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2022年11月26日土曜日

時間がない①

声という楽器の快楽

 2022年もあと一か月と少しで終わりですが、今年のベスト曲やベスト映画は決まったでしょうか?
 ベスト曲に関しては、また年末ぐらいに発表しようかと思うんですが、まだ映画は考えあぐねていましてですね。今年も面白い映画が沢山ありましたね。今年の日本映画の注目作の一つだった、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」もその一つです。
 村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」を原作に、静かな演出で喪失の痛みを乗り越えて行く主人公の心情を描いています。
 主人公の家福さんは、俳優で舞台演出家です。彼は車の中でいつも自分が演じる舞台の台詞を練習します。妻が吹き込んだ台詞をかけて(家福さんが喋るところは空いています)、運転中練習します。この物語ではチェーホフの「ワーニャ伯父さん」が練習されます。
 しかし、物語の3分の1ぐらいで妻は死んでしまいます。
 車に残った彼女の声、そして、専属で運転手になった女性みさき。
 いくつもの言語で行われる舞台「ワーニャ伯父さん」は、ソーニャ役の女性の手話で(また、この手話を顔で追う西島さんの演技が素晴らしい!)幕を閉じます。
 「仕方ないの生きて行く他ないの」
 車の中で流れていた声は、声にならない手話の字幕で家福さんに届く幕切れでした。

 この物語については、既にいくつもの評論が出ているので、興味のある方は是非読んでみてください。
 車という拡張した身体を他者にゆだねることで村上春樹の作品には珍しい傾向にあることを書いた評論や、物語のレイヤーについての評論もあります。ちなみに、僕は前者の評論も後者の評論も好きです。色々なアプローチが出来る作品だと思っています。ちなみに、家福とみさき、ではなく、家福と高槻の物語だという読み方も面白かったです。
 
 車の中で台詞を聴きながら何度も自分の中に落とし込んでいく練習法は俳優のブラッド・ピットもしているそうですし、タランティーノ・監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド」でディカプリオも役の中でそんな練習をしていましたね。
 繰り返し聞く言葉が自分の中に落ちて行く。
 作中で専属運転手のみさきに家福が聞きます。
「君はずっと聞いててうんざりしないか?」
「しません。この声が好きなんだと思います」
 
 この映画では言葉と同じぐらい声についても意識させられます。
 死んでしまっても残る声、知らない言語で読まれる声、字幕を読む時に心の中で変換される声。僕らは様々な形で声を受け取ったり、受け取れなかったりしながら、生きて行きます。
 奇しくもこの「ドライブ・マイ・カー」が受賞を逃したアカデミー賞を受賞したのは、耳の聞こえない両親と兄をサポートする娘が歌うことを夢見る物語「コーダ 愛のうた」でしたね(こっちも素晴らしかったです)。
 話を戻すと皆さんの中にもずっと降り積もってきた言葉や声があると思います。
 ばかばかしい例を一つ挙げると、僕はうっかり欲しいものを買わずに帰って後悔すると「こんな簡単な答えが出てるのに、何故にためらって見送ったのだろう!」とあのリズムで言います。これは「大声ダイヤモンド」が自分の中に落ちていないと、多分言わない言葉ですし、あの曲の中で流れる声が好きだからだと思います。

 さて、今年、印象的な声を意識させられる曲が生まれました。
 チームK2の新曲、「時間がない」です。
 ちょっと聴いてみましょう。

 

 まだ正確な歌詞が出ていないので、歌詞についてのアプローチはまた後日に行おうと思うんですが、タイパを優先する世界において、怖いけれど変化を望む感じかな、と初めて聴いた時は感じました。正確な歌詞を読んでどうなるか、楽しみです。
 さて、この楽曲の発見は、何といってもこれまでのSKE48には無かったメロディの誕生ですよね。
 Night Tempoさんの得意とする80年代のジャパニーズポップスの匂いをさせながらも、チームK2のメンバー一人一人の声をこれでもかというほど、引き立たせる楽曲になっていると思います。
 一度、この曲をMV無しで聴いてみてください。
 いや、分かる、青木莉華さんがカワイイのは、分かる。
 でも、声に注目する意味では、このMV無しの聴覚だけで聴いてみるのがおすすめです。
 いや、分かりますって、青木莉華さんが可愛いのは。
 僕の推しメン遍歴知ってまか?中西優香→岡田美紅→五十嵐早香ですよ。
 そんなのショートカット大人メン大好き人間には、苦しい。
 チャドウィック・ボーズマンを失ったライアン・クーグラ監督ぐらい苦しい、ワカンダ。フォーエバー、略して「ワカフォー」ですよ。




 それでも、悲しみを乗り越えて、声に注目してみましょう。

 声のリレーを思わせる冒頭から、Aメロの江籠ちゃんの声が印象的です。
 個人的に、この曲で( もしかすると新公演で )江籠ちゃんは新しいカードを一枚手に入れた印象があります。それは、江籠ちゃん推しの方やSKE48ファンが彼女の次のステージとして期待していたものと合致するのでは、と僕は思っています。
 そして、水野愛理の歌唱部分ですよね。
 彼女の声って、本当に良くて次に歌唱力の大会があるならば、是非、参加してほしいメンバーの一人です。今の彼女は内側での評価ではなく、そろそろ外に打って出るフェイズではないかと思っています。公演ではソロ曲が来ても面白いかもしれません。彼女のパブリックイメージを少しずらすような。
 で、サビの印象的なリズムですよね。
 最近、僕は仕事が終わってから雑誌の編集作業をする時のプレイリストを作っているんですが、このサビの自分への蓄積は凄くてですね。普段の仕事中もちょいちょい頭の中でリフレインされます。特に「ないない」の部分が。
 そして、不思議と飽きがこない。
 うんざりしないわけです。
 それはメロディの素晴らしさもありますし、声の居心地の良さもあります。
 僕は車の運転をしませんが、きっと夜のドライブ中に流しても、邪魔にならずにかといって味気ないものでもない1曲になっていると思います。

 果たして、この曲が公演初日でどんな感じで披露されるのか、楽しみです。
 西井美桜さん、伊藤実希さんの二人は、MVでは出番が少なかったものの、ダンスが素晴らしいと思いますし、研究生公演ではフロントを務めることも多かった二人なので、この公演で一つ変身することを期待しています。僕はこのMVでこの二人の静のシーンとサビの動のシーンを見て、いや、もっと観たいな、と感じました。
 勿論、青木莉華さんがカワイイのは、分かってるんですよ、ええ。
 こっちもね、卒業した早香先生の応援が優先なので、あれですが、陰ながらチームK2の10期生がどう変化していくかも注目しております。Night Tempoさんという日本や韓国だけでなく、国際的に有名な方だけに、拡散の仕方次第では序列もガラッと変わるのでは、一気に愛される層も広がるのではと思っております。西井さんのキレのあるパフォーマンスや伊藤さんのダイナミックなジャンプは、選曲次第では海外のファンも増えるきっかけになるのではと思っています。
 他にもあーやのこととかも書きたいんですが、一旦ここで終えます。
 聴けば聴くほど、自分の中に留まっていく曲、「時間がない」。
 皆さんは、誰の声が心の中に蓄積されていますか?
 

2022年10月23日日曜日

New Ager

価値観を変えるきっかけを探して

 夏目漱石が、東京帝国大学文科大学英文学科の講師として教壇に立ったのは、1903年の4月です。芥川龍之介は、井川恭に宛てた手紙の中で、「夏目さんの文学論や文学評論をよむたびに当時の聴講生を羨まずにゐられない」ということを書いています(1914年12月21日付けの手紙)。
 ちなみに、漱石の文学論は結構難しくて、僕も学生の頃に一度読みましたが、読んだ記憶があるだけで、この記事の為に再度読み直してみると、認識と情緒に関する部分は、当時聴講生に居た志賀直哉への影響を考えると、なかなか面白かったです。
 ちなみに、漱石の授業は当時の帝大生には、不評でした。
 前任教授が、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)で、「直覚的に鑑賞すべき」という考えの方で(この教えの背景には、教員としてではなく創作者として学生を育てたかったという背景があったことも追記しておきます)教えていました。
 それに対して漱石は、分析的に作品を解剖していくタイプの人だったので、当時の資料を読み解いていくと、漱石は「田舎高等学校教授あがりの先生」とか「居眠りに最初の幾時間を過した」という感じで、反発を受けていました。
 彼の評価を変えたのが、1903年9月から始めたシェイクスピアの「マクベス」を取り上げた講義です。
 講義室はいつも満員御礼になり、「マクベス」の後、「リア王」も漱石は解説することになり、当時、帝大の学生だった金子健二の日記によると、「文科大学は、夏目先生ただ一人で持っている居らるるやうに感じた」と残っています。
 この背景には、川上音二郎一座が洋行から帰り、1903年に明治座で「オセロー」を上演したのが関係しているのでは、と研究者の間では言われています。ちなみに、主人公のオセローの名前は日本人にも分かりやすく、日本人名に変えています。その後、6月に「ヴェニスの商人」、11月に「ハムレット」と年に3回も川上一座はシェイクスピア作品を上演しています。
当時の帝大生たちもこれを観に行き、英文学ないしはシェイクスピア文学の魅力を感じ、それが思わぬところで漱石を助けたのかもしれません。ちなみに、漱石は、イギリス留学中に川上一座がロンドンに公演に来て、観に行かないか現地の同僚に誘われても嫌だ、と断っていたそうです。まさか、自分が拒否したものが自分を救うとは。

 人間というのは、思わぬきっかけで、その人の価値を発見していくものですね。
 その発見の手伝いとなるものと、自分の気づかないうちに出会って通り過ぎている。

 僕はふと、SKE48の「New Ager」という曲を思い出しました。
 まずは、聴いてみましょう。
 公式チャンネルからどうぞ。



 まずは、歌詞の世界から見て行きましょう。
 秋の並木道からこの歌詞は始まります。
 季節の経過の中に「後悔」はないかとふと思います。
 永遠はないから、今というこの瞬間を思う。
 過ぎて行くもの、このままでは入れないもの「青春」というのは、生き物のように変化していくことを意識します。自分もやりたいことをどんどんやっていかねばと曲の主人公は思います。
 2番では1番のように季節という大きい単位ではなく、1日という単位での時間の流れから始まります。陽のあたる時間から星空になる時間になって、やっとお互いの夢の話になります。自分の若さをどう使えば良いのか分からず、一歩目が踏み出せなかったことを「僕」は意識します。
 そういえば、ここで曲の主人公が「僕」であることが分かりましたね。
 サビでは、試行錯誤しながら生きて行くことを誓います。1番のサビで花のたとえがありましたが、それは人間の生き方と重なるのかも知れません、人生が過ぎて行くと新しい自分が生まれていく。
 大サビでは1番のサビが繰り返されますが、2番のサビを受けると、また違った響きがしますね。
 
 曲は王道のアイドル曲で、9期から11期生のメンバー24名が踊っています。センターは11期生の原優寧さん。2001年生まれだから、今年20歳でしょうか。とてもそうは見えないフレッシュな感じですよね。10期生でSKE48の表題曲を務めた林美澪ちゃんとはまた違った雰囲気の持ち主だと思っています。
 
 MVでは、校内フォトコンテストの為に、生徒たちが「写ルンです」で写真を撮っていくという流れですが、「青春」という日々流れ続けて行くものを、写真で一瞬切り取っていく。それは、もう少し視点を引くとメンバーたちのこの瞬間のアウラを切り取ったものかも知れません。
 それぞれの部活もなかなか似合っていて、赤堀君江さん、竹内ななみさん、篠原京香さんがいる美術部とか最高過ぎですよね。
 
 急に僕の話をさせていただくと、SKE48に対する熱量が結構冷めてきているところがありましてね。その理由は結構複雑で、詳しくは「対談集 かける人」を読んでいただきたいんですが、一つ理由を挙げるとすれば、卒業したある10期生の推しの世界観をずっと引きずってしまっているんですね。で、SKE48の新しいメンバーを見せられたり、新しい曲を提示させられたりしても、「いやあ、今はちょっといいですう」という感じだったんですね。小泉八雲の講義をまだ引きずっていた帝大生のように。ただ、この「New Ager」はひょっとすると、川上一座のように僕のようなこじらせSKE48ファンの価値観を変えるきっかけになるかも知れません。もしくは、この曲で価値観を変えられなくても、「思えばあの時、あの曲と出会っていたのがきっかけだったかも」という曲になるかもしれません。
 
 総選挙選抜にまで食い込んだトッププレイヤーたちが全員、居なくなりました。新時代の始まりはいつも意識していないところから始まっているかもしれません。

 

2022年10月16日日曜日

絶対インスピレーション①

ぶつかり合ってSKE48になる


 皆さん、NHKの大河ドラマはお好きでしょうか?

 今、テレビドラマで1年を通して放送されるのって仮面ライダーとか戦隊のスーパーヒーロータイム枠と、この大河ドラマぐらいですよね。

 今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」もあまりの面白さに毎週、月曜日に「#鎌倉殿のSKE48」というパロディーツイートをしているぐらいです。物語もあと10話ぐらいになりまして、北条義時がいよいよ鎌倉幕府の中枢に位置して承久の乱へと向かっていきます。

 脚本は三谷幸喜さんなんですが「新選組!」、「真田丸」と敗者の物語を大河ドラマで描いてきた彼が勝者のドラマを描くとなり、どんな風になるかと思っていたんですが、大河ドラマの歴史に残るぐらい凄まじい暗黒鎌倉時空が毎週繰り広げられています。

  歴史が根本にあるので、本当に仕方がないことなんですが、主人公の小四郎こと北条義時がどんどん悪くなっていく様子が辛いけど、面白くてですね。三谷幸喜さん自身も特別番組で「残り10話の小栗旬が見たかった」と語っていましたが、手を汚して以下ずるを得ない小四郎の迷いとどこかで覚悟を決めた小四郎の怖さを小栗旬さんが好演しています( ちなみに、僕は山本耕史さん演じる三浦が大好きです )。

 思えば、大河ドラマで主人公がどんどん悪くなっていくものとして、藤本有紀さんが朝ドラで磨いた素晴らしい脚本で描いてきました。主演の松山ケンイチさんは勿論、森田剛さん演じる平時忠もどんどん悪くなっていって、とても悲しい顔でいう「平家にあらずんば、人にあらずじゃ」という言葉は忘れられません。

 悪役には不思議な色気というか、魅力があります。
 演じる人の違う魅力を引き出してくれるといいますか、三池版「13人の刺客」の稲垣吾郎さんや

 個人的には、その悪役サイドからもう一度、光の側に戻る姿が見たかったんですが、大河ドラマなので、だいたい死んでしまいます。果たして、今年の小四郎はどうなるんでしょう?


