人気の投稿

2022年2月27日日曜日

心にFlower①

 誰かの心に花を咲かせられること


 2022年2月22日に3月9日発売のSKE48の新曲「心にFlower」のMVが公開されました。

※まだの方は公式チャンネルをチェック!



 ううむ、今までのSKE48のMVにはなかった色使いですね。
 まずは、歌詞の世界からじっくりと見て行きましょう。

 今回の歌詞の特徴は、誰かが「君」に語りかけるような文体で書かれています。
 1番のAメロでは、クラクションの喧噪が示されます。
 このことに対して耳を塞ぎたくなる。
 でも、小鳥のさえずりや木々のざわめきは聞きたくないのか?と「君」に問いかけてきます。
 耳を塞いでいるだけではだめであると。
 ちなみに、クラクションは都会や人工をイメージさせられますし、小鳥のさえずりや木々のざわめきは自然や空を連想させられます。
 
 1番のBメロでは一度深呼吸を、つまり、思考のリセットをして自分の外の世界を見まわしてみようといいます。 
 ビルという喧噪を連想させるものがあり、その隙間には青空という自然や空を連想させるものがあります。
 耳を塞ぎたいものばかりではない、視界を遮るものばかりではない。
 だから、諦めるのは勿体ない、と語り掛けます。
 そして、自分から変わってみようとも。
 自分という内面から変化させることで、外側である世界にも変化を起こせるのではないか、と僕は考えました。
 サビ直前の「Set me free」は「自由にしてくれ」という風に僕は訳しました。
 唐突に出てきたこのメッセージは2番へのフリにもなっていると僕は思っています。

 1番のサビでは、目には見えない花を心に飾ることを語ります。
 この花は清らかな気持ちであるというのが歌詞の内容から分かります。
 そして、内面を清らかな気持ちに変化させてそれをキープしようと。
 ノブレス・オブ・リージュですね。
 もし、自分の世界が汚れていたとしても、明日になると真っ新になるとも語ります。
 この「世界」というのは、自分の内面かも知れませんし、外側の社会かも知れません。
 怒りに震える内面の「世界」かも知れませんし、喧噪が鳴りやまない外側の世界かも知れません。

 つまり、1番で見えて来るのは、清らかな心を気持ちに持つことで、自分の世界はよくなっていくということが見えてきます。
 また、悲しい雨と悪意の礫はどちらも降るものですし、ネガティブなイメージでつながります。
 雨が降っても日差しを思い出す。それは、心に雨が降り続けていても、日差しがないと花は育ちません。心に悪意のようなものやネガティブな感情のままでは清らかな心は育たない。そんなメッセージに僕は感じます。悪意に引っ張られない毅然とした態度こそが美しいと。
 
 そして、何気なく書かれていますが、「いつものLOVE SONG」を口ずさむことがかなり重要だと思っていましてね。
 日本近代詩の世界では、ほとんどの詩が市井の人々から必要とされていなかったのではないか、と言われています。僕が大嫌いな言葉ですが、「不要不急」とされていたわけです。ただ、一度だけ必要とされた時代がありました。それは戦時中です。多くの詩人たちは戦意高揚のために詩を書くことになりました。勇ましさはありますが、僕が好きな繊細な心の動きや恋心を歌うような詩は必要とされませんでした。清家雪子は「月に吠えらんねえ」の中で萩原朔太郎と北原白秋を中心に、最新の近代詩研究を元にこのことについて真摯に向き合っていましたが、「いつものLOVE SONG」をどんな状況でも歌えることが、実は重要だと僕はこの曲の中で思っています。

 さて、2番のAメロでは、どんな色にも染まらないことから始まります。
 色というのは個性である。自分の個性を守るために、周りに合わせる必要はないとも語ります。
 いきなり、個性という内面と周りという外側の対比が出てきます。
 違う意見に従わないというのは、一読すると極端に聞こえるかもしれませんが、ここでいう「従う」は妥協してしまうことではないかと思います。ただ、従うだけのは協調性ではない。協調性は認め合うことであるということだと語ります。
 
 2番Bメロでは、怒りについて、10秒と言う僅かな時間をおくことで「くだらないこと」と思えると語ります。
 空模様はすぐに変わる、これは、内面の変化とも結びつきますし、直前の起こったら10秒時間を置くこととも繋がりますね。
 その為には、怒るのではなく笑うべきだと語ります。
 さて、「Let It go」の解釈については1番と対応させるならば、「解き放て」が良いかも知れません。直後の歌詞ともつじつまがあいますしね。直前の歌詞と合わせて「やってみよう」でも良いとも思います。

