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2022年8月15日月曜日

ひかりさす①

Dear 、キミと僕2

 皆さんは、アイドルのパフォーマンスで心を動かされたことがこれまでに何度あるでしょう?
 
 そのパフォーマンスに辿り着くまでのアイドルのドラマが、踊る姿に重なり涙することもあれば、曲の世界観のヴィジュアライズ化が素晴らしいことに涙することもあります。
 前者の例を挙げると、SKE48のリクエストアワー2015で「前のめり」のセンターである松井玲奈ポジションを古畑奈和ちゃんが務めた時です。この時は会場のファンの奈和ちゃんコールを含めて、「ああ、やっと報われる」と涙したものです。後者の例は2016年に行われたSKE48の一人10分のソロコンサートにおける古畑奈和ちゃんの「10クローネとパン」です。20世紀後半のアメリカ文学で描かれたような絶望的な状況の中に微かに光る希望の美しさと、主人公の儚さを感じさせる素晴らしいパフォーマンスでした。
 他にも挙げて行きたいところですが、次の機会に譲るとして、かように古畑奈和という人はドラマ性もパフォーマンス性もどちらも曲の中に背負える稀有な存在でした。

 2022年5月17日。
 古畑奈和ちゃんは卒業発表します。
 ファンの方によっては、「まだ居て欲しかった!」という方もいらっしゃれば「前々から予感していた」という方もいらっしゃるかと思います。
 僕はというと、遂に来たかあ、という感じです。
 古畑奈和ちゃん推しでもない僕がこんなことを書くのは、生意気だな、と言われてしまうかも知れませんが、彼女の才能は既に48のルールの枠組みからはみ出ていると数年前から感じていました。彼女の才能に見合った仕事がもっと増えていればなあ、というのが率直な感想です。近年では48グループの歌唱力コンテストもありましたが、彼女のライバルや目指すべき対象が、ある時期からもう居なくなってしまったのではないか、と思います。それはそれで平和で良いことなんですが、古畑奈和を燃えさせるような後輩やイベントがあればまた違ったのかな、とも思います。
 ただ、周りに揺るがない強さが奈和ちゃんの魅力でもあると思います。
 
 2022年8月6日。
 彼女の2枚目のソロシングル「ひかりさす」が発表されます。
 ちょっと聴いてみましょう。


 皆さん、いかがでしたでしょうか?
 僕の第1印象は「映画の3幕構成みたいな作りなのかな?」ということです。
 「ひかりさす」から始まる穏やかなバラード部分で最初と最後を挟むことで美しい円環構造になっていますし、旅立つ穏やかな気持ちを表しているようにも見えます。

 まずは、歌詞の世界から見て行きましょう。
 1幕目は、地平線が見える場所で風に頬を撫でられるこの曲の主人公は、ひかりさす彼方を目指すことを決意します。
 ここから分かることは、地平線まで見えていて風通しも良い場所、つまり、さえぎるものの無い自由な場所や立場を主人公が手に入れていることが分かります。

 さて、ここから曲が変調します。第2幕の始まりです。
 「ガンダムOO」のエンディングテーマのTHE BACK HORNの「罠」を思い出す激しいメロディです。


 さて、歌詞の世界に戻ると「暗がり」で「センターステージを目指してたあの頃」のことが語られ始めます。「暗がり」ということはひかりがささない、つまりスポットライトがまだ当たらないステージの端の方の話かも知れません。
 それでも見つめてくれる「キミ」の笑顔のおかげで主人公の「私」は進んでいきます。
 ここで、今でも「キミ」が大切だからこそ「ありがとう」というお別れの言葉は言いたくない(かおたんの卒業曲がそういえば・・・)、未来へかけて行く私を忘れないで欲しいと願います。

 さて、そこから「私らしさってなんだろう?」、「私にしかできないことは?」と自問自答するもあの頃は答えが見えなくなっていました。
 やがて、それは周りから解放される方へと意識が向き始めます。
 「窮屈なほどに」という表現をわざわざ入れてから、「あの子の笑顔」に眩しさを感じ、自分の笑顔は嫌いになってしまいます。
 ここでいう「あの子の笑顔」は特定の誰かではなく、正統なアイドルの笑顔なのかな、と僕は解釈しました。そうすると「窮屈なほどに」を足した時に、曲の主人公が普通のアイドルの枠に収まらないことがこの後の展開からも明確化してきます。
 「同じ服」、「同じ歌」、みんなと同じにしようとしても同じにはなれない自分がいます。そして、それこそが誇るべき自分である、という発見をしていきます。このことを教えてくれたのは、「キミ」であると歌詞の中で語られます。笑顔で見守ってくれていた「キミ」が、みんなと同じになれない主人公を肯定してくれます。
 この辺りは、とても48グループを意識させられる部分だと思います。
 確かに、同じ衣装を着て、同じ曲を歌いますよね。
 でも、その決められた枠からはみ出していく強い個性が曲の主人公にはあるわけです。

 そして、大サビです。
 1番のサビと重なる内容ですが、ここまでを聴いての大サビなので「キミ」との関係性の深さがより伝わってきますね。
 そして、「サヨナラ」ではなく心の中に「キミ」がいること、ずっと背中を見ていてほしいというメッセージが加わってきます。くじけそうな時も立ち上がれる「あの日の温もり」が心の中にずっとあります。
 

 やがて、第3幕。
 再び、「ひかりさす」から始まるバラード部分ですね。
 一人ではなく「キミ」の思いを胸に刻んで、「ひかりさす」彼方を目指すことが示されます。

 ううむ、こうして書いていくと、これまでの「オルフェス」や「Dear 君とボク。」と比べると非常に私的な歌詞だと思います。
 作詞作曲を担当した黒沢薫さんと色々とお話をして出来た歌詞だそうですが、まさに彼女のアイドル人生を表した素晴らしい内容だと思います。
 特に自問自答して答えが出ないところが印象的で、AKB48で兼任を経験した彼女の「48グループの為に何かしたい!」という思いと突然の兼任解除を僕は思い出しました。私的な内容ではあるものの、今、悩んでいるアイドルやファンの人にも寄り添える歌詞になっているとも思います。


 メロディも非常にトリッキーで、歌声さえも楽器の一つなのではないか、と思わせる印象的なものになっています。
 MVに関しては、赤のドレスが印象的でした。奈和ちゃんの眼差しを感じさせるカットも後半に行けば行くほど増えて素晴らしかったですね。ただ、他のメンバーの卒業曲MVを考えると、もうちょい予算かけてくれても良いのでは、と思ったのは僕だけでしょうか?

 さて、卒業には2種類の卒業があると思います。
 あれ、今卒業するの?大丈夫?という卒業とこの子なら大丈夫だろう、という卒業です。
 奈和ちゃんは圧倒的に後者の卒業です。
 きっと奈和ちゃんなら、これからも沢山の「キミ」たちの力で「ひかりさす」方へ進んでいけると思います。

 やはり、古畑奈和という人の表現にはアイドルには収まらない何かがあります。
 それは今僕が思い浮かぶ言葉で表すなら「切実さ」です。今日、この舞台でこれを表現しないと、この人は死んでしまうんじゃないか、そんな危なっかしさと才能があると思います。その才能を彼女が加入した時から多くの理解者たちが守ってきました。SKE48でいえば番組での共演も多かった1期生たちでしょうか。きっと、SKE48の外でも彼女を理解してくれる方々が沢山いると思います。
 思えば、このブログで初めて奈和ちゃんのことを書いた時、「なんで、奈和ちゃんがこんだけ結果出してるのに、運営は扱いが悪いんだ!もっとみんな分かってよ!」という僕自身の「切実さ」から始まりました。きっと彼女は僕だけでなく多くの人にそう思わせる何かがあるんだと思います。
 これから卒業しても沢山の「キミ」という理解者たちに包まれて、才能を発揮していってほしいです。

古畑奈和ちゃんについて書いた記事はこちら!

2022年3月20日日曜日

「Style of ニッポン~古畑奈和の綺麗・絶景・長崎夜景」の感想

 夜景と文化


 いやあ、久々にBS日テレさんと古畑奈和ちゃんの番組ですよ。
 これまでは奈和ちゃんが大好きなお酒や酒場に関連する番組でしたが、今回は夜景!

 しかも、お昼の14時からということで、どんな感じの番組になるのか楽しみにしていました。
 で、感想を先に書くと、「美しくてタメになる!!」です。
※予告動画はこちら!


 まず、最初の10分間は、夜景評論家で夜景プロデューサー、その他夜景関係の肩書をお持ちの丸々もとおさんのお話から。
 驚くぐらい雑に説明すると、夜景の世界は奥が深くて国際的にも注目され始めているんですね。日本は夜景先進国で、経済効果も期待できると。たとえば、音楽や食といったコンテンツは移動が可能ですが、夜景は土地そのものが作るコンテンツなので、直接来てもらわなければいけない。そして、夜に観るのでその土地に宿泊してもらうことも期待できる。
 更に、海外の夜景はイベント的なものが多いということも語ってらっしゃいましたね。それに対して、日本の夜景は生活の光が多いんですかね。
 
 いやあ、非常に勉強になるんですが、番組が始まって10分が過ぎたあたりから「あれ?これはもしや、『Style of ニッポン 丸々もとおの綺麗・絶景・長崎夜景」を付けたんじゃ、という不安が沸き上がってきましてね。
 続く、夜景写真家の岩崎拓哉さんの話も面白くて、夜景との付き合い方といいますか、眺めるとアイディアが沸いてきたり、周辺も散歩するのも良いよね、という話も素敵でしてね。夜景を上から見る「パノラマ」、人工的に演出する「ライトアップ」、非日常的な空間が魅力の「工場夜景」とジャンル分けで夜景を楽しむというのも本当に良いなあ、と思ったんですよ、ええ。
 でもね。
 すでに、この時点で20分に迫ろうとしています。
 あれ、番組が始まってもう3分の1が終わろうとしてるぞ。
 そんな不安をよそについに我らが古畑奈和ちゃんが登場です。

 まず、ランタンが吊るされた中華街のあたりを歩く奈和ちゃんの姿が良いですね。
 僕が6月の終わりか7月の頭に出す雑誌でも(クラファンと自費です)、たまたま長崎にいらっしゃる方に執筆してもらう予定なんですが、その時に使う予定なのが、このランタンやランタンフェスティバル関係の写真と街なので、今回の番組は凄く期待していたんですが、映像で見るとまた良いですね。

 まずは、長崎市の文化観光部観光政策課の遠藤さんからお話を聞きます。
 この時の黒髪に黒のロングワンピの奈和ちゃんが素敵でしてね。
 収録しているホテルの感じもあるんでしょうが、上品な美しさがありましてね。 
 これまでの「えにし酒」や「乙女酒」とは違った魅力を感じます。
 ちなみに僕はこっちの路線の奈和ちゃんが演技をするところとかも見たいです。
 さて、遠藤さんのお話によると長崎の夜景ガイドがあるみたいですね。

 そんで、このHPにも丸々もとおさんがいるではないですか!
 話を番組に戻すと、奈和ちゃんは稲佐山に夜景を観に行きます。
 頭にちょっと粉雪がついていることから、この日は凄い寒かったのでは、と思います。
 で、こちらは夜景を見つめる奈和ちゃんの横顔が素敵でしたね。
 強いていえば奈和ちゃんの感想が聞きたかったかな、という感じです。
 まずは、「パノラマ夜景」を楽しんだわけですな。
 
 今度は、長崎ハウステンボスへ。
 ハウステンボスといえば、パトレイバーですよね。




 ちなみに、僕は映画の「パト2」派です。
 さて、話を番組に戻すと、ハウステンボスの古賀春菜さんのお話を聞くと、ハウステンボスはめちゃくちゃイルミネーションに力を入れてるんですね。
 社員の方々もイルミネーション作りに携わっているというのも大変ですが、ありがたいですね。
 そして、インタービューをしているスペースがまた素敵なんですよね。
 この日の奈和ちゃんは耳を隠している髪型で、ふわふわモコモコファッションですね。
 奈和ちゃんは、「光の滝」や「ウォーターマジック」などを観に行くんですが、小さい拍手をしているところが良いですね。
 で、本編ではアンブレラストリートで、奈和ちゃんの出演場面は終わります。
 「イルミネーション」編の終わりです。
 
 ここからは、ナイトタイムエコノミーとして、東京の夜景が紹介されます。
 品川のお高そうなホテルが紹介されます。
 さらに東京の首都高速道路の夜景情報なんかも入ります。
 都心にお住まいの方は是非チェックを!

 最後は丸々もとおさんのインタビューです。
 ここも「夜景」の定義が面白くて「夜の気配を視覚的に感じられるもの」というところが凄く良くてですね。
 今は、コロナ禍で人が集まりにくい状況ですが、劇場やコンサート会場に僕らファンで色とりどりの「夜景」をサイリウムで生み出す日が帰ってくるといいな、と番組を見ながら思いました。

 最後のスタッフロールで、youtube版の動画の紹介があるんですが、奈和ちゃんのいつもの感じが楽しめる素敵な動画になっていますので、未見の方は是非!

※#1 佐世保バーガー編( スタッフの方とのからみも面白いですよ )


※2 レモンステーキ編( 良い匂い過ぎて跳ねる奈和ちゃんが最高です )


 もう、昼景をレギュラー番組化してくれ!
 流石に丸々さんも昼景は把握してないだろう!
 そんなことが脳裏を駆け巡りましたが、番組を作るための予算を獲得するには、色々とあるのかなあ、と素人ながらに思いました。
 どうか、BS日テレさんと奈和ちゃんの良いえにしがこれからも続きますように!

 
 
 

2021年8月15日日曜日

古畑奈和とポジション

利他的なエースの存在

 先日、我が家のテレビでYouTubeの「ソーユートコあるよね?」の練習動画を観ていたんですね。

※動画はこちら!

 


 メンバーが元気に踊る姿を見ながら、古畑奈和の動きが気になりました。
 彼女の動きは滑らかさの中に鋭さがあり、2019年にリリースされた「FRUSTRATION」でセンターを経験した彼女が、センターの須田亜香里を支えるツートップのポジションで踊る姿は、頼もしさと個性があり、「やっぱりセンターを経験した人は違うなあ、よく分らないけど自信と表現力があるなあ」と百億人ぐらいがすぐに思いつくことを考えていました。
 さらに、「恋落ちフラグ」でのジャージの上着を羽織った背中の色気。
※動画はこちら!


