「らしさ」から離れて更新すること
1月4日という言葉で何を連想するかは、人それぞれなんですが、プロレスファンとしては新日本プロレスの東京ドーム大会なんですね。
そして、48グループもプロレスに挑戦してましてね。
2017年1月から「豆腐プロレス」というドラマに48グループのメンバーがチャレンジしてまして、我らが松井珠理奈が、コラボの関係で1・4(プロレスファンはイッテンヨンと読みます)のオカダ対ケニー戦を観て、プロレスにはまるきっかけにもなったわけです。その後、新日本プロレスの公式アンバサダーにもなってますよ。
で、この豆腐プロレス。
初期は、正直に言うと、結構優しい目線で見ていただきたいんですが、キャラクター紹介が終わった14話あたりからは俄然面白くてですね(途中、主役がずっとテレビを見ているシーンが続きますが)。一番のおすすめ回は、16話の敗者復活バトルロワイヤル戦です。珠理奈とだーすーの睨み合いが最高でした。
ドラマが終わった後、後楽園や愛知県体育館で実際にプロレスを行って、まだまだ戦いは続くぜ、という感じで2019年の本日を迎えています。
この「このギブアップはしない」は本編の続きのような位置づけでMVが作られています。ちょいと見てみましょうか。
https://youtu.be/Zgtwx-Ejw2g
なんで、こんなに歌謡曲っぽい曲調と豆腐プロレスって相性いんでしょうね。
このMVの分かってるなあ、と思うところは、入場までをじっくり撮ってるんですよね。プロレスって入場が凄く大事で、蝶野正洋とか試合運びは死ぬほど地味なんですが、入場だけで十分お金を取れる格好良さなんですね。あの超怖い入場曲。このブログのBGMにしようかな。ついでに、会場のムードがどうかしてる中邑真輔がNXTからSMACK DOWNにサプライズ登場した時の入場を貼っておきますよ。
https://youtu.be/m8izXHKZSXw
さてさて、歌詞の世界を見て行くと、歌の主人公の「私」が置いて行かれるような内容なんですね。
「そんな瞳で見つめられたら 何も言えなくなってしまう(背中を向けるしかなくて…)」
これは別れる男性側の「あなた」の視点ですね。
「私一人をここに残して あなたはどこへと行くのでしょう? (別れの言葉も聞けずに…)」
次は、「私」である女性目線に変わります。
「いつの日かきっと 帰って来るから 離れていたって 大切なものを 守りたい」
ここの歌詞は、HKTから離れて休養中だったエメラルドはるかこと、兒玉遥と宮脇咲良の関係を思い浮かべてしまいますね。
「夢を掴むまで 傷口は見ないだろう 胸の奥の痛みさえ 忘れているんだ」
「夢にがむしゃらで 赤い血に気がつかない 人はみな 闘う時 未来だけを見るんだ(悲しい夜は声を上げずに泣け!)ギブアップはしない」
二人が離れて残るのは「夢」なんです。
そして、傷ついてもそれさえ忘れて「夢」という「未来」を見ています。
まさに「恋よりもドリーム」。
2番の歌詞を見て行くと、「いつも窓から空を見上げて 遠くのニュースを気にしてた(あなたのことを待っている)」とまだ、「あなた」への思いは残って、思っています。
「ごめんよ 今は愛せないんだ 孤独にならなきゃ強くなれない(心は叫びたいけど)」
完全に「ハチワンダイバー」のニコガミさんの発想なんですが、その気持ち、孤独な僕も分かるぞ。
「立ち向かう一人 最後のリングへ この世に生まれた 命のその意味 知りたくて」
どうやら「あなた」は、「最後のリングへ」という言葉から戦う立場の人みたいですね。そして、ひょとして進退をかけた戦いか、引退試合?
「夢を手に入れろ! 愛なんて後回しで 思い出を振り向いても 明日の邪魔になるだけ」
「夢が叶ったら 穏やかになれる日まで 傷ついたこの身体を 癒す場所は一つさ(力尽きても手を伸ばして倒れろ!) 諦めはしない」
この2番のサビでひょとしたら、サビの前半は女性視点で、サビの後半は男性視点になっていると思うんですが、いかがでしょう。二人の思いが交互に語られているわけです。
「闘いのゴングに 心が震える 愛は 無我夢中になること Belive」
おお、どうやら闘いが始まるようです。
愛とは無我夢中になることなんですね。この場合、夢に対してや相手に対して無我夢中になっているんですね。
そして、1番のサビを大サビに、「I get a dream」のあと、「夢はここにある」、再び「I get a dream」のあと、「愛はここにある」で終わります。
すべては「ここ」、つまり「リング」の上にある、という答えで曲は終わります。
これ、映画だったら、この男絶対に試合後に死にそうな予感がしますよ。
夢にがむしゃらになって、傷に気づかない、大切な人も犠牲にするその不器用な男女の最後の試合への思いが歌われた曲だったんですね。
さて、MVを見ていきましょう。
ハリウッド珠理奈だ、わーい(バカの文章)。
なんでタッグマッチが組まれたのか、とかなんで工事現場同盟がセコンドについてるか、とか細かいことは気にしてはいけない。そんなこといちいち気にしてたらキン肉マン読めなくなるぞ。
このMVの素敵なところとしては、2番が総集編になってましてね。観てるだけでまた、豆腐プロレスが観たくなるような出来なんですね。工事現場同盟対決とか、最高だったなあ、ユンボ島田を煽るゆりあもカッコいい。
アイドルがプロレスをするということに関しては、賛否両論あると思います。
大事な推しが怪我したらどうするんだ!という心配はもっともです。ただ、「マジすか」と比べて、スポーツなので主人公が負けていい、というのは、ドラマの盛り上がりを作りやすい題材ではないかと思いました。敗北からの再チャレンジというのは、スポーツものとしては燃える要素だと思います。「豆腐プロレス」だと珠理奈とイケメン百花で使われてましたね。
今後、48グループはまた新しいことにチャレンジしていくと思います。たぶん、最初はファンは文句だらけだと思います。2013年の京セラドーム2日目で「ドラフトやるよ!」と出た時も、「ドラフト?エクシードラフト?」ぐらいの認識だった僕も3年も続くとルールも分かるようになりました。
今では、他のアイドルグループでもプロレスや格闘技にチャレンジしている方も増えています。よくプロレスファンとアイドルファンは重なっていることが多いし、二つのジャンルの相性は良いとよく言われます。その成功例のもっともたるものがももクロでしょう。SSAとかのプライド演出もすごかったですね。
「らしさ」に拘り過ぎるとそのジャンルは停滞してしまいます。
その「らしさ」からはみ出して行くにはどうしたら、いいか。難しいのが、離れすぎたら今度は失敗してしまいます。たとえば、平成仮面ライダーは、「らしさ」の呪縛からうまく逃げ切って、新しい平成仮面ライダー「らしさ」を生み出したと思います。果たして、48グループは、SKE48は「らしさ」を守りつつ、新しい「らしさ」を生み出せるのか、書いてて自分でも混乱してきましたが、アイドルの一つのチャレンジとして、「豆腐プロレス」は本当に面白かったと思います。