 2番のサビでは、心を開く、つまり、内面の何かを外に出していくことについて語られます。それは、花びらの香りを出すことであると。花とは清らかな心だとしたら、その心が他者に向かうと何になるか。
 それは歌詞の中で「愛」だと示されていると僕は思います。
 意地悪な人たちは、おそらく悪意を振りまいてくる人たちだと思います。
 この人たちについては、想像するしかないですが、ひょっとすると、この曲の歌詞で語られることとは逆の存在ではないかと思います。
 怒りやすく、他者を認めず、愛を知らない存在。
 ううむ、何故かネットの中にいそうな気が僕はしましたが、皆さんはいかがでしょう?
 話を戻すと、この語りかけに関して自己批評的に「綺麗事」としています。
 しかし、「仮面ライダークウガ」の中にある名台詞「綺麗事だよ、でも、綺麗事だから本当にしたいじゃん」というそれでもやってみる価値はあるというメッセージにもなっていると思います。
 ぶつかりあって闘うのではなく、どう受け入れるか。しかも、それは一方的に受け入れるのではなく、認め合う。つまり、相手にも認めてもらうということだと思います。
 
 大サビ前では、生きるということは大変でもあり素晴らしいことでもあると語ります。
 どういう生き方をするのか、生きるということの意味は変わってくる。
 それならば、みんなを癒せるような花になるべきだ、と再び花という単語が出てきます。
 清らかな心でみんなを癒す存在。
 僕は存在が「いる」ことだけで価値を感じるウェルビーイングを連想しましたし、アイドルという存在こそが「花」ではないかと思います。
 
 気高く毅然とした清らかな心を持ち、時にはみんなを癒せる存在。
 そんな存在に「君」はなれ、というメッセージを感じます。
 この後、大サビでは1番の歌詞が繰り返されますが、この2番と大サビの後だとより言葉が立ち上がってくる気がします。

 物凄く比喩とイメージが素晴らしく、僕は俄然、この曲の歌詞が好きです。

 さて、次にメロディーですが、サビが爽やかでこれからの奇跡に丁度合うんですよね。 
 どうか、大事に育てていって欲しい曲です。

 MVに関しては、色遣いとか花のモチーフを見た時は蜷川実花っぽい感じがしましたし、敵の服装はどう見ても「イカゲーム」の方々ですし、闘い方は「ハーレクイーンの華麗なる覚醒」のオマージュを感じましたし、はっきり言って「足し算を失敗したのでは…」とちょっと不安だったんですね。中東やメキシコっぽい収容所なら「ボーダーブレイク ソルジャーデイズみたいなのにしてくれよ」とか容赦なくやってくれよと思ったりもしましたが。
 アクションシーンでよこにゃんを使ってないのも凄く勿体ないと思うんですね。
 彼女がこれまでのキャリアで(特に2作にも渡るアクション中心の舞台で)、培ってきたものを考えると非常に勿体ないです。
 また、映像的な決め絵といいますか、スピルバーグの「ジュラシックパーク」シリーズで恐竜歌舞伎のような決め絵が来たときのような嬉しさがあるんですが、その反面、疑問も生じてましてね。
 あれ?
 歌詞の中で闘うなって言ってんのに、思いっきり闘ってない?ということです。
 これは、結構、モヤモヤしていたんですが、「心にFlower」というタイトルから、内面での戦いではないか、と思いましてね。
 怒りの気持ちに支配されていた内面に、花が咲いて行く。
 その過程ではないか、と。
 だから、メンバーたちは鮮やかな衣装や武器を持って、心に花を咲かせてポジティブな気持ちを解放していくのではないかと思います。
 苦しい解釈かも知れませんが、僕の中で他に納得いく解釈が今のところないのです。皆さんはいかがでしょうか?

 視点をさらにメタのレベルに引くと、秋元康からセンターの林美澪さんを始めとするSKE48メンバーへのメッセージにも聞こえます。「君」たちが、この悪意の礫が降り注ぐ時代に、どんな存在であるべきか、という。
 曲のテーマについては、前田敦子のソロ曲「Flower」や花が枯れて次の花が咲くまでの「2588日」を最初は連想したんですが、むしろ、これは欅坂46の「誰がその鐘を鳴らすのか?」の方にテーマは近いと思います。




 「喧噪」から始まり、自己主張ではなく相手の声に耳を傾ける、認め合えるかについては、通じるものがあると僕は思います。「鐘」の解釈が難しいところなので、ここでは触れませんが、内面的な「花」よりは外側に位置するものではないかと僕は思います。

 この曲のMVが発表されてすぐに、世界に再び銃声が鳴り響き始めました。
 アイドルは何の為にいるのか?
 「AKB0048」のようにアイドルは争う心や荒んだ心を癒せるのか?
 再び歌が現実社会との向き合う時が来ている気が僕はしています。
 「いつものLOVE SONG」はちゃんと歌っていられるのか?
 東日本大震災の時に、人々の心に花をさかせた、48グループなら負けないと僕は信じています。

