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2020年8月30日日曜日

おすすめの映画と本「82年生まれ、キム・ジヨン」

 想像力のリーチについて


 この文章を書いている僕は田舎の男4人兄弟の長男として生まれました。
 めちゃくちゃ甘やかされて育った自信があります。
 何故なら、長男だったからです。

 今、考えると、後から生まれてきた弟たちよりも優先的に色々なものが与えられて、期待もされてきたと思います。特に親族の年をとっている人達からはそうでした。昔の家では、長男が家を継ぐのが当たり前でしたしね。
 それが当たり前の世界に居ました。

 今回紹介する「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んで、ゾッとしました。 
 僕は文学に出会わなければ、他者の心をわずかな表現から想像して考える文学に気づかなければ、この本に登場する男たちと同じようになっていたかも知れません。いや、そう思い込んでいるだけで、実は気づかずに誰かを傷つけているかも知れません。

 もともとは、映画が10月に公開されるので、今のうちに予習の為に読んで置こうと買ったんですね。主演に「新感染」とか「トガニ」のあの人もいるし。


 キム・ジヨンという一人の女性について描かれているんですが、要所要所で数値的なデータが出ていて、物語は開いたまま終わります。

 この作品に対して、「ポリコレだ!」とか「男性への憎悪だ!」という人に考えて欲しいです。この作品に出てくる無神経な男たち。「女だから」という理由以外にも大分問題がある気がしませんか?本当にその人に対しての配慮というか想像力に欠けている人たちがガンガン出てくる。勿論、その背景には男尊女卑思想が残っているどうしょうもなさもあると思うんですが、無意識の差別の怖さも感じる作品でしてね。
 何気なく誰かが言った言葉にキム・ジヨン氏は傷つけられていきます。

 この作品の中で、周りの人達の女性が働くことや、出産・育児に関する理解の無さ、女性管理職の少なさ、家に吸収されていく怖さ、様々な問題点が浮き彫りになってきます。
 
 もう、これまで出会ってきた全ての女性に、作中に登場したバスに乗っていた女性のように言いたい!「いい男性もいるから!」というか「いい男性になるから!」と反省させられました。

 この作品を読み終えた時、ふと、母のことを思い浮かべました。
 僕を含めて4人の子供を育てた母は、専業主婦として家にいました。
 彼女が時々、描く絵が子供の頃の僕はとても好きでした。
 ウルトラマンに出てくる怪獣の絵を描いてと頼むと、いつむ立体感があり、背景もしっかりとした絵を描いてくれました。そこに怪獣たちが居る感じがする絵をクレヨンで楽しそうに描いてくれたのを覚えています。
 また、宮沢賢治について彼の母親のレベルまで知っていて、時々僕に宮沢賢治が死ぬ前に見ていた緑色の海が来るという悪夢について話してくれました。
 全部、子供の僕が奪ったんじゃないか、とふと考えてしまいました。
 それは母に限ったことではなく、家業を継がない選択をした僕にお金を出してくれた父の気持ち。
 なんというか、想像力のリーチが短かったんじゃないか、と反省させられました。

 映画版ではこの物語の続きが描かれるそうですが、果たしてどうすればいいのか、今の僕には想像が及びません。
 ただ、誰かと結婚して家庭を持った時に家事を「手伝う」じゃなくて、主体的に「行う」人になるところから、まずは始めようかと思います。その人が「男だから」とか「女だから」じゃなくて、「その人だから」どういう言葉をかければ良いか、考えられる視点を持ちたいと考えさせられる作品でした。
 

2020年8月29日土曜日

映画「狂武蔵」を観ながら考えたこと

 何を読み取るか?

 突然だが、人生のどん詰まりだ。

 春に転職した仕事は、人件費削減の為にワンオペ化がどんどん進んでいく。覚えるオペレーションが多くて、自分でジャッジする時に不安がつきまとう。全く眠れない日々が続いた。
 もう限界だ、と思って退職を願い出た。地元に戻って、田舎の商工会議所の支援金をもらいながら起業しようか、と準備を始めていた。

 上司からは、退職を止められた。
 君ならすぐに管理者クラスにすぐになれると。
 いや、でも、そこに辿り着くまでに死にますよ、というのが僕の答えだった。

 もう一度、話し合おうと言われた。
 当初は、8月31日の予定だったが、急遽明日の夕方になった。
 もの凄く憂鬱で、家に帰りたくなかった。

 仕事の関係で、映画が今、ただで観られる。
 何を観ようかと考えた時、先日、『映画秘宝』で読んだ坂口拓さんのインタビューが面白かったので、「狂武蔵」を選んだ。
※予告編はこちら!

 

 事前に「キネマ旬報」の評論は読んでいたので、ある程度のアラはあるんだろうな、というぐらいの心境で見始めた。
 武蔵が出るまでの静かなタメが、とても素晴らしい。
 そこから、一気に死闘が始まる。
 同じ人が何度も斬られるシーンについて、最初は気になったが、脳内で「いや、吉岡一門だから、特殊な訓練を受けていて、そう簡単には死なないんだろう」と変換した。今まで観た武蔵もので一番生命力の高い吉岡一門とのバトルが始まった。

 静と動が波のように何度も繰り返され、時には色気を時には野性味を感じる武蔵の動きが素晴らしい。

 僕は映画を観ながらふと思った。
 そういえば、こんなことあったな。
 勿論、僕は生命力が異常に高い吉岡一門と闘ったことはない。ただ、似たようなシチュエーションはないか、と考えた時に一つ心当たりがある。

 僕は10年ほど、教育業界に居た。
 関西でトップの中学受験塾というと、だいたいどこかバレる気もするが、そこだ。
 夏休みになると朝の9時から12時まで質問タイムがある。
 ビルのワンフロアーに教室が6つあり、1教室に20人から40人ほど生徒がいる。このフロアーが4階分ある。
 生徒たちは質問があると、小さなメモ帳みたいな紙を教卓に座る監督みたいな人に出す。
 すると、先生の僕らが呼ばれて、質問に答える。
 だいたい1科目4人は居るので、一人あたりの人数は3時間でも質問の対応数はせいぜい30人から多くても50人ぐらいだ(全員が質問するとは限らない)。

 ところがある日、同じ科目の先生が運悪く体調不良になった配置ミスなどで、僕一人になったことがあった。まさに、この日は地獄だった。
 時間があっという間に経っていく。
 そして、徐々に教え方が洗練されていく。
 物凄く不思議な体験だった。
 映画の中で武蔵が「行くか。どうせ死ぬしな」と疲れを感じながら言う台詞がある。僕は何故か、この感覚になんとも言えない共感を覚えた。皆さんも、もうどうしょうもないぐらい疲れている時、ヤケクソになって飛び込んでいくことはないだろうか。
 あの状況の厳しさと半ば呆れながらも、それでも立ち向かっていった経験を思い出した。

 ストーリーは突然、7年後に飛ぶ。
 ここで武蔵が使う武器がカッコいい。
 パンフレットを読むと、仕込みクナイだったことが分かる。このシーンの為に、もう1回観たいぐらい、鮮やかだ。

 映画を観ながら、思ったことがある。
 今の状況は武蔵に似てるんじゃないか?
 逃げ場がないぐらい、押し寄せる不安とストレス。
 退職したらお金もなくなる。
 
 じゃあ、どうやって切り払う?
 鮮やかに足元を切り、頭を割り、刀を振り回す?

 そういえば、なんでこの業界に転職したんだっけ?
 京都国際映画祭を観に行って、まだ世に出る前の才能に感動して。
 じゃあ、今の会社の中でそんな若い才能たちを守る場を作れないか?
 今、映画はディズニーが続々と先のスケジュールを出すことで予めスクリーンをおさえる動きがあるそうだ。そう言われてみれば、マーベルもそうだ。これでは、若い才能をみようと思ったらミニシアターに行くしかない。でも、ミニシアターは田舎にない。じゃあ、田舎に住む僕の父や母や同級生たちは若い才能にふれることはないまま死んでいくのか?

