!」
「いや、それは要らないでしょう」
「最後まで映画を観ていただくと分かりますよ。手に草握る名作ですしね。彼女は制作現場の空気を明るく変えてくれる監督でもありましてね。9期配給会社の監督たちに劇場公演を楽しいものに、という意識を植え付けてくれた人でしてね。彼女が新人監督時代に5期配給会社で映画を撮っていた市野成美監督が、『みんな怒られて楽しめてないから、今日は気にせず楽しもう!』と語ったところを、ちゃんと受け継いでくれてるんですよね。栄の映画界はこういう形で引き継がれていくのも噛みしめられますよ」

 男は恍惚とした表情で、ページをめくった。
 黙っていれば、謎のたとえを言われないことに気づいた。

「次何ですが、「ワイルドスギーチャン パワーコンボ」ですね。人気の『ワイスギ』シリーズの最新作です。『すぎチル』というファミリーが次々と事件を解決していくんですが、とにかく主演の杉山愛佳さんのスピード感と力強さ、どちらも楽しめる映画なんですよ!毎回、エンドロール後の打ち上げ風景もお楽しみの一つなんですけどね。作品数が多くて、今から遡るのは大変かも知れませんが、ここから入っても十分楽しめますし、過去を知っても楽しいシリーズですね」
「この一緒に映っている女性は?」
「ああ、井上瑠夏さんですね。今回は彼女が敵になるか味方になるかが、一つのポイントになるんですよ。今、フード売り場にはコラボのおにぎりも売っていますし、グッズ売り場には『すぎチル』のTシャツやパーカーも売ってますよ」
「いや、映画を観てから考えるよ」
「そんな軟弱な考えで、映画を観終わった後、『仮面ライダー』の限定パンフを買い損ねた男のことを思い出しましたよ。さあ、次行きましょう!」

 男は、スターを取ったマリオBGMのようにノリノリでページをめくった。

「次は『はたごん 社長と呼ばれた女』ですね。これは、香川でOLをしていた平凡な女性が栄に出てきて、アイドルとして成功するというプロジェクトを歴史的な資料を元にリアルに描いた海外映画なんですが、僕は結構この作品が結構好きなんですよ。映画の冒頭ではどこにでもいるOLの表情だった主演の髙畑さんの表情が徐々に変わっていくところが素晴らしいんですよね。金曜日はプレ三ㇺデーで、監督の上映後のアフタートークもあっていつも人気なんですよ」
「なんか、髙畑商事に関する映画なんだっけ?仕事仲間から聞いたことがあるよ」
「そうなんです。実はクラウドファンディングで制作された映画でして、僕も名古屋ドームでの『はたごん三唱』のシーンにも参加してますよ!」
「いや、君の出演情報は別に…」
「映画観る時の楽しみはいくつあってもいいはずでしょう!」

 私はこういう正論めいた極論を言う人が苦手である。
 少しずつ劇場の客足が増えてきて、私の後ろにも別の客が並ぶのだが、すぐに隣りのカウンターで、先ほどの女性の従業員が対応して、次の客がまた並ぶ。
 なんだか、私が長々と説教をしたり選びあぐねている客のように見えていないか、だんだん不安になってきた。

「7期配給の作品は、次が最後ですね。「ほのの・パラベラム」ですね。みかん大好きほののが、前作の『ほのの・チャプター2』でみかん業界に命を狙われるところで終わって続きが気になっていたんですよ。まさかのラーメン部と合流して最後の戦いを挑む名作です。2020年に多くの映画館が閉館していた時に、彼女はSNSでサイレント作品をどんどん更新して行って我々を楽しませてくれたんですよね。だから、今年はもっと評価されて欲しい監督の一人です」
「その、これも続編なの?」
「安心してください。この監督は、昔から見ているお客様も楽しめるんですが、今から入っても楽しめる監督の一人なんです。今、作風が少しずつ変わり始めているので、これからの2年間は目を離さない方が良いですよ」
「じゃあ、それで」
「D2がまだでしょうが!」
「何?D2って?」
「ドラフト2期配給のことです。7期配給と業務提携したので、セットで紹介されることも多くて、うちの映画館でもよく同時に上映しているんですよ」

 男がファイルをめくると、古ぼけたポスターが出てきた。

「これは?ずいぶん昔の映画のようだけど…」
「いえ、これはわざと古い時代を描いて、リーフもそうしているんです。『ワンス・アポン・ア・タイム・リス物語』ですね。これは上村監督が書いていたリス物語を原本に、幼い頃から現在までSKE48の黄金時代や、暗黒期、そして再浮上まで丁寧に書かれている作品なんです。主人公が最初は少女の目線で観ていた世界が、徐々に副キャプテンの目線に変わっていく過程が凄く良いんですよ」
「結構長編だよね?」
「あっ、大丈夫ですよ。うちの劇場ではリクライニングシートもありますので。大画面で上村さんの陽気な笑い声を楽しんでください!」
「うーん、じゃあ、それにしよう!」
「いや、あと2つあるのよ!」
「2つもあるの?」
「いや、どっちも『リス物語』に負けないぐらいの名作なんですよ」

 男は残りのページ数が少なくなってきたファイルをめくった。
 

「『愛理を止めるな!』ですよ!この映画はですね。今年の黒真珠国際映画祭にも選ばれましてね。鳴り物入りで業界に入ったものの、なかなか評価をされずにCM撮影なんかをしている監督が主人公なんです。NOカットで自分たちの最高の映画を作っていく過程は、物凄い熱量があって、これからへの期待が凄く持てるんですよね」
「確か、口コミで人気が広まっている映画なんだよね?」
「はい、僕は今年のブレイク監督の一人だと思っています。ティーンズユニット映画祭でもグランプリを受賞するんじゃないかと期待してます!」
「よし、じゃあ、その作品で!」
「もう、最後まで聞いてくださいよ!『スラムダンク』の31巻だけ読まない人います?」

