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2021年4月29日木曜日

2021年4月29日 松井珠理奈卒業公演の感想

タイムマシンなんていらない

 


 2021年4月29日、17時50分。
 公演
が始まってもうすぐ1時間経とうとするのに、まだ登場しない主役に僕は不安を覚えていました。
 事前に「ラブクレッシェンド」のメンバーで公演をすると発表があり、普段とは違う楽曲で公演を行うのでは、と思い、DMMで17時から公演を観始めました。
 しかし、全体曲のブロックでは珠理奈の姿はなく、そのまま参加メンバーたちのソロブロックが始まりました。
 松井珠理奈卒業コンサート昼公演の延長のような、若手メンバーたちの新しい魅力を発見させてくれる選曲で、特に「赤いピンヒールとプロフェッサー」と野村美代の組み合わせは斬新で、また新しい彼女の魅力にふれたような気がします。
 公演が始まって9曲目。
 松井珠理奈は登場します。
 歌うのは前田敦子のソロ曲、「タイムマシンなんていらない」。
 歌いながら珠理奈は「私にはタイムマシンなんていりません。今が一番です」と呼びかけます。
 過去よりも未来よりも今。
 それは、現在のSKE48を引っ張っていくメンバーのことをさしているようにも聞こえますし、この公演をやり遂げるという意味にも聞こえました。 
 この公演の直前に珠理奈は高熱になって、イベントを2日間連続で欠席していました。
 そして、公演直前に福士奈央がTwitterにアップした画像には、劇場の椅子で寝ている珠理奈の姿もありました。
 もしかすると、珠理奈はもう満身創痍の状態ではないか。
 ベストコンディションではないが、それでも大事な「今」を成立させる為に、ステージに立ったのではないか。
 僕の不安をよそに、明るいメロディで曲は進みます。
 思えば、珠理奈がこの歌を唄うのは、2014年のAKB48の全国ツアー高知公演以来ではないでしょうか。
 なんだか、歌詞の意味が今日は特別に聞こえてきます。
 多分、珠理奈が卒業した後に、珠理奈の影を追ってしまう、自家製タイムマシン状態になるのではと僕は自分で自分のことを予想しているんですが、先回りして答えを出された感じです(ちなみにこの曲の2番のサビでは、未来が楽しみなことも書かれていましたね)。


 
 歌い終えてMCでユニット曲のコンセプトを語った後、珠理奈は再び後輩たちにステージを預けます。
 そして、そのまま本編は終了、アンコールへと進みます。
 アンコール明けに「Memories~いつの日か会えるまで~」が披露され、「僕は知っている」、そして、メッセージ映像と手紙、そして珠理奈のメッセージを挟んで「オレンジのバス」で本編は終わります。
 「思い出以上」も「Who are you?」でも「赤いピンヒールとプロフェッサー」でもなく、「オレンジのバス」でアイドル人生を終えた珠理奈。
 おそらく先ほど挙げた体力的な配慮もあったかもしれませんが、自分のためではなく、最後にSKE48の後輩たちに向けたメッセージソングで終わるというのが、SKE48のことを考えて行動しつづけた優しい珠理奈らしい選択だと思います。
 
 彼女は、バスから降りていきます。
 走って行くバスの背中は、今、彼女の目にはどんな風に映っているんでしょう。
 公演の中でSKE48の曲の作詞について少し話していましたが、いつか、松井珠理奈作詞の曲がシングルのタイトル曲になる日が来て欲しいなと思っています。勿論、秋元康の歌詞と比べると、まだ遊びやワードセンスで負けている部分もあるかも知れません、しかし、彼女ならではの真っすぐなメッセージの良さもあります。

 アイドルとしての珠理奈が「過去」になっても、作詞家としての珠理奈が「今」をまた作っていける。昔の名前じゃなくて、現役選手としてSKE48と関わる日が来たら面白いな、と僕は思っています。
 
 だから、タイムマシンなんていらない。
 いま、この瞬間の幸せを珠理奈もSKE48も、そして、応援している僕らも作っていきましょう。

君が見てくれていた

 いつか抱き合って涙流して喜びたい

 先日、アカデミー賞歌曲賞、助演男優賞にノミネートされた「あの夜、マイアミで」を観ました。
 1964年2月、カシアス・クレイがモハメド・アリに名前を改名する前夜、友人である活動家のマルコムX、NFL選手のジム・ブラウン、歌手のサム・クックがあるモーテルに集まったそうです。この実話を元に才能がまったく違う4人が、他の才能に刺激を受け、時には自分に足りないものを指摘され口論になりながらも、自分たちの未来について語り合う映画は、残念ながら受賞は逃したものの、衣装デザイン賞を受賞した「マ・レイニーのブラックボトム」と世界観が、ある登場人物が歌う曲で見事に繋がりますし、4人誰もが時代を動かす主役であり、それぞれの活躍を見守る仲間でもありました。そして、だからこそ、結末がとても切ないんですがね。

 この映画に限らずですが、自分の周りにいてくれる人によって、自分の個性や才能が磨かれていくということはないでしょうか?
 ここでいう「周りにいてくれる人」というのは、別に生きている人である必要はありません。本の中にはもう死んでしまっていますが、昨日のことのように熱く語ってくれる先人たちがいます。直接ではなく、間接的に自分のことを高めてくれたり、指摘してくれたりします。

 それはSKE48の中でも同じです。
 アイドルという一般人と比べると密度の濃い1年を毎年送り、同じステージに立つ仲間でありライバルが居て、順位や選抜や売り上げで時には比べられ、自分には無いものも感じ、それでも周りの才能たちに刺激されながら成長していきます。

 なんでこんなことを感じたかというと、鎌田菜月さんのある生誕祭の手紙を読んだからです。まずは、読んでみましょう。

「菅原茉椰さん、お誕生日おめでとうございます。

 とてつもないインパクトのオンザ眉毛で宮城からやってきたチームEの末っ子が20歳、ハタチ。

 昔の『あどけない可愛い』から成人式での姿はもう綺麗なお姉さんでした。本当に本当におめでとう。とっても嬉しいです。

 まーやんのSKE48人生は凄く波乱というか濃いなって、勝手に感慨深くなりながらお手紙を書いています。

 ラブ・クレッシェンドへの抜擢を始め、キラキラとした道かと思えば、SKE選抜への険しい道もあって、そこから続く19歳の1年もなかなかに波乱だったんじゃないでしょうか。

 前に菅原は自分で自分に『菅原は推されなんです』と言い切ってましたね。

 菅原の素直にそう言い切るところが新鮮で。でもただ言うだけじゃなくて、その自覚を持って、お仕事に向かう姿勢をずっと尊敬しています。

 やりたいことははっきり『やりたい』と言えて、悔しいことははっきり『悔しい』って言える。スタッフさんにも面と向かって自分に足りないものは何かとかズバッと聞ける。全部やるにはとても勇気がいることです。

 一緒にご飯を食べに行けばコロコロ変わる表情が楽しいし、ふざける時には全力で街中でも踊ってくれるところが愛しい。

 菅原のお仕事、そしてひとに 対する向き合い方はあなたにしかできないことがたくさんあります。そんな人柄に惹かれて、周りにたくさんの人が集まるんだよ。
 

 そうやって菅原に集まった人達は、私たちは菅原が大好きで、菅原の味方です。何か力になりたいし、菅原にいっぱい笑って欲しいし、笑顔にさせたい人達です。

 このお仕事をしていると色んな人に色んな言葉をかけてもらうことがあると思います。

 きっと発した本人には何の悪気もない無自覚な一言に傷つくこともあると思う。

 その人にとっては何気ない言葉が、どうしようもないくらいに心をあけることもあると思います。

 それを『お仕事だから仕方ない』心に蓋をしてそう割り切ることが正しいと思っていたけれど、違うかもしれないと菅原のおかげで考えるきっけになりました。

 痛いなものは痛い。つらいものはつらい。それでいいんじゃないかな。

 菅原の人を信じられる素直さ、優しさはそのままでいいんじゃないかな。

 家族や周りの人に接するみたいに自分のことも大切にしてあげてください。甘やかしてあげてください。私もい~っぱい甘やかしたいと思います。

 はるばる宮城から名古屋に来てくれてありがとう。

 今年こそ宮城の観光地を案内してもらいたいな。

 またお風呂屋さんやお買い物やご飯も行きましょう。

 お酒も飲みに行かなきゃね。

 一緒にお仕事ももっともっとしよう。

 皆で制服を着てのお出かけも頑張ります。

 本当に本当にお誕生日おめでとう。

 20歳のお手紙を書かせてもらえて嬉しかったです。

 SKEチームE 鎌田菜月より」

 これは2020年1月21日の菅原茉椰の生誕祭の時に読まれた鎌田菜月の手紙です。
 手紙に書かれた一つ一つの思い出から、読んでいるだけで、まーやんのあの眼を細めた愛くるしい笑顔が、僕は浮かんできました。
 でも、それだけではありません。
 きっと近くにいたからこそ、菅原の才能をファンの方々と同じように触れ、きっと舞台裏の機微についても感じたのかも知れません。
 想像力のリーチの長さ、と彼女の素直さを自分の辛いことにも我慢せずに出しても大丈夫だという鎌田さんの優しさが溢れた文章です。
 これは普段からメンバーのことを観ている彼女だからこその手紙だと思います。
 そして、菅原という存在は、実はSKE48というグループの未来を占う上では非常に重要だと僕は考えています。
 一度休養したメンバーが成功していく、というのは、今、休養を考えているメンバーや休んでいるメンバーの安心にも繋がりますし、帰ってきてくれたということが、ファンの安心にも繋がるということを今回の手紙で再認識しました。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12568812718.html?frm=theme

 次は、2019年7月23日に書かれた手紙を読みましょう。

「はたごんへ

 お誕生日おめでとうございます。

 多分まさかの人からのお手紙です。

 私なりの、もしかしたら独りよがりになってしまうかもしれない言葉ですが受け取ってもらえたら幸いです。

 はたごんは同期の中ではお姉ちゃんみたいな、先輩といる時は仲良い人にもしっかり気は使う人。んー、後輩といる時はよく知らないです。

 ぽんこつと言われることもあるけれど、実はとてもしっかり者なんだなーと思っています。

 その気遣いが根本にある優しさに皆が笑顔になっちゃって、思わずやらかしても許してしまうんです。

 実はそれを『おいしい』と思っていたりもしませんか?それがまた面白かったりもします。

 実はアンダーに出たのも早いし、ライブのリハーサルがあると事前に誰よりも早く練習を始めたり、SHOWROOM配信を長いこと毎週継続していたり、どんなことにも正面からしっかりと向かっていく姿は皆がやらなきゃと思っていてもやれないことで、はたごんの本当に凄いところです。

 今はたごんの目の前には選抜という1つの壁があるんじゃないかな。

 一緒にご飯に行ったりすると、その話題が出ることもだいぶ前から何度かありました。そのたびに真っ正面すぎるぐらい本気でまっすぐ。ふと思い出してみるとはたごんと真面目なお話をしていて、あまり後ろ向きな発言を聞いたことがないんです。

 そこに溜め込んでないかな。まだ話してもらえる関係ではないのかな。なんてちょっと心配になったりするけれど、それがはたごんの持つ強さなのかなと思っていたりします。

 アイドルとして誕生日を重ねることはちょっと不安になったりします。でもどうかブレないでください。目標がどこかとかでなく、これからもはたごんであることを楽しんで楽しんで貫いていってください。これは私からの勝手なお願いです。

 今年はたごんにとっては選抜へのチャンスになったであろう選抜総選挙は開催されませんでした。それを残念だと、そう言える道をファンの方と歩き固めてきたこと、お祭りみたいなイベントではあるけれど、誰もが多少なり怖がってしまうそのイベントを待ち望めていたということ、頑張ってきたことに無駄なことはなかったと言える、それもまた1つの結果です。

