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2021年2月27日土曜日

なーやんアップライジング

風が吹く


 経営コンサルタントで経済評論家の波頭亮さんと、歴史学者の磯田道史さんが対談の中で、2000年代の日本の動きを振り返って「日本は変わっているというよりもじっとして衰退しているだけ」と語り、それを変える方法について歴史や人工知能などを引き合いにだしながら、様々な可能性を探していました。
 非常事態には、非常な人が出てくるし、そういう人たちは時代によっては殺されてしまうけれど、やがてそんな型破りなタイプが新しい型を作っていくことが語られました。
 じっと、せずにあえて未知の場所に飛び込んでいく姿勢が、今は重要なのかも知れません。

 2021年2月22日。
 48グループ写真集選抜イベントの開催が発表されました。
 これは48グループが関わる4つのアプリで共通して行われるイベントで、それぞれのアプリの「推しメンポイント」を連動させて各グループ上位3名をまず選びます。それ以外の全グループの上位4名の合計16名が本選に出場します。そして、本選ではユーザー投票が行われ、1位のメンバーは光文社から写真集が、2~3位のメンバーは雑誌グラビアに起用されるそうです。
 既に、6期生の井田玲音奈さんが、立候補。
 6期生推しの方々は、既に肩が温まってきている頃なんじゃないでしょうか。
 そんな中ですね、9期生のなーやんこと竹内ななみが立候補を宣言します。


 いま、SKE48のメインストーリーを雑に3つに分けると、珠理奈とちゅりの卒業コンサートへの道。ティーンズユニットの行方。10期生の新公演。
 この3つのどれにもなーやんの名前はメインで出てきません。
 なんなら、カミングフレイバーの中にも彼女の名前はありません。
 なかなか来ないチャンスに、やきもきしていた方もいるのではないでしょうか?
 そんな中、今年から彼女に風が吹き始めます。
 『BUBUKA』での水着グラビア、成人式、そして、今回の立候補。
 なーやんが戦う相手は、全員が彼女よりもキャリアがあります。
 選抜常連メンバーや総選挙ランクインメンバーもいます。
 それでも戦うことを選んだ、なーやんの姿勢。
 圧倒的に不利なこの状況で、それでも現状を変えようとするのなら、僕も微力ながら応援したいと思います。2021年が終わった時に、竹内ななみが飛躍した1年になるように。
 風を追い風に変えるのは、そして、閉塞感をぶち破る嵐に変えるのは彼女と、今この記事を読んでいるあなたかも知れません。

※なんとなくイメージした曲を貼ってお別れです。

2021年2月26日金曜日

あの日の自分

 彼女にしか言えないこと


 言葉というのは不思議なもので、同じ言葉でも誰がどんな時に言うかで、大きく意味が変わってきます。
 以前、バンプオブチキンのボーカルの藤原基央さんが、ロック雑誌「ロッキンオンJAPAN」のインタビューの中で、「頑張れ」という言葉を例に出して、力になることもあれば「俺がサボってみえたかい」と不愉快になることもあると語っていました。
 皆さんも人生の中でそんな経験はないでしょうか?
 僕はどちらかというと、具体的な問題の解決策とかで上記のことを思うことはないですが、抽象的なこれからの人生とかについてでは、よくあります。
 「ああ、この人の言葉ならスッと入ってくる」というものもあれば、「いや、お前に言われても仕方ないからさ、黙ってくんないかな?」というものもあります。
 先日観に行った、よこにゃんこと北川愛乃が出演していた「BLACK SMITH」でも、フィクションを通してですが、観客達の心を動かす叫びがありました。Twitterでやりとりさせていただいている方が描いた、「声の力、言葉の力を信じている」という言葉を思い出しました。


 昨夜(2021年2月25日)、SKE48の竹内彩姫さんが卒業を発表しました。
 SKE48の6期生として活躍してきた彼女は、青春のほとんどをSKE48に捧げました。
 彼女が見てきたアイドルの世界はどんなものだったでしょう?
 丁度、48グループの全盛期に加入して、6期研究生ということでドラフト制度や大組閣の煽りをモロに受けたり、時には怪我で悩んだりということもありました。
 それでも、公演に出演しながら、SNSの更新も頑張り、握手の対応も良くて、総選挙や各種イベントで結果を出していき、SKE48のシングル選抜にも選ばれました。ファンの皆さんと勝ち取ってきた結果だと思います。

 そんな彼女が選んだ道は、5月に卒業後、ゼストの社員になることでした。
 まだ、どこの部署でどんな仕事をするのかは、分かっていません。
 アイドルのセカンドキャリアとして、これまで佐藤すみれさんがプロデュサーになったり、柴田阿弥さんや後藤楽々さんがニュースキャスターになったりしています。
 このあたりは、大木亜希子さんの「アイドル、やめました。」をじっくり読んでいただければと思います。

※「アイドル、やめました。」の記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/05/blog-post_53.html


 アイドルから運営側へというのは、48グループでAKBで既に前例がありますが、SKE48では初めてです。
 よく「メンバーの〇〇が運営側にいたら、もうちょいメンバーの気持ちを考えた采配が出来るのになあ」と思うことがあります。スポーツの監督とは少し違うのかも知れませんが、元プレイヤーだからこそ、見える視点があったり、提案できる方法もあったりすると思うからです。
 果たして、さきぽんがどのような活躍をしていくかはこれからですが、僕は彼女の性格ならば、これから入ってくるアイドルたちに寄り添った仕事が出来るのではないかと思っています。
 大組閣の際、NMB48の渡辺美優紀のアンダーに入り、彼女に振り付けを教えてくれたのは誰だったか。ドラフト1期生にも優しく接してくれたのは、誰だったか?

 そう、竹内彩姫でした。
 

 勿論、彼女の決断に戸惑った方もいると思います。
 SKE48は夢へのステップであり、劇場や外仕事で見つけてもらい自分の夢へと繋がっていくコンセプトだとしたら、「スタッフ」というのは、一見するとキラキラしたものではないかもしれません。
 でも、その場所に居たからこそ、変えたいと思うことや自分が中に入って支えたいと思うこともあったのかも知れません。そして、色々な選択肢を一つ一つ消していきながら選んだのか、真っ先に選んだのかでも違うと思いますしね。


 映画が好きで、映画監督や俳優たちの人生に関する本をここ数年沢山読みましたが、芸能の世界でしか生きられない人もいます。名監督も映画の世界を離れてすぐに孤独死したり、名俳優もドロップアウト後に社会に上手く定着できないこともあります。
 「その世界でしか生きることが出来ない人」というのは居ます。
 特に才能がある人は、人間性と社会性がアンバランスな方もいます。
 その時に遠く離れた業界に行くのではなく隣接する業界に行くことで、バランスを崩すことなく、次の成功をしやすくなります。
 その前例をさきぽんは見事に作ってみせました。
 

 そりゃ、観たいですよ。
 「黒派遣OL 彩姫」もブログのタイトルの顔文字も、特典映像で眼鏡かけて仕方ないなあ、というさきぽんも。
 でも、アイドルとは違うフィールドで、また彼女ならセンターを目指せると思います。


※なんとなく思い出した曲を貼っておきます。「progress」が出来て10周年を記念してスガシカオさんたちが作った曲です。 



 そういえば、彼女の夢は「沢山の笑顔を作れる人になること」でした。
 もう、次の場所での夢の叶え方を彼女は考え始めているかもしれません。
 そして、きっと彼女は沢山の笑顔を作ってくれると思います。
 劇場で、ネットで、スクールで、そして、メンバーたちにも。

 彼女なら、いつかSKE48の12期生の子が怪我をして悩んで泣いている姿をふと、見つけた時や、17期生の子が無力感に苛まれて泣いている時に、きっと寄り添って言葉をかけてくれると思います。そこに居るのはきっと、昔の自分だから。そして、その言葉には、同じ壁を乗り越えてきたものだけが持つ説得力があると思います。
 そして、笑顔を作ってくれると。

 ※最後にさきぽんの決断を聞いて、イメージした曲AKB48「あの日の自分」を貼ってお別れです。

わくわく企画「自分でセットリストを考えよう」②花束みたいな恋をした公演

 君と過ごした思い出


 さて、帰ってきたセットリストを考えよう企画。
 今回は、1月からジワジワとヒットしている映画「花束みたいな恋をした」をヒントにセットリストを組み立ててみたいと思います。
 ちなみに、「花束みたいな恋をした」はこんな感じの映画なので、予告をチェック!



 ある一組の男女がある喫茶店でばったり会います。二人は元恋人同士でした。二人はそれぞれの思い出を回想していきます。惹かれ合い、別れて、再会。二人は、言葉を交わすことなく別れて行きます。そんな感じで、あるきっけで昔の恋人をふと思い出して、過去を旅して、また現代に戻る物語をセットリスト化したいと思います。
 この映画では男女それぞれのモノローグが入るので、その辺りも意識して組んでみたいと思います。

1、反射的スルー(SKE48)
2、バナナ革命(SKE48)
3、Stand by you(SKE48)
4、いい人いい人詐欺(SKE48)
5、せーので言おうぜ!(カミングフレーバー)
MC
6、寡黙な月(SKE48)
7、好き、好き、好き(AKB48)
8、君について(AKB48)
9、ハートの独占権(NMB48)
MC
10、誰かのせいにはしない(SKE48)
11、金の愛、銀の愛(SKE48)
12、コスモスの記憶(SKE48)

EN1、君がいない世界(カミングフレイバー)
EN2、引っ越しました(AKB48)
MC
EN3、君はメロディー(AKB48)

出演メンバーについて

 今回は、元恋人との再会がコンセプトにあるので、メンバーも「SKE48の入り口になった人」を選んでみました。「この人からSKE48が好きになって今の推しになった」となりそうなメンバーですね。最初は1推しで今は2推しや3推しになってる可能性もありますし、ずっと1推しだよという方もいらっしゃるかも知れません。
 でもね、1推しとして好きだった頃の魅力を思い出したり、ああ、こういうとこがやっぱり好きだな、ああ、こういう要素に惹かれたのかもなあ、というのを発見できる公演にもしたいんですよね。なので、21年現在のパブリックイメージとは少し離れた配置もあります。
 上記の視点で並べると、どうしてもベテランが多くなってしまいましたが、まずはメンバーを見てみましょう!
 

出演メンバー
松井珠理奈・斉藤真木子・高柳明音・須田亜香里・大場美奈・山内鈴蘭・古畑奈和・江籠裕奈

セットリスト解説
 さて、前半のブロックでは、男女の視線を交互に入れながら、恋の始まりまでを描いて行きます。

1、反射的スルー(全員)


 まずは、ふいに主人公が元恋人と再会するところから。この記事を書いている2月26日は、とても暖かい春の訪れを予感させる陽気です。
 思い出せる愛を探りながら、公演が始まります。
 センターは、春のイメージと心の揺らぎというアプローチが、あまり無い気がする須田亜香里で!

2、バナナ革命(全員)
 


 まずは、平凡な毎日を送る二人の目線から。
 実はこの曲、「僕」も「私」も出てこないので、どちらの気持ちとも受け止められるんですよね。やはり、ここはバナナを推している山内鈴蘭さんに、センター行ってもらいましょう!