 最後に開いたページには美しい横顔の女性がプリントされたいた。

「『マーヤン2 炎の宿敵』です。栄映画界の巨匠松井玲奈監督の映画トーンである『玲奈グリーン』を継承する作風で、栄映画界だけでなく秋葉映画祭にも招待されることもある名匠の作品なんですよ。一時期は映画業界から離れたこともあったんですが、帰ってきてくれたんです。彼女のポテンシャルと今の映画業界の評価は、必ずしも合っているとは、僕は思いませんが、振り子のようなもので、必ず、もう一度彼女のターンが来ると信じてるんです。だから、こういう時こそ、僕は彼女の作品を激推ししますよ!」
「えらい熱だね?」
「こういう時だからこそ、語りたい映画が沢山あるんですよ」
「よし、じゃあ、それで!」

 気づけば時計の針はもうすぐ19時になろうとしていた。
 男にチケットを渡すと、座席を聞かれて真ん中の辺りをお願いした。
 チケットを発券しながら、男は眉間にしわを寄せた。
 暫く黙ったあと、慎重にモニターのボタンを押した。
 「お客様、おめでとうございます」
 「なんですか?」
 「お客様が丁度、100億人目の発券です」
 それは年の初めから幸先が良い。
 「お客様の本日ご覧になる映画は勿論、今から48時間、順番に紹介した映画を無料でご覧になれますよ。やりましたね!」
 「いや、そんなには流石に…」
 「いやー、羨ましいなあ、僕も体験してみたいなあ。おーい、みんなあ、胴上げしながらお客様をシアターまで連れていってくれー」

 男の掛け声と共に、一気に屈強な男たちが20人ほど、私の傍まで走ってきた。
 気づけば、「タイガー、ファイヤー」とかいう聞き覚えの無い祝詞と共に、私の身体は上空を待っていた。
 中空で観た男の名札には、「栄」と書いてあった。
 

※8期配給編はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2021/01/blog-post_11.html


 

 

2021年1月12日火曜日

恋落ちフラグ①

 君が振り返った先には


 2020年1月12日。
 松井珠理奈の卒業シングル「恋落ちフラグ」がついに解禁しましたよ。
 歌詞はまだ全文発表されてないので、MVの内容を中心に観ていきたいと思います。
 ただ、一言だけ書いておくと、やはり「Stand by you」のアップデート版に僕は感じます。より明確に自分の気持ちが分かったというような。この辺りは、また歌詞がはっきりしてから考えましょう!

 公式MVはこちら!

 


 もうね、僕は観ながら泣きましたよ。
 だって、珠理奈がポニーテールで振り返るシーンがあるじゃないですか? 
 また、このモチーフ入れてきたかと!
 「前のめり」にあった珠理奈の振り返るシーンを思い出してください。
 一人で沖縄の海に佇んでましたよね。
 3年後のシングル「Stand by you」では暗闇の中で振り返ってましたよね。希望を見つけて選抜メンバーに抱き着きます。
 そして、満を持して今回の「恋落ちフラグ」ですよ!
 SKE48の全メンバーのエールを受けて(別撮りなのにみんな珠理奈への応援のメッセージを叫んでいたエピソードも素敵)、手を振る表情。
 多くの仲間を見送ってきた彼女がついに旅立つ時が来たか…と感慨深くなりました(『神々の領域の衣装』の特別さがより際立つ感じにもなりましたしね)。
 あと、松井玲奈の「前のめり」が海を連想させるMVなのに対して、珠理奈の「恋落ちフラグ」が空港という空を連想させるMVでソロショットというのも印象的です。

 MVのラストで様々な国の言語で「ありがとう」の言葉が出ていますが、珠理奈の記事を書いた時って世界中の色々な方が読みにきてくださるんですよね。ワールドワイドなメンバーだからこそ、感謝の気持ちをヴィジュアライズ化しているのが良いですね。曲のアレンジにどことなくチャイニーズメロディーぽいアレンジが入ってるのも好きです。
 振り付けを観ていると、過去の曲の振り付けを連想させるものがチラホラありますね。僕が気づいたのは「コケティッシュ渋滞中」です。
 なんとなく、tiktokとかで真似しやすそうなダンスですよね。新しくSKE48を知るきっかけのダンスになると良いなと思います。
 
 珠理奈以外のメンバーで見て行くと、やっぱり、古畑奈和さんですよ。
 なんですか、あの動き。
 一瞬一瞬、止めの動きを入れることで、キレを感じさせますよね。
 2番のところも良いんですが、最初のソロカットもカッコいいんですよね。
 流石はセクシーチーム筆頭。
 MVで6チームに分かれていたので、「ま、まさか、NMB48のNAMBATTLEみたいに6チームに分かれて戦うんじゃ…」と心配していたんですが、それぞれの個性に合わせたチーム分けだったんですね。
 ほののをカッコいいチームに入れたのは、これからどうなって欲しいのか、という期待の表れのように感じました。
 しなやかさを表すチームに鎌田さんを入れているのも、昔だったら分からないんでしょうが、去年彼女について勉強したんで今は納得です。よこにゃんは髪の流れにも目が行きますね。
 そして、だーすーとだーそーのこんな豪華な使い方があったかと。
 2分27秒あたりで、熊ちゃんが一瞬だけ太陽を背負うカットがあるんですが、彼女のイメージにぴったりです。