 若い才能が発表できる場をオンラインで作れないか?
 認められたらデカいスクリーンもジャックできるようなものを。
 僕が座った席を掃除する映画館のアルバイトの若者が、秘かに暖めている才能を発揮できる場を作りたい。youtubeだけではなく、きちんとお金が入る仕組みも込みで。

 僕は、家に変えるとパソコンに向かった。
 先ほど、企画書が作り終わった。
 多分、新人の戯れ言と笑われるかも知れない。
 まだ、僕の実績なんて知れている。
 でも、その場を作りたいと強く思った。
 何年かかるか分からないが、やりたい。
 企業内起業だ。

 頭の中で武蔵の声がする。
「下がるな!侍だろ」

 不思議な映画だった。

白井琴望にありがとう

 文脈からはみ出る才能

 「どうかしてるぜ」
 皆さんは、生活の中でこの言葉を言う時、どんな状況でしょうか。
 理不尽な現実に対して、あまりにも野菜が乗せられたラーメンに対して、様々だと思います。
 僕はよく誉め言葉として、この言葉を使います。
 こちらの予想を遥かに超えたクオリティのものを見せられた時がそうです。
 それはとても嬉しい時でもあります。
 三池監督版映画「13人の刺客」の冒頭15分を見た時、町田康の小説「告白」のある思考の到達まで来た時、オードリー若林さんと南海キャンディーズ山里さんの1時間以上のアドリブ漫才を見た時、僕はこの言葉をつぶやいたものです。

 SKE48にもそんなメンバーがいます。
 それが白井琴望です。
 
 


 皆さん、この動画の後ろの方にいるパンダの巨大なぬいぐるみ、パンちゃんが見えますでしょうか。このパンちゃん、この2年半後に17時間配信企画で解体されて、綿を抜かれます。そして、姉のゆっちが中に入って「ソーユートコあるよね?」を踊ることになります。
 

 

 どうかしてるぜ。
 この衝撃。
 こっちゃんの発想力の豊かさには、本当に毎回驚かされました。
 なんで過去形で書いているかというと、彼女はもうSKE48を卒業するからです。
 僕個人としては、youtuebeチャンネルということで、youtuberぽいことにもチャレンジしているんですが、上記の動画の衝撃と比べると少し薄く感じます。
 それは何故か?
 色々なメディアの文脈があると思います。
 youtubeやFacebook、Instagram、それぞれインフルエンサーや人気配信者がやったことをなぞって発信する。
 これの退屈さに気づいている人といない人の差は、観ていて大きいと思います。
 世界の配信者の中で、ぬいぐるみを解剖して、中に入って踊る現役のアイドルがどれぐらい居るでしょう?
 こういう思考の飛躍があるからこそ、こっちゃんは凄いと僕は思っています。
 僕が今、推している10期生の五十嵐早香と比較すると、彼女の文章の素晴らしさやなんでこんなこと思いつくんだ、という「狂気」を感じるんですが、どっちかというと、「陰の狂気」なんですね。それに対して、こっちゃんは、観ていて何故か笑ってしまう「陽の狂気」なんですよね。なんで、こんなこと思いつくんだ!とパンちゃん関係では毎回驚かされました。
 この発想の根源には、いったい何があるんだ、とつくづく思わされたものです。

 こっちゃんの凄さは、発想力だけではありません。
 自己プロデュース力の高さやファンを引っ張っていく発信力の凄さ。
 そして、アイドルとしてのパフォーマンス力の高さもあると思います。
 こっちゃんねるでもダンス動画をあげていましたね。
 メンバー一人一人を応援する総選挙動画も作っていましたが、メンバー一人一人の言葉を調べていく過程を想像するだけで、頭を下げたくなります。

 忘れてはいけないのが、じゃんけん大会にソロ出場して手に入れた「誰にも言わないで」。
 先日、youtubeで10万回再生を達成しましたが、一人のアイドルとしてソロ曲があるというが素敵ですよね。MVには、パンダが出てくるんですが、こっちゃんの探偵コスプレも似合っていて時々見返したくなるんですよね。

 卒業発表をした動画でもこれからについて語っているんですが、ファンの方や周りの方たちのことを考えてることが伝わる内容になっています。同期の菅原のコメントも素晴らしい。


 

  これからのこっちゃんの夢がどんな風に形になっていくのかが、楽しみです。
  「人の為になる仕事」ってなんだろう、まさか、探偵事務所?
  そんな楽しい想像をしながら、この記事を終わりたいと思います。
  だって、こっちゃんの思い出は本当に楽しい驚きばかりでしたから。
※このMV、小物が凝ってていいですよ。

2020年8月28日金曜日

第7回~第9回アンケート結果発表

明日へのヒント昨日に探して

 
 今日は、久しぶりにアンケート結果の発表ですよ。
 まずは、第7回のアンケート結果から。


 

 「本編」がトップですね。
 僕はコンサートの1曲目の「始まったあ!」とか「来たぁ!」という瞬間が大好きなんですが、これも「本編」ですね。アイドルのコンサートだとユニットブロックがありますが、ユニット曲を意外なメンバーがするとかも面白いところですよね。
 次が「アンコール後やサプライズ」。
 僕はここが一番好きなんですよね。
 物語が動く瞬間。
 あとは、アンコールの最期の曲がどんな曲が来るかも楽しみなんですよね。
 SKE48ファンの僕は、一時期「『仲間の歌』来い!」と念じていたものです。
 そして、「終わったあと」や「行くまで」が続きます。
 終わったあとに、ヲタ仲間のみんなと喋ったりとか充実感を持って帰る時間が好きな方の投票ですかね。「行くまで」は、ワクワクした期待の時間ですかね。

 次、コンサートに参加したら、全部楽しいコンサートになるといいな、と思っております。

 第8回は、「推しが卒業した時、あなたはどうだった?」 


 推しの卒業は、辛いですよね。
 僕は初めてできた推しメンの中西優香が卒業を発表した時に、完全に心が折れてしまいましてね。 何故か、身体のバランスが崩れ、翌日の会社を休むことになりました。
 次の推しメンの卒業発表の時は、絶賛無職中でしたが、記憶がほとんど無いんですね。唯一覚えているのが、卒業発表を観たのが夜で次の記憶が、1日過ぎた夜の同じ時間だったという感じです。
 皆さんもいろんなダメージを受けていますね。
 なんか、ダメージを受けない卒業ってないかな、と思う今日この頃です。
 

 第9回は「このブログのこれから」について。
 いやあ、投票数が上の二つと比べて超少ない。
 

 

 結果からみると、「今のままで充分」ですね。
 ただ、「誰かとトーク、あるいは執筆者を増やす」が30パーセントあるので、ちょっとこっちも出来たらチャレンジしてみたいな、と思います。
 ZOOMで繋いで対談して、それをyoutubeとかでアーカイブ化したらいいんですかね?
 それとも文字メディアだから、対談の書き起こしで行きましょうか?
 そもそも、対談したい人とか居るのか、という疑問もありますが、募集してみましょうか。別にSKE48だけじゃなくて、他のジャンルでも良いので、好きなものについて語れるトークになるといいな、と思っています。
 執筆者を増やすは、結構冒険ですね。
 あくまでブログはコントロール下において置きたい反面、雑誌的な面白さもあるので、こちらもやってみたい人が居れば、やってみたいと思っております。



2020年8月25日火曜日

夢と日常と

文化祭の準備の夜




 仕事の関係で、このコロナ禍で日本においてよく観られた映画と今後期待される映画のデータ分析を個人的に先週からしていました(ちなみに、僕はこのデータから会社に何か提案したところで、どうしょうもないので、ここに書いておきます)。
 恐ろしいぐらい80年代から90年代の映画が多いです。
 先日読んだ映画ライター二人が書いた「ヨシキ×ホークのファッキン・ムービートーク」でも10年代にハリウッドで起こったリバイバルブームについて語っていますが、過去の美化だけが進んでいて、本当に当時興行収入が1位になった映画は、ろくにリバイバルされていないことが語られていました(単純にその映画がいかがなものか、という問題もあると思う)。また、素晴らしい名作を貶めてしまった作品も出てしまったとも。

 なんで作り手側も受け取る側も過去に頼るのか。
 一つは安心感だと思います。
 これは一度見ているから。
 面白いのが分かっているから。
 自分よりも上の世代が面白いと言っているから。
 
 そういえば、世界を制覇したマーベル映画やこの夏大ヒットした「今日から俺は!!」、どちらも過去に発表されたコミックのリブートですね。
 
 
 ふと、SKE48はどうだろう、と思いました。
 この10年間、様々な「目標」や「夢」がありました。
 「AKB48を超えたい!」、「ガイシホールでコンサートがしたい!」、「名古屋ドームでコンサートがしたい!」。個人のレベルでも総選挙という起爆剤があったので、目標が立てやすかったと思います。ランクインや選抜入りですね。そして、グループ内でのシングルの選抜に入る、センターを取るなんかもそうですね。
 
 しかし、この3年間でグループを取り巻く環境は大きく変わりました。
 総選挙もじゃんけんもなくなり、シングルの発売も1年に1回レベルになりました。
 握手会も形を変えつつあります。
 
 これまでの夢や目標と違うものを設定する必要があるんじゃないか、と思いました。
 話をエンターテイメント業界に広げると、現在、zoomを利用した演劇や映画作品の制作が進んでいます。また、アイドル業界では欅坂46や日向坂46の無観客配信が成功をおさめています。特に日向坂46は曲と童話のバランスがよくて、今年のナンバー1ライブだと思います。欅坂46の方は、最後に「お知らせ」があるということで、サプライズを待ちながらコンサートを楽しむという昔のAKBのコンサートを思い出させるものでした。
 
 形は違っても楽しさや感動は残って行く。
 じゃあ、SKE48はどうなのか?