 ううむ、どのポジションに居ても目を惹かれてしまう彼女のパフォーマンスの素晴らしさ。
 今回は、彼女が考えるポジション観とそこから見えてくるものについて考えてみたいと思います。
 まずは、彼女が目指していたセンターについてです。
 2016年7月17日の彼女のブログを読んでみましょう。

 「ソーユートコあるよね?」とはフォーメーションが違うものの、1列目を任された彼女の意気込みが伝わってきますね。前列に来るからには、SKEに興味を持ってもらえる入り口になりたい。
 しかし、この曲の歌い出しは、珠理奈がセンターで後ろに6期生に北川綾巴、7期生の後藤楽々という配置です。センターに近いポジションではあるものの、時代の風は彼女に必ずしも優しくはありませんでした。
 それでも、現場でのセンターを少しずつ彼女は任されていきます。
 2016年8月7日のブログを読んでみましょう。
 
 いつものポジションとセンターで感じる声援の違いを体感することになります。
 ただ、この頃、彼女がセンターを務められているということは、誰かの代役であることになります。そう、不動のセンター松井珠理奈がいました。
 
  まず、彼女の仕事に対する誠実さが伝わってきます。
 中途半端な努力で、「センター」という言葉を口にしたくない。
 自分自身には何もないから(客観的に観るとめちゃくちゃあるでしょ、とツッコみたくなりますが)、努力で自信を生み出していくしかない、努力しているからこそ、センターに立っているメンバーとの差も見えて来る。
 自分のファンの方々の声に甘えずに、客観的に自分を見てる彼女の視線を感じます。
 自分が成長することで、先輩メンバーの脅威にもなり、SKE48の底上げにもなる。
 そして、この頃の奈和ちゃんのセンターに対する特別な思いは、他のブログでも見られます。
 2016年11月25日のブログを読んでみましょう。

 アイドル古畑奈和のセンターへの思いと、人間古畑奈和の葛藤がない交ぜになっています。「頑張れば〇〇」という言葉の残酷さと無責任さを僕らに認識させられます。いったい、何をこれ以上頑張れば良いのか、と感じてしまう当時のSKE48自体の閉塞感も僕は感じます。それでも、「陽を見る日」を信じて彼女は頑張ります。

 2017年1月22日の彼女ブログでは、後ろから見る同期のセンターと自分がセンターを任された曲について書いています。

  2015年のSKE48リクエストアワーで、卒業した松井玲奈の代役としてセンターを任された「前のめり」についての過去の回想の箇所と「12月のカンガルー」の後ろのポジションでも同期のことを誇りに思う箇所が印象的です。
 アイドルという競争社会の中で、他者のことを誇りに思えるのは、何故でしょう。
 この辺りは後で触れるので、引き続き彼女のポジション観について見て行きましょう。
 2017年5月27日の彼女のブログを読んでみましょう。

 ギリギリ歌番組には出られたことに悔しさを感じるものの、「SKE48の古畑奈和としてAKB48に踏み込む」というのは、かつて兼任をしていて志半ばで終わった目標の再構築だったのかも知れません。
 さらに、2017年6月9日のブログを読んでみましょう。


 SKE48という組織のことを思うと新しい風を入れて行った方がいい、だけど、一人のアイドルとしての自分のことを考えると、というアンビバレントな気持ちの中で彼女は葛藤します。
 その反面、この時代のブレイクスルーが総選挙しかなかったのか、というSKE48の選択肢の貧しさを感じます(結果として彼女にプラスに影響するから良いんですが、選択肢は多い方が良いと思うんですよね)。
※「願いごとの持ち腐れ」選抜については、時間のある方はこちらもどうぞ。
 テレ東音楽祭#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 2017年7月19日のアメブロでは、7期生の小畑優奈がセンターを務める「意外にマンゴー」のリリースイベントについて書いています。
 
 毎回の積み重ねが彼女をフックアップしていくことが分かります。
 今回のシングル表題曲のセンターにはまだ届いていないものの、松井珠理奈が居てもシングルのセンターを任されるところは、大きな前進ではないかと思います(セットリストの順番もあるかもしれませんが、それでも珠理奈の性格から推察するにセンターを任せるメンバーは限られると思います)。
 
 それから、2か月ほど経った2017年9月7日の彼女のアメブロでは、再び、センターについて考えています。

 センターに立つ理由とは何か?
 自分がこのポジションを任せられるのは何故か?
 ブログの中ではっきりとした答えは出ていませんが、その答えは2年後に同期の江籠裕奈が出します。
 古畑奈和がセンターが発表された日の江籠ちゃんのブログを読んでみましょう。

 「わたしね、奈和ちゃんがいるから頑張れてるよ」
 何気ない一文ですが、誰かの頑張る理由になれる、これがセンターを任せられる理由ではないでしょうか?
 江籠ちゃんのブログの中で、「何度も口にしてきた」ということを書いていますが、ここまで読んできた読者の方々も奈和ちゃんのセンターへの思いを感じているのでは、と思います。
 順番が前後しますが、彼女のセンターへの思いはずっと心の中で燃え続けます。
 2018年10月14日の彼女のブログを読んでみましょう。


 奈和ちゃんが2016年頃のブログでは、SKE48の未来を考えて自分がセンターに拘ることに迷いがあったかも知れませんが、この頃は遠回りして自分の夢をしつこく追いかけることを書いています。
 諦めずに夢から目を逸らさなければ、夢が叶うという奈和ちゃんのアイドル人生は、ベテランメンバーたちに希望をもたらすだけではなく、芸能の世界とは違った日常を生きている僕らにも「いや、でも奈和ちゃんは諦めずにやってたしな」という一つの指標になるのでは、と思います。
※ 時間がある方は同期の菅なな子との関係とセンターについてのブログもどうぞ。
私には欠かせない物語り♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)


 ちなみに、センターに立った後の奈和ちゃんのブログを読んでいると、自分のセンター曲を大事にしていることも分かります。

 さて、ここまでは古畑奈和という人のセンター観を見てきました。 
 ここからは、センター以外のポジションについて見て行きましょう。
 奈和ちゃんは、AKB48での兼任経験の際にSKE48とは違うポジションを体験しています。なにせ、当時のチームKやチームAはスター選手揃いでした。


 二つ続けて読んでいただいたんですが、二つ目の佐藤亜美菜さんのポジションのアンダーをする記事が凄く良くてですね。「あまめぇちゃんと一緒に頑張っているの」という表現が、彼女の独特のアンダー観が伝わってきます。こういう視点でアンダーしているメンバーが他に居たら教えて欲しいぐらい素敵な視点だと思います。
 ここまでは、チームKでの体験ですが、チームAでの彼女のポジション観も素晴らしいので、読んでみましょう。

 後ろから数えた方が早いポジションであろうと、SKE48の名前を背負って全力で踊る。そのことは、「私のパフォーマンスが嫌いな方」を生み出してしまうかもしれない。それでも気持ちが伝われば、という彼女の意識。
 この意識は兼任の終わりの際に書いたブログでも触れられています。

 「でも私はSKE48です」という言葉に泣きそうになりました。
 自分がどこから来たのかを大事にしている奈和ちゃんの思いが伝わります。
 さらにAKB48の一員として盛り上げたいという思い。
 それは、儚く終わってしまいましたが、この彼女の「利他」の精神は本当に素晴らしいと思います。
 ブログの最後の「SKE48の古畑奈和としてAKB48」に食い込むという野心もここで刻まれています。
 今、「利他」という言葉を使いましたが、奈和ちゃんのブログには「支えたい」、「役に立ちたい」という表現もよく出てきます。
 中でも2014年11月4日のブログが印象的です。

 ここまでずっと追ってきた「センター」になりたいという思い、そして、それと同じぐらい彼女の中にある「支えたい」という思い。
 それはセンターのメンバーだけでなく、多くの人々を。
 東京工業大学科学技術創成研究院「未来の人類研究センター」長であり、リベラルアーツ研究教育院准教授の美学者、伊藤亜紗さんが、哲学者の國分巧一郎さんや政治学者の中島岳志さん、批評家の若松英輔さんや小説家の磯崎憲一郎さんとの研究の成果を寄稿した「『利他』とは何か」の中で、「利他」の難しさについて書いています。
 びっくりするぐらい雑に説明すると、利他の行動の本質には「これをしてあげた相手に利になるだろう」という思いがあります。これはする側の「思い」です。
 しかし、うっかりすると「これをしてあげるんだから相手は喜ぶはずだ」になったり、「相手は喜ぶべきだ」という支配に変わりかねません。
 相手を信頼して、言葉を押し付けすぎずに、時には無言で行動のみで示すことも必要だそうです(インドなんかは文化としてそうだと中島岳志さんはご自分の体験を書いています)。
 また、うっかりすると志賀直哉の「小僧の神様」やチェーホフの「かき」のように「哀れみ」が生まれてしまうこともあります。
 でも、奈和ちゃんの「利他」は本質からずっと離れていないと僕には思います。
 どこのポジションに居ても、彼女はグループやファンの方々の為に頑張ります。
 それは、たとえ負けてしまうかもしれない戦いでも。
頑張りたいと思える、理由♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 48グループの中には、幼少期からダンスに親しんだメンバーも多いです。ダンスが最初から決して得意ではなかった彼女が、表現力を手に入れて活躍していましたが、こうした決められた型の中で競うのは不利だろうな、と今ならば思います。
 しかし、2019年ヨーヨー世界大会A1部門で、キーラン・クーパーが勝ち負けではなく、観ているファンの為に最高難易度の技に挑戦する姿を思い出しました。そういえば、彼も得点では優勝できませんでしたが、一度は失敗した最高難易度の技をもう一度ステージで決めて多くのファンの喝采を浴びましたね。 
 勝ち負けという自分の利己からいったん離れて何か別のもののためや誰かのためにパフォーマンスする。
 この奈和ちゃんの姿勢に心を打たれた奈和ちゃんファンや他のメンバーのファンの方も多かったのではないでしょうか?
 
 2021年8月現在、AKB総選挙はなくなっています。
 AKB48選抜もAKB48単独になりました。
 競争の時代は終わりをつげ、今はグループの中で様々なことを共に創っていく協奏の時代が始まったと僕は考えています。
 

 その新しい時代の中でも奈和ちゃんは、きちんと適応して自分やSKE48をアピールしていきます。これが出来るのは、ひょっとすると、彼女の根底にある考えがずっと変わっていなかったからなのかも知れません。
 もう6年前のブログですが、彼女は今の時代を先取りしていたかのようです。

 今、SKE48は何度目かの変化の時期に来ています。
 新センター林美澪はまだ若いです。
 きっと新しいセンターを支えつつ、彼女はどのポジションに居ても、自分や先輩から受け継いできたSKE48のパフォーマンスを表現していくでしょう。
 彼女が多くの人に与えた幸せが、いつか彼女が想像もしない形で現れますように。

※ここまで読んで、まだまだ古畑奈和ちゃんについて考えたいというあなたには、こちらもおススメですよ!
 

2021年6月27日日曜日

古畑奈和の変異と適応

 進化の中で

 皆さん、もう本日更新した「これからのSKE48の話をしよう」は読んでくださいましたかね。

※まだの方は是非!

https://note.com/oboeteitekure913/n/n25ab8a503a7b

「進化思考」の中で変異と適応によって、イノベーションが生まれていくことが語られていますが、変異は時代によってはエラーと見なされてしまい、生き残ることが出来ないこともあります。また、適応力が高いだけでは新しいことが生み出せずに行き詰まりが起こってしまいます。
 生物は自然界の中で様々な進化を繰り返していきましたし、人類も創造力を持って様々な発明や発見をしていきました。
 「進化思考」は500ページを超える大著ですが、読みながら何回も脳裏をよぎったメンバーがいます。

 それが古畑奈和です。

 彼女は48グループという過酷な環境の中で独自の進化をしてきました。
 今回は、9つの変異の視点と4つの適応の視点から奈和ちゃんに対応しそうなものを探してみたいと思います。

 まずは、①変量(極端な量を想像する)です。
 奈和ちゃんで変量的な進化を遂げたものといえば…。
 文字数でしょう!
 一時期の奈和ちゃんのチェキに書かれた文字数は、凄まじい量でしたよね。
 かつて、ギャラクシーに携帯電話を買い替えた時に、チェキを撮る為だけに名古屋まで行って写真を撮ってきたんですが、その時の奈和ちゃんのパネルに書かれた文字量も凄まじかったです。
 でも、これって、ファンの方のことを考えてのサービスなんですよね。
 あんなに文字数が多いメンバーって、他にいるんでしょうか?
 

 次は、②擬態(欲しい状況を真似る)です。
 今、思うと奈和ちゃんって欲しい状況が沢山あったと思うんですよね。
 それを一つ一つ叶えてきたと思うんですが、SKE48の選抜入り、AKB48総選挙の選抜入り、センターと一つ一つの夢を叶えてきました。

 2017年9月1日のブログを読んでみましょう。

憧れが現実に…#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 ううむ、この頃の奈和ちゃんはまさに夢の階段を登っている途中という感じで良いですね。ちなみに、ポジションだけではありません、ステージ上の衣装についても想像を広げています。

憧れは力になる♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 いつか、奈和ちゃんの印象的な衣装の記事とかも面白いかも知れませんね。誰か書いてくれませんかね(遠い目)。
 センターになった後も、ライブのセットリストに関してスタッフの方々に意見したりと、SKE48を見せる上での理想的なモデルがあるんでしょうね。それは、彼女が5期生として体験してきた様々な経験が元にあるのかもしれません。これについては、また後ほど書きたいと思います。


 3番目は、③欠失(標準装備を減らす)ですね。
 奈和ちゃんに関しては、ある段階でアイドルとしての「模範的解答」をあえて捨てた感じがします(あくまで僕の感想です)。そうすることで、自由を手に入れたのではないかと思います。
 お酒が大好きというのは、AKB48のたなみんさんも語っていましたが、総選挙のスピーチをきっかけにお酒の番組を獲得、さらに太田胃散スポンサーのラジオ番組までゲットしているから、凄いですよね。 
 更に、髪色を自在に変えるというのも48グループでは、少なくともSKE48では彼女だけではないでしょうか?
 奈和ちゃんの女性ファンが更に増えたのは、この自由さもあったのでは、と個人的には思っています。

 はい、今度は④増殖(常識よりも増やしてみる)です。
 ううむ、奈和ちゃんがアイドル生活の中で増殖させたものって何でしょう?
 パッと思いつくものがちょっとないので、これはパスで!