 最後に名古屋ドームで全員で踊るところも良くてですね。
 久々に多人数の中から推しを探すというのをやりましたよ。何回一時停止しながら、探したことか。どんなに後ろでもどんなに端でも見つけるぜ、という気分に久々になりました。
 そして、その動作を繰り返していくうちに、「あれ、このMV1秒1秒のどこかにSKE48誰かの素敵なところが映っているMVなんじゃないか」と思いはじめましてね。試しに0.5倍速で再生すると、後ろの方のメンバーもちゃんと表情を作っていることに気づかされます。あと、各メンバーが珠理奈に向かって手を振る時の表情も凄く分かりやすくなるので、1度試してみてください(実は深井ねがいちゃんが、手を振りながらこっち見てくれてます)。

 話を戻すと、ユニットの発表だったり、選抜の序列だったりで色々と思うことがあるファンの方もいらっしゃると思います。
 でも、SKE48ってやっぱり一人一人が主役で誰かにとって特別な存在なんだな、と気づかされたMVでもあります。

 30秒あたりでメンバーたちが走る様子は、これからまた新しいスタートだという若さとエネルギーに満ち溢れています。
 珠理奈も今日の配信で言っていましたが、これは終わりではなく新しいスタートのためのシングルでもあるんですよね。
 ロケ地もSKE48に縁のある場所が多かったですが、名古屋ドームでSKE48全員で踊れたことはこれからの財産になると思います。メンバー一人一人のことを考えた、本当に優しい珠理奈らしいMVになりました。
 SKE48は、今第何章か分かりませんが、開いたまま終わり、新しい章に進む。
 そんな気持ちにさせてくれました。
 最後に少しだけ見せる珠理奈の背中と天にかかげた指、そして「センキュー!」がアイドル活動のハッピーエンドを僕には予感させます。
 ああ、また大箱でSKE48が観たい!

2021年1月11日月曜日

覚えていてくれシネマズ 8期配給編

 2021/01/12 19:00~

 

 「栄くん、会議室まで来てください」
 イヤフォンモニターから支配人の声がした。
 胸元のマイクのボタンを押して口元を近づける。
 「かしこまりました」

 僕は、チケットコンシェルのカウンターから出ると、そのまま近くの従業員用扉に向かう。劇場のロビーにお客様は居ない。バイトの学生たちは、少し気が緩み始めている。19時からの上映が始まって、これから2時間近くはどのスクリーンでも今日は上映が無い。各自で休憩を回したり、商品の補充をすることになる。まあ、気が緩むのも仕方ないか、と思いつつ、軽く手を振って近くの従業員用扉を開ける。

 そこから、約2階分の階段を上がる。
 登りながら、ああ、いよいよか、と思う。
 映画館にとって火曜日の19時からの約2時間は非常に重要な時間帯だ。
 多くの映画の新作は金曜日に公開される。
 そして、多くの映画館のウェブ予約は2日前の0時から、つまり水曜日の0時から予約可能になる。どのスクリーンで、どの映画をかけるか、タイムテーブルをどうするかを決めるのが火曜日の夕方からの重要な業務だ。
 多くの場合は、支配人と副支配人が話し合って決める。
 過去作との対比やグッズの収益、コラボメニューの目標額との兼ね合いもある。
 そんな重要な会議に、僕が呼ばれた理由は単純で、副支配人がここ数日病気で倒れたからだ。幸い、感染症ではなかった。そこで、職権乱用とばかりに普段、デジタル試写などを観まくっている僕にお声がかかったわけだ。

 階段を登りきると、喉が渇いた。
 会議室に行く前に休憩室に寄り、唯一自販機で売っている140円の栄養ドリンクを飲み、気合いを入れる。

 会議室のドアを開けると、ワンルームマンションぐらいの広さの部屋に長机が二つ並べられていた。机の上には、アクリルボード。そして、その少しぼやけた板の向こうに支配人が座っていた。

 「それじゃあ、始めようか。まずは、1番シアターからだな」
 支配人は机の上にタイムテーブル表を広げる。
 一番上の横軸に「1番シアター(IMAX)」とか「2番シアター(4DX)」とか各シアターの仕様が書いてある。縦軸には、各シアターごとの時間が30分刻みで書いてある。
 「1番シアターはアニメ『るーちゃん無限列車編』で行こうと思うんだよね」

 「そう来ましたか!」
 「いや、観始めはこんなフワフワした出だしで面白い映画なのかなって思うじゃん?でもさ、主演の井上瑠香さんのさ、シリアスな時のギャップっていうの?あれ、凄く無い?」
 「僕は試写は観られてないんですが、予告編を観ると、凄い期待できるんですよね。松井珠理奈監督も気になる作品に挙げてましたね。ムビチケの売れ行きも事前にうちの劇場だけで300超えてるんで、配給会社も今、激推しく
んだと思います」

 「お前、るーちゃんを文房具みたいに喩えるな、本当にお前を1回しか殺せないのが残念だよ。それは置いておいて、熊本からスタートして震災を経てアイドルとして再生していく過程も良いよな。大迫力の画面でこれは味わって欲しいから1番シアターに持ってこよう」
 そう語ると、支配人は1番シアターに丸をつけた。

 「いや、ちょっと待ってください」
 「何?命乞いなら聞かないよ?」
 「あの、実はムビチケの売れ行きで言うと、もう1作候補がありませんか?」
 「あっ、『みよまる2003』か?」
 「はい、もともと一定の人気があった女性主役のアクション映画ですが、制作会社がカミングフレーバーになってから、良い意味で他の配給作品と差別化が出来てますよね」
 「確かに。先に上映した海外の映画館でもロングランヒットだし、うちの映画館では久々の正統派の美人主演の映画ですね」
 「うちの映画館で上映される映画はみんな美人が出てるだろうが。タイムマシンで全ての世界線のお前の可能性を潰してやろうか?そんなことは置いておいて、確かにこの作品は映画館が休業中もZOOM劇場とかで積極的に上映をしてた配給会社なんだよな。お客さんを楽しませるにはを全力で考えてる作品でもあると思うし」