2022年2月13日日曜日

ガラスの靴は残った

誰もがシンデレラ


 

 皆さん、いきなりですが、童話のシンデレラを覚えているでしょうか?
 グリム童話版が好きな方もいらっしゃれば、ディズニー版がお好きな方もいらっしゃるかも知れません。
 あの童話の中で子供の頃から不思議に思っていたことがあります。
 0時になると魔法使いや不思議な動物たちがかけた魔法は解けるはずなのに、なんでガラスの靴だけ魔法が解けなかったのか?
 僕なりの読解を書いておくと、あの魔法の靴は魔法をかけるものではなく直接魔法使いが譲渡したものではないか、と思います。ドレスとかかぼちゃの馬車とは違う特別なものなわけです。
 そして、ガラスの靴には魔法使いの魔法が宿っていて、シンデレラにも潜在的な魔法が宿る。時期が来るとシンデレラは、魔法使いになって次の少女のところに行き、シンデレラのように魔法をかける。
 そう、魔法使いは元シンデレラであるのではという説です。
 ううむ、文献とか先行研究との反証とか口頭試問なしだとこんなにロマンチックだけが先行する感じになりますが、皆さんはどんな理由が思いついたでしょう?

 
 さて、話を戻しましょう。でもですね、お城にガラスの靴が残ったように、アイドルグループにもシンデレラが残していったものが、あるような気がします。

 今回はそのガラスの靴とは何かを考えていきましょう。

 まず、そのヒントになるのが2016年11月30日に行われた竹内彩姫生誕祭での手紙です。

「彩姫へ

 17歳のお誕生日おめでとう。

 まさか生誕祭でお手紙を書ける日がくるなんて、とっても嬉しいです。なんだか恥ずかしいけれど、聞いてください。

 彩姫とは研究生としてずっと一緒でしたね。6期生の中では一番先輩とコミュニケーションをとっていたんじゃないかな?凄いなーって思っていました。

 6期生って綾巴と李苑が最初にピックアップをされて、そこから他のメンバーはなかなかチャンスに恵まれなかったから他の期と比べるととっても大変だったと思います。

 大組閣で昇格できなかった組は研究生公演が終わってしまい、アンダーにも出れず、自分自身と向き合う時間がとても増えました。そこで卒業してしまう子もいて、その時は正直私もつらかったです。

 彩姫からその時期に悩みのLINEが来たことを今でも覚えています。

 でも、結果としてアップカミング公演という新しい公演をやらせてもらえて彩姫はセンターを経験したり、とっても成長できた時間だったと思います。
 

 そして、その頃からアンダーにたくさん出て、連続公演などをして、知らないうちに自分の体に無理をして、腰を痛めてしまいました。

 『大好きな劇場公演は絶対に休みたくないんです』って注射を打ちながら一生懸命治療をして、公演に出ている彩姫を見ていて、本当に公演が好きなんだなと改めて感じました。

 もし私が腰を痛めていたら注射も打つし、これから先の人生を考えて普通に休演します。

 だから、本当に彩姫は公演に対しての気持ちが凄く強いなと思いました。

 そして、コツコツ今まで頑張って来た結果、今年の総選挙では速報9位、最終的には31位で初ランクイン。現地で見ていて本当に嬉しかったです。

 それからSKEの選抜メンバー入り。『キスだって左利き』の自分の時のように感じました。

 私の場合は総選挙のランクインやSKEの選抜入りで満足してしまうファンの人が多くて離れてしまいました。

 私の魅力が足りなかったからだと今でも後悔をしています。そこに関しては彩姫は大丈夫かな?離れてないですよね?

 総選挙後は自分の力で勝ち上がったじゃんけん大会に勝ったり、去年とは比べものにならないとっても濃い1年だったと思います。

 おそらく次のシングルはまだ出ないので、『金の愛、銀の愛』のリリース期間がとーっても長く選抜メンバーとしての色んな経験もできたと思います。

 前にも言ったと思うけど、この期間をどう過ごすかでこれからのSKEでの立ち位置が変ってくると思います。しばらくは新しいシングルもないと思うし。

 選抜メンバーとしての期間を本当に大切に過ごしてください。

 そして来年の総選挙、もし立候補して出馬するのなら順位が下がらないように彩姫のファンの皆さん、しっかりと支えてあげてください。

 最後に。彩姫はもちろん、大好きな6期生が中心となる新しいSKEを私がいる間にみせてください。期待しています。

 松村香織より」

 この年の生誕祭のスピーチでさきぽんは、青いドレスを着たシンデレラに自分を喩えました。きっとシンデレラは幸せな人生を送っているはずだ、とシンデレラ2年目のことを語ります。
 この日のアメブロも読んでおきましょう。

