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2020年5月28日木曜日

本性③

開拓者が解放される時


 演者の演技が凄まじくて、涙が出てきたり鳥肌が立ったり、なんなら尊敬を通り越して恐怖すら感じることは、皆さんありますか?
 凄すぎて頭から離れないことはないですか?

 週末にあるメンバーの記事を書くために2020年1月19日実施の「SKE48選抜メンバー」のコンサートを繰り返し観ているんですが、選抜メンバーがメドレー形式でソロ曲を発揮していくんですが、もう、古畑奈和の「本性」が凄まじいんですよ。

 直前の鎌田菜月さんの「寡黙な月」で本当にほのぼのというか、ハートウォーミングな推しとファンとの良い関係を見たあとに、突然、豪華のバックと共に「オイ!オイ!叫べー」と言いながら和洋折衷衣装の奈和ちゃんが登場します。
 映画の予告編で「しまじろうとそらとぶふね」の予告を観た後に、突然、「マッドマックス 怒りのデスロード」の予告が来たぐらいの衝撃なんですね。しまとら島に突然、ウォーボーイズを引き連れたイモータンや武器将軍が来たぐらいの衝撃(ギターから火が出るあいつも)です。

 この衝撃は2016年のソロコンサートの最後に珠理奈が「赤いピンヒールとプロフェッサー」を披露した時の衝撃に似ていて、「か、格が違う…」と無意識のうちに呟いていました。自分の一番の得意分野で戦うことで、最大限の自分を見せていくスタイル。
 奇しくも奈和ちゃんも珠理奈も、自分のソロ曲ですね。

 まずは、イントロでお客さんを煽って、そこから心情を吐露していくAメロ。まるで、誰かに秘密を打ち明けるように歌います。虚ろな表情で時には目を閉じて。
 ちょっとイヤモニを調整しながら、上空を見上げ、そこからわなわなと震えるようにBメロを歌いあげていきます。声の強弱が同一人物とは思えないぐらい変わっていきます。
 そして、サビ。
 もうね、「ひれ伏して泣け」っていいながら極上のスマイルをするわけですよ。
 このサビあたりの振り付けというか、体の動きも曲の世界観とあってるんですよね。感情の吐露につれて、体も上下左右に揺さぶられていく。
 
 いよいよ大サビ前のAへ。
 ここで、一瞬メロディはゆっくりになって奈和ちゃんは横たわります。
 「どこで間違えたのか?」あたりですね。曲の主人公の悲嘆が身体全体で伝えてきます。このあとの盛り上がりの予感も。
 ちなみに、このコンサートで珠理奈が自分の曲を表現する時に取ったアプローチを思い出してください。このアプローチをしているのは、奈和ちゃんと珠理奈の二人でした。

 さて、普通の曲ならば、ここで大サビなんですが、スリリングな大サビ前Bに行きます。「積み上げたものがすべて」からですね。
 僕はここで、涙が止まらなくなりましてね。
 剥き出しの本性が古畑奈和の本能とリンクして、凄まじいものをコンサートという場に登場させてしまったな、と。
 ちなみに、この時奈和ちゃんのイヤモニは外れた状態で、すぐに直しますが、会場の音を頼りに表現していたのかと思うと、本当にこの人はなんて人だ、と思ってしまいます。

 大サビは、背景の炎のように、感情を叩きつけるように言葉を連ねていきます。
 僕は聴きながら、「ああ、終わっちゃう」と思わず呟いていました。

 このコンサートを生で観られた方は本当に羨ましいです。
 奈和ちゃん推しでもない僕が勝手に言うと、これは古畑奈和のベストパフォーマンスなんじゃないか、と個人的には思っています(2015年の「前のめり」と2018年の「誰かの耳」も捨てがたい)。
 この後、youtubeにアップされた「本性」の方は、周りのバンドの皆さんと一緒に曲の世界を作り上げていっているのに対して、こちらは一人で思う存分暴れまわっている彼女が観られます。
 そう考えると、奈和ちゃんのソロプレイヤーとしての強さを感じます。

 とにかく、このことを書きたくて、ここ数日、奈和ちゃんのブログとかを読んでいただんですが、Twitterでしか触れていなかったので、今回は引用なしですが、何故、彼女が、わざわざSKE48という自分のグループであり、東京で行われるグループコンサート前後のよそのファンも来やすいところで、「本性」を選んだのか?