 「じゃあ、1番シアターは交互に上映でどうです?」
 「そうだな、まず1週目はそれで行こう」
 「次は2番シアターですね。4DXだから、匂いや揺れ、水や泡、煙が出る作品ですね」
 「俺はさ、「サトカホ 半地下沼の女」がいいと思うんだよね」
 「これ、確かPG指定のホラーですよね?」
 「いや、大分配給が頑張ってくれたんだよ。PG12までにしてくれて」
 「確か、理系の大学生たちが同級生と夏休みに沼のほとりのコテージに行く話ですよね」
 「これさ、もの凄いリピーターがアジア圏で出てるんだよね。もう観た?」 
 「ええ、試写で観ましたよ。なんとういうか、主人公が魅せる顔が凄く多様性があって、分かったつもりになると、また別の顔が見えるというか。あと、フード部門で期間限定メニューでクロワッサンパンが出るみたいですね。いつも僕はクロワッサンの向こうを妄想しています」
 「この後警察を呼ぶから、また別のアクリル板越しに会話ができるな。ところで、配給から『サトカホ』の匂いが送られてきてたんだが、昨日の夜、映写スタッフが試しに匂ったんだが、かなりクラクラしてたな。『モニカ』がどうとか呟いてたし。90分間、色々な匂いが楽しめるホラーなんだろうな」
 「僕、ホラーは苦手なんですよね。でも、4DXだとアトラクション的な楽しみ方も出来るからいいですね」

 「ただ、朝からとなるとちょっときつくないか?」
 「朝からホラー観てる、コアなホラー映画ファンはいますよ。よく黒いTシャツ着て映画館に来てる」
 「できたら、ファミリー向けも入れたいな」
 「じゃあ、『おどる友月さん』はどうですかね?」
 「ああ、それ俺も入れるか迷ってたんだよ」
 「チアリーディングに励む、笑顔が素敵なモデル志望の女の子って、同世代の女の子だけじゃなくて、その少し下の層にも憧れの対象として受け入れられやすそうですしね。前作で主演の石黒友月さんが、野外で舞台挨拶した時もピーカンの晴れでしたしね。本当は『天気の子』とからめようと思ったんですけど、2020年公開じゃないんですよね」
 「急に次元の壁を越えて、作者の内情を語りだす辺り、お前が3流だっていう証拠だよ、もうさらに下流まで流れて欲しいよ。それは置いておいて、この年代の女優さんは1年1年がメモリアルフィルムとしても楽しめる側面があるから、是非、上映にかけたいね。じゃあ、4DXの午前中はこの作品にしよう」
 「どちらの作品も通常版も上映できるように少し小さくなりますが、スクリーン4もおさえときましょう」
 

 「よし、次はドルビーシネマのシアター3か。音響が自慢のシアターだけに作品選びに悩むね」
 「『YATTNE ヤッタネ!』はどうですか?この坂本真凛さんの」
 「確かに、彼女の声って最高だよな。あと、絵日記の演出も話題になってるからな」
 「そうですね。何回も観たいというファンが多いですし、映画化されるまでのドラマが素敵ですよね。もともと彼女も栄配給の映画のファンで人生を変えてくれたんですよね。いやあ、この映画館では出世に無縁の霞が関のはぐれ者、一匹狼、変わり者、オタク、問題児、鼻つまみ者、厄介者、学会の異端児と呼ばれている僕とは大違いですよ」
 「『シン・ゴジラ』の巨災対でやってきたのが、お前ばっかだったら、俺はあの友達の眼鏡にすぐ電話するよ。『もうおしまいだって』。それは置いておいて、事前のアンケートでも共感した観客も多いし、これから成長していきそうな作品なんだよな。よし、3番シアターはこの作品で行こう!」


 時計を見ると、もう8時になっていた。
 ここからは折り返しだ、まだ僕が注目しているあの作品は決まっていない。


 「次は、5番シアターですね。ここは客席数は少ないんですが、ソファーシートがあったり、リクライニングシートもあって、のんびり映画を観るのに丁度良いですし、ミニシアター系の作品の規格の作品も映写できるところなんですよね」

 「俺はさ、この作品で勝負したいと思う!」
 「midいずりん!」
 「そう、ミニシアター系の作品なんだけど、センスが光るA24系の映画なんだよな。主演の仲村和泉さんは、前作『カワウソ家族』のイメージが強いと思うんだけど、今作は彼女の眼差しが光る作品なんだよ」
 「実は、映画レビューのサイトでも今年この作品を注目している方が多いんですよね。僕の個人的な趣味ですが、映画の中で男装シーンがあったら、もっと伸びる気がするんですよね!」
 「俺は一度、お前にトム・クルーズの仮装をしてほしいんだ。ビルからビルへジャンプして骨折したり、ヘリから飛び降りてほしいな。それは置いておくとして、実は普段、映画を観ない層のクリエイターの心を動かしそうな逸材だよな。応援の意味を込めて、うちでは1日5回まわそう」
 「はい、じっくりと観ていきたい作品ですね。5番メインで、8番の夕方に1回入れましょう!」
 