 なんだなんだ、今日は大河ドラマの記事かと思ったあなた、違うんです。

 これは、「絶対インスピレーション」のMVを観た僕の感想です。

 まずは、公式動画を観てみましょう。

 

 


 ううむ、色々と語りたいことがありますが、まずは、歌詞の世界から見て行きましょう。

 まず、曲の主人公は自動改札の前で目が合った君に、惹かれるところから始まります。ラッシュアワーという沢山の人が行きかう場所で、特別な一人を見つけた感触。それは稲妻に撃たれた時に似ている。「美しい稲妻」もシチュエーションこそ違いますが、似ている感情かもしれません。そういえば、「鬼平犯科帳」のエンディングテーマも「インスピレイション」で、江戸時代の言葉でなんとか表すために「勘ばたらき」と池波正太郎先生は表してましたね。



 さて、話を戻すと、出会ったその日から「君」の姿を僕は捜しつづけます。くそっ、いつもならだいたい同じ車両とかバスの中なのに、この曲の舞台は大きい駅だったんでしょうか。
 そして、主人公は人生の中で続くものと終わっていくものについて意識します。しかし、ぼくは未来を確信しています。何故なら、「君」と出会った時には周りの喧騒が消え、時が止まったように感じた、何かが始まる兆しを感じます。

 で、いきなり大サビ前で時間は未来に飛びます。 
 どうやら、「僕」と「君」は愛し合うことが出来たようです。
 なんでこんなにインスピレーションを語るのかというと、既に成功していた僕が、思い出を振り返っていたわけですね。それを踏まえてもう一度聞いてみると、何かサビの説得力が違ってくる気がします。確かに全部思い出す文体ですしね。

 聴きながら、ふと自分の推しと出会った時のことや、この人を推しにしようと決めた時のことを考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 音楽は、小室サウンドっぽいのでてっきり小室哲哉さんかと思いきや、杉山勝彦さんなんですね。僕が欅坂46で一番好きな「青空が違う」の作曲の方ではないですか!乃木坂だと「君の名は希望」や「きっかけ」、「制服のマネキン」の作曲家の方ですね。48グループだと前田敦子さんの卒業曲「夢の河」、NMB48の吉田朱里さんの卒業センター曲「恋なんてNo thank you」、SKE48の「前のめり」など、よく考えると、凄く重要な曲を任されていることが、キャリアから見えてきます。
 そう考えると、この曲がSKE48にとっても重要な曲の一つとなってくるかもしれません。青海ひな乃という新センターの。
 

 次にMVのことですが、「静」と「動」を意識させられる作品で、歌詞の中に登場する「ストップモーション」とのリンクが気持ち良いです。ストーリーは、時を止めたり、みんなをぶっ飛ばしたりする能力に青海さんが目覚めます。青海さんたら、いたずらが大好き(何故か絵本みたいな文体)。青海さん対だーすー率いるSKE48という、映画「怪獣総進撃」以来のあまりにも数が違いすぎるのでは…と言いたくなる対決が繰り広げられます。ある意味、力を手にした青海さんが凄過ぎたというのもあるかもしれませんが。映画「るろうに剣心 伝説の最後編」の志々雄戦みたいなやつですね。
 で、このMVで垣間見せる悪い青海さんの表情が良くてですね(特に3分4秒あたりは背景の色とも合っていてこのまま『鎌倉殿の13人』いけるぞと思いました)。
 あっ、こんな引き出しをこの人は持っていたのか、という発見がありました。
 青海さん以外でいうと隣に並ぶ菅原さんが良かったですね。青海さんと並んだ時のスタイルも引けを取らないですし、ハッと気づく表情の演技が凄く印象的です。
 あと、もし、このMVに強いて望むとすれば、あと2分ドラマパートで良いので尺を増やして欲しかったです。そうすることで、ぶっ飛ばされたメンバーたちの「その他大勢」感が薄れるのではないか、と思いました。たとえば、1番の力に目覚めるパートとかはドラマに回して、その他のメンバーにも光が当たるようにも出来たかな、という気もします。

 勿論、ダンスを通して分かり合えただーすーと青海さんが手を繋いで走るシーンは、凄く良くて、確かに何かが受け継がれた感じがしました。
 このMVで一番印象に残っているのは、開始時には止まっているメンバーたちが映っているだけだったのが、曲の最後には全く同じアングルで「SKE48」という文字が入るところです。ぶつかり合って、受け継がれて、新しいSKE48が動き始めた、という感じがします。
 そして、「静」と「動」で言えば、青海さん自身もそうですね。
 前作では、残念ながらコロナウイルスの影響で選抜入りが出来ませんでした。
 その時の配信がとても印象的です。ファンの前では涙を見せなかった彼女が始めてみせた涙。
「今回、選抜メンバーから外れることになりました。私が1月の上旬らへんにコロナウイルスにかかってしまって。その時がね、撮影の日と被ってしまって。
 今回、選抜から外れるという形になって、なりました。仕方ないのも凄い分かってるんですけど、自分が選抜に入ってたのを知ってたからこそ、悔しいっていうか、凄いみんなが期待してくれてたし、やっぱりファンの方と家族に申し訳なさ過ぎて。やっぱり応援してくれてた人に凄い申し訳ない気持ちでいっぱいです。自分的にもすごい頑張ってたつもりだったから。
 もちろん、カップリング曲のセンターに選んでいただけたことは凄い嬉しいし、嬉しいんですけど…。でも、やっぱり自分的には選抜っていうみんながアイドルとしては、目指す場所に自分がやっぱずっと立っていたかったからこそ、すごい悔しいかなあ。
 ( 中略 )
 目標はもう一度選抜に戻ることかなって自分的には思っているので。だから、これからも頑張りたいなって思っています。
 (中略)
 また、戻れるように頑張ります。
 ただ、ひな乃はめちゃくちゃ悔しいし、絶対戻るので、ついてきて欲しいなって思います。
 (中略)
 逆襲のひながこれから始まりますからね」

 ううむ、こればかりはどうしょうもないことでもありますが、この選抜落ちという「静」を経験した後、青海さんには「愛を君に、愛を僕に」公演が待っていました。多くのセンターポジション、あるいはダブルセンターポジションを任される「動」を経験したことになった彼女は、ここでもう一つ試練を超えたと個人的には思っています。
 公演のセンター、そしてシングル表題曲のセンターへ。
 一見、飛び級のようですが、実は正統派の道でセンターになったのではないか、と思います。


 青海さんを中心とした新しいSKE48、皆さんの目にはどう映っているでしょう?
 「世界2.0」の佐藤航陽さん風にいえば「ベテランが退場する周期は必ず来る。新しい世代の価値にこちらがついていけるか?」というターンがSKE48にも来たのかも知れません( 正確には林さんがセンターだった時に来ていたのかも知れませんが、ベテランの比率はこちらの方が下がっている気がします )。
 インスピレーションを信じて、動きだすターンが今のSKE48には来ている気がします。
 

2022年10月2日日曜日

鎌田さんから考える休みの日の過ごし方

没入と吸収とアウトプット


 皆さん、突然ですが休みの日に何をすれば良いか、分からないということってありませんか?

 いや、毎週予定が入りまくっているという方はいいですよ。

 でも、朝の11時ぐらいに起きた時のやっちまった感や、起きてダラダラとSNSを見てるだけで1時間経っていたということもないでしょうか?

 かくいう僕も2022年から紙の雑誌「かける人」を作る為に、休みの日の方がパンパンに予定が入ってしまい、この連載も5か月ぶりに書いてますよ、お侍さん。

 さて、哲学者の國分巧一郎先生は「暇と退屈の倫理学」の中で、中世ヨーロッパの貴族たちは暇の過ごしかたを知っていたが、庶民たちも暇な時間が出来た時に何をすれば良いのか、分からないという人も多かったのでレジャー産業が入ってきた、ということを書いています。

 誰かから「こういう休み方が良いぞ!」と与えられるわけです。

 しかし、2020年から始まったコロナ禍は僕らに、レジャーだけでなく休み方も改めて考えさせました。

 集まるのではなく、一人で。

 騒ぐのではなく、静かに。

 職場ではなく、家で。

 今まで境界線がはっきりしていたものが、ぼやけてしまったと「あなたの24時間はどこへ消えるのか」の著者であるスワンさんも分析しています。解決策として、「休みの日は何々をする!」とか「休みの日は何々をしない!」というルールから自分を解き放ってあげることが必要では、と彼女は分析します。そして、この本に関する対談で、VLDK / LivingAnywhere Commons 八ヶ岳北杜 プロデューサーの渡鳥ジョニーさんは、「休みの過ごし方を他者と比べない方が良い」という考えを語っています。住んでいる環境やライフステージも違いますしね。

 確かに休みの日にSNSを開くと、色々な人の休みの過ごし方が出てきます。ううっ、皆さんアクティブ、と感じることがあります。

 しかし、周りはこうとか普通はこうみたいなものに縛られない休み方もいいな、と思います。周囲の相互評価など関係しない過ごし方。先ほどの國分先生の著作の中の言葉を借りると「没入」ですね。

 こういう余暇の過ごし方について、考えるヒントをくれるメンバーが鎌田菜月さんだと僕は思います。

 まずは、彼女がコロナ禍の頃に書いたブログを読んでみましょう。

 (鎌ºωº田)<今しかできないこと。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

  このアメブロの中で、「意味もなく散歩をする」というところに僕は凄く惹かれまして、「何々しなきゃ!」とは真逆の時間の過ごし方だと思います。そして、持続できることでもあるな、と。

 ただ、彼女もオンとオフをはっきりさせたい方のようです。

(鎌ºωº田)<オンとオフとか。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 さて、今度は誰かと一緒に会うことについてです。

(鎌ºωº田)<乾杯〜!! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 このブログの中の「1人の時間は大切だけれど、1人で居続けるのは寂しい」というのも凄く考えさせられる1文ですよね。たとえば、僕は今過疎化が進む田舎に住んでいます。しかし、都会で1人暮らしをしていた頃は、1人でも全く平気で好きな本や映画をどんどん吸収していったんですが、映画の帰りに1人で最寄りのカフェでコーヒーを飲みながらパンフを読む時間がとても幸せでしてね。
 だいたい映画の新作って、金曜日に公開なんですね。金曜日の夜の色々な事情でやってくる人達と、ほどよく他人でいながら同じ空間にいる時間が好きでした。

 鎌田さんにもこんな体験があるのかな、と思い、探してみると、あるではないですか!

 しかもわりと最近。

 「ハマっちゃった」SKE48の鎌田菜月が一人ディズニーシーを満喫 (msn.com)

 ううむ、こういう「普通は誰かと行くもの」という概念や他人にどう思われるかにこだわらない好きなものへの「没入」の仕方って素晴らしいな、と感じます。

 彼女のラジオ番組である「サクラバシ919」、皆さん聴いてらっしゃいますでしょうか?

 僕は全部の回ではないですが、聴ける時はなるべく聴いております。映画のランキングの時は、ちょっとラッキーという気持ちになります。彼女がこの番組で語るランキング企画を聴いていると、彼女が限られた休みの時間の中で豊かな過ごし方をしているなあ、というのが凄く伝わってきます。

 鎌田さんのアウトプットにベストの形式は、個人的には「書く」だと思っていたんですね。

 こういうブログを読んでいると。

(鎌ºωº田)<こんなこともある | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 個人的にもっと文章を読んでみたいメンバーの一人です。

 ファンの皆さんには、彼女のエッセイ集とか創作集とかはいかがでしょうか?

 個人的には「意見文」中心のものが読んでみたいですね。

 ちなみに、文章だけでいうと、彼女の凄いところって、そのメディアの外側の何かを掬い上げようとするところだと思います。たとえば、公式ブログのタイトル欄に限界まで文字を詰めたり、AAを積極的に使ったり。他のメンバーたちが豆腐を作っている時に、オカラを作ってきて、実はこっちもおいしいですよ、と違う可能性も見せてくれるメンバーだと思います。

 いつも心が動く文章ばかり紹介しているので、たまには爆笑したブログも紹介しましょう。彼女の表現の素晴らしさを感じます。

(鎌ºωº田)<暴投したっていいじゃない。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 話を戻すと、鎌田菜月の休みの過ごし方はもっと広がってほしいな、と思っています。

 彼女と同じように過ごしたいけれど、ちょっと気が引けるという方の背中をきっと押すと思います。そして、誰かと比べずに自分の好きなものと向き合う過ごし方を更新していくというのは、きっと我々も学ぶところが沢山あると思います。

 今日は日曜日。あなたはどんな過ごし方をしましたか?


2022年9月11日日曜日

私の歩き方①

忘却に消えても残るから

 先日、舞踏家の最上和子さんの「身体というフロンティア」を読みました。

 最上さんといえば、アニメがお好きな方でしたら押井守監督と出した「身体のリアル」でご存じの方もいるかも知れません。

 さて、最上さんは「身体は人間に残された最後の土地」という考えを「身体というフロンティア」 で書いています。たとえば、人間の身体は重力に嫌でも引っ張られています。そのことを自覚した上で舞踏していく(彼女の表現を借りるなら、自分に『取り込んでいく』)。それは、重力だけではありません。様々なものを事細かに観察します。「細微」を入口にして、「身体の内部」という「深く広大な未開の地」に入っていくわけです。そこで取り込んだものをまた、自分の外的身体で舞踏する。

 ううむ、同じ人間の身体を持っているのに、ここまで違う動きが出来るのか、或いは、美しく奇異な動きができるのか、と感じました。
 また、彼女が別のメディアで舞踏を始めるきっかけになったこととして、「踊っている人間の身体が言葉に見えた」という表現があったことも非常に印象的でした。
 僕が、コンサート中のダンスやMVのダンスをどこか文学的にとらえようとするのは、彼女の影響があるからかも知れません。

 

 何故、僕がこのことから書き始めたかというと、昨夜、須田亜香里の卒業曲「私の歩き方」を観たからです。



 まずは、開始35秒までの彼女のダンスを見ていただきたいです。
 この35秒の中に僕は様々な言葉を見つけました。
 「あゆみ」、「発見」、「時間」、「目標」、「喜び」、「我慢」、「つながり」などです。これは、彼女の表情やしなやかな身体だからこそ、出来る表現だと思います。ただ、踊りから確かに言葉が伝わってきます( 少なくとも僕には )。それと同時に言葉というものがいかに世界を細切れに分けてしまうのか、とも思います。それに対して、彼女のダンスには何かいくつもの何かが同時に流れていて、いくつかの層にもなっているようにも感じます。

 ちなみに、この踊りはコテンポラリーというバレエのジャンルだそうです。
 「形式を持たない自由な身体表現」ものだそうで、米津玄師さんの「Lemon」のMVの中にもにも登場しています。


 また、だーすー自身も2018年の総選挙の感謝祭で、コテンポラリーダンスを踊っています。


 このアメブロを読みと、今回のダンスの振り付けにもひょっとすると、彼女の思い出や関連する曲が入っているのかな、と改めてみなおしたくなりますね。振り付けも同じ辻本先生が担当していますしね。
 
 さて、歌詞の世界を見て行くと、まずは、時間の流れの早さを曲の主人公が意識するところから始まります。その時間の中で、自分が出来たことと出来なかったことを思い浮かべます。
 サビでは、自分の歩き方で曲がることなく道を行くことが語られます。
 これは簡単なようで難しいことです。周りの声に流されず、自分の歩き方をキープして道を踏み外さずに進む。
 僕は、彼女のエッセイ集である「てくてく歩いてく」を連想しました。
 P43の「誹謗中傷の裏側」では、アイドルをしていると、誹謗中傷などで暗闇でボールを投げられる感覚になることが書かれていました。しかし、10年間、ファンの方や番組スタッフの方など様々な方が自分を選んでくれたことで、暗闇を歩く感覚はなくなったと語っています。この歌詞のように、真っすぐ歩ける背景には、ファンの方々の後押しもあるのかな、と曲の世界から少し離れてしまいますが、感じました。秋元先生がだーすーの著作まで読んでここ書いてたら一生ついていきます。

 さて、話を曲に戻しましょう。
 2番では風が吹き始め、風に流れていく雲が、曲の主人公に旅立ちを連想させます。
 1番では何をしたかでしたが、2番では誰と出会い別れたかを意識していきます。
 自分の内側から外側への変化を感じます。
 2番のサビでは、沈み行く夕日が登場します。
 この夕日に「あの日々」を重ねるところから、やはり、もうすぐ新しい旅立ちが控えていることを感じさせます。しかも、「忘却の彼方」といういつか忘れられることであるというちょっと厳しい場所へと沈んでいきます。
 ただ、ここが凄くリアルだな、とも同時に思いましてね。
 仮にこの曲の主人公に須田亜香里を代入した時に、彼女が輝いたSKE48時代はいつか、忘れられてしまう、ということになります。秋元康はそれを自覚した上で、旅立った後に新しい忘れられない物語を作れよ、というメッセージを書いているのかも知れません。もし、そうだったら、一生ついていきます。
 そんな甘くない世界でも夢は叶うと信じて、一歩踏み出す主人公の決意。
 
 大サビでは、再び自分の歩き方を意識していきます。
 誰とも比べずに、自分のペースで進んでいくことを決意します。
 沈み行く太陽と一緒に、「青春」へ主人公は別れを告げます。 
 「ありがとう」という感謝の言葉と共に。

 全体を通してみると、これまでの回想と感謝、これからへの決意を感じる歌詞になっていますね。
 曲の方は、卒業曲らしい優しいメロディーなんですが、MVというかダンスなしで聴くのとダンスありで聴くのとでは、味わいがぐっと変わってきます。
 ラストの「ありがとう」のところの天を見上げながらする拍手や「私の歩き方で」のところで現れるバレエの動き、「今になって気づく」の表情。
 一つ一つが、曲の味わいを豊かにしてくれますし、レイヤーを一層深めていると僕は思います。
 
 少し気が早いですが、卒業コンサートではあえて歌わずにコテンポラリーダンスをフルで表現するバージョンで観てみたいなと僕は思います。

 須田亜香里は、常に更新していく人だと思います。
 一体、この人はどれだけ引き出しを増やしていくんだ、とも。
 アイドル生活の最後の曲で、自分の身体表現の素晴らしさを見せてくれた彼女。
 きっと、「私の歩き方」でこれからも新しい自分と出会っていくんだ、と思います。彼女のキャリアが忘れられても、新しい何かを生み出していくと思います。
 だから、今年の須田亜香里も好きですが、来年の須田亜香里も再来年の須田亜香里もきっと期待できるし好きになれるのだと思います。
※民藝と須田亜香里について考えた記事はこちら!