 自分という人間の魅力をフルパワーを見せられる楽曲を選ぶことで、「SKEの入り口になる」という2015年からの目標を今も変わらず持ち続けているからかも知れません。

 しかし、毎回、奈和ちゃんはもう書くことないな、と思うんですが、更新してしまいますね。「書いている」のか「書かされているのか」、どちらにせよ、次のベストパフォーマンスが今年中にあるんじゃないか、と期待しています。
 あと、ファーストアルバムを流通化と電子化させて、セカンドアルバムを出しましょう。前田さんや古川さんとのデュエット曲とかも聴いてみたいですね。

 youtubeのコメントもチェック!
 

※「本性②」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/04/blog-post_12.html

※「いきなり!古畑奈和総選挙」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/03/blog-post_10.html


2020年4月12日日曜日

本性②

動く本性


 2019年6月27日(木)に新宿アルタのKeyStudioで古畑奈和のソロコンサートが行われました。
※詳しくはこちらのサイトのレポートをご確認あれ。写真多めです。

 残念ながら、こちらのソロコンサートは参加できず、さらに2019年7月25日に名古屋のSKE48劇場で行われたソロコンサートの方も運悪く観られず。
 だから、今年の3月にある大阪公演には参加できそうだったので、ワクワクしながら待っていたんですが、残念ながらコロナウイルスの影響で中止となりました。
 
 過去に行われた、ソロコンサートの1曲目はどちらも「本性」。
 いや、それだけではなく、2020年1月19日にTOKYO DOME CITYで行われた選抜メンバーでのコンサートでは、選抜メンバーそれぞれにソロで唄うブロックが用意されていたのですが、奈和ちゃんは「本性」を選んでいます。
 セットリスト上でどこの位置にどの曲を持ってくるか、自分以外のファンが沢山いるの中でどの曲を持ってくるか。「本性」に対する信頼感が伝わってきます。
 
 まあ、もちろん、こちらのコンサートも僕は観られず。
 2020年を生きる皆さんは信じられないかも知れませんが、youtubeとかが無かった90年代。田舎住みの人間は、好きなアーティストの音源を楽しもうと思うと大都会までライブを観るために遠征するしかなく、死ぬまでCDの音源を聴きながら、妄想を繰り広げるしかりませんでした。本当に、あの頃はスペースシャワーTVやWOWOWOのライブ中継が貴重でした。
 僕にとって「本性」は、まさに音源だけは知っているけど、幻の名曲状態だったんですね。
 コンサートではどんな風にパフォーマンスするんだろう、そもそも動いて唄うのか?ドレスコーズみたいな感じになるのか?とか、色々と想像を膨らましながら、「本性」が収録されている「Dear 君と僕。」のCDを聴いていたもんです。こんなに賞味期限が長いCDも久しぶりです。

 さて、時を動かして、2020年4月4日。
 古畑奈和のスタジオ収録した曲の動画が、youtubeで一気に3曲アップされます。
 その中には、「本性」が!
 さっそく、公式ページをチェックしてみましょう。



 いやあ、めちゃくちゃ嬉しかった。
 動く「本性」ってこんな感じなのか、と。
 まず、曲が始まるイントロで天を仰ぎながら、伸ばす右手。
 僕は「MESSIAH」がこんな感じになると思っていたので、意外でした。Aメロでは、右手がずっと自分の肩を抱きしめるようにしていて、外面的なことを語る歌詞に対して内面はふさぎこんでいる感じが伝わってきます。
 そして、Bメロでその右手が外に向いて、文字通り「内側」の方に向いていきます。そして、この曲の中で1度も握りしめなかった右手を「腐り始めてる」のところで、握りしめます。
 そして、サビではまるで苦悩するかのように、自分の頭を時折さわりながら、右手は外へ外へと動き、天へ向かっていきます。
 ここまでの動きは、決まったフリなのか、奈和ちゃんが本能的にやっているのか、是非、ソロコンサートとかを観たことある方に教えていただきたい部分です。
 右手というどちらかというと、あやめろが注目される人間の身体の部位ですが、実はこの曲の表現を拡張していると思います。
 また、眼ですよね、奈和ちゃんの。
 実は、2016年頃の「ラジオ惑星開発委員会」をこの記事を書く前に観ていたんですが、宇野さんと対談した時の奈和ちゃん評の一つとして、「真っすぐに見つめてくる瞳」が挙げられていました。握手会に行ったことがある方なら、この辺りは共感できるんじゃないでしょうか。彼女のあの眼差しにやられたという人は多いんじゃないでしょうか。
 しかし、この「本性」では怪しさや危うさを伴った眼をしてるんですよね。
 特に3分20秒台からの悲嘆的な歌声から、怒気をはらんだ声に変わるところの眼の動きは凄いです。
 最後の皆が顔をこちらに向けないところも印象的でした。
 まるで、ここまで語った「本性」に対する答えを求めていないようにも思います。
 