 さあ、真ん中の⑤転移(新しい場所を探してみる)です。
 これはまず、AKB48との兼任でしょう。
 栄を飛び出して、違う環境、違う曲、違うメンバーの中で彼女は間違いなく進化していったと思います。チームE、チームK2意外にもチームK、チームAを経験している。この二つのグループを経験しているというのは、もうSKE48の中でもみなるん、らんらん、谷、奈和ちゃんだけですね。
 完全に妄想ですが、今、奈和ちゃんが兼任するなら、どこのチームが良いでしょう?
 個人的にはSTU48との兼任なんかも見てみたいですけどね。曲のメッセージ性が強い曲が多いだけに、彼女がどんな風に表現するか、そして、かつての彼女がチームKのメンバーたちから学んだように、今度は自分が何を後輩達に何を見せられるかとかも見てみたいですね。
 もしくは、JKT48で暴れる奈和ちゃんなんかも見てみたいですね。
 ただ、グループだけの転移とは限りません。
 ポジションの転移も考えられます。
 キャプテン古畑奈和、リーダー古畑奈和、ううむ、この辺りはだーすーがチームK2を経験してチームEのリーダーになったように、奈和ちゃんもスタープレイヤーから更に違う方面のスキルを身に着けるところも想像してしまいます。
 また、これからの歌唱力選抜の中での活躍も気になりますね。

 でも、奈和ちゃんは自由に風のように色々な場所に刺激を与える存在の方が似合っている気もしますね。


 さて、次は⑥交換(違う物に入れ替えてみる)です。
 たとえば、奈和ちゃんの得意な楽器のサックス。
 これを変えてみる。
 ピアノやキーボードならどうなるのか?
 また、演技力が素晴らしい彼女ですが、あえて表情が使えない声優の仕事とかだとどうなるのか?
 この辺りは、これからの奈和ちゃんへの仕事のオファーによりますが、まだまだ新しい可能性が彼女の中にはあると思います。

 いよいよ終盤、次は⑦分離(別々の要素に分ける)です。
 ううむ、これはちょっと思いつかないのでパスです。

 つづいて⑧逆転(真逆の状況を想像する)です。
 今思えば、彼女は何度も窮地に立たされてきました(詳しくは最後に貼るマガジンを読んでくださいまし)。それでもそんな状況とは真逆の未来を想像して戦ってきました。兼任時代も総選挙でも。後輩が先にセンターになった時も。諦めずに真逆の状況を思い描いて進んできました。
 また、③の「欠失」と関係してきますが、「模範的なアイドル」のある意味真逆の方を選らんだから独自の進化をしたのではと思います。

 最後は⑨ 融合(意外なものと組み合わせる)です。
 思えば、奈和ちゃんはこちらの予想をことごとく裏切り続けますね。
 「花より団子」のオーディションを独断で受けたエピソードから始まり、ミュージカルでの男役、シェイクスピア、仁義なき戦い、個人的に大ヒットは舞台「水戸黄門」ですよ。もう、この人、なんでもできるじゃない、と思いました。是非、他の人が真似できないアイドル人生をこれからも送って欲しいと思います。
 次はどんな意外なものと融合するのか?
 個人的には今度はモノづくり系のNHKのEテレの番組でレギュラーとかを持ってほしいのは僕だけでしょうか?


 さあ、変異の次は適応について見ていきましょう。

 まずは、① 解剖(内側の構造と意味)です
 古畑奈和を構成しているものは何か?
 パフォーマンスでしょうか?独特のワードセンスでしょうか?それとも魅力的な容姿でしょうか?
 挙げて行ったらきりがないですが、僕は彼女だけが持っているドラマだと思います。
 もう、あまりSKE48のメンバーに使うことがない表現になってきましたが、「くぐってきた修羅場が違う」と感じることがあります。勿論、僕らが彼女の歴史を知っているからあというのがあるかも知れません。でも、彼女を構成しているのは、間違いなく数奇なドラマが作っているのではと思います(えらい抽象的になりましたね)。
 そして、古畑奈和がSKE48に今いる意味は何でしょう?
 彼女ほど、SKE48の多様性を感じさせるメンバーは、まだいないと僕は思います。突然、闘犬とかザトウクジラとか、アダム・ドライバーが加入したら、負けるかも知れませんが、彼女の存在はこのグループの自由度の高さを表していると思います。


 さあ、次は②系統(過去の系譜を引き受ける)です。
 奇しくも奈和ちゃんは、SKE48の1期生たちの薫陶を受けています。
 そして、AKB48のレジェンドたちとの共演も。
 今、考えると、それは過去の系譜を引き受けることになるかと思います。
 ただ、SKE48の根本の部分、ずっと変わらない意志のようなものも、彼女は引き受けていると思います。一見、柔らかな佇まいの彼女ですが、先輩たちが持っていた真剣さ、本気さはずっと心の根幹に残っていると思います。
 そして、いつか古畑奈和の系譜を引き受けるメンバーが出て来てほしいなとも思います。


 今度は、③ 生態(外部に繋がる関係を見る)です。
 まず、彼女は握手会で外部との繋がりを持ちました。そこから、パフォーマンス力でさらに外部との繋がりを広げていきました。ここでいう外部は、外仕事でもあり、ファンの皆さんでもあると思います。
 それは今も古びていなくて、2021年も歌唱力選抜として48グループ内を横断して活躍しています。また、先ほど挙げた舞台「水戸黄門」の仕事は、さらに外との関係を強固にするものの一つだと思います。次はどこと繋がる点と作っていくか楽しみです。

 最後は、④ 予測(未来予測を希望につなげる)です。
 奈和ちゃんは2019年頃のインタビューでは大きなところでコンサートをしたいと語っていました。今の彼女はどんな未来を考えているんでしょう? 
 以前、タウンワークのインタビューで、「いつか、バーの経営をしたい」と語っていましたし、「お酒を作ってペットボトル注ぐ仕事」をしたいということも語っていましたが、奈和ちゃんが経営するバーなら、お酒を呑めない僕ですが、一度訪ねてみたいですね。

  

 さて、長々と書いてきましたが、冒頭に書いたように「変異」という言葉は、生物学の中では「エラー」として扱わることもあるそうです。
 古畑奈和は、一見すると、48グループとしては「エラー」として見られるかも知れません。しかし、彼女のファンの方々との向き合い方やパフォーマンスに全力を注ぐ姿勢は、むしろ「王道」だと僕は思っています。彼女は変異だけでなく、しっかりと適応もしてきています。


 そして、古畑奈和はまだ未完成で進化の途中ではないかと思っています。
 今回パスした要素が、新しい進化のトリガーになるのか、それともここまでで挙げた何かが更に加速して、もう一段階上に行くのか?

 皆さんは、どんな風に古畑奈和という人の進化を考えたでしょう?
 僕自身も一瞬掴んだつもりになっても、もう風のようにすり抜けていってしまいます。
 次に彼女が見せる進化を楽しみにして、終わりにしたいと思います。

SKE48古畑奈和について考える|栄、覚えていてくれ|note

2021年6月1日火曜日

はじまりの唄

大事な価値観


 先日行われた、「第3回AKBグループ歌唱力№1決定戦」のファイナリストコンサートで、披露された新曲がありました。それがファイナリスト9人で結成された「Nona Diamonds」の「はじまりの唄」です。

 こちらが昨日、5月31日の20時から公開されました。
 ちょっと聴いてみましょう。



 息を吸い込む音まで響いてくる静寂の中で、一人一人の美しい歌唱が続き、それが重なった時の美しさをこんなに感じさせられますね。
 なんというか、声も一つの楽器だったんだ、と認識させられました。
 
 歌詞の世界を見て行きましょう。
 
 まず、1番のAメロ前に心臓の高鳴り、つまり、緊張は未来に続くことが描かれます。

 そこから1番のAメロが始まります。
 不意に見たテレビ番組のショータイムから、様々なことを思い出して、自分が歌いたかったことを思い出します。それは、一人一人の少女たちが芸能界に入る前の様子にも見えますし、48グループにいる中で感じたことかも知れません。思えば、48グループのバラエティ色が強くなった頃から、歌唱力メンバーは活躍の場が少なくなっていたかも知れません。
 サビでは歌いたくなった初期衝動を持って未来へと進むという、時間軸が綺麗につながる素晴らしい歌詞。
 
 2番Aメロでは、歌うチャンスを得た主人公が、いよいよ未来を掴むために歌います。
 2番のサビ前の「こんな風に笑いたかったんだ」というフレーズが物凄く良くて、主人公が幸せを掴んだ瞬間をイメージさせられます。
 だから、1番のサビと同じフレーズでも、また違った響きを感じます。
 大サビ前では、遠くにある夢を諦められないから、今日も自分の持てる声で叫ぶことが描かれます。
 ここも凄く良くて、歌が未来を引き寄せてくれる感じがするんですよね。
 
 そして、最後はもう「私達だけのストーリー」のはじまりを予感させる内容で終わります。

 本当に素晴らしい歌詞なんですが、特に感動的だったのが、自分の内面と向き合って挑戦する、そして、やっぱりこれが好きだと再認識して、何かが始まるという部分がこれからの9人の物語ともつながりそうなんですよね。

 更に、歌詞の中で、「私」から「私達」に変化していくところも素晴らしくて、これまで総選挙などで個人戦の様相があった48グループが、コロナや運営の変更などでバラバラになっていき、交わることが少なくなった今だからこそ、それぞれのドラマを持った「私」が集まって「私達」で物語を描いて行くのが素晴らしいです。
 
 メロディは、静かに盛り上がっていくんですが、声という楽器と協奏することで、より素晴らしく響くようになっているのでは、と思います。

 さて、歌唱するメンバーなんですが、もう全員表情が素晴らしいんですよね。
 SKE48視点で見て行くと、こんなめちゃくちゃ良い表情の山内鈴蘭を初めて知ったというか、色々なことのパラメーターが高い彼女が、再評価されていくきっかけになるのでは、と思います。
 
 野島さんも、歌う時の表情も良いんですが、声色が本当に素敵で歌詞の世界に寄り添う感じの表現が本当に良いですね。
 サビの「終わらない」の部分が、彼女の歌唱力をフルに感じられて、良いですね。

 そして、古畑奈和ちゃんですが、サビ前の大事な部分を担当しています。
 一回一回の声の強さと表情も素晴らしいんですが、大サビ前の表情と声に注目していただきたいです。
 もうね、「叫ぶんだ」のところを初めて観たときは、感極まって泣いてしまいました。
 
 あとは、STU48の皆さん。
 池田裕楽さんをこのコンテストで初めて知ったんですが、凄い才能がいるとは。
 いやあ、奥が深い。

 2019年に放送されたNHKの「クラシック大好きアイドル集合」の記事でも書きましたが、これからの時代は、競争から共に創っていく時代になってきたのではと思います。
 競争から協奏へ。
 まだまだ48グループの物語は、新しい章を始めることが出来ると信じています。
 

2021年5月30日日曜日

新連載第1回 「体験 古畑奈和」

新しい古畑奈和の魅力を求めて


 あなたが推しと初めて会った時のことを覚えているでしょうか?
 また、推しとの思い出に残っている体験はあるでしょうか?


 今回から新企画として、あなたの推しとの体験を語り、そこから新しい魅力を探ったり、さらに魅力を噛みしめようじゃないか、という企画です。


 ただですね。
 皆さんからの体験を募集してみても、誰からも来なかったら、いったいどうしようという恐怖もありましてね。
 自分でアカウントを作りまくって、自分に送り続けるというわけにもいかないので、ひたすら声を待つという状態だったんですが、ありがたいことに体験を送っていただきましたので、紹介しながらメンバーの魅力を考えていきたいと思います。

 第1回のメンバーは、誰にしようか迷ったんですが、古畑奈和ちゃんにしました。




 やっぱり、このブログとしては縁が深いメンバーですし、初回でこけるわけにはいかないということで、安定感のあるメンバーというと、かなり限られてくるわけですよ。いやあ、初めて、48グループ運営の気持ちが分かった気がします。

 さて、それでは、送っていただいた体験を読んでみましょう。

 まずは、握手会に関するエピソードから。


 奈和ちゃんといえば、初期は「古畑ジャンプ」という握手会での対応が有名でしたが、握手会での対応の良さはずっと変わらないのが、僕の体験を含めて二つのエピソードから伝わってきますね。
 ETS(えっつ)さんが書いてくださった記憶力の良さのエピソードは、一人一人のファンの方を大切にしている感じがして良いですよね。ちゃんと、それぞれの方との物語がある感じがして素敵なエピソードを聞かせていただけました。

 ファンの方を大切にしているという意味では、コウ☆🐕前しか向かねえさんのツイートも印象的です。

  

 さりげない心配りですが、こういうところが奈和ちゃんの魅力の一つだな、と思いましてね。それが自然にできるところとか。
 僕がブログで奈和ちゃんを取り上げ続ける理由の一つに、言葉の魅力があります。
 完全に僕の独断ですが、彼女が大正時代に生まれていたら、昭和期の近代詩で活躍する詩人になっていた可能性があると思うぐらい、彼女のワードセンスは独特のもので、丁寧な言葉遣いや綺麗な文章を書ける人はいますが、自分だけの言葉で世界の具象を表現できる人はなかなか居ません。更に、他の人が書いた詩の世界を自分の身体や声を使って表現する技術も。生まれる順番が彼女の方が大分先だったら、僕は大学院で文学や舞踏における古畑奈和の研究者になっていたかも知れません。
 また、人生の岐路に立たされた時に書く文章も凄く良くて、48グループの残酷さかもしれませんが、追い詰められることや悲しいことが沢山あります。しかし、それを乗り越える為に頑張る気持ちを書いた文章や、乗り越えた後の文章も凄く良いんですよね。
 話をコウ☆🐕前しか向かねえさんのツイートに戻すと、最後の2行の名前で呼んでくれるというのは、凄いですね!
 