 一部の選抜メンバーの個人仕事は充実しています。
 たとえば、週に1回はテレビでだーすーこと、須田亜香里の顔を見ます。
 彼女がSKE48と一緒に出てくれることで、SKE48が他の人の日常に混ざります。
 テレビなんてみないよ、youtubeとかなら観るよ、という方向けにもダンスにチャレンジする動画で彼女が出ていて、SKE48は知らないけど、須田は知っているからちょっと観てみるか、というところから、彼女のもっている本質に触れることができる。
 つまり、ちょっとずつ日常に混じっていき、少しずつSKE48側に引き寄せるのが、今の彼女なのでは、と僕は思っています(媒体は違えど、かつての松井珠理奈や松井玲奈がそうであったように)。

 ただ、名古屋ドームや総選挙という大きなイベントを乗り越えて、成功をおさめてきただーすーなので、今、SKE48をどうしたいのか、聞いてみたいところだと思います。

 同じチームEの倉島杏実先輩の「自分たちの世代で名古屋ドーム」に立ちたいという夢が僕は大好きです。
 SKE48に、松井玲奈に憧れて、ずっと見てきた人が、今度は自分の足で名古屋ドームまで辿り着いたら、きっと僕はその物語に泣いてしまうと思います。
 是非、倉島先輩には名古屋ドームまでSKE48を引っ張って欲しい。
 その反面、名古屋ドームという大きな目標は、2017年から2018年に再度浮上して、残念ながら10周年を迎えた日に沈んでいきました。あの時の絶望感。夢と呪いがコインの裏表なんじゃないか、とふと思いました。
 ひょっとしたら、珠理奈1位、だーすー2位という追い風を受けての開催を考えていたのかも知れませんが、現実は違いました。
 
 じゃあ、2020年現在、どんな夢を設定すべきなのか?
 「総選挙」、「名古屋ドーム」というSKE48が紡いでいった物語をもう一度、進むのか。
 それは運営が決めることなんで、なんとも言えませんが(もし、運営が何も考えてないとしたら、怖すぎる)。
 予防医学研究社の石川善樹さんの著作「フルライフ」によると、「大局観」をもってプランニングすると、1年目では他の人と違いはないそうですが、2年目3年目では大きな違いが出るそうです(この辺りは、『重心』をどこに設定するかとも大きく関わるので詳しくは読んでみてくださいませ)。運営が2022年までのプランをどう考えているか楽しみです。

 本当に余計なお世話ですが、一人のSKEファンが提案するとすれば、このコロナ禍の環境で伝説を書き換えてみせる企画ができないか、ということです。

 たとえば、カミングフレーバーを本気でSKE48の歴史をなぞりながら、選抜と別動隊として外で戦えるユニットにしようと思うのなら、「無観客配信ライブ2デイズで名古屋ドームの人数を超えられるか」という企画はどうでしょう?(別にカミフレに拘らず、SKE全員でも7期以降の名古屋ドームを経験してない世代でも結構です。) 
 場所は名古屋ドームにこだわる必要はないですが、名古屋ドームにライブカメラを何台か置いて、見え方も変わるマルチアングルで、アリーナ席の気分、天空席の気分、どっちも味わえるとかね。お金の関係で名古屋まで遠征に行けないけど、配信なら海外や遠くの地方からでも参戦できるよ、と(フォートナイトでの中継のようにユーザー側が可視化できる設定でも面白いかも知れません)。
 コロナ禍でできるチャレンジはないか。
 そして、次の目標へ。
 「知っている」場所にして、次の「知らない」場所へ。
 伝説を知らない世代が新しい伝説を作っていくチャレンジはどうだろうと僕は思います。
 

 昨日、「伝説のライブ」についての記事を書きましたが、どんどん美化されていくんですね。だから、過去を越えて新しい夢を作るアイディアが今の僕らには、必要なのかも知れません。
 勿論、劇場やゼストスクールという場所があるからこそ、文化として残っていき、日常の中にSKE48があるという未来でもいいと思うんですよ。たとえば、毎週土曜日に「オードリーのオールナイトニッポン」を聴くのが僕の習慣になっているんですが、それと同じように毎日、午後6時に公演を観るのが習慣になっていく人が増える、メンバーの夢が叶っていくという未来も大事にしていきたいんですけどね。
  
 ただ、なんとなく流れる日常と、遠くの夢のバランスがもの凄く偏ってるなあ、というのが、僕の現状の認識です。「オードリーのオールナイトニッポン」でも10周年全国ツアーがあったように、そろそろどでかい祭りのが欲しいぜ、いや、ワクワクするような文化祭の準備がメンバーと一緒にしたいぜ、とも思っています(急に比喩表現になりました)。カレンダーの日付を特別にしてほしい。
 
 前の夢と新しい夢、前の日常と新しい日常。
 全部、乗り越えて2022年のSKE48が、さらに面白いものになっていることを願っています。

 

2020年8月24日月曜日

あなたの伝説のライブとは?

 伝説の生まれ方



 『BRODY』の2020年10月号が面白いです。
 各アイドルグループのメンバーやそれに関わる人達に、「伝説のライブ」についてインタビューしていった特集「伝説のアイドルライブ」。
 

 SKE48ファンの僕は、AKB48の二人が語る「伝説のライブ」の中では、自分も行ったことのあるライブもあり、ああ、確かにあの会場のデカさは異常だったな、とか、あの時はこんな思いを抱いていたのか、という発見がありました。
 また、高橋監督のインタビューで、欅坂46とAKBの違いについて語られていましたが、SKE48と欅坂46との共通点を僕は発見することができました。
 まだ未読の方は是非!
 アップアップガールズ(仮)のライブに関する思い出もおすすめですよ!

 さて、じゃあ、自分にとっての伝説のコンサートは何か考えました。

 2014年2月1日~2月2日のSKE48単独名古屋ドーム

 
 SKE48が目標としていた「名古屋ドーム」でのコンサート。
 ついに夢が実現する日が来た、ということで、会場に行くまでこんなにワクワクしたライブはないのではないか、と思います。
 1日目の1曲目「神々の領域」で目に涙を浮かべながら歌う1期生たち。
 ついに辿り着いたんだ、という感慨にふけりながら、僕も涙を浮かべていました。
 そして、2日目のアンコールで、照明が一切消えた中で光るオレンジ色のサイリウムの海。これは、ファン発信でアンコールの時にSKEカラーで名古屋ドームを染めようという企画でした。
 いや、サイリウムの色が揃うのは当たり前だろ、という方もいらっしゃるかも知れませんが、SKE48は推しサイブームがありまして、なかなか当時は色が揃うというのが少なかったんですね。アンコールなんて特に。
 ファン発信でSKE48のメンバーに何かをプレゼントしたい、という思いと、山火事のように燃えるオレンジの海の「非日常感」。シャワーのように上から下へ響き渡る「SKE48」コール。
 ライブやコンサートは非日常を感じるハレの場だとは思いますが、あの時ほど、自分がこの世から少しフワッと浮いた感じは忘れられません。

 セットリストに関して、色々と思うところがある方もいると思うんですが、あそこまでに来るまでのドラマと、「非日常感」は一生忘れられない伝説のコンサートだと思います。
 さらに書くならば、もう一度名古屋ドームに行くためには、ファンもメンバーも共同で推せる「物語」が必要だと思います。
 多少強引かも知れませんが、2018年に一度、その「物語」は新たにできそうな予感もしていましたが、残念ながら、物語は途中で止まってしまいました。今はSKE48の「物語」が何なのか、僕には分かりません。
 だからこそ、自分なりに「SKE48」の目標を作って前進しようとするメンバーは素晴らしいと思います。

 他にも松井玲奈卒業コンサートも「伝説のライブ」だなあ、と思うんですが、それに関しては長々とこちらに書いたので、よろしければ読んでみてくださいませ。

 2020年8月現在、ライブの形態はなかなか以前のようにはいきません。
 無観客配信、お客さんの数を絞ってのライブ、様々な工夫がされています。
 でも、「物語」次第では、まだまだそれを盛り上げていけるのではないか、と僕は思っています。

 あなたにとっての伝説のライブはどれでしょう?