 その頑張りはファンの人はもちろん、スタッフさん、メンバーまでしっかり響いているよ。

 だからずーっといい子でなくてもいいんじゃないかなとも思うの。もうちょっと周りの人に甘えてもいいんだよと。

 それを嫌と思う人はきっといなくて、それくらいはたごんは愛されてる人です。

 はたごんにとって愛あふれる幸せな1年いなることを願っています。

 地元香川の美味しいうどん屋さんにまたお仕事のついでに連れてって行ってもらえることもつよーくつよーく願っております。

 最後に。お手紙を書かせてくださった生誕委員の皆様、私でいいのかと驚いたりもしたんのですが、書かせてもらえてとっても嬉しかったです。素敵な機会をありがとうございました。

 はたごん、改めてお誕生日おめでとう。

 チームE 鎌田菜月」

 まず、鎌田さんのはたごんの「ぽんこつ」に対する視線の鋭さが流石ですね。
 それだけでなく、努力家であることもきちんと観ている。
 この辺りは同じメンバーでないと分からないことですよね。
 総選挙と選抜との関係も当事者の立場でありながら、冷静に分析できているのも流石です。
 更に選抜への壁は、かつて自分が突破した壁だからこそ、分かるものがあるのではと思います。彼女自身もそう簡単に手に入れた場所ではないからこそ、苦しさが分かる。
 はたごんは、この約半年後に選抜になります。

 上記の簡単には越えられない選抜への壁。
 それを感じる手紙があります。
 次は2018年1月13日の手紙です。

「谷真理佳さんへ

 お誕生日おめでとう。

 この1年で私たちの周りではたくさんのことがありました。

 こうして今周りを見てみるだけでも去年とだいぶ顔ぶれが変わったと思います。仲良しのメンバーやずっと支え合ってきたメンバーが続けて新しい道へ進んでいく姿に寂しさや不安、色々なことを考えさせられました。

 谷さんにとってはきっと名古屋での家族みたいな人たちばかりで、そのたびに涙が枯れないと言いながら泣く姿に胸が痛くなりました。

 卒業公演などでは泣くからと、最初からアイメイクはしないという荒業にはビックリさせられました。

 その空いた穴をその人たちの変わりにと埋めることは私たちにはできません。それくらいその人たちは特別だし、きっと大切な存在だったと思うんです。

 だけれど、忘れないでほしいです。谷さんが思っている以上に周りの人は谷さんのことが大好きです。

 今年の誕生日に『こんなに連絡をくれるなんて思わなかった』、そんなことを言っていたけれど、そうなんです。それは谷さんの面白いところはもちろん、無自覚かもしれないけど、谷さんの何気ない優しさに集まった人たちです。もっともっと自分を好きでいてあげてください。そして、周りの人を頼ってみてください。私含め、嫌な顔する人は誰もいないよ。

 『意外にマンゴー』のMV撮影があるとなんとなく聞いた夜に電話をかけてきてくれたこと、その数日後にガシガシとマンゴーを一緒に食べたこと、懐かしいです。あの時、誰かに電話する勇気が私にはありませんでした。電話越しに隠しちゃったけれど、私も泣いていたんだよ。あの電話があったから気持ちを整理して折れずに、進むためにと前を向けました。

 今回の選抜のことも凄い早さで連絡をくれてビックリしました、いつも私が怖気づいて動けない時に谷さんはそっと連絡をくれたり、動いてくれます。本当にありがとう。

 ずっと最初の癖が抜けなくてさん呼びだったんですが、これを機に『まりかちゃん』とか『にーたー』とか「まりか」って、どれかしらで良かったら呼ばせてください。(中略)

 そして、SKEで期ごとに集まる時はドカーンと6期のところに是非来てください。みんなで待ってます。

 これからも自分らしく、自分だけの、谷さんだからこその道を是非開拓していってください。道を作っていくのは本当に大変なことだし、ときどき疲れちゃう時もあるかもしれません。そんな時はまたブラっとご飯でも行きましょうね。いつでもどこでも鎌田はとんできます」

 それまで選抜に入っていた谷が選抜から落ち、選抜への階段を登っていた鎌田さんも手が届かなかった。
 過程こそ違えど、選抜には届かなかった二人。
 そんな二人の知られざる物語があったとは。
 そして、「穴」を消して埋めることは出来なくても、自分たちのやり方で盛り上げていく。
 2021年4月末現在、谷は選抜に戻ることは出来ていません。しかし、事務所所属、ソロDVD発売、知多メディアスや「お宝ちゃん」といったレギュラー番組、FM AICHI「今夜も大騒ぎ!!」もあります。2018年頃から谷のラジオ出演に外れなしみたいな感じですが、それが更にレギュラーに繋がっているのは流石です。
 選抜という目標も大事ですが、この人の場合、独自の道で選抜メンバーを凌駕するような活躍をしていくのでは、と最近思っています。
 鎌田さんの手紙の中では一番好きな手紙がこれです。

 

 ここまでは鎌田さんが仲間たちに宛てた手紙を紹介しましたが、今度は鎌田さん宛ての2019年9月6日の手紙を読んでみましょう。

「なっきぃへ

 今回手紙を任せてもらえるって聞いた時は『ついに来たか!』と喜びました。それぐらいあなたに手紙を書けることが心から嬉しいです。


 なっきぃとは素直に何も考えずに気を使わずに話せて、仕事の合間や休日にわざわざ会って、美味しい物ものを食べたり、そしてまさか温泉に行って裸の付き合いをするような関係になれたことにビックリしています。

 そして、こんなにどうしてこうやって仲良くなったんだろう。最初に出会った時、私がご飯誘っても毎回のごとく断られた思い出が懐かしいです。誰かわかったかな?
 

 なっきぃと一緒にいると楽しくて、顔を見ると安心するし、落ち着きます。いつもありがとう。

 なっきぃはこの1年もの凄く頑張った1年だと思います。

 私から見て、いつもなっきぃは落ち着いているように見えて、実は誰よりも一番熱い。そして知的で真面目でしっかりしてるって思えばドが付くほどの天然です。何もないところで派手にコケて怪我するし、方向音痴だし、おまけに雨女だし、見ててヒヤヒヤします。だけどそこが愛らしいです。きっとファンの皆様も同じ気持ちだと思います。

 ただ、弱音を吐かないのがとても心配になります。特に6期生はSKE48を引っ張立ち位置として毎日特別なプレッシャーを感じてると思います。

 その中でも選抜としてその位置にいること、この位置を守ること、とても大変だと思います。

 何かに選ばれた人は何かを残さなくちゃいけない。なっきぃもよくわかっていることだと思います。

 きっと迷うことも、悩むこともあると思いますが、その中でも選抜としてアイドルとして一人の人間、鎌田菜月として輝いている姿を見れてとても誇らしいし、本当にかっこいいです。

 これからも鎌田が鎌田らしく、ファンの皆さんに笑顔を届けてね。

 一応ほんの少しだけ先輩で、ほぼ同期なそんざいですが、いつでも相談してね。

 改めて23歳のお誕生日おめでとう。

 23歳いっぱい笑いましょうって

 谷真理佳より」

 
 「何かに選ばれた人は何かを残さなくちゃいけない」。

 もう、2年前の言葉ですが、彼女は自分の言葉通りに内外で「何か」を残していきます。

 外仕事では将棋での藤井聡太王位・棋聖との対談や競馬仕事や漫画関係の仕事、普段、SKE48に触れない方々への「入り口」になっています。

 そして、内の仕事では、やっぱりセンターですよね。

(鎌ºωº田)<はじめての〇〇。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 9年目の公演全体曲センター。
 でも、「出遅れ組」の彼女がセンターに立つというドラマは、今、伸び悩んでいる後輩たちにアドバイスする言葉にも説得力が宿ると思います。


 更に、誰もが脇役ではなく物語の主役になりうるのだ、その自覚があるものだけが、自分のいる世界を豊かにできるのだという映画「TENET」の終盤を思い出すようなドラマが素敵です。
 別に鎌田さんだけではありません。
 まーやんも、はたごんも、谷も、それぞれの進む道で主役として活躍しています。4人とも「若手」というよりは「中堅」のポジションです、なんなら「ベテラン」に入れた方が良いメンバーもいるかも知れません。
 でも、今日も物語は続きます。
 シングル選抜について考えることが僕は多いんですが、「チーム」という仲間の大切さを痛いぐらい今回の4通の手紙から感じました。
 嬉しいことだけでなく、辛いことや苦しいことも分け合い進んでいく。生まれた場所も歩んできた道も違うけれど、SKEのチームEで出会った。
 この才能が違う4人が、いつか選抜に集結するドラマも見てみたいですが、「チームE」の組み合わせの奇跡を感じながら、今回は終えたいと思います。

 

2021年4月25日日曜日

2021年5月からのSKE48について

12年と50年


 

 先日、NHK制作の「証言ドキュメント 日本サッカーの50年」という全4回のドキュメンタリーを観ました。2010年制作の番組だったんですが、サッカーの知識がほとんどない僕には非常に勉強になる内容でしてね。
 最初は「ボールを蹴って走るサッカー」だった日本が、技術を習得していき、Jリーグというプロリーグが生まれることでレベルがどんどん上がっていき、監督が変わりながら日本人にあった戦術を探りながらワールドカップに進んでいく過程が、本当に面白くてですね。
 合わせて観た、同じくNHK制作の「ロストフの14秒」という2018年のロシアワールドカップをテーマにしたドキュメンタリーでオシム元日本人監督が指摘している日本人の特性と、トルシエ元日本代表監督が「日本のサッカー50年」で言っていたことが全く同じというのも、面白い発見でした。
 話を「日本サッカーの50年」に話を戻すと、印象的な証言が3つありました。
 1つ目は、元日本代表GKの川口能活選手が、1996年7月22日のアトランタオリンピックでのブラジル代表との対戦での勝利について語った言葉です。
 「当時、ブラジルのA代表で活躍してる選手たちが、Jリーグでプレーしてたわけです。そこで、ブラジルのオリンピック代表。でも、日本のJリーグに来てるブラジルのA代表と比べたら、下だよなって思いでしたよね。まあ、勿論ブラジルのオリンピック代表は強いチームでしたけど。アトランタオリンピックの時のブラジル戦は臆することがなかったです」
 当時のJリーグはお金があったんですね…(遠い目)。
 当時のブラジル代表にはロナウドとかもいたんですが、普段からA代表クラスの選手たちにもまれていたことで、自信を持って挑むことが出来たんでしょうね。
 2つ目は、元日本代表FWの中山雅史が、1998年の岡田ジャパンで2年5か月ぶりに日本代表に合流した時の言葉です。この時、彼はベテラン・中堅・若手でいうと、ベテランにあたる世代でした。
「僕にとっては凄くやりやすい環境というか。あの非常に、あの良い状態だったと思いますね。チーム状態は、なんとか俺もついて行きたい。どっちかというと、俺について来いじゃない。じゃあ、そいつらと共に戦っていこうと。融合したいな、とそっから俺もパワーをもらいたいな、なんか盗めるものがあったら盗みたいなと思っていましたね」
 1998年当時、城彰二選手や中田英寿選手、川口能活選手という新世代が台頭し、ベテラン世代である中山選手たちとは違ったサッカーやコミュニケーションをしながら、ベテラン世代たちと良い関係を作っていたんですね。
 3つ目は、元日本代表MFの中田英寿選手が2002年のトルシエジャパンから2006年のジーコジャパンを振り返って語った言葉です。
 「2002年までに積み上げた、制約を受け時に自分たちが築きあげたものが土台にあって。初めて2006年ジーコの言う、個人個人のクリエイティブが出せるという、まあ、階段としてはなっていると思うんですけども。やっぱ最終的に気づいていったのは、階段をこう、経て行っていると思ったら、今度はだから2002年まで積み上げたものが、外されてそこに新しく2006年の時のクリエイティビティを出さなきゃいけないと思ってるチームだった。そういう感じになってしまっていた。本当はサッカー選手として、チームとして、築き上げるというものがあるべきだけど、まあ、変えてしまったという形だったのかな、と僕は思っています。ただ、僕はステップとしては、あそこが正解だとは思ってます。ただ、その、あのチーム。2006年のチームに関して言うと、それは正解ではなく。ちょっと早すぎたかなと」
 発言の背景を補足しておくと、2002年のワールドカップの際のトルシエジャパンは非常に制約が多いチームだったんですね。プライベートの食事に至るまで。それに対してジーコジャパンはフィールドの選手の自主性にまかせたチームで、スター揃いの代表たちが暴れ回るのにぴったりですが、証言を集めて行くとDF陣と攻撃陣の意志が試合中に真逆だったこともあった」そうです。
 