2022年8月21日日曜日

優しさの上手な使い方について

 忘れられない1日

 ドキュメンタリーを観るのが好きです。
 Amazonプライムやネットフリックスで上質なドキュメンタリー番組やドキュメンタリー映画を観るのが至福の時間です。最近は、映画「ゴッドファーザー」が出来るまでの実話を元にした「ジ・オファー」というUーNEXTのドラマが抜群に面白かったです。
 さて、ドキュメンタリーを観ていると、あの日のあの選択が運命を変えたり、自分に自信をくれたり、ということがあります。それは、自分の選択だけではなく、誰かに選んでもらったこともあります。

 SKE48の中にも特別な1日というのがあると思います。
 この記事の一つ前に「もう一度SKE48の話をしよう」という新連載を始めましたが、その記事を書きながら、これからのSKE48を考える上で重要な1日っていつだろう、と考えました。色々とあると思うんですが、松井珠理奈卒業公演の1日について今回は考えてみたいと思います。

 この日については、当日に1度感想を書いていますが、そこから1年以上経った2022年8月現在視点からの記事にしたいと思います。

 この卒業公演では、珠理奈のお母さまからの手紙が読まれました。


「珠理奈へ

 卒業おめでとう。

 そして、13年間お疲れ様です。

 珠理奈がSKE48に入ったのが11歳。あれから13年も経つなんて。

 今でも覚えています。SKE48が10月にデビューする前、一人だけAKB48の大声ダイヤモンドの撮影に行かなくてはいけなくなり、まだ小学生だったので、その撮影にお母さんもついていきました。

 一人だけ遅れてレッスン。全て覚え、すぐ本番撮影。あの時は本当に出来るのか心配で仕方なかったけど、本番になり、その現場で見ていて、涙が出てきたのを思い出します。

 学生生活がまともに送れなかったこと。総選挙などもあり色々なプレッシャーが珠理奈を押し潰そうとして大変なこともたくさんありました。

 そんな珠理奈をずっと見てきて、今でもふと思うことがあります。

 もし芸能界、SKE48に入らなかったらこんなつらい、大変なことにあうこともなく、普通の学生生活を楽しく過ごせたのではないか。『あの時、止めていれば』と思うことがあります。

 ですが、この世界に入ることは珠理奈が自分で『どうしてもなりたい』と言って、自分で勝ち取った世界。

 つらいこと、大変なことばかりではない。素敵に輝いていることもたくさんありました。こうして素敵な卒業コンサート、公演を迎えられたこと。

 本当に13年間お疲れ様でした。

 珠理奈の一番のファン、母より」

 乃木坂46のドキュメンタリー「悲しみの忘れ方」は、メンバーの母親からの手紙が印象的でした。生駒ちゃんのお母さんが、自分の娘と同じぐらいの学生たちの姿を見て、「自分の娘にも別の人生があったのでは」と考えるところが印象的でした。

 珠理奈のお母さまからの手紙を読んでいると、母親の立場からすると、心配になることがSKE48にいる間に沢山あったと思います。「色々なプレッシャーが珠理奈を押し潰そうとしたこと」の部分が特に印象的で、彼女に与えられた試練とそれでも「勝ち取りたい」という選択を取った娘を応援するしかない、という葛藤も感じます。
 アイドルをやり遂げた娘への優しいメッセージだと思います。

 手紙を受けて、珠理奈も卒業のスピーチをします。

 「これも卒業コンサートの時と同じで、何喋ろうとかあんまり考えてなかったんですけど。

 でもね、こういう形にはね、今なってしまってますけれども、こうやって卒業公演開催することがね、無事にできて。私もまさか卒業公演前に40度以上の熱が上がるとは思わず、それでね、トーク会をちょっとね、それも凄く本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけど、スタッフさんとお話してしっかりそれはね。振替してもらえるようにお話してるので、今日の公演の感想だったり、コンサートの感想だったり、皆で一緒に現地でトーク出来たらいいなとそこは思っております。

 現地でトーク会つながりでいくと、けっこう最近その卒業発表してから、やった後に、他の推しメンのファンの方が遊びに来てくれることが凄く多いんですけど、『実は珠理奈推しじゃないんだけど』って、『でもSKE48を好きになったきっかけは珠理奈なんだよね』って言ってくれる人が凄く多くて、あっ、自分って何かのそういうきっかけとか、人の、何だろうな、人生を変えるじゃないけど、何かそういうきっかけにね、1つになれたんだなってことが、『あっ、もうSKEに入って良かったな』って本当に思えることだなって思いました。

 でも、こうやってちゃんと他の可愛い子がいても目移りせず、ずっと卒業公演まで珠理奈のこと応援してくれる皆さんもたくさんいるし、今ここに今日来れない方もたくさんいるし、今ここに今日これない方もたくさんいるっていうのも凄くわかってるし、本当にSKEはっていうか、もう松井珠理奈はファンの方が支えてくれたから、うん、ここまでこれたんだなっていうのは凄く感じます。本当にありがとうございます。

 外は大雨なのかな?ね、名古屋は凄く大雨ということで、名古屋の空も多分きっと泣いてるんじゃないかなと。なんか全然うまいこと言えてない(笑)。全然うまいこと言えてないですけれども。何かね、あのSKEってほんと大事な日に雨が降ったりするんですよね。

 なんか、デビューかなんかの時に、なんか外で初めてやるイベントの時も雨だったり、なんかSKEは雨っていうのが凄く、なんか多くて。

 だから、自分の晴れ舞台もこうやって雨が降ってるっていうことも何ら嫌な気もせず、『あっ、今日雨だけど、SKEって雨だもんな。最後、雨でいいな。最後の雨だな』みたいな、ちょっとなんか、それもそれで皆の中にね、残る思い出、皆は凄く大変だと思う。やっぱりここまで来てくれたのは凄くありがたいなと思うし、大変だろうなと思うけど、それもいい思い出として皆胸にしまっていただいて、今日皆がね、見せてくれましたから。

 私は最初から出れなかったですけれども、皆が今日しっかりSKEこれから未来に向かって進んでいくぞっていうのを見せてくれたと思いますし、今日ここにいないメンバーも皆同じ気持ちで今いると思います。

 なので、これからも変わらずSKE48への応援、そして松井珠理奈のことも気にしていただけたら嬉しいなと思います。本当に今日はありがとうございました。」

 自分自身が既にボロボロの状態なのに、彼女のスピーチからは、この公演を良いものにしよう、後輩やファンの方々にこれから先の未来が楽しみなものになるように、という気持ちが伝わってきます。

 GLAYの曲で「Friend of mine」の歌詞で、「誰かの痛みを優しさの上手な使い方で取り除いている君を見ていたよ」という部分があるんですが、僕は彼女のスピーチを聴きながら松井珠理奈という人の優しさの上手な使い方を感じました。

 では、彼女の卒業公演から後輩たちは、どんなことを考えたのでしょう?
 まずは、アルパカさんこと、荒井優希さんのアメブロを読んでみましょう。

 荒井優希 ⚠️長すぎてもはや閲覧注意 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 「近くに生意気なやつがいた方が良い」という荒井さんならではの優しさの使い方が素敵ですね。きっと勇気もいったと思うんですが、それでも行動に移せる彼女も素晴らしいです。「最後までSKE48ことを考えてくれて」、「かっこいい背中」は、珠理奈の意思がちゃんと後輩たちに伝わっているなあ、と感じます。


 続いて、平野百菜さんもアメブロです。

平野百菜♪珠理奈さん | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 珠理奈の後輩思いな面が伝わってきます。

 「心にflower」で選抜入りを見事に果たしたももたんですが、珠理奈の先見の明を感じます。果たして二人きりの時にどんなアドバイスを受けたのかも気になりますね。

 

 次は井田玲音名さんのアメブロです。

《井田玲音名》 卒業 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 れお様の珠理奈への愛が伝わってきますね。

 水着グラビアのプロデュースという、SKE48のことを考えている珠理奈の思いが形になった企画ですね。遠くに思っていたけれど、話してみるとグループ愛が伝わってくるというのは、これまでのメンバーのアメブロにも通じるところがあるかも知れません。

 それでは、実際にこの公演に出演していたメンバーたちは、どう感じていたのでしょう?

 まずは、みよまること野村美代さんのアメブロから。

野村実代です❤️ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 こちらでも珠理奈のプロデュース心が騒いでますね。自分だけでなく後輩のことを思う気持ちが伝わってきます。そして、自分が「赤いピンヒールとプロフェッサー」を踊るにふさわしい人かという、みよまるの葛藤。しかも、ファンの方々は珠理奈の赤ピンを望んでいるかも知れない。そんなみよまるの心を察してアドバイスをしてくれる珠理奈。このオリメンに直接見てもらいながら、曲を担当できるというのは普通のコンサートのシャッフルとはまた違った良さがあると思います。
 「SKE48を守りたい」という彼女の願いは、今年のチームS新公演でのダブルセンターで見事に形になったのではないかと思います。

 同じく出演した江籠裕奈さんのアメブロも読んでみましょう。

 江籠裕奈。真 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 歌い方のプロデュースもしてるんですね。これは自分が歌詞を書いたからこそできることですよね。どんな感情でどんな風に歌えば良いのかを伝えられるのが良いですね。
 ラブ・クレッシェンドというユニットに関しては、リリース時に賛否両論があったかも知れません。それでも選ばれた彼女たちは、その瞬間瞬間を全力で進んでいきます。
 もう江籠ちゃんもベテランメンバーの一人です。
 これから彼女が、「チャンスときっかけ」を自分やグループの後輩たちに与えてくれるのではないか、と思います。

 

 ここまでメンバーたちのアメブロを読んで見えてきたことは、彼女のグループへの思いと、後輩たちへの思いです。彼女をよく知っている方ならご存じだと思いますが、珠理奈自身はめちゃくちゃ体が丈夫というタイプではありません。繊細な性格ですし、時として誤解もされ、きっと彼女自身も大変なのに自分のことを後にして仲間のことを考えられる精神は本当に素晴らしいです。 

 彼女がこのグループを去っていく時に残して行った「オレンジのバス」。
 この公演の最後に歌われたこの曲は、その後、パブリックな場では歌われていません。でも、周年公演など大事なタイミングで歌われるといいな、と思います。勿論、リブランディングしていく上で、珠理奈色を残し過ぎてもいけないというのも分かります。でも、若手のメンバーに曲という形で間接的にでもいいので、珠理奈の思いが伝わっていくと良いなとこの記事を書きながら思いました。

 時代が新しくなっても、変わらない意思を大事にしてくれたらいいな、と思います。

 効率とか儲けも大事ですけど、時代遅れと笑われても人を大切にする珠理奈の思いは、ずっとこのグループに残って欲しいと思います。


※公演当日に書いた記事はこちら!

 珠理奈が歌った「タイムマシンなんていらない」が中心です。

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 2021年4月29日 松井珠理奈卒業公演の感想 (oboeteitekure.blogspot.com) 


2022年8月15日月曜日

ひかりさす①

Dear 、キミと僕2

 皆さんは、アイドルのパフォーマンスで心を動かされたことがこれまでに何度あるでしょう?
 
 そのパフォーマンスに辿り着くまでのアイドルのドラマが、踊る姿に重なり涙することもあれば、曲の世界観のヴィジュアライズ化が素晴らしいことに涙することもあります。
 前者の例を挙げると、SKE48のリクエストアワー2015で「前のめり」のセンターである松井玲奈ポジションを古畑奈和ちゃんが務めた時です。この時は会場のファンの奈和ちゃんコールを含めて、「ああ、やっと報われる」と涙したものです。後者の例は2016年に行われたSKE48の一人10分のソロコンサートにおける古畑奈和ちゃんの「10クローネとパン」です。20世紀後半のアメリカ文学で描かれたような絶望的な状況の中に微かに光る希望の美しさと、主人公の儚さを感じさせる素晴らしいパフォーマンスでした。
 他にも挙げて行きたいところですが、次の機会に譲るとして、かように古畑奈和という人はドラマ性もパフォーマンス性もどちらも曲の中に背負える稀有な存在でした。

 2022年5月17日。
 古畑奈和ちゃんは卒業発表します。
 ファンの方によっては、「まだ居て欲しかった!」という方もいらっしゃれば「前々から予感していた」という方もいらっしゃるかと思います。
 僕はというと、遂に来たかあ、という感じです。
 古畑奈和ちゃん推しでもない僕がこんなことを書くのは、生意気だな、と言われてしまうかも知れませんが、彼女の才能は既に48のルールの枠組みからはみ出ていると数年前から感じていました。彼女の才能に見合った仕事がもっと増えていればなあ、というのが率直な感想です。近年では48グループの歌唱力コンテストもありましたが、彼女のライバルや目指すべき対象が、ある時期からもう居なくなってしまったのではないか、と思います。それはそれで平和で良いことなんですが、古畑奈和を燃えさせるような後輩やイベントがあればまた違ったのかな、とも思います。
 ただ、周りに揺るがない強さが奈和ちゃんの魅力でもあると思います。
 
 2022年8月6日。
 彼女の2枚目のソロシングル「ひかりさす」が発表されます。
 ちょっと聴いてみましょう。


 皆さん、いかがでしたでしょうか?
 僕の第1印象は「映画の3幕構成みたいな作りなのかな?」ということです。
 「ひかりさす」から始まる穏やかなバラード部分で最初と最後を挟むことで美しい円環構造になっていますし、旅立つ穏やかな気持ちを表しているようにも見えます。

 まずは、歌詞の世界から見て行きましょう。
 1幕目は、地平線が見える場所で風に頬を撫でられるこの曲の主人公は、ひかりさす彼方を目指すことを決意します。
 ここから分かることは、地平線まで見えていて風通しも良い場所、つまり、さえぎるものの無い自由な場所や立場を主人公が手に入れていることが分かります。

 さて、ここから曲が変調します。第2幕の始まりです。
 「ガンダムOO」のエンディングテーマのTHE BACK HORNの「罠」を思い出す激しいメロディです。


 さて、歌詞の世界に戻ると「暗がり」で「センターステージを目指してたあの頃」のことが語られ始めます。「暗がり」ということはひかりがささない、つまりスポットライトがまだ当たらないステージの端の方の話かも知れません。
 それでも見つめてくれる「キミ」の笑顔のおかげで主人公の「私」は進んでいきます。
 ここで、今でも「キミ」が大切だからこそ「ありがとう」というお別れの言葉は言いたくない(かおたんの卒業曲がそういえば・・・)、未来へかけて行く私を忘れないで欲しいと願います。

 さて、そこから「私らしさってなんだろう?」、「私にしかできないことは?」と自問自答するもあの頃は答えが見えなくなっていました。
 やがて、それは周りから解放される方へと意識が向き始めます。
 「窮屈なほどに」という表現をわざわざ入れてから、「あの子の笑顔」に眩しさを感じ、自分の笑顔は嫌いになってしまいます。
 ここでいう「あの子の笑顔」は特定の誰かではなく、正統なアイドルの笑顔なのかな、と僕は解釈しました。そうすると「窮屈なほどに」を足した時に、曲の主人公が普通のアイドルの枠に収まらないことがこの後の展開からも明確化してきます。
 「同じ服」、「同じ歌」、みんなと同じにしようとしても同じにはなれない自分がいます。そして、それこそが誇るべき自分である、という発見をしていきます。このことを教えてくれたのは、「キミ」であると歌詞の中で語られます。笑顔で見守ってくれていた「キミ」が、みんなと同じになれない主人公を肯定してくれます。
 この辺りは、とても48グループを意識させられる部分だと思います。
 確かに、同じ衣装を着て、同じ曲を歌いますよね。
 でも、その決められた枠からはみ出していく強い個性が曲の主人公にはあるわけです。

 そして、大サビです。
 1番のサビと重なる内容ですが、ここまでを聴いての大サビなので「キミ」との関係性の深さがより伝わってきますね。
 そして、「サヨナラ」ではなく心の中に「キミ」がいること、ずっと背中を見ていてほしいというメッセージが加わってきます。くじけそうな時も立ち上がれる「あの日の温もり」が心の中にずっとあります。
 

 やがて、第3幕。
 再び、「ひかりさす」から始まるバラード部分ですね。
 一人ではなく「キミ」の思いを胸に刻んで、「ひかりさす」彼方を目指すことが示されます。

 ううむ、こうして書いていくと、これまでの「オルフェス」や「Dear 君とボク。」と比べると非常に私的な歌詞だと思います。
 作詞作曲を担当した黒沢薫さんと色々とお話をして出来た歌詞だそうですが、まさに彼女のアイドル人生を表した素晴らしい内容だと思います。
 特に自問自答して答えが出ないところが印象的で、AKB48で兼任を経験した彼女の「48グループの為に何かしたい!」という思いと突然の兼任解除を僕は思い出しました。私的な内容ではあるものの、今、悩んでいるアイドルやファンの人にも寄り添える歌詞になっているとも思います。


 メロディも非常にトリッキーで、歌声さえも楽器の一つなのではないか、と思わせる印象的なものになっています。
 MVに関しては、赤のドレスが印象的でした。奈和ちゃんの眼差しを感じさせるカットも後半に行けば行くほど増えて素晴らしかったですね。ただ、他のメンバーの卒業曲MVを考えると、もうちょい予算かけてくれても良いのでは、と思ったのは僕だけでしょうか?