(´-`).oO(竹内彩姫♡希望の光) | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ここでもシンデレラという単語と「物語」というアイドル人生をこれからファンの方々とシンデレラ2年目を描いていくことを連想させる言葉が出てきますね。
 さきぽんがシンデレラだとしたら、かおたんは魔法使いかも知れません。しかし、彼女自身もシンデレラになるまでの時代があり、2012年には総選挙という魔法でお城へ爆走していきました。
※イメージ映像(影の軍団Ⅳ 幕末編)


 

 そんなかおたんが、自分の数年後にシンデレラとなったさきぽんに対するメッセージは、とても優しい視点で書かれています。その2年後の2018年12月5日の彼女の生誕祭の手紙も読んでみましょう。

「彩姫へ

 お誕生日おめでとう。

 去年これがほんとに最後の生誕祭だと思って参加したのに、今年もなぜか参加をして、こうしてお手紙を読んでいます。でも本当に今年が最後。悔いのないように書きたいと思います。

 ちょうど2年前の彩姫の生誕祭でお手紙を書いた時を思い出します。その頃、初めて『金の愛、銀の愛』の選抜に選べれたばかりの頃でしたね。

 そしてこの時期をどう過ごすかでこれからのSKEでの立ち位置が変ってくると思いますと私はお手紙に書きました。

 2年経った今もこうやって彩姫は実際に選抜に入り続けています。

 これは彩姫が頑張った結果であり、ファンの皆さんが離れずに支えてくれていたからだと思います。

 私から見ると彩姫はもう選抜安定なイメージだし、ファンの方も昔ほどそこまで危機感があるわけではないと思います。

 でも、こう安定になってしまうと彩姫自身もファンの方もなかなかモチベーションも上がりづらくなりますし、ファンの方に対しても色々と煽りづらくならないかなと思っています。私はたぶん煽りづらいなと個人的には思ったりもします。

 そしてですね、ここ最近の彩姫を見ていると、彩姫にとって色々と難しかったり悩む時期にきているのかなーと思います。

 ちょうどこの間ゆっくり二人で話す機会があって、彩姫の今の考えとかを聞く時間がありました。

 自分が本当に思っていること、悩んだりしていることも隠さずに伝えたりしてもいいんじゃないかなって思います。

 握手会にも彩姫のファンの方がたくさん私の所に来てくれるから思いますが、どんな竹内彩姫でも愛してくれるし、ついてきてくれる素敵な人たちです。もっと甘えてもっとワガママになっていいと思います。

 あと、自覚もあると思うけど、他の6期生が『私たちがこれから引っ張っていきます』っていう意思表示をしている中で、一歩下がった位置に自ら行っているなって感じます。

 みんながみんなグイグイしている必要はないと思うし、意見を言う必要はないと思うけど、ここぞっていう時にはいいづらいかもしれないけど自分の見え方とかを気にせずにちゃんと言えるようになってほしいです。

 先輩にも後輩にも挟まれていて、両方の意見や考えを聞いて大変だったりもすると思います。

 いい意味で先輩と後輩を繋ぐ役割を彩姫にはきちんとしてほしいと思います。

 そして、そのうち入ってくる9期生のこともしっかりと、古参じゃなくて、6期生たち、新しい子が見てあげてほしいなと思っています。

 今までのアプローチの仕方プラスアルファで安定の立ち位置からもう1つ上のステージへチャレンジして、今日いるファンの方たちと共にまだまだ上にを目指してほしいと思います。

 彩姫のやりたいことができる1年、そしてこれから先に繋がる、そんなような素敵な年にどうかしてください。

 松村香織より」


 「いい意味で先輩と後輩を繋ぐ役割」、「そのうち入って来る9期生のこと」、この二つのキーワードは彼女がアイドルというシンデレラを終えてからも続きます。
 その前にこの生誕祭についてのアメブロも読んでおきましょう。

(´-`).oO(竹内彩姫♡19の私) | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 さきぽんの理想のアイドル像について少し触れられていますが、本当にしんどい時以外はなるべく笑顔でファンの方を元気にしていく、だからこそ気づいてくれる先輩や同期の存在の大きさを感じます。

 そして、竹内彩姫は、2021年5月31日にSKE48を旅立っていきます。
 この日読まれた手紙で、かおたんが残した言葉をきちんと彩姫ぽんが実践していたのが分かります。
 ちょっとるーちゃんのアメブロを読んでみましょう。