 さて、この2つの証言はこれからのSKE48を考えていく上でも非常に重要ではないかな、と思いましてね。
 2021年の時点で日本のサッカーの歴史は60年を超えています。
 SKE48の歴史は、12年。
 成立して成長していくまでの歴史は違えど、勉強になる部分やあてはまる部分があるような気がします。
 SKE48の場合、誕生した際には既にAKB48があり、W松井を始めとしたスタープレイヤーたちが、メディア仕事やAKB48の超選抜の中で活躍して、その刺激を劇場に持って帰ってくる。
 また、劇場でSKE48は独自の成長をしていき、他の48グループやアイドルたちと交わった時に、刺激を受けて行きました。
 2021年4月末現在の状況を考えると、AKB48で各グループのメンバーが揃って刺激を受けることや、総選挙などで世代やグループを越えたユニットが生まれることは少なくなりました。
 SKE48のシングル選抜で歌番組に出る機会も減っています。
 知名度がある松井珠理奈や高柳明音も卒業してしまいます。
 一見すると、日本のサッカーの流れと逆の道を行っているように感じます。
 しかし、本当にそうでしょうか?
 まだ12年を経過しただけの全体ですし、細かく見て行くと様々な可能性が秘められている気がします。
 まず、一つ目の言葉として挙げた川口選手にとってのブラジルA代表のようなメンバーがSKE48にはいます。
 須田亜香里は、連日テレビバラエティに出続け、SKE48の入り口になっています。そんな彼女から後輩達、特にチームEの後輩たちは刺激を受けているのではないでしょうか?
 また、大場美奈、山内鈴蘭といった個人でのメディア仕事が安定してあり、AKB48の全盛期を9期生として経験したメンバーたちが居ます。
 さらに、AKB48との兼任経験があり、スタープレイヤーたちと共演してきた古畑奈和もいます。
 外仕事の経験で言えば、谷真理佳というトリックスターもいます。
 つまり、外仕事や他グループでの経験も豊富なA代表クラスのプレイヤーたちが各チームにまだまだいるわけです。
 このメンバーたちと今の9~10期生の若手たちが一緒に仕事をしたり公演をする機会が増えていけば、SKE48の次の黄金時代はやってきやすくなるのではないか、と思います。


 次に中山選手が証言した「ついて来い」ではなく「共に戦いたい」と思わせるような新世代の台頭についてです。
 すぐに頭に思い浮かんだのは、7D2が台頭してきた時でした。
 まだまだ未完成のところもありましたが、小畑優奈がソロコンサートで全グループの曲を歌い、センターになっていくところは痛快でもありましたし、この子だったら新しいSKE48の形を見せてくれるのではという期待がありました。他にも「前のめり」や「シュートサイン」を飛び級で選抜入りした後藤楽々、ドラフトでの競合を乗り越え獲得した水野愛理、歌唱力抜群の野島樺乃、ゆりあとのドラマがある浅井裕華、自由な発想力を持った白井琴望を始めとした様々な可能性を秘めたメンバーたちが居ました。
 今、彼女たちは中堅のポジションになっていますが、今、在籍しているメンバーにも7D2勢も魅力的です。
 現在の新世代の9期生や10期生たちにも魅力的なメンバーが居ます。
 彼女たちが僕らに新しい可能性を見せてくれるのか。それとも、いつかやってくる11期生の中にそのメンバーはいるんでしょうか。
 いずれにせよ、彼女たちの魅力を拡大していくための機会は必要だと思います。
 荒井優希も未来の世代への可能性を感じていましたね。
荒井優希 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 最後に、中田英寿選手が語った、積み上げてきたスタイルを変えることについてです。
 SKE48の全力でダンスや仕事に取り組んでいくという、基本的なスタイルはこれからも変えて欲しくないな、と個人的に思っています。もっというと、AKB48という先輩たちの背中に追いつき追い越すために、AKB48とは違うアプローチで挑んだことで個性が生まれたように、環境で生き残る為に必要なアプローチから新しい個性が生まれてきて欲しいなと思います。
 卒業していく珠理奈やちゅりからのバトンを受け継いだ先に何が生まれるのか、まだ誰にも分かりません。
 しかし、偉大な先輩たちが居なくなる「不安」の先に希望を見つけているメンバーもいます。
 SKE48!く( ̄(工) ̄)っま | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 「恋落ちフラグ」や「Change Your World」での熊ちゃんのポジションや活躍をみていると、「不安」の先の「楽しい」が見え始めているのかも知れません。奇しくも同じ6期生の井田さんも「不安」の先に「楽しい」を見据えていましたね。
《井田玲音名》 今後のSKE48 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 また、その「不安」を乗り越えるために何をしていくべきか、筋道が見え始めているメンバーもいます。
今後のSKE。 川嶋美晴❁︎ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 先輩たちを超えるストイックな努力。 
 SKEが好きだからこそ、その言葉の重さが分かる発言ですね。
 さて、話を戻すと、上記の3つの証言をヒントにSKE48の直近の未来について考えると、どんどんトッププレイヤーたちと仕事をしながら、新世代の台頭を促し、これまで築き上げてきたものを上手く残して次のステップに行く、というめちゃくちゃ当たり前のことになりました。
 しかし、今のSKE48のチーム単位で考えると、上記の3つ全てを満たせているかというと、少しだけ疑問があります。特に珠理奈ちゅりというメンバーたちが居なくなることを考えれば、チームの組閣や研究生の昇格といった刺激が必要な気もしています。特にチームSとチームK2は、チームカラーを作ってきたメンバーの卒業ですので、考え方を変えると新しい色を加えるチャンスかも知れません。凄い妄想で申し訳ないんですが、須田チームSとかスゴイ観たいんですけどね。
 組閣まで行かなくても公演曲を変えるだけで、メンバーたちが吸収するものが変わるので、ゴールデンウィークのシャッフル公演がその兆しではないかと予想しています。
 変わるタイミングは今だ、とみなるんも予想していますね。
〈 大場 美奈 〉 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 次の選抜がどんなもので、これからそれぞれの世代がどんなSKE48を作っていくのか。
 ひょっとすると、始めは沈んだ状態から始まるかも知れません。
 それでも、1期生が大量卒業した時も、松井玲奈が卒業した時も、宮澤佐江や大矢真那や柴田阿弥、そして、小畑優奈が卒業した時もSKE48は終わりませんでした。
 だから、もう一度、新しいSKE48を作っていけると信じています。
 先輩たちから受け取ったバトンを落とさずに、新しい走り方で。
 最後に僕がこの記事を書くきっかけになったブログを貼って終わります。
ついに明日から(ma¯﹀¯ya) | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 「大丈夫な未来」、まだまだ思い浮かびます。
 皆さんはどうでしょう?

 

2021年4月19日月曜日

二人の距離感

もし寂しくなったら何もない大地に話しかけて 


 先日、東京大学大学院情報理工学系研究科の稲見昌彦教授が「最近植物学者の方と研究しているんですが、植物は単体ではなく群として考えた方がいい時もあり、植物交信から学ぶことが多い」と宇野常寛さんと平田オリィさんとの対談で語っていました(平田さんは分身型ロボットOriHimeの開発者ですね)。
 反射的な早さのある動物的な交信と違い、植物的な交信は、遅いけれど長い目線で考えると着実に種を残していきます。このスタンスは情報の捉え方・発信の仕方として非常に勉強になるところがあります。
 

 なんで冒頭からこんな話をしたかというと、昨日の夜ぐらいからネットニュースで「松井珠理奈・松井玲奈 不仲?」という記事が溢れていて、Yahoo!と連動した記事には、まあ、珠理奈の悪口が溢れています。
 さらに、肝心のネット記事は、珠理奈卒業公演に玲奈が来なくてビデオメッセージだったこと、そのメッセージが厳しい内容だったこと。更に、昨日のSKE48公式youtubeチャンネルの珠理奈のオンラインサイン会のコメントの中の「3回楽屋挨拶に行ったけど、3回断られたこと」が書かれていました。




 まだ、記者の名前入りで書いている大手メディアはマシですが(それでも自分の考えは一切書かずに書き起こしだけの記事もありましたが)、名前も書かずにひたすら広告をベタ貼りしてアクセス数やアドセンスを稼いでいるサイトや、それを拡散したり心無い言葉を書いたりしている人々を見ると、疑問を感じてしまいます。
 なんで、こんなに反射的に決めつけられるんだろう?
 確かに珠理奈は「もう会いたくないのかなぁ」と動画の中で言っていましたが、「かなぁ」であって「会いたくない」ではないんですよね。
 じゃあ、何故、会わないのか?
 僕は玲奈ひょん本人ではないので、本心は分かりません。
 でも、これまでの彼女の行動や珠理奈との関係から、推測はできるかも知れません。

 まず、玲奈のビデオメッセージに関してですが、「これからもそっと見守りたいと思います。周りで声を掛けてくれる人を大切にして、卒業してもすてきな笑顔でいてください」というメッセージの部分に注目してみましょう。
 「これからもそっと見守りたいと思います」の部分は、松井玲奈卒業コンサートでの珠理奈が玲奈に送った「玲奈ちゃんには安心して卒業してほしいし、これからもSKEを守るから玲奈ちゃんも見守ってください。これは私からの約束です」という言葉と丁度、対の関係になっているかと思います。
 更に「周りで声を掛けてくれる人を大切にして」からの部分は、一緒に配信に出ていた山内鈴蘭の「親目線じゃない?」という指摘と全く同意見で、甘えん坊の珠理奈のお姉さんとしての玲奈の言葉だと僕は考えています。
 「AKB48Show」の「高橋みなみの説教部屋」のコーナーに呼ばれた松井玲奈は、「私もやっぱ今でも姉妹って感覚。関係性を聞かれたら姉妹って言うのが自分はしっくり来ると思ってて」と、まず二人の関係性を語ります。 
 そして、たかみなが「すっごく語ってたよね?すっごい真剣なの。でも、玲奈が珠理奈には結構強めに言うのが面白くて、それ違うよ!みたいな。えーって。それに対して珠理奈が、そっかなぁみたいな。それ違うそれ違うみたいな。結構強めよね、珠理奈にはね」とロケバスで見た二人の姿を語ります。
 そこから玲奈は「あんまり珠理奈には言葉を選ばないです」、「甘やかさないです」と珠理奈へのスタンスを語ります。
 何故甘やかさないんでしょう。
 たかみなに問われると松井玲奈はこう答えます。

 「それは理由がちゃんとあって。彼女が11歳の頃からやってて周りの人達が凄く珠理奈に優しくしてたから」、「ずっとそれできてるところもあった中で、あ、このままだと良くないなって思った時があって。彼女が多分14か15の頃に。まぁ反抗的になる時ですよね。だからその時に、あぁこのままじゃいけないなと思って」、「お母さんみたいですよね。強く、ダメなことはダメ、違うことは違うと」