 

2020年8月23日日曜日

再生の夏

 ライジングのために必要なもの


 皆さんは、不特定多数の人から応援されたことがあるでしょうか? 
 応援してくれる人たちの期待に応えられているだろうか?
 その人たちは、自分を応援していて苦しくないだろうか?
 ふと、問題提起してしまいたくなることがあるかもしれません。
 自分を客観的に観られれば観られるほど。

 古畑奈和の場合はどうでしょう?

 2016年6月1日。
 総選挙の速報が出ました。
 彼女が目指していたのは選抜。
 速報のスタートは37位からでした。
 その際のアメブロ2つをまとめて読んでみましょう。  
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12166504867.html

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12166774433.html

 うーむ、奈和ちゃん、野心家ですね。
 2015年のアンダーガールズランクインで、自信を持った上で次は選抜を目指して、総選挙に挑んだわけです。
 総選挙は6月18日。
 ここから、彼女と彼女のファンとの闘いが加速していきます。
 18日までの間にふと、気になったブログが一つありました。
 それが、2016年6月9日のブログです。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12168860745.html

 特別な誰かを作らないから、特別扱いをせずに平等に接することが出来る。
 簡単なようで難しいことですし、彼女の優しさや誠実さ、そして、強さを感じられます。
 さらに6月11日のブログでは、自分がやりたい様々な夢を見つけていきたい、ということを書いています。勿論、グループ内ではセンターや、卒業後の女優というリーチの長い夢があるんでしょうが、そこへ繋げていくための目標のことも含んでいるのかも知れません(https://ameblo.jp/ske48official/entry-12169518533.html)。


 そして、6月18日。
 総選挙の日を迎えます。
 結果は29位。
 昨年よりもランクを落とした結果になりました。
 翌日に書いた選挙についてのブログを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12172387831.html

 周囲の期待と自分の魅力について。
 投票してくれた、頑張ってくれたファンという「光」。
 「選抜」という壁を壊す為に、彼女はまだ分からないけれど、「必要な何か」を掴むために動きだします。

 そして、ここまではまだ前置きの段階で、本題はここからです。
 6月27日の奈和ちゃんのアメブロを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12174778763.html

 2016年の古畑奈和のブログの中でベスト3に入るぐらい素晴らしい文章だと思います。
 観られるアイドルとしての古畑奈和と等身大の女の子としての古畑奈和が入り混じった文章で、ふと、ファンの側に思いを馳せています。総選挙という物凄く大きな波が来て、それが引いた後の静かな海のような時間に、自己と見つめ合った彼女。優しさと強さが入り混じった古畑奈和という人が表された素敵な文章だと思います。そして、彼女を成長させるための波がやってきます。
 夏という波が。

 夏の間に古畑奈和は目標を明確化し、それに近づくために動いていきます。

① 「ソロコンサート」(2016年7月2日https://ameblo.jp/ske48official/entry-12176674985.html)

② 「握手会の列の勢い」(2016年7月5日https://ameblo.jp/ske48official/entry-12178726982.html)

③ 「センターになりたい」(2016年7月17日https://ameblo.jp/ske48official/entry-12181583044.html)

 前に進むために彼女は一つ一つ目標を見つけていきます。
 僕は個人的に②の「握手会の列の勢い」に関しての彼女の配慮が素敵だと思います。
 さて、まずは、この②を解決するために、彼女はどんなアクションを取ったのか。
 7月14日の彼女のブログを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12180348955.html

 まずは、握手会の列を増やしたい。
 たとえば髪型というアプローチからそれが出来ないか。
 そのアプローチのリーチやターゲット設定なんか、どうでもよくて、彼女が手書きで一生懸命考えたところに胸を打たれてしまいます。
 
 また、7月17日の音楽番組の収録では、自分からトークに入っていくということをしていきます。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12184609804.html

 もう後輩じゃない、先輩側だという自覚。
 選抜メンバーという枠に入ったからこそ、苦手なこともクリアーしていく、という気概。
 うーむ、本当に変わろうともがいていきますね。
 ちなみにトークに入っていくことの難しさは「体育会TV」のオードリー春日さんをみてたら分かると思います。

 さて、課題を見つけて動き始めた7月。
 そして、いよいよその課題を乗り越えていく8月が始まります。

 まず、一人行動に関してもレベルアップしていきます。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12186386005.html


 そして、8月7日。
 TIF2016で彼女はセンターを務めます。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12188280334.html

 センターだからこそ、感じられる歓声。
 その喜び。
 僕は2015年のリクアワでの「前のめり」センターを思い出しました。

 そして、8月25日、27日のブログでは、自分の迷いに寄り添ってくれる方々への思いを伝えます。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12193724961.html

 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12194316839.html


 さらに8月29日。
 味の素スタジアムで行われた「a-nation stadium. fes. 2016」で、再び彼女はセンターに立ちます。
 今度はTIFよりも巨大な会場で、アイドルを知らない人たちの前で、彼女はパフォーマンスします。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12194654318.html

 「代役センター」という言葉が印象的ですが、珠理奈やだーすーという壁を越えていく決意をしていきます。そして、なんで総選挙の「選抜」に入りたいか、その先に何があるのかを考えていきます。
 ③の目標に対して、「この子なら任せられるかも」とファンや関係者の方に認めさせていくチャンスに恵まれ、結果を出していきます。

 握手会に関しても少しずつファンの方々と夢を共有したり、列が増えていきます。

2016年9月4日(https://ameblo.jp/ske48official/entry-12196826238.html)

2016年9月11日(https://ameblo.jp/ske48official/entry-12199071406.html)

 8月から9月にかけて、彼女は自分が見つけた目標を超えるために、自分が出来ることをやっていきます。
 そして、迎えた生誕祭で彼女は、9月15日に行われた総選挙メンバーコンサートでのAKBのシングルの選抜メンバーに、珠理奈しかいなかったことをスピーチの中で触れます。さらに、自分がSKE48のセンターを目指すこと、AKBの総選挙に入るというこれまでの目標に加えて、次世代の子たちの脅威についても話します。
 自分が居る位置は素晴らしい位置であるので、なかなか弱音を吐けない、悩みを表に出せない、という吐露。そして、「本当はもっと助けてほしいなってずっとずっと思ってました」という終盤の言葉。

 色々なものをさらけ出した生誕祭だったのではないか、と思います(公式サイトに全文載っているので、気になった方は是非、ご確認を)。よりメンバーやファンの方との関係もここから深くなったのではないか、と思います。また、本当に、周りに気を遣う子なんだな、と僕は感じました。

 そして、迎えた2017年の総選挙。
 彼女は見事に選抜入りします。
 そして、2018年にはソロコンサートを、2019年にはセンターになります。

 今回の裏テーマは、総選挙が終わって次の選挙までの間に、一人のアイドルがどう変化していったのか、ということを考えてみたかったんですね。以前、だーすーが順位を落としてから、どう再生していったのか、ということを考えたことがあるんですが、奈和ちゃんにそのケースはないだろうか、と思いましてね。

 奈和ちゃんの場合は7月から9月にかけての目標設定と行動、そして、心情の吐露が総選挙を乗り越えていくための礎を作り直していったのかも知れません。頑張るというのは、誰にでも出来ますが、それをちゃんと行動に移して結果を出していくことは難しい。腐らずにやり続けることも。

 推していて苦しい時もあるかも知れません、もどかしい時もあるかも知れません。でも、そんな時でも、メンバーたちは自分なりに目標を見つけて進んでいます。それは、2020年の夏もそうかもしれません。

2016年の古畑奈和ちゃんの夏は、再生して躍進する為の第1歩どころか、十歩ぐらい踏み出した夏でした。

※載せたかったけれど、載せられなかった印象的なブログもひとつ貼ってお別れです。

https://ameblo.jp/ske48official/entry-12199707797.html


※2017年の総選挙の記事はこちら!

http://oboeteitekure.blogspot.com/2020/06/blog-post_19.html

 