3、Stand by you(全員)


 まずは、友達になった二人。
 そこから、一緒に出掛けたりして、関係を深め、恋人として意識し始めます。
 個人的に、この曲のメロディがお気に入りです。
 曲の世界観と友達から恋人への変化を上手く演じ分けられそうな、みなるんがセンターでどうでしょう。個人的に、チェックの衣装とみなるんの相性の良さは抜群だと思っています。

 
4、いい人いい人詐欺(全員)


 そして、いよいよ、二人の関係が変わっていきます。まずは、曲調が楽しい「いい人いい人詐欺」。いきなりキスされる歌詞なんですが、草食系の人かと思いきや、実は積極的な一面もあったという衝撃。あえてセンターちゅりバージョンで。彼女がどんな風にこの曲を料理するか楽しみです。

5、せーので言おうぜ!(全員)

 二人の関係が変わる曲をもう一曲。
 実は描かれている時間は、もの凄く短いんですが、その間に脳裏に駆け巡ることが描かれています。先に女性目線の「いい人いい人詐欺」から来たので、今度は男性的な感じがするこちらの曲を選びました。あんな大胆なことをした裏では、こんな葛藤があったのか、的なね。センターは、松井珠理奈で。彼女の明るい面が全面に発揮されそうな気がします。
 
6、寡黙な月(須田亜香里・大場美奈)
 さあ、ここからはユニットブロックです。いよいよ付き合い始めた二人なんですが、歩く時の距離感や言葉に上手く出せないこともあります。でも、信頼し合っている二人の関係が良いですよね。普段はバラエティー色の強い二人ですが、今回は正統派の曲で勝負です。

7、好き、好き、好き(松井珠理奈・高柳明音)
 
 というわけで、「付き合って二か月」が過ぎましたよ。
 付き合っている時のお互いの好き度が重なり合うとは限らないんですが、そのモヤモヤをこんなに可愛く歌詞にするとは、秋元康おそるべし!
 そして、贅沢なコンビの使い方。
 珠理奈が甘えん坊モードでこの歌を唄ったら、ノックアウトする人続出じゃないでしょうか。ちゅりももこういう曲担当では、思いっきり弾けて欲しいですね。
 

8、君について(古畑奈和)
※公式がなかったので、探してみてください。
 さあ、付き合って1年近くが過ぎました。凄く相手のことが見えてきます。
 今度は僕目線の曲です。この記事を書いている僕自身も凄く好きな曲です。様々な固有名詞が出てきますが、2021年現在だと、どんな単語が並ぶのかな、と想像できますし、自分の恋人で歌詞を作るなら、と色々遊べそうな曲でもあります。


9 ハートの独占権(斎藤真木子・山内鈴蘭)
 彼氏の方が相手のことを分かっているように、彼女も相手のことをよく知っていることが伝わる曲を選んでみました。こちらも歌詞は固有名詞が多いですね。メンバーについては、ミッドナイト公演でいつか一緒に出た時に、もっとこのコンビが観たかったので、選びました。

10、誰かのせいにはしない(SKE48)


 いよいよ、別れです。
 コンサートで歌われるのは、1番が多いんですが、実は2番の歌詞が凄く良いんですよ。
 二人の関係性について考える内容で。センターは、あの時、紅組に居なかった斉藤真木子センターで。彼女がどんな風にこの曲のアプローチをするか観てみたいです。

12、金の愛、銀の愛(SKE48)


 さらに別れた時の悲しさを表した1曲を選んでみました。
 ちょっと重すぎるかな、とも思ったんですが、この曲って中盤にいれるよりもセットリストの後ろに置いた方が、より重度が増して良いかなと思いましてね。
 欅坂46が、セットリストの最後にあえて「黒い羊」や「自分の棺」を持ってきて、グループの独自性を作ったように、実は何で終わるかでグループの色って変わってくる気が最近はしています。
 センターは、江籠裕奈で。
 時には、悲しみに暮れた江籠ちゃんの表現も見てみたいと思いましてね。
 
 

13、コスモスの記憶(SKE48)


 いよいよ別れなんですが、悲しい別れではなく、少し明るいメロディでの別れを選びました。引っ越してしまう大好きな人を見送るシチュエーションが切ないですね。きっと、コスモスの花をみる度に、彼女のことを思い出すんだろうな、と聴いていて思います。どうでもいいフリの言葉を言っても、自転車でギリギリ間に合って追いかけるという行動が、凄い青春感があるんですよね。
 最近、攻めた曲が多かった古畑奈和に、あえて王道のアイドルソングを歌ってもらいたいと思い、彼女をセンターにしました。

EN1、君がいない世界(カミングフレイバー)



 彼女と別れた後の男性側目線の曲を選びました。
 時々、別れたあと、自分の思い出を振り返って、あの人とはどんな関係だったらベストだろうと考えることはないでしょうか?
 夢を語り合うような関係だったら、そのままだったら上手く行っていたでしょうか?
 でも、もう君がいない寂しさも微かに感じます。

EN2、引っ越しました(AKB48)

 今度は男性が引っ越す側の曲を選んでみました。
 こちらも肉体的に離れても、心情的には離れることが出来ないんですよね。
 もう、この曲で綺麗に終わろうかな、と思っていたんですが、もう一度、二人を出会わせたくて、この曲はラストから外しました。1推しではなくて、実家みたいに時々帰りたくなるんだよ、という意味も込めてみました。

EN3、君はメロディー

 

 ラストは彼女との様々な想いでが、春のぬくもりと共に終わります。
 その思い出を様々な公演曲で感じてきたので、「君はメロディー」を配置するのがベストかなと思いました。
 きっと皆さんも自分の大切な人との思い出のメロディーがありますよね。
 公演が終わる頃には、入り口になった人達の新しい一面を観て、きっと惚れ直しているんじゃないでしょうか?

 今回は、「元恋人との再会と思い出」をSKE48に置き換えると、「最初に推しになった入り口の人」なんじゃないかというアプローチで書きました。
 いつか、推しが卒業して、もう二度と会えないとしても、曲の中やyoutubeのサイン動画やshowroomの配信アーカイブの中に、僕らの日々は残っているはずです。

 今回は、引っ越しのドタバタがあったり、メンバーの配置がなかなか定まらかったりして、更新するまでに時間がかかって申し訳ないです。また、閃いたら、セットリストを組んでみますね。

※前回のセトリ記事はこちら!

2021年2月17日水曜日

「SKE48 Passion For You」をしていた頃

 「あの頃」


 2月19日から公開する映画「あの頃」の原作本を読みました。


 映画で描かれるハロプロは、通るどころか、当時はロック大学オルタネティブ学科に通っていたので、「アイドル?誰が聴くかよ、ぺっ!」みたいな感じで、池の鯉に麩菓子をあげてヘッドフォンの音量を更に上げるという毎日でした。
 しかし、この本の中に書かれている物語が、本当に面白くてですね。
 僕は現場で会うヲタの人というのはいませんし、単独行動大好き人間なので、オフ会というのも体験したことはありません。しかし
、このファンの方々のコミュニティが面白くてですね。アイドルというカルチャーを通して、熱く議論し合い、時には喧嘩したて仲直りする。現場の思い出を熱く語りあう。
 時代が経つに連れて、物語の軸はアイドルを推すことから、仲間たちのことに変わっていくのもわりと好きでした。ずっとハロプロが好きなままの人もいれば、徐々に離れて行く人もいます。
 まあ、人間なので、もの凄くフルスピードで何かにハマることもあれば、「ああ、そういうものがお好きなんですってね」と遠くから見守ることもあると思います。
 僕もSKE48に関しては、推しが休業中なのでフルスピードではないですし、毎年楽しみにしていた仮面ライダーシリーズから、ついに今年脱落したので、人生分からないものですね(知ったような顔で)。ただ、みんなで一つの物を推すという経験がなかなか無いので新鮮な物語でしたし、少し羨ましかったです。
 
 さてさて、今日ついに「SKE48 Passion For You」のサービス終了のニュースが届きました。ああ、ついに来たか、というのが最初の感想でした。
 思えばリリースされた2013年11月の時点で、「こ、これは果たしてゲームというのか?」という疑問を抱きながら始めましてね。
 学生時代「バーチャファイターは数学」という謎の美学のもとに、時間と金を無駄につぎ込みながら対戦相手に心理戦をしかけ、「スト3 3rd」や「KOF」にのめり込んでいた人間からしたら、あまりにも知っているゲームと違い過ぎて、「こ、これは自分で面白さを作るタイプのゲームなのか…。なんか、一気にゲームボーイぐらいまで戻された感じがする」と戸惑いを隠せませんでした。
 しかし、徐々にこのゲームに置いて重要なのは、ガチャで出てくるカードの「特効」であることだと分かってきます。イベントで上位に行くことで、レアなカードを手に入れることが出来るんですね。
 
 そして、ゲームの中だけだったレベルやレアリティや特効が、リアルでも有効になっていきます。ラジオ番組の出演枠を争うイベントが開催されたからです。
 「そんなもん、参加するかよ!へっ!」と池のワニに麩菓子をあげて、僕は静観していたんですね。
 やがて、2014年ぐらいから、ゲーム内でチームを作ることが出来るようになります。
 僕は「中西優香推し」というめちゃくちゃ正統派なチーム名で、仲間を募集することにしました。今思えば「マイティウォーリアーズ」とか「鬼邪高校」みたいな、カッコいい名前にすれば良かったですが、当時は「ゲームの中で同じ推しの人に出会えるかなあ、友達100人できるかなあ」みたいなフワフワした感じでいたわけです。
 やがて、「中西優香推し」は、徐々にメンバーを増やしていきます。
 男性女性のバランスで言うと6:4ぐらいで、流石は女性ファンの多い中西推しという感じだったと思います。
 
 ある時、「推しのメンバーが、撮影時に身に着けたリアルアイテムがもらえるよ」というイベントが開催されます。
 「はは、そんなもんいるかよ」と池のクラーケンに麩菓子をあげながら、タダ券でガチャを回した僕は当時最高レベルの特効のSSRを引きます。
 急に頭の中に鎧武乃風が流れ初めましてね。

 

 いっちょ、やってやるか、と初めてイベントに本格的に参加しました。
 初日は、全力でスパートをかけて1位で終わりました。
 朝起きると、2位の方に抜かれていました。
 そこで、生まれて初めて課金というものをして、ガチャをさらに回し、アイテムを買いそろえると、全力でイベントを進行しました。何回もスマホがヒートエンドして、再起動しました。朝の4時まで回して朝の8時から再スパートすることで、2位の方との差は10万ポイント差が開きました。
 やがて、イベントが終了する2日前に2位の方からメッセージが届きました。
 この時点で2位の方との差は30万まで開いていました。
 「もう、これ以上は無駄な戦いはやめましょう。多分、3位の人も追い抜けないと思います」
 「わかりました」
 そう返信して、僕は2位の人との差を33万まで開けました。
 最終日に僕の1位が決まり、AIIAさんから「住所と連絡先教えてくんなんし」というメールが届き、数週間後に商品が届きました。これを手に入れるまで費やした時間とお金を考えても、まあ、ギリギリ許せるかなという商品でした。

 このイベントで燃えつきた僕は、チームのリーダーをある女性メンバーの方に譲って、ゲームをやめる予定でした。しかし、「あなたがいるから、うちのチームはチームワークが良いんですよ」的なことを言われて残ることになったんですがね。
 そういえば、何のイベントもない平和な時には、「一番楽しかったコンサートって何でした?」とか「2推しは誰ですか?」とかチーム内でお題を出してそれぞれの話を聞くのが楽しかったな、と思いまして。「あの時、あの辺りの席に居た」とか「宮澤佐江のコンサートの前夜祭は中西Tシャツで行こうかな」とか、他愛もない話なんですが、SNSもやってなかったんで、それが楽しかった記憶がありました。

 チームで行うイベントといえば、レイドイベントがありましたね。
 ボスにチームのメンバーみんなで攻撃していくイベント。
 あれも、チームの掲示板で「19時ぐらいから来れる人いますか」とか「今回、ガチャ回してないです」「いえいえ、出来る範囲でいきましょう」とか、そういうコミュニケーションもしていたなあ、と思い出してきました。
 年に1回だけ、バトルリーグをみんなで本気を出して、勝ち上がったこともありました。みんなで成功体験を分け合う楽しさがあって、個人で手に入れたリアルアイテムよりも素敵な賞品でした。
 
 やがて、中西優香は卒業し、僕は仕事が忙しくなって「Passion For You」をやらなくなりました。
 数か月ログインしないと、チームメンバーから外れます。
 確か、岡田美紅推しに僕がなって、「中西優香推し」に再び入れてもらった時は、古参のメンバー数人で回していたのではないか、と思います。
 そして、僕はまたすぐにログインしなくなり、最終的にリアルでコミュニケーションのある方の推しのサポートの為に、「中西優香推し」から離れて、もう二度と戻ることはありませんでした。ゲーム自体もほとんどやっていません。

 多分、僕みたいに徐々に触らなくなったユーザーもいるんだと思います。
 思えば、ゲームというよりは「作業」に近いあの空間の中でも楽しく過ごせたのは、「中西優香推し」の皆さんのおかげだと思っています。

 なんだ、僕にもあったじゃん、「あの頃」。



2021年2月14日日曜日

わくわく企画「自分でセットリストを考えよう」① 世界が文学なら公演 

 配置を変えて見えて来るもの、最初から提示されていたもの


 さて、一つ前の「セットリストと重力」の記事でセットリストについて書いてみたんですが、その最後に自分なりにセットリストを作ると楽しいよ、的なことを書いたので、僕もやってみたいと思います。


 ルールは48と46と関連するユニット曲は全部OKとさせていただきました。
 公演メンバーは、今のルールにのっとって8人としました。

 それでは、まずはセットリストを考えますよ。
 

0、OVERTURE

1、恋を語る詩人になれなくて(SKE48)

2、暗闇(STU48)

3、想像の詩人(NMB48)

4、希望について(NONAME)

MC

5、君は僕だ(前田敦子)

6、四字熟語ガール(NMB48)

7、JOKER(山本彩)

8、10クローネとパン(AKB48)

MC

9、ドガとバレリーナ(NMB48)

10、誰かの耳(SKE48)

11、ときめき草(乃木坂46)

MC

12、前のめり(SKE48)

EN1、波が伝えるもの(AKB48)

EN2、君の名は希望(乃木坂46)

MC

EN3、手紙のこと(SKE48)


メンバー 

都築里佳、古畑奈和、惣田紗莉渚、野島樺乃、北川愛乃、入内嶋涼、深井ねがい、澤田奏音

 キャリアと表現力で選びました。
 特に演技経験がある人、歌える人、読める人、書ける人で選びました。
 ギリギリまで大場美奈さん、鎌田菜月さん、竹内ななみさん、五十嵐早香さんを入れようか迷いましたが、このメンバーにしました。9期10期の二人に関しては、最近のブログや配信が良かったので、期待の意味を込めて。


公演について

 実は、「制服の芽」公演の1曲目と最後の曲を変えてないことに、お気づきになりましたでしょうか?
 この「恋を語る詩人になれなくて」で、「詩人」つまり、「書くこと」という行為をする人になれないと思っていた人が、公演の最後に取っていたことは何か?そう、手紙を「書くこと」なんですよね。「詩」で用いられるような美しい言葉ではなく、等身大の言葉で。その距離の間には「君」との出会いがあったんです。
 今回の「世界が文学なら公演」は、秋元作品で美しい歌詞のものを並べつつ、「制服の芽」公演の最初と最後に秘められたテーマをより拡張できればと思いました。


1曲ずつの選曲理由とメンバー

① 恋を語る詩人になれなくて(SKE48) 

 
 これは全員曲ですね。
 「恋を語る詩人になれなくて」という、「なんだその初めて聞く日本語」というタイトルから、遠くから見つめているだけで良い、語らなくて良いという主人公のスタンスから公演はスタートします。
 センターは、SKE48の王道曲なので、野島樺乃ちゃんでどうでしょう?