 「次は6番シアターだな。そろそろここで、好みの映画をぶつけようか」
 「えっ、『がんば令和ロボコン!』ですか?」
 「あんなアシッドムービー、二度と上映できないぞ!まじで、売店に来たお客さんに『あれは何だったんですか?』って聞かれたからな。違う、『よこにゃん ラストブラッド』だ!」
 「待ってました!グッズも一番充実してるんですよね!画集や『ムカデちゃん』のフィギュアは念の為に初日の6時から整理券配るようにしてますよ!」
 「張り切り過ぎだ!でも、主演の北川愛乃さんは、本当に表現力に長けてるいる人で、彼女の視点で世界を観てみたいと思わせる作品が多いよな」
 「はい、僕も生で彼女の舞台を何度か見ているんですが、端の席まで届くんですよ。だから、『アルプススタンドのはしの方』とかけようかと思ったんですが、やめました。動けてアートも出来るというのは本当に重要な女優さんだと思います。あと、SNSの更新と企画力が凄いんですよね」
 「俺も実は今年の舞台観に行きたいと思ってるんだよね。よし、6番シアターはこの作品に決定。グッズは追加注文できるようにしとけよ」
 「カッワッバンガ!」

 

 「次は7番シアターですね。ここは学生やアマチュアの監督、それから映画祭で評価が高かった作品を上映する為に、最近増設したシアターなんですよね。画質を上げる代わりに対応できる映写機の上映時間が短いのがネックですが…」
 「7番は『えんとつ町のねがい』で行こう!」
 「そう来ましたか!クラウドファンディングで資金を集めたアニメ作品ですよね」
 「そう、制作の深井ねがいさんとそのご家族のメイキングを公開したことによって、ファミリーのような親近感が生まれて見事、映画が公開されたんだよな」
 「僕は、彼女を観てると…。引退した、岡田美紅さんの分まで…。ううっ…」
 「一時期は作品の制作を心配されたことやアンチに叩かれたこともあったが、見事に自分の作品を完成させたんだから、応援せずにはいられないだろ」
 「はい、じゃあ、これで7番シアターも決まりましたね」

 「最後の8番シアターの残りの枠を『海辺の倉島 杏実の玉手箱』で決定な」
 「えっ?」
 「どうした?」
 「正気ですか?」
 「だって、もうシアター残ってないし…。一応、8番はクラシック映画とかで使うプレミアシアターだよ。専用のラウンジもあるし」
 「全然、分かってないな!アンタは!」
 「えっ?」
 「いいか、アンタだって栄ファンになりたてだったことがあったろう?それが何歳の時だったかは知らない、でもな。今みたいに売り上げがどうとか、推しがどうとか言う前に純粋に好きで楽しんでいた時があったはずだ。何度も何度も好きなものを繰り返し観たあの気持ちだ!もし、その気持ちがあったまま、栄の劇場に作品をかけられるようになったとしたらどうだ?どうせ、大人になると『忙しいから』とか『しょうがないから』とか言い訳するだろ?でも、そんな言い訳をせずに好きなものに真摯に向き合える人間が居たらどうする?しかも、その人は栄の歴史をきちんとなぞって自分の身体に入れている」
 「ど、どうした?」
 「栄の歴史を繋いで、未来に提示できるのがこの作品なんですよ!」
 「お前の作品への思いは分かったけど、もうスケジュール決めたとこだしさ」
 「いえ、大丈夫です。まず、シアター1で8時30分から上映、次にシアター3で10時45分から上映、さらにシアター4で13時から上映、シアター5で15時30分から上映、シアター7で17時50分から上映、シアター6で20時10分から上映、シアター2で22時10分から上映。そして、シアター8で永遠に上映。うちの劇場が観客動員数、日本一目指しますよ!」  
 「いや、まだ倉島さんは作品数も少ないし、実績が出てからの方がだな…」
 「何言ってんすか!そんなこと言ってるうちに、未来の可能性を伸ばし損ねたこと、アナタは無いんですか?また、同じ後悔がしたいんですか?
もう『ガロ―さんぬいぐるみ』、70万個注文しましたよ!この惑星のガロ―さんぬいぐるみの99.8%がうちの劇場に集結します!あと、ショッピングモール外のラッピングも全部杏実ちゃんにしときましよ!もう、俺たちは売るしかないんですよ!」

 「お、お前、正気か…」
 「これ、辞表です。でも、かつて『阿弥の瞳が問いかけてる』で一か八かのかけに出て大ヒットを飛ばした映画館もあると聞きます。ここは、どうか検討していただければ幸いです」
 「ど、どうかしてるぜ…」
 「そうですよね」
 「だが、お前のそういうところが気に入ってこの映画館に誘ったんだ」
 「し、支配人!」
 「ああ、こうなったらやってやろうぜ!」
 「いつでも全力ぅ!」
 「前のめりぃぃ!!」

 劇終


2021年1月10日日曜日

ロキ

 歌詞と歌手の関係

 2018年に公開されて大ヒットした映画に「ボヘミアン・ラプソティ」があります。
 クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの生涯を描いたこの作品は、音楽映画としても最高なんですが、曲が出来るまでのドラマや曲を歌うまでのドラマが最高でしてね(実際の出来事がドラマチックに変えられているところもあるんですが…)。
 作中でメンバー間が不仲になってから、フレディーが自信のエイズを告白、もう一回やろうぜ!という感じになり、ライブエイドで歌う1曲目の「Radio Gaga」が歌詞とあっていて、もうメチャクチャ燃えるんですね。
 「君の時代があった 君のパワーがあった でもまだ君はこれからさ」とか「誰かがまだ君を愛しているんだ」というところが、曲の主人公たちの置かれている立場とリンクして、僕は何度もこの場面で泣きました。

 曲の世界観も大事ですが、「誰がどんな時に歌うのか、というのが重要なんだなあ」とまだブログを始めたばかりの僕は思ったもんです。
 さて、今回紹介するのは、SKE48を卒業してyoutubeで歌ってみた動画をアップしているSKE48元10期生の加藤結さんの新しい動画です。
 まずは、観てみましょう!