2020年8月20日木曜日

渚のイメージ①

未来を思い浮かべること


 急な話ですが、アイドルの曲って海に関する曲が多いですよね。
 流石に正確な数値は分かりませんが、AKB48の総選挙の投票券付き曲の「ポニシュ」、「エビカツ」、「渚のサウンドグッド」なんかは有名ですね(個人的にはMV含めて『渚のサウンドグッド』派)。
 また、NMB48だと「ナギイチ」や「僕らのユリイカ」が有名ですね。一人の海の孤独を歌った「僕はいない」も素敵です。
 更に海という場について考えさせられる曲といえば、STU48の「暗闇」、「風を待つ」、「大好きな人」なんかは、本当に海という場の使い方が上手いので、是非聞いて欲しいです(あと、甲斐心愛ちゃんって、かわいいよね。じゃなかった。僕は同郷の兵頭葵さん推しですよ)。

 さて、我らがSKE48でも「パレオはエメラルド」や「アイシテラブル!」なんかがそうですね。
 そんなSKE48に新たな海曲が登場しました。
 それが「渚のイメージ」です。
 


 まずは、歌詞の世界から見ていきましょう。

 曲の場所は海ではなく、カフェから始まります。
 季節はやっとカフェの外にテーブルや椅子が出た頃。主人公と一緒に来ているカフェに来ている「君」が、まだニットのカーディガンを着ていることから、春の始まりぐらいでしょうか。
 「君」が注文したかき氷から、「僕」は海へと誘いたくなります。
 そこから、波打ち際を二人で走る二人のイメージを思い浮かべます。

 2番ではもう、イメージがずっと続きます。
 「君」に日焼け止めを塗る妄想をしたり、夕陽に照らされてロマンチックな感じになったりする妄想を繰り広げます。
 しかし、大サビ前ではここまでの妄想をして、にやにやしているところを「君」見られたらどうしよう、と心配しています。いや、今いるのカフェのテーブルだから、バレてるんじゃないの、と思います。
 大サビでは、もう一度1番のサビがやってきて、もうすぐ楽しみな夏休みが来るという期待と共に終わります。

 いやあ、ワクワク妄想ソングですね。
 本当に「君」のことをいつも思っているからこそ、ガンガン妄想が進んでいく。しかも、明るい妄想が。
 
 曲に関しては、爽やかなメロディですよね。
 最近、70~80年代のアイドル曲を寝る前に聴いているんですが、それらのレコードと並べても違和感がないぐらい、王道のアイドルソングが来た感じがします。

 さて、それではこの曲を10期の研究生たちが歌う意味について考えてみましょう。

 まずは、まだ「海」という曲中で少し先の未来を感じさせる場所には辿り着いていない状況であること。
 そして、あくまでその「海」を走るイメージ、つまり、まだ想像の状態であることを考えると、研究生たちが未来を感じさせる場所で将来、活躍する姿をイメージできるのではないかと考えられます。その未来を感じさせる場所は劇場かも知れませんし、コンサート会場かも知れません。
 2番のサビの「オレンジ色に染まる」は、SKE48カラーのオレンジを連想させられますし、そのオレンジに染まっていくということは、徐々にSKE48に慣れて正規メンバーになっていくことを僕は考えました。
 「砂浜」という走りにくいところで、少し苦戦をしても笑っていられることも、なにかSKE48の「手をつなぎながら」っぽくて良いですね。
 「夏休み」というワクワクする時間が、もうすぐ来ることをサビの最後に持ってくることで、彼女たちが活躍する未来がもうすぐやってくる期待感を抱かせます。
 「場」も「時間」もまだ先ですが、明るい未来を感じさせるものです。
 久しぶりにSKE48の研究生にピッタリな、素敵な曲が来たんじゃないでしょうか?

 ちなみに、この曲を聴いてSKE48の「夏よ、急げ!」を思い浮かべた人もいらっしゃるんじゃないでしょうか?


 「渚のイメージ」と比較すると、「夏よ、急げ!」の主人公は曲の始まりから、海という「場」に来ています。イメージではなく、既に来ている。
 ただ、「時間」はまだ夏が来ていません。しかし、「骨組みのできた海の家」や「人影少ないこの渚」と「渚のイメージ」より、直接的に夏の近づきを感じています。
 これは歌っているのが、当時のSKE48選抜であったことも大きかったと思います。
 「夏」という未来がより近くまで来ていることを感じられる、それは選抜メンバーという「未来」を実感できる実力者たちの集まりが歌っているからではないでしょうか?

 つまり、「夏よ、急げ!」の選抜メンバーは既に劇場やコンサートといった「海」に立っていますし、熱く燃える季節である「夏」の近づきを想像ではなく体感で感じられる位置にいるということですね。
 それに対して「渚のイメージ」は、まだ劇場やコンサートといった「海」にあまり触れていない研究生たちと合うのではないかと思います。あくまで、まだ「イメージ」ということも。
 
 さて、この記事を書いている2020年は、完全にコロナ禍でSKE48のスピードは減速しています。でも、そんな時期だからこそ、僕はこの曲を歌っている10期生たちの未来をイメージしてしまいます。
 多分、その時の僕の顔も曲の主人公のように、にやけているでしょう。

 皆さんはどんなイメージをしましたか?

 

2020年8月18日火曜日

誰かの願いが叶うころ

選ばれなかった僕らにも明日は待っている

 

 皆さんは合格発表というものをどれぐらい体験したことがあるでしょうか?


 僕は教育業界に10年ほど身を置いていた関係で、もう100回以上、他人の合格発表を体験しています。


 特に小学生たちが挑戦する私立中学受験の合格発表は印象に残っています。
 あれは新入社員だった頃だと思います。
 ある大阪の中学校の合格発表は、学校の玄関前に置かれた掲示板に黒い幕が垂らされ、時間になると、パッとその幕が取られ、白い掲示板に合格者の文字が一斉に公開されます。

 その時の、阿鼻叫喚を初めて観た時、僕はなんて業界に入ったんだ、と後悔したものです。喜んで抱き合う家族。泣き崩れて動けなくなる子供。すぐに塾の先生に駆け寄る親子。無言でその場を去っていく家族。
 時々、僕も自分が教えていた生徒と現場で出くわすことがありました。
 合格していたら、おめでとうございますで良いんですが、落ちていた時にどういう言葉をかければ良いのか分からずに、ただ謝るしかなかったことを覚えています。
 当時20代前半だった僕には、何も言葉が出てきませんでした。

 社会の中でどうしても選抜はあります。
 本人の努力とは関係なく枠が決められていて、その枠に入るための基準が定められる。
 時にはみんなの見ている前で、選ばれた人と選ばれなかった人が分けられる。

 アイドルもそうだな、と僕は思います。
 僕がそれを強く感じるのが昇格発表です。
 昇格して喜びを全面に出すメンバー。
 自分の名前が呼ばれないのを悟り、俯くメンバー。
 そして、それぞれのメンバーに寄り添う周りのメンバーたち。
 皆さんはこういう時、誰に目が行くでしょう。
 僕は何故か、寄り添っているメンバーの方に目が行ってしまうんですね。
 多くの場合、先輩メンバーであることが多いと思うんですが。
 頭の中では、何故か宇多田ヒカルの名曲「誰かの願いが叶うころ」が流れています。


 思えば48グループほど、アイドル業界において「誰かの願い」が集まり、その結果を見せられるところはないんじゃないでしょうか?
 ファンの方々も推しメンへの思いがあるからこそ、なんで自分の応援しているメンバーは昇格できたのか、あるいはできなかったのか、それを考えさせられる瞬間でもあると思います。
 たとえば、和田愛菜という7期生がいます。
 すごく柔らかい性格の子で「和田さま」とファンからは呼ばれていました。
 彼女が何故昇格できなかったのか?
 僕には最後まで分かりませんでした。
 2018年4月28日にガイシホールで行われたコンサートの昇格発表で、彼女の名前はありませんでした。
 研究生期間で言えば、かおたんに迫るんじゃないか、と心配でしたが、この後、彼女は卒業します。
「プロの世界は甘くない」、「じゃあ、握手買えよ」というような意見も分かります。
 でも、何がどう足りないのか、をきちんと彼女に誰か伝えられているのか、その言葉を持っている人はどれぐらいいるんだろう、と思ったものです(これはメンバーというより運営の仕事だと思いますが)。


 以前、同じく7期生のなるぴーこと片岡成美が、2018年4月29日にTwitterでファンから和田さまへ連絡したかという質問に次のように答えています。

 「声をかけてもらって嬉しい時と嫌な時ってあるじゃん?人それぞれだからわからないけど私は何もしないのがいいかなって思ったからしてないよ。
 昇格できなかった時って悔しいってよりどうしたらわからんくなる」 