 珠理奈のことを思っているからこそ、厳しい接し方をする。
 その場その場のコミュニケーションの為に甘やかしてしまうと珠理奈の為にならない、将来まで見据えた長い視点で厳しい態度をとる。
 そう、植物的交信の視点です。
 そういえば、彼女の卒業曲は植物がテーマでしたね。
 秋元康作詞なのに、玲奈から珠理奈へのメッセージにも僕には最近聴こえています。
 


 
 段々と楽屋挨拶に行こうとしても会わなかった理由が、皆さんにも推測できてきたのではないでしょうか?
 僕の考えとしては、「親離れ」いや「姉離れ」でしょうか?
 珠理奈の視点ではなく、玲奈の視点から考えてみることで、ひょっとすると、わざと今は会わないようにしているのでは、と思います。まだ、甘えていい時じゃない。これからソロで頑張るときだからと。
 でも、いつか、珠理奈が松井玲奈が安心して抱きしめられる日が来た時に、必ず会ってくれると僕は信じています。
 それまでは真那の言葉を借りるなら絶妙な距離感で居てほしいです。
 
 そして、いつか、こんな二人が見られますように(二人の表情が良いですね)。

 僕も植物的な交信で遅くても長くても、見守っていきたいと思います。

2021年4月14日水曜日

Glory days

 落日であり夜明けでもある


 なんでリブートしてしまったんだろう、という映画が時々あります。
 たとえば、市川崑監督の「犬神家の一族」は1976年に公開され大ヒット、2006年にリメイクされます。全く同じストーリーを同じ主演で、できる限りカットも類似させたものを市川崑監督は作りますが、独自に付け足したラストシーン以外は、76年版を知っている人間からしたら、違和感の残るものになりました。どうしても、昔の方と比べてしまうからです。
 同じく「ヱヴァンゲリオン新劇場版:序」を観た時もテレビ版との差に、「あれ、なんか確認作業でもしてるのかな?」という感想で終わってしまいました。
 この原因を考えて行くと、天才プロレスラー武藤敬司が週刊プロレスのインタビューの中で「どんなに今日ベストバウトをしても、観客の思い出には勝てない」と言っていたこと(W1立ち上げ後だったと思いますが、詳しい方がいらっしゃれば教えてください)がヒントになるのでは、と思います。

 思い出はどんどん美化されていきます。
 気づけば等身大の対象以上に膨れ上がることもあるかも知れません。
 かく云う、僕も市川崑もエヴァンゲリオンも思い入れがあるからこそ、違和感を抱いたというのもあると思います。
 
 SKE48の世界でも思い出とぶつかる瞬間が訪れます。
 その最もたるものが卒業公演や卒業コンサートだと思います。
 先日開催された松井珠理奈卒業コンサートでも、珠理奈に関する曲が披露される度に、その曲が歌われていた頃の珠理奈の姿を思い出すことがしばしばありました。
 僕が最もそれを感じたのが、アンコール2曲目で披露された「Glory days」でした。
 この直前のアンコール1曲目で、たった一人で「神々の領域」を珠理奈は歌います。 
 いつかのコンサートのみきてぃのように「これまでの1期生が見えている」と鑑賞した人もいれば、「松井玲奈卒業コンサート」での雨の中の3人、「大矢真那卒業コンサート」での涙や名古屋ドームの1曲目など、関連する思い出が甦った方もいらっしゃるかも知れません。
 僕は残酷なぐらいありのままの現実と最後の一人になった珠理奈の孤独を再認識させられました。
 その後に、明るいメロディと共に、中西優香と桑原みずきが出てきた時、「ああ、珠理奈に仲間が来てくれた」という喜びと共に心配もありました。
 何故かというと、上記のような「思い出の方が美しい」現象に襲われる可能性があったからです。
 また、昼の部では松本慈子センターで両サイドに熊ちゃんと鎌田さんを据えて、表情が常に快晴という状態のキラキラした現在進行形の「Glory days」を見せられていました。果たして、どうなると考えていると、曲が始まりました。

 「Glory days」の和訳は「絶頂期」という意味と「かつての輝かしい時代」という意味があります。
 あの珠理奈・中西・桑原の「Glory days」が踊られた数分間で、観ていた観客それぞれの「Glory days」の珠理奈が甦ってきたのではないでしょうか?
 勿論、「絶頂期」の珠理奈の思い出が甦った方もいれば(今も絶頂期だという方もいらっしゃると思いますが、今は一歩後ろに引いている感じがあると僕は思います。今回のセトリの配置を含めて)、現在の珠理奈だけをじっと観てらっしゃった方も居るかもしれません。
 ただ、アンコールというもうすぐコンサートが終わる時に歌われる曲という配置も関係してか、僕は「ああ、もうすぐアイドル松井珠理奈が終わるな」と明るい曲調とは反対に涙が零れてきました。
 無邪気な笑顔を見せていた珠理奈の表情は大人びたものでしたし、中西のブリッジはありませんでしたし、カツオのターンもありませんでした。おそらく、踊りだけをとれば2013年ガイシ(奇しくも同じ会場)がこの3人のベストでは、と僕は考えていますが、その時と比べるとダンスでは物足りなさがありました。

 でも、「思い出の方が美しい」現象は起こりませんでした。
 勿論「最後にオリメンで観られた!ありがたい!」みたいなレベルのこともありますが、「ああ、これでアイドル松井珠理奈は終わるんだな。最後にキラキラしていた絶頂期の片鱗を僕らに見せてくれたんだな」という美しい終わりを感じたからです。
 きっとあの曲の間に多くの人の頭の中で「絶頂期のSKE」が一瞬甦り、そして、2021年の現実、もうすぐやってくるアイドルの終わりを見ることになったのではないでしょうか?
 現実と思い出が融合した不思議な感覚でした。

 この現象はコンサートの中でもフラクタル構造になっていて、夜公演は特に思い出と現在を行ったり来たりしながら進んで行ったように思います。
 「Glory days」が終わった後のMCは、本当に昔のSKE48のコンサートのMCを観ているのでは、という錯覚を起こすぐらいの懐かしさがありました。
 でも、元1推しの中西優香のトークよりも、現役メンバーが沢山喋ってほしいなという気持ちの方が強かったです。その理由はまだ自分の中で言語化できていませんが、ただ、「今」が愛しい感覚の方が強かったです。

 夜の部の「Glory days」が「かつての輝かしい時代」を思い出させてくれたのと同時に、今、SKE48に居るメンバーたちが次の「絶頂期」を連れてきてくれるのではないか、と期待しています。

 そして、ソロプレイヤーの松井珠理奈の夜明けも。

2021年4月12日月曜日

オレンジのバス

 あの音楽の中で会っている

 2021年4月11日。
 松井珠理奈卒業コンサート夜公演。
 松井珠理奈が最後出番を終えて、これでコンサートは終わりかな、「手をつなぎながら」とかで終わるかなと考えていた時、その曲は発表されました。

 「オレンジのバス」

 直接珠理奈から伝えるのではなく、作詞という間接的なアプローチで伝えられたメッセージ。
 今日はこの曲について考えていきましょう。
 まずは歌詞の世界から見て行きます。

 1番では、曲の主人公がずっとバスに乗っていることを考えるところから始まります。
 バスに乗車していく人の入れ替わりはあるけれど、寂しさを感じずに曲の主人公は過ごしていきます。
 時には、不安からくる強がりで泣いても、その涙の度に進化していることを曲の主人公は知っています。だから、前を向いて行こうと明るい言葉を相手に発することができます。何年もバスの中で過ごして知った経験があるからでしょう。 
 そして、サビではバスの乗り降りの比喩と呼応するように、出会いと別れが提示され、沢山の思い出が主人公の瞼にうつります。
 ここで「軌跡のバス」という表現が登場します。「奇跡」ではなく、「軌跡」。
 「軌跡」のそもそもの意味は大きく分けると4つです。
 ①車輪が通った後。轍(わだち)。②先人の行いの跡。③ある人や物事がたどってきた跡。④数学で点が一定の条件に従って動くときに描く図形。
 この曲の中では①~③のどれかになってきますが、物理的には①、曲の主人公に合わせると③でしょうか。
 「みんなみんな」が「力強く走って行く」とありますので、ここでいう「みんな」は少数ではなく大多数ではないかと連想されます。
 何年も走ってきた「軌跡のバス」の中で主人公は様々なことを思い出していきます。

 2番では楽しいことばかりではなく、傷つけられたことも思い出します。
 そんな時は弱音を誰かに吐き出し、一緒に気持ちを共有することで「絆」が生まれていくことを語ります。
 そして、心無い誰かの評価ではなく、自分の可能性を信じて進むべきだと。
 2番のサビでは1番のサビと呼応するかのように、過去の先である未来へ進むことが語られます。「軌跡」というこれまで進んだ道である過去よりも「新しい地図」を広げてすすむべきだと語られます。ここでも「みんな」が繰り返されそのみんなは「バス」に一緒に乗っていることが分かります。


 大サビ前では、進むだけではなく止まること、ゆっくり進むこと、遠回りすることが示されます。「みんな」もそれを肯定してくれるはずだと。
 ここで1番のサビ全体と2番のサビの前半がもう一度示されます。
 その後、気になるフレーズが出ます。
 「これからはたくさんの色を自由につければいい」

 今はオレンジ色だったバスに新しい色をつける。
 「新しい地図」と呼応する気がしますが、「たくさんの色」がつくことで、「可能性」の広がりを感じます。
 ここで気になるのは「つければいい」と自分がするのではなく、誰かに託すように。

 そして、曲の最後に主人公はオレンジのバスにお礼を言います。
 このお礼は、バスとのお別れにも思えますし、自分自身の「軌跡」を振り返っているようにも思えます。
 
 「バス」は決して早い乗り物ではありません。
 いくつものバス停で止まりますし、時には遠回りもします。
 その度に誰かが乗って誰かが降りてきます。
 まるで、出会いと別れのように。
 そして、いつか目的地が来たら自分もバスを降りることになります。
 そう、バスは停留所に着く度に我々に「ここで降りますか?」と問いかけています。
 日常はゆっくりと進みながら「軌跡」を作ります。まるで、バスのように。
 皆さんのバスは、今どのあたりを進んでいるでしょう。
 バスの経路は「学校経由」かもしれません「会社経由」や「家庭経由」の人もいるでしょう。何度もバスから降りてまた乗る人もいるでしょう。
 今、バスを降りそうな時、この曲を聴くとあと停留所一つ分頑張れそうになれないでしょうか?
 皆さんは今、まだバスに乗っているでしょうか、もう降りているところでしょうか?

