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2019年2月21日木曜日

おすすめの映画と本③ さだまさし


圧倒的な文学性とメロディー


 みなさん、さだまさしってご存知ですかね。
 歌手で長崎出身の方なんですがね。NHKのケータイ大喜利よく見てた人だったら、いつも後に「今夜も生でさだまさし」やってたでしょ。MCも凄く面白い方なんですが、もう作品の一つ一つが素晴らしいので、今日はさだまさしの魅力を紹介しようじゃないかと思います。

 さだまさしと僕との出会いは、中学生の時です。
 たまたまBSでやっていた笑福亭鶴瓶師匠とさだまさしさんの番組で、「檸檬」を聴いた時でした。
https://youtu.be/n4a6GMDGcSs

 歌の中に登場する色彩の豊かさと「カナリア色の風」という見えないけれど、確かに想像できる表現。そして、青春の儚さを感じさせる歌詞。電車の音のようなギターのメロディ、総てが新鮮でした

 それから暫くして、薬師寺の奉納公演が2001年に行われましてね。「瑠璃光」という格好良すぎる名前です。
 ここでの奈良を舞台にした「まほろば」という曲が非常に素晴らしくてですね。最後の「青丹よし平城山の空に満月」というところは場所の効果もあって特別な感じがしたものです。youtubeに東大寺でのコンサートが残っていたので、観てみましょう。
https://youtu.be/TJ4QsjjVrhc

 なんとも不確かな二人の関係と時間の狭間の表現、そして、万葉集からの引用で遥か昔から現在まで実は人間同士の関係は変わらないことも連想させられます。さだまさしの曲ではこの曲が一番好きです。その次が「まりこさん」かな。

 さてさて、さだまさしって優しいんですよ。
 何がって?
 毎回アルバムにライナーノートとして、各曲に解説コメントのようなものを書いてくれているんですね。これがあることで、様々なことに高校の頃の僕は気づかされたもんです。ライナーノート読みたさに古本屋に行って、さだまさしの詩集を買ったもんです。当時、youtubeなんてないので、歌詞だけ読んで、いったいどんなメロディなんだろう、と想像を膨らませたもんです(『噺歌集』のMCだけをまとめた本もありましたね)。中でも僕が一番印象に残っているのは「償い」という曲のライナーノートなんですね。
 山本周五郎の「ちくしょう谷」からの引用文だけ書かれているんです。
「ゆるすということはむずかしいが、もしゆるすとなったら限度はないー
ここまではゆるすが、ここから先はゆるせないということがあれば、それは最初からゆるしていないのだ」
https://youtu.be/MzNeMZqNwL4

 曲の冒頭にもありましたが、この曲は裁判官が引用したことでニュースにもなりました。過ちを犯してしまった人とその後の「償い」。ドラマとかだと被害者側が描かれることが多いですが、加害者側にも後の人生がある。その辛さと「ゆうちゃん」の誠実さを感じる1曲です。

 さて、さだまさしの作品で一番聴いている曲は何かと考えると、「風の篝火」という曲でしてね。曲の中で描かれている情景と視点の動きが素晴らしくてですね。寝る時に聴いて、瞳を閉じて情景を思い浮かべながら寝ますよ。

https://youtu.be/2xUan01tVmY

 いきなり「水彩画の蜉蝣のような」ですよ。
 一番好きなところは「土産がわりの町言葉」
 もう言葉の磨かれ方が違う。
 蜉蝣のように儚く霞んでいく二人の感じが良いです。

 ちなみに紅條が考えるベストアルバムは、「夢供養」「日本架空説」でしょうか。「私小説」も好きなんですけどね。

 最後に詩集とか紹介しようと思ったら、全部「絶版だぁああ」だったので、小説で一番好きな「精霊流し」を。泣く気はなかったのに、「君を忘れない」と一緒に聴きながら読むと涙が止まりませんでした。
https://youtu.be/4QEgGwZRIK8

 はあ、なんか今回はシリアスな曲が多めの紹介ですが、今度は愉快だったり、ちょっと胸がときめいたりするような曲も紹介できればと思いますよ。
 ああ、でも、さださんが挫折して長崎に帰ってきた時の「駅舎」とかも本当は紹介したいんですよね。「防人の歌」とかも紹介してないし。「無縁坂」も。うん、長期連載で行こう。というわけで、1曲でも気になったら、ダウンロードして皆さんの生活に入れてみてください。
 短編小説を読んだみたいな充実感のある、いつまで立っても賞味期限が切れない楽曲ばかりですよ。共感していただけるか分かりませんが、この曲の世界の中に居たいと思わせられる曲ばかりです。そんな魅力がさだまさしの曲にはあります。