 ううむ、まず髪が赤くなっているじゃないか。
 ガンダムZZに出てくるキャラクターを連想したんですが、名前が思い出せません。
 さて、今回の動画を観た感想として挙げたいのは、まずかとゆいが物凄く曲の世界観を楽しんで歌っていること。歌唱中の表情の変化やついつい出てしまう振り付け、声色の変化を含めて表現することを楽しんでいるように感じました。
 また、時折カメラ目線になるのは、ひょっとすると視聴者を少しだけ意識しているのかな、と考えさせられました。
 最後の指をぶつけて素に戻った時の満面の笑顔も素敵ですが、歌詞も凄く良くてですね。
 うまく社会と握手出来ないこともあるけれど、表現を続けていきたいし、生きることも諦めない、だからお前も死ぬなよ!というメッセージがなんともかとゆいとのリンクを感じます。ううむ、良い選曲をされましたな、と何故か家老のような気持ちになりますよ。
 彼女がSKE48を卒業する前に書いたブログを思い出すと、彼女が卒業したばかりの今、歌うことで一つ意味が乗ると僕は思っています(まだ卒業して2週間も経っていません)。歌詞の中の「お互い」の相手は視聴者のような気もしますし、相対化して見た内面の自分自身のようにも感じます。また、拡大解釈だと断って書くと、遠くにいる五十嵐早香へのメッセージになるのでは、と思っています。

 それにしても、普段、ボカロやネットから出てくるクリエイターの曲を聴かない僕としては、かとゆいの歌ってみた動画を通して新しい曲を知っていける楽しみがあります。
 次はどんな曲を歌うか楽しみです。
 表現を楽しみながら、自分の才能をまだまだ見せて欲しいですね。

※なんとなく「ボヘミアン・ラプソティ―」の予告を貼ってお別れです!


外は寒いからマジカルラジオ4でも考えようじゃないか

 マスターピースが去った後で



 先日、歌人の穂村弘さんの対談集「あの人と短歌」を読みました。
 短歌の中で使われる言葉の強度について語っている箇所があり、短歌に入れる言葉を考える際に、その言葉を一回短歌から取り出して別の言葉に置き換える。その時に齟齬が生じる、この言葉ではないといけない、代わりがいないという言葉こそが強度のある言葉という考え方が示されていましてね。
 ううむ、そう言われると短歌に限らず多くの韻文のクラシックは、言葉の強度が強い作品が多いなあ、としみじみ感じて、そのまま江戸期から昭和初期ぐらいの韻文の世界を旅して帰ってきたら、もう夜ですよ、お侍さん。

 今回は、日本のアイドルドラマ史に燦然と輝く「マジカルラジオ」シリーズの続編について考えようじゃないか、と思います。まだ、「マジカルラジオ」を観たことないという方は、Huluでシーズン3までチェックしてここに帰ってきてください!全然、関係ないけど、Hulu入ったら、是非、「たりない二人」をおさえておいて欲しいです!

 さて、「マジカルラジオ」シリーズの主役を考えた時に、重要なピースは高柳明音だと思うんですね。特にシーズン2は彼女の存在なくして話は進みません。こう考えると、ちゅりのこのドラマにおける強度はW松井を越えていたかもしれません。
 しかし、ちゅりはもうすぐ卒業してしまいます。
 ううむ。
 最後に我々が公式に「マジカルラジオ」を味わったのは、2019年3月の炎の関東ツアー最終日の夜。あそこが最後でした。
 あの時は、ちゅりと奈和ちゃんによるマジカルラジオでした。
 ちゅりを外した「マジカルラジオ」なんて考えられるのか?
 奈和ちゃんだって、シーズン3からの新キャラですしね。
 

 そこで1回、シーズン3までの内容を一回リセットして、4から新しいフォーマットで作ってみてはどうか、と考えてみました。
 そう、マジすか学園が突然「3」で刑務所編になったかと思ったら、「4」でまた学園ものに戻ったように、舞台は同じだけど、大きくキャストを変えてみるのはどうかということですね。

 まずは番組のDJですね。
 シリーズの主役を張る存在。
 ここは、期待の意味も込めて、青海ひな乃・赤堀君江コンビはどうでしょう?
 自分が何をしたいのか、まだ分からないけれど、家族に進められてラジオを聴いて、しゃちほこラジオのDJになった青海さん。そして、同じく家族に受けてみたらと言われて、しゃちほこラジオのDJになった赤堀さん。
 この二人が、成長しながらラジオDJの魅力を知っていく連続ドラマはどうでしょう?

 ディレクターは、髙畑裕希!
 もう、ドラマ「フルハウス」の面々なみに、はたごんがやらかしてくれるに違いない!
 そして、SKE48の中でもスーツが似合う彼女、ここぞという時はビシッと決めてくれるはずです。あるいは、みよまること野村美代とかもありかも知れません。ただ、それならいっそ、カミングフレーバーでメンバーを割り振ればいいのでは、という感じもしてきますね。

 ADは、青木莉華と林美澪の10期生コンビ。
 関西人でしっかり者の青木さんと、まだ小学生なのにインターンで来ている林さんコンビのギャップが炸裂するに違いありません。

 更に天才構成作家によこにゃんこと、北川愛乃を入れましょう。
 100年ぐらい先を行くアイディアを独特のタッチの企画書でプレゼンしていく天才作家。きっと大変なことが起こるはずです。