 ここからは、松井珠理奈とSKE48を入れた上で曲を考えていきたいと思います。
 「オレンジ」はSKE48を連想させる色ですし、「バス」もSKE48というグループだと感じられます。そして、そこに「軌跡」という言葉が付くことで「多くの歴史を持つSKE48というグループ」と読み解きました。
 1番2番ともに松井珠理奈の私小説的な要素をあてはめていくと、彼女がこれまでどんな風に進んできたのかが見えてきます。
 彼女だからこその説得力が歌詞の中にあります。
 そこには秋元康の作詞のようなテクニック性よりも、ストレートなメッセージの性が強いです。
 バスへのお礼もSKEからの卒業とリンクしますし、沢山の色も自分が作ってきた価値観だけでなく新しい価値観をSKE48に入れて行って欲しいというメッセージを感じます。
 「みんなみんな」にはメンバーだけでなくファンの皆さんも入っているのではと思います。「新しい地図」という新しい目的地をみんなで見つけて、これから進んでいくSKE48に期待が出来る内容でもあります。


 そして、先日のコンサートでは、後輩たちが歌うことで、もうそこには居ないはずの松井珠理奈が、音楽の中で甦ることが素晴らしくてですね。僕はここで泣いてしまいました。
 今は、珠理奈のことが頭に浮かびますが、50年後に珠理奈を知らない人がこの曲を聴いた時、どんな感想を持つのか。その感想を語る頃もオレンジ色のバスは走っていると信じています。


2021年4月11日日曜日

松井珠理奈卒業コンサート夜の部「~珠理奈卒業公演で何が起こる~」

最後のプレゼント

※コンサート直後なので、箇条書きで書いています。

総括
 松井珠理奈を観ていると、時々、なんでこんなにSKE48が好きなんだろう、と思う時があります。1期生として立ち上げの時から関わり、センターを長年務めて来たというのもあるんでしょうが、12年在籍してもその気持ちは変わらないままで、純粋にずっとSKE48のことを考えている。
 そんな彼女の愛の大きさについて、改めて意識させられたコンサートでした。
 多分、コロナの影響もあって当初の予定とは少し違った振り付けになったり、構成になったり、ゲストになった部分もあるのではと感じさせられるところもあったかも知れません。それでも、逆境の中で全力を尽くすというのが珠理奈らしくて良いですね。
 最後に残してくれた「オレンジのバス」は、卒業していくメンバーが曲を残して行くという「5色のバス」以来の演出なんですが、これも凄く良かったです。ずっとバスに乗ってきた彼女だからこそ、書ける歌詞ですし、仮にこれが秋元康作詞ならもっと違ったものになっていたのではと思います。語りかけるようなこの曲は、次にどこで歌われるのか?卒業公演で彼女が歌うところも見てみたいなと思っています。
 それでは、細かく見て行きましょう。

① ウッホウッホホ
 もうね、まさかこれで始まるとはという驚きがあったんですが、「暗い空気ふき飛ばそう」というところはまさに2021年の空気に合っていました。そして、バナナといえばらんらん。珠理奈からゴリラ語のリクエストがあったのもありますが、リクエストした珠理奈自身が笑いをこらえていたのが印象的でした。

② 青春ガールズ
 愛理が珠理奈の隣りに!
 7D2を思い出しましたが、カメラ目線のふゆっぴも良かったですね。
 昼公演でもそうですが、徐々に水野愛理のターンが来始めているのではと感じました。

③ 偉い人になりたくない
 元気がはじける前半ブロックの白眉!
 2番で映った青木莉樺さんのさわやかさが良かったですね。
 それにしても、序盤から動きまくるセトリですね。
 ラスト前のみなるんと奈和ちゃんの腕をぶんぶん使ってるのをみると、ベテランたちも負けてない感じがしました。

④ Change Your World
 昼よりもカメラアングルが良かった気がします。
 推しカメラじゃなく引きで観ると、振りの力強さと振りのメリハリが分かります。
 「いてもたってもいられず走り出す」のところの青海さんの表情が良かったです。

⑤ MC
 ぴよっさんの「こんな私にも愛をくれる」という涙が全部持っていきましたね。

⑥ TWO ROSES
 もうイントロ始まった時に「誰?誰?誰?」と言いまくってましたよ。
 ここで、ちゅりが登場。
 そうか、チュリじゅりの組み合わせがあったか!
 「マジカルラジオ」ファンとしては嬉しい限りです。
 水面に浮かぶ花のような照明も良かったんですが、二人とも年をとらないですね。

⑦ 青空片想い
 若手中心のさわやかな仕上がりになってましたね。
 伊藤さんの笑顔が凄く良かったです。
 そして、やっぱり林さんに目が持っていかれます。
 大サビ前の一生懸命さが伝わる表情も良いですね。
 ううむ、無限の可能性。

⑧ アイドルはウーニャニャの件
 昼の部の補完をここでしてきたか!
 まず、「このユニットバランスいいな」というのが率直な感想で、この人達だけでドラマが1話できそうな感じです。だーすーは流石のパフォーマンスでしたが、菅原とはたごんのコンビも良かったですね。

⑨ 思い出以上
 レオ様センター!
 ううむ、このセンターは予想外。
 てっきり珠理奈で来るかと思っていたので、最初は驚きましたが素晴らしいパフォーマンスでした。特に「波打ち際の二人は」のところが素晴らしかったです。
 あとは、江籠さんの「すべて幻」のところの声も美しかった。

⑩ 天使のしっぽ
 まず、メンバーを見て僕が呟いた言葉が、「ボーナスステージ」。
 久しぶりに聴いたんですが、この曲、本当に良い曲ですね。
 平野さんの可愛さや衣装との相性もばっちりだったんですが、ゆうゆも良かったです。
 
⑪ 黒い天使
 曲の世界観と愛理の相性の良さ!
 大人なおーちゃんと昼の部とは逆のアプローチのおーちゃんも良かったですね。
 今日一日で、愛理とおーちゃんは推しが増えたのではと思っています。個人的には二人ともいよいよ前列に乗り込んで欲しいところです。

⑫  ここにだって天使はいる
 難波の神曲!
 まさかの選曲なんですが、歌詞が本当に良いんですよ!
 るーちゃんのカメラ目線が何回か抜かれてたんですが、「天使」感がある衣装と共に良かったですね。
 
⑬ MC
 萌え台詞大会でしたが、さきぽんの卒業を意識させる言葉が良かったですね。
 そして、ここぞとばかりに存在感を爆発させるさとかほも凄かったです。

⑭ Parting shot 
 珠理奈の見た目が変わってる!
 メンバーもチームSのエース級が揃っていて、豪華なユニットでしたね。
 
⑮ MC
 15分で珠理奈が髪を切ったエピソードが!
 ふろ思ったんですが、珠理奈は何故、髪を切ろうと思ったんでしょう?
 
⑯ キューティハニー
 まさかのアニソン。
 予想外の過ぎる展開ですが、これもまた良かったですね。
 でも似合ってましたね。

⑰ DJタイム
 ここは、「ダンスのSKE48」が堪能できるところでしたね。
 なかでも「UZA」と「赤ピン」が珠理奈の魅力満点で良かったです。 
 「UZA」はダブルセンターお披露目の武道館の黒衣装と対照的な白い衣装が印象的でした。そして、「赤ピン」は始まり方がカッコいいんですよね。流石DJ!
 「Who are you?」ではyoutubeで登場したNAMI Jさんとの共演も良かったです。僕は何故かこの曲の歌詞のせいか、ここで泣けてきました。

⑱ 強き者よ
 珠理奈のソロ歌唱から始まり、続々と出てくる1期生たち!
 間違いなく、コンサートのギアが一段上がった瞬間かと思っています。
 1期生たちが同期の「最後の勇者」である珠理奈に語りかけるようで、ちょっと一時停止ボタンを押したくなるぐらい感動しました。

⑲ MC
 1期生がグイグイ持って行くMCでしたね。
 どんちゃんがレジェンドたちを見て、思わず泣いてしまうところで僕ももらい泣きしてしまいました。

⑳ 不器用太陽
 みきてぃも来てくれましたよ!
 中央のセリがベンチのようになって、二人で歌うところがなんだか凄く良い時間でしたね。
 卒業してからのみきてぃの人生を著作などで知っているだけに、もう一度SKEの曲を歌っている姿で泣いてしまいました。

㉑~㉔ ごめんねサマー、賛成カワイイ!、バンザイVenus、大声ダイヤモンド
 まず、OGたちのブロックの後に曲を任される現役世代の誰が迎え撃つかというところで、6期を持ってきたところに、今、どれぐらい彼女たちが信頼されているかを感じました。
 「賛成カワイイ!」では、コールが出来ない寂しさが曲を通して感じて来ることになるとは。なんとかサイリウムで補っていましたが、またコールがしたいところですね。
 「バンビ―」は、メンバーたちの遊びが多いので、何回も観たいところですね。
 「大声ダイヤモンド」は、ここで来たのか!という感じでした。この曲もあとは卒業公演ですかね。

㉕ MC
 すーめろさんの登場からビデオレター。
 48グループってこんなに広がっていたんですね。
 真那や玲奈ひょんがこれなかったのは残念でしたが、心のどこかでVTR来てないところからの本人登場はないかな、とも期待していました。ケニー・オメガからのメッセージも嬉しかったんですが、新日勢からも来てほしかったですね。

㉖ 恋落ちフラグ
 ハッピーエンド感のある本編ラスト曲。
 泣いているぴよすがちょいちょい映って、彼女らしくて良かったです。
 明るくて珠理奈らしい本編ラストでした。

EN1 神々の領域
 アクティブな振り付けが印象的な名曲ですが、今回は噛みしめるように歌っていましたね。時々、歌えなくなるところが切なくなりましたね。
 この「神々の領域」はこれで最後になるんですかね。
 いつか、リクアワでまた聴きたいです。

EN2 Glory days
 今回のコンサートのピークというと言いすぎですが、「おおおっ!」と叫んでしまいました。
 まさか2021年にオリメンのグローリーを観られるとは。
 バックダンサーも2~6期の超豪華メンバー。
 色々なオリメン集合がある中でこれを選んでくれたのは、本当に嬉しいです。
 
MC
 もう、カツオオンステージでしたね。
 江籠ちゃんの「昔を思い出す」という言葉も昔を知っているファンには嬉しい一言でもありました。

EN3 Memories ~いつの日か会えるまで~
 オリエンタルな感じの卒業衣装になりましたね。
 卒業衣装でドレスではなく、ズボンのメンバーは珍しいのではと思います。
 珠理奈の表情が、涙ではなく充実感に満ち溢れているように思えました。

EN4 大好き
 世界中のファンに向けての「大好き」。
 この曲もお別れを意識して聴くと違う響きがしますね。
 真那の卒業コンサートを思い出しました。

EN5 僕は知っている
 歌が始まった時に、珠理奈が右下の辺りにいるメンバーに口パクで「頑張れ」と励ましているのが印象的でした。 
 いったい、あそこには誰が居たんでしょう?
 そればっかり考えてました。

MC
 10回目の総選挙リハのエピソードが泣けましたね。
 本当にSKE48がこの人は好きなんだな、というのが伝わってきて。
 そして、最後に置き土産まで残していってくれるなんて。

EN6 オレンジのバス
 詳しくは明日書こうと思いますが、この「バス」という比喩は、これから色々なところで考えられそうですね。欅坂46の「乗り遅れたバス」とは違うアプローチで、メンバーたちが乗っている途中という視線で、もうバスを降りる彼女の視線から描かれたメッセージソングですね。「新しい色」という言葉が、バトンタッチのようにも思えました。

 ううむ、箇条書きになったので物足りない部分もあったかも知れませんが、最速の感想としてはこんな感じです。
 終わりは次の始まり。
 このコンサートが「終点」であり「始点」であると信じています。
  

松井珠理奈卒業コンサート昼の部「卒業だよ!全員集合! ~Let's sing !~」

 過去もIFも全て含めて




 ※ライブ後の感想の為、今回は箇条書きで書かせていただきます。

 総括

 全体的にSKE48のシングル曲を除くと、栄色は薄めの選曲でした。
 その代わりといっては何ですが、過去の名曲をもう一度考え直したり、IFのストーリーを連想させさせられるコンサートでした。
 具体的には各曲のところで書こうと思いますが、AKB48の超選抜たちの代表曲を持ってきて、それを現役のSKE48メンバーが歌うことで、ファンを長く続けている人からしたら、過去の思い出が甦るでしょうし、最近ファンの方からしたらある意味「新曲」なので、推しの新しい魅力を発見できたのではと思います。
 また、IFの要素で言えば、1曲目の「センチメンタルジャーニー」の総選挙映像で椅子に座るところからの椅子に座ったままの登場は、幻に終わった2018年の名古屋ドームの1曲目を僕は連想しました。
 コンサートのタイトルの「全員集合」は、メンバーやファンだけでなく、過去の先輩や名曲たち、ありえたかも知れない未来を集めたのではないかと思います。
 もちろんね、卒メンが登場みたいなのを想像して臨んでいた自分には、少し肩透かし感はありましたが、途中から「あっ、多分そういう意図じゃないんだな」と気づきました。
 でもMCで松井玲奈の名前が出た時は、やっぱり少し期待してしまいましたけどね。
 もし、1曲だけ付け足せるなら、「君はメロディ」も聴きたかったかな、と思います。季節ともコンセプトとも合いますし。
 更に、シチュエーションが変わるとこんなに響き方が変わるのか、という曲も沢山あったのではと思います。
 多幸感に溢れたコンサートについて、1曲ずつ見ていきましょう。