② 暗闇(STU48)


 こちらも全員曲ですね。
 サビで「夜よ僕を詩人にするな」とキレイな言葉で語るのではなく、もっとふさわしい言葉があるのではと自省していきます。
 そして、「目を凝らしてみれば何かが見えて来る」と世界を見て行くことを意識します。
 そう、書いて行く上で外の世界を「見る」ことが重要であると。
 「独り言で語るぐらいなら」と迷いましたが、今回の公演との関係を考えるとこちらの方が相性が良さそうなので、選びました。
 ブログを読んでものの見方が面白いな、と最近気づかされた入内嶋さんのセンターで見てみたい1曲です。彼女はどんなことを思いながら、暗闇を歌うんでしょう?


③ 想像の詩人(NMB48)


 こちらも全員曲です。
 「透明な僕」が、ここではないどこかを想像する歌詞です。
 タイトルにもなっている「想像の詩人」は、自分の中に潜んでいるでは、と僕は解釈しています。
 3曲目とは逆に自分の内面の声に耳を澄ませて表現する必要もあるな、と思い選びました。
 未来を予感させる曲でもあるので、澤田さんセンターで聴いてみたい曲です。

④ 希望について


 こちらも全員曲です。
 じゃあ、「書く上で」何を語るのか?
 「希望について」でしょう!
 歌詞のレイヤーが増えるようにしたかったので、この位置にしました。
 本当は1曲目の位置が良かった気もしますが、今回はコンセプトにしたがってここで。
 もともと、声優選抜曲なので、ぴよすセンターでどうでしょう?

⑤ 君は僕だ(前田敦子)


 ソロ曲ですね。
 北川愛乃、入内嶋涼、深井ねがい、澤田奏音の4人から日替わりでどうでしょう?
 入らなかった3人で次の曲ですね。
 なんとなく、よこにゃんやねがいちゃんのような関西メンバーと相性が良さそうな気がしますし、入内嶋さんや澤田さんの明るい雰囲気とも相性が良さそうな気がしたので、選びました。
 歌詞のポイントは「目を合わせない」、「人見知り」で、みんなのように上手く生きられないところが、僕と似ているという内容で、「透明な僕」と共通点が多そうでこちらを選びました。
 
⑥ 四字熟語ガール


 北川愛乃、入内嶋涼、深井ねがい、澤田奏音の4人から3人日替わりでどうでしょう。
 ずっと男性目線曲が続くと疲れるのと、何かを書いていくには言葉が必要と思いましてね。日本語を声に出した時の面白さを込みで楽しめそうなこの曲を選びました。
 なんとなく、よこにゃんの髪がサビで左右に揺れるところまでイメージ出来てます。

⑦ JOKER(山本彩)


 こちらもソロ曲ですね。
 都築里佳、古畑奈和、惣田紗莉渚、野島樺乃の4人から日替わりでどうでしょう。
 「君は僕だ」と対になるように選びました。「目を逸らす癖」や目を凝らしてみることによって「少しの変化」を見られるようになっていくのではないかと思い選びました。
 最初は、古畑奈和のソロで聴きたい!と思っていたんですが、他にも聴いてみたいメンバーが出てきたんで、もう、日替わりで行けば良いんじゃないだろうか、と思いましてね。
 公演に飽きてきたら、「君は僕だ」の4人と入れ替えでも良いと思いますしね。入内嶋さんバージョンとかも熱そうですね。
 
⑧ 10クローネとパン(AKB48)
 ※公式動画がないんで、探してくんなんし。
 都築里佳、古畑奈和、惣田紗莉渚、野島樺乃の4人から3人日替わりでどうでしょう。
 なんとなく、見るばかりで想像しないと、文学感がないなと思いましてね。
 「想像の詩人」の「遠く」をイメージできる曲はないかな、と思って、こちらを選曲しました。
 歌唱力が問われる曲ですし、歌詞の世界観が絶望の中で文化がいかに重要で、希望になるのかを教えてくれる曲です。
 
⑨ ドガとバレリーナ(NMB48)
 ※公式動画がないんで、探してくんなんし。
 全員曲ですね。
 歌詞の中の風景がとにかく美しいんです。
 「書く」と隣接した「描く」ことのきっかけが曲の中で語られていきます。また、描いていく上で「見る」ということについても意識させられます。
 「記憶」を具現化していく方法を探していく過程も意識させられる隠れた名曲だと思っています。
 センターは、芸術家のよこにゃんで。

⑩ 誰かの耳(SKE48)


 全員曲ですね。
 「書く」ことについて公演の主人公が探っている中、「書く」ことの悪い例も出しておきたいと思って選びました。
 単純に曲の強度が強くて、発表されて2年経っても「今の問題」をきちんと捉えられてるんですよね。デマを流して楽しければ、ノリだったら許されるのか?
 傷つけられた側の気持ちは?僕らは気軽に書けるようになった代わりに、「考える」ことや「練る」ことを忘れ始めているのかも知れません。
 センターは、深井ねがいちゃんで情念爆発モードでやって欲しいですね。

⑪ ときめき草(日向坂46)


 全員曲です。
 人を好きになる瞬間について書いた歌詞なんですが、日々の積み重ねの中で、突然、ハッとするという秋元康大好きパターンですが、それを植物の開花と合わせたのが好みです。
 あとは、「誰かの耳」を浄化できそうな曲はないかなと思って、爽やかなこの曲にしました。
 センターは、さりーで観てみたい1曲です。

⑫ 前のめり(SKE48)



 本編ラスト曲ですね。
 実は「この涙を君に捧ぐ」を挟むのも良かったんですが、他の曲との関連性が薄いので、今回はボツにしました。
 「前のめり」の歌詞は、「初期衝動の復活」だと思うんですよね。
 夢中になって頑張る「君」の姿を見て、自分も「前のめり」になる。
 この公演においては、書きたいという気持ちの代弁になるでは、と思い本編のラストに置きました。あと、盛り上がる系の曲が少ないので、バランス調整も兼ねてます。
 センターは、古畑奈和で締めてもらいましょう!

EN① 波が伝えるもの(AKB48)


 アンコール1曲目としては、意外な選曲かも知れませんが、物を言わない流木の声を聞くという歌詞の世界観がまさに文学でしてね。
 物が辿り着くまでの過程を想像して、それを自分のこれからと感じ合わせていく感じが好きで選びました。
 ちょっと和の匂いがするメロディも好きで、今回選んだ8人にも似合いそうかなと思いアンコール明けに配置しました。

EN2 「君の名は希望」(乃木坂46)


 全員曲ですね。
 坂道シリーズの歌詞では、「悲しみの忘れ方」と並ぶくらい美しいものだと思います。
 「透明な僕」と「透明人間」。
 「目を合わせない」と「ずっと無視してたら」と共通点を探していきました。
 更に、「君」との出会いによって感情が生まれ、世界が少しだけ違ってみえた。
 そして、「希望」とは何かが徐々に見えて来るところが本当に素晴らしいです。
 これでラストに繋げます。
 ちなみに、ボツにした案としては、「石榴の実には憂鬱の種が何粒詰まっている?」でした。歌詞が本当に良いんですが、もう結ばれた後の関係だったので、今回はボツにしました。

EN③ 手紙のこと(SKE48)
※公式動画がないんで、探してくんなんし。
 最後は、やはり「書く」ということで終わりたいと思います。
 そして、「君」のことを考える時間が楽しくて、その思いは出さずに終わるという切ない終わり方も良くてですね。思わず、晩年のサリンジャーか!とツッコみたくなりましたが、手紙という本来、誰かに伝えるための言葉が自分に返っていくところが好きです。
 「詩人」が使うような綺麗な言葉ではなく、等身大の自分の言葉で書いていく。
 SNSのようにパブリックではなくて、手紙という少し私的なものが、「独り言」とつながるような気がします。

終わりに
 これで、今回僕が考えた「世界が文学なら公演」の紹介は終わりです。
 自分でセットリストを考えることで、曲の持つ重力や配置についても発見がありますし、この曲と関連しそうな曲はあるかな、と考える楽しみもありました。
 ぜひぜひ、皆さんも楽しんでみてはいかがでしょう?

※「セットリストと曲の重力」についての記事はこちら!

セットリストと曲の重力

新しい組み合わせを求めて


 日本語ヒップホップのパイオニアの一組であるRHYMESTERが初のオフィシャルブック「KING OF STAGE」を発売しました。



 これが物凄く面白くてですね。2019年の全国47都道府県ツアーの名物写真と共に、3人のライブに関するトークが48回分収められています。更に、ゴスペラーズの村上さんやクリーピーナッツのDJ松永も参加している座談会も、新しい発見があって非常に面白かったです。
 日本語ラップを普段聴かない方にも、ライブの見方が増える良書だと思うので、おすすめしたい1冊です。
 さて、その中で、気になる章がありました。
 それは47箇所もライブハウスやホールを回るので、セットリストを彼らが変化させている点です。
 まず、大きく2つにタイプが分けられます。
 一番古いアルバムの曲から最新の曲まで進んでいく「順行」と、一番新しい曲から始まって古い曲で終わる「順行」のセットリストの2タイプです。
 さらに、リピーターの為に、要所要所で曲の置き所をかえたり、重要な曲の前にどの曲を持ってくるかを考えたりしているそうです。
 ちなみに、古くRHYMESTERを応援しているファンの方からは、「逆行」のセットリストが評判が良いそうで、後ろに行けば行くほど、曲の持つ「重力」、つまり持つ意味が深くなっていくそうで、セットリストを考える時に非常に重要だそうです。
 同じことはスガシカオさんが、月刊カドカワのインタビューの中で、物凄く陽気な曲でもセットリスト次第ではお客さんを泣かすことが出来ると語っていましたが、それに近いことかなと考えています。

 これはなかなか、面白そうだ、と思いまして、試しにSKE48の「制服の芽」公演を「逆行」で再生して行ったんですね。
 1曲目が「手紙のこと」、ラストが「恋を語る詩人になれなくて」。
 結果としては、好きな公演曲ナンバー1の「手紙のこと」が少し軽くなっちゃう感じがするんですね。「恋を語る詩人になれなくて」で終わると、「俺たちの戦いはこれからだ!」感はあるものの、やはり、違和感があるんですね。最後に置くと「詩人」の疾走感を損なってしまうんじゃないかとね。
 そう考えると、「手をつなぎなら」公演や「ラムネの飲み方」公演なんかも、凄く計算されて作られたものなんだな、と改めて考えさせられました。
 そうそう、「仲間の歌」が公演ではラストに来ないけれど、コンサートだとラストに来るのは何故か、なんかも考えさせられました。おそらくカタルシスとお客さんの出す歓声の量が関係してくるのかと思っています(コロナのせいで、なかなか大声で歌えませんが、いつか、また大声で叫びたいですね)。
 
 「僕は知っている」なんかも、コンサートの最初か最後に来ることが多くなっていますが、全国握手会のミニライブでは、意外な曲で始まったり終わったりするので、様々なセットリストの実験があり、面白かったものです。
 
 じゃあ、この並びが良いなと思うセットリストはどんなものでしょう?
 まず、頭に思い浮かんだのは、2013年のガイシ2日目夜です。
 「強き者よ」から始まり、感動の「眼差しサヨナラ」を始めとした卒業メンバーをセンターにしたユニットブロック、そして、「遠くにいても」からの「それを青春と呼ぶ日」の流れは、今観ても心を揺さぶられます。アンコールでの「仲間の歌」でのカタルシスを含めて、卒業公演ということを差し引いても素晴らしいセットリストだと思います。
 SKE48のコンサートの歴史を見て、ガイシでのコンサートは本当に良いセットリストが多くて、2012年の2日目や2018年の夜のセットリストも好きです。