 今度は、おれんじさんのツイートを読んでみましょう。

 ううむ、こういうエピソードを聞かせていただくと、兼任って凄く大事だなあ、とも思いましてね。全く違う場所で普段と違うファンの方の前で踊る。
 勿論、兼任する側からしたら大変だと思いますが、新しいファンの方を増やす入り口でもあるんですよね。 そういう意味では、昨日行われた女性無料招待講演も新しい入り口になりますよね。
 チームK時代とチームAと兼任してきましたが、個人的には、大島優子がいて、珠理奈がいて、ツインタワーがいる中に居たチームK時代の奈和ちゃんも魅力的です。
 あとは、チームA時代の奈和ちゃんも凄く興味がありましてね。
 この時のチームAって、本店のたかみな、こじはる、ぱるるが居て、あんにん、川栄、華怜までいるんですよね。さらに、難波から矢倉楓子、博多から宮脇咲良と次世代のエース級が集められていたんですよね。
 この頃のことも、いつか掘り下げて書けないかな、と書きながら思いました。


 最後はDMで送っていただいた、おさちゃんさんの体験を読んでみましょう。



  初めて体験した時のフィーリング、「危ないから離れよう」という感じは、凄く分かって、今風にいうと「沼」なんだと思いますが、そんな手垢のついた言葉では語れない魅力が彼女にはあります。彼女の持つ「引力」は、彼女自身が、誰かの定めた引力から解放されていく歴史にあるのかも知れません。
 奈和ちゃん自身が進もうと思う道に関しては、その後の彼女の活動が証明していますよね。
 誰にも似てないし、誰にも真似できない。
 一つのスタイルは、フォロワーが出て来て真似し始めたら、スタイルとして確立すると表現の分野では言われます。
 だとしたら、古畑奈和というスタイルは残らないかも知れませんが、彼女が残してきた道は、アイドルを始めたばかりの後輩達の選択肢のヒントにはなると思います。真似は出来ないけれど、きっと自分に当てはめてアウトプットを変えることで、しっくりくるものがあるはずだと。
 様々な運営からの仕事を自分という素材だけに頼らずに、諸先輩方や演出家の方からのアドバイスや用意された音楽や衣装を調味料にして料理していく。オファーした側の期待に応えつつ、良い意味で少しだけ裏切ってみせる。僕はそれを「ミュージカルAKB49」で感じました。
 多分、奈和ちゃんだから歌唱力があるし、男の子役も起用だからこなすんだろうな、と。しかし、実際に本番で現れたのは熱い心を持った、がむしゃらな実の姿でした。アイドルとしての綺麗な感じの全力の汗とはまた違った、時には鼻水や涎まで流して自分の悲しみを表現し、頑張る実の姿を演じた奈和ちゃんは、初演の宮澤さん(こちらも凄く良いんですよ)とはまた違う実像を構築していた思います。

 だからこそ、「じゃあ次はどんな姿を見せてくれるだろう」、「この仕事をどう料理するだろう?」と多くの方が奈和ちゃんに色々な仕事を振ってくるんでしょうね。
 
 皆さんの体験を読んでいると、久しぶりに奈和ちゃんのパフォーマンスを観たくなってきました。時代劇ヲタクとしては、「水戸黄門」も観に行きたかったんですが、今度は是非、テレビの方でも時代劇に出て欲しいなと願うかぎりです。
 ちょっと気の早い話ですが、卒業後は役者仕事に強い事務所に所属してほしいな、と願っています。

 第1回は、これで終了ですが、もう1回ぐらい時間を置いて奈和ちゃんをやってみたいな、と思いました。皆さんは、いかがでしたでしょうか? 


 第2回は、SKE48を卒業したばかりの松井珠理奈さんの予定です。

2021年4月10日土曜日

自由の翼

 自由について


 19歳でシリコンバレーで企業し、siriの開発プロジェクトにも加わった台湾デジタル担当大臣オードリー・タンが、日本向けに書いた「自由への手紙」が面白いです。IQ180の彼が著作の中で様々な自由について語っていますが、冒頭で2つの自由を挙げています。
 一つ目は、既存のルールや常識、これまでとらわれていることから自由になる「ネガティブ・フリーダム」。「ネガティブ」というと悪い意味にとらえられがちですが、第1歩という意味でここでは使われています。
 2つ目は、自分だけではなく他の人も自由にしてあげること。自分が変えたいと思っていることを変えられること。自分が起こしたいと思っている変化を起こせる人。それが「ポジティブ・フリーダム」であり、この2つ目が出来ている人が自由な人だと定義して、彼の著作は始まります。
 

 この本を読みながら上記の2つの自由を体現しているメンバーは誰だろうと考えました。頭にすぐ思い浮かんだのが、高柳明音と古畑奈和でした。

 
 

 SKE48のファンだけでなく他グループのファンの方にも、高柳明音が総選挙のスピーチでしかけた秋元康への直訴は有名です。
 彼女の直訴があったからこそ、閉塞感に覆われたK2に「新公演」を持ってくることで変化を起こしました。
 そして、古畑奈和は既存のアイドル像から自由になり、徐々に後輩達の選択肢を増やしています。
 今回はこの二人の「自由人」の関係を見て行きたいと思います。
 

 まず、この二人の関係性ですぐに思い浮かんだのが、755の写真集争奪ウォッチバトルです。
 思えば初日4,213,851ウォッチの単独首位でスタートし、5月3日の最終日(正確には3日の23時から4日の0時までの1時間で)。NMB48の上西恵さんに逆転を許してしましまいます。あの時の絶望感の話は、以前書いたので是非幻の写真集という記事を読んでみてくださいませ(記事の一番最後にリンクを貼っておきますね)。ちなみに、あの時書けなかったことを補足しておくと、かおたんが凄くコメント欄とかでファンの皆さんを鼓舞していましたね。最近、つくづく奈和ちゃんとかおたんの関係の面白さも感じていますが、本筋とずれるので今回は置いておきます。

 5月5日。
 21時から今度は高柳明音の755のウォッチバトルが始まります。
 20時頃、奈和ちゃんは755にこんな投稿をしています(現在はアプリが終了しているので観られません)。一部を引用したいと思います。

「うずうず、しません?熱い気持ちが急に冷めた今、うずうずしてません?(はてなマークのと『ん』の間に顔文字あり)」

「とにかく、21時には、皆さんがなくした気持ちを一緒に取りに行こうと思います(顔文字)」

「私で学んだことは生かす!
 それが私と私を応援してくれてた
 ファンの方のできること!

 私たちにしかない感情とできることをちゅりさんの
 ソロ写真集企画へ!

 (省略)」


 僕は奈和ちゃん推しではないですが、この755戦争の頃の奈和ちゃんの言葉はとても好きで、スキルや見た目だけでなく人間性で推しになる人が沢山いる理由の一つではないかと思っています。
 自分が起こしたいと思っていた変化は起こせなかったけれど、その直前まで行っていたからこそ、誰かの変化の力になれる。「ネガティブ・フリーダム」でも「ポジティブ・フリーダム」でもありませんが、より等身大のやり方でちゅりのチャレンジに寄り添います。

 翌日5月6日の奈和ちゃんのアメブロを2つ続けて読んでみましょう。

 ただいまです(*´-`)#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 K2ポーズ#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ううむ、5月4日まで睡眠時間を削り続けていた人なんですよ。
 卑小な例で申し訳ないですが、自分だったらすぐに誰かの為には動けません。
 なのに、ここまで動くなんて。
 人間って極限の場面だったり、その後の対応だったりでその人の本質が見えてくるんですね。

 極限の場面といえば、ちゅりの総選挙直訴と同じぐらい、総選挙復活は忘れられません。
 「豆腐プロレス」ではネタにされていましたが、「最後」を何度も考え直したからこそ、最高の瞬間を手にすることが出来たわけです。
 そこに辿り着くまでの葛藤もあったと思います。ファンに宣言したことを反故にするのかと。でも、常識に縛られずもう一度チャレンジしたから、彼女はまた選抜の景色を見ることが出来たのではと思います。

 高柳明音*私は人生かけて皆に恩返しをしていく。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 丁度、2017年は奈和ちゃんも総選挙で選抜入りを果たした年ですが、スキルや実績を見ていくとちゅりと奈和ちゃんは重なる部分が結構あるのでは、と思っています。
 まず、なんと言っても演技。
 特に舞台での共演は、「AKB49」、「仁義なき戦い~彼女たちの死闘篇~」、「SKE48版 ハムレット」と3度にも渡っています。
 皆さんはそれぞれの舞台をチェックしてらっしゃいますでしょうか?
 僕は「仁義なき戦い」だけ観られていませんので、今回は一旦こちらは省いて「AKB49」と「ハムレット」で語ると、二人の魅力的な部分を感じられる配役でどちらも好きです。
 「AKB49」の実の真っすぐさと岡部愛の負けん気の強さ。
 「ハムレット」におけるクローディアスの妖しい美しさ、ポローニアスのオモシロ感とフォーティンブラスの強い眼差し。
 どちらも古畑奈和と高柳明音にあてはまるハマり役だと思います。
 「AKB49」は奈和ちゃんのブログを「ハムレット」はちゅりのブログを読んでみましょう。

AKB49♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


高柳明音*SKE48版ハムレット | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 それぞれが自分と違う人間を演じることで、役を離れて自分に戻る時、自分がどんな人間でどんなものを持っていたかを感じたかも知れません。
 そして、二人の演技を観ていると「アイドルなんてこんなもの」という観客側の偏見や忖度を全部壊していきます。それだけに、「仁義なき戦い」も観ておけば良かったと最近後悔しています。


 舞台以外でも超名作である「マジカルラジオ」での共演も忘れられません。特にあのドラマのおかげでちゅりが好きになった人間からしたら、2019年3月の炎の全国ツアーでの復活は本当に嬉しかったです。
 そういえば、二人とも単独のラジオ番組を経験していますね。
 音声メディアから聞こえてくる二人の声は、どちらも聴き心地が良いんですよね。
 それは歌声でも同じで、二人とも魅力的な歌声で僕らを魅了します。 
 ミッドナイト公演での身体的な重なり合いも良いんですが、純粋に歌で重なり合う表現が卒業コンサートで観られたら嬉しいなと思っています。

 現在、SKE48のアメーバブログでは、卒業するちゅりや珠理奈に関連したテーマで多くのメンバーが思い出を語っています。
 「ちゅりさんに言われて印象に残っていること」や「高柳明音の何が凄かったか」というテーマの日を読んで行くと、後輩達がちゅりの素晴らしいところを挙げています。特に期が離れた後輩たちのブログが印象的で今回のコンサートでリハをみながら様々なことを学んでいるのが分かります。
 たとえば、ちゅりと同じように身長が低いなーやんの気づき。
高柳さんのすごいとこ!竹内ななみ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 公演MCを仕切ることも多いあいあいあの気づき。
ちゅりさんの凄いところ( * ॑꒳ ॑* )♥杉山愛佳 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 凄く気になる青木さんの一言。

心に残った一言✩︎⡱ #10期研究生 #青木莉樺 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 多くの後輩達が「語彙力が足りなくて」と書いていましたが、この言葉にしにくい良さというのはなかなか難しくて、「ちゅりが居る空気」ではないかと僕は思っています。
 彼女がいるだけで場が明るくなる。
 握手会で遊びに行った時、紅白のリハでみんなが追い詰められた時、彼女の言葉や表情でファンもメンバーも少しだけ未来への兆しが見えて、不安から自由になる。
 SKE48や48グループの中の常識を破壊した彼女は、今度はソロで誰に「ポジティブフリーダム」を与えるでしょう。
 鳥が飛び立った後のように、羽は静かに降りてきます。
 残される古畑奈和の最近のブログで印象的なものがあります。

古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 いったいどんな言葉だったんでしょう。
 実はこの記事を書こうと思ったきっかけはこのブログからでした。
 いつ言われた言葉なんだろう?
 舞台の時か、奈和ちゃんがセンターになった時か、それともプレイべートの時でしょうか。
 ちゅりが残していった羽の色は奈和ちゃんにしか見えない。
 見せてくれない。
 言葉を大事に自分の中でしまっておくところが、奈和ちゃんらしくて良いですね。
 個人的には23歳の生誕祭の時の手紙ではないかと予想していたんですが、最後まで読むと違いそうなんですよね。

 「奈和には人との距離がめちゃくちゃ近い反面、絶対的なパーソナルスペースがあって、そこには誰も踏み入れさせないっていう雰囲気があったり、私生活もあまり見せないし、まぁ割と謎多いよねってメンバーにもよく言われてて、確かにって思ったんだけど、でもそこに最近少しずつ入れてくれるようになりました。
 (省略)私もまぁパーソナルスペース強めの人間だけど、気付いたら奈和に対してはなくなってて、自分ではビックリしてます。
 これも理由の1つ、奈和が「FRUSTRATION」のセンターになって、きっと色んな意見とかぶつけられたと思うけど、『私は私にしかできないセンターになる』って自分を貫く、そうやって強く持てることは私にとっては簡単なことじゃなくて尊敬するし、そういうところのリスペクトもあった上でなるのかもなって思いました。

 SKE48にあった色々なしがらみや当たり前や暗黙の了解とか正面突破でぶっ壊していって、それを大人たちに新しい魅力として認めさせたのは結構、SKE48の歴史の中では革命だったと思います。
 私はルールに縛られるタイプだから純粋に凄いなって思ったし、素直におめでとうって伝えられました。(省略。この後、ちゅりが卒業発表した時に奈和ちゃんが泣かなかったエピソードトーク。理由は『もっと仲いい子とか親しくしてくれてる子がきっといるから、私なんかが泣いて、寂しいとか言って気遣わせたくない』から)
 私はただただ私にために涙を流す奈和がを見てみたいです。フラグじゃありません。演技は嫌です。(省略)そして、いつか私たちの夢である熊本、馬刺しでお腹いっぱいの旅しようね」

 自由な奈和ちゃんの姿勢が、後輩たちも自由にしていく。選択肢を増やして、次のブレイクスルーへ繋がっていく。
 「馬刺し」と「火鍋」はジャンル的に近いんでしょうかね?15万円あれば博多旅行をプレゼントできそうではあるんですけどね。

 話を二人の関係に戻しましょう。
 似た物同士ですが、役やポジションが変わることで受ける刺激も変わっていく二人。
 先輩後輩でありながらも、親友というよりはプレイヤー同士の関係にも思えます。
 そして、いよいよちゅりのポジションが大きく変わります。

 果たして本日、どんなコンサートになるのか、アイドル高柳明音は最後にどんな飛翔を見せるのか。そして、奈和ちゃんの眼からは涙の雫が最後に零れるのか。
 未来への兆しを見届けましょう。

 

※「幻の写真集」という記事はこちら!