 こんなメンツで繰り広げる「マジカルラジオ4」、いかがでしょう?
 鬼丸Pと若チンはそのまま出る想定で書いていますが、新しくお笑いの方や俳優さんが出演されても面白いかも知れません。
 今、コロナの影響で収録に人を集めにくい状況でしたら、1の時みたいに電話相談で行くとかね。

 何より、脚本がどうか根本ノンジさんのままで行ってほしいです。

 個人的にはだーすーは、毎回のゲスト出演役が強烈だったので、また今回も1回でインパクトを残してくれる役をやって欲しいです。

 他にもね、浅井裕華・上村亜柚香コンビのDJ案とか、古畑奈和を出世させてDJにという案もどうかな、と思ったんですが、あえてこれからシリーズが長期化することを願って、若手中心にしてみました。
 僕の推しメンの10期生五十嵐早香先生は、癖の強いハガキ職人とかね。
 皆さんは、どんな配役が新しいマジラジにピッタリだと思いますか?
 

※ マジカルラジオの思い出を書いた記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/05/blog-post_55.html

 


2021年1月9日土曜日

珠理奈HOUSE「生電話企画】松井珠理奈にファンが電話したらまさかの結末に…!?」の感想

もう一度、繋がり方の可能性を求めて


 新型コロナウイルスの影響で、僕らの生活は一気に変化を遂げました。
 それはこれまで当たり前に出来ていたことが出来なくなる不便さもありましたし、もう一度、自分たちにとっての当たり前の大切さを思い出させるものでもありました。
 臨床心理学者の関谷裕希さんは、このコロナ時代で我々の中に不安や孤独感、落ち込みや無力感を溜めやすくなっていることを分析しています。そして、対応策としては、マインドフルネスや行動の活性化、身体活動、睡眠、そして、こういう時だからこそ、立ち止まって自分のことを考えるきっかけにして、自分の大事なものについてフォーカスを当ててみてほしいということを語っていました。

 ううむ、自分の大事なものか、と思いましてね。
 この辺りは私的なことを書くnoteに綴るとして、松井珠理奈にとっては何だろう、とふと考えましてね。以前の珠理奈HOUSEの記事で超有名人でありながら、ファンを大事にしていることを書きましたが、今回紹介する動画では、彼女が本当にファンを大事にしていることが見えてくる動画だと思います。
 ※まだ観てない方は、こちらのリンクからチェック!
 


 まず、初見の感想は、珠理奈の横に置いてあるオレンジジュースが、本当に美味しそう。ああ、味のある水が飲みたい。
 さて、こちらの企画、皆さんは参加しましたでしょうか?
 僕はですね、27回ぐらいかけたところで、心が折れて止めてしまいましたよ。
 こちらの動画で驚いたのが、ファンの方のあだ名を覚えていることは勿論ですが、声を聞いただけであだ名を覚えていたことです。
 皆さん、松井珠理奈の握手会の部数を覚えてらっしゃいますでしょうか?
 彼女が昔の曲の振り付けや歌詞をよく覚えていることに驚きますが、握手会というイベントにも全力で向かい合っていたんだなあ、と感じます。
 それから、ラストのスタッフの方の言葉で、裏側でも好感度が高いということが明らかになっていましたね。コンサートのメイキングや固定マイク(懐かしの隠しコマンドのやつですね)の映像を観ていると、本当に誰に対しても優しく礼儀正しかったのではと思います。
 動画の最後で「皆さんと何かする機会、これからどんどん増やしていけたらいいな、と思いますし、このYoutubeのどんどん配信していきたいなと思っていますので、この珠理奈HOUSEを通して、皆さんが繋がってるなと感じて頂けるように、これからも頑張っていきたいと思いますので」と語っています。
 僕はだいたい、珠理奈HOUSEの感想を動画投稿された当日に書いてしまうんですが、たまに1週間ぐらいして、もう一度動画を観た時に、コメント欄は様々な国のコメントで溢れています。そして、誹謗中傷をするようなコメントはありません。オープンですが、ファンの方々が安心してコメントできて、彼女の魅力を楽しめるというのは、これから卒業後も更に大事な場所になる気がします。
 冒頭に書いた「自分が大事にしたいもの」、珠理奈にとってはファンの方々の存在なのではないか、と改めて思いました。
 冷笑的な人は、「いやいや金儲けのためだよ」とか「あんなのキャラ作ってるだけだよ」というかも知れません。誤解を与えるような報道もずっとありました。でも、彼女の姿を追っていればいるほど、「珠理奈HOUSE」というチャンネルで彼女がしていることは、自分の魅力の拡張に加えて、ファンの方々を楽しませたいというサービス精神ありきのものだと僕は思います。じゃないと、イヴに電話企画という面倒だし、不確定要素の強いものはなかなかできないとも思いますしね。
 何を信じればいいか時々分からなかったり、当たり前が揺らいでいる時代だから、真っすぐな彼女の姿にホッとする時があります。2021年も彼女のいる「珠理奈HOUSE」に行くのが楽しみです。

万華鏡①

覗き見る世界の変化


 僕らが覗き見ることが出来る世界は、20世紀から21世紀にかけて、一気に広がりました。この文を書いている僕は、大人になるに連れてネットが生活の中に入ってきた世代です。生まれた時からネットがあるデジタルネイチャーの世代が、これからどんな風に世界を見ていき、作るのかも凄く興味があります。

 さて、大人になっていくに連れて、見るものも変わりますし、徐々に現実を知っていきます。いや、正確に言うと知った気になります。やがて、自分で「夢」に折り合いをつけて行ってしまう。徐々に変わってしまうんですね。このブログの読者の皆さんは、どんな夢を子供の頃に見ていたでしょう?

