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2019年4月5日金曜日

おすすめの映画と本⑩ MIFUNE THE LAST SAMRAI



抜き身の刀


 皆さん、黒澤映画は見ますかね?
 僕は「赤ひげ」が一番好きなんですが、黒澤映画といえば、三船敏郎ですよね。
 
 三船敏郎のドキュメンタリー映画が去年公開されたんですが、ずっと観に行けないままでやっとソフト化されましてね。一足早くレンタルで観ましたよ。

 まずは、予告編を観てみましょう。



 ね、登場人物が豪華すぎでしょ。
 初めて知ることも多くて、元々、撮影助手を志望していたという話は知ってたんですが、戦時中に若い兵士たちの先生役をしていたというのは初めて知りましてね。なんとなく「血と砂」みたいですね。また、特攻に行く兵士たちにかける声が泣けるんですよ。

 日本に映画が出来て、時代劇が人気であったこと、そして、チャンバラという言葉が生まれて、侍というものがヒーローだった頃の話から始まります。
 その中でスピルバーグが語る、用心棒のミフネを「主君を失い、さまよっている姿だ」という言葉が印象的でしてね。特典映像の町山智浩さんと春日太一さんとの対談で出ている「主君が黒澤で侍がミフネだとしたら、彼のミフネプロ後の姿は…」という仮定がめちゃくちゃ面白かったです。あと、町山さんが指摘していたミフネとゴジラは志村喬に可愛がられる説も面白かった。さらに言うと、春日さんが語られていた、三船が「隠し砦の三悪人」で黒澤明の要求に応えるために居合いと流鏑馬を傷つきながら学んでいくエピソードとかも。

 「椿三十郎」で出てくる「良い刀は鞘におさまっているものですよ」も、当時黒澤が自分で会社を作って失敗している経験もあるのでは、そして、それをミフネプロを作ったミフネに言わせるという指摘も鋭くてね。映画本編も良いんですが、この特典映像のために買うのもいいと思いますよ。
 それから、スピルバーグのロングインタビューも特典映像では入ってますが、ミフネとの出会い、現場での話、「数十年経って気に入る観客が現れた」というミフネ出演の作品に関する話。どれも良いですね。

 ドキュメンタリー映画は大好きなんですが、この作品はとてもスタイリッシュで、音楽も良くて、何回でも観られるような作品です。
 映画で黒澤・ミフネ軸を楽しんで、特典映像で岡本・ミフネ軸を楽しむことが出来る作品でもあるかな、と思います。
 去年買った三船敏郎出演作の全作品解説を読みながら、また「用心棒」とか「七人の侍」とか「日本の一番長い日」を観ていきたくなりました。