2021年4月4日日曜日

2021年4月3日「高柳明音のオールナイトニッポン0」の感想

 声の力

 

 昨夜4月3日土曜日は、「オードリーのオードリーのオールナイトニッポン」からの「高柳明音のオールナイトニッポン0」というリトルトゥースでSKE48推しの人間としてはたまらない夜になりました。
 ただね。
 「オードリーのオールナイトニッポン」の春日さんのお子さんが幼稚園に入園したエピソードトークの後で爆笑した後に(春日さんのトークゾーンで茶々入れる若林さん好きとしては嬉しい回でしたが)、寝落ちしてしまい、起きてから「しんやめ」とエンディングを聴いていたんですが、若林さんが先日語っていた「高柳明音さんのラジオを聴いている」という話から、今週のエンディングでも「何年か聴いてんだよなあ。すっごい知ってんだよね。わざわざいうことじゃないけど」と若林さんらしい控えめな言葉でしたが、「間違いなく聴いては帰りますけど。(中略)いま、挨拶きてくれましたけど、なんか『パーソナリティだ!』いつも聴いてる。「実在するんだ!」昔共演したことあるけど」と「マジカルラジオ」について少しだけ触れてくれたのが嬉しいですね。

 そして、いよいよスタートした「オールナイトニッポン0」。
 まずは「マジカルラジオ」以来の若林さんとの7年ぶりの再会についてのトーク。
 「マジカルラジオファン」の僕としては、ここで鳥肌が立ちました。
 「マジラジ」の頃よりもテンション高めに接してくれたという話も良かったんですが、「ラジオ」という場で二人がニアミスするのが良いですね。
 僕は「マジカルラジオ」のおかげでオードリーのことが好きになり、そこからオールナイトニッポンを聴くようになり、ラジオが好きになった人間としては、たまらない組み合わせです。
 ちゅりの元気な声も素敵ですし、若林さんの「~なのよぉ」というぼやき方も好きですし、春日さんの「そんなわけねーだろ!」というツッコミも大好きです。
 音声メディアの価値が、再評価されている今、ラジオというパーソナリティとの距離が近く感じるこのメディアで好きな人達の声が聴けるのは、本当に幸せですね。
 1曲目で「バンドをやろうよ!」という「マジラジ3」から生まれた幻の曲から始まったのも最高でした。


 
 CMを挟んでラジオニッポンで放送中の「うまかた」でのまとめ録りエピソードを挟んで、ゲストの5期生コンビである古畑奈和と江籠裕奈のコンビが登場。
 ラジオで聴く奈和ちゃんの声も良いんですよね。
 まず、江籠ちゃんに関するエピソードについて。
 ちゅりが何故、江籠ちゃんのことを「江籠さん」と呼ぶのかという由来と二人の距離が縮まったエピソードが良かったですね。
 江籠ちゃんのことを「心のない人形」という印象から「人間にしてもらった」という江籠ちゃんの言葉を聴いていると、「君の名は希望」を僕はふと思い浮かべました。
 江籠ちゃんを託した2015年ぐらいに卒業した先輩が気になりますね。
 奈和ちゃんとちゅりの関係トークでは、様々な舞台での共演を経てミッドナイト公演で極まるというのが印象的でした。あと、チームE時代にチームK2に居た同期(はるたむ?)が可愛がられているのが羨ましかったというエピソードも良かったです。

 そして選曲されたのが「夜の教科書」!
 まだ1回しかライブでやってない曲!
 聴いているこっちがテンション高柳になりそうでした。

 しかし、5期生コンビに高柳明音を挟むことで色々な関係性が見えてくるのが面白いですね(同じことは、ひょっとするとみなるんやかおたんにも言えるかもしれませんが)。

 ここから3人の母親の呼び方についてなんですが、ちゅりの「おかあちゃん」→「おかあ」→「かあ」に変わるというのが面白かったですね。「うちにカラスはいない!」というお母さまの言葉も。
 更に懐かしトークとしての「1/149」の幻のエンディングについても面白くてですね。
 焼き鳥食べながらのエンディングは流石にショッキングでしょう!

 もうすぐ4時になろうかという時に、番組がスタートした頃にちゅりがフォローした若林さんのインスタからフォロー返しがきます。若林さんのインスタは夜にバスケをする動画やキン肉マンの画像も好きなんですが、NFL倶楽部の「熱視線プッシュ」のコーナーの補足も好きだったりします。
 

 そこからちゅり、奈和ちゃん、江籠ちゃんの前髪かぶりからの奈和ちゃんにヘアチェンジをそれとなく勧めたエピソードも面白かったですし、服へのこだわりで「量産型は嫌!」というのは凄く共感できますね。
 江籠さん選曲の「夜明けのコヨーテ」を挟んで「マジラジ」が始まる時のエピソードへ。
 ここでのスタッフさんたちがくださった言葉である「これから作るこの作品が君たちにとって宝物のになればいいと思っているから」でもう、感動ですよ。
 これはもう、メンバーだけでなく多くのファンにとっても宝物になった作品ではないかと思います。
 
 更に、色々なリスナーさんたちのメールが読まれている中で「声の力」について考えさせられましてね。
 辛いことがあっても、「みんなの『声』がなかったら、私は12年続けられなかった」という言葉にも感動しましたし、番組のスタート時に語った夢を「声」に出すことで実現していくのではということを考えさせられました。
 
 コロナ禍でちゅり自身が「アイドルの映像を観て元気をもらったんですよ」という経験から「アイドルとしてみんなに元気を与えられるんじゃないか」という発見。
 そこから配信をすることで、何もない日常に「楽しみ」を付加するというアイドルだからこそできることを改めて発見できたというエピソードも良かったですね。

 「アイドル」から「女優」へ変わっていくこれから、果たしてどんな形で新しいちゅりが見られるでしょう?
 おまけコーナーで語っていた「高柳明音と松井玲奈のオールナイトニッポン」もどうか実現してほしいですね。個人的には「オードリーのオールナイトニッポン」にゲストで呼ばれて欲しいところですが、裏番組だから難しいですかねえ。別の場でもいいので、いつか共演して欲しい(なんなら『オールナイトニッポン0』でも)!

 そして、これからも夜更かしの僕らの為に、こっそり声を聴かせてほしいです。

 

2021年2月11日木曜日

96年世代、4人の挑戦者たち

 黄金の世代


 今年の始めに講談社学術文庫で発売された坪内祐三さんの「慶応三年生まれ、七人の旋毛曲り」という本が非常に面白いです。
 慶応三年に生まれた夏目漱石、宮武骸骨、南方熊楠、幸田露伴、正岡子規、尾崎紅葉、斉藤緑雨の7人が、それぞれのタイミングで世に出て活躍し、日本の文化にどのような影響を与えていったかを書いたエッセイである。上記の7人だけでなく、明治期を代表する有名人たちが引用される参考文献の至るところに出てくるので、読んでいるだけで明治期の文学史の勉強にもなるので、おすすめです。
 僕自身は、大正期から昭和初期の文学が研究対象だったので、自分が研究していた作家たちが学生時代に観ていた憧れていた東京の文学界や、彼らの師匠筋やカウンターの対象にあたる人達の「生き方」を勉強し直せたのが、とても楽しかったです。

 さて、読み終わってから、ふと、こういうアプローチをSKE48でするとしたら、どの世代に成立するだろうと思いましてね。
 多分、48グループ全体で見ると、91年生まれが重要な世代だと思います。
 前田敦子・高橋みなみ・板野友美・柏木由紀・北原里英・大家志津香と、一般の方でも名前と顔が一致するメンバーばかりだと思いますし、それぞれが持つキャラクター性もバラバラですが多くの人達の心を掴みました。

 SKE48では、松井玲奈・高柳明音・須田亜香里の3人が挙げられます。
 もうこの3人だけで、充分、SKE48に重要な要素を作っているじゃないか、と考えると思うんですよね。松井玲奈の表現力と時折見せる狂気・高柳明音の熱さとリーダーシップ・須田亜香里の握手力と自己プロデュース力。黄金世代であることは間違いないと思います。しかし、この3人でSKE48の中核を語るには、まだ足りない気がします(かおたんが1歳年上なのが非常に惜しかった)。

 そこで、もう少し下の世代を見て行きましょう。
 僕が注目したいのは、1996年世代。つまり、平成8年4月1日から平成9年3月31日生まれの4人です。
 松井珠理奈・古畑奈和・鎌田菜月・青木詩織です。



 この4人の共通点は、何でしょう?
 それは、彼女たち4人がそれぞれ挑戦者であることです。

 彼女たちが48グループ内で置かれた状況は、必ずしも恵まれているとは言えませんでした。「はっ?松井珠理奈とか超推されだろ?」と思われるかも知れませんが、小学生の頃からアンチがワラワラいる、なんなら週末に握手ついでに、あなたの居るところへ会いに来る人生って経験したことがありますか?
 「AKB48を超える」、「総選挙で1位になる」そんな途方もない目標を自分だけのものではなく、色々な人から託されるようになったことがありますか?
 恐ろしいぐらい高い目標に向けて、全力で走りつづける姿に心動かされた人は多いんじゃないでしょうか?僕もその一人です。
 しかし、140キロ以上のスピードを出し続けた車は、ブレーキを踏むと反動で運転手を殺してしまうように、珠理奈は止まらない生き方を選びます。その反動が要所要所に出ますが、2018年ごろにもろに出てしまったのではないかと思います。
 以前、「松井珠理奈がSKE48のダンスの基準を作った」と秋元康が公式本の中で語っていましたが、それは別にダンスだけではなく、精神性もそうだったのかも知れません。
 今年の彼女は、プロデューサーとしての1面もそうですが、彼女自身の人間性の掘り下げをyoutubeで始めています。電光石火に銀の靴(分かった人は映画ヲタクと見た)のカリスマではなく、親しみやすい一人の女性の姿がいつもそこにはあります。
 そう、新しい挑戦を卒業に向けて彼女は始めているわけですね。

 

 松井珠理奈より半年早く生まれた古畑奈和もまた挑戦者でした。
 いつもなら、「詳しくはこの辺の記事を読んでね?」と手抜き全開でリンクを貼るところですが、今回はじっくりと書いてみましょう。
 珠理奈と比較した時、奈和ちゃんは先を走っていた同期がいました。そして、握手を入り口に表現力が注目され、AKB48との兼任が始まります。二つのグループをまたにかけながら、自分たちの世代で48グループを躍進させたいという夢を持ちます(2015年の総選挙のスピーチなんか特に)。しかし、兼任は解除、ここで彼女は腐らずに次々と演技力を活かした仕事にチャレンジしていきます。そんな彼女の頑張りとは裏腹に、時代の流れは残酷で、彼女が目指していたセンターは次々と同期や後輩たちが獲得していきます。
 ファンの方々と総選挙の選抜獲得やソロアルバム発売によって、独自の路線を進みます。SKE48でソロアルバムを出しているのは、2021年2月10日現在、彼女と松井珠理奈だけです。
 やがて、満を持してセンターになりますが、それまでどれだけの涙を流したのか、と未だに思います。
 松井玲奈とは違う狂気が彼女の中には備わっていて(何かに全力になると危うい感じは755戦争の時に特に感じました)、曲のヴィジュアライズ化という意味でのダンスならば、今の彼女に叶う人はほとんど居ないのではないかと思います。
 今年の彼女は、新しくモデル仕事が入ったり、時代劇の仕事が入ったりと、アイドルという枠の中に居ながら少しだけ外に繋がる仕事に挑戦しています。古畑奈和の色が次は何色になるのか、楽しみです。


 鎌田菜月は、2013年に6期生としてデビューしますが、当時のSKE48イズムの申し子かというと、そうではありませんでした。
 彼女自身がアイドルになろうと入ったわけではなく、あれよあれよと進む審査と自分が置かれている状況に戸惑っていたそうです。
 彼女の挑戦は、アイドルになることから始まったのかもしれません。
 やがて、SNSを駆使した「自撮り詐欺」や「鎌田を脱がせてみろ」というファン心理を理解した自己プロデュースでどんどんポジションを上げていきます。
 ただ、順風満帆かというとそうではなく、彼女自身も「ダンスを覚えるのが得意ではなかった」と語っていますし、同期から遅刻することもあったと語られています。
 既に昇格した同期は選抜にどんどん入り、後輩も選抜入りを果たしていく。
 そんな中でも彼女は、腐らずに地道に公演に出ながら発信を続けていきます。
 やがて、様々な人々の目に触れ、彼女の「趣味」は「仕事」に変わっていきます。
 先日、彼女の「趣味」について少しこのブログで触れましたが、将棋関連の仕事で名鑑の表紙になる偉業は、48グループで初であり、誰にも真似できない彼女しかできないことだと思います。
 今年も彼女は「趣味」を「仕事」へと繋げていきます。
 いや、競馬などを観ていると、「仕事」が「趣味」へ変わるものも出てくるかも知れません。そうすることによって、彼女の宇宙はさらに広がり続けるでしょう。
 好きなものを熱く語るという姿はSKE48の二次元同好会の流れを汲みながらも、新しい流れを作り始めていると思っています。あとは、彼女のフォロワーがメンバーから出てくるかが次の注目ポイントだと思います。ここでいうフォロワーとは、スタイルを真似てさらに進化させるメンバーです。
 そうすることによって、新しいSKE48の選択肢が出てくるのではと思っています。


 鎌田菜月と同期の青木詩織は、静岡からSKE48にやってきたメンバーです。
 全員選抜という今回の「恋落ちフラグ」で初めて選抜入りしたメンバーですが、劇場公演で大活躍し、チームK2の愛されキャラとしてファンの皆さんからは親しまれています。
 彼女の功績で何より大きいのはやいづ親善大使としての活躍です。
 48グループの地方メンバーの魅力の一つとして、ファンが縁もゆかりもなかった土地に対して一つ意味が乗ることが挙げられると思います。「ああ、〇〇ちゃんの出身地なんだ」とか「今度〇〇でイベントがあるから行くか」とかですね。
 僕は一度も焼津に行ったことは無いですが、おしりんのおかげで名前を覚えましたし、ゆるキャラの「やいちゃん」も可愛くて、一時期はパソコンの待ち受け画面にしていました。僕と同じように、彼女のおかげで焼津と繋がった人がいるかもしれません。また、様々な地下鉄での広告もインパクトが大きかったですね(詳しくはこちらのリンクをhttps://www.city.yaizu.lg.jp/g08-002/tikatetu_koukoku.html)。
 選抜入りしなくても外仕事で活躍し、なんなら地元に錦を飾る。
 地方初の48グループだからこそ、土地に新しいレイヤーを乗せられる。
 そんな可能性を彼女を始め、どんちゃんやかおたんも示したのではないかと思います。
 今、彼女はローカルとはまた違った方向のチャレンジを進めています。
 それがtiktokを始めとするSNSです。
 「tiktok?そんなもん見るかよ。ぺっ!」みたいなスタンスだったんですが、日向坂46のキュン動画は好きなので、きっと先入観なんでしょうね。youtubeの方も専用チャンネルを作って動画をアップし続けています。
 彼女が挑戦しているのは、ひょっとすると僕のような「古い観客」かも知れません。新しい面白さを求めて、今日も新しいアイディアを企画しているかと思うと、本当に脱帽します。
 ローカルとグルーバル、どちらも開拓していける強みがおしりんにはあります。

 こうして、96年世代の4人を並べてみると、SKE48のこれまでとこれからの可能性が秘められている気がします。そして、様々な夢の叶え方や挑戦の仕方を提示してくれています。

 珠理奈と奈和ちゃんの関係は、以前書きましたが、珠理奈と鎌田さんの関係。奈和ちゃんとおしりんの関係。珠理奈とおしりん、鎌田さんと奈和ちゃんの関係、考えてみると、面白い組み合わせがありそうです。
 果たして、あと5年経った時に、96年組こそが黄金世代だったと言われるか、それとも全く違う世代が輝くのか。今から楽しみです。

※2001年世代の8人について書いた記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2021/02/blog-post_35.html

2021年2月1日月曜日

自分なりの「守り」方で

 あの日見た背中




 誰かを「守る」と誓ったことはあるでしょうか?