 自分に足りなかったものは何か、劇場でのパフォーマンスなのか、握手会の売り上げか、かつては、総選挙の順位か?
 以前は、松村香織という偉大なる研究生が居ました。
 もう、研究生でありながら正規メンバーを食う個性を持っていた判明後輩たちのケアも手厚くて、昇格できなかったメンバーへのケアもしっかりしていました。2013年の神戸での5期生山田みずほ昇格時に昇格できなかった後輩へのケアは映像に残っているので、是非、確認してほしいです。
 また、松井珠理奈も、これまでのSKE48の歴史を知っているからこそ、昇格できなかった後輩へのアドバイスをしています。
 声をかけるならば、それなりの責任や経験が必要なんだと思います。

 最近、印象に残っているのは、9期生たちが昇格した時です。
 2020年2月15日の静岡エコパアリーナで行われたコンサートの最後に昇格発表が行われました。
 研究生7名の昇格が発表されました。
 その時に呼ばれたメンバー呼ばれなかったメンバーの悲喜こもごもがありました。
 詳しくは「AKB映像倉庫」の活動記録の映像を観ていただきたいんですが、名前を呼ばれるかどうか、不安な後輩たちに寄り添っているメンバーがいます。
 それが、深井ねがいです。
 8期生の彼女は、同期の中では一番遅いグループで昇格しました。
 2回名前を呼ばれない瞬間を彼女は味わっています。
 だからこそ、呼ばれない側の気持ちやそれでも続けていった先の未来を知っているからこそ、寄り添えたのではないか、と思います。
 思えば、SKE48における努力の人であり、劇場の番人でもあった市野成美に研究生時代に弟子入りし、チームEのアンダーとして一緒に踊るために努力していた彼女。
 市野成美という人のイズムを受け継いだ彼女だからこそ、できる寄り添い方がきっとあるんだと思います。そして、努力した先に、アイドルとしてチームEの正規メンバーとなり、モデルとしてランウェイを歩く未来が待っていた。

 こうしてみると、ファンの方とは違った、メンバーだからこそできる寄り添い方があるのではないか、と僕は思います。
 残酷な現実と(時には理不尽な現実と)向き合わなければいけないイベントの連続である48グループにおいて、傷ついたメンバーに寄り添って進んでいく姿勢。誰かが辛い時は、他の誰かが寄り添う姿勢。
 これは、たとえ何年経っても、ずっとSKE48に残っていくのではないか、と思っています。
 

 次はきっと、ねがいちゃんに抱きしめられていたふゆっぴが、後輩たちを励ませるほどの活躍をし始めるんじゃないか、と実はワクワクしています。
 「その時の運営が分からなくても、ちゃんと僕らファンは君の価値を知ってるぜ」と言いたくイベントが昇格発表だな、とふと思いました。


2020年8月13日木曜日

松井珠理奈は現象になるのか?

 何色のイズムか?



 皆さんは、自分のアイデンティティや個性はどんなものか、見えなくなることがないでしょうか? 

 先日観に行った映画で印象的なシーンがありました。

「日向坂46ドキュメント 3年目のデビュー」という映画でした。

 それは「けやき坂46」から「日向坂46」に改名して、「自分たちの個性とは何か?」と悩むシーンがあったことです。

 メンバーの一人が「けやき坂46時代は、ダンスを全力でやって、出番が何曲かでもお客さんの目を全部持って行ってやるって思っていたんですね。でも、名前が変わってじゃあ、このグループの色は何だろう? 分からなくなった?」というシーンだったと思います(流石にまだ1回しか観ていない映画で、記憶だよりで申し訳ありません)。

 映画の中でこの悩みは「青春の馬」という名曲を聴いて、メンバーたちが号泣し、「自分たち日向坂がしたいことはこれだな」と気づくシーンが非常に印象的でした。



 じゃあ、SKE48のイズムはどんなものか、とふと考えました。

 以前、松井珠理奈と古畑奈和の兼任コンビの間に大島優子を置くことで、SKE48イズムというものが抽象的なもので定義しにくいですが、「曲を大事にすること」ではないか、と僕は考えたことがあります。

※気になった方は、是非、お時間のある時にこちらもお読みください。

「二人に惹かれる理由」

 さて、前置きが長くなりましたが、実はSKE48も先ほど挙げた日向坂46のように、自分たちがどのようなグループなのか、どう進むべきなのか、それが今年の春からのコロナ禍の影響もあり、どんなものだったのか、薄まり始めているのではないかと思います。

 そこで、もう一度、SKE48のイズムはどんなものか、考えてみたいと思います。


 「とにかくセンターにたちたい」

 「今も昔もギラギラしています」

 これはSKE48のあるメンバーの言葉ですが、皆さんは誰を思い浮かべたでしょうか?


 実は松井玲奈の言葉です(『SKE48 OFFICIAL HISTORY BOOK まだ、夢の途中』より引用)。

 かつてのSKE48イズムの一つとして、「反骨精神」や「負けん気」があったと思います。その根本には先を走っていたAKB48の背中やアウェイの現場で、インパクトを残したいというものがあったかもしれません(牧野アンナ先生の教えも含め)。

 同著では、SKE48のアスリート性の理由として「松井珠理奈が牽引していると思います」、「まわりのメンバーが『あれが平均なんだ』と思った」と秋元康は評しています。

 じゃあ、肝心の珠理奈はというと、「強いけど弱い」と自分のことを評しています。

 周りからの期待に応えるパフォーマンスをする「強さ」と、本当に期待に応えられるのかという繊細な心を持った「弱さ」。この二つが同居するのが松井珠理奈だと思います。

 いやいや、そんなのみんな同じでしょ、と思われる方もいるかもしれませんが、そうなんです。
 神格化されたセンターとしての存在ではなく、一人の人間として松井珠理奈を見る視点が欠けている時があったのでは、と思う時があります(これは僕にもあったので、自戒の念を込めて書いています)。
 そうすることで、彼女に負担が集中せずに、少なくとも彼女が色々なものに押しつぶされずに済んだのでは、と。
 2013年1月10日に発行された本の一節を取り出して、語るのはズルいと思いますが、彼女には「強さ」の方を求められすぎていたのではないか、と思いました(勿論、『強さ』を必要とする場面が多かったのも事実)。
 だから、彼女の「弱さ」というか繊細さを活かしたソロ曲の作詞は、彼女のもう一つの部分を活かした素晴らしい活動だったと思います。

 2014年の名古屋ドーム、2015年の松井玲奈の卒業、2018年の総選挙ワンツーフィニッシュ。
 これまでのSKE48やメンバーが目標としていたもの、指針としていたものは、次々と通過して消えていきました。
 SKE48とは何をするグループで、何を目指して、今どこにいるのか?
 残念ながら、僕にはもう定義できません。特に2つ目以降はさっぱり分からなくなりました。
 一つ目は一人のファンの視点で書かせていただくと、「全力で何かにぶつかっていくグループである」ということでしょうか。多分、SKE48よりもダンスが上手いグループなんて沢山あると思いますし、外国まで視野にいれると更に数は増えると思います。
 でも、与えられたことに対して、必死に立ち向かっていく姿に心を惹かれたのは確かです。

 松井珠理奈視点で見てみましょう。
 小学6年生の時に、AKBのセンターとSKE48のセンターになって、普通の生活と自分の小さな体に負担を与えつつ、週末は握手会に来る知らない人たちに励まされたり、時には文句を言われたりする、というあまりにも過酷な日々。
 それに対して、不安と向き合いつつも逃げずに戦い続けることが、果たしてできるでしょうか?
 なんとなく、連想した曲を貼っておきますね。


 

 「世界一嫌われた小学生」
 これは僕が尊敬するあるSKE48ファンの方の動画で出てきた松井珠理奈に対する言葉です。これほど、インパクトがあり、当時の彼女が置かれた境遇が表された言葉はないと僕は思いました。
 困難な課題や現実に直面した時、自分を奮い立たせてそれに向かっていく、決して強くなくても勇気をだして全力でぶつかっていく。
 ひょっとすると、それがSKE48を好きになった理由であり、彼女たちが持っている色なのかも知れません。

 新公演がこない現実。
 研究生として干され続けた現実。
 自分の目標がみつかったと思ったら奪われる現実。
 あいつは推されだから、と努力と成果を無効化される現実。
 いきなり先輩たちを抜いて、未熟な状態で公演のセンターに立たされる現実。
 突然、シングルの選抜に抜擢されてファンの反感を買う現実。

 メンバーにより様々な課題に直面しています。
 でも、その時に周りのメンバーの支え、ファンの方々の支えで乗り越えてこれたのは、ここに書くまでもありません。

 試練や課題に立ち向かう「強さ」と他者の痛みを想像できる「弱さ」この二つこそが、松井珠理奈を始めとするSKE48メンバーの色なんじゃないか、と最近は思っています(補足すると松井玲奈ほどこのバランス感覚が良い人はいないと思います)。
 時代によっては「強さ」というものを全面に出さないと前に進めない時期もあったと思いますが、今はそのフェーズを過ぎていると僕は思っています。
 「弱さ」を大事にして他者の気持ちや努力を想像して、励まし合いながら前に進む。
 そう、「僕は知っている」の歌詞のように。


 松井珠理奈は既に卒業を発表しています。
 SKE48を離れることで、彼女という「個性」は芸能界に移ります。
 でも、彼女が持っている「強さと弱さ」は、「現象」としてきちんとSKE48に根付いていってほしいな、と思います。
 特にこれからのSKE48を作っていく世代にも。
 彼女を始めとする先輩たちが切り開いてきたように、新しい道を進んで行って欲しいなと思います。

 「赤いピンヒールとプロフェッサー」も「ソファーとクッション」、どちらもバランスよく継承できる、なんならアップデートしてた珠理奈が喜んでくれる、そんなメンバーが出てくるのを楽しみにしています。
 

2020年8月11日火曜日

第5回・第6回アンケート企画発表!

