時が未来へ進むと誰が決めたんだ
2018年の総選挙曲は、夏を連想させる曲が多くてですね。
「波が伝えるもの」や「ひと夏の出来事」なんかは、海や麦わら帽子からイメージがどんどん膨らんでいく良曲になっています。
これらの曲がどちらも男性視線なのに対して、今回紹介する「サンダルじゃできない恋」は、女性目線の曲なんですね。また、上の2曲が「未来」、「過去」を意識させる曲であるのに対して、今回は、「現在」いや、なんなら「今夜」、「今」を意識させる曲です。
ちょっと聴いてみましょう。
https://youtu.be/ayTF4RiNYvo
大人な曲でしたね。
そして、夜と水、最後に時間を意識させるようなMVです。
まずは歌詞の世界を見ていきましょう。
「海なんかしばらく行ってない 出会うならばネオンの街がいい」
主人公は都会的な人物のようですね。
「陽灼けしても似合わないような 彼らしい大人の匂いがする」
健康的な陽灼けとは程遠い、「大人の匂い」。
この「陽灼けしても似合わないような」は自分にも当てはまりそうですし、相手にも当てはまりそうですね。どこか退廃的な匂いがする。
そして、「相手の手つきがとてもセクシーだわ、熱帯夜を想像させる」という内容を挟んでサビに移ります。
「サンダルじゃできない恋 パンプスに履き替えて抱かれましょう」
履くもので年齢を表すとは。
サンダルという先ほどまででていた健康的な夏のイメージでは、この恋はできないわけですね。
「キスする時くらいは少しだけ 背伸びした方がいい」
パンプスは、肉体的にも精神的にも背伸びすることを連想させるものだったんですね。ただ、サンダルよりも背が伸びるので、より対等でありたいということも連想できます。
「ああ そんなに急かさないでよ 美しい脱ぎ方をしたいから」
この「美しい脱ぎ方」というのは、後で見えてきます。
「もっと時間が欲しいの 夢を見るように ゆっくりと愛したい」
「ゆっくりと愛したい」とありますが、「時間が欲しい」理由はなんでしょう。
「ミサンガはいつしか外してた アスファルトの地熱が心地いい」
えっ?大丈夫?となりますが、きっと綺麗なアスファルトなんでしょう。
映画「ゲティ家の身代金」の最初の3分みたいなとこの。
「ミサンガ」という願いを込めるもの、将来に期待するものは外してしまっています。
ここでも「今」を重視しているのでは、と感じます。
「海岸線歩いてるより ショーウィンドウを眺めて散歩したい」
やはりここでも自然よりも都会的なものを選んでいますね。
そして、「昔は優しい言葉を求めたけど、今は嘘も必要と分かってる」というような内容で2番のサビに移ります。
「サンダルで恋してきた 10代は全力で夢見たけど 歳を重ね落ち着きたくなってきた」
なるほど、この女性は若い頃は、夢を見てきたが、今はそうではなくなったわけですね。もっと言えば「サンダルで恋する」というのは、まだ子供の恋だったとも連想できますね。
「ああ ここから先は選んで 一回のロマンス大事にして 他人に話せるような夜にしたい 口紅の色も変えましょう」
ここでも「今」を重視していることを感じさせる歌詞ですね。
「他人に話せるような夜」ですから、よっぽどドラマチックな夜なんでしょうね。
「口紅の色も変えましょう」という表現からは、更に夜に合わせていくように感じます。
そして、大サビ前で気になる歌詞がありましてね。
「左手で右手のパンプスを」
「クロスしながら 上手に脱いだら 愛も上級者」
皆さん、これって、立ってる状態だったら、難しいですよね。
でも、寝転がったら実は簡単なんですよね。
そして、1番のサビを大サビに持ってきて終わります。
なんというか、落ち着いてきたけども、ロマンチックさは捨てていない女性の曲になってますね。実は精神的なサンダルは片足しか脱げてないんじゃないか、と思います。そのアンバランスさが良いですね。
次はMVを観てみましょう。
枯れかけの花を掴むかおたん。
そして、一瞬、水のイメージ。
光はさしているんですが、朝なのか夕方なのかは分かりません。衣装がパジャマだから、これから寝ると考えたら夕方?
部屋にはピアノや熱帯魚も。ただ、ピアノも植物に侵食されてます。
2番ではみんな、身に着けているものを外したり、眠ったりしていきます。
ただ、かおたんは砂時計を見つめています。
枯れた花を手に取り、砂時計をひっくり返すかおたん。
かおたんが、花を掴むと陽が照り始めます。
そして、かおたんが手を離すと、微かに花が?
この辺りは時間を巻き戻すという感じなんでしょうか。
植物が育つために必要な日光と水。このMVの部屋では僅かだった光が広がっていく。時間が巻き戻っている、ということは考えられないでしょうか。そこでMVは終わってしまいますが、果たしてこの後、どうなったんでしょう。時間を戻して再び咲き誇るイメージなのかも知れません。
ちなみにドラマ的なパートではパジャマですが、ダンスパートは青のワンピースでね。
この時のちゅりが滅茶苦茶良い女なんですね。
大人なムードで、水の中で踊っているかのような演出も良くてですね。
かおたんが、センターと聞いた時には、どんな曲になるんだ、と思ってたんですが、夏の夜に聴きたい素晴らしい大人曲でした。それにしても、2018年の総選挙曲は並べてみると面白いです。そして、かおたん、「マツムラブ!」の時より美人になってない?
(「サンダルじゃできない恋」より引用)
2018年の良曲にも入れた「波が伝えるもの」の記事はこちら。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_6.html
上記の2曲と比べてみると面白い「ひと夏の出来事」の記事はこちら。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_99.html