 フィクションの中であれば、誰かからの暴力や組織の危機から「守る」ことが挙げられるかも知れません。
 しかし、我々の日常の中で大切な人を「守る」ということは、なかなか見えにくいことです。
 映画「花束みたいな恋をした」の中で、恋人との関係を「守る」為に主人公の一人は「普通」になろうとしますが、それが二人の関係がずれるきっかけになるということが描かれていましたが、「守っている」つもりでも、実は壊していることもあります。
 かように、「守る」ということは難しいです。

 アイドルの世界も同じです。
 グループやメンバーを守っていくというのは、すぐに取りかかれたり結果が出ることではありません。
 かつて、SKE48は松井珠理奈と松井玲奈の2枚看板が、グループの中心にありました。運動場の汗の匂いがする珠理奈と、舞台の汗の匂いがする玲奈、同じ松井でありながら発する光が対照的だったこともあり、それぞれの光に多くの人々が集まりました。
 やがて、時が流れるにつれて他グループの台頭とアイドルブームの終息もあり、徐々にファンの総数は減っていきます。
 それでも、2015年8月末に行われた松井玲奈卒業コンサートは豊田スタジアムで2日間に渡って行われ、松井玲奈の最後を見届ける為に多くのアイドルファンが集まりました。
 この時、「手紙のこと」で一人一人のメンバーに向けて松井玲奈が言った「一人一人がSKE48の未来です」という言葉が非常に印象的でした。
 松井玲奈について古畑奈和は、2015年8月31日のブログで次のように書いています。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12068036605.html

 「優しい手に何度も何度も包まれて引っ張ってもらいました」
 「人見知りなのに仲良くしようと話しかけて」
 「前に立つ人として引っ張り支える人として」

 松井玲奈のことを思いながら、彼女が背負ってきた「荷物」について思いを馳せます。
 そして、自分が支えてもらったことを今度は自分がしていこうと、彼女は誓います。

 SKE48に関しては、前日のブログで書いています。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12067666930.html

 「守らなきゃ」という気持ちが生まれました。


 この年のリクエストアワーで古畑奈和は、松井玲奈が務めたセンターポジションで「前のめり」を披露します。


 翌年の3月4日。
 宮澤佐江の卒業コンサートが行われます。
 AKB総選挙の選抜常連であり、外仕事の量も多く、SKE48には貴重な女性ファンも引っ張ってこれる魅力的なメンバーでした。
 彼女がMVの画面に出てくるだけで、華やかさが出る貴重なメンバーでした。
 3月4日の古畑奈和のブログを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12135857465.html

 「温かさ」、「安心感」、ベテランメンバーである宮澤佐江がSKE48にくれたものは、ファンである我々よりもSKE48のメンバーがより多く感じていたのかも知れません。
 そういえば、BUBUKAの取材で、宮澤佐江と古畑奈和の優しさが似ていることを指摘されていましたね。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12045112346.html


 思えば古畑奈和は、上記の「前のめり」だけでなく、松井玲奈の「枯葉のステーション」を演奏し、「AKB49」を宮澤佐江に次いで主演を担当します(特に『君はペガサス』の世界観があんなに似合う人はいないと思います)。
 サックス演奏という新しい汗の匂いと、上記の二人に通じる表現力。
 古畑奈和という人ならではの魅力と、二人の偉大な先輩たちの素晴らしい点を彼女は別れと共に再認識し、吸収していきます。
 そして、2016年の総選挙が近づいてきた5月12日。
 残された松井珠理奈への想いを古畑奈和は語ります。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12159730736.html

 「珠理奈さんを守りたい」、「背負っている荷物を少しでも私に持たせてもらえたら」、後輩ながらも抱きしめた珠理奈の背中。彼女にかかった負荷と自分も気づけていたらという後悔。
 松井玲奈にも宮澤佐江にもなれないけれど、自分のやり方で珠理奈とSKE48を「守る」。
 ワクワクさせてくれる、夢を与えてくれたグループを守る。
 思えば、2015年の総選挙での彼女のスピーチは、まさにこの言葉と繋がりますね。
 ただし、まだ彼女はもう一皮むける過渡期の真っただ中でもあったので、早くグループを守れる存在になりたい気持ちと自分の現状を比べて、もどかしい気持ちもあったのではというのも微かに感じます。

 やがて、2017年。
 松井珠理奈の代わりに単独センターとして小畑優奈が選ばれます。
 ゆななのフレッシュな魅力は世代交代を予感させるものでした。
 個人的には、この2017年が来る前の「金の愛、銀の愛」で古畑奈和センターという選択も面白かったのではないか、と思っています。彼女の当時の想いともう一押しとしてセンターという選択肢があれば、もう少し早く珠理奈の荷物を一緒に持ち、未来は変わっていたのかな、とも考えたりもします。

 2019年、古畑奈和はキャリア8年目にしてセンターになります。
 松井珠理奈も雑誌のインタビューで「奈和ちゃんなら安心して任せられる」ということを語っています。
 正直、8年目でセンターということに対して、早い遅いという認識は人それぞれですが、総選挙で2回の選抜入りという結果を出した説得力がありました。そして、彼女なら大丈夫だという「安心感」も。
 そこから、グループを守るためにセンターだった珠理奈の分まで彼女はメディア露出していきます。レギュラー番組も始まりました。ソロの楽曲も増えて行きました。勿論、全盛期ほど外仕事はありません。それでも、センターとしてマイペースながらも、決めるところは決めて(特に対外試合)グループを「守って」いきました。


 この記事を書いているのは、2021年2月1日の夜です。
 明日の朝から、松井珠理奈の卒業シングルが全国の店頭に並びます。
 SKE48の象徴であり、多くの荷物を背負っていた人。
 名前の無い悪意に傷けられ続けた人。
 誰よりもグループを愛していた人。
 あの日見た背中は、今、奈和ちゃんにはどんな風に見えているんでしょう。
 そして、いよいよ、本当の意味でSKE48を「守る」期間がこれから始まります。
 珠理奈を見送る古畑奈和の背中を今度は、どの後輩が見つめているのか。
 あの日の奈和ちゃんの気持ちを、後輩もきっと感じるのではないかと思っています。
 ずっとSKE48と大切な人を「守って」いって欲しい。

 今夜は「前のめり」を聴いて寝たいと思います。



2021年1月24日日曜日

黒とピンクと水色と黄緑

 君が染める色

 皆さんは、服を買う時に何色の服を選ぶことが多いでしょう。 
 黒と白を除くと、何色の服を選んでいますかね?
 僕は若い頃は10代から20代前半はピンクで、20代後半から30代前半は紫、30代後半は紺色と、歳をとるごとに色味が深くなっています。
 社会学や分類学で着る服によって統計を取り、どんなタイプの人が多いのかを調べた本が世に沢山出ていますが、僕は太田うにさんが女性向けのファッション雑誌に連載していたイラスト入りの本が好きでよく読んでいました(ちなみに、ピンクをよく着るおとこは愛されお坊ちゃんが多いそうです。愛されないし、坊ちゃんでもないぞ!)。
 選ぶ色でそこまで分かるものかね、と思いつつも心理的な影響(自分に対してのこともあれば、相手に対してのこともあり)は実際にマーケティングやコピーを作る際にも重要視されているので、無関係ではなさそうです。僕自身も新しい服を買った時のワクワク感とこの色がしっくり来るなというのがあります。

 そこで、今回は先日、アップされたKANGOL REWARDさんの動画からインスパイアされた、古畑奈和と色について考えていきたいと思います。
 


 とりあえず、服着換える前の衣装の佇まいが森川葵みたいで、上品な美しさがありますね。
 ううむ、コラボトレーナーはどれも似合っていますが、ワインカラーの服を着ている奈和ちゃんが新鮮ですね。コーディネート込みだと、パープルの合わせ方がカッコいいです。こういう仕事が何の争奪戦とかせずに手に入れられるのは、流石です。後輩たちに良い前例をどんどん作って行ってほしいです。
 
 さて、奈和ちゃんの色というと、何色を連想するでしょう?
 推しの方々からしたら、サイリウムカラーの水色と黄緑かも知れません。
 髪の色も2018年ぐらいから自由自在に変えていき、ちょっと遠くから見ても「おお、あの辺りに奈和ちゃんがいるわい」と発見できるようになっています。
 ただ、僕はどちらかというと、奈和ちゃんの色は「黒」のイメージが強いんですね。
 多分、着ている服のイメージからかも知れません、確か、奈和ちゃんも好きな色で黒を挙げてなかったかな、と思って調べてみたんですね。

 
 黒髪に落ち着きを感じて、黒が好きという話をしています。
 で、黒に落ち着きを感じる人の心理について調べ始めたんですが、カラーセラピーとかを含めて、あまりにも書いてあることがバラバラなので、一旦、置いておき、再び奈和ちゃんと色について調べて行きます。

 2016年9月26日のブログでも、黒色について書いています。
 そして、ピンクについても。

 ちなみに、2017年11月25日のブログでは、髪色をいつか金色にしたいということと、少しだけピンクを入れたことも書いていました。ううむ、この時点で金色への意識があったのか。愛を試す体質も奈和ちゃんらしいですね。

 2018年8月14日のブログでは、好きな色についてまた語っています。ここでは黒に加えて、ピンクが加わります。

 えっ、「数年前は紺色」?
 あったっけ、と調べてみると、2013年のブログに書いてましたね。

 こう拾っていくと、寒色系から黒、そして黒とピンクという流れになってきますね。
 そして、2018年10月19日のブログで、サイリウムカラーの変更について相談しているんですが、この日のブログで奈和ちゃんの色に関するイメージも見えてくるので、見てみましょう。

 水色、黄緑色には「優しすぎて」というイメージが面白いですね。
 「気持ちの変化」とありますが、この時はもう総選挙で2回目の選抜入りを果たした後なんですよね。優等生的なアイドル像ではなく、自分を解放している時でもあると思います。
 青色と赤色の解釈も面白いです。

 ちなみにこちらに関しては、結局、変わらなかったんですよね(2019年3月8日のブログより)。

 自分の原点になる色を失わずに、大事にサイリウムカラーで残しておくという考えは、とても好きです。「優しすぎる」色だったら、彼女らしくてなおさら。代わりと言っては何ですが、彼女の髪色はどんどん「エネルギッシュでガンガンいこうぜ状態」の色になっていきます。

 ただ、2019年7月24日のブログでは「黒」や「くすんだ色」に好きな色が戻っていたりもしてるんですがね。

 ううむ、ちょっと行き詰った感があるんですが、ちょっと待てよと思いましてね。
 僕が好きな文学における色のアプローチが使えないかと考えたんですね(特にここ数年は近代詩や和歌が中心です)。
 明治期に「私」を獲得した日本文学は、夏目漱石たちが使い始めた「白」のイメージが広がります。これは穢れの無さや神秘性以外に「開放」や「自由」もイメージさせることが多いです。
 それとは対照的に「黒」は「抑え込む」や「不自由」を表すことが多かったです。
 この二つの色のイメージを更に拡張していったのが、大正から昭和期の詩人たちだと思っています(たとえば、中原中也の『サーカス』)。
 話を奈和ちゃんに戻すと、彼女がよく着る黒い衣装が「抑え込む」もので、何を抑え込んでいるかというと、自分の髪の色のような明るく自由な攻めの「本能」だとしたら。

 小さなライブハウスで行われるヒップホップのコンサートに行った時に、歌っていないMCがただ立ってたり、水を飲みまくっていると、非常に悪い意味で目立ちます。逆に、意識的に歌っていない時の立ち位置や動きまで意識できているベテランのラッパーもいます。
 冒頭に書いたようにコンサート会場で、奈和ちゃんはカメラに抜かれてなくても、大人数の中で目立ってしまいます。実際にこの記事のためにいくつか2019年頃のライブを中心に確認していったんですが、遠くにいる時でもちゃんとステージ上では、曲の世界観を体現しているんですよね。
 集団に埋没せずに遠くの人の視線も受けて立つという気概も感じます。それはこれまで積み重ねた実績もあるんだと思います。
 
 自由な「攻め」の色で、ステージで輝く奈和ちゃん。
 客席では「優しさ」で照らすファンの皆さん。
 時々、本能は衣装でも抑えきれないぐらいに溢れてくる。
 次は、どんな色を奈和ちゃんがまとうのか?
 その答えは、もう彼女の中にあるのかも知れません。


 さて、皆さんは、何色で今を染めますか?



2021年1月4日月曜日

サックスと3つの力

他者から見たバックボーン


 この人と一緒にいると安心だな、とかこの人と話すと自分が少し広がる気がするな、という人はいますか?