 動く「本性」を観て、曲に対する解釈がまだまだ広がっていく気がしました。
 それにしても、久しぶりにライブやコンサートが、CDの「答え合わせ」ではなく、観られて嬉しいと感じた動画でもありました。かつて、CDの音源しかなく生のコンサートを渇望していた頃の気持ち、そして、それが満たされた時の喜び。どちらも思い出せた素晴らしい体験が出来ました。特に自粛が広がる2020年4月現在、半ば諦めていただけに物凄く嬉しかったです。

 次は、動く「観覧車」がみたいなあ、と名古屋のソロライブを見逃した者としては、贅沢ですが思っています。その為にも明日も生きねば。

※「本性」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/01/blog-post_9.html 

2019年1月9日水曜日

本性①

4分22秒の告白


 さて、今回紹介する「本性」なんですが、showroom recordsから期間限定で発売している「Dear 君とボク。」に収録されている曲です。2019年の1月9日までの期間限定販売なので、まだ手に入れてない人は、ちょっと急いだ方が良いかも。


 この曲、DVDが付いていないので、各自、唄っている奈和ちゃんを想像して楽しんでください。

 「本性」はアルバムの1曲目にあたるんですが、静かに始まり、徐々に盛り上がっていく構成になってましてね。凄く刺激的な歌詞で、普段のSKE48では聞けないフレーズも多くてですね。
 ザ・テレビジョンさんのインタビューを読むと「ちょっと闇があってカッコいい曲が欲しい」とのリクエストが奈和ちゃんからあったようなんですね。そして、作詞を担当したオリエンタルラジオの中田敦彦さんとのディスカッションを経てこの曲が誕生したそうで。「この言葉は使いたくない」とか「奈和ちゃんが言いたいのはこういうことだよね」とか、かなり綿密な作業が行われていたようです。深作監督の「赤穂断絶」でもこれが行われていれば…。


 まずは、歌詞の世界を見ていきましょう。
互いにとっての理想を 押し付け合うような時間が 最近はずっと苦痛なんだ
 奈和ちゃんのインタビューを読むと一つのカップルの関係として語っているようです。紅條の悪い癖で、つい「アイドルとファンの関係?」と穿った見方をしてしまいます。次のメロディではお気に入りだった絵を不燃ごみとして捨ててしまいますよ。物の見え方が変わってきているわけですね。

 愛や恋もすべては利害関係の上という、そんなこと言うなよ、ということが続きましてね。相手からもらったであろう美辞麗句も虚しく響くだけなんですね。なんというか、もう別れそうな気配がしない?

白く綺麗な豪邸が 内側から腐り始めてる
 「白く綺麗な豪邸」というのは、美辞麗句で作られた二人の関係とも取れますし、自分自身とも読めますね。

シビアな損得勘定を 抜きにして世界を語るのは不毛だよ 笑うのは僕だ平伏して泣け
 
 先ほどあげた恋愛関係に利害関係が含まれるように損得勘定も世界を包んでいる。そして、この後、「笑うのは僕だ」とあるので、有利な立場にあるんですかね。なんか、凄い支配欲が強そうな人ですね。

剥きだしていたい 愛してよ 退屈で死んでしまいそう
 自分の本音を剥きだしていたい、ということでしょうね。そんな自分を「愛してよ」と。もう「理想を押し付け合う時間」は退屈なわけですね。なんか、カップルで喧嘩した時の「じゃあ、本音を言うけどさ」みたいにも聞こえてきます。

 2番ではですね、神経を逆なでされたり、気力を削がれたりでイライラしているわけです。

黙れよ虫けらども

 この「虫けらども」というフレーズがなかなかSKE48の曲では聞けませんが、アイドルの口から出るとわりと刺激的ですね。自分をイライラさせる原因はこの「虫けらども」のようですね。「虫けらども」って、本当に最近多くてですね。紅條みたいな小鳥と歌が大好きな気のいい市民でも「うわあ、こいつ虫けらみてえだな」と思うことがあるんですから、芸能人になれば、うじゃうじゃ出てくるんでしょうね。あと、この歌詞の男の選民意識高いなあ。