① センチメンタルトレイン

 珠理奈のアカペラからスタート。
 思えば、もっと聴きたかった曲の一つ。
 あの総選挙1位の椅子に似た椅子に座った珠理奈が登場。
 できれば、名古屋ドームでもう一度、これが見たかった!
 選抜にランクインしたメンバーは一段上のところで歌って踊る演出も、カッコ良かったですね。
 なんというか、1曲目から2018年夏の空白を埋めるかのような演出で、ワクワクしました。
 ちなみに、1曲目は推しカメラはほとんど使用せず。

② 初恋の踏切

 2曲目は珠理奈退場。
 とにかくメンバーの躍動感が楽しめる曲と振り付けで、具体的な例をあげると「はかないものとしても」のところの古畑奈和ちゃんとか、移動しながら元気にジャンプするほののとかね。
 更に、「青春の青い電車」のところのどんちゃんの眼差しも良かったですね。
 「トレイン」→「踏切」という繋がりを感じました。

③ 卒業式の忘れ物

 慈子の「サイリウムの色、オレンジにしてくれへん」から始まるのがずるすぎますね。
 とにかく、歌詞が珠理奈の卒業とリンクしますし、先輩を見送る後輩視点が、チームSに凄く似合います。
 「毎日どこかで探していた」のところのよこにゃんの振り付けとゆれるポニーが印象的でした。
 そして、大サビでの青海さんの視線。いやあ、流石は「恋落ちフラグ」で前列に位置するだけの説得力がありました。

④ 今日までのこと、これからのこと

 まあ、「はやっ!」と思わずモニターの前で言ってしまいましたよね。
 ここでも歌詞の中に「電車」が出るのが面白いですね。
 歌詞がこちらも卒業とリンクして泣きそうになりました。
 全体カメラで観た時の8期、9期のフレッシュさと頼もしさ。
 珠理奈の制服姿がお嬢様校ぽかったですね。
 爽やか路線の4曲が続いたので、この後はダークな感じが来るかと思いきや…。

⑤ MC

 泰然自若としている珠理奈。
 みなるんのMCまわしの安定感を感じつつ、今回はメンバーが新しく覚えた曲が多いのかという期待感もあり。
 水野愛理の「カメラが回ってないところでもSKE愛を語っていた」というエピソードも良いですね。

⑥ Glory days

 松本慈子センター、サイドに6期の熊ちゃん、鎌田さんコンビ。
 明るい表情が似合う3人ですが、最後のソロダンスで個性の違いが出ていて面白かったですね。
 曲中で印象に残ったのは、鎌田さんのしなやかさ。そして、熊ちゃんの顔の天気予報が常に快晴だったこと。そして、慈子のかみしめるような登場でしょうか。

⑦ Dear J

 「その組み合わせがあったか!」とここから僕は叫び続けることになります。
 前髪が何度も前髪にかかりつつも構わずに踊るるーちゃんの成長を感じられる1曲でした。
 板野友美と珠理奈、その間にるーちゃんという組み合わせは斬新でしたが、そこがプロデューサー珠理奈の手腕でしょうね。衣装の白に負けない美白でした。

⑧ プラスチックの唇

 みよまるが篠田麻里子さまの曲を担当することになるとは!
 そして、この辺りで多くの観客がもしや、とソロブロックのコンセプトを考え始めたのではないでしょうか?
 メタリックな衣装とみよまるの浮世離れした美しさとの相性も良かったですね。
 歌詞も2021年に聞くとウイルス関連のところは、違った響き方がしますね。
 黒いジャケットのバックダンサーの衣装を着こなす真木子も良かったですね。

⑨ 愛しさのアクセル

 よこにゃんが来たか! 
 和風の衣装との相性が最高!
 たかみなの名ソロ曲を彼女が担当するとは!
 表情、太刀捌き、目力、どれもよこにゃんの魅力爆発で、こういうのが観たかったんだよ!と思わず叫んでいました。
 前半の4曲と比べると、MCを挟んだ4曲はアップテンポの名曲が並びました。

⑩ 心のプラカード

 今度はまゆゆ、と思いきや「マジすか2」のネズミも含んでいたんですね。
 トロッコに乗って出てきた珠理奈のゆるーい「みなさーん」という声も良かったんですが、メンバーたちのプラカード芸も良かったですね。
 緩急が効いた良いセトリだと思いました。
 そして、360度客席を活かしたメンバーの練り歩きも良かったです。

⑪ チューよりkiss

 珠理奈のソロ曲で甘い歌詞なんですが、ピンクのレザーをまとったおーちゃんが歌います。
 ピンクの似合い具合がたまりません。
 そして、振り付け付きでこの曲が披露されるのは、初めてではないでしょうか?
 サビのポーズが印象的でした。
 

⑫ monoclome

 同じく珠理奈のソロ曲なんですが、こちらは男性目線の曲を古畑奈和ちゃんが担当します。
 もうね、出てきた時から一枚絵として決まり過ぎでしょう。
 前半はほとんど動かないのに歌だけで勝負できるところや、宝塚の男役の方が来てそうな衣装の似合い具合(私服だったんですね)は流石!
 背景の都会の風景ともあっていて、当たり前ですが、「歌うめえ!」といい泣いてました。

⑬ Birthday wedding

 ゆきりんのソロ曲で個人的に歌詞が好きな曲です。
 らんらんのドレス姿が美しいんですが、彼女もまた歌が上手ですし、表情も凄く良いんですよね。
 衣装は白が中心でピアスの形もよくてらんらんの新しい魅力を発見しました。

⑭ 花占い

 珠理奈の初作詞曲。
 これを谷が歌うという意外性。
 たまに「このメンバーがこの曲を歌ったら」という妄想をすることがあるんですが、谷の
「花占い」もその一つで、珠理奈ありがとう!と叫びたくなりました。
 サビの言葉のおいて行き方が谷っぽくて好きでした。
 ううむ、谷のソロ歌唱はもっと観たいところです。

⑮ 虫のバラード

 秋元才加のソロ曲ですね。
 これも「その手があったか!」という組み合わせ。
 まさか10期の林美澪ちゃんが担当するとは。
 かつて珠理奈が「思い出以上は成長の記録」と語っていたように、今は少し早く感じるかも知れませんが、数年後にもう一度歌った時にどんな変化があるのか。「始点」を作った気がします。
 一切の笑顔なしに目線だけでもっていかれました。

⑯ 泣きながら微笑んで

 言わずとしれた大島優子の名曲。
 野島さんの歌唱力を存分に味わえた名曲です。
 「ここからまだ動けない」の表現力にしびれました。
 珠理奈の卒業ともリンクしていて、本当に素晴らしかったです。
 ここでも泣きました。

⑰ 君は僕だ

 前田敦子のソロ曲です。
 今回のコンサートの「その組み合わせがあったか!」シリーズの最高峰がこれではないかと僕は思いました。
 えごちゃんと前田敦子という組み合わせもそうですが、歌詞と江籠ちゃんのリンクも凄く良くて、これからも歌ってくれないかなと思います。
 うん、もうね。これも泣きました。

⑱ MC

 それぞれの担当曲の知り方の差が面白かったですね。
 ずらりと並ぶと衣装の違いもオモシロかったです。

⑲~㉑ わるじゅり、ジッパー、ハート型ウイルス

 甘い感じの曲が続きますが、まさかのNOAH勢登場。
 かわいい珠理奈の歌唱の後ろで行われる、襲いかかるバイオレンス(マイトガイン風)!
 筋肉が眩しすぎて、曲があまり入ってこなかったのが正直な感想ですが、「ハート型ウイルス」の正統派の珠理奈も良かったです。

㉒ MC

 珠理奈との印象に残った思い出と曲。
 鎌田さんの「女の子の第6感」に関してのエピソードが印象深かったですね。
 歩き方だけではなく、香水の匂いまで。
 嫉妬するどんちゃんも良かったです。

㉓~㉚ オキドキ、1234ヨロシク、パレオ、未来とは?、前のめり

 SKEお得意の後半シングル曲たたみかけなんですが、もうすぐ珠理奈がここからいなくなるのか、と思うと切なくなりました。
 その中で10期生での「1234」は、新鮮でしたし、僕は推しがもしここにいたらと少しだけ考えてしまいました。
 あと、「パレオ」で熊ちゃんとさきぽんが同じフレームの中に入った時の切なさがありましたね。
 「未来とは?」の若手中心の選抜も良かったです。
 指差しの時の愛理の表情が印象的でした。
 そして、「前のめり」でコールが入った時の感動!
 早く声を出してコンサートに参加したいですね。

㉙ Stand by you

  本編の最終曲。
 「前のめり」で玲奈のことを考えた方を意識したんですが、それでも珠理奈にはみんなが居てくれるという感じが僕はしました。
 ここでも林美澪ちゃんに目を惹かれました。
 個人的に大好きなシングル曲です。
 「センチメンタルトレイン」で始まり、この曲で本編が終わるというのが、図らずも2018年の空白の間に成長していったメンバーたちのことも意識して良いセトリだなと感じました。

EN1
 Change Your World

 MVで観るよりもライブで観た方が良い!
 熊ちゃんと江籠ちゃんのコンビが印象的ですが、今日は「壁を」の部分での熊ちゃんの主人公感が良かったです。これからどうなるか楽しみな曲です。

MC

 さとかほのゴールドパールが気になり過ぎる。
 そして、菅原のウーパールーパーに癒されました。

EN2 恋落ちフラグ

 今日の全体曲としてはベストのおさまりの良さを感じました。
 ううむ、珠理奈ありであと何回見られるのかを考えると切なくなります。

EN3 仲間の歌

 やっぱりSKE48のコンサートと言えば、これですよね。
 360度客席を活かした練り歩きも良かったんですが、やっぱりライブではみんなの声が必要だなと感じもしました。
 どうか、もう一度自由にコールできる日が帰ってきますように。
 

 多分、予想していたものとは違っていたという方も居たかも知れません。
 SKE48曲は夜中心になるかも知れませんが、メンバーたちの個性に寄り添った良セトリではと思いました。何よりリバイバル曲が全部良かった。
 さあ、夜はどうなるか、楽しみですね。

 

2021年4月10日土曜日

自由の翼

 自由について


 19歳でシリコンバレーで企業し、siriの開発プロジェクトにも加わった台湾デジタル担当大臣オードリー・タンが、日本向けに書いた「自由への手紙」が面白いです。IQ180の彼が著作の中で様々な自由について語っていますが、冒頭で2つの自由を挙げています。
 一つ目は、既存のルールや常識、これまでとらわれていることから自由になる「ネガティブ・フリーダム」。「ネガティブ」というと悪い意味にとらえられがちですが、第1歩という意味でここでは使われています。
 2つ目は、自分だけではなく他の人も自由にしてあげること。自分が変えたいと思っていることを変えられること。自分が起こしたいと思っている変化を起こせる人。それが「ポジティブ・フリーダム」であり、この2つ目が出来ている人が自由な人だと定義して、彼の著作は始まります。
 

 この本を読みながら上記の2つの自由を体現しているメンバーは誰だろうと考えました。頭にすぐ思い浮かんだのが、高柳明音と古畑奈和でした。

 
 

 SKE48のファンだけでなく他グループのファンの方にも、高柳明音が総選挙のスピーチでしかけた秋元康への直訴は有名です。
 彼女の直訴があったからこそ、閉塞感に覆われたK2に「新公演」を持ってくることで変化を起こしました。
 そして、古畑奈和は既存のアイドル像から自由になり、徐々に後輩達の選択肢を増やしています。
 今回はこの二人の「自由人」の関係を見て行きたいと思います。
 

 まず、この二人の関係性ですぐに思い浮かんだのが、755の写真集争奪ウォッチバトルです。
 思えば初日4,213,851ウォッチの単独首位でスタートし、5月3日の最終日(正確には3日の23時から4日の0時までの1時間で)。NMB48の上西恵さんに逆転を許してしましまいます。あの時の絶望感の話は、以前書いたので是非幻の写真集という記事を読んでみてくださいませ(記事の一番最後にリンクを貼っておきますね)。ちなみに、あの時書けなかったことを補足しておくと、かおたんが凄くコメント欄とかでファンの皆さんを鼓舞していましたね。最近、つくづく奈和ちゃんとかおたんの関係の面白さも感じていますが、本筋とずれるので今回は置いておきます。

 5月5日。
 21時から今度は高柳明音の755のウォッチバトルが始まります。
 20時頃、奈和ちゃんは755にこんな投稿をしています(現在はアプリが終了しているので観られません)。一部を引用したいと思います。

「うずうず、しません?熱い気持ちが急に冷めた今、うずうずしてません?(はてなマークのと『ん』の間に顔文字あり)」

「とにかく、21時には、皆さんがなくした気持ちを一緒に取りに行こうと思います(顔文字)」

「私で学んだことは生かす!
 それが私と私を応援してくれてた
 ファンの方のできること!