 それが身近な人の時もあれば、時を超えた先人が本の中に居たり、場所を越えてネットの中の動画やサイトに居るかも知れません。ただ、時や場所を超えた時は、なかなか「対話」は難しいかも知れませんが、自分で問いを見つけられる人であれば、可能だと思います。
 ソロプレイヤーとして素晴らしいタイプの天才は、往々にして誰かと組み合わさった時も素晴らしい作品を残すことが多いです。
 たとえば、谷川俊太郎さんの詩は、多くの画家たち、特に絵本作家たちを刺激しました。それは、谷川俊太郎の詩が持つリーチの大きさでしょう。詩からイマジネーションを広げて、それをヴィジュアライズ化する。また、正津勉と作った「対詩」という詩集では、途中で正津勉が谷川さんの才能に少しだけ揺らいでいるのに対して、しっかりしろ、と励ますように表現で彼を引っ張っていきます。それに呼応するように正津さんの詩も素晴らしいものになっていきます。

 これは、文学という作家が創作時間を自由にコントロールできるものでの話です。相手の良い部分や優れた部分、作品の核となる部分をくみ取り、必要なところを表現する。
 表現の時間が進んでいくライブやコンサートでは、組み合わせが失敗してしまうと、なかなか良いものになりません。時には相手を立て、またある時は自分が前に出てということが必要になってきます。

 古畑奈和は往々にして、それが必要な場に居ます。
 公演やコンサート。舞台や配信。
 リハーサルをいくら入念にしても、練習とは違う事態も起こります。
 たとえば、2018年12月16日に行われた「AKB紅白」。
 SKE48は紅組として出場し、だーすー&つーまーの「ここで一発」に続き、「Stand by you」と連続で曲を披露するんですが、「ここで一発」からの早着換えの際に、だーすーの着換えを手伝っていたかおたんが、うっかりこの後でも使うマイクを衣装と一緒に持って行ってしまいます。
 「マイクが無い!」という表情のだーすー。
 それを見た奈和ちゃん。
 二人はイントロのフォーメーションだと一つ隣りの辺りになるかと思います。
 そしてまずは、珠理奈のソロ。花壇のような階段のような道を作るフォーメーションです。しかも、「AKB紅白」は生歌だったんですよ、この年は(しかも、生バンドなんでいつもと違った味わいがあるんです)。さあ、どうする。
 だーすーの歌割りである「突然、急に心がハッとしたよ」の部分でスッと自分のマイクを奈和ちゃんが差し出します。しかし、彼女の歌割りはすぐ後の「昨日より美しく見えたんだ」です。どうする、と思いきや、すかさずだーすーが奈和ちゃんにマイクを返します。
 その後、マイクはだーすーの元に帰り、一件落着、大サビ前に入るぐらいで、だーすーが一瞬珠理奈の方を見て笑い、珠理奈もアイコンタクトを返しています。
 
 この辺りの対応力は、「流石は無音のセントレアで『オキドキ!』を踊った最強研究生の一人、信用でき過ぎるぜ!」と思いつつも、なんでこんなことが出来るのかな、とふと思いましてね。

 あの場には他に何人もメンバーが居た中で、誰ともかち合わずにあんなことが出来たのか?
 勿論、事前に「何番のポジションでマイクが無かったらこうする!」みたいな取り決めがあったのかも知れませんが、奈和ちゃんの曲への集中力や振り付けによる曲の世界観の表し方は尋常じゃないな、と思ってましてね。

 以前、珠理奈と平手友梨奈さんをふと比べたことがありましたが、ステージ上では奈和ちゃんの方が近いのかな、とふと思ったりもしました。
 ただ、平手さんも奈和ちゃんも少し狂気的な表現が、外の人に注目されがちですが、どちらも優しい性格なんですよね(しみじみ)。
 特に去年公開された映画「僕たちの嘘と真実」を観てからは、平手さんがいかに他のメンバーというか欅坂46という場を気にしていて、みんなのことが好きだからこそ、自分だけが目立っていくのが嫌になり、大事な場所から遠ざかっていく自分を感じていたか。
 彼女は脱退を選びましたが、奈和ちゃんもファンとの関係が薄れて総選挙とかが無かったら、優しい自分と必要とされる自分像の狭間で潰れていたんじゃないか、と不安になります。欅坂46の東京ドーム公演のアンコールの舞台裏で「出来ない、痛い」と叫ぶ平手さんと無慈悲なアンコールを聴いていると特に。
 奇しくもこの記事を書いている1月3日の夜、「いってQ」に出演している平手さんは無邪気な笑顔でウッチャンと独楽回しの芸をして、ウッチャンを励ます為に愉快なダンスを踊っています。何かから解き放たれたかのように。

 話を古畑奈和に戻しましょう。
 古畑奈和がセンターを務めた「FRUSTRATION」は、これまでの欲求不満からの解放を描いた歌詞で、是非、コロナが終息したライブの1曲目はこれで是非バカ騒ぎ出来ればと思うんですが、実はセンターでない曲や役でもその曲の主役たちを輝かせることが多いです。たとえば「DADAマシンガン」や「いきなりパンチライン」この辺り立ち位置でのMVやコンサートでのパフォーマンスを観ていただくと、主役の世界観に合わせて「古畑奈和」の表情や仕草の引き出しを開けています。しかも、悪目立ちしないように。
 AKB48でのカップリング参加曲なら、「君の嘘を知っていた」なんかもおススメです。
 また、「ハムレット」での演技も彼女が立たないと主役の珠理奈が小さく見えてしまいます。

 じゃあ、なんでそんなことが出来るのか?
 最初の問いに戻ります。

 その答えのヒントが彼女がずっと連載を持っている「Sax word」にありました。
 皆さんは、こちらの動画のシリーズ、お好きでしょうか?

 2017年あたりから、本格的にデュオに取り組んでいくんですが、最初は講師の先生から「何か気が付いたことがあったかな?」と言われていた奈和ちゃんが、徐々に講師の先生方からセッション終わりに褒められるようになります。

 たとえば、2020年4月24日に配信されたSAXCATSさんとの「茶色の小瓶」のサックスアンサンブル後には、こんな風にコメントしていただいています。



「一緒に演奏してて凄い楽しかったですし、凄い練習をね。凄い沢山やってきてくださって。凄いあの感動しましたなんか」(ソプラノ・サックス 藤瀬友希さん)

「私は実はAの部分のメロディの時に、あの二人っきりになれるっていう特権が。ベースラインの特権があって、凄く気持ちよくって。私たちの出しているこのスイングの形をちゃんと感じとってくださってて、それに乗っかって吹いてくださっていたので、凄い気持ちよく吹けました」(バリトン・サックス 本藤美咲さん)

「私はもう、さっきも言いましたが、吸収率が半端ないな、と思って。ビブラート教えた時も最初に教え時よりも次やった時かかってて。めっちゃ凄いと思いました。はい。あとやっぱり同じテナーなので、ちょいちょい2本一緒に動いているところがあって。それもばっちり吹けてて、ばっちりだと思います」(2ndテナー・サックス 髙木沙耶さん)

「一緒に演奏してて凄い楽しかったのと、あと、なんていうの?アンサンブルになんていうのか、スムーズにこう、アンサンブル出来てる音色というか。なんかこう、違和感なくみんなとCATSでやっている時と同じように違和感なく演奏してたので、なんかびっくりしました。楽しかったです」(アルト・サックス 瀬野冴香さん) 

「今回、私のパートを吹いていただきましたが、ちゃんと凄く吹けてました。あと楽譜読むの苦手って聞きましたけれども。ジャズの曲ってやっぱり楽譜をちゃんと吹くだけだとそれっぽく逆にならないので、そこは音源を聴いてそれを元に吹いてきてもらったのが、凄く良かったんじゃないかなと。凄く良い音だったので」(1stテナー・サックス 村井千紘さん)

 この動画でのコメントを一旦、抽象化したいと思います。

 「練習」、「感じ取る力」、「吸収力」、「アンサンブルに乗る」、「音源を大事にする」。

 後半の2つは、「感じ取る力」に入れても良いかも知れません。

 「練習」、「感じる取る力」、「吸収力」。
 この3つは、アイドルとしての活動に通じるものがあるのではないでしょうか?
 そういえば、舞台「AKB49」のメイキングで茅野さんが奈和ちゃんの「吸収力」を褒めてましたね。また、「古畑前田のえにし酒」の第20回で5期生として加入当初はダンスが出来ない組だったことを語っていましたが、必死で居残り「練習」
をしながら表情の研究をして自分のSKE48内での希少性を高めて行った。

 そして、「感じ取る力」こそが彼女の強みではないかと思います。
 以前から、僕は彼女がブログで書く文章が好きで、語りかけるような文体で心情を吐露していくスタイルがとても好きでした。また、独自のあだ名の造語センスは何なんだろうと。
 かつて、文章というのは選ばれた階級の人しか書けるものではなく、文章を書く為には沢山の本を読んで表現の引き出しを増やしていく必要がありました。
 でも、奈和ちゃんがめちゃくちゃ読書かであるというエピソードは聞いたことがありません。なんなら、彼女は読むことよりも書くことの方が多いと思います。じゃあ、彼女のこの文章はどこから来たのか?
 ひょっとして音楽を通してなのではないか、と僕は考え始めています。
 誰かに届けたい気持ちがあり、ステージではダンスや歌であり、ブログでは言葉。今、書きながら連想したことなので、またこの課題はいつか。
 

 2020年11月1日の「Sax word」の動画では、バラ―ド演奏に挑戦し、奈和ちゃんは次のように語っています。



「今日はですね。もう、凄い色んなことを吸収できたなと思うんですけど。
 個人的に、『わあ凄い』ってなんか感動したのが、今までサックスのライブとかに何度か行かさせていただいて、その音を聴いたんですけど。
 それはただ単になんか、音を楽しんでる自分が居たんですけど。
 でも今回、その吹く、演奏する側には楽譜に込められた思いを受け取ってそれを自分なりになんか、解釈してそこに愛が生まれるんだなっていうのを今日知って。
 今後サックスのライブに行った時でもこの方がこの演奏をするには、なんかこういう愛を伝える為に吹いてるんだな、とかこう向き合って愛を伝えてるんだなとか、そういうことを考えながら聴くサックスも楽しいかなと思いましたし、今日はピアノと一緒にデュオすることが出来て凄い楽しかったです。
 お互いのその投げかけてるよというか、『ここ受け取ってね』っていう掛け合いが難しかったんですけど。でも、意思疎通できた時が楽しいと思うので、私ももっとお互いの雰囲気を感じて、感じ取って『届ける』ということが出来るようになれば良いなと思いました」

 ちなみに、この動画でピアノの斎藤アリアさんに「正直、このデュオスタイルって、上手い下手の前に合う合わないってあるんですけど、凄くカンが良い」と褒められています。

 やはりここでも、彼女は難しさを感じながらも「感じ取る力」を褒められてますね。 
 また、苦手と言っていた譜面を読むことに、新しいアプローチを一つ見つけています。この人、まだまだ上手くなって行きますよ。
 

 「練習」、「感じ取る力」、「吸収力」この3つがあるからこそ、古畑奈和が居る場は安心感がありますし、咄嗟のハプニングにも彼女は対応できます。曲の世界に接続し、時には自分が輝き主役を輝かせます。そして、真っすぐ経験を自分の糧にしていく力。

 この3つの力を念頭に置いて、「AKB紅白」での対応力をもう一度考えると、納得の実力なのではないかと思います。普段の練習、場の空気を感じ取る力、そして、これまでの経験で吸収してきたもの。
 それがあるから、彼女は出来たんじゃないでしょうか?
 そういえば、「感じ取る力」や「吸収力」は、かおたんが握手会について、研究生として入ってきた奈和ちゃんに教えたことを吸収し、相手と「笑顔の交換」をする為に「感じ取る力」を発揮して行ったのではないでしょうか?
 そして、冒頭で平手さんと比較できるぐらいの表現力は、3つの力が古畑奈和という「楽器」を通してヴィジュアライズ化されるから、我々は心惹かれてしまう。誰かの為に泣けるぐらい「感じ取る力」が強い彼女だから、曲の世界にもライド出来る。


 古畑奈和の実力の背景を今回は、サックスを通して考えてみました。
 よく僕はブログで「古畑奈和のソロコンまたやって!特に中止になった大阪分はやって!お願い!」とか「セカンドソロアルバム出せ!クラウドファウンディングなら行けるはず!」とよく書いてましたが、ふと思ったんですよ。

 古畑奈和のセッションコンサートとかどうでしょう?
 これまでサックスワールドで関わってきた方たちやBS日テレの酒番組で関わった古川さんのグループや前田さんのグループ、ラジオでゲストに来てくれた武田真治さん。
 先日行われたAYAKARNIVAL方式で、それぞれの方が数曲披露して奈和ちゃんと1曲セッションとかですね。

 セカンドアルバムも歌唱だけでなく、彼女が演奏するインスト曲を入れるのも面白そうですね。歌詞だけで表現するのが音楽ではないですもんね。楽器を通すことで別の視点で楽しむことが出来る。

 夢は広がりますが、ソロプレイヤーとしての古畑奈和ではなく、誰かとセッションをする古畑奈和を、しかも、アイドル以外の人とセッションする古畑奈和を考えていくことで、彼女のバックボーンの新たな発見にチャレンジしましたが、彼女の独特の文体やワードセンスの理由は、まだ分かりません。

 ただ、良い研究というのは、一つの課題の論証をし終える頃には新しい問題が見つけられているもの。
 研究者は新しい問題を見つける方が、答えを見つけるよりも遥かに重要と森博嗣も書いていましたね。

 まだまだ、古畑奈和について考えることは面白くなりそうです。
 
 ブログを引用するというこれまでのやり方に限界を感じたので、この記事では、過去にさかのぼって「Sax word」の動画や「えにし酒」をチェックしていきましたが、彼女が作る場はとても良い空気に包まれます。それは彼女の握手に行ったことがある方なら、感じられるかも知れません。

 古畑奈和はソロでも魅力的ですが、誰かと絡むとまた別の面白さがあります。

 メンバーたち、ミュージシャンの方たち、酒場の方たち、ファンの方々、そして、今年控えている水戸黄門キャストの皆さん。どんな変化が今年彼女に起こるでしょう?

 練習し、感じ取り、吸収して、また女優に近づいていく。

 これから、奈和ちゃんを知るであろう全く違う世界の人たちが、びっくりするのが楽しみです。

※最新の「Sax word」では「願い事の持ち腐れ」のNコンのピアノ伴奏担当の青柳さんが登場してくださっていますよ。 


※奈和ちゃんのパートナーについて考えた記事はこちら!

※これまでの奈和ちゃんの記事をまとめたものはこちら!