 そして、単純労働なんぜ反吐が出るぜ、と来るわけです。
 君、今すぐ映画「パターソン」を観なさい。何気ない日常にも変化はあるぞ。

全部を出したい ぶちまけて 軽蔑されてもいいから
 人間生きてたらこういう時ってありますよね。しかも、一番親しい人が相手となると、勇気がいりますが、この曲の主人公は「軽蔑さてもいいから」伝えたいぐらい言いたいんですね。

うしろめたさが風になびく どこで間違ったのか どちらが被害者かも分からずに今
 この「うしろめたさ」は相手に対してでしょうね。「どちらが被害者か分からず」ということは、お互いに悪い要素があるんでしょうね。最初の「互いにとっての理想を押し付け合うような時間」が関係していきます。悪いのは剥き出しの僕?理想を押し付ける相手?

積み上げたものが全て 砂上の塔のように傾いてる 花瓶がどこか遠くで割れる
 二人がこれまでの関係で積み上げたものが危険な状態になっていますね。「遠くで割れる」花瓶の音も不吉で二人の関係の亀裂を想像させます。

炎に焼かれて笑え あるがままであろうとする不条理を 抱いて地獄の淵を這おう
 この炎が地獄の炎なのか、だとしたら1番の「笑うのは僕だ」の意味が大分変ってきます。一瞬Twitterの炎上のことかなあ、とも連想したんですね。でも、炎上だけだと弱いなあと。「あるがままであろうとする不条理を抱いて」なので、理想とは違う本当の自分であろうとすると、筋道が通らなくなってしまうから、それを抱いたままで我慢しているのか。だとしたら、「地獄の淵」とは何も本音を言えないこれまでの生活なのか。我慢した地獄の炎に焼かれて僕が笑っているよ。
 それとも、本音を言った後の現在なのか。どちらとも読めますが、紅條は一つ前の歌詞から後者ではないかと考えてます。意見がある人、教えて!

剥きだしていたい 愛してよ これがこの僕の本性

 「これ」が包括する内容が凄い! 
 国語のテストで出たら答えを作るのが大変そうな「これ」です。
 本姓をぶちまけた後、果たしてこの二人はどうなったんでしょう。
 その本性を踏まえた上で愛せるのなら、この二人には怖いものなんてないんじゃないでしょうか。
 付き合ってからの短い間は、「理想を押し付け合う時間」があるかもしれませんが、徐々に時間が経って本性を見せ合う瞬間ってきますもんね。

 奈和ちゃんが「本性」を見せる瞬間もこれまで何度かあったかも知れません。
 紅條個人としては、総選挙のスピーチでお酒好きだったのね、ちょっと意外!とかですかね。あとワードセンスが凄まじいなとメンバーのあだ名を聞く度に思います。ファンもアイドルも「本性」は簡単に見えません。でも、一瞬でも相手の「本性」を知れたら知ってもらえたら、それは怖いけど、乗り越えられたら幸せかもしれません。それに、相手はこっちが思っているほど、厳しくはないと思います。自分が好きになって、自分を好きになってくれた人なんですから。
 


 歌詞の世界を見た後は、いつもは映像に注目するんですが、今回はないので、メロディーについて。作曲は観覧車と同じJUVENILEさん。音楽センスゼロの紅條なので、詳しいことは語れませんが、この曲で鳥肌が立つぐらいスリリングに感じるのが、「積み上げたものが全て~」のメロディ。もうね、このピアノのメロディと奈和ちゃんの歌い方がたまらない。歌詞の危険な状態と相まって、スリリングに聞こえます。

 この曲の良いところとして、もう一つ上げたいのが奈和ちゃんの歌っている表情が見えてきそうなこと。たとえば「黙って不燃の日にだしたんだ」の歌い方とか。

 是非、唄っているところを観たいので、ソロコンサートもお願いしたいですね。東名阪ツアーとインタビューでも書いていたので、是非実現してほしいです。個人的には奈和ちゃんのカバー曲とか聴いてみたいです。また、奈和ちゃんのこの曲を他のメンバーがカバーしてるとことかも観たいですね。秋元康世界とは違う要素が加わることでここまで刺激的とは、と思わせる1曲でした。
(「本性」より引用)



同じアルバムの「観覧車」の感想の記事はこちら。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_30.html

奈和ちゃんが歌った「10クローネとパン」の感想の記事はこちら。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/11/blog-post_30.html