❤︎井上瑠夏 ・×・彩姫さんへ❤︎ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ううむ、るーちゃんってふわふわした明るい感じなので気付きにくいんですが、人間なので当然ネガティブなところだってあるわけで、それに気づいてちゃんとケアしてあげられる優しさが本当に素晴らしくてですね。
 この時の優しさは、きっとるーちゃんがこれから後輩と接する時の良いロールモデルになるのではと思います。
 

 さて、一気に時計の針を2022年の2月9日に進めましょう。
 この時、さきぽんは既にSKE48を卒業して、SKE48を運営するゼストに入社しています。
 この日、チームSで行われた赤堀君江生誕祭での手紙を読んでみましょう。


「君江へ

 少し遅くなっちゃったけど、20歳のお誕生日おめでとう。

 君江のことを知ったのは9期生が加入してすぐ、私のことを好きだと言ってくれている子がいると私の耳に入ってきた時です。

 どんな子なんだろうってお顔を見た瞬間、可愛すぎて一瞬で君江の虜になったのを覚えています。

 9期生の子達が皆で練習している時の休憩中、握手会の合間、コンサートのリハーサル中などたくさんお話して、すぐに仲良くなって、気づけば私は『君江ちゃん』から『君江』って呼び捨てで呼ぶようになりました。

 それからさらに距離が縮まったのは私が所属していたチームK2の公演に研究生として出演してくれた時かな?

 あの頃、私たちだけじゃなくてチームK2の皆、君江のパフォーマンスやMCにとても信頼してたし、同じチームK2の一員として君江を見ていたと思います。

 その後にあった静岡エコパアリーナでの昇格発表で君江がチームSと発表された時、『そんなことってある?同じチームで活動したかったのに』って、卒業を考え始めた時だったので凄く寂しかったことを覚えています。

 舞台上で目が合った瞬間、二人で涙目になって、コンサートの終了後は抱き合って寂しさを共有したね。

 あの時、昇格して喜んでいるメンバーを映そうとして裏で走り回っていたカメラマンさんが何人かいたけど、『こんな状態じゃ無理だよ』って逃げ回って、女子トイレでこもって立てこもり、立てこもり事件を起こしながら泣いたこともあったし、ホテルに戻ってからは二人でちゅりさんの部屋に行って、これからどうするか作戦会議をしたことは今でも懐かしい、良い思い出です。

 あの時は複雑で、笑顔で言えなかったけど、改めて昇格おめでとう。

 今ではチームSで楽しそうに活動する姿が見れて私も嬉しいです。

 意外って言うと失礼だけど、しっかり者で、真面目で、優しい君江だから、一人で抱えることも多いリーダー慈子の支えになって、一緒にチームSを盛り上げてね。

 私が卒業してからはカミフレの君江の時に会うことが多いね。

 楽屋から楽しそうな声が聞こえてきて微笑ましくなったり、リハーサルでは皆本気で歌とダンスに向き合う姿のギャップにとても惹かれました。

 SKE48とカミングフレーバーの両立はスケジュールを見るだけで驚くほど大変そうで、体も心も頑張りすぎちゃって、苦しい時にその苦しさを誰にも言えずに長い間悩んでる時にそばで話を聞いてあげられなくてごめんね。

 『これだけ忙しくSKE48とカミングフレーバーのために頑張ってます』ってファンの方にいちいち言うことじゃないかもしれないし、君江は人に弱い姿を見せない頑張り屋さんだけど、つらかったり疲れた時は私に頼って欲しいなって思うし、ファンの方にもそういう一面を少しは見せて甘えてもいいのかなって私は思います。

 ほんとは悔しいと思ってる時、無理に笑わなくていいんだよ。悔しい時は『悔しい』って言ってもいいし、泣いてもいい。

 本気で頑張っている人を誰も笑わないから、君江は君江らしくアイドルを楽しんでね。

 君江の笑顔が大好きで、もっとアイドルきみちゃんを見たいと思ってるファンの皆さんはいーっぱいいるからね。

 私はもっと前で自信を持って輝く君江が見たいです。

 顔面国宝の可愛いお顔もたくさんの方に知って欲しいです。

 社員・竹内さんとしても君江の夢が叶うように、動いていけるように頑張ります。

 前に出かけた時に話したけど、これからは『彩姫さん』ではなく『彩姫ちゃん』として、一人の友達としても仲良くしてね。

 改めてお誕生日おめでとう。

 私はお酒が弱いけど、一緒に乾杯できるの楽しみにしてるね。

 君江のことも、お手紙の依頼をしてくださった君江のファンの皆様も大好きなゼスト社員、彩姫ちゃんより」

 