 次にメンバーが組んだセットリストの中で良いものは何でしょう?
 まず、思い浮かんだのは、松井玲奈の卒業コンサート「2588DAYS」の1日目です。
 シングルのヒット曲から始まり、メンバー強みを生かしたユニットブロックが印象的で、「少女は真夏に何をする」、「花火は終わらない」、「不器用太陽」という夏を連想させる曲たちを上手くメンバーにあてはめていったのは、もう「お見事!」と「スパイの妻」の蒼井優みたいに叫びたくなりました。
 そして、明るい曲を多めに配置した「写真撮影OKブロック」を挟み、再び、メンバーの個性を生かした曲が並んでいくんですが、「奇跡は間に合わない」の宮澤さん、「Glory days」の珠理奈と直球勝負すべきところは、直球勝負する姿勢も良いんですよね。
 そして、再びシングルが続き、「僕は知っている」で本編を終え、「神々の領域」で雨の中アンコールが始まるんですよね。そして、「前のめり」で終えるという素晴らしいセットリストでした。未だに作業のBGMとしてこれを「AKB映像倉庫」で流しながら聴くことが多いです。
 
 もう一つメンバーが作ったセットリストで印象に残っているのが、かおたんこと松村香織の卒業コンサートの昼公演「かおたんのリクエストアワー2019」です。
 一見、かおたんが好きな曲を並べただけに見えるんですが、実は物凄く自由度が高いですし、もの凄く盛り上がるセットリストになっているからです。
 皆さんがコンサートで「キター!」とか「マジかっ!」となる時はどんな時でしょう。
 重大発表とか新曲お披露目もあるかも知れませんが、「この場面でこの曲がまさか来るとは!」とか「この手があったか!」という選曲が来た時ではないでしょうか。自分だけが知っている名曲が出てきた時や、あの名曲がついに来たとかね。あとは、自分の予想を裏切る曲が来た時もそうですね。
 僕の場合、GLAYがコンサートで「ルシアンヒルの上で」をカバーしたり、ピロウズが「巴里の女性マリー」を数十年ぶりに歌い始めり、さだまさしが3000回目のコンサートで「絵はがき坂」から歌い出した時とかがそうです。

 話を「かおたんの「リクエストアワー」に戻しましょう。
 このコンサート、僕行けなかったんですよね。もし、行けた方がいたら、実際に観た時の感想を教えていただければ幸いです。
 まず、バレンタインが近いということで「チョコ」関連の2曲で始まります。
 そして、いよいよ「リクエストアワー」はスタート。
 思えば「リクエストアワー」形式にすることで、いつも以上にセットリストに意識を向けられつつ、「この曲がここに来るか」という通常の楽しみ方と「ああ、こういう曲がかおたんは好みなのね」という要素も加わるわけです。
 普段は光が当たることが少ない総選挙ランクイン曲の「ドレミファ音痴」や「だしない愛し方」が入っているのも曲を大事にしていて良いですし、「片想いFinally」のような正統派の名曲も入っているバランスの良さがあります。
 しかし、「キター!」とテンションが上がったポイントとしては、「不協和音」と「プライオリティ」でしょう。驚きの要素とどうやってこの曲を料理するんだという感じですね。
 「不協和音」はゆななの新しい顔を見せてもらえた気がしますし、難波の超イケメン曲をみこってぃが見事に歌いあげるとはという驚きがありました(みこってぃ女子人気ありましたもんね)。
 僕の趣味で言うと、「猫の尻尾がピンと立ってるように…」が入っていたのが、流石かおたんとなりましてね。BOSEくんのリリックも好きなんですが、フロウも気持ち良くてよく散歩する時に聴いているんですが、なかなかSKE48のコンサートで聴けないのが寂しい名曲だったんですよね。
 ベスト3は納得と驚きが交差した配置になっていて、「47の素敵な街へ」はSKE48が日本中から集まった仲間で構成されていることを意識させられますし、「Vacancy」はこの曲の歌詞の良さを改めて意識させられると思います。
 そして、1位の「ひこうき雲」の解放感。
 もう、お見事としか言いようがありません。
 曲の世界観やアップカミング公演のドラマも含めて、多幸感溢れる1位です。
 締めとアンコールは盛り上がり曲で固めてしっかりと、お客さんの「SKE48のコンサートに行ったらこれ聴きたいな」を実現しているセットリストになっています。
 ううむ、入れたファンの方々が羨ましい。
 ちなみに、このコンサート、メンバー視点から見るとどうだったんでしょう。
 まずは、2019年2月7日のさきぽんのアメブロを読んでみましょう。

 そして、鎌田さんのアメブロ。

 曲という開けたものの中に、メンバーとファンそれぞれの小さな物語が呼び起こされていたんですね。この辺りも素晴らしいセットリストの条件かも知れません。演者、裏方、観客、それぞれの心を動かせるか。

 夜公演は「AKB映像倉庫」にアーカイブされていますが、こちらも良いセットリストなのでおすすめです。

 ここまでは意図的にセットリストを組んで行った例を挙げていきました。
 しかし、偶発的に良いセットリストになることもあります。
 そう、我々ファンが投票する「リクエストアワー」ですね。
 ただ、どうしても年が進むに連れて、「1位に何が来るんだ!と」いうところに意識がいきがちになってしまいますが、2018年のトップ3の並びは、「王者の凱旋」、「遥かな歴史の階段を」、「最初で最後の1位」と素晴らしい並びになっていた思います。また、2013年の2日目のセットリストは今観ても、1位に向けてSKE48という街を旅していく感じが好きです。辿り着いた「羽豆岬」の海の美しさはメンバーたちの涙を含めて忘れられません。

 それじゃあ、ずっとセットリストが変わらない劇場公演はつまらないのか、というとそうではありません。
 最初に試してみたように計算されたセットリスト順であるということもありますが、12年間以上のアドバンテージがあります。先人たちが様々なアプローチをしていた曲を今日もブラッシュアップしていきます。よく考えれば新曲ってレコーディングの時点ではまだ唄いなれてない状態ですよね。そこからライブで繰り返し唄いながら一番良い形を見つけていくのでは、と僕は思います。
 SKE48の場合、「チョコの行方」の「やきもきやきもき」コールや「誰かの耳」での大サビ前のメンバーの叫びなんかは、公演の中で育っていった曲ではと考えています。

 2021年2月14日、現在、SKE48の大箱公演はなかなかありません。
 しかし、松井珠理奈や高柳明音の卒業公演は、おそらく二人の想いが込められたものになるのでは、と今から期待しています。
 ちゅりの卒業コンサートは、「なんボヘ」いれてくれたら嬉しいですし、珠理奈の卒業コンサートはもし、「バケット」を入れてくれたらたまりません。

 たまには、自分でセットリストを組んでみて、曲の新しい魅力を発見してみるのはどうでしょう?
 えっ、僕の場合?
 ちょっとだけ、考える時間をください。

2021年2月11日木曜日

2001年度世代 8人の曲者たち

 刺激的なこれから


 


 今年もAKB48グループの成人式がありましたね。
 年代ごとにくくるというのは古い考え方だとは思うんですが、スポーツなどの世界で「黄金の世代」というのがあります。大豊作の年というかね。それは加入した年もあると思うんですが、生まれた年度でくくってみるのも面白いのではないかと思いましてね。
 少し気が早いですが、来年成人式を向かる年度のメンバーをチェックしてみたんですよ。まずは、この8人の名前を見てください。

 野島樺乃、末永桜花、杉山愛佳、井上瑠夏、坂本真凛、荒野姫楓、赤堀君江、五十嵐早香。

 なんというか、個性の強い8人が揃ってるなあ、と思います。

 ちなみに、卒業生には小畑優奈や町音葉、一色嶺奈という逸材たちもいます。

 ううむ、2001年度世代、おそるべし。

 まずは、7期生の3人なんですが、野島さんはもうソロプレイヤーとして輝き初めてますよね。ソロ曲を手に入れたので、次はソロアルバムですかね。自分の曲を持っているということは、自分の世界観をステージの上で作りやすくなります。今年に入って「制服レジスタンス」や「かのきー」と衣装の着こなしの幅も広がっていますね。これから野島さんが自分のスキルを元に、どんどん外に出て行って知られて欲しいなと思っています。


 次におーちゃんなんですが、彼女は既にソロコンサートを行っていますし、「触らぬロマンス」でセンターも経験しています。更に演技の仕事も始まりましたね。
 ストイックで自分の道を進む彼女。趣味の分野でも大活躍していて、決してにわかではないものだからこそ、次はどんなことを語るのだろう、と連載も決まっていくんでしょうね。大事に伸ばした長い髪を振り乱すパフォーマンスと趣味への愛のギャップが素敵です。


 あいあいに関しては、もう、チームSの愛されキャラですよね。
 一時期はダンス番長で、お米大好きキャラでしたが、ティーンズユニットのPR動画や速報の動画を観ていると、「きれいなお姉さん」へと進化を遂げていますね。特にカメラ目線で喋る時は、「あれ、こんなに静かに喋る時の彼女って美人だったっけ」と発見させられるぐらいの進化でした。彼女がユニット曲なんかの中にいると、目が持っていかれるんですよね。MCだととても愉快なんですが。彼女自身も「杉山愛佳しかできないこと」について少し語っていましたが、親しみやすさもあるのかも知れません。


 8期生はるーちゃんと真凛ちゃんの二人。
 まず、るーちゃんに関しては、松井珠理奈が「AKB48における小嶋陽菜、SKE48における大矢真那」と評していましたが、これは流石は珠理奈というドンずばの評価でした。特にこじはる的な要素は、最近の48グループには薄くかった気がするので、自分だけの色を持っている貴重なメンバーだと思っています。
 個人的には、「わたしたちの公演」動画で自分のことなのに「るーちゃん…」と言っていたのが本当に面白くて、この子は絶対色々なところに連れて行くことで、まだまだ面白くなる!とワクワクさせる存在です。

 そして、真凛ちゃんですね。
 彼女とSKE48の関係を考えた時に、SKE48は夢であり、救いでもあったというドラマがあります。また、公式ブログでの絵日記も本当にほのぼのとするものが多くて、通っていたダンススクールの先生の懐かしい匂いを感じたものです。
 明るい「やったね!」というキャッチフレーズと声も良いんですが、最近はどんどん「お嬢さん」感が増してきましてね。
 ファンからメンバーへというドラマから、今度はメンバーとして夢を叶えて行くというドラマが見られるかと思うとワクワクしますね。個人的には成人式までに沢山笑って欲しいメンバーの一人です。


 9期の二人も面白いですね。
 まず、荒野姫楓さん。
 本当にスタイルが良いんですよね。
 集団の中に居ればいるほど、そのスタイルの良さが生えます。
 服の趣味も良くて、何故、もっと早く気付かなかったんだ、なーやんばかり注目している場合じゃなかった!と後悔しました。モデル仕事が回ってきて欲しいですね。
 ちなみに、彼女、イラストが上手いんですよね。
 そして、Twitterを確認すると、毎日リプ返をしているんですよね。
 平均して50以上のコメントにリプしている様子を辿っていくと、「よせ、死にたいのか!」と思わずタオルを投げたくなりますが、このなりふり構わない泥臭さは、勝利よりも大きなドラマを生み始めている気がしました。自分の日常に推しが直接打ったコメントが入ることの積み重ねって、もの凄く大きいと思っています。
 

 赤堀君江さんに関しては、ワサビだと思っています。
 昔のAKB48にはワサビになるメンバーがいました。
 板野友美や篠田麻里子のような感じです。
 僕が好きな日向坂46だと斎藤京子がそれにあたると思います。
 昔のモー娘。はワサビが効きすぎて、僕は食べたくなかったですし、乃木坂にはワサビが入っていないように僕は感じます。
 だから、赤堀さんを見た時に、久しぶりにスタートから自分の色を持った子が入ってきたなと思いました。
 しかも、公演が大好きというギャップも良くて、ひたむきな姿勢に好感が持てます。
 久しぶりに女性ファンや全く違うジャンルのファンを引っ張ってこれるのが、彼女だと思っています。


 10期生は五十嵐早香ですね。
 彼女に関しては、めちゃくちゃ長くても良かったらこれ読んでおくれやす。
 https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/03/blog-post_21.html

 「そんなの読むかよ、ぺっ!」という方の為に書いておくと、独特のワードセンスですよね。MCの時もブログの時も。そして、後藤楽々とはまた違った海外の学校で育った魅力が彼女にはありそうです。
 再び帰って来た時、どうなっているか分かりませんが、五十嵐早香の物語の続きを僕はみたいなと思っています。

 こうして、8人の魅力を書いていきましたが、それぞれの得意分野がバラバラで、この8人で公演をしても面白そうな気がしました。
 今は、「曲者たち」と書きましたが、3年後には「勝利者たち」とか「トップランナー」とか「ハイパーメディアクリエイター」とか、また違った魅力を見せてくれるに違いないと思っています。