 さて、卒業には2種類の卒業があると思います。
 あれ、今卒業するの?大丈夫?という卒業とこの子なら大丈夫だろう、という卒業です。
 奈和ちゃんは圧倒的に後者の卒業です。
 きっと奈和ちゃんなら、これからも沢山の「キミ」たちの力で「ひかりさす」方へ進んでいけると思います。

 やはり、古畑奈和という人の表現にはアイドルには収まらない何かがあります。
 それは今僕が思い浮かぶ言葉で表すなら「切実さ」です。今日、この舞台でこれを表現しないと、この人は死んでしまうんじゃないか、そんな危なっかしさと才能があると思います。その才能を彼女が加入した時から多くの理解者たちが守ってきました。SKE48でいえば番組での共演も多かった1期生たちでしょうか。きっと、SKE48の外でも彼女を理解してくれる方々が沢山いると思います。
 思えば、このブログで初めて奈和ちゃんのことを書いた時、「なんで、奈和ちゃんがこんだけ結果出してるのに、運営は扱いが悪いんだ!もっとみんな分かってよ!」という僕自身の「切実さ」から始まりました。きっと彼女は僕だけでなく多くの人にそう思わせる何かがあるんだと思います。
 これから卒業しても沢山の「キミ」という理解者たちに包まれて、才能を発揮していってほしいです。

古畑奈和ちゃんについて書いた記事はこちら!

2022年7月17日日曜日

未来を走る人へ

 歩いてもいいんだと、大人たちは言うけれど


 2022年1月から雑誌製作を行っています。

 クラウドファンディングも終了し、おかげ様で出版費用も集まり、現在はISBNコードや雑誌コードの取得と印刷に向けての確認という最終フェーズに入っています。

 この雑誌製作と同じく2022年1月から僕が重点を置いていることがあります。
 それは、メタバースとWeb3です。

 おそらくこれからは、上記の2つを上手く活用することで、ビジネスだけでなく趣味も楽しくなるのでは、と思い勉強しています。
 自分だけの身体や世界の創造主となれる反面、自由な空間の中での創造力が問われるな、と僕は思っています。

 それに対して、web2時代を加速させた偉人は徐々に退場しています。
 スティーブ・ジョブズは2011年10月5日にカルフォルニア州パロアルトで亡くなりました。ケイン岩谷ゆかりの「沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか」は、アップルのCEOであるティム・クックが名指しで批判した著書です。流石、ウォールストリートジャーナルのエースだった岩谷さんだけあって、「創始者亡きあと、新しいイノベーションが生まれるのか?」ということを200人以上の取材から我々に考えさせます。2014年の著作ですが、今読んでもヒントになることが沢山ある本だと思います。残念ながら、ジョブズの死から10年以上経った今、アップル社から彼が生み出したような、少なくとも人類の首の角度を変えてしまうようなイノベーションはまだ生まれていないのでは、と僕は思っています。

 創業者がいなくなった後に、その企業は新しいイノベーションが生まれるのか?
 思えば、48グループも秋元康の主導から離れ始めたぐらいで薄味になったのでは、と僕は思います。また、アイドルグループで考えると、欅坂46は1期生が作り上げたものが大きいと思い、グループのアイデンティティーを1期生が作ったと思います。それに対して櫻坂46は2期生を中心にグループカラーを作り、新しいアイデンティティーを創出しているのでは、と思います。

 では、SKE48はどうでしょう? 
 最後の1期生である松井珠理奈が卒業して、もう1年以上が経ちました。
 現在、1番キャリアが長いのはキャプテンの斉藤真木子ですが、キャリアが近い須田亜香里は卒業してしまいますし、同じくキャリアが長く総選挙選抜ランクイン組の古畑奈和もいなくなります。
 過去のSKE48を知らないメンバーも増えています。
 これは決して悪いことではないと僕は思っています。
 2022年4月5日に刊行された田宮寛之さんの「何があっても潰れない会社 100年続く企業の法則」の中でも新規事業は若手メンバーでやった方がうまくいくことが語られます( 手芸専門店の小野株式会社の章を参照 )。新しいイノベーションが生まれやすいわけですね。SKE48で言えば、「カミングフレーバー」のような劇場のチームでもシングルの選抜でもない新しい場所で活躍するユニットの形は、若い期のメンバーたちの方が新しいアイデンティーを生み出すことが出来るのではと僕は思います。
 でも、この流れでいうと、既存事業を上手くやっていくには、ベテランメンバーが活躍しなければいけません。その事業の成功や失敗の物語やノウハウを知っている人物。しかし、アイドル業界の場合は、若手からベテランになる頃には、卒業という問題があります。現在、女性アイドルの卒業年齢は年々引きあがっていますが、セカンドキャリアを考えると、もう少し早くしておいてた方が安全では、と個人的には思っています。
 話を戻すと、SKE48の既存事業とは何か?
 SKE48が大事にしている場所とは?
 おそらくそれは、「劇場」と「握手会」ではないかと思います。
 48グループの基礎であり、この2つがあるからこそ、「外仕事」に打って出ることができると思います。
 SKE48の歴史を知りながら、劇場や握手会も任せられる若手とは? 

 僕は真っ先に8期生の倉島杏実ちゃんを思い浮かべました。
 彼女は幼少の頃からSKE48に親しみ、推しメンである松井玲奈の背中を追いかけていきました。彼女が入った時、もう松井玲奈はいませんでしたが、彼女は松井玲奈の卒業シングル曲でセンターを務めた「前のめり」をキャッチフレーズの中にも入れています。彼女なりのリスペクトであり、目標としての松井玲奈を僕は感じます。
 彼女は、2022年6月28日にZeep Nagoyaの8期生単独公演で「前のめり」のセンターを務めます。
 この曲を披露したあと、客席からは彼女のドラマを知っているファンの方々から惜しみない拍手が送られたそうです。

 この「前のめり」センターは彼女の到達点の一つだと思いますし、次のフェイズへのスタートだと個人的には思っています。同期の目からはどう見えていたんでしょう。
 2022年7月1日に行われた彼女の生誕祭での手紙を読んでみましょう。

「あみちゃんへ

 17歳のお誕生日おめでとう!

 ついに私と同い年だね。

 いつの日からか一緒にいる時期が増えて、チームも同じで、同期で、年齢も同じで、考え方や過ごし方も似てきて、一緒に過ごす時間はいつも楽しくて、あみちゃんのことがどんどん大好きになってるよ。

 チームEの同期がどんどん卒業していって、もう二人になってしまったけれど、あみちゃんがいる安心感はとても大きくて、私にとっていなくてはならない存在です。あみちゃんと出会えて良かった!

 お誕生日当日にあった8期生単独Zeepライブでは、またたくさんの思い出ができたね。

 その中でも「前のめり」は本当に最高でした。自分が披露していいのか悩んでいたけれど、鳴りやまなかった拍手が答えだと思うよ。

 あみちゃんが初期からキャッチフレーズでも言ってる『前のめり』っていう言葉はきっとあみちゃんにとっても特別な言葉で、ファンの方にとっても特別な言葉です。だけど、あみちゃんが一番似合う言葉であってほしいと私は思ってます。

 あみちゃんは必ず選抜に入ると思う。悔しいこととかつらいことがあっても、すぐに前を向いて走り出すあみちゃんの姿を私は隣で何度も見てきたから絶対に諦めないでいてね。

 前に一度だけ『諦めなければ叶うようね?』と私に聞いてきたことがあったけど、私がそのときに何て答えたか覚えてる?あみちゃんだったから私は胸を張って『絶対叶う』って答えれたんだよ。

 大好きだった先輩が立っていたポジションを目指して、ずっと前のめりでいてください。立ち止まりそうになったらいつでも私が背中を押しにいきます。

 これからも変わらず一緒に夢の階段を上って行こうね。

 本当は8歳も年齢が離れているのに私と仲良くしてくれてありがとう。

 いつまでも8期の赤ちゃんでいてね。

 生誕委員の皆様、あみちゃんのことが大好きなのでお手紙を任せていただけてとても嬉しかったです。

 チームE・佐藤佳穂より」


 前のめりに進む杏実ちゃんの姿を見守るさとかほの優しい手紙でしたね。
 既に選抜にいるさとかほ。さとかほがいる間に杏実ちゃんと選抜で共演するところが見たいですね。あとは、杏実ちゃんといえば、「前のめり」ですが、8期といえば「夢の階段を上れ!」だということも思い出しました。
 どちらの曲も止まってしまっても、諦めずに走りつづける、上り続けられる努力について考えさせられます。

 この手紙から杏実ちゃんは、誕生日にZeep単独が出来たことの喜びを語ります。そして、トーク会に来てくれるファンの方が増えたことが嬉しかったことも。11歳でSKE48に入って、最初は「子供だから」という理由で握手会に来てくれなかった人も、高校生になって来てくれるようになったというエピソードは、彼女がSKE48に居た時間を考えさせられます。更に、17歳の1年はキラキラ17歳にしたいと語ります。
 そして、公演に来てくれるファンの方が増えて、幸せをかみしめているという話をします。それは公演だけではなく、大富豪イベントでも多くのファンの方の温かさを感じたそうです。
 常にドライで、ちょっと一歩下がるような人間だと、彼女は自分を評しますが、沢山の愛を届けたいと語り、スピーチを終えます。

 公演での自分のお客さんが増える、トーク会の列が増える。

 それは、当たり前のようでいて大事なことだと僕は思います。

 48グループの日常であり、これからも続いていくことだと思います。
 11歳から始まった彼女のキャリアは、17歳の若さで既に中堅の域に入っていると思います。
 彼女が憧れていたSKE48は、今、彼女の目にはどう映っているでしょう。
 いつかの生誕祭で語った「あの場所」のことはもう誰も語らなくなりましたが、彼女の中ではどうなっているのでしょう。これは本人しか分からないことですが、まだ心の中にある手前の目標ではなく、ずっと先の夢としてあったら嬉しいな、と個人的には思います。
 大人になればなるほど、現実を知り走ることを止めてしまいます。それでも、まだ彼女なら走ってくれる、とさとかほと同じように信じています。
 

 倉島杏実ならSKE48の大事な部分を守っていきながら、新しいアイデンティティーを生んでくれると信じています。


 そういえば、2022年4月11日にNHKで放送された「阿佐ヶ谷アパートメント」でメタバースの特集がありましてね。その中で芸人のずん飯尾和樹さんが、メタバース空間を体験します。メタバース空間内でのアカウントの見た目と、ゴーグルを被っている自分の精神の話になり、「そりゃ、モテますよ、17歳でおれの3つ下の50歳の経験値を持ってるんなんて」とある方に対して語っていました。
 若いけれど豊富な経験値。
 もしや、倉島杏実ちゃんは、SKE48におけるメタバース環境の体現者かも知れません。

 えっ、妄想が広がりすぎました?
 いえいえ、テクノロジーでカバーすべきところを、自分の勇気と選択で補ってみせる稀有な存在だと僕は本当に思っています。
 過去から学び、新しい世界を目指して走り続けられる人が新しいイノベーションを生むんだとも。
 今はSKE48だけでなく、アイドル業界もまだまだ苦しい状況だと思います。
 それでも、倉島杏実ちゃんには走り続けてほしいと思います。
 「前のめり」の歌詞のように、彼女の公演での姿やトーク会での笑顔を見て、もう一度人生を進む力をもらえる人がいると信じていますから。


 「未来を見て、点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ。だから、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならない」スティーブ・ジョブズ

 なんとなく、イメージした曲を貼ってお別れです。





※ 過去の倉島杏実ちゃんの記事はこちら!

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 倉島杏実というダイヤモンド (oboeteitekure.blogspot.com)

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 12周年公演に向けて②「伝説に素手で触れるということ」 (oboeteitekure.blogspot.com)



2022年6月12日日曜日

ともだち①

私とあなたとあの娘の物語

 
 先日、秋元康の詩集「こんなに美しい月の夜を君は知らない」(幻冬舎)を読みました。
 彼の珠玉の歌詞たちが並んでいますが、SKE48の曲は1曲も入っていません。
 どちらかというと、欅坂46の曲が多めでしょうか( 次いで乃木坂46という印象です )。
 この詩集のあとがきで、彼はこんなことを書いています。

「ここにある歌詞は、全て、先にメロディがあって、それに合わせて後から書いたものです。
 ( 中略 ) 作曲家の皆さんに提出していただいた曲を何度も聴きながら、どの曲をどういう形で使うかを考えるわけですね」 
                 「こんなに美しい月の夜を君は知らない」より引用。

 曲が先にあり、作詞はその後に行うわけですね。
 更に、この少し後ろの部分では誰の口から発せられるかを意識することも書かれていました。
 センターやグループのカラーに合った歌詞をということですね。
 彼の書いた歌詞を連続して読んでみると、物語性のある歌詞が多いことに気づきます。
 主人公の人間関係が変わったり、ちょっとしたきっかけで異化効果が生まれたりします。
 また、歌謡曲も多く手掛けてきただけあって、社会の空気や心情を読み取り、それを歌詞にしていきます。
 時々、「ぐ~ぐ~おなか」とか「わがままコレクション」とか「ファンタスティック3色パン」とか、「こ、この人の脳内はどうなっているんだ」という曲もかましてくるんですが、多くの方の人生で大事な曲を残しています。

 そんな秋元康の言葉が作り上げてきた世界に、小室哲哉という希代の天才がチャレンジします。チームSの「愛を君に愛を僕に」公演では、彼がすべての曲の作詞・作曲に関わっています。
 初日公演後、SNSでは「小室哲哉の曲は歌詞が弱いけど…」という枕言葉で曲を褒められるアカウントがちらほら見られました。彼の発言の中では「弱い」の定義は特に行われていません。何と比較した時の「弱い」で、何をを根拠にした「弱い」なんだろう、と僕は考えてしまいました。心を動かす力の「弱さ」なのか、歌詞の複雑性や物語性の「弱い」なんでしょうか。斬新さにおける「弱さ」なんでしょうか?
 とにかく、何らかの「弱さ」を感じる違和感があるんでしょう。
 では、弱さという言葉を少しずらして考えてみましょう。
 