 ううむ、さきぽんと赤堀さんとそんな関係があったとは。
 そういえば、6期生の単独でも後輩メンバーとして出ていましたね。

【赤堀君江】 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 赤堀君江という新しいシンデレラは、いったいチームSでどんな物語を描いていくのか。
 たまに「きまえ」にもなりますが、小さい体でも魅せるパフォーマンスと目力の強さは、さきぽんに通じるものがあると思います。

【赤堀君江】 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 生誕祭のスピーチでこの2年間について「ほんとに何をしたらいいかわからないことが凄い多かった2年」とし、「何をしてこのグループに貢献すればいいのかっていうのを凄く考える2年」とも語っています。
 2018年のかおたんの手紙に書かれたさきぽんを思い出しますね。選抜とカミフレという違いこそありますが、やはり最前線で頑張っているシンデレラだと思います。
 更にファンの皆さんに恩返しがしたいし、ターニングポイントになる1年にしたいと語っています。
 総選挙という魔法は使えなくなりましたが、きっと別の魔法がまだ残っているのでは、と赤堀さんの2022年のスピーチでは考えさせられました( たとえば、それは各種雑誌系のイベントかも知れません )。

 
 これから入ってくる11期生たちを赤堀さんが支える時が、近い将来やってくるのではと思います。その時にメンバーだからできる「仲間への優しさ」というガラスの靴は受け継がれていくのではないかと思います。

 今、彼女が持っているガラスの靴も、赤堀さんが大事に履いて、きっと次のシンデレラに受け継がれると信じています。

※なんとなくイメージした曲を貼ってお別れです。珍しくアニソン!カラオケで友人にコールしてもらいながら歌うとめちゃくちゃ気持ちいいです。早く、コールしてもいいライブが戻ってこないですかねえ。

2022年2月6日日曜日

妄想企画「鎌田さんがラジオ番組を持ったら…」

 マジカルラジオにする女


 ※今月は妄想企画の回なので、肩の力を抜いて、頬をの肉を落として、ついでにまどろみながら読んで欲しいです。


 皆さん、ラジオは好きでしょうか? 
 僕は、ニッポン放送の「オードリーのオールナイトニッポン」が好きで毎週聴いていますし、TBSラジオの「アフターシックスジャンクション」も映画のレビューをする金曜日を中心に聴いております。
 あとは、「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」なんかも好きです。
 さらにインターネットラジオでしたら、吉本の芸人さんたちが中心に出演しているGERAや宇野常寛さんの「遅いインターネットラジオ」が好きで、芸人の金属バットがyoutubeで毎週配信している「声流電刹」なんかも好きです。

 ラジオという音声のみのメディアが持つ、密室感と想像力を刺激されるトーク。そして、時にはながら仕事をしながら楽しめる手軽さが好きです(朝に歯磨きや顔を洗いながら聞くのもいいですし、プラモデルの墨入れをしながらも聴けるのがありがたい!)。

 SKE48も、地元の名古屋のラジオ番組に出演していますし、「オールナイトニッポン0」の枠にも出演していますね。

 記事の為に様々なメンバーのラジオをチェックするようにしていますが、中でもラジオのトークが馴染むメンバーがいます。卒業したメンバーで言えば、高柳明音さん。彼女の場合、声と語り口が素晴らしいというのもありますし、誰がゲストで来てもちゃんと30分成立させるトーク力があります。
 現役メンバーだと、古畑奈和さんのラジオが好きで、外仕事でのちょっと「余所行き」なんですが、だんだん自分の好きなものの話になるとテンションが上がっていく、奈和ちゃんが素敵なラジオでした。

 じゃあ、鎌田菜月さんはどうでしょう?
 元々トーク力があるメンバーですし、様々なカルチャーについても語れるメンバーです。
 今回は、妄想ラジオ企画を2つ考えてみました。
 

① 「地上波番組編」金曜日 20時~22時( 2時間番組 )

 MC 鎌田菜月
 聴取可能メディア ラジオ・radiko・Spotify
 番組構成 ① オープニングトーク(15分)
      ② CM( 3分 )
      ③ 今週の1本( 30分 )
      ④ CM( 3分 )
      ⑤ ゲストとトーク( 40分 )
      ⑥ CM( 3分 )
      ⑦ エンディングトーク( 15分 )
      ⑧ 曲とCM調整用の枠( 11分 )

 ええ、いきなり、トーク多めのストロングスタイルラジオですよ。
 鎌田さんのラジオを聴くと、好きなものについてじっくりと語ることが好きなのかな、と感じる場面が何回かありましてね。それだったら、毎週1本映画や漫画の課題作を決めて、それについて30分じっくりとその作品について語る枠を作ったのが、このラジオの目玉です。
 リスナーも作品の感想を送り、賛否両論を鎌田さんと語り合うというのはどうでしょう?
 もしあったら、僕も凄く送りたいですね。
 そして、ゲストとトークコーナーでは、アイドル関係、将棋関係、歴史関係、2次元関係、という彼女のこれまでのキャリアは勿論ですが、これから話を聞いてみたいと人と話す時間を入れてみました。
 なので、このラジオはインプットとアウトプットの繰り返しのラジオになっていくと思います。カルチャーが好きで、じっくりとものを考えて行きたい人向けのラジオになるのでは、と思います。