※96年世代の4人について書いた記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2021/02/blog-post_11.html

96年世代、4人の挑戦者たち

 黄金の世代


 今年の始めに講談社学術文庫で発売された坪内祐三さんの「慶応三年生まれ、七人の旋毛曲り」という本が非常に面白いです。
 慶応三年に生まれた夏目漱石、宮武骸骨、南方熊楠、幸田露伴、正岡子規、尾崎紅葉、斉藤緑雨の7人が、それぞれのタイミングで世に出て活躍し、日本の文化にどのような影響を与えていったかを書いたエッセイである。上記の7人だけでなく、明治期を代表する有名人たちが引用される参考文献の至るところに出てくるので、読んでいるだけで明治期の文学史の勉強にもなるので、おすすめです。
 僕自身は、大正期から昭和初期の文学が研究対象だったので、自分が研究していた作家たちが学生時代に観ていた憧れていた東京の文学界や、彼らの師匠筋やカウンターの対象にあたる人達の「生き方」を勉強し直せたのが、とても楽しかったです。

 さて、読み終わってから、ふと、こういうアプローチをSKE48でするとしたら、どの世代に成立するだろうと思いましてね。
 多分、48グループ全体で見ると、91年生まれが重要な世代だと思います。
 前田敦子・高橋みなみ・板野友美・柏木由紀・北原里英・大家志津香と、一般の方でも名前と顔が一致するメンバーばかりだと思いますし、それぞれが持つキャラクター性もバラバラですが多くの人達の心を掴みました。

 SKE48では、松井玲奈・高柳明音・須田亜香里の3人が挙げられます。
 もうこの3人だけで、充分、SKE48に重要な要素を作っているじゃないか、と考えると思うんですよね。松井玲奈の表現力と時折見せる狂気・高柳明音の熱さとリーダーシップ・須田亜香里の握手力と自己プロデュース力。黄金世代であることは間違いないと思います。しかし、この3人でSKE48の中核を語るには、まだ足りない気がします(かおたんが1歳年上なのが非常に惜しかった)。

 そこで、もう少し下の世代を見て行きましょう。
 僕が注目したいのは、1996年世代。つまり、平成8年4月1日から平成9年3月31日生まれの4人です。
 松井珠理奈・古畑奈和・鎌田菜月・青木詩織です。



 この4人の共通点は、何でしょう?
 それは、彼女たち4人がそれぞれ挑戦者であることです。

 彼女たちが48グループ内で置かれた状況は、必ずしも恵まれているとは言えませんでした。「はっ?松井珠理奈とか超推されだろ?」と思われるかも知れませんが、小学生の頃からアンチがワラワラいる、なんなら週末に握手ついでに、あなたの居るところへ会いに来る人生って経験したことがありますか?
 「AKB48を超える」、「総選挙で1位になる」そんな途方もない目標を自分だけのものではなく、色々な人から託されるようになったことがありますか?
 恐ろしいぐらい高い目標に向けて、全力で走りつづける姿に心動かされた人は多いんじゃないでしょうか?僕もその一人です。
 しかし、140キロ以上のスピードを出し続けた車は、ブレーキを踏むと反動で運転手を殺してしまうように、珠理奈は止まらない生き方を選びます。その反動が要所要所に出ますが、2018年ごろにもろに出てしまったのではないかと思います。
 以前、「松井珠理奈がSKE48のダンスの基準を作った」と秋元康が公式本の中で語っていましたが、それは別にダンスだけではなく、精神性もそうだったのかも知れません。
 今年の彼女は、プロデューサーとしての1面もそうですが、彼女自身の人間性の掘り下げをyoutubeで始めています。電光石火に銀の靴(分かった人は映画ヲタクと見た)のカリスマではなく、親しみやすい一人の女性の姿がいつもそこにはあります。
 そう、新しい挑戦を卒業に向けて彼女は始めているわけですね。

 

 松井珠理奈より半年早く生まれた古畑奈和もまた挑戦者でした。
 いつもなら、「詳しくはこの辺の記事を読んでね?」と手抜き全開でリンクを貼るところですが、今回はじっくりと書いてみましょう。
 珠理奈と比較した時、奈和ちゃんは先を走っていた同期がいました。そして、握手を入り口に表現力が注目され、AKB48との兼任が始まります。二つのグループをまたにかけながら、自分たちの世代で48グループを躍進させたいという夢を持ちます(2015年の総選挙のスピーチなんか特に)。しかし、兼任は解除、ここで彼女は腐らずに次々と演技力を活かした仕事にチャレンジしていきます。そんな彼女の頑張りとは裏腹に、時代の流れは残酷で、彼女が目指していたセンターは次々と同期や後輩たちが獲得していきます。
 ファンの方々と総選挙の選抜獲得やソロアルバム発売によって、独自の路線を進みます。SKE48でソロアルバムを出しているのは、2021年2月10日現在、彼女と松井珠理奈だけです。
 やがて、満を持してセンターになりますが、それまでどれだけの涙を流したのか、と未だに思います。
 松井玲奈とは違う狂気が彼女の中には備わっていて(何かに全力になると危うい感じは755戦争の時に特に感じました)、曲のヴィジュアライズ化という意味でのダンスならば、今の彼女に叶う人はほとんど居ないのではないかと思います。
 今年の彼女は、新しくモデル仕事が入ったり、時代劇の仕事が入ったりと、アイドルという枠の中に居ながら少しだけ外に繋がる仕事に挑戦しています。古畑奈和の色が次は何色になるのか、楽しみです。


 鎌田菜月は、2013年に6期生としてデビューしますが、当時のSKE48イズムの申し子かというと、そうではありませんでした。
 彼女自身がアイドルになろうと入ったわけではなく、あれよあれよと進む審査と自分が置かれている状況に戸惑っていたそうです。
 彼女の挑戦は、アイドルになることから始まったのかもしれません。
 やがて、SNSを駆使した「自撮り詐欺」や「鎌田を脱がせてみろ」というファン心理を理解した自己プロデュースでどんどんポジションを上げていきます。
 ただ、順風満帆かというとそうではなく、彼女自身も「ダンスを覚えるのが得意ではなかった」と語っていますし、同期から遅刻することもあったと語られています。
 既に昇格した同期は選抜にどんどん入り、後輩も選抜入りを果たしていく。
 そんな中でも彼女は、腐らずに地道に公演に出ながら発信を続けていきます。
 やがて、様々な人々の目に触れ、彼女の「趣味」は「仕事」に変わっていきます。
 先日、彼女の「趣味」について少しこのブログで触れましたが、将棋関連の仕事で名鑑の表紙になる偉業は、48グループで初であり、誰にも真似できない彼女しかできないことだと思います。
 今年も彼女は「趣味」を「仕事」へと繋げていきます。
 いや、競馬などを観ていると、「仕事」が「趣味」へ変わるものも出てくるかも知れません。そうすることによって、彼女の宇宙はさらに広がり続けるでしょう。
 好きなものを熱く語るという姿はSKE48の二次元同好会の流れを汲みながらも、新しい流れを作り始めていると思っています。あとは、彼女のフォロワーがメンバーから出てくるかが次の注目ポイントだと思います。ここでいうフォロワーとは、スタイルを真似てさらに進化させるメンバーです。
 そうすることによって、新しいSKE48の選択肢が出てくるのではと思っています。


 鎌田菜月と同期の青木詩織は、静岡からSKE48にやってきたメンバーです。
 全員選抜という今回の「恋落ちフラグ」で初めて選抜入りしたメンバーですが、劇場公演で大活躍し、チームK2の愛されキャラとしてファンの皆さんからは親しまれています。
 彼女の功績で何より大きいのはやいづ親善大使としての活躍です。
 48グループの地方メンバーの魅力の一つとして、ファンが縁もゆかりもなかった土地に対して一つ意味が乗ることが挙げられると思います。「ああ、〇〇ちゃんの出身地なんだ」とか「今度〇〇でイベントがあるから行くか」とかですね。
 僕は一度も焼津に行ったことは無いですが、おしりんのおかげで名前を覚えましたし、ゆるキャラの「やいちゃん」も可愛くて、一時期はパソコンの待ち受け画面にしていました。僕と同じように、彼女のおかげで焼津と繋がった人がいるかもしれません。また、様々な地下鉄での広告もインパクトが大きかったですね(詳しくはこちらのリンクをhttps://www.city.yaizu.lg.jp/g08-002/tikatetu_koukoku.html)。
 選抜入りしなくても外仕事で活躍し、なんなら地元に錦を飾る。
 地方初の48グループだからこそ、土地に新しいレイヤーを乗せられる。
 そんな可能性を彼女を始め、どんちゃんやかおたんも示したのではないかと思います。
 今、彼女はローカルとはまた違った方向のチャレンジを進めています。
 それがtiktokを始めとするSNSです。
 「tiktok?そんなもん見るかよ。ぺっ!」みたいなスタンスだったんですが、日向坂46のキュン動画は好きなので、きっと先入観なんでしょうね。youtubeの方も専用チャンネルを作って動画をアップし続けています。
 彼女が挑戦しているのは、ひょっとすると僕のような「古い観客」かも知れません。新しい面白さを求めて、今日も新しいアイディアを企画しているかと思うと、本当に脱帽します。
 ローカルとグルーバル、どちらも開拓していける強みがおしりんにはあります。

 こうして、96年世代の4人を並べてみると、SKE48のこれまでとこれからの可能性が秘められている気がします。そして、様々な夢の叶え方や挑戦の仕方を提示してくれています。

 珠理奈と奈和ちゃんの関係は、以前書きましたが、珠理奈と鎌田さんの関係。奈和ちゃんとおしりんの関係。珠理奈とおしりん、鎌田さんと奈和ちゃんの関係、考えてみると、面白い組み合わせがありそうです。
 果たして、あと5年経った時に、96年組こそが黄金世代だったと言われるか、それとも全く違う世代が輝くのか。今から楽しみです。

※2001年世代の8人について書いた記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2021/02/blog-post_35.html

2021年2月7日日曜日

「未来は少女たちの手の中 10期研究生」編の感想

 明日の自分を投げだせないから

 本日、2021年2月7日は、次回のSKE48のシングルのティーンズユニットのメンバー投票企画の速報日です。皆さんは、もう投票はしたでしょうか?
 僕自身は微々たる票ですが、このメンバーに報われて欲しいという人と、この人なら信頼できるかな、という人に投票しました。
 個人的に、全グループが戦う総選挙はSKE48を一つのチームとして感じて好きなんですが、グループ内での投票企画はあまり乗れなかったんですね。
 しかし、今回のティーンズユニット投票に関しては、選抜経験者たちと入ったばかりの10期研究生が同じフィールドで戦うということで、最初から結果が見えているという人もいるかも知れませんが、思わぬブレイクスルーが生まれないかと期待しています。
 そんな期待も込めて、10期生編のPR動画を観てみましょう!

 


 今回ティーンズの対象になるのは、石塚美月さん、伊藤実希さん、鬼頭未来さん、澤田奏音さん、杉山歩南さん、林美澪さんの6人。入ってきた時の服の趣味は伊藤さんが好きでした。くまっきぃランドの世界観に戸惑いを隠せない10期生たちと笑わないスタッフさんたちという愉快なくだりを経て、いよいよゲームが始まります。

 まずは、「目を瞑って30秒間片足立ち」からですね。
 ぐらぐらしてきて、そこからホッピングを始める美澪ちゃんと歩南ちゃんが愉快でした。「はっ?何急に歩南ちゃんとか言い出してんだ?夢を見たままあの世に送るぞ、コンコロリ」と思った方もいるかも知れませんが、これは7期生の杉ちゃんとの差別化ですので、ご容赦ください。


 そうそう、我慢している時のポーズだと、葉っぱ隊の「YATTA」みたいになってた石塚さんも面白かったですね。
 全員、無事にクリアーしてコインを獲得。ベストパフォーマンス賞は伊藤さん。安定してましたもんね(息を止めていた)。あと、着てる服のせいか細見でスタイルが凄くよく見えます。

  次は「ありがとう選手権」。
 まず、110.5ありがとうを叩きだす澤田奏音さん。
 実は「歌をやってました」ということで、いきなり優勝候補に躍り出ます。
 美澪ちゃんは105.1ありがとう。
 石塚さんは107.8ありがとうと好記録。自分自身でも「ひぇ~」と驚いています。ジェット機並みの音と鎌田さんにツッコまれた時の笑顔が素敵ですね。
 次は鬼頭さん。104.4ありがとう。彼女の大声を初めて聴いたので、新鮮でした。
 今のところ、澤田さんがトップですね。
 伊藤さんが渾身の叫びをするも、108.7ありがとうでトップには届かず。
 この時点でトップの澤田さんは、自分にベットしていなかったという、まさかの展開。
 いよいよ、歩南ちゃんです。118.0ありがとうという、次元にひびが入るレベルの大声で見事歩南ちゃんの優勝。
 ベストパフォーマンス賞は澤田さん。確かにいきなり高い数値を出して踊ろかされましたね。