 私たちにしかない感情とできることをちゅりさんの
 ソロ写真集企画へ!

 (省略)」


 僕は奈和ちゃん推しではないですが、この755戦争の頃の奈和ちゃんの言葉はとても好きで、スキルや見た目だけでなく人間性で推しになる人が沢山いる理由の一つではないかと思っています。
 自分が起こしたいと思っていた変化は起こせなかったけれど、その直前まで行っていたからこそ、誰かの変化の力になれる。「ネガティブ・フリーダム」でも「ポジティブ・フリーダム」でもありませんが、より等身大のやり方でちゅりのチャレンジに寄り添います。

 翌日5月6日の奈和ちゃんのアメブロを2つ続けて読んでみましょう。

 ただいまです(*´-`)#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 K2ポーズ#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ううむ、5月4日まで睡眠時間を削り続けていた人なんですよ。
 卑小な例で申し訳ないですが、自分だったらすぐに誰かの為には動けません。
 なのに、ここまで動くなんて。
 人間って極限の場面だったり、その後の対応だったりでその人の本質が見えてくるんですね。

 極限の場面といえば、ちゅりの総選挙直訴と同じぐらい、総選挙復活は忘れられません。
 「豆腐プロレス」ではネタにされていましたが、「最後」を何度も考え直したからこそ、最高の瞬間を手にすることが出来たわけです。
 そこに辿り着くまでの葛藤もあったと思います。ファンに宣言したことを反故にするのかと。でも、常識に縛られずもう一度チャレンジしたから、彼女はまた選抜の景色を見ることが出来たのではと思います。

 高柳明音*私は人生かけて皆に恩返しをしていく。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 丁度、2017年は奈和ちゃんも総選挙で選抜入りを果たした年ですが、スキルや実績を見ていくとちゅりと奈和ちゃんは重なる部分が結構あるのでは、と思っています。
 まず、なんと言っても演技。
 特に舞台での共演は、「AKB49」、「仁義なき戦い~彼女たちの死闘篇~」、「SKE48版 ハムレット」と3度にも渡っています。
 皆さんはそれぞれの舞台をチェックしてらっしゃいますでしょうか?
 僕は「仁義なき戦い」だけ観られていませんので、今回は一旦こちらは省いて「AKB49」と「ハムレット」で語ると、二人の魅力的な部分を感じられる配役でどちらも好きです。
 「AKB49」の実の真っすぐさと岡部愛の負けん気の強さ。
 「ハムレット」におけるクローディアスの妖しい美しさ、ポローニアスのオモシロ感とフォーティンブラスの強い眼差し。
 どちらも古畑奈和と高柳明音にあてはまるハマり役だと思います。
 「AKB49」は奈和ちゃんのブログを「ハムレット」はちゅりのブログを読んでみましょう。

AKB49♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


高柳明音*SKE48版ハムレット | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 それぞれが自分と違う人間を演じることで、役を離れて自分に戻る時、自分がどんな人間でどんなものを持っていたかを感じたかも知れません。
 そして、二人の演技を観ていると「アイドルなんてこんなもの」という観客側の偏見や忖度を全部壊していきます。それだけに、「仁義なき戦い」も観ておけば良かったと最近後悔しています。


 舞台以外でも超名作である「マジカルラジオ」での共演も忘れられません。特にあのドラマのおかげでちゅりが好きになった人間からしたら、2019年3月の炎の全国ツアーでの復活は本当に嬉しかったです。
 そういえば、二人とも単独のラジオ番組を経験していますね。
 音声メディアから聞こえてくる二人の声は、どちらも聴き心地が良いんですよね。
 それは歌声でも同じで、二人とも魅力的な歌声で僕らを魅了します。 
 ミッドナイト公演での身体的な重なり合いも良いんですが、純粋に歌で重なり合う表現が卒業コンサートで観られたら嬉しいなと思っています。

 現在、SKE48のアメーバブログでは、卒業するちゅりや珠理奈に関連したテーマで多くのメンバーが思い出を語っています。
 「ちゅりさんに言われて印象に残っていること」や「高柳明音の何が凄かったか」というテーマの日を読んで行くと、後輩達がちゅりの素晴らしいところを挙げています。特に期が離れた後輩たちのブログが印象的で今回のコンサートでリハをみながら様々なことを学んでいるのが分かります。
 たとえば、ちゅりと同じように身長が低いなーやんの気づき。
高柳さんのすごいとこ!竹内ななみ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 公演MCを仕切ることも多いあいあいあの気づき。
ちゅりさんの凄いところ( * ॑꒳ ॑* )♥杉山愛佳 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 凄く気になる青木さんの一言。

心に残った一言✩︎⡱ #10期研究生 #青木莉樺 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 多くの後輩達が「語彙力が足りなくて」と書いていましたが、この言葉にしにくい良さというのはなかなか難しくて、「ちゅりが居る空気」ではないかと僕は思っています。
 彼女がいるだけで場が明るくなる。
 握手会で遊びに行った時、紅白のリハでみんなが追い詰められた時、彼女の言葉や表情でファンもメンバーも少しだけ未来への兆しが見えて、不安から自由になる。
 SKE48や48グループの中の常識を破壊した彼女は、今度はソロで誰に「ポジティブフリーダム」を与えるでしょう。
 鳥が飛び立った後のように、羽は静かに降りてきます。
 残される古畑奈和の最近のブログで印象的なものがあります。

古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 いったいどんな言葉だったんでしょう。
 実はこの記事を書こうと思ったきっかけはこのブログからでした。
 いつ言われた言葉なんだろう?
 舞台の時か、奈和ちゃんがセンターになった時か、それともプレイべートの時でしょうか。
 ちゅりが残していった羽の色は奈和ちゃんにしか見えない。
 見せてくれない。
 言葉を大事に自分の中でしまっておくところが、奈和ちゃんらしくて良いですね。
 個人的には23歳の生誕祭の時の手紙ではないかと予想していたんですが、最後まで読むと違いそうなんですよね。

 「奈和には人との距離がめちゃくちゃ近い反面、絶対的なパーソナルスペースがあって、そこには誰も踏み入れさせないっていう雰囲気があったり、私生活もあまり見せないし、まぁ割と謎多いよねってメンバーにもよく言われてて、確かにって思ったんだけど、でもそこに最近少しずつ入れてくれるようになりました。
 (省略)私もまぁパーソナルスペース強めの人間だけど、気付いたら奈和に対してはなくなってて、自分ではビックリしてます。
 これも理由の1つ、奈和が「FRUSTRATION」のセンターになって、きっと色んな意見とかぶつけられたと思うけど、『私は私にしかできないセンターになる』って自分を貫く、そうやって強く持てることは私にとっては簡単なことじゃなくて尊敬するし、そういうところのリスペクトもあった上でなるのかもなって思いました。

 SKE48にあった色々なしがらみや当たり前や暗黙の了解とか正面突破でぶっ壊していって、それを大人たちに新しい魅力として認めさせたのは結構、SKE48の歴史の中では革命だったと思います。
 私はルールに縛られるタイプだから純粋に凄いなって思ったし、素直におめでとうって伝えられました。(省略。この後、ちゅりが卒業発表した時に奈和ちゃんが泣かなかったエピソードトーク。理由は『もっと仲いい子とか親しくしてくれてる子がきっといるから、私なんかが泣いて、寂しいとか言って気遣わせたくない』から)
 私はただただ私にために涙を流す奈和がを見てみたいです。フラグじゃありません。演技は嫌です。(省略)そして、いつか私たちの夢である熊本、馬刺しでお腹いっぱいの旅しようね」

 自由な奈和ちゃんの姿勢が、後輩たちも自由にしていく。選択肢を増やして、次のブレイクスルーへ繋がっていく。
 「馬刺し」と「火鍋」はジャンル的に近いんでしょうかね?15万円あれば博多旅行をプレゼントできそうではあるんですけどね。

 話を二人の関係に戻しましょう。
 似た物同士ですが、役やポジションが変わることで受ける刺激も変わっていく二人。
 先輩後輩でありながらも、親友というよりはプレイヤー同士の関係にも思えます。
 そして、いよいよちゅりのポジションが大きく変わります。

 果たして本日、どんなコンサートになるのか、アイドル高柳明音は最後にどんな飛翔を見せるのか。そして、奈和ちゃんの眼からは涙の雫が最後に零れるのか。
 未来への兆しを見届けましょう。

 

※「幻の写真集」という記事はこちら!

2021年4月4日日曜日

2021年4月3日「高柳明音のオールナイトニッポン0」の感想

 声の力

 

 昨夜4月3日土曜日は、「オードリーのオードリーのオールナイトニッポン」からの「高柳明音のオールナイトニッポン0」というリトルトゥースでSKE48推しの人間としてはたまらない夜になりました。
 ただね。
 「オードリーのオールナイトニッポン」の春日さんのお子さんが幼稚園に入園したエピソードトークの後で爆笑した後に(春日さんのトークゾーンで茶々入れる若林さん好きとしては嬉しい回でしたが)、寝落ちしてしまい、起きてから「しんやめ」とエンディングを聴いていたんですが、若林さんが先日語っていた「高柳明音さんのラジオを聴いている」という話から、今週のエンディングでも「何年か聴いてんだよなあ。すっごい知ってんだよね。わざわざいうことじゃないけど」と若林さんらしい控えめな言葉でしたが、「間違いなく聴いては帰りますけど。(中略)いま、挨拶きてくれましたけど、なんか『パーソナリティだ!』いつも聴いてる。「実在するんだ!」昔共演したことあるけど」と「マジカルラジオ」について少しだけ触れてくれたのが嬉しいですね。

 そして、いよいよスタートした「オールナイトニッポン0」。
 まずは「マジカルラジオ」以来の若林さんとの7年ぶりの再会についてのトーク。
 「マジカルラジオファン」の僕としては、ここで鳥肌が立ちました。
 「マジラジ」の頃よりもテンション高めに接してくれたという話も良かったんですが、「ラジオ」という場で二人がニアミスするのが良いですね。
 僕は「マジカルラジオ」のおかげでオードリーのことが好きになり、そこからオールナイトニッポンを聴くようになり、ラジオが好きになった人間としては、たまらない組み合わせです。
 ちゅりの元気な声も素敵ですし、若林さんの「~なのよぉ」というぼやき方も好きですし、春日さんの「そんなわけねーだろ!」というツッコミも大好きです。
 音声メディアの価値が、再評価されている今、ラジオというパーソナリティとの距離が近く感じるこのメディアで好きな人達の声が聴けるのは、本当に幸せですね。
 1曲目で「バンドをやろうよ!」という「マジラジ3」から生まれた幻の曲から始まったのも最高でした。


