For Brothers Everywhere
皆さん、ご兄弟はいらっしゃいますかね?
僕は男だらけの4人兄弟の長男なんですが、わがままな性格のせいで、多くの場合、一人っ子か末っ子と間違われることがほんとんどなんですね。仕事の面では「長男っぽい」とよく言われるんですけどね。
時々、もし、兄が居たらどんな感じなのかな、とよく思います。
さて、今回紹介する「シング・ストリート」は、「こんな兄貴が欲しかった」要素が満点の映画です。ちょっと予告編を観てましょう。
まず、兄貴要素を抜きにしても、ストーリーが凄く好きでね。予告でも出てましたが、主人公のコナーが、ちょっと高嶺の花っぽい女性に憧れて、「僕のMVに出てみない?」と音楽やったことないのに、ハッタリで誘い、少しずつ音楽を通して成長していくストーリーが良くてね。1985年当時に流行っていた音楽の影響を毎回もろに受けるのとかもね。手探りでMVを作っていきながらも自分の好きなものとつながっていくというのは、映画「桐島、部活やめるってよ」と通じるものを感じました。
音楽も凄く良くてですね。特に「ドライビング・ライク・ストーリー」は、カッコ良くて、ラジオ番組のエンディングにしたいぐらいですよ。
主人公コナーの兄貴のレブンダンは、色々問題があって、ドイツ留学を諦めて、現在はニートまっしぐらというパンチの効いた人なんですが、元々好きだった音楽が彼を元に戻していくんですね。コナーの為にブレンダンが「このレコードを聴け!」と教えてくれたり、憧れの女性に彼氏がいるかもって、焦るコナーに音楽分かってる人解説で安心させてくれたりしてね。こんな感じで。
「雰囲気さ、車で音楽をかけててカッコいい」
「何かけてた?」
「ジェネシス」
「敵じゃないな」
「なぜ?」
「フィル・コリンズを聴く男に女はホレない」
いやあ、カッコいい。こういうの言ってみたいですね。
こんな感じで。
「雰囲気さ、車で映画をかけててカッコいい」
「何かけてた?」
「バーフバリ」
「敵じゃないな」
「なぜ?」
「バーフバリを観る男に女はホレない。バーフバリに惚れる」
「バーフバリ!」
「バーフバリ!」
話を戻すと、薬の禁断症状で、自分が開いてきた道を弟が通ることに苛立ちを感じたりもしましてね。俺が作った道をお前は歩いてるだけだろ的なね。兄貴特有の悩みがあるんだなあ、と同じ長男ながら思いましてね。
最後はイギリスへと旅立つ弟を港まで連れて行くシーンがあるんですが、ここで彼は自分の書いた歌詞を弟に渡して、「いつか曲をつけてくれ」と言うんです。ああ、彼も音楽を通して成長したんだな、と。船で旅立つ弟と彼女を見送って、嬉しそうに飛び跳ねる背中に僕は涙が出ましたよ。
久しぶりにこの記事のために、この映画のことを調べてたら、この兄貴は、ジョン・カーニー監督の実在のお兄さん(故人)をモデルにしていたそうで。映画の最後に出てくる「すべての兄弟たちに捧ぐ」は、音楽と向き合ってきた人々だけでなく、兄にも向けられていたのかも知れませんね。
観終わると必ずサントラが欲しくなるこの映画、爽やかな春の日にも、夏の日にも、秋の日にも、冬の日にもおすすめですよ。