 「真っすぐすぎる」
 
 小室哲哉さんと「Chase the Chance」と「Don't wannacry」を共作した作詞家の前田たかひろさんは、2022年5月20日のFRIDAYデジタルの取材で、小室さんの作詞術について語っています。
 「Chase the Chance」の歌詞について、小室哲哉さんは、安室奈美恵という人の影響力を考え、多くの人が聞く曲だから、歌詞の一部を悪く捉えてしまう人もいる、と前田さんにアドバイスし、直球の歌詞がサビに来たそうです。多くの人の耳に入る曲を作詞しているからこその責任感が彼にはあったのだと思います。
 もしかして、「弱い」と言っている人たちは、この直球さを言っているんでしょうか?
 あくまで僕の推測の域を出ませんが、複雑さというか技巧性を求めているんでしょうか。直球のフレーズも持ってくる位置によっては、とても心に響くフレーズとなります。
 
 
 さらに、言葉に対するアプローチも違うのでは、と僕は思っています。
 秋元康は曲を書くことが出来ません。
 小室哲哉は曲も書くことが出来ます。 
 これは何気ないことのようで、メロディに言葉を乗せて行く上では設計の段階からかなり変わってくるのではないかと思います。
 小室哲哉さんの代表曲の音楽は、曲中で発せられる言葉も楽器の一部のようにメロディに繰り返されます。そのせいで、「弱い」と感じられるのかも知れません。
 しかし、僕は小室哲哉さんも歌謡曲のように社会の空気を披露ことが出来る曲を書いていると思います。「WOW WAR TONIGHT」を初めて聴いたのは小学生の時でしたが、大人になって終電で勤務先から帰っている時に、あの歌詞を思い出して泣きそうになったのを覚えています。
 そして、真っすぐな歌詞の中にも、時々、はっきりとは書きませんがそこはかとなく漂う不穏さや悲しみを感じる曲があります。
 たとえば、globeの「Can’t Stop Fallin' love」は、はっきりとは書かれていませんが、「いつも指輪を外しているのに」から始まるストーリに子供ながらに「この曲の分からないけれどゾクゾクする感じは何だろう?」とずっと心に残っていました。
 そして、数十年の時を経て、再び「分からないけれどゾクゾクする感じの曲」が来ました。
 それが「ともだち」です。

 まずは、僕が初日の昼公演を観た直後に書いた「ともだち」に関する文を読んでみましょう。

 「この公演の中で僕のぶっちぎりのベスト曲です。
 SKE48に今までなかったタイプの歌詞ではないか、と思います。
 様々なノスタルジーを感じる単語から、歌詞の世界が広がっていき、もし時計の針が戻るなら…とかつてのことを思い出す内容かと最初は思っていたんですね。
 しかし、大サビで時計の針を進める歌詞が出てきます。卒業アルバムとも。
 これは色々と解釈が出来ます。
 今、この歌詞の「あなた」との関係が上手く行かなくなって(あるいは噂話によって『あなた』が孤立したことで)、少しだけ離れている「わたし」が近い将来に関係を修復させたいとも読み取れます。
 サビの振り付けが時計の針のようで良いですよね。
 一番好きな歌詞ですし、曲の世界観も凄く好きです。小室哲哉、こんなの世界も創れるのか、と衝撃を受けましたし、聞いている時は感動して涙が出ました。
 ここまでの曲が「夢」や「恋」、言い換えると関係性や人生の変化を感じる曲が多かった中で、この曲だけぽっかり浮いているんですよね。そこがまたこの曲の良さを浮き上がらせています。
 おそらく、ライブやリクアワではなかなか聞けないタイプの曲ですが、僕の2022年アイドル曲暫定1位です。

 さて、もうCDを購入された方はお気づきかと思いますが、初日の昼公演の時点での僕の解釈は致命的な抜けがあります。
 それは、ある歌詞です。

「かくれんぼ」

 これは、口に出すと上記のようになりますたが、歌詞カードには下記のように書いています。

「隠恋慕」

 完全にやられました。
 そこで、改めてこの曲について考えて行きたいと思います。
 まず、この曲には3人の登場人物が出てきます。
 曲の主人公である「私」、「あなた」、そして「あの娘」です。
 おそらく、「あなた」というのが「私」の好きな相手であり、「あの娘」というのもどうやら「あなた」が好きなようです。
 そして、初日の感想の読解では、僕は曲のタイトルである「ともだち」とは、誰のことを指すのか定まっていませんでした。
 しかし、歌詞カードを踏まえて考えて行くと、次のような物語が考えられます。

 まず、1番のAメロの「ごめんね」から「もう行かなきゃ」までを「あなた」の言葉としましょう。
 そして、「茜空」からは「私」の置かれた状況であると。
 「ともだち」だった「あなた」に隠していた「恋慕」を伝えたけれど、「忘れて」とか「嘘だからね」という言葉の選択になるのではないでしょうか。
 そして、サビでは時間を戻して、まだ「ともだち」の関係の状態で「あの娘」の前で「あなた」と手をつないだりのろけ話をしたいとふと考えたのではないか、と思います。
 2番のAメロもノスタルジックな言葉の後に、一人の時は泣いていることから、決して上手く行っていないことが分かります。
 2番のサビでは、1番の欲望が「あの娘」から「あなた」へと対象が変わり「心歪め」とはっきりと書いていますが、ありもしない噂話を「あなた」に話すことで、励ましたり慰めて「みたい」と思います。
 ここでのポイントは屈折した支配欲は勿論なんですが、「みたい」という願望を表す言葉です。
 1番でも「みたいの」で終わりますが、大サビに進むにつれて想いは変化していきます。
 大サビ前では時間を進めて卒業写真の自分たちを想像します。
 そこでは「あなた」と「あの娘」と「私」が肩を寄せ合っています。
 つまり、「ともだち」の関係のままなんですよね。
 おそらくこの関係は、卒業まで変わらないだろうと。
 そして、いよいよ大サビでは、「許されるなら」という条件付きではなく「いつか~してあげる」という「願望」から「目標」に変わっていきます。
 「ありもしない噂話」からしか、「あなた」の心を傾かせられないことが分かっているのかも知れません。「ともだち」の関係で終わらせたくないという情念も感じます。
 
 この曲の解釈は非常に難しいところです。
 僕自身、初日に聴いたときは「あの娘」と「あなた」が混ざっていましたし、「ともだち」とは「あの娘」のことかな、と誤読している部分もありました。
 しかし、「私」という一人称、「あなた」という二人称、そして「あの娘」という3人称から考えて行くと、「ともだち」という近い関係は「あなた」ではないか、というところから読解をスタートさせていきました。
 「ともだち」への「隠れた恋慕」。
 言葉にすると簡単ですが、親しいからこその独占したい気持ちが少しずつ浮かび上がってくるところが、素晴らしいです。嘘をついてもでも手にしたいという人間のどうしょうもない弱さがありますし、僕はそこに人間に対する愛おしさを感じます。
 SKE48というキラキラしたアイドルたちの公演曲にこんな曲を持ってきた小室哲哉さんのチョイスに脱帽します。しかし、青春とは他の公演曲のようにキラキラしたものばかりではないと僕は思います。
 今は上手く行かない恋というのも青春ではないか、と僕は思います。

 この曲はメンバ―たちがどう解釈しているのかも凄く気になります。
 また、SHOWROOMやアメブロなどを確認してまた新たな解釈が生まれそうだったら再チャレンジしてみたいと思います。
 皆さんは、この曲をどう聞きましたか?

 

2022年5月29日日曜日

入口の奥にある信念

 楽しさとツッコミが入口になる


 先日、「情報メディア白書」や「メディアリテラシー~吟味思考(クリティカルシンキング)を育む~」の著者である天野彬さんの新著「ショームービー時代のSNSマーケティング 新世代のビジネスはスマホの中から生まれる」を読みました。
 電通メディアイノベーションラボ主任研究員である天野さんだけあって膨大なデータやマーケティング分析から、ショートムービー時代が何故来たのか?2018年以降のTikTOKの進化はどんな風に起こっていったのか、約380ページに渡って分析・展望しています。

 驚くほど雑に説明すると、進化心理学学者のダグラス・ケンリックの説をヒントに人間が持っている様々な欲をSNSは刺激していきます。2010年代はどちらかというと、自分の環境適応力を「見せびらかす」発信がもてはやされましたが、後半になると「自分自身を使って創作する」というフェイズに入っていきました。
 天野氏の言葉を借りるならば、「2.5性の自分」を出しやすくなったそうです。
 栄えを意識した2枚目なInstagramの自分と、Twitterでリツイートされるネタを仕込んだ3枚目な自分。そして、その中間にTikTokはあるそうです。「生身の自分」と様々な音楽や〇〇チャレンジなどによる「面白い自分」。その二つの自分がTikTokのショート動画の中で融合するわけです。
 そして、TikTokで何百万というフォロワーがいるインフルエンサーに取材をしていくと、「うまさ」よりも「かわいさ」が大事で、なおかつスキルよりもやる気や楽しさが重視されていることが見えてきます。
 これはアマチュアの方でも、気軽に参入しやすい文化が成立しやすいですよね。
 また、「おすすめ」機能が充実していて「自分で探さなくて良い気軽さ」があるそうです。これはこれまでのネットが「検索機能」による能動的な情報の取得に対して、受動的に情報を得つつ、短い尺が多いのでガンガン回っていくという利点もあります。

 この背景には、コロナの影響で「栄える」ところに足を運びにくくなったのも関係しているかも知れません。また、TikTokのユーザーは、日本国内では田舎の方が沢山インストールしていることとも関係してくるかも知れません。

 今回の文章、えらい「かも知れません」が多いんですが、僕自身がTikTokをやっていないことが大きいです。 
 ちなみにTikTokを広告に利用している企業も年々増えています。TikTokを入口にして、他のSNSや自社サイトにお客さんを流していく、という流れが出来始めているようです。「入口」としての相性が凄く良いことも凄く書いていましたね。
 コーセーが化粧品のCMでNiziUを起用し、彼女たちの曲をTikTokにも収録し、人気のインフルエンサーたちにお願いし、スローで左右反転の動画を作ってもらい、観た人達が動画投稿をするハードルをグッと下げる工夫をしていたのは、凄く勉強になりました。ダンス練習動画の次は、さらに親切なものがヒットするのかも知れません。
 また、同じくTikTokをうまく広告利用した企業でブルボンがあります。ブルボンの広報担当の方によると、「楽しさ」に加えて、ツッコみが入れられるような余白があると、コメント欄も盛り上がり、さらにヒットにつながるのでは、語っています。

 この箇所を読んだ時に、ううむ、SKE48でTikTokで相性が良いメンバーって誰だろう、と考えてしまいました。青木詩織さんと荒井優希さんの「おしゆき」コンビは2022年5月29日現在、フォロワーが約73万フォロワーといますが、彼女たちから何かミーム(模倣と拡散)は生まれていません。ただ、このアプローチはこれから更に可能性が拡大していくはずなので、一日でも早く新しい動画をおしゆきコンビには望みます。
 TikTokの利点としては、言葉が関係ないことも多いので国外の方のフォロワーや若いフォロワーの方が増えやすいそうです。
 そこで、新たな可能性がどこに無いかと考えていると、ふと、あるショート動画を思い出しました。



 いかがでしょうか?
 先ほど書き忘れていましたが、TikTokで一番人気がある音楽のジャンルは米国の「The Year on TikTok Top 100」によるとヒップホップが過半数を占めています。日本でもクリーピーナッツがTikTokライブをしてましたね。
 この「ふぃ~る ダッチムホ!」を聴いた時、僕はそのリズムの良さに、「ううむ、素晴らしいリズムメーカーが生まれたものだ」と思いました。
 そして、この動画のポイントは、SKE48運営さんの公式動画からも分かるように、「楽しさ」と「ツッコミ」どころがあります。
 ううむ、ダッチムホをなんとかして広められないものか…。
 めちゃくちゃミーム化しやすそうなんですけどね。
 ちなみに、彼女は、このダッチムホに限らず様々な音楽的な才能の持ち主です。
 僕の推しメンだったSKE48の五十嵐早香さんの作詞に曲をつけてくれたのも彼女でしたね( 遠い目 )。
 さて、まだ18歳の彼女、音楽の才能は勿論ですが、人間としてもしっかりしています。
 ちょっと、2022年5月21日に行われた彼女の生誕祭で読まれた手紙を読んでみましょう。

「奏音ちゃんへ

 18歳のお誕生日おめでとう。そして、チームEへようこそ!

 改めて昇格おめでとう!

 12月の中野で10期生の昇格発表した時、奏音ちゃんがチームEに加入と知って一番嬉しかったです。

 奏音ちゃんには発表の直前、先ほども言っていましたが、声色と私から溢れる笑顔でチームEだってバレちゃってたと思います。実際にそうでした。

 私がオーディションから立ちあわせてもらったこともあって、10期生の皆はめちゃくちゃ可愛くて愛しい存在なのはもちろんだけど、その中でも特に奏音ちゃんは10期生で初めて仲良くなったメンバーでした。

 2020年の夏のコント劇。奏音ちゃんの演技力やストイックさ、それとは裏腹に時折見せる天然でチャーミングな姿にイチコロでやられてしまい、今に至ります。

 一緒にご飯を食べたり、タピオカを飲んだり、稽古以外にもたくさんの時間を一緒に過ごしましたね。歳の離れた可愛い妹ができたみたいで嬉しかったです。

 ただ、SKE48に入って間もなかったのにも関わらず、初めての現場でしっかり自分の芯を持ち、堂々とこなしていて、『この子は只者じゃないな』と震えたことを覚えています。

 奏音ちゃんの存在が刺激的で、『私ももっと頑張らないと』と思わされました。本当にありがとう。

 17歳の1年は毎日が目まぐるしく、あっという間に過ぎていったと思います。本当によく頑張ったね。

 会う機会は少なかったけど、奏音ちゃんの頑張りはいつも自然と私の耳にも入ってきていました。毎日のSHOWROOM配信や劇場でのスクランブル出演。奏音ちゃんの日々の活動に本当に誇らしく思っています。

 誰にもできることではないから本当に凄いことだし、奏音ちゃんは自分の個性をよくわかっていて、それを楽しく届けて伝える力があると思うので、これからもファンの皆さんをたくさん楽しませてあげてください。

 そしていつも積極的に私に連絡をしてくれて、こんなに頼りにしてくれてありがとう。

 私がアドバイスする隙もないぐらいにしっかりとした考えを持っているので、私はほぼ聞いているだけの状態でごめんね。あまり気の利いたことを言ってあげられなくて申し訳なく思っています。

 仲間思いで、正義感が強く、本当にストイックで、やると決めたことはやり遂げる奏音ちゃん。奏音ちゃんのその姿勢はいつか絶対に報われる時が来るし、間違ってなかったと確信できる日が必ず来るので、これからもその強い信念とユーモアあふれる独創力に更なる磨きをかけていって欲しいです。

 見てくれている人は必ずいます。私もずっと見守ってるからね。

 これからはチームメイトとして一緒に頑張っていきましょう。

 悩んだらいつでも相談に乗ります。話何でも聞くからね。

 楽しいことたくさんしましょう。

 奏音ちゃんの成長をそばで見守って、感じられることが何よりの幸せです。

 18歳、素敵な1年になりますように。

 SKE48キャプテン・斉藤真木子」


 真木子の手紙の中に出てきた「仲間思いで、正義感が強く、本当にストイック」という辺りは、まさに手紙を書いている真木子にも近い気がします。また、そのことを踏まえた上で「強い信念とユーモアあふれる独創力」とありますが、このユーモアの部分もちゃんと評価できているのが、真木子のキャプテンとして素晴らしいところだな、と思います。
 そういえば、珠理奈も印象的な言葉を残していましたよね。