 
② 「インターネットラジオ番組編」毎週木曜日の20時更新(25分~無制限)

MC 鎌田菜月( たまに近くにいたメンバー )

 聴取可能メディア youtube・amazon music・LINE music・Voicy

 番組構成 ① 1週間の近況報告
      ② リスナーメールを読む

 こちらは、ちょっとファン向けのラジオです。
 鎌田さんが1週間の仕事の振り返りをしながら、楽屋であんなことがあったとか、こんなことで笑った、今週はここに行ってきたというのを語っていきます。
 これは鎌田さんが以前、Twitterのスペース機能でユニット別公演のセトリについて語っていた時に、「この人、一人喋りでもむちゃくちゃ行けるな」と感じたからです。
 こっそりと内緒話をする感じで、語るのはどうでしょう?
 そして、どれぐらい事務所が権利的にOKするか分かりませんが、たまには鎌田さんの近くにいたチームEメンバーや仲の良いメンバーなんかと「あれだけどさ」とか「あの時のこと覚えてる?」という感じで話していきます。
 youtubeにチャンネルを作って配信していく形なので、時間の枠に縛られずに喋ることが出来るのが最大の強みです。
 リスナーメールはフリーテーマなので、自由度が高いものになっていくのではと思います。

 さて、ざっくりと妄想ラジオ企画を書いてみましたが、皆さんはどんな番組が思い浮かんだでしょう?
 知らないカルチャーに触れていくという意味では、鎌田さんが好きな音楽を流して彼女が解説していく番組とかも良さそうですね。
 ラジオから聞こえてくる彼女の声を楽しみに、今回の記事を終えます。

※大垣共立銀行さんプレゼンツとかで出来ないですかね?


朝の自分に問いかけながら

しょうがない以外の選択肢で



 あらゆる世代の日本人がよく使う言葉でプロの通訳者や記者の間で「外国語に訳しにくい」と問題になるマジックワードがあるそうです。それが「しょうがない」です。むりやり英語に訳すと「It's inevitable.I cannot do anything this.」(避けられない事態で何も出来ない)になります。
 メディアアーティストであり筑波大学図書館情報メディア系准教授の落合陽一は、最新の著書「ズームバック×オチアイ 過去を『巨視』して考える未来を考える」の中で「しょうがない」のメンタルは自然災害などの人間では太刀打ちできない現象が日本に多かったことが、日本人の「しょうがない」という根底にあるのではと分析しています。「しょうがない」がという空気が支配すると、あきらめに通じていきます。あきらめると先に進むのは難しい。
 じゃあ、「しょうがない」という空気に逆らうにはどうすれば、良いのか。
 同著で落合陽一は、あるひらがな四文字の言葉を挙げます。
 このブログの終盤で答えを発表するので、これを読んでいる皆さんも考えてみてください。

 先日、SKE48のニューシングルの発表がありました。
 その中には、初選抜の平野百菜さんの名前もありました。
 彼女はまだ中学3年生の15歳です(もうすぐ卒業ですが)。
 彼女の選抜入りに対して、9期生の青海ひな乃さんがコロナにより選抜から外れたことの代打としての選抜入りだという声がSKE48に関するサイトやSNSでいくつかありました。2022年2月5日時点でメンバーからはそのような発言はないので、ハッキリ言って平野さんのことを過小評価した非常に失礼な意見だと僕は思います。
 なんで彼女が選ばれたのか?
 それは、彼女を推している方々なら分かるかも知れませんが、僕を含めて普段から彼女の発信を随時チェックしていない人間からしたら、「大抜擢!」となるかも知れません。
 そこでまず参考にしたいのは、彼女の2021年の実績についてです。
 こちらのアメブロを読んでみましょう。

 もうね、5位の無限すごろくというのがいったい何のか気になって、AKB映像倉庫を探しましたよ。
 お願いですから映像倉庫は配信記録に一言「〇〇の巻!」みたいなのをつけて欲しいです。
 さてさて、話を戻すと、先ほどのアメブロからももたんが2021年にちゃんと結果を出してきたことが分かると思います。
 これまでのSKE48は乃木坂を始めとする坂道グループのように握手会売り上げを重視していましたが、彼女の場合はそれとは違うアプローチで選抜を手に入れたと僕は考えています。
 そのヒントになるのが、以前、ブログで彼女のことを取り上げた時に書いた、SHOWROOM配信についてです。
 あのブログを書いた後、彼女はSHOWROOMアワード2021AKBグループ賞を受賞します。
 まずは彼女が自分のSHOWROOMのルームについて書いたアメブロを読んでみましょう。