 次は「くまのはるかさん支配人は何回二重飛びが出来る?」です。
 ううむ、熊崎支配人の場合、0回の時もあれば余裕でガンガン飛ぶ時もあるので、実は予想が難しいゲームです。
 熊ちゃんの「頑張るぞ!」宣言に盛り上がる人も入れば、予想の関係で全然盛り上がらない人もいるのが愉快です。
 熊ちゃんが16回飛び、伊藤実希さんが勝負師の称号をゲット。
 賭け方に徐々にメンバーの性格が見え隠れしていくのも面白いですね。
 ここで、熊ちゃんが神々の遊びとして、二重飛びが5回以上できる場合は自分に2コインベットして増やせるという提案が。まずは、歩南ちゃんが二重飛びを成功させて、手堅くコインを増やしていきます。そして、ここでもガンガン行く、伊藤さん。60回連続で達成して、17枚増やします。ううむ、凄まじい勢いだ。

 次は「恋のお縄」の掛け声が愉快な斉藤支配人からのミッション。
 SKE48の楽曲クイズです。
 サビが流れるクイズですね。
 皆さんはどれだけ正解できたでしょうか。
 このコーナーはとにかくメンバーの手の挙げ方が元気モリモリでしたね。
 鎌田さんが「突然、動物園」と賑やかさを形容していましたが、様々な声が飛び交ってましたね。個人的には、凄まじいアピールをする歩南ちゃんが印象的でした。人は必死になるとこうなるのかと。
 「誰かの耳」ポーズで待つ石塚さんも愉快でした。「望遠鏡の無い展望台」も見事正解していましたね。ううむ、確かに鎌田さんが言っていた通り、タイトルがごちゃごちゃになりやすいかも。僕がよく間違えて覚えているのが「石榴の実は憂鬱が何粒詰まっている?」です。だいたい、「柘榴」と変換したり「詰まっているか?」にしてしまうことが多いです。

 次はけん玉を使ったプレッシャーゲーム!
 けん玉も自身ありの伊藤さん。ううむ、多才です。見事に成功させますが、自分でも驚いています。
 続々とメンバーがチャレンジして失敗(特に鬼頭さんは惜しかったし、悔しそうな顔が素敵でした)。ベストパフォーマンス賞は剣に挑んだ澤田さん。

 そして、待ってたぜ!
 モノボケコーナー。
 メンバーの大喜利力を鍛えるコーナーは是非、これからもやって欲しい僕ですよ!
 まず、前半組ですが、伊藤さんのサングラスをかけて写真集を見る「見てないですからね!」が愉快でした。石塚さんのサイレントボケが個人的にはツボでした。あと、鬼頭さんのヤッターマンに出てきそうというふんわりしたボケも良かったですね。
 後半組は、アグレッシブな澤田さんのボケが光りましたね。トトロが僕はツボでしたよ。
 林さんのだんだん可愛さから面白さに移行していく感じも良かったです。そして、歩南ちゃんのボケをガンガン投げていく姿勢、見習いたいですね。僕は大雨の中継のボケが好きですよ。
 ベストパフォーマンス賞は、美澪ちゃんに決定。
 ううむ、昨年の大ヒット作に乗ってますね。
 

 最後はくまっきぃハイ&ローですよ、琥珀さん!
 このゲームの見所はどこで勝負に出るか。
 堅実にコツコツいくか、爆発させるか。
 4ゲーム目でかなりコインの増減が起こり、澤田さんが41枚という銀河ぶっちぎりこの世で一番つええやつというドラゴンボールの映画のタイトルになりそうな状態に。しかし、全部のコインをローにかけるというさらなる大勝負に出ます。ううむ、攻めまくるその姿勢、嫌いじゃないぜ!
 ここで、堅実に手持ちを残しておく鬼頭さんも面白かったですね。
 最後は、美澪ちゃん対澤田さんの戦いに。
 結果は林さんの勝利!
 ここまでゲームを盛り上げてきた伊藤さん、澤田さんが敗退していくのが、勝負の世界の厳しさでもあり、林さん持ってるなあ、という感じです。
 「SKE48 大富豪は終わらない!」でハイローを良い感じで進めていたんですね。
 
 勝利者PRで後光が差す中、語る美澪ちゃん。
 ううむ、美澪ちゃんのダンスの魅力。改めて今回のカップリング曲「Change Your World」をチェックすると、先輩たちの中でも輝いてましたね。加入した時は、「『301』なんて『仮面ライダー555』に出てきそうだな」ぐらいの印象だったんですが、強烈なアピールになりました。
 罰ゲーム編は、石塚さんのスールなスティッチ、伊藤さんの細かすぎる熊ちゃんのモノマネ、そして、まだこんな隠し玉を持っているのか澤田さん。ファンに止められてるのにリミッターを解除する姿勢、嫌いじゃないぜ。

 全編通して、10期生のティーンズたちの新たな魅力を知る入り口になりました。
 元も子もないことを書くと、キャリア・ファンの母数に関しては、彼女たちは先輩たちよりも恐らく少ないです。しかし、そこで「しょうがないよね」とか「仕方ないし」で終わらずに、ブレイクスルーするメンバーが出て来てほしいな、と速報の楽しみの一つとして期待しています。



10期生を題材にした馬鹿馬鹿しい記事はこちら!

2021年2月6日土曜日

「取り合い」が始まった瀬戸内学園が気になる

 壮大な前フリ

 すっかり、2月ですね。
 学校に通ってらっしゃる方は3学期でしょうか。
 「3学期に学級委員に推薦されるやつこそが、真のクラスの人気者」説を提唱している僕ですが、ちょっと目を離している間に瀬戸内学園が大変なことになってましてね。

 まあちょっと、公式動画をみてくださいよ。



 いやあ、僕が大統領をいかに暗殺するかとか、貧困にもだえる家族の映画を観ている間に、サカモトがバチェラージャパンの金持ちみたいなモテってぷりになってるじゃないですか。今回の動画は、けやき坂46の「手をつないで帰ろうか」みたいな愉快な感じで終わってますしね。
 ううむ、まずは今回の動画の見所なんですが、普段アイドルをしている時には見せないムッとした顔ですよね。そして、普段は穏やかな兵頭さんが、2分11秒あたりで谷口さんの話を聞いている時の視線とかの表情は新鮮でしたね。
 そう、今回の動画は台詞を楽しむというより、視線や表情を楽しむことで、面白さが見えてくるのでは、と僕は思っています。「一緒に帰ろう」とサカモトが提案した時に、「しょうがないですね」と言う前のちょっと嬉しそうになる兵頭さんの顔の変化とかも良いですね。
 両手を繋いで一緒に帰るという谷口さんのエクストリームな提案も面白かったですね。二人でくるくる回りながら帰るところを想像すると愉快です。
 
 ただ、あまりにも展開が甘々すぎるのと(サカモトのボーナスステージ的なのと)、前回の小テスト回と比べると主人公の感情の起伏が弱いので、穏やかな仕上がりになってますね。もっと、サカモトが追い詰められるような展開を期待してしまう僕です。
※前回の小テスト回

 

 ううむ、全体的にあまーい感じのBGMがいつも流れているので、ぜひ、教室に居る時のBGMをこれに変えて、まずは視聴者に「何か理不尽な暴力が起こるのでは…」という緊張感を与えるのはどうでしょう(絶対ダメ)。


 ついに次回予告まで作られるようになったサカモト。
 バレンタインにチョコが貰える未来が確定している2月。
 「そんなの止めなきゃ!」と隣りの家のヤバい爺さんが作ったタイムマシンで、未来に行ってマイケル・J・フォックスが歴史を変えるみたいなストーリーにはならないと思いますが、ちょっとこの先どうなるか、予想してみたいと思います。

 ① 最終的にサカモトに何も起こらずに終わる。
 
 乃木坂46の「何度目の青空か」みたいに、女子の中に男子が一人だけ!みたいなシチュエーションが多いこの学校ですが、色々あっても結局一人を選びきれずに終わるという、ある意味、誰も不幸にならないエンドですね。
 
 ② 映画「花束みたいな恋をした」みたいに倦怠期が始まる。
 
 女の子みんなが、徐々にサカモトへの興味を失い、会話も「えっ、『じゃあ』って何?ねえ、『じゃあ』っておかしくない?」とか「それ何回目?前も言ったよね?」とか、明らかにこれから関係が悪くなることを示唆する動画が毎週のようにアップされる。サカモトは教室で誰とも喋らずバトル鉛筆に熱中。そして、サカモトは卒業する。数年後、街ですれ違った同級生を見て、眩しかった日々を思い出す。

 ③ サカモトのスピンオフが無限に作られ始める。

 このままいくと、サカモトが誰かと付き合って動画のシリーズが終わることを恐れたディズニーのキャスリン・ケネディーは、ジョージルーカスから瀬戸内学園に関する権利を全て買収。次々とスピンオフ作品の制作に着手する。「からかい上手の中村さん ローグ・ワン」や「愛され上手の福田さん マンダロリアン」など、無限に動画が作り続けられることになる。サカモトサーガが完結する日はいつだ。ルーカスの秘蔵っ子、ジョン・ファブローの作品だけ、STUのロゴが旧3部作のロゴになり、「どっちが本物か見せてやる」感が半端ないらしい。

 ④ サカモトがクラスで飼っている土佐犬だったことが分かり始める。

 実は、サカモトはクラスで飼っている土佐犬で、時々出てくる人間の手はサカモトから見たビジョンである。小テストも犬枠として参加している。動画を追うにつれて、メンバーたちが「今日の闘犬頑張ってね!」とか「まわしに名前入れるクラファン、私も出資したよ」とヒントが徐々にだされていく。土佐犬サカモトは大関まで登り詰めるが、引退。優秀な土佐犬を何匹も生み出し、平和な老後を送るのだった。

 ⑤ 暗殺上手の甲斐さんがやってくる。
 
 女の子に囲まれてデレデレしているサカモトに、コンチネンタルホテルの腕利きの殺し屋甲斐心愛ちゃん(可愛いよね)が、襲来。鉛筆1本で3人殺せるという伝説(可愛いよね)をもつ彼女がサカモトに迫る!
 youtubeというプラットフォームで流すにはあまりにも過激な殺し方をする甲斐さん(可愛いよね)。果たして、サカモトは生き残れるのか、毎回毎回がサカモトの無事を祈る動画シリーズに瀬戸内学園変貌を遂げる!(可愛いよね)

 と、まあ、色々と予想をしていきましたが、どれも当たらない予感しかしていません。
 ううむ、恋愛ドラマとかで言うと、中村さんが主役級の扱いの気がしますが、果たしてサカモトは「チョコの奴隷」みたいな幸せなラストを迎えるのか、それとも「甘いねえ坊や」と言われながら刺されるVガンダムみたいな展開が待っているのか。これからもサカモトの行方を見守っていきたいと思いますよ。

 ※「隣りの席の中村さん」の感想はこちら!

 

2021年2月5日金曜日

語る者であり語られる者である

頭の中にあなたが住んだ


 

 皆さんは、何オタクでしょうか?
 あえてオタクという書き方をしましたが、ファンでも良いですしマニアでも良いですし、コレクターでも良いです。ひょっとすると、フリークの人もいるかも知れません。
 最近、僕が推している映画「花束みたいな恋をした」の中で、お笑いや小説や漫画の趣味が同じ二人が出会うシーンがあるんですが、「えっ、あなたも知ってるの?」という嬉しさと、もっとこの人に自分の好きを分かって欲しいという気持ちが伝わる素敵なシーンです(でも、それが後々、二人の分断を明確化することに…)。小さいコミュニティーの中で好きなことを語る二人が、社会人になり「労働」していくことで摩擦が生じて行き、感覚が鈍化していき、時間の好きだったものに何に興味を失う悲しさ。忘れられない映画になりました。
 

 僕はSKE48にハマる前は乙女ゲームが好きで「薄桜鬼」という新選組を題材にしたゲームにどハマりしましてね。関西に住んでいたこともあり、仕事の合間に京都へ史跡巡りにも行ったもんです。それなりに新選組には詳しくなったわいと思っていたんですね。ところがですね。2013年6月2日のSKE48の公式ブログを読んで、僕の心はざわつき始めます。
 鎌田菜月という研究生が書いたブログで、最近、新選組にハマっているというので、メンバーを観た時に沖田、土方、原田、はいはい。相馬主計?そうまとのも?最後の局長?な、なんだと…。
 鎌田さんの底知れぬ新選組愛に震えつつも、当時、中西優香推しだった僕としては、新しいタイプの知性派メンバーが入ってきたし、アニメや漫画にも詳しいので、2次元同好会に入ってほしいな、ぐらいの認識でした。
 それから、少しずつ鎌田さんというか6期生や一部のD1の方を避けるようになりましてね。昨年、食わず嫌いはよくない!と彼女について調べていくと、なかなかに奥深いし人間としての魅力もある方でした。
 特に鎌田さんの魅力の一つとして、趣味に対する愛の強さです。
 上記の新選組以外にも、漫画やアニメについてもSKE48に加入前から深く愛していて、「オタク」でもあったんですよね。ここで僕が書く「オタク」の定義をしておくと、ある対象物を愛し、それについての自分の言葉を持っている人としておきます。
 彼女の「オタク」力は、「おしゃべり漫画サロン」に出演した際にも発揮されます。
 ちょっと2018年9月30日のブログを読んでみましょう。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12408497313.html