10期研究生の澤田奏音です(^-^)v | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 澤田奏音さんは、生誕スピーチの中で「18歳まで自分のやりたいこと、夢とか目標とかそれに向かって全力でやる、18歳までは何も考えずにやるということを決めていて」と語っていました。
 そして、これまでの人生でギリギリになって拾われてきたことを語ります。小学校時代に夢に向かってレッスンを受けていたもののなかなか結果が出なかったそうです。しかし、小学校卒業のギリギリのタイミングで映画に少し出ることができたそうです。また、中学の時も通っていたスクールの中学卒業ギリギリのタイミングで、同じカテゴリークラスのグランプリを獲得することが出来たそうです。
 だから、自分を追い込みつつ頑張りたいということ、そして、目標を女優と設定することを語ります。女優の仕事を20歳までにどんどんやっていきたいとも。
 悔いのない18歳を目指すと澤田奏音さんは語ります。
 先ほどの真木子の手紙の中でしっかりしているということが語られていましたが、それは彼女が幼い頃から芸事の世界に居て、周りの子供より先に大人の観点を持つことが出来たからかも知れません。それは、きっと「結果が出なかった」という言葉から分かるように、挫折もあったかも知れません。「ギリギリ」という言葉からは、最後の最後まで諦めなかった彼女の強さを感じます。

 今回、彼女のことを調べながら、ひょっとして、この人なら他者の痛みや辛さが分かる人、キャプテンとかリーダーが似合うんじゃないか、とも思いました。少なくとも10期生の奇才オブ奇才だった五十嵐早香に対しても優しく接してくれた、孤立させないでいてくれた恩を僕は多分、一生忘れないと思います。

 少し、話が私的なことになったので、話を戻します。
 今、TikTokでは、「ストーリー性」のある動画も伸びているそうです。短い中で観る側を引っ張れる動画です。ふと、澤田奏音さんなら、短い演技動画を差し込んでみるのも面白いかも知れません。「ダッチムホ!」のクリエイターがこういうことも出来るのか、という新鮮な驚きがあると思います。日本初の「TikTok売れ」女優が誕生しても面白いと思います。
 彼女の凄いところは作り続けることが出来るところだと思います。これは、物作りをしている方ならご理解いただけると思いますが、かなり大変なことです。是非、この才能を活かして欲しいです。


 今、少しずつSKE48に良い風が吹きそうなところなので、是非、若い才能にチャンスをどんどん与えて行って欲しいと思います。その為にも運営さんには途中で投げ出さずにSNSのハックは続けて行って欲しいと思います。
 澤田奏音という「楽しさ」と「ツッコミ」のクリエイターは、入口から奥に入って行くと、深い信念と独創性、そして優しさが隠れていました。僕と同じ体験を是非、まだ知らない人たちにもして欲しいな、と思いました。

 そして、次の「ギリギリ」では、どんな結果を彼女が出すのか楽しみに待ちたいと思います。

2022年5月15日日曜日

痛みを知るただ一人であれ

姿見えずとも遥か先で見守ってる

 今年の夏に自分の雑誌を自費で作ることにしました。
 といっても、まだ創刊準備号なんですが、テーマは「推し事3.0」と設定し、これからの時代の推し事について、信頼できる方々と書いております。
 興味のある方は是非!

https://camp-fire.jp/projects/view/578639


 さて、宣伝はこれぐらいにして、その「推し事3.0」のヒントとして僕は二つのものを持ってきました。一つは「Web3」。もう一つは「ウェルビーイング」です。
 僕のブログを以前から読んでいる方は、「こいつ、2022年に入ってからやたらと、カタカナワードの本ばっかり読んでるなあ」と思った方もいらっしゃるかも知れません。しかし、それは全てこのテーマの為だったんです。
 自律分散型の推し事の場の形成に「Web3」。
 そして、推し事の意義ややりがいについての「ウェルビーイング」。
 この二つの文脈の組み合わせで考えて行くんですが、自分が一番生産的になれることは何か、自分が一番興奮して情熱を傾け没頭できるかを考えていく必要があります。自分が一緒に作ることで価値が育っていくものも「Web3」の世界では多いです。

 何を好きになるのか、何があると幸せなのか。
 僕はあるメンバーのことを思い出します。
 

 それはSKE48の10期生。
 現センターであるチームEの林美澪です。


 2022年5月現在、彼女はまだ13歳です。
 13歳にして2作連続センター。
 彼女には、今どんな景色が見えているんでしょうか。


 まずは、2022年4月7日に行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。


「美澪ちゃんへ

 13歳のお誕生日おめでとう。


 最初の印象は、『新しく入ってくる10期生の中に凄いダンスを踊る子がいる』ってことがメンバーの中で話題に上がり、『凄い子が来るんだろうなー』って思ったのを覚えています。

 その子が小学生っていうのを聞いて、さらに驚きました。

 そんなある日、私のことを待ち受け画面にしてたよってメンバーが教えてくれて『えっ!?まさか?嘘だろうなー』って思いつつ、私は密かにずっと気になっていて、早くお話ししたいなって思ってました。

 個人的なお話になっちゃいますが、SKE48 12周年特別公演に向けて皆が色んな曲をたくさん覚えていかないといけない時、まえに飼っていたワンちゃんが天国へ行ってしまい、心も体もボロボロでレッスン場に行った日がありました。

 その日、ちょこちょこっと私のところに来て、恥ずかしそうに声をかけに来てくれたのがみれいたんでした。なんと、お菓子もくれました。それが最初の関わりだったのかな?

 みれいたんは私の出来事を知らないはずなのに、なんか励まされているようで、元気出してって言われているようで、その時くれたみれいたんの笑顔に私は救われたし、さりげなくくれた優しさで、その時の悲しみを乗り越えることができました。『この子は本物の天使だ!』って思ったよ。あの時は本当にありがとう。

 そして「るーちゃん」って呼んでくれるまで距離が縮まったね。

 私のことを『神推しです、大好きです』って言ってくれる後輩メンバーは初めてだったから、実は涙が出るほど嬉しくって、会うたびにニコニコ笑顔で来てくれるみれいたんがたまらなく可愛くて、いつも癒しをくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう。

 何気ない日に私の好きなキャラクターグッズに、しかも私のペンライトカラーを揃えてプレゼントしてくれたり、『ファンの人かなー?』って思うくらい公演の感想を長文でくれたり、『るーさん卒業する時は私も卒業します』って不意に言ってくれた時は笑いを通りこしてビックリしちゃったよ。

 まだみれいたんと一緒に頑張りたいし、みれいたんの輝く姿をこれからもそばでたっくさん見たい。だからこれからもよろしくね。

 Black Pearl( ブラックパール )のMV撮影の帰りだったかな?新幹線を降りてから『るーさん、チケットがないです』って言った時は二人ともとっても焦りました。そしたら、『もしかしたらゴミ箱に捨てちゃったかもしれません』って言ったので、今なら間に合うと思って急いでゴミ箱のところに行ったらチケットがあって一緒に安心したね。

 『明日学校に行けるんです』ってワクワクウキウキしてるところ。うさぎのリュックサックを背負ってるところ。『シー』って言っちゃうほど笑い声が大きくて、ツボが浅いところ。メイクさんにメイクをされながらコクコク寝てるところ。たくさんの時間を過ごすようになって、みれいたんの赤ちゃんな一面が見れてとっても嬉しいです。

 でもステージ上やカメラの前になるとダンス、歌、表情、何もかも完璧で、SKEのセンターになるために生まれてきたんじゃないのかな?って疑っちゃうくらいキラキラオーラが凄いなっていつも見ています。

 まだ産まれたばっかりなのに新世代コンサートの時は大きな会場でソロで歌っている姿だったり、新曲『心にFlower』の落ちサビで一人だけ立って歌っているみれいたんを見ると毎回感動して泣きそうになるのはここだけの話。

 常に全力で、弱音を吐かず、色んなお仕事に挑戦しているみれいたんを見て『ちゃんと寝れるかな? ご飯食べてるかな?』って心配になる時があります。

 みれいたん、みれいたん自身が13歳ってことを忘れないでね。これからももっと甘えてきてほしいし、困ったことがあったら何でも言って欲しいし、全力で助けます。いつだって、み~んなみれいたんの味方です。全力で守ります。

 みれいたんはいてくれるだけでいいんです。私が頑張れる一つの理由はみれいたんの存在です。

 これからもみれいたんの神推しの一人でいられるように頑張ります。

 あっ、みよまる、るーちゃん、みれいたんの3つ子トリオも広めていこうね。

 改めて、お誕生日おめでとう!

 みれいたんが幸せな13歳の1年を過ごせますように。

 お手紙を書かせてくださったみれいたんファンの皆さん、本当にありがとうございました。

 みれいたんのことが大好きなチームS井上瑠夏より」 

 るーちゃんの美澪ちゃんへの愛が伝わる素敵な手紙ですね。
 「みれいたんはいてくれるだけでいいんです。私が頑張れる一つの理由はみれいたんの存在です」という箇所は、まさに彼女がコミュニティの中にいてくれるだけで多くの人が幸せを感じる「ウェルビーイング」に通じるものがあると思います。


 では、美澪ちゃん自身はどう考えていたんでしょう。
 この時の生誕祭のスピーチで彼女は、「12歳の年は凄くほんとにビックリすることが多くて、胃が痛くなることが凄く多かったです」と語っています。そして、大きな4つの出来事が挙げられていきます。

 一つ目はガイシホールの「虫のバラード」。
 まだ新人の彼女がソロ曲を任せられる。しかも、ガイシで「虫のバラード」というと、矢神久美さんを思い出すファンの方もいるかも知れません。歌唱力だけではなく思い出を越えられるか、という戦いにもなります。「今まで自分はダンスしかしてこなかった」、という不安を見事に乗り越えたと思います。披露の場を与えてくれた感謝の言葉も忘れていません。
 二つ目は、「あの頃の君を見つけた」のセンターです。
 珠理奈の次のシングルセンターで「自分で大丈夫だろうか?」という不安があったそうです。先輩たちを後ろに従えてできるのか、という不安をレッスン場で感じたということを語っています。しかし、「美澪ちゃんがセンターで良かった」という言葉に「嬉しくて、頑張ってやってきて良かったなっていう風に思って」と語ります。センターに選ばれた背景には、自分が習ってきたダンスとは違うアイドルダンスを頑張って研究してきたこともあるのではと分析しています。この時、印象的なのが、アイドルダンスを研究してもなかなか上達せずに「なんか努力する諦めようかなと思った時期もあった」という言葉です。
 美澪ちゃんの人間味と、諦めかけた時に努力を止めなかった人間だけが、センターに行けるんだな、というのを感じました。
 三つ目は、「心にFlower」でもセンターに選ばれたことです。
 連続して選んでもらえたからには、前作と同じではダメだ、と自分のいいところを見せられるようにダンスを頑張ったそうです。今回のダンスは美澪ちゃんとの相性も良く、「ダンスのSKE」、「SKEらしさ」を感じさせるものになったのではと思います。
 美澪ちゃん自身も「ダンスが凄いね」と言われることが凄く嬉しくてと語っています。
 四つ目は、「Seventeen」の専属モデルになったことです。
 SKE48には、素敵な先輩たちが沢山いるのに自分で大丈夫なんだろうか、という不安もあったそうですが、「せっかく私に声をかけてくださったのにそこで諦めるのは、その選んでくださった方々にも申し訳ないし、私の心も許せなかったので」という決心でモデルにも挑んでいきます。
 この四つ目の「Seventeen」専属モデルになったのは、かなり大きいことだと僕は思います。なんの配信イベントでもゲームのイベントの賞品でもないんです。
 そして、彼女は先輩たちへの感謝の言葉を次のように語ります。

「そして何より近くにいる先輩に凄くたくさん支えられてきて。最初はちょっと先輩にお話しかけることが凄く『大丈夫かな?』っていう風に思っていて。『私迷惑じゃないかな?』っていう風に思っていたんですけど、凄い今ではたくさん話しかけてくださる先輩や、今日はもう誕生日プレゼントだったりをいただいたりとか、本当に本当に幸せで、SKE48の先輩方と出会えて良かったなっていう風に凄く思っています。」

 自分がSKE48にいること、そして、選抜にいて、センターにいることについて、彼女は不安を抱きます。しかし、その不安は先輩たちによって氷解されていきます。しかし、彼女の不安はまた新しいものが生まれていきます。

「なんか最近というか、そのセンターになってからというか、なんか自分のやりたいことがわからなくなってきて。

 なんか、凄い周りの、なんか友達とか、凄い自分に目標がある子が多くて。でも、その自分はセンターになってからというかアイドルになってから何を目標にして今まで生きてきたのかなって思うと、ちょっと分からなくて。

 なんかそんな人が今センターにいて大丈夫なのかなっていう不安も凄くあって。

 だからなんだろう、凄い最近は色んなことを考えて、なんか毎日泣いちゃったりとか凄い周りの方に迷惑しかかけてなくて。特に、その家族にはほんとに迷惑しかかけてなくて。だから、何だろう、なんか『自分がいて大丈夫かな』って思うことがたくさんあって。」


 彼女の中の不安の正体は、僕には分かりません。ただ、先ほどの「胃が痛くなること」がヒントになるかも知れません。
 2作連続センターや専属モデル。
 先輩たちや同期の目標を短時間で、一気に手に入れてしまった。
 彼女が13歳の間に「目標」を作りたい、と語っているのもここと繋がっている気がします。
 彼女は目標について、生誕祭のスピーチの中で下記のように語っています。

「やっぱり目標に向かってないと自分はほんとに生きてる感じがしなくて。最近とか何を楽しみに生きてるかなって考えて、なんも出なかった自分が一番嫌いなので、もっと人生を楽しめるように、自分も頑張りたいと思うし、そしてほんとに家族には謝ることしかなくて。ほんとにいつも困らせてしまってごめんなさい。

 だからもっと中学2年生、13歳はもっと、周りから、何だろう、心配されないように、ちゃんと頼ってもらえるように頑張りたいと思います。後輩も、学校でも入ってくるし、SKEの中でも入ってくるので頑張りたいと思います、もっと。

 そして、活動でもちゃんと目標を見つけないと、自分が見失われていきそうで怖いので、自分の好きなことをやりたいと思います、これからも。これからは自分の好きなことをたくさんしていきたいなっていう風に思ってます。」

 「目標がない」ことに関しては、自分が彼女と同じくらいの年の頃に、果たして目標なあっただろうか?という疑問が生じてきましたが、皆さんはいかがでしょう。ただ、彼女のスピーチを知れば知るほどに、「今はそんなに焦らなくていいんだよ」と声をかけたくなります。
 先輩の鎌田菜月さんも、2022年4月18日に放送されたラジオ番組「サクラバシ919」で、「13歳の子が家族に迷惑をかけるのは当たり前だと思うのに、心配かけちゃって…と泣いている姿にすごくくるものがあって」と語っていましたね。

 じゃあ、僕らファンにできることは何なんでしょう。
 まず、彼女の活躍できるSKE48という場を守り続けることは大前提だと思うんですが、「運営の推され」とか「ゴリ推し」いう言葉で彼女の努力や苦悩を貶めるのではなく、きちんと評価するべきところは評価し、新しいSKE48の入り口になる人を大事にしていくべきではと思います。
 松井珠理奈から、小畑優奈から何も学ばないほどSKEファンは幼くないと信じています。

 少しだけ脇道にそれますが、彼女の読書家に僕は注目しています。
 インプットがしっかりしている人は、アウトプットもやはり素晴らしいことが多いです。ボキャブラリーだけでなく、文章の組み立て方、思考の回路も豊かになっていきます。
 たとえば、先ほど挙げた4つの不安の1つだった虫のバラードについてのアメブロです。

10期研究生 林美澪☆虫のバラード | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 彼女のブログにちゃんと軸があって、内面の変化があったのに気づいたでしょうか。
 自分の声が嫌いというところからスタートして、歌うことを諦めかけた彼女が松井珠理奈という大先輩がくれたきっかけをもとに自分の声が好きになる。
 素晴らしい構成だと思います。もし、これを計算なしで構文出来ているのなら、どうか、彼女の読む時間と書く時間を確保して欲しいと思います。
 あとは、優れた歌詞を選ぶセンスにも長けていると思います。
 こちらのブログを読んでみてください。

 10期研究生 林美澪✩「卒業する貴方へ」私が選んだ曲はこれ!! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 もう一つ、お時間のある方は読んでいただきいアメブロがあります。
 それは、ファンの方々からのコメントにリプをしたアメブロなんですが、これが丁寧なんですよね。