 ももたんの配信を楽しむももたん推しの皆さんたち、受け入れて来る人達がいるから、色々なことができる。時には一緒に喜んだり悲しんだり。これはSHOWROOMを作った前田裕二が著作「人生の勝算」の中で挙げた熱量のある理想的な配信空間と合致します。それは「誰かの物語」が「自分の物語」と重なる空間になっている状態です。
 彼女が自分の実力だけでなく「ファンの方々からいただけた賞」と書いたんですが、まさにみんなで作った空間ではないかと思います。

 さらにもう一つSHOWROOM配信について書いたアメブロを読んでみましょう。


 このアメブロでの「これはもも1人がもらったものじゃなくて毎日みてくれているファンの方と一緒にいただいた賞だから、みなさんを代表して」という表現から、やはり、みんなで楽しい空間を作るということを感じます。
 そして、「ショールームはももにとって大切な場所です」という言葉は、シンプルですが彼女が書くことで非常に説得力のある言葉になると思います。
 毎日アイドルももうすぐ1000日というのも凄いですね。
 自分とファンの方々を信じて、続けること。
 これは言葉にすると簡単ですが、実行していくのは大変なことだと思います。
 アメブロの中にもありますが、楽しみながら続けていけたからこその継続だと思います。
 SKE48の選抜の評価軸は、握手重視ではとファンの間では語られていましたが、ここで違う評価軸をももたんは持ち込んでくれたのではないか、と思います。
 それだけでは、ありません。「大富豪は終わらない」でのドラマ出演や「BLACK PEARL」や「青空片想い2021」選抜、それぞれが良い流れを生んでいます。
 その根底には、「自分が1番良い!!と思う気持ちを大切にする」というのがあるのかも知れません。
※こちらのアメブロを参照しました。
 
 もし、彼女が「握手会の部数が選抜常連メンバーよりも少ないし、選抜はまだまだ遠いかもしれないけど、『しょうがないよね』」という考え方だったら、きっと選抜になるまでまだまだ時間がかかっていたのではないでしょうか?
 2021年の生誕祭の際に「選抜になる!」と目標を口に出して、それに向けて毎日、頑張っていた彼女。
 落合陽一は、「しょうがない」という空気に支配されないために、矛盾してもいいからいくつもの一人の人間の中に複数の信念を持つことを挙げます。研究者としての彼は「役に立つものは正しい」と思いますが、アーティストとしての彼は「役に立たないものが正しい」
と考えます。どちらか一つだけの考えでは、行き詰ってしまうというわけです。
 握手会の売り上げだけが選抜の基準では、選抜までの時間がかかる。
 「まだ3年目だし、『しょうがない』か…」となる。
 しかし、彼女は「握手会の売り上げや部数は先輩たちが上かも知れない。『それでも』自分にはSHOWROOMや大富豪がある。支えてくれるファンの皆さんがいる」という動きが出来ていたわけです。
 そう、「しょうがない」という空気から逃れるためのひらがな4文字は「それでも」です。Aというプランだと厳しい「それでも」Bという別のプランがある。そうすることで、AのプランよりもBのプランの方に面白さやオリジナリティを感じて集まってくる人もいるかも知れません。
 複数の選択肢を持ち、その中にあった最良のものを大切にして毎日を過ごしてきたからこその選抜ではないかと思います。だからこそ、結果もついてきた。それは、総選挙という年に1度の「非日常」の祭りでジャンプアップするのではなく、配信という「日常」を豊かにしていくことでステップアップする進み方だと思います。

 2005年6月12日、アメリカのスタンフォード大学の卒業式でアップルの当時のCEOであるスティーブ・ジョブズがスピーチをします。ちなみにこの1年前にジョブズは、がんの宣告を受けています。
 スピーチの終盤で彼はこう語ります。
「17歳の時にこんな言葉に出会いました。『今日を人生最後の日だと思って生きよう。その日は必ずくるから』。その言葉は印書的で、以来33年間、毎朝、鏡を見て問いかけています。『もし今日が最後の日でも、いまやろうとしていたことをするだろうか?』その答えが何日も『NO』のままなら、何かを変えるべきだと気づきます」

 毎日アイドル1000日目の朝も、きっと、ももたんは自分の信じた大切な場所に、笑顔で向かっていくのではないでしょうか。

※なんとなくこの記事を書きながら思い浮かべた曲を貼ってお別れです。