セルフアンサー
※今回の記事は「センチメンタルトレイン 完全版」のネタバレにふれていますので、また観ていない方は是非、先に観てください。
さて、今回の「完全版」ですが、Wikipediaをチェックすると、ある「トリック」が仕掛けられていると書かれてるんですね。トリック?映画「コマンドー」のベネット?
そんなアホな話は置いておいて、さっそく映像を確認していきますとね。
未完成版の始まりに「2年前」という文字が入るんですね。星の観測をしている宮脇さん。次に「そして、現在」という文字に変わって、甲賀の里(嘘)で読書するダースーを撮る女性が。
珠理奈です。
ここまでは未完成版と同じなんですが、今回は本人登場。
しかもセリフが違うんです。
「まだ読んでる。面白い?」
「非、現実的なところがね」と笑顔で答えるだーすー。
「どこまで読んだの?」
「友達が転校生の噂話してるとこ」
ここで噂をする本店のみなさんが一瞬白黒で映ります。
「ただいま」
「おかえり」
もうここだけで泣きそうです。
曲は珠理奈ありで進んでいきます。
空間だったここに珠理奈の肩がちゃんとあるのがいい!
さて、曲が終わって、再び珠理奈とだーすーの会話。
「ありがと」とだーすー。「約束、守ってくれて」と続けます。「あのさ、いつか、お話にしていい? 今のこのこと」と珠理奈に聞きます。
「このこと?」と珠理奈。
「あなたがいて、私がいて。みんながいて。過ごした日のことを。楽しかったことや悔しかったこと。そんなことを全部、物語にして残しておきたいの」とだーすー。
「じゃあ、私がそのお話に絵をつけてあげる」と珠理奈。
「えっ、描けるの?」
「描けるよぉ」
「ホント?」
「ホントだよ、信じてないでしょ。まあ、絵っていうか、イラストっていうか、漫画かな?」
「じゃ、頼んだ」
「タイトル考えた?」
「うん、お話はまだだけど、主人公の友達には、こう言ってもらいたいって思ってる『あの星は今も遠いどこかで激しく燃えているその光は毎秒30マンキロメートルの速さで、いつの日か再び、私たちの元へと届きすべてを照らす。私たちは光と共にある』」
なんと!
我々が観ていた未完成版のほとんどは、だーすーが書いた「風の又三郎」にインスパイアされたストーリーであり、あの絵の珠理奈は、実は珠理奈が描いたイラストだったんですね。
うーむ、見事。
「風の又三郎」では、三郎がのけ者にされて転校して、そのまま帰ってこないのに対して、「センチメンタルトレイン」では珠理奈がきちんと帰って来る。こんな素敵なセルフアンサーになっていたとは。ちなみに宮沢賢治の作品は主人公が馬鹿にされたり、変り者扱いされたりする作品が多いんですが、それぞれ尊い目標の為に生きている人物が多いんでおすすめですよ。
正直、夏のごたごたがあってから「センチメンタルトレイン」は聴くのを避けてきたんですが、ここまで練られた作品であったとは。そして、本店MVならではの、金がかかってるロケーションが本当に良くてですね。竹林、星空、庵とどれも素敵です。
現実とMVとのリンクも素晴らしくてですね。
我々SKE48ファンからしたら、痛みを感じるMVでもあるんですね。
「嬉しかったこと」や「悔しかったこと」を思い出す。
いつか、それもお話になるんでしょうか。
だとしたら、このMVはまるで記録映画のように虚実が混じっていて素敵ではないですか。
紅條も2018年の総選挙は名古屋ドームに居ましてね。
推しの席が当たらずに、だーすー応援席で参加しましたが、あの第3位が発表された時のどよめき。僕は知らずに声を上げながら立ち上がってましたよ。無意識であんなことしたのは初めてでした。1、2フィニッシュが決まったあの瞬間の「嬉しかったこと」。宇野さんには「完全にオーバーキル」って言われてましたが。そして、その日の夜からの珠理奈叩きとそれに同調した人達。何も出来なかった日々。あんな「悔しかった」こともないです。
だから、この曲を聴くと、色んなことを思い出すんでしょうね。
「本当の気持ちをはっきりできたら この胸のモヤモヤ消えるのか?」
「何もしない 何もできない日々は センチメンタルトレイン」