 10期研究生 林美澪 ☆ TUメッセージのお礼です!! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 

 小難しいことを色々と書いたかも知れませんが、多分、これからの数年間で彼女の環境はまだまだ目まぐるしく変わると思います。推し方も変わっていくかも知れませんし、センターまでのゲームもアイドル業界の価値観も変わっていくかも知れません。

 でも、アイドルを推すことの基本はずっと変わらないと思います。

 林美澪という一人の少女が笑顔になったり、一つ結果を残していったりすることが、ファンの方々の幸せになっていく。
 それはあなたがいてくれることが幸せであるという「ウェルビーイング」につながると思います。

 マルチバースがあるなら、2011年ぐらいの48全盛期のSKE48に林美澪が入る世界や、総選挙で林美澪が超選抜に入る世界もあるかもしれません。しかし、彼女が現れたのはとっくに48グループブームが終わった後のSKE48です。しかも、コロナの影響でアイドル業界はまだ打撃を受け続けています。
 時代は時に若者の未来を見えにくくして行くと最近は思います。


 先の見えない時代の中で、痛みが生じるものもきっとあると思います。
 中にはセンターというただ一人のポジションだからこその痛みもあるかも知れません。
 でも、彼女なら乗り越えられる、いや、正確には彼女とファンの方々とメンバーたちなら乗り越えられると思います。彼女が声を好きになるきっかけをくれた人が、多くの痛みを知っていても、優しくみんなみんなで前に進んでいたように。
 どうか、明日も美澪ちゃんが笑顔で踊ってくれているように。その笑顔はるーちゃんの時のようにきっと誰かの悲しみを癒す優しさを持っていると思います。 

 

 林美澪さんの一日も早い回復をお祈りしております。


2022年5月8日日曜日

夢を見つけることについて

歴史の中に立てるものの強み


 突然ですが、皆さんはいまハマっているドラマはあるでしょうか?
 地上波だと大河ドラマの「鎌倉殿の13人」と「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」が面白くてですね。どちらも1年間かけて観ていく長編なんですが、毎週日曜日に観るという昭和な視聴形態を自分が取っていることに驚きつつも「リアタイ」の楽しさを味わっています。もうね、源氏の皆さんってなんであんな方々ばかりなんでしょう( 大河ドラマ『平清盛』大好き人間 )?
 そちらに対してサブスクでは、Netflixのドラマシリーズが面白くてですね。今は、韓国の「二十五、二十一」にどハマりしていましてね。1998年を舞台にフェンシングの韓国代表を目指す主人公と家が破産した大学生のロマンスを描いています。毎回、主人公は部活や学校生活の中で選択を迫られる場面があります。
 第5話で親にさえ否定されているフェンシングで試練が待ち構えています。しかし、もう会えなくなった大学生の言葉を思い出し、「私を信じてくれているあなたを信じる」というシーンがめちゃく良くてですね。まだスマホとかもなかった頃なんで、電話の録音サービスにかけてその言葉を何度も聞くというのが切なくてですね( 遠い目 )。


 さて、なんでまあ、こんなに多様なドラマを持ってこれるんだ、とNetflixのドラマについて調べてみると、北谷賢司さんの「エンタメの未来2030」(日経BP)の中でNetflixのポリシーについて次のように書いています。
 恐ろしいぐらい雑に説明すると、映画プロデューサーのエリック・ニューマンは、映画製作の今後の参考にするために「ネットフリックスの視聴者データを参考にさせてくれないか?」と同社にお願いしたそうです。
 すると「数字に囚われすぎると、同じものを何度も作ることになる。データはあくまでも過去に行われたことで、未来がどうなるかを知らせてくれない」と答え、データは開示してもらえなかったそうです。そういや、デイル・ドーンの「仕事は楽しいかね?」( きこ書房 )の老人も同じこと言ってましたね。「コア・コンピタス経営 未来への競争戦略」( 日本経済出版社 )でも似たようなことを書いてた気がしますね。こちらはより応用的で必要な過去のデータと必要ない過去のデータをもとに、ソニーが「小型化」というコア・コンピタスを持ち、新しいプロダクトを生み出していった前例が挙げられています。

 ドラマの話から偉く話が広がっていったなあ、と読者の皆さんは思っているでしょう( 慣れ慣れしい文体 )?
 実は、Netflixのドラマ「二十五、二十一」を観ながら思い出したメンバーがいます。
 

 それは、SKE48の9期生であるえなたんこと、鈴木愛菜さんです。

 皆さんは、彼女のことを説明する時にどんな言葉で説明しますか?
 カミングフレーバーの曲の中に「We are カミフレ!!!!!!!!」という曲があります。 
 メンバー一人一人の説明をしている曲で、ちょっと聞いてみましょう。


 ううむ、「足長、舌足らず、内臓担当」という謎の紹介に、なんとなく外的な要素が伝わってきた後で、「泣き虫だけどみんなの太陽」、「甘え上手な笑顔が可愛い」というみんなから愛される人物なのかな、というのが歌詞から伝わってきます。この曲って朝聞くのに丁度良いんですよねえ。
 あとは、先輩との関係でいうとどんちゃんから凄く愛されている子というのが、以前どんちゃんのSNSから伝わってきたり、荒井さんからも愛されている印象があります。
 

 さらに彼女のことを知るために、2020年1月10日、「青春ガールズ」公演で行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。

 「愛菜へ

 16歳のお誕生日おめでとう。

 ファンの皆さん、スタッフの皆さん、メンバーの皆さん、いつものお世話になっています。この場をお借りして御礼を申し上げます。

 こうして手紙を書きながら、これまでの愛菜を思い返しています。

 このような機会がなければなかなか思い返すこともなかったかな。

 愛菜が私たちの元に生まれてきてくれてから16年間はあっという間でした。

 生まれてすぐの検診で足の異常が発見され、小さな体ながら何度も手術を体験し、それから最近まで病院へ通うようになりました。私たち家族に訪れた初の試練でした。

 『なぜ愛菜が? 申し訳ない。代われるものなら代わりたい』そんな思いで考え込んだこともありました。

 そんな時、『人は平等に苦労と幸せがある』と自分に言い聞かせて期待していたことを思い出しました。

 それからはとにかく元気なら何でもいいと思って育ててきましたが、お姉たんの入園式で先生の出欠に対して付き添いの愛菜が全て返事をしていたり(苦笑)、スーパーでお菓子を買わなかったら床に寝そべって大声で泣いてママたんがお客の冷ややかな視線を浴びてみたり、壁に取り付けたタオル掛けにぶら下がって壁ごと引っ張り抜いてみたり、『何考えとるの?』が家族の口癖になるほど常に驚かされっぱなしでした。

 めちゃくちゃなことをする度に説教しようとして真剣な顔で愛菜と向き合ってみるものの、つい愛菜の笑顔で怒る気もなくせられました。これがえなたんスマイルの始まりだったのかな?

 小学生に入ってからはどちらかと言うと内向きで、人一倍照れ屋で、演劇をしてもちょい役だったり、授業参観の発表でも手が震えているような子がまさか『アイドルを真剣にやりたい。SKE48のオーディションを受ける!』と言った時にはこれまでは何をやっても長続きしなかったし、厳しい世界だからと、期待しつつも軽く落とされるものと思っていました。

 でも結果は見事に9期生研究生となりました。

 これが遅れなせながら愛菜!鈴木家にやってきた幸せだと思い、自分のことのように喜んだことを覚えています。

 SKE48に入ってからは外に出ていることが多いので、スタッフさんやメンバー、同期の皆の前ではどのような態度で接しているのかわかりませんが、家では基本的にツンデレ、負けず嫌いで、なかなか外であった出来事を話さないので、SHOWROOMやモバメで知ることも多々あります(苦笑)。

 戦場である劇場公演では年齢の関係で年上の同期より制限がある中で本当は悩んでいたり、悔しい思いもしていると思いますが、今日からはそんな言い訳も通用しないと思います。

 今まで以上に同期の皆とどんどん刺激し合って目標に向かって突き進んでください。

 愛菜は言葉たらずの子なので常に心配になりますが、今の愛菜が劇場をはじめ、表舞台でキラキラできているのは応援しているファンの方をはじめ、SKE48のスタッフの皆さん、メンバーの皆さんや愛菜に関わってくれた全ての方々のおかげだよ。皆さんに心から感謝してください。

 感謝は表現しないと伝わらないので、しっかりと自分の言葉や態度で伝えてください。

 最後に、公演のダメ出しが厳しいDMM最前が指定席のママたん、常に愛菜のことを一番に思ってツンデレの愛菜にうざ絡みするシスコンのお姉たん、1時間おきにスマホでタイマーをかけて、オートでほぼ大貧民ながら大富豪をやって応援してくれるじいたん、ばあたん、皆で愛菜を全力応援しています。

 この1年でわかったように一瞬で時間は過ぎていきます。1秒後、明日でも、来年でもなく、たった今から始めよう。

 愛菜は待っているだけじゃダメなんだ。愛菜の可能性こそが鈴木家の未来。努力することを常に忘れず頑張れ。

 愛菜にズッキュンされたいパパたんより」


 手紙の中の「感情は表現しないと伝わらないので、しっかりと自分の言葉や態度で伝えてください」という言葉が印象的です。この頃のえなたんは、お手紙の中にあった通り「言葉足らず」な印象をご両親に与えてしまったのかも知れませんが、それは誰よりも長くえなたんのことを見ている人たちだからこその言葉だと思います。
 ただ、彼女は、SHOWROOMや公式ブログでは、わりと表現が豊かな方ではないか、と思っています。たとえば、研究生時代に書いた2020年2月20日のブログでは、昇格できなかったことの悔しさでと情けなさで涙が出たエピソードが凄く良くてですね。年齢制限に甘えていたと自己反省しつつ、先輩たちの「大丈夫だよ」や「チームで待ってるね」という言葉を胸に目標を設定して頑張るところとか、本当に素晴らしいと思います。
 さて、話を戻すと、DMM最前が指定席のお母さまのエピソードも良くてですね。
 朝日新聞デジタルの2021年9月21日号の「SKE48のfor you」でも、お母様のことをスーパーヒーローと語っていますね。SKE48のオーディションを見つけてくれたのもお母様で、アイドルとしての自分も私生活の自分も支えてくれています。
 でも、彼女を支えてくれているのは、ご家族だけではありません。
 それが伝わるエピソードがあります。 

 2022年2月10日のチームK2公演で行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。

「えなたんへ

 18歳のお誕生日おめでとう。
 頼もしいチームK2の最年少です。

 えなたんがいなかったら、もっとチームK2の平均年齢は高かったよ。だから本当にありがとう(笑)。

 愛菜はK2の末っ子なのに誰よりも落ち着いていて、周りを観察できて、細かなところに気づける優しい子です。

 私の愛菜への第一印象は友達のるんるんとゆきちゃんが溺愛してる子。

 プライベートで何度も二人から愛菜の名前を聞いてたし、『とってもいい子なの』って2人が熱く語るから私もどんどん気になってきて、その当時はるんの所に行くと横にひっついてるなって印象だったけど、いつの間にか我らがK2に昇格してきて、個人的に気になってるえなたんをようやく私も堪能できるな~と密かにワクワクしてました。

 そんなきっかけから愛菜のことが気になって、色んな話をしていくうちに愛菜の人懐っこさに私もメロメロになりました。

 ただ人懐っこいんじゃなくて、絶妙な空気の読み具合で、絶妙な距離感で、心地の良い感じでなついてくれるなって私は思いました。

 嬉しい時は少し照れながら喜ぶし、悲しい時は最初強気なのに話しているうちにしょぼんとしちゃうところ、素直ってわけじゃないけれど感情が見えるところが可愛いなと思います。

 SKE48でもあり、カミフレでもあり、学生でもあるえなたん。全部の両立が大変そうで心配になります。

 10代なのにカミフレでの経験もあって、アイドルとしての姿にただ夢を見てるだけじゃないえなたん。

 えなたん推しの皆さんにお願いです。愛菜のことをどうかこれからも応援よろしくお願いします。

 今更当たり前のことを、と思うかもしれませんが、SKE48の愛菜とカミフレの愛菜、どっちも存在するのは当たり前じゃなく幸せなことです。

 愛菜はSKE48のオーディションを受けた子です。だから、SKE48としての夢も見させてあげてください。しっかり者の愛菜だからあまりわがままを言わないかもしれないけど、若手コンで『悔しい』と話してくれました。余計なおせっかいしてごめん、えなたん。

 でも私はえなたん推しに愛菜が昇格したての頃、たくさん『愛菜をよろしくね』と言われました。

 そして、私はもう卒業します。だから今度は私から皆さんへのお願いです。愛菜をよろしくお願いします。

 えなたん、甘えたい時はたくさん甘えていいんだよ。嫌だって思ったことは伝えてもいいんだよ。ファンの皆はとっても頼もしいです。なんかあって助けを求めたら全力で助けてくれます。わがままなくらいが丁度いいんだよ。
 ファンの皆様には負けますが、私もアイドル歴12年。人生もうすぐ30年。きっと少しは役に立てると思います。

 もうすぐ離れ離れになっちゃうけど、くだらない話でも、悩み事でもいつでも聞いてあげるし、たまには遊ぼうね。

 5月からは18歳と29歳のお友達です。だからこれからも仲良くしてね。

 お誕生日おめでとう。

 るんぴより」

 ううむ、えなたんの理解者の一人であるみなるんの愛が伝わる手紙ですね。 
 「素直じゃないけど、感情がみえる」という表現が良いですね。
 カミフレとしての彼女とSKE48としての彼女。
 みなるんの手紙の中にある「SKE48としての夢」は、ここに書くのは野暮なので書きませんが、新世代コンサートの「悔しい」とも通じるあれではないか、と僕は思っています。


 さて、彼女は2年ぶりの生誕祭で、まず、K2のあったかさについて語ります。
 そして、「今でも心の中で思ってることがあるけど、自分じゃ無理だなって思ったりして消極的になることが多いんですけど、18歳で変えられたらいいなと思ってて」と語ります。そして、「なんだか口下手だから凄い上手には話せないんですけど、何となく感じ取ってくださったら嬉しいです」と信頼するファンの方々とのコミュニケーションについても語ります。
 そんな彼女のスピーチの中で、印象に残った部分が一つあります。

「なんかこれから目の前のことしか見えないから未来のことを考えて未来の自分が困らないようにひとつひとつの決断に、何て言うんですか、何て言うの、決断に、自信を持って、あの、責任を持ってできたらいいなと思うので、正しい道に進めなくなりそうになったら皆さん、どうか引き戻してください。私は意思が弱いので、すぐ皆に言われたらきっと戻る人なので、助けてください」

 これは、簡単に言えることではないと思います。
 未来に責任を持ちつつも、こんな不確かな世界にいると道を間違えるかも知れない、でもファンの方々なら引き戻してくれる。そんな信頼感を感じます。
 そして、「二十五、二十一」で登場した「自分を信じているあなたの言葉を信じる」という想いに通じるものがあると僕は思います。どうしても、自分の決断に責任を持つというと、意固地になって選択を変えられなさそうですが、きちんと他の人の意見に耳を傾けられる柔軟性が彼女にはあります。 

 SKE48の良いところの一つは、歴史があるところだと思います。
 えなたんが持った目標や夢によっては、過去の素晴らしい成功例がSKE48には沢山あります。そういう意味ではキャリアが長く、多ジャンルで活躍できるメンバーの多いチームK2に居るのは、理想的なのではと思います。
 その中でNetflixのように過去のデータが全てじゃない、新しい選択肢をどんどん増やすというのも良いと思いますし、コア・コンピタスのように未来を想像しながら過去の戦略を更新し続けるのも良いと思います。
 どちらを選んでも、えなたんには頼もしいファンの方々がいます。だから、えなたんが次に言葉にする目標がどんなものか、楽しみです。
 SKE48の歴史の中にえなたんが、ファンの方々と一緒に新しい実績を残す日が近いと僕は予想してます。

2022年5月4日水曜日

もし、鎌田さんで4ページ使うなら!