 この日のブログを読むと、学生の頃から、自分の好きなものを受け取り、頭の中で咀嚼して、趣味が同じ人と話っていたのではないかと想像してしまいます(2018年1月2日のアメブロで、オタク繋がりということで小中学生からの友達との縁も良かったですね)。
 それをアイドルになっても継続している。
 アイドルという語られる側の人間になっても、語る側の人間の気持ちも分かる。ファンとしての自分が頭の中に居るというのは、ジャンルこそ違えど自己プロデュースにおいて非常に重要だと思います。


 個人的に鎌田さんの趣味に関するレビューで好きなブログは、「鬼滅の刃」の完結に関するものです。ちょっと読んでみましょう。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12597772155.html

 「秘密の宝石みたいな作品」という表現と、それがみんなに知られていく時の気持ち。
 これは以前書いた「鎌田菜月と音楽」の中で、鎌田さんが心動かされた曲ではないか、と提示した「才悩人応援歌」の歌詞にもミュージシャンのたとえで出てきますよね。
 漫画に親しんでいるからこそ、人気と共に路線が変わった漫画も知っているし、心配もあったんでしょうね。完結という選択をした作者への心からのリスペクトも感じます。最後に自分のことをそっと添える構造も上品ですよね(そういえば、2019年1月31日のデビルズラインの感想を書いた時も同じ上品な添え方をしていました)

 ただですね。
 趣味って同じぐらいのレベルの人がいると良いんですが、そうでもない時ってありませんか?なんなら、コミュニティーの中で自分しか知らなかったとしたら。
 勿論、SNSとかで同じ仲間を見つけることは出来るんですが、日常生活の中で共通言語として自分の好きなものを共有したいことはないでしょうか?
 そんな時に、人は何をするか。
 布教ですね。
 2019年10月13日のブログを読んでみましょう。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12535422351.html
 

 自分の好きなものだからこそ、親しい人にも共有したい。
 勉強不足で「ヴァイオレット。エヴァ―ガーデン」は劇場版しか知らないんですが、テレビ版の10話ってお母さんの手紙の回でしょうか?
 好きなことを語っている時の鎌田さんの文章は熱量があって、読んでいるこちらも気持ち良いんですよね。自分が多少知っているものだったら尚更。ああ、だから、自分の趣味を知ってもらいたいのかな、ともふと思いました。この嬉しさや分かる分かるという気持ちの共有。好きの押し売りにならないように気を付けているというのは、2020年5月3日のブログで書いてましたね。

 そして、「重めの作品」が好きな鎌田さん。
 (https://ameblo.jp/ske48official/entry-12593655556.html?frm=theme)

 イギリス文学になりますけど、ダン・ローズ作品「コンスエラ」とかおススメしたいですね。自分の好きなジャンルを提示することで、読者の読書暦の扉が開いて、思わず「それならこういうの知ってる?」とコミュニケーションを作ることが出来るのも上手いですね。


 僕らは大人になっていくに連れて、可処分時間が減っていきます。
 労働してお金をもらう代わりに、好きなものに使える時間は少しずつ減っていきます。
 それでも、好きなものと手を離さずに愛し続けられる。
 そう考えるとオタクとしての鎌田さんって素晴らしいな、とこの記事を書きながら思いました。
 だって、まだこれはアニメという彼女の趣味の一部をかいつまんだだけで、彼女の趣味の銀河は「歴史」、「将棋」等、今も広がり続けているわけですから。
 自分の趣味や大切な何かに使う時間を、これからもキープしていきたいと、無職の僕は思うのでした。

※鎌田さんと音楽についての記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/11/blog-post_17.html


2021年2月4日木曜日

トゥルーカラーズ

 色が差し込む時


 皆さんは、美容室に行ったとき、どんな風に髪型をお願いしていますか?


 学生の頃はパーマかけ放題だったので、ひたすら「オダギリジョーみたいな感じでお願いします」と注文していたもんです。社会人になってからは、ずっとカットしてくださっていた美容師さんの好みで「『モテキ』の時の森山未來さん」の長さだったんですが、近頃は、映画好きの美容師さんと出会うことが出来ましてね。「オビ=ワン・ケノービみたいにしてください」とか「『新感染』の父親みたいにしてください」とかが全部通じる素敵な毎日を送っておりました。

 実家の愛媛県宇和島市に帰ることになったので、先日、そちらの美容室にも別れの挨拶を言いに行って、最近の映画の感想を語り合ったんですが、その際に、「折角ですから一度ぐらい髪を染めてみたらどうですか?」とアドバイスをいただきましてね。僕自体は髪を染めた経験は無いんですが、髪の色を変えると印象って変わりますよね。個人的に、茶が綺麗に染まっている人なんかは好きですし、黒髪が綺麗な人も大好きです。

 近頃、東京大学情報学環教授の暦本純一さんの「妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイディアのつくり方」を読みましてね(スマートスキンやマルチタッチを作った人ですね)。
 これがなかなか面白くてですね。妄想や想像のヒントだらけなんですが、ヒューマン・オーグメンテーション(人間拡張)の話がとても興味深いんです。思えば僕らは自分というものを変化させたい欲望があり、それが多くのSF作品や発明にも繋がっていたんじゃないかな、と考えさせられました。
 身近な例でいえば、ピアスとかも簡単な拡張ですよね。耳に穴を空けることで装飾品をまとうことができる。僕は今、眼鏡を書きながらこのブログを書いていますが、コンタクトではなく、あえて物としての不便さがある眼鏡の方を選んでいるのも拡張です。

 で、もっと簡単な拡張を考えると、僕らは裸の身体に服を着ます。
 髪型を長くしたり短くしたりします。
 推しメンの髪型が変わったり、色が変わったりすると、心が躍ることもあればがっかりすることもあるかも知れません。
 

 さて、そこで考えてみたいのが、近頃の兵頭葵さんのSNSに載せるコスプレ画像についてです。
 コスプレと言うと、衣装をキャラクターに近づけること、そして、顔や髪型もなるべく近づけるというものがあります。
 最近の彼女の投稿を観ていると、髪の色を変化させることで、ここまで印象が変わるのか、と新鮮でしてね。
 まずは、こちらが普段の兵頭さんです。
 柔らかい雰囲気の笑顔が素敵ですね。


  次に節分の時に、髪をグレーにした兵頭さん。
 角の違和感よりも髪の色の変化に視線が持っていかれます。
 こちらを見る時の視線も先ほどの見方とは違いますよね。
 映画「燃ゆる女の肖像」の肖像画のような、視線を感じます。
 ちょっとハードな感じなんですよね。



  次は髪をピンクゴールドにした時です。
 なんとも柔らかい雰囲気になりますね。
 僕は思わず金属バットの友保さんのように、「きゃーわいんだ!」と叫んでいました。



 たとえば、SKE48に自由自在に髪の色を変える古畑奈和という人がいるんですが、彼女の場合、ある程度イメージが確立されている感じがありましてね。髪の色よりも衣装の変化の方が大きくイメージが僕は変わります。
 それに対して、兵頭さんの場合、髪の色の変化から、大きなイメージの変化がありましてね。兵頭さんの顔の輪郭が関係しているのかも知れませんが、麦わら帽子やニット帽も凄く似合うんですよね。 なので、実はモデル仕事に行っても需要があるではと考えています。 

 NMB48を卒業された吉田朱里さんのエッセイを読んだ時に、彼女がプロデュースした化粧品が、普通の女の子の生活に基づいて、どんな場面で使うとより魅力的に映るのかを試行錯誤して開発されていたことが書かれていました。吉田さんの場合は「あんな風になりたい」という憧れも購買層には多いかも知れませんが、彼女は著作の中で「いつまでも等身大であること。大阪の女であること」を書いていました。
 そういう意味では、兵頭さんはとても「等身大」の魅力があります。変に飾らない20歳の女性の魅力。そんな彼女だからこそ、普段と違うカラーリングをすると、一気に非日常感が出て印象が変わるのかも知れませんね。
 もし、同じ町で兵頭さんが働いていたら、という妄想をしたことがある人もいるんじゃないでしょうか。
 えっ、したことない?
 一瞬、映画「青くて、痛くて、脆い」の吉沢亮みたいな孤独な気分になりましたが、話を戻すと、様々なファッション性を付加した時に魅力が増す兵頭さんこそ、実はモデル仕事を入れてみると面白いのではないか、というのが今回の僕の結論です。

 最近の兵頭さんの服で素敵だったのは、こちらです。


 

 


 髪型はこちら!

 


 ええ、ちょっとボブっぽい髪型になると弱いんですよ、本当に僕のどうでも良い好みの話ですが。
 とにかく、兵頭さんの魅力は光の入射角によってまだまだ変わっていくというのが、2021年の序盤から見えてきたので、STU48の運営さんは思い切ってファッション系や美容系の仕事に兵頭さんを投入してみるのはどうでしょうか?20歳になったし、今が推しどころだと思いますよ!
 人間は様々な色を当てることで、拡張されていくはずですから。


 それにしても甲斐心愛ちゃんって、SNSでも可愛いよね!!


 


 いや、待て待て、だだでさえ、今、無職でお金もないのに、ここで推しメンを増やしたらどうなる?多分、こうなるぞ!!

 


 はあはあ、南予文化会館が爆発するなんて(違う)。危なかったぜ。
 とにかく、関西を離れてこのブログもどう運営していこうか、考え中ですが、大事なものからは目をそらさずにいたいなと思っています。
 たとえ、何色に変わっても。

2021年2月3日水曜日

Change Your World①

新しいSKE48イズムへ


 2020年3月24日のFMラジオ「佐藤光春のON8プラス1」のゲストにオードリーの若林さんが来た時のことです。日本語ラップが学生の頃から好きだった若林さん。順番に好きな曲をかけていくんですが、その中で「ラップスター誕生」に出ていたレジェンドラッパーたちと芸人についてこのように語っています。
 「芸人さんと一緒だと思うんだけど、人間の力と言葉の力が合わさって、パンチラインになるもんだろうなと俺は思ってて。漫才もそうだから。その人間の力がやっぱりね。舞台、ライブしてるの袖から見させてもらったけど、やっぱあるね。やっぱ色んな経験されてきてるから。舞台たった時の韻の力がANARCHYさんとか、CIMAさんとか凄いよ。(中略)やっぱ言葉だけで人間が伴ってないと、やっぱり1曲2曲で長続きしなかったりするすんのよ。(中略)自分の人生と歴史としょった言葉だから。(中略)俺は偉そうに言えないんだけど、漫才にたとえると、あの人が言うからあの言葉面白いよねっていうのがあるから。」
 
 そうなんですよね。
 人の生き方や生き様がにじみ出る歌詞や漫才は、凄く心が動かされます。
 クリーピーナッツの「かつて天才だった俺たちへ」やオードリーの武道館での漫才での「いつまで漫才する気だよ?」「命尽きるまでだよ!」というやりとりには、この人達だからこそというドラマがあります。
 そういえば、入江悠監督の名作「サイタマノラッパー」の一番最後のシーンで交わすフリースタイルのラップは、ヒップホップと程遠い場所で歌われるのにも関わらず、主人公たちしか言えない言葉で綴られていたからこその感動がありました。

 じゃあ、SKE48の中でそんな曲はあるんでしょうか?
 たとえば、佐藤実絵子さん作詞の「5色の虹」は彼女ならではの言葉ですし、1期生の5人だからこそ唄える歌詞だと思います(いますぐ、音源化してほしいです)。
 そして、「恋落ちフラグ」のカップリング曲である「Change Your World」も、作詞を担当した松井珠理奈ならではの世界観になっています。
 そう、ずっと48グループの最前線にいた彼女だからこそ、説得力が伴うメッセージがあります。
 まずは、聴いてみましょう。



 僕の感想としては「そう来ましたか」というMVでした。
 まず、歌詞の世界から見て行くと、1番のAメロでは周りの声に惑わされる自分に葛藤しつつ、走り出す主人公の状況が描かれます。そして、1番サビ前からは「神の導き」が聞こえてきます。サビではAメロで示された周りの評価なんて気にせずに変えていけ、というメッセージが語られます。「強い雨」や「強い風」が「批判」や「周りの言葉」とリンクしそうですね。
 2番では努力だけでは認められない世界に昔から居たことが語られ、自分の内面の声と向かい合います。2番のサビ前では1番のサビ前と同じく「今」が強調されます。そして、2番のサビが印象的でしてね。過去と比べずにどんなに世界が暗くてもそれを照らす存在になれ、というメッセージが語られます。また暗黒期が来ても、君たちが照らす光になれ、というメッセージにも聞こえます。
 大サビ前では、生きて行く上で辛い局面が何度も来ることを語った上で、その度に強くなれるはずだということが語られます。そして、1番のサビを繰り返して曲は終わります。