 
 CMを挟んでラジオニッポンで放送中の「うまかた」でのまとめ録りエピソードを挟んで、ゲストの5期生コンビである古畑奈和と江籠裕奈のコンビが登場。
 ラジオで聴く奈和ちゃんの声も良いんですよね。
 まず、江籠ちゃんに関するエピソードについて。
 ちゅりが何故、江籠ちゃんのことを「江籠さん」と呼ぶのかという由来と二人の距離が縮まったエピソードが良かったですね。
 江籠ちゃんのことを「心のない人形」という印象から「人間にしてもらった」という江籠ちゃんの言葉を聴いていると、「君の名は希望」を僕はふと思い浮かべました。
 江籠ちゃんを託した2015年ぐらいに卒業した先輩が気になりますね。
 奈和ちゃんとちゅりの関係トークでは、様々な舞台での共演を経てミッドナイト公演で極まるというのが印象的でした。あと、チームE時代にチームK2に居た同期(はるたむ?)が可愛がられているのが羨ましかったというエピソードも良かったです。

 そして選曲されたのが「夜の教科書」!
 まだ1回しかライブでやってない曲!
 聴いているこっちがテンション高柳になりそうでした。

 しかし、5期生コンビに高柳明音を挟むことで色々な関係性が見えてくるのが面白いですね(同じことは、ひょっとするとみなるんやかおたんにも言えるかもしれませんが)。

 ここから3人の母親の呼び方についてなんですが、ちゅりの「おかあちゃん」→「おかあ」→「かあ」に変わるというのが面白かったですね。「うちにカラスはいない!」というお母さまの言葉も。
 更に懐かしトークとしての「1/149」の幻のエンディングについても面白くてですね。
 焼き鳥食べながらのエンディングは流石にショッキングでしょう!

 もうすぐ4時になろうかという時に、番組がスタートした頃にちゅりがフォローした若林さんのインスタからフォロー返しがきます。若林さんのインスタは夜にバスケをする動画やキン肉マンの画像も好きなんですが、NFL倶楽部の「熱視線プッシュ」のコーナーの補足も好きだったりします。
 

 そこからちゅり、奈和ちゃん、江籠ちゃんの前髪かぶりからの奈和ちゃんにヘアチェンジをそれとなく勧めたエピソードも面白かったですし、服へのこだわりで「量産型は嫌!」というのは凄く共感できますね。
 江籠さん選曲の「夜明けのコヨーテ」を挟んで「マジラジ」が始まる時のエピソードへ。
 ここでのスタッフさんたちがくださった言葉である「これから作るこの作品が君たちにとって宝物のになればいいと思っているから」でもう、感動ですよ。
 これはもう、メンバーだけでなく多くのファンにとっても宝物になった作品ではないかと思います。
 
 更に、色々なリスナーさんたちのメールが読まれている中で「声の力」について考えさせられましてね。
 辛いことがあっても、「みんなの『声』がなかったら、私は12年続けられなかった」という言葉にも感動しましたし、番組のスタート時に語った夢を「声」に出すことで実現していくのではということを考えさせられました。
 
 コロナ禍でちゅり自身が「アイドルの映像を観て元気をもらったんですよ」という経験から「アイドルとしてみんなに元気を与えられるんじゃないか」という発見。
 そこから配信をすることで、何もない日常に「楽しみ」を付加するというアイドルだからこそできることを改めて発見できたというエピソードも良かったですね。

 「アイドル」から「女優」へ変わっていくこれから、果たしてどんな形で新しいちゅりが見られるでしょう?
 おまけコーナーで語っていた「高柳明音と松井玲奈のオールナイトニッポン」もどうか実現してほしいですね。個人的には「オードリーのオールナイトニッポン」にゲストで呼ばれて欲しいところですが、裏番組だから難しいですかねえ。別の場でもいいので、いつか共演して欲しい(なんなら『オールナイトニッポン0』でも)!

 そして、これからも夜更かしの僕らの為に、こっそり声を聴かせてほしいです。

 

SKE48という家族の中で

何にも無い日も君となら何故か幸せ


 突然ですが、皆さんの推しメンは家族に当てはめるとどのポジションにあてはまるでしょう?


 なんでこんな問いを考えたかというと、最近読んだ成馬零一さんの著作「テレビドラマクロニクル1990→2020」を読んだ影響で、宮藤官九郎脚本のドラマをいくつかまとめ見したからでしてね。
 彼の作品を観て行くと、「家族」や「コミュニティー」について考えさせられます。
 欠けていた家族からアドバイスをもらったり、いなかったはずの家族が帰ってきたり、他者が家庭に入ってきたり、自分のポジションが子供から父親に変わったりと様々な語り口で僕たちを楽しませてくれます(『吾輩は主婦である』、『11人もいる!』、『ごめんね青春!』なんかは特に感じます。最新作『俺の家の話』はまだチェックできていません)。また、家族のそれぞれのポジションに何を求めているかや本当にその求め方が正しいのかも考えさせられます( 更にそれを広げて行くと、地域コミュニティーやホモソーシャルについても考えさせられるところもあるんでしょうが、今回は省きます )

 その中でふと、じゃあ自分の推しメンは家族でいうとどのあたりの目線で観ているんだろうと考えてみましてね。

 僕の推しメンは10期生の五十嵐早香なんですが、もはや母でも妻でも娘でも姉でも妹でもすらなく、遠い親戚の才気溢れる子ぐらいの視線で応援しています。でも、推しのためなら多少の労力や時間の浪費は許容できるので、もっと近い親戚かもしれません。

 で、こういう家族目線で見て行った時、松井珠理奈の変化が面白いと思いましてね。
 加入当初は、AKB48の中にいる彼女は、元気な「妹」ポジションで「わがままコレクション」を歌うユニットにも渡辺麻友と共に選ばれています。
 ただし、SKE48に戻ってきた時は、不動のセンターとしてみんなを引っ張っていくしっかりものの「姉」という感じがします。1期生で年少メンバーでありながら「珠理奈さん」として凛とした表情で様々な場に出て、後輩が増えるにつれて求められることも増えたのではないかと思います。そのおかげで実年齢よりも求められることの大きさのギャップに苦しむこともあったのではと思います。
 そんな彼女だからこそ、ふと「妹」に戻れた時の表情なんかも素敵です。印象的な表情の写真が載っているブログを貼っておきますね。真那画伯の絵と共にお楽しみあれ。

「蚊☆じゅりたん」 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 ただ、2015年ぐらいまでは松井玲奈を初めとするお姉さんたちが多かったものの、2017年の小畑優奈センターと大矢真那卒業でたった一人の1期生になったぐらいから、「姉」としてのポジションから「父親」や「母親」のポジションになってきたのでは、と思います。
 特に「Jファミリー」や「Black Pearl」のプロデュース、youtubeの「珠理奈HOUSE」の解設、会員制のサイト「珠理奈'sSHARE ROOM」の解設と、家を建てるは部屋を造るは、家族を作るはと「親」としてのポジションにスライドしていったのでは、と思います。
 そんな彼女だからこそ、ふと「妹」や「子供」になった時の表情にときめく方も多いんでしょうね。
 後輩達を可愛がる視線は、彼女のお父さんが彼女を大事に思うものと似たものを感じてしまいます。

 「パパへ☆じゅりたん」 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 

 もうすぐ、彼女はSKE48を卒業します。
 2021年4月4日のアメブロでは珠理奈が残した言葉が後輩たちから紹介されているので、是非是非読んでみてください(特におーちゃんのブログ)。


 グループの中で様々なポジションを求められてきた彼女ですが、SKE48を卒業することでソロになります。
 果たして、今度は彼女のことをどんな目線で応援することになるんでしょう?
 ただ、どこに居ても変わらないことがあります。
 2013年3月8日に松井玲奈が書いた手紙から引用して終わりたいと思います。

「この場にいる全員が思っていると思うけれど、私たちは珠理奈が元気なのが一番。明るく、ちょっとやり過ぎなぐらいにはしゃいでくれる姿を見ると安心します。あー、珠理奈だって」


2021年4月1日木曜日

こんなハズジャナカッタ―!

予想の外にいるからこその


 今日は4月1日。
 入学式や入社式が日本中でありました。
 憧れの第1志望の学校や会社に入った方もいれば、どこでも良いから滑り込めただけラッキーという方もいるかもしれません。
 僕も今日から新しい職場になりましてね。
 地元に帰って様々な企業を受けて、内定をもらった企業の中で一番堅い職場にしたんですが、期間限定の雇用。しかも、今年新卒の15歳年が離れた弟と同期入社というまさかの展開でしてね。でも、まあ地元の観光やイベントで僕の頓智が活かされそうな場所だし、良いかと思って出勤しました。
 入社初日は特に仕事もなく、1枚の業務スケジュール表を3時間見つめながら、ひたすら時計を1分ごとに見るという感じでした。更に、企画とか関係なくて、よくある地域振興券の対応係になりそうでした。
 「ああ、なんか内定もらってたITベンチャーの方にいっときゃ良かったかなぁ。リスクはあってもちゃんと給料も高かったし、それなりのポジションで迎えてくれようとしてたしなぁ…」とか様々な後悔が頭の中を駆け巡ります。
 そのまま業務が終わり、なんともモヤモヤした気持ちで帰路につきました。
 それでニュースを見ると、キラキラした新社会人や新小学生たちが映っているわけですよ。
 みんながみんな良いスタートを切れているのか?
 いや、きっと僕のように思っていたのと違うスタートだったり、スタートに失敗したりした人もいるに違いない。
 そこで、そんな僕やその魂の兄弟たちが(急にブラックミュージック風)、元気に4月2日を迎えられる曲が無いかと考えた時に、ふと、BEYOOOOONDSのこの曲が思い浮かびました。

 

 昼間、まさに僕の頭の中で駆け巡っていた言葉ですよ。
 「こんなハズジャナカッター!」
 ううむ、BEYOOOOONDSのデビュー曲である「眼鏡の男の子」を聴いていただくと分かるんですが、なかなか変わった感じの曲なんですが、このちょっと変わっているからこそ、僕も耳を傾けたわけで。
 素敵なメロディーと前田こころさんの魅力にやられて、ハロプロはほとんど聴かないのにBEYOOOOONDSは聴くようになりました。
 でも、歌詞を聴くとそりゃアイドルを夢見ていた子たちしたら、「思ってたのと違う!」と叫びたくなるようなデビュー曲ですよね。


 確かに「変な曲」なんですけど、そこが凄い心に刺さった人も多いわけです(僕もその一人です)。
 「普通の曲」や「切ない曲」はなかなか歌えないけど、変わった衣装というか小道具や独自の曲で彼女たちの個性が光り始める展開が素晴らしい。
 なりたかった未来ではないけど、もう普通じゃ満足できない!となっていましてね。
 気づけば「普通のアイドル」の枠を飛び出していたという痛快な未来。
 1曲の中にBEYOOOOONDSの歴史が入っているし、彼女たちの周りにいるハロプロの先輩や他のアイドル達も歌詞の中に登場する仕掛けも面白いです(Bishやラスアイまで入ってのは驚きました)。そして、上記のアイドルたちとは違う独自の色を獲得しているのが、本当に素晴らしいです。
 MVの最後に彼女たちが手を振っているのも、未来への希望が持てて素敵です。
 
 ううむ、「こんなハズジャナカッタ―」未来に今、居るあなたも、いつかその場所で良かった思える日が来るかも知れません。
 BEYOOOOONDSに元気をもらいつつ、4月2日も頑張りますかね。 
 「激辛LOVE」の「一言ずばり」のところで半紙を突き破って登場する感じで、出勤しますよ。


 ※ 「眼鏡の男の子」の記事はこちら!