昨日と今日と明日のこと


 さあ、今日は第5回と第6回のアンケート結果をまとめて紹介しますよ!

 まずは、第5回のアンケート結果です。
 テーマは「アイドルにハマった年代は?」です。




 僕は20代でまずAKB48にハマったんですが、10代からの方が半数を超えていますね。先日のアンケート結果のファン歴と並べて考えると、僕のブログの読者の方って、ひょっとしてアイドルファンとしては、ベテランの方が多いのかな、とふと思いました。10代の頃に好きになったものって、僕の個人的な見解ですが、自分の人間性にも影響を与える趣味になる可能性が高いと思うんですね。
 きっとお金も自由に使えた環境では、まだ10代なのでなかったと思うんで一つのコンテンツを繰り返し楽しみ、自分の中に浸透していったのではないか、と思っています。
 推しているアイドルたちと同年代なので、どんな視点で応援していかも気になりますね。
 
 次は20代と30代が同じ数字ですね。
 この辺りからある程度の収入があって、自由に遠征もしやすくなるので、趣味を楽しむにはなかなか良い年代での出会いなんじゃないか、と個人的に思っています。
 推しているアイドルより少し年上世代になるんですかね。
 僕も色々と遠征できたのは嬉しかった反面、休みが取りにくい仕事だったので、1回1回のコンサートに行くまでの根回しが凄く大変だったという記憶です。

 最後は40代以上。
 これは、どういう理由でアイドルにハマったのかが気になりますね。
 40代以上になってないので、あくまで想像の域を出ませんが、コンサートや握手会なんかで観ていると、本当に楽しそうな表情をされている方や、知り合いの輪が広い人が多いなと感じております。
 僕も40代になってもSKE48を楽しんでいたいな、と思う次第です。
 
 今度はそれぞれの好きになったきっかけを知りたくなりましたね。
 たとえば、10代の時の方はどんなメディアで出会い、40代以上の方はどんなメディアで出会ったのか?それは同じメディアなのか、とかですね。
 今度、アンケート企画で聞いてみようかしら。

 スポーツと同じでアイドルは、長く観れば観るほど楽しめることが増える分野だと思っています。


 次は第6回アンケート企画の発表です。
 
 
 
 2020年という人類史において、何度目かの未知のウイルスによる社会の混乱が起こったこの1年。人と人が離れることが推奨され、これまでの「コト」消費が見直される1年になるではないか、と思います。
 思えば48グループは、「モノ」消費に「コト」消費を乗せて成功したと考えていましてね。
 00年代から10年代までの成功していた集金モデルを、これからどのように変えていくのかが非常に楽しみではあります。
 で、僕はどちらかというと在宅ヲタで、行ってもコンサートと総選挙ぐらいで、握手会にはなかなか行かないタイプのヲタだったんですね。
 そんな理由で、今の推しのSKE10期生の五十嵐早香先生に1回も会ったことがないんですよね。果たしてこれから会うことがあるんだろうか?会っても特に話すこともないんですよね。

 さて、まず今年中に会ってらっしゃる方が、48.6%。
 まだ春まではギリギリ活動が出来ていたアイドルが多かったので、その頃に会われた方が多かったでしょうか?
 
 次に昨年、2019年に会った方が34.3%。2018年以前が5.7%。
 これ一気に約8割の方が会っていることになるんですが、最後に会ったのが2年前ぐらいになると、そろそろ会いたくなる頃でしょうか?

 最後にそもそも会ったことがない、という方が11.4%。
 僕もここの層ですね。
 果たして会うことがあるのか?
 という疑問もありますが、アイドルとの距離が昭和の時代のように、全く会えないというところに戻り始めているとは思わないんですよね。
 テクノロジーの発達から、showroomやzoomを利用した握手会やイベント、配信による楽しみ方を探していく過渡期に今はいるんじゃないか、と思います。
 これからのアイドル文化が、どのように変化していくのが楽しみです。

 なんとなく、チームラボの最新作、「フラーワーズボミングホーム」がヒントになるような気がするんですよね。
 離れたまま、みんなが繋がっていくフォーマットを作る。アイドルが離れた場所で踊っても、一つのステージフォームで融合する。
 更にファンのサイリウムもバックの暗闇に光っていく、とか、様々な創造を誘発させる作品だと思っています。
 この記事を1年後に読んだ時、果たしてどうなっているのか、今から楽しみです。

2020年8月10日月曜日

そろそろ本腰入れて最高の「ハート型ウイルス」を決めようじゃないか

はじめはピンと来なくても


 先日あるフォロワーさんが、ツイートしていた言葉がありました。

 「はじめはピンと来なかったんですけどね」

 おそらく別の方との何気ない会話だったと思います。
 僕は「ちょっと面倒な気もしてたんですよね」と書きたい衝動に襲われました。
 「こいつはいったい、何の話をしているんだ。社会に害をなす前に撲殺しなければ、天馬覆滅、滅亡迅雷net」と思った方は、DXゼロワンドライバーをセットする前に、まずこの曲を聴いてみてください。

 


 こじはること、小嶋陽菜のユニット曲「ハート型ウイルス」の歌詞だったんですね。
 それを踏まえてもう一度、最初の文章を読むと、ほとんど何かの病気の人みたいですが、僕はときどきこういう衝動に襲われることがあります。

 さて、この「ハート型ウイルス」。
 曲の魅力を考えた時に、イントロのカッコ良さや、歌詞の素晴らしさも挙げられると思うんですが、最初の3人で1本のマイクをまわして歌う振り付けが、歌う3人の魅力を引き立たせると思うんですよね。
 もともとは、小嶋陽菜、大島麻衣、川崎希がオリジナルメンバーですが(凄い豪華なメンツ)、ユニット曲としての使いやすさもあって、コンサートでは様々なメンバーがチャレンジしています。

 今日はそんな「ハート型ウイルス」の最高のバージョンはどれか、探していきたいと思います。
 我らがSKE48でも何回かチャレンジしていますね。
 個人的にはさーなんこと髙寺沙菜卒業時のAKB48SHWOでのユニットが印象的ですね。
 あとは、松本慈子、古畑奈和、白井琴望が2018年にガイシで披露したバージョンが僕は一番好きですかね。

 
 0:21秒の古畑奈和ちゃんの表情が気になりますね。
 一人一人に台詞を言えるのも良い。
 そして、何より、白井琴望という人のアイドル性を凄く感じて、引退は勿体ないなあ、としみじみ感じるバージョンです。
 ソロコンサートでのゆななソロのバージョンも凄かったですけどね。

 さて、じゃあ、AKB48だとどのバージョンが好きかというとですね。
 小嶋陽菜、高橋みなみ、峯岸みなみの3人の「ノースリーブス」バージョンをよく聴いてたんですが、前田敦子、篠田麻里子、板野友美のめちゃくちゃ豪華なバージョンも素敵ですね。やっぱ、あっちゃんの声は独特で、一発で彼女のものだと分かるなと改めて思いましたよ。
 

 

 そして、ぱるること、島崎遥香センターバージョンも良い!


 

 光宗さんが懐かしいですね。
 ちなみに2次元だと、AKB0048でNONAMEが第9話で歌った同時多発「ハート型ウイルス」ですね。
  
 

 秦さんとくーみんの「ハート型ウイルス」が聴けるとは!
 
 まあ、他にも難波や博多でも披露されているんですが、今日のテーマは最高の「ハート型ウイルス」は何かなので、僕のナンバー1を挙げるとすればこれです!