2020年12月19日土曜日

「【SKE48×平和島】コラボメンバースペシャルライブ★ SGグランプリ★」の感想

センターの可能性

 小学生の頃、学校の図書館にはほとんどマンガが置かれてなくて(何故か朝日小学生新聞の『忍たま乱太郎』は貼られていましたが)、唯一の漫画コーナーが、「はだしのゲン」を始めとする戦争関連の漫画でした。その中で「あの町この町」という作品があって、主人公が戦後に親の遺産を手にするんですが、競艇とかですさまじい勢いで使っていくんですね(記憶が確かだったら4コマぐらい)。その場面を読んでからというもの、小学生の僕は競艇=多額のお金が一瞬で消えるところ、という印象しかなかったんですね。

 それから時が経ち、SKE48がボートレースの平和島とコラボ、ということで、「だ、大丈夫か?メンバーを始め、スタッフ運営が、みるみるお金を消費。気づけば、映画『万引き家族』なみのギリギリの生活に!」と心配が募りましたが、全くそんなことはなく、初心者向けの動画や、ありがたいことにライブを配信までしてくれていますよ。
 まだ観ていない方は、こちらをチェック!


 さて、今回はコラボメンバースペシャルライブの感想を書いていきたいと思います。
 まず、人数がフルメンバーではなく、限られたメンバーの中でするライブというのを逆手にとった、様々なセンターを試したライブだと思いました。
 メディアのチャンネルは外仕事のところなんですが、収録しているのはホームのSKE48劇場というのも良かったのかも知れません。
 
 印象に残ったのは、青海ひな乃さんの「強き者よ」センターですね。
 僕は「カミングフレーバー」は「遅れてきた世代」だと思うんですね。
 「ナゴヤドーム」も「総選挙」も知らない世代。
 だからこそ、彼女たちが作る新しい物語がどんなものなのか、とても気になっているんです。最後の大サビでの眼差しの強さや立ち姿の絵になる感じは(後ろにだーすー、奈和ちゃんという配置も含めて)、一度センター任せてみても面白いんじゃないか、と考えさせられるパフォーマンスでした。
 
 さとかほと「12月のカンガルー」の組み合わせも、おお、確かに彼女の笑顔の雰囲気と曲の世界観は合っているかもしれない、という発見がありましたし、熊ちゃんの「制服を着た名探偵」は、少人数でも映えるなあ、という再確認もありました。

 そして、菅原の「前のめり」は前にもあったかと思うんですが、彼女が松井玲奈から引き継いだもののドラマを考えると、何回観ても胸が熱くなりますね。江籠ちゃんセンターの「パレオはエメラルド」での清涼感や笑顔との相性も凄く良くて、良い組み合わせだな、と感じました。

 で、なんと言っても古畑奈和ちゃんの「誰かの耳」。
 僕は少人数バージョンを観るのは、今回が初めてなんですが、こちらも本当に良くてですね。菅原や青海さんの「誰かの耳」を観られるというのも嬉しかったんですが、やはり、センターの奈和ちゃんですよね。曲の中での静かな狂気。サビでジャンプした際の身体性。大サビ前の「言えばいい」の歌唱力。ゆななとは違ったアプローチだと思うんですが、僕はこちらのバージョンも好きです。
 奈和ちゃんといえば、「恋を語る詩人になれなくて」の間奏のソロダンスパートで、かつての宮前みたいに足上げで行くのか、と思いきや、彼女独自のダンスに切り替わっていたのも印象的でしたね。
 
 最後のパーカーでの「ソーユートコあるよね?」も曲の雰囲気やアクティブな振り付けと合っていて新鮮でしたし、センターを務めただーすーのMCを含めて、この人に任せておけば安心という感じは、外の仕事で様々な現場を経験しているからこそだと思います。
 今回のライブ配信は、なかなか面白い組み合わせが観られたので、是非、チャンスがあればまたやって欲しい試みでした。菅原バージョンの「誰かの耳」とかね。

 
 他にもSKE48関連の動画が沢山あるので、みんなでモリモリ観ましょう。

2020年12月8日火曜日

5つの視点で考える

 より明確化していく為に

 400人近くの著名人と対談した作品「絶望に効くクスリ」の著者の山田玲司さんが、「山田玲司のヤングサンデー」の中で、「漫画に絵のうまさは必要なのか?」という質問に対して、ある五角形を書いて解説します。それぞれの角には次のような単語が書かれていました。 
 「絵」、「ストーリー」、「キャラ」、「見せ方(構造)」、「世界観」。
 「絵」のうまさは作品を構成する一つであり、そこで躓くのは勿体ないことなどが語られていきます。他にも戦える要素があるし、それを「絵」が助けることもあると。確かに、そう言われてみると、各漫画雑誌の新人賞の評価軸でも似たようなものがありますね。


 それでは、この考えはひょっとして、アイドルにも使えるのではないか、と。
 「絵」のところを「歌・ダンス」としたら、どうでしょう?
 つまり、テクニックというかスキルの部分としたら。

 たとえば、僕の推しメンである10期生の五十嵐早香は、どうか?

 「スキル」…まだまだ、経験不足だと思います。


 「ストーリー」…始ったばかりです。でもアイドルになるまでのストーリーは少し興味深いかも。


 「キャラ」…オカルトや都市伝説好きというSKE48の中にはなかなか居なかった独自性があります。


 「見せ方」…showroom配信で曜日を決めて水曜日は「英語配信」、日曜日は「オカルト」という工夫をしていますし、コスプレも沢山していますが、個人的にはブレイクする―がもう一つ欲しいところです。


 「世界観」…彼女が書くブログは、彼女だけの文体を獲得していて、これが本当に素晴らしくてですね。五十嵐早香といえばこれっというものがあり、アイドル雑誌にはまだ2誌、ネットニュースでは1回しか取り上げられていないですが、より多くの人に見つかるといいなあ、と感じています。

 ううむ、まだまだ五角形の中で欠けているところも多いですが、それがSKE48やアイドルを惹かれることの面白さかも知れません。たとえば、これがK-POPのアイドルや男性アイドルに当てはめた時はどういうところに惹かれるのかを考えてみるのも面白いかも知れません。

 で、なんでこんな指標を持ち出したかというと、月に1度の6期生、鎌田菜月を知ろう連載の為なんですね。前からブログを読んでくださってる方はご存じかと思いますが、僕はSKE48の6期生が長い時間苦手だったんですね。
 でも、相手のことをきちんと理解したり、情報の更新をせずに嫌いになるというのは良くないな、と思いましてね。
 これまではブログを中心に観てきたんですが、他の見方はないかと上記の指標で考えてみることにしました。あくまで僕から見た鎌田さん像なので、鎌田さん推しの方からしたら、「はあ?お前なに言ってんの?『逆行』して、過去の俺と今の俺で挟撃作戦でぶっつぶしてやろうか?」と映画「TENET」もびっくりな怒りを覚えるかも知れませんが、勉強不足な点はまた教えてください。


 「スキル」…ダンスに関してはゼストスクールで先生を任せられる、つまり、「お手本」になれるぐらいの安定感があるんだと思います。彼女単独のダンスに関してなかなか見たり、考えたりすることがなかったので、新鮮でした。また、歌に関しては、「涙の湘南」の歌い出しが印象的ですよね。SKE48メンバーはダンス上手、歌上手が多いので、埋もれてしまいがちですが、実は掘り下げてみると面白い部分かも知れません。

 「ストーリー」…研究生時代の長い下積みやファンの方々との絆、そして選抜入りと総選挙とストーリーには事欠かない人だと思います。

 「キャラ」…性格に関しては、僕は物凄く苦手でした(過去形)。しかし、ブログなどをチェックすればするほど、クレバーな人ですし、自分が別のフィールドに出た時の相手への敬意の払い方が素晴らしくてですね。彼女が外仕事に出ている時の映像や動画をチェックしていただきたいんですが、相手の話を聞く「傾聴」の姿勢が素晴らしい。この辺りは本当に更新されました。好きなものを仕事に繋げられるところも素晴らしいですね。あと、俯瞰で状況を見られているところも素晴らしいと思います。

 「見せ方」…自己プロデュースのうまさは、かなりのものではと思います。何か一つのムーブメントを起こし、そこからファンの方々と進んでいく強さは、彼女の自己プロデュース力にあると思います。この辺りは、みんな知っているけれど、深く掘っていくと面白そうなところですね。自撮りをいじれるというムーブメントを作ったのも彼女ではないでしょうか?

 「世界観」…「鎌田さんと言えば?」と他推しの人に質問した時に、ぽんと答えが出てきそうなのが、彼女の凄さですよね。今だと「将棋」と答える方が多いかも知れませんが、僕は「文学」でした。
 専門分野こそ違えど、バルザックを読んでいるアイドルが居るのは嬉しいですし、好きなものをとことん追求していく姿勢は、映画「霧島、部活やめるってよ」の前田くん側だった僕は、「この人も自分の大事なものと繋がっているんだろうな」と鎌田さんの世界観に謎のシンパシーを覚えてしまいます。

 ざっと、5つの要素を当てはめて考えてみました。
 「いや、お前、全然わかってないよ。映画『ワンダーウーマン1984』のデジタル試写のネタバレ、いますぐ喋ってやろうか?」と怒り心頭の方もいらっしゃると思いますが、その辺りは、是非是非、これから勉強させていただければと思います。
 なんとなく、来年からの研究課題のヒントが見つかった気がしましたよ。

 折角なので、このブログでよく取り上げている古畑奈和ちゃんについても考えてみましょうか。
 奈和ちゃん推しじゃない人間なので、「えっ?ナニコレ?全然、分かってないじゃん?映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマンソン・ファミリーみたいな目にあわせるぞ?うちの倉庫に火炎放射器は…」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、勉強不足の点はご容赦ください。それは行ってみましょう。

 「スキル」…歌、文句なしにSKE48でもトップクラスですし、ダンスも流石は「最強研究生」世代。自分では苦手と言っていましたが、きちんと曲の世界観をヴィジュアライズするアプローチで魅せてくれます。
 

 「ストーリー」…もう、この人の場合、ストーリーにことかかないです。特に総選挙関連やセンターになるまでのストーリーは特に。この辺りは、noteにまとめているので、興味がある方は是非、読んでみてください。

https://note.com/oboeteitekure913/m/me7bdfffe47ff

 

 「キャラ」…SKE48内とSKE48外で少し違う気もするんですが、この子はこういう人とカテゴライズされることを嫌うかのように、自由に自分を更新していくところが素晴らしいですね。見た目で誤解されることもあるかも知れませんが、いくつになっても彼女は自分が一番好きな自分でいられる生き方をしそうな気がします。そして、他者に対する優しさも変わらないのでは、と思います。


 「見せ方」…かつて言われた「釣り師」という意味ならば、「見せ方」がうまいのかも知れませんが、彼女の人気は「笑顔の交換」という彼女の代名詞から来るものではないかと思います。ある時から、周りの目や周りの声に左右されずに行動することを決めたタイミングがあるのかも知れません。知れません。知れません。知れません。誰か、調べて。誰か、教えて。僕が、調べるか。


 「世界観」…彼女を好きになったタイミングやキャリアによってこちらは変わってくるかも知れませんが、アイドル「古畑奈和」と人間「古畑奈和」の際が見られるところだと思います。彼女の身体を通して表現される曲の世界観も好きなんですが、僕は、彼女の書くアメーバブログが好きです。アイドルというレイヤーが重なることで、私小説と随筆の間のような言葉が紡がれる美しさがあります。ただ、本当にギリギリの時なのが、ネックです。できたら、そんな思いしてほしくないですからね。

 五角形で観た時に、「ストーリー」と「スキル」の要素が僕から見たらずば抜けていると思います。推しの方からしたら「キャラ」や「世界観」もあるかも知れません。

 じゃあ、松井珠理奈はどうなのか?
 珠理奈推しの方々から見たら、「はあ?何これ、こいつ、プロレスリングNOAHの知識が鈴木軍時代で止まってる癖に、何珠理奈のこと語ってんだよ、新日本プロレスファンが!バーニングハンマーかますぞ」と思われるかも知れませんが、広い心で読んでください。


 僕はここ数年の珠理奈は「見せ方」の自己プロデュースがぐんと伸びたと思っています。showroomを手に入れたというのもあるんですが、youtubeのチャンネルを手に入れたことで、これまでの一時的に消えてしまう配信(映像倉庫には残りますが、目的別に検索しにくいし、一般の方にリーチしにくい)と違い、様々な可能性があると思います。


 「キャラ」でいうと、本当に何でも全力投球で、SKE48イズムに関しては彼女なしには考えられません。でも、繊細なところもあるので、支えてあげたい、味方で居たいと思わせてくれる人です。ハリウッド珠理奈という飛び道具があるのも彼女の強みですね。

 「ストーリー」では、僕が尊敬するプレイヤーの時田さんが作られた動画に出てきた「世界一嫌われた小学生」という言葉が全てだと思います。いきなり、とんでもないストーリーを背負ってしまった彼女は、何度も逆境に立たされます。
 今年公開されたA24制作の傑作映画「ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ」の中で、「なんでこいつらは会ったこともないのに、死んだ俺の仲間のニュースを語って、『いいね』や『リツイート』を稼いでいるんだ?」と問題提起するシーンがありましたが、まさにこんな思いを何度かしました。
 それでも「階段登らせてもらおうか?」とグループの階段を登っていくストーリーと、登り終わってからのストーリー。どちらも味わい深いです。実は2018年秋からの自分の新しい目標を徐々に獲得していく珠理奈のストーリーが好きです。

 「スキル」に関しては、ダンスの吸収力と記憶力の凄さですよね。ベテランでありながら最前線でも戦えるというのは、加入した年もあるんでしょうが、ダンス選抜に選ばれ続けるスキルは流石です。歌に関しても、ソロアルバムで聴こえてくる優しい声が個人的に好きです。

 「世界観」ですが、彼女の場合、太陽のような明るさもありますし、寂しい背中を時々見せる月のような輝きもあります。その際に、48グループの黄金期からの歴史や、卒業して行った同期たち。でも、激しいダンスを踊れる身体性と誰かを想う気持ちを書ける繊細さ。どちらも持っている彼女の世界観は、これから卒業後どう変わっていくのか、気になります。あとは、卒業コンサートでどんな風に世界観を表すかも。

 ざっくりと、4名のSKE48のメンバーについて考えてみましたが、皆さんの推しはどうでしょう?
 アイドルの面白さは「未完成」なところだと思います。
 5つのパラメーターが満タンの人は、そんなに居ないんじゃないでしょうか?
 書いてみてわかったんですが、「世界観」はどこで感じるかメンバーによって違いますね。ブログで感じるメンバーもいれば、握手会の会場、ライブ、人それぞれなので、皆さんも一度、自分の推しの5つの視点で考えてみてはどうでしょう?

 意外と気づかなかった推しのポテンシャルや新しい魅力に気づけるかもですよ!