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2019年3月23日土曜日

蹴飛ばした後で口づけを①



愛という名の牢獄


  「Stand by you」が発売された時に、すぐに「Stand by you」と「ありがとうは言いたくない」についての記事を書いたんですね。曲のストーリーと現実のリンクが書きやすかったので。それから暫くして「凍える前に」について書いたんですが、今回紹介する「蹴とばした後で口づけを」は、最初に聴いた時は「誰かの耳」の方が良かったかなあ、という感じだったんですね。ただ、この曲。聴けば聴くほど癖になる曲でしてね。最近になって、段々、こういう曲かも、というのが見えてきたので、書いてみたいと思います。
 まあ、まずは聴いてみましょう。
 初めて聴かれる方は、最初の歌詞にも注目してくだいさい。


 ね、衝撃的な歌詞でしょ。
 本当は、もっと過激な歌詞だったそうです。
 頭を絶対にかちわってやるって、普段の生活でなかなか言われませんよ。
 どんな、悪いことしたんだ、というと、なんと曲の主人公の「私」の友達に手を出したんですね。しかも、ここに辿り着くまで、この「あんた」は何度も「私」を裏切ってるそうです。
 で、怒りの感情が頭の中で駆け巡っていくんですが、サビ前に「捨てられてた子犬」が登場するんですね。「捨てられた」とあるので、「私」かなと思うんですね。「背中向ける」んですが、サビでは心情が逆転していきます。

 自分でも理由が分からないけれど、嫌いになれない。
 ダメな男だと分かってるけど、また戻ってしまう。
 「あんた」を蹴とばした後に「キスをして」とお願いしたいと思ってるわけです。
 うーむ、これは賛否両論ある考え方なのは分かってるんですが、客観的に見たらイケないと分かっていても心惹かれる人って、いると思うんですね。文学者で言えば、太宰治とか北原白秋とかね。芸術家だと竹久夢二とか。浮気とか散々するけど、めちゃくちゃ才能はあるとかね。本人たちは、それが普通、世間の常識とは違うと。逆に芥川とかは真面目過ぎたから、1回の浮気が響いてくるんですが。「あんた」がどんな人なのかの情報が少ないので、ただのヒモとかなのか、想像してみるのも楽しいですね。

 2番では、みんなに「私」が笑われています。みんなも子犬も、多分お日様も。
 「あんた」のせいで、みんなから「色眼鏡」で見られるようになります。かわいそう。
 そして、この曲中で唯一の「あんた」の言葉が登場します。
 「悪いのは俺だよ」
 そんなの当たり前だろ。
 なんか、「プライオリティ」の2番を思い出しましたね。あの曲は男性目線でしたが。



 心の中が揺らめく2番のサビ。
 「このままじゃいけない」とこの男のことを憎くんでいる、離れなければいけないという感情があっても、次第に力がぬけていく。2番のサビでは、蹴とばすものが「お尻」から「カルマ」に変わっています。「カルマ」というのは、「業」のことですね。ただ、他にも訳をつけていくことが出来て、「行為」や「宿命」と訳することもあるそうです。
 じゃあ、「業」ってなんじゃいと、「① 人間の身・口・意により行われる善悪の行為。② 前世の善悪の行為によって現世で受ける報い。③ 理性によって制御できない心の動き」の3つの意味があるんですね。この曲中だと、③が一番合いそうな気がします。
 「あんた」の制御不能な心を蹴とばしたいんでしょうね。

 そして、大サビ前にこの曲の本質が浮かび上がってきます。
 この曲中では「愛」というのは、なんでも「許せる心」なんですね。
 たとえ、それがどれだけ常識から外れていようとも。
 ここが難しいところですね。
 たとえば、恋人に対してどこまで我慢できるか、どこまで許せるか。
 愛しているから許せるのか。
 そもそも、この曲中の「愛」は正しいのか。

 世間的にますますモラルが叫ばれる昨今、「あんた」に与える「罰」が、蹴るぐらいで良いのか。「私」は完全に「あんた」に依存してしまっているんじゃないのか。「罰」をコントロールすることで、コントロールしているつもりになってるんじゃないか。色々と考えさせられる曲です。曲の要所に現れるバイオリンの音色は振り付けにも活かされていて、なんとも癖になるメロディです。まるで、悲劇を思わせるような。

 この曲の独自の世界観はチームKⅡの「誰かの耳」に続く実験的な曲で、今回は大人の女性の曲だと思うので、大人メンが前列、若手メンが後列という配置も納得です。特に、ここで奈和ちゃんをセンターに持ってきたのは、納得でしてね。多分、表現力勝負では、SKE48の中でもトップレベルの彼女。アンビバレンスな感情を見事に表現しています。さらに、ちゅり、みなるん、さりー、江籠ちゃんという1列目の豪華さ。この辺のメンバーはアイドルの武器である笑顔を捨てて、真顔で勝負しても戦えるメンバーですね。ゆななの真顔も好きだったんですけどね…。

 気が早いんですが、次のKⅡ曲のセンターは誰なのかも気になってきますね。
 これだけ人材が豊富だと、次は誰をセンターに据えるのか、そろそろみなるんが来てもいいかな、と僕は思ってますよ。みなるんの代表曲の記事も書きたいよ。あと、さりーももう一曲ぐらいあっても良いんじゃないとも。

 若手で行くなら、ここは一度、水野愛理を試してみるのはどうでしょう。ゆななと組んでいた小野の一角ですし、十分、センター争いに混じれるポテンシャルの持ち主だと僕は思っています。

 あと、この曲。もし、シャッフルでチームSだったら誰がセンターをやるか、チームEだったら、誰がセンターをやるのかを考えるのも楽しいかも知れませんね。

 個人的には、「あんた」呼びの大人っぽい曲の奈和ちゃんもいいけど、「ミライクル」みたいな感じ「君」呼びの曲で奈和ちゃんセンターも欲しいなと思いますよ(贅沢?)。

 奈和ちゃん関連曲を一つの記事にまとめたので、興味がある曲があれば、読んで行ってくださいな。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/blog-post_80.html