 妄想と紙面と予算と


 「唐突だな!」と言われるかも知れないですが、あなたが雑誌の編集長になったとしましょう。「唐突だな!」というあなたの声が聞こえてきましたよ。

 自分が作っている雑誌のカラーページ4ページが余ってしまったら、あなたらどう使いますか?
 「宣伝スペースにしますね、ふっふっふ」という方もいるかも知れませんが、宣伝が付かないぐらいの大手ではない雑誌としましょう。ビレッジ・ヴァンガードに半年に1回ぐらい出るA4サイズぐらいの総300ページぐらいの雑誌としましょう。
 改めて、あなたなら4ページをどう使いますか?
 

 なんでこんな質問から今回始まったかというと、ついに自費で紙の雑誌を出すことになりましてね。現在「創刊準備号」のクラウドファンディング中なんで、もし、良かったらページだけでも覗いて行っていただければ、と控えめに宣伝させていただきます。で、そのクラファンのリターン特典の1つである「創刊号」の企画書を書いていたわけですよ。
 「だいたい依頼する方々や出版するタイミングはこれぐらいで…」と考えていたんですね。まあ、超小規模の雑誌ですし、ガンガン好きな人達に依頼できるほどの予算は無いんですが、それでも妄想だけは広がっていきましてね。
 ふと、4ページぐらいの枠で何が出来るだろう、とぼんやり考えたんです。
 これは、これまでのアイドルの楽曲やドラマからブログを書いていた頃には、全然発想しなかったことです。ただ、インデペンデントのメディアだからこそ、売り上げとかを気にせずにできることもあるのでは、と思ってもいます。

 そこで、今回はこんな記事を考えてみました!


 「もし、あなたが鎌田さんで4ページ使うなら!」

 鎌田さんって、これまでのブログでも取り上げてきた通り、様々な側面から語ることが出来る人だと思うんですよね。彼女自身の人間性。これまでの活動のドラマ。彼女の趣味である二次元、将棋、歴史、剣道、マラソンetc。
 じゃあ、4ページに落とし込んでいくなら、何がベストでしょうか?


 たとえば、僕が構想していた企画は「嫌いな君を好きになる」です。
 このブログを昔から読んでいる方はご存じだと思いますが、僕は鎌田さんが超苦手でした。でも、食わず嫌いせずに少しずつ彼女のことを知ることで、彼女の人間性の豊かさを知っていきました。
 そこで、鎌田さんが苦手だった僕だからこそできる、「価値転倒」の過程を彼女のインタビューと共に話していけないかな、と考えました。かつての体育会系バリバリのSKE48とは違う価値観を広げてきた( 松井玲奈、秦佐和子、古畑奈和という系譜はありましたが )彼女の台頭は、僕のように違和感を抱いた方もいらっしゃるかと思います。でも、違和感は新しさでもあります。そして、その新しさはやがて、足跡のない道を作っていくことになります。そんなインタビューの流れを考えていました。自分にしか出来ないことは何かと考えた末の企画です。
 ただですね、ふと思ったんですよ。 
 4ページじゃ足りん!
 ロッキンオンジャパンの2万字インタビュー並みに、1ページの紙面を3段組みで組んでも足りないかも知れません。
 

 そこで、改めて考えてみました。
 僕が次に取り出したのが、彼女の本への愛です。
 まずは、こちらのアメブロを読んでみましょう。 

(鎌ºωº田)<オタクが語るだけのブログ。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 「鬼滅の刃」の完結について書いたブログですね。 

 漫画というものが人生の中にあることで「宝物」が増えていき、自分の人生が色鮮やかになっていくというのは、読書家の彼女ならではの表現だと思います。
 そして、もう一つ読んでいただきたいブログがあります。

(鎌ºωº田)<秘密の書きもの。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 彼女の場合、インプットとアウトプットのバランスが凄く良いと僕は思います。
 宇野常寛の「遅いインターネット」の中で「優れた発信をするには、優れたインプットが必要である」という考えが登場します。現在は、発信する手段だけが発達していって、インプットである読書や映画鑑賞が無くなってしまっているということです。
 彼女の場合、その循環が凄く良いのではと思います。
 現在は、それがラジオのレギュラー番組「SKE48鎌田菜月のサクラバシ919」でのアウトプットになっているのかな、とも思います(実は秘かにメールを送っています)。
 そんなインプットとアウトプットのバランスが良い彼女だからこそ、4ページという枠の中で出きることは何か考えました。

「鎌田菜月 1万円選書」

 「1万円選書って、なんだよ。宣戦布告する文書のことかよ!」という島崎藤村マニアの方もいるかもしれませんが、「普段、忙しくて本屋に行く暇がないわあ」とか「本棚の本がかなり偏ってしまっている!」という方の為に北海道のいわた書店の店主である岩田徹さんが始めたサービスでしてね。
 1万円で店主が本を選んで申し込んだお客さんに送るサービスです。
 まず、個人カルテとして「これまで読んだ本で印象に残っている20冊を教えてください」とか「これまでの人生で苦しかったこと、嬉しかったことは?」、「これだけはしないと決めていることはありますか?」という内容です。
 そこで、鎌田さんが1万円分のおすすめの本を選び、チョイス理由を書いていく4ページはどうでしょう?
 本当は個人カルテを取りたいところですが、ペルソナをゆるーく設定してお願いしてみると逆に面白くなるかと思います。
 鎌田さんの作品に対するプレゼン力の高さは、他のメンバーへの作品の浸透度からも分かります。

(鎌ºωº田)<雨のち晴れ。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ううむ、SKE48の生誕くじの1位の特典とかでどうでしょう?
 ちなみに、なーやんこと、竹内ななみさんにお願いしてみても面白い1万円選書になりそうな気がしています。

 僕としては、一度、自分でもチャレンジしてみたいですが、同じくらい依頼してみたいのが1万円選書だと思います。

 
 今回は、鎌田さんの読書家であり、発信した際の表現の豊かさや浸透度について考えてみましたが、皆さんなら4ページでどんな企画を考えますか?

※ これまでの鎌田さんについて考えたマガジンはこちら!

https://note.com/oboeteitekure913/m/m0d193ea4aab6

 
 

 

2022年4月17日日曜日

二人ならたりる

「たりない」何かを補える人

 

 皆さん、好きなお笑いコンビはいるでしょうか?
 僕はオードリーの大ファンで、彼らが「オールナイトニッポン」で語る昔の話や仕事での失敗談に励まされたことも多かったし、若林さんの著作は毎回読むたびに「うわあ、その感覚を言語化してくれたの凄い嬉しい」と思います。最近だとテレビ東京でプロデューサーをしていた佐久間宣行さんの著作でも同じことを感じます(仕事にプレイべートまでは渡さないという発想は自分もしていたことなので、まさに、と感じました)。
 そんな若林さんがテレビ番組の企画で、南海キャンディーズの山里亮太さんと組んだ「たりないふたり」も大好きです。
 世の中を生きていく上で毎回、足りない要素がある二人が、「飲み会から逃げる方法」や「『私っていくつに見える?』みたいな質問への対処法」など、社会に上手くやっていくにはを試行したこの番組は、何度も何度も繰り返し観るぐらい好きな番組でした。
 2019年に横浜みなとみらいで行われた「さよなら たりないふたり」では、本来打合せを入念にやって行う漫才を何の打合せなしに2時間30分で2本も行い、若林さんのサイコパスなボケと山ちゃんの天才的なツッコミで次のステージに進む二人を感じさせる漫才を完成させていました。
 なんでアドリブでそんな漫才をしたのかというと、若林さんは「山ちゃんとなら、会ってすぐに漫才ができると思った」と語ります。お互いにリスペクトを持ち、ラジオでお互いの良いところを語り合え、良きライバルでもある二人。 
 残念ながら、昨年の「明日のたりないふたり」で解散した二人ですが、またニッポン放送の「ミュージックソン」などで共演して欲しいなと思っています。
 この「たりないふたり」の演出を担当した安島隆さんは二人について「同じ傷を持っている人だから」と語っています。
 だからこそ、二人で番組を作ってみたかったそうです。
 人と人とが惹かれ合ったり、良いものを作ったりしていく上で重要なのが「好きなもの」や「目指すもの」だけでなく「同じ傷」というところが新鮮でした。感受性が豊かだからこそ、様々なことを感じてしまう。でも、その溜まった感情をフルパワーで発揮できる相手がいる。時には「賭け」に近い試みができる。

 僕はこのエピソードで思い出す人物がいます。

 それは、SKE48の8期生である野村実代と9期生の青海ひな乃です。
 

 野村実代と青海ひな乃はSKE48のチームSで同じチームですし、カミングフレーバーでも同じメンバーです。松井珠理奈プロデュースのBlack Pearlでも同じユニットです。シングル選抜でも「あの頃の君を見つけた」でも同時に入っています。
 しかし、みよまるは第2回ドラフト経験組ですし、同期に選抜入りは先をこされています。「心にFlower」の選抜では、丁度撮影の時期であった2022年1月に青海ひな乃さんが、新型コロナウイルスに感染して選抜から外れてしまいました。
 様々な要素があったにせよ、表には出さない悔しい思い、つまり「傷」もあったのではないか、と思います。

 二人の関係を考えていく上で、重要になってくるのが、2021年12月末から2022年2月にかけての期間に行われた二人の生誕祭だと思います。

 まずは、2021年12月5日 青海ひな乃生誕祭で読まれた手紙を読んでみましょう。

 

「青海さん、21歳のお誕生日おめでとう。

 20歳の1年はどんな1年でしたか?

 とても目まぐるしくて大変な時もあったかもしれないけど、忘れられない思い出がたくさん詰まった楽しい1年だったよね。

 一緒にいる時間が凄く長かったから私は青海さんが毎日頑張っていることを知っているよ。

 青海さんはどんな時も明るくて、人を惹きつける魅力があって、アイドルの才能がある人だと思う。

 そして、何よりしっかり者だからパフォーマンスもトークも『この子になら任せられる』と誰もが思っているよ。

 私は青海さんと一緒に過ごしていて驚いたことがあります。それは絶対に弱音を吐かないこと。

 青海さん自身が覚えているのかはわからないけど、『疲れている時、疲れを人に見せたくない』って私の前で言っていたのが凄く印象に残っていて、本当にプロ意識が高いなと思ったし、ちゃんと支え合っていかなくちゃって凄く思った。


 私は一応先輩だけど年下だし頼りになるかわからないけど、いざという時になれば何でも助けるから、いつでも近くにいるから頼ってね。

 しかし、そんなことを言っても、きっと一人で何でもできちゃうスーパー人間が青海ひな乃。私の方が頼りにしちゃいそうだけど、これからもよろしくお願いします。

 チームS、カミングフレーバーそして、同時選抜入り。性格は真反対だけどビックリするぐらい私たちって共通点が多いよね。それは偶然じゃなくて必然だと思ってる。根拠はないけど、隣にいるとしっくりくるし、安心するからきっとそう。だから、本当に出会ってくれてありがとう。

 21歳の1年も自分らしく楽しんでね。

 そして、お手紙を書かせてくださった生誕委員の皆さん、本当に素敵な機会をありがとうございます。

 改めて本当にお誕生日おめでとう。

 SKE48チームS 野村実代より」

「根拠はないけど、隣にいるとしっくりくし、安心する」という表現が、みよまるにとって青海さんがどんな存在かというのが伝わってきます。「疲れているところ」を見せないというプロ意識も素晴らしいです。普段から一緒にいる彼女だからこその手紙だと思います。
 性格が真反対でも気が合うというのも素敵ですよね。

 次に2022年2月16日に行われた野村実代生誕祭で読まれた手紙を読んでみましょう。

「みよまるさん、お誕生日おめでとうございます。

 そして、手紙を書かせてくださった生誕委員の皆さん、ありがとうございます。

 みよまるさんとは振り返ると私がSKE48に入ってから今日までたくさんお世話になってるなって思います。

 覚えてないと思うけど、私が初めてチームSの公演にアンダーで出て、研究生の私は凄く不安で何が正解かもわからず頭がいっぱいの時に『ほんとに凄いね。完璧だったよ!』ってわざわざ声をかけてくれて、それが嬉しくて、安心させてくれました。

 みよまるさんからしたら些細な一言かもしれないけど、私にとっては自信につながって、本当に助けになりました。

 それからカミングフレーバーやチームSとして同じチームになって信じられないくらい仲良くなって、今ではくだらない話をしたり、ご飯を食べに行ったり、一緒にふざけられる仲になりました。それはみよまるさんの心が本当に人間とは思えないくらい広いからだと思います。

 私たち後輩がどれだけふざけても、『本当に後輩かよ』って思われるぐらいに絡んでも笑顔で受け入れてくれて本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

 みよまるさんは本当に努力家で、いつも第一にファンの方のことを考えていて、『こうしたほうがもっとファンの方が喜ぶ』とかファンの方の視点になって意見を出していたり、自分のことだけじゃなくて私たちメンバーにも『こうしたほうがもっとよくなるよ』って声をかけてくれて本当に頼りになるし、尊敬できる先輩の一人です。

 私はアイドルになってすぐにカミングフレーバーとしてたくさんの活動を一緒にしてきたので、みよまるさんの背中を見てここまで成長できたと思っています。だから次はみよまるさんから教わったことを後輩に教えられるように頑張ります。

 みよまるさんは努力家の分、悩んだこともつらかったこともたくさんあると思います。

 みよまるさんは『カミングフレーバーができる前は私には何もなかった』って言っていたことがありますが、私は勝手かもしれないけど、そんなことないと思います。

 私がSKE48に入る前のみよまるさんを何も知らないけど、出会った時からキラキラしてて、みよまるさんのファンの方を見てるとカミングフレーバーの実代だけじゃなくて、アイドルとしての野村実代が好きなんだなって凄く伝わります。それはみよまるさんがアイドルになってからずっと頑張ってきたからだと思います。

 みよまるさんのストイックな性格は本当に尊敬するけど、SKE48に入ってから今までの努力は一つも無駄な時間じゃないし、無駄なことなんてなかったと思うから自分を褒めてあげてください。

 しつこいくらいに言ってると思いますが、みよまるさんはほんとに美人です。可愛くて、スタイルもいい。だから、みよまるさんの夢であるモデルに本当に心からなって欲しいって思ってるし、ずっとファンの一人として応援しています。

 私も夢を追いかけてるかっこいいみよまるさんに追いつけるように、まずは選抜に戻れるように頑張ります。

 『青海さんが選抜にいないの寂しい』って言ってくれてありがとうございます。本当に嬉しかった。だから待っててください。また隣にいて相応しい女になって帰ってきます。

 本当にお誕生日おめでとうございます。

 成人式の振袖、早いけどもう楽しみにしてます。

 実代ちゃん、大好き!

 青海ひな乃」


 手紙の中に出てくる「ストイック」という言葉は、先ほど読んだ青海さんの姿とも重なるところがあると思います。
 また、彼女への手紙の中に出てくる「ファン思い」という言葉は、みよまるとファンの方々との関係があるからかも知れません。
 ちょっと彼女のアメブロを連続して読んでみましょう。

 野村実代です❤️ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 野村実代です❤️ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 一つ目のブログでは彼女がいかに感情豊かな人間で、その放出を受け止めてくれるファンの方々の優しさが分かります。
 二つ目のブログでは彼女に寄り添うだけではなく、ファンの方々が一緒に走っていることが伝わってきます。
 ファンの人を大切にする思いは、手紙にも書かれている通り、青海さんにも伝わっていますね。

 話を二人の関係に戻すと、今後僕が期待するのは、みよまると青海さんのダブルセンターです。
 個人的には、フィロソフィーのダンスの「ドント・ストップ・ザ・ダンス」的なアプローチだとかなり輝く気がするんですが、皆さんはいかがでしょう?
 

 外からみると「もっている」側の人間に見えるふたりですが、「たりない」なにかが二人が揃うことで補われていく、そんな理想的な関係がみよまると青海さんなのかも知れません。その背景にあるのはお互いへの尊敬ではないかと僕は思います。お互いの良いところを学びつつも、またお互いに上のステージでの再会を目指す。それが出来るのがこの二人だと思います。

 あなたにとって、「たりない」何かを補ってくれるもう一人は誰でしょう?