 SKE48の「制服の芽」公演のユニット曲「万華鏡」を聴いていると、僕は上記のことを思い出します。
 歌詞の世界を見て行くと、まず主人公の少年時代らしきものが提示されます。
 万華鏡を覗いて、夢を見ます。
 この時に注目していただきたいのが、窓の光を通して、万華鏡を見ているところですね。
 窓から光が差すということは、おそらく太陽が出ている昼間ですよね。
 この光を集めて見る夢は原色、つまり様々な色の元になるような希望があります。 

 1番のAメロでは、生きる意味が空白であり、それは想像ではまだ埋められない状況が語られます。大人びた友人は、ネットを見て少し学がある感じのことを言っています。多分、ソクラテス哲学における「自覚」ですかね?
 で、友人はネットを見ている。
 ネットというウインドウを開いて見る世界から、彼は哲学を学んでいます(この曲が作詞された時代はまだスマホ全盛ではなかったので、おそらくパソコンではないかと推測しました)。

 生きる目標がまだ分からない主人公ですが、欲しいものは明確です。
 それは愛です。
 受動的に自分の中に入ってくるものには、万華鏡を覗いた時のような色はない。


 さて、1番のサビでは、再び曲の主人公は万華鏡を覗くんですが、光が入ってくるのは、「蛍光灯」という人工的な光。そして、ひょっとすると夜やカーテンを閉めた部屋のような少年時代とは真逆の世界が描かれています。
 そして、彼の目には眩しく映ってしまいます。


 2番のAメロでは、落ちこぼれることもできず、軽蔑していた父親からお金を与えてもらう、という最低の生き方をしていることが描かれます。大人になりたいけれどまだなれない人生の中の特殊な時間が描かれます。

 そして、Bメロでは自由を欲しがります。
 自分の世界を彩るような素晴らしいものが無いこともここでは描かれています。

 2番のサビでは、冒頭に出てきた自分の少年時代の万華鏡の思い出が再度描かれます。
 大サビ前で、もう一度、愛を欲していることを示します。与えられるのではないとしたら、愛せるような対象かも知れません(お金じゃない愛が欲しいという解釈もできると思いますが)。
 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の「自分のすることを愛せ、子供の時、映写室を愛したように」という台詞に示されるように、少年の頃、虜になった万華鏡のように、愛せる何かをまだ見つけられない状況に置かれているのかも知れません。


 そして、大サビでは、もう曲の主人公が万華鏡を覗かなくなったことを、机の中で埃をかぶっていることが描かれます。万華鏡という様々な夢が広がるものに触れなくなったことで、「あの頃」、つまり少年時代には戻れないし、夢も現実と折り合いをつけてしまったせいか、もう壊れてしまったことが語られます。

 「万華鏡」を題材に、夢の見方が成長と共に変わり、気づけばもう夢を見なくなってしまった悲しさを感じる名曲だと思います。万華鏡を覗いても、何も感じなくなってしまったのかも知れません。

 さて、この曲のメロディについてなんですが、リクアワのオーディオコメンタリーだと、よく、メンバーが「終わりの音が好き」と語ったり、「どこか懐かしさを感じる」と語ったりしていますが、歌詞の中で少年時代を描いているからかも知れませんね。

 振り付けは、サビの全員がバラバラの動きをするのが印象的です。

 平田理香子は、リクエストアワー2011のオーディオコメンタリーの中で、サビの動きについて「全部一人一人同じふりがなくて、最初の振り入れする時って、前の人観ながらできるじゃん。でも全然できないの」と語っています。そういえば、2012年のオーディオコンタリーで、矢神久美が「カウントずれとかもあって難しそう」と語っていましたね。実は難易度の高い曲なのかも知れません。

 秋元康の曲には、社会の空気を歌詞に表現した「サイレントマジョリティ」のような名曲もありますが、僕はこういう短編小説のような曲が好きです。いつの間にか少年時代の夢を失ってしまった青年の悲しさ(勿論、万華鏡がまだ机の中に残っている希望もあります)。

 この辺りの曲の解釈は、是非皆さんの意見も聞いてみたいです。
 だーすーなんかも2011年12月14日のブログでこの曲の解釈を書いていますね。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-11107207039.html
 

 歌詞をしっかりと考えて歌う彼女だからこそ、歌いながらジーンときてしまうのも納得ですね。ちなみに、翌年のリクアワで「万華鏡」に緊張している菅なな子にだーすーは、優しい言葉で励ましていますね(2012年10月12日のアメブロを参照)。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-11377514517.html

 この万華鏡の公演でのパフォーマンスというと、皆さんは誰を思い浮かべるでしょうか?
 SKE48でも様々なメンバーがパーフォーマンスをしていますが、個人的には菅なな子バージョンや大矢真那バージョンが好きです。

 実は、大矢真那さんがブログの中で「万華鏡」を書いたことがあります。
 2017年6月28日のブログです。
 これは曲についてではありません。
 自分の心象風景を「万華鏡」で喩えています。

 少し読んでみましょう。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12287588668.html

 このブログを読んで目から鱗だったのが、万華鏡は、構成するパーツは常に同じだということです。見方を少しかえるだけで模様も変わる。少しの揺れで崩れてしまう繊細のものであるということ。これを念頭に置くと、先ほどの曲の解釈も更に奥行きが生まれます。夢は見る角度(視点の向き)によって変わってくるし、壊れやすいものであることが伝わってきます。

 もっと言うならば、SKE48の公演というのも同じメンバーで同じ楽曲をやっているように見えて、実は毎回違うものが表現されていることに気づかされます。

 自分の夢と、栄の劇場でメンバーたちが作るもう一つの夢、どちらも窓の光から覗いていたいと思います。