 もの凄くストレートなメッセージで、松井珠理奈が書くからこその説得力があると思います。加入当初から「批判」にさらされつつも、評価を変えて行った珠理奈。彼女の歴史と実績が歌詞の説得力を助けていると思います。
 曲は突き抜けるような感じが心地よく、聴けば聴くほど心地よくなるスルメ曲の予感がします。

 さて、選ばれたメンバーに関しては、珠理奈選抜ということで、それぞれが選ばれた意味があるようで、詳しくはタイプBのメイキングで明らかになりますが、個人的には水野愛理が再浮上するチャンスが巡ってきて欲しいなと思っています。MVでは、江籠ちゃんの新しい表情が見られて良かったですね。

 ただ、この曲の真の主役はダンスではないかと思いましてね。
 クレジットをチェックすると、ダンスの振り付けには珠理奈や桑原みずきさんの妹の桑原あやねさんの名前もあります。
 「ダンスのSKE48」を思い出させるような振り付けがカッコ良かったです。

 さて、このBlack Pearlが今後も続くのか1回だけなのかによりますが、カミングフレーバーの路線とは、また違うユニットが出てきましたね。どちらのユニットにも属している青海さんが今後のキーパーソンになりそうな予感もしています。
 新しいダンスのSKE48としてのBlack Pearlと新しい若手ユニットとしてのカミングフレーバーと二つのイズムが出てきていますが、そろそろ別のイズムが出てきても面白いかも知れません。
 たとえば、かつての二次元同好会のような文科系の趣味で番組やムックが出るぐらいのユニットを売り出していくのも面白いかも知れません。
 とにかく、あまりにも大きな松井珠理奈という存在が卒業する不安はありますが、それと同じぐらいに新しい可能性を探すタイミングが訪れている気がします。

 さて、色々と書きましたが、珠理奈が卒業しても曲に込められたメッセージはSKE48に残っていくというのが素敵ですね。
 果たして誰がSKE48のトップランナーになっていくのか。
 プレイヤー兼プロデュサーの松井珠理奈の仕掛けがSKE48の活性化を促すと期待しています。特に上記の2つのユニットに居ないメンバーが燃えるとさらに面白くなるかな、と思います。



2021年2月2日火曜日

Memories~いつの日か会えるまで~①

 スタートライン


 ついに松井珠理奈の卒業曲「Memories~いつの日か会えるまで~」が本日から聴けるようになりました。
 48グループの卒業曲といえば、秋元康先生がメンバーに当て書してリリースということがほとんどでしたが、今回は松井珠理奈自身が作詞しています(仕上がりの確認は秋元先生もされています)。作曲は福田貴訓さんが担当。48グループの曲だと、「ハステとワステ」や「動機」、「ぽんこつブルース」や「やさしくするよりキスをして」を作曲された方です。SKE48だと「あうんのキス」を担当されています。

 まずは、聴いてみましょう!


 これまでの自分を纏って旅立つという美しいMVですね。
 旅立ちを題材に描かれた歌詞の世界をまずは見て行きましょう。
 非常に私小説的な内容だと思っています。
 1番の歌詞は、これからを振り返る内容がメインになります。
 「階段」というキーワードが、「大声ダイヤモンド」のMVや「総選挙」をイメージさせられますね。「階段、登らせてもらおうか」という。「無邪気」というワードから年少メンであった頃から、48グループの前線を走っていたことが伺えます。
 そして、1番のサビ前で「倒れそうになった私」の手を握ってくれた人というのは、メンバーであり、ファンの皆さんやご家族でもあったんだと思います。この箇所は彼女が作詞した「あなたの手」の歌詞と繋がる感じもしますね。
 そして、1番のサビでは、「旅立ち」を意識させるものになっています。
 旅といえば、宮澤佐江の卒業曲「旅の途中」が、次の旅路に向けての曲であれば、この曲は初めての旅への気持ちが綴られています。
 

 トランクの中に「記憶」という貴重な財産を持って、強くなることを誓いながら彼女は待っていて欲しいと願います。
 
 2番は、「オレンジ色」というSKE48カラーを連想させる歌詞が出てきます。「オレンジ色」を構成するのがサイリウムだとすれば、ファンの方々もこの言葉には含まれるかも知れません。自分が進んできた「軌跡」をファンの方々も知っているからこそ、聴いている我々にも見えるはずだと問いかけます。それは自身の裏返しでもあるのかな、と思います。
 2番でトランクに詰めたのは「大事な想い」。「記憶」と「想い」が重なるともうそれだけで随筆が書けそうな気がしますが、次に会えるまで笑っていて欲しいと願います。
 2番のサビでは、アイドルとして「サヨナラ」した後も、好きでいてほしいという願いと、別れの場面であるのに、記憶は一気に出会った日を意識させます。

 大サビでは、1番と2番のサビが繰り返されます。
 ここで二つのサビを重ねることで浮き上がってくるのは、「また会える」というメッセージです。「ありがとう」や「サヨナラ」といった別れを連想させる言葉の後で、それぞれのサビが来るんですが、「待ってて」「会えるまで」というもう1回会えることを連想させる言葉が呼応するように書かれています。
 
 アイドル松井珠理奈の終わりと女優でありプロデュサー松井珠理奈のスタートラインを意識させる歌詞の世界になっています。

 MVは、一歩一歩が年表のような区切りになっていて、プロジェクションマッピング
のようにMVなどが映り、時には彼女が着ているドレスに映り込むこともあります。「記憶」というのが、自分の脳の中にあるのではなく、ふと身体の中にも眠っているのではないか、と思わされます。
 また、思い出が今の自分を彩るというのは、本当に技術と発想がマッチしていて、お見事という感じです。多分、生きている間、ずっとドレスの柄は変わり続けるんでしょうね。
 狭い部屋の中で3方がスクリーンがあり、それを珠理奈が見ているというのは、人間の内面世界のようにも見えました(特に真っ白な背景の時は)。スタートラインに立ち、ほんの一瞬、思い出を振り返るかのような世界にも見えました。
 最後に強く眼を閉じて、もう一度開いた時の珠理奈の表情はが意味するものは。僕は映画「新聞記者」のラストシーンを思い出しました。

 できれば、SKE48卒業後も大切に聴いていきたい1曲です。

※個人的に1番好きな珠理奈作詞曲「あの日交わした約束」の記事はこちら!
 

2021年2月1日月曜日

自分なりの「守り」方で

 あの日見た背中




 誰かを「守る」と誓ったことはあるでしょうか?


 フィクションの中であれば、誰かからの暴力や組織の危機から「守る」ことが挙げられるかも知れません。
 しかし、我々の日常の中で大切な人を「守る」ということは、なかなか見えにくいことです。
 映画「花束みたいな恋をした」の中で、恋人との関係を「守る」為に主人公の一人は「普通」になろうとしますが、それが二人の関係がずれるきっかけになるということが描かれていましたが、「守っている」つもりでも、実は壊していることもあります。
 かように、「守る」ということは難しいです。

 アイドルの世界も同じです。
 グループやメンバーを守っていくというのは、すぐに取りかかれたり結果が出ることではありません。
 かつて、SKE48は松井珠理奈と松井玲奈の2枚看板が、グループの中心にありました。運動場の汗の匂いがする珠理奈と、舞台の汗の匂いがする玲奈、同じ松井でありながら発する光が対照的だったこともあり、それぞれの光に多くの人々が集まりました。
 やがて、時が流れるにつれて他グループの台頭とアイドルブームの終息もあり、徐々にファンの総数は減っていきます。
 それでも、2015年8月末に行われた松井玲奈卒業コンサートは豊田スタジアムで2日間に渡って行われ、松井玲奈の最後を見届ける為に多くのアイドルファンが集まりました。
 この時、「手紙のこと」で一人一人のメンバーに向けて松井玲奈が言った「一人一人がSKE48の未来です」という言葉が非常に印象的でした。
 松井玲奈について古畑奈和は、2015年8月31日のブログで次のように書いています。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12068036605.html

 「優しい手に何度も何度も包まれて引っ張ってもらいました」
 「人見知りなのに仲良くしようと話しかけて」
 「前に立つ人として引っ張り支える人として」

 松井玲奈のことを思いながら、彼女が背負ってきた「荷物」について思いを馳せます。
 そして、自分が支えてもらったことを今度は自分がしていこうと、彼女は誓います。

 SKE48に関しては、前日のブログで書いています。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12067666930.html

 「守らなきゃ」という気持ちが生まれました。


 この年のリクエストアワーで古畑奈和は、松井玲奈が務めたセンターポジションで「前のめり」を披露します。


 翌年の3月4日。
 宮澤佐江の卒業コンサートが行われます。
 AKB総選挙の選抜常連であり、外仕事の量も多く、SKE48には貴重な女性ファンも引っ張ってこれる魅力的なメンバーでした。
 彼女がMVの画面に出てくるだけで、華やかさが出る貴重なメンバーでした。
 3月4日の古畑奈和のブログを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12135857465.html

 「温かさ」、「安心感」、ベテランメンバーである宮澤佐江がSKE48にくれたものは、ファンである我々よりもSKE48のメンバーがより多く感じていたのかも知れません。
 そういえば、BUBUKAの取材で、宮澤佐江と古畑奈和の優しさが似ていることを指摘されていましたね。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12045112346.html


 思えば古畑奈和は、上記の「前のめり」だけでなく、松井玲奈の「枯葉のステーション」を演奏し、「AKB49」を宮澤佐江に次いで主演を担当します(特に『君はペガサス』の世界観があんなに似合う人はいないと思います)。
 サックス演奏という新しい汗の匂いと、上記の二人に通じる表現力。
 古畑奈和という人ならではの魅力と、二人の偉大な先輩たちの素晴らしい点を彼女は別れと共に再認識し、吸収していきます。
 そして、2016年の総選挙が近づいてきた5月12日。
 残された松井珠理奈への想いを古畑奈和は語ります。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12159730736.html

 「珠理奈さんを守りたい」、「背負っている荷物を少しでも私に持たせてもらえたら」、後輩ながらも抱きしめた珠理奈の背中。彼女にかかった負荷と自分も気づけていたらという後悔。
 松井玲奈にも宮澤佐江にもなれないけれど、自分のやり方で珠理奈とSKE48を「守る」。
 ワクワクさせてくれる、夢を与えてくれたグループを守る。
 思えば、2015年の総選挙での彼女のスピーチは、まさにこの言葉と繋がりますね。
 ただし、まだ彼女はもう一皮むける過渡期の真っただ中でもあったので、早くグループを守れる存在になりたい気持ちと自分の現状を比べて、もどかしい気持ちもあったのではというのも微かに感じます。

 やがて、2017年。
 松井珠理奈の代わりに単独センターとして小畑優奈が選ばれます。
 ゆななのフレッシュな魅力は世代交代を予感させるものでした。
 個人的には、この2017年が来る前の「金の愛、銀の愛」で古畑奈和センターという選択も面白かったのではないか、と思っています。彼女の当時の想いともう一押しとしてセンターという選択肢があれば、もう少し早く珠理奈の荷物を一緒に持ち、未来は変わっていたのかな、とも考えたりもします。

 2019年、古畑奈和はキャリア8年目にしてセンターになります。
 松井珠理奈も雑誌のインタビューで「奈和ちゃんなら安心して任せられる」ということを語っています。
 正直、8年目でセンターということに対して、早い遅いという認識は人それぞれですが、総選挙で2回の選抜入りという結果を出した説得力がありました。そして、彼女なら大丈夫だという「安心感」も。
 そこから、グループを守るためにセンターだった珠理奈の分まで彼女はメディア露出していきます。レギュラー番組も始まりました。ソロの楽曲も増えて行きました。勿論、全盛期ほど外仕事はありません。それでも、センターとしてマイペースながらも、決めるところは決めて(特に対外試合)グループを「守って」いきました。


 この記事を書いているのは、2021年2月1日の夜です。
 明日の朝から、松井珠理奈の卒業シングルが全国の店頭に並びます。
 SKE48の象徴であり、多くの荷物を背負っていた人。
 名前の無い悪意に傷けられ続けた人。
 誰よりもグループを愛していた人。
 あの日見た背中は、今、奈和ちゃんにはどんな風に見えているんでしょう。
 そして、いよいよ、本当の意味でSKE48を「守る」期間がこれから始まります。
 珠理奈を見送る古畑奈和の背中を今度は、どの後輩が見つめているのか。
 あの日の奈和ちゃんの気持ちを、後輩もきっと感じるのではないかと思っています。
 ずっとSKE48と大切な人を「守って」いって欲しい。

 今夜は「前のめり」を聴いて寝たいと思います。