 
 まさかのマジすかとのリンク。
 しかも、まゆゆ演じるネズミにツインタワーが来るという采配。
 もうね、学ランの宮澤佐江がカッコよすぎる!
 サビで急にアイドルになるギャップもたまりません。
 秋元才加さんのチョウコクの目力も良いんですが、髪をかき上げる仕草のカッコ良さ。そして、まゆゆ演じるネズミの悪だくみしてますよ、という喋り方。
 どちらかというと、王道アイドル曲にマジすかというヤンキードラマをブレンドしたベストマッチこそが、僕の最高の「ハート型ウイルス」です。
 
 皆さんの「ハート型ウイルス」はどれでしょう?

2020年8月8日土曜日

ガラスの割り方

お前はもっと自由でいい  

自分の好きな人が不安になった時、あなたは何が出来るでしょう?

 2017年6月17日。
 8位で選抜入りという最高の形で惣田紗莉渚の総選挙は終わりました。
 いきなりSKE48のナンバー3にまで登りつめてしまいました。
 「S田3姉妹」という言葉が2015年頃からありましたが、須田亜香里、柴田阿弥に匹敵する実力者であるということが証明されました。
 この年、彼女の1年は充実していました。
 メディア出演は勿論ですが、初の写真集も発売されました。

 果たして、翌年はどうなる? 
 彼女は2018年5月27日のブログで直筆でファンへのメッセージを書いています。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12378963465.html

 そして、2018年5月29日のブログで「3位」という目標をぶち上げます(なんというか、これほど『ぶち上げる』という表現が似合う目標があるでしょうか?)。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12379629010.html

 うーむ、そういえば、この年、惣田さんはAKB48の選抜に選ばれてなかったんですね。なんか、ひと昔前のだーすーを見ているような気持ちになりますね。周りが認めないんなら、もう一度総選挙で認めさせてやる、この心意気がカッコよすぎですよね。

 2018年5月31日。
 速報が発表されます。


 そこに、彼女の名前はありませんでした。

 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12380184753.html
 
 「3位」という目標と「圏外」という現実。
 「消えた」という声。
 この日を思い出して「1時間で帰れる道が何故か3時間かかった」と彼女は後に語っています。

 ここから、彼女はブログでファンを鼓舞しつつ、総選挙までのカウントダウンを行います。この期間中の握手会やSNSでファンの方々とコミュニケーションをとりながら、選挙に進んでいきます。
 この時の惣田さんのファンの皆さん、通称「サリナーズ」の方々の頑張りを想像すると、なかなか胸に来るものがあります。
※6月8日のブログもなかなか素敵なので、未読の人は是非、チェック!
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12382335432.html
 
 そして、いよいよ迎えた6月18日。
 彼女は11位にランクインします。
 まさかの圏外からの選抜という伝説を作ります。
 彼女がデビューした名古屋ドームで、見事に伝説を作ってみせたわけです。
 この日のことを2018年6月21日のブログで書いています。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12385207982.html
 
 まず、めちゃくちゃ良い写真ですよね。
 ここで出てくる言葉として印象的なのが「傍観者」という言葉です。
 SKE48のワンツーフィニッシュ。
 この時の会場の盛り上がりと多幸感は未だに覚えています。
 でも、自分はまだそこには居なかったという冷静な目線。
 ナンバー3の座もみなるんに譲ってしまう形になりました。
 最前線へ行きたい、そんな彼女の前にまだまだ壊せない壁が聳え立っていた。
 伝説を作った喜びと聳え立った壁の現実。
 彼女の闘いは終わると共に、新しく始まった気がこの時のブログを読んでしました。

 それから約2か月後。
 2018年8月2日に総選挙の感謝祭が行われました。
 この日は2位から16位までにランクインしたメンバーが、それぞれソロ曲を披露するブロックがあり、古畑奈和の「誰かの耳」の衝撃、大場美奈の野間口さんとの爆笑コントと、それぞれの魅力がいつもと少し違うファンの方々にも知っていただくチャンスの場でもありました。

 果たして惣田さんはどんな個性を見せるのか。
 うずくまった状態で現れた彼女は、ピアノの旋律とバックダンサーたちの動きによって、彼女は踊りだします。僕はふと、うずくまった彼女をみて、5月31日の彼女を思わず思い出してしまいました。
 やがて、少しずつ曲のリズムが早くなっていき、音楽は止まります。
 そして、流れる「ガラスを割れ!」のイントロ。

 6月18日に感じた「大きな壁」を割ることが出来るはず、いや、割れる、そう感じたからこそ、壁の材質を「ガラス」に設定してこの曲を選んだのではないでしょうか?
 
 
 
 2018年8月5日の彼女のブログにこの時の気持ちを書いています。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12395687073.html

 じゃあ、彼女はどんな「ガラス」の割り方を選んだか?
 珠理奈のようにワールドワイドな人気を獲得し、絶対的なエースでありながら一つのグループにおける「現象」になるのか?(この辺は近日中に書きたいと色々調べています)
 それとも須田亜香里のように、メディアに進出していきお茶の間の人気者になりテレビに出ていることを当たり前にしていくか?
 彼女が選んだのは、リアルの場でした。
 ライオンズに関する仕事もそうですが、やはり、特筆したいのは「トリッパー遊園地」です。
 こちらの舞台、本当に評判が良くて、SKE48を知らない人達にリーチするのに成功しています。特に歌も良かったらしくて、本当に観たかった舞台の一つです。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12447059946.html

 本当にこの舞台、ソフト化されないですかね。
 凄く観てみたかった舞台です。

 また、本来は今年上演されるはずの「毒薬と老嬢 ARSENIC AND OLD LACE」は中止になりましたが、「グランマ!サバイバル!-おばあちゃんからの挑戦状ー」は無観客で配信予定です。「毒薬と老嬢」は大きな施設で上演予定の作品だったので、中止は悲しいですが、まずは「グランマ!」から彼女の最新の演技を楽しむことができればと思います。

 もう、彼女はガラスを割ってしまったでしょうか? 
 それともガラスを割っている途中でしょうか?
 ただ、僕は彼女が持っている声の素晴らしさ、うるんだ時の瞳の美しさ、所作の上品さ、全部、魅力的だと思います。
 時代を超えた舞台を演じられるのならば、僕の好きな時代劇に出ている彼女も観てみたいな、と思っています。映画だと「アルプススタンドのはしの方」のようなある程度、「場」が限られた状態で、表情や仕草、会話でシチュエーションを作っていく作品で彼女がどう演じるかを観てみたいです。

 2020年、という時がアイドル史において間違いなく年表の色が変わった年に、彼女がどんな動きを見せるか、これからも楽しみにしています。

 海の向こうにも彼女の才能に出会う人達がいると思うと、ワクワクしますね。


 

2020年8月5日水曜日

おすすめの映画と本「アルプススタンドのはしの方」

「しょうがない」を乗り越える瞬間


 1年に1度ぐらい、映画を観終わっても興奮が収まらずに暫く席が立てない映画がある。
 今年初めてそれを感じたのが「アルプススタンドのはしの方」だった。




 僕らの生活には、今とてつもなく大きな「しょうがない」が落ちてきている。
 映画も席を空けるようになったし、マスクをつけて外に出るようになった。
 そもそも、この映画の舞台になっている甲子園も行われなかった。

 みんなから応援される側ではなく、応援する側。
 しかも、主体的に応援したいわけではない「アルプススタンドのはしの方」に位置する人々の物語だが、僕もどちらかというとそちら側なので、前半の会話はとても共感できた。
 徐々にそれぞれの内面が明らかになっていき、自分が諦めていたことが明確化された後、球場で頑張る選手たちへの思いに変わったシーンは、心が震えた。

 「人生は送りバント」という聞いただけではマイナスに聞こえる言葉も、「自分が頑張ることで誰かが前に出られる」という精神の現れで、演劇部の二人が何故、全国大会に自分たちは出られないのに関東大会に挑むのか。
藤野くんが何故、野球用品のメーカーに勤めたのか?最後にボールをキャッチした時に、彼は形を変えつつも野球と繋がっているんだなあ、と泣いた。
 「アルプススタンドのはしの方」にいる人々の未来とも「人生は送りバント」はリンクしているように感じる。

 また、ラストのプロ野球選手になったあの人。
 「しょうがない」で終わらせずに努力し続けてきた結果だ。
 吹奏楽部の久住さんが言っていた「普通だから努力する」という言葉とも繋がってくるように感じる。
 
 物語の中で流れるブラスバンドの演奏も凄く良くて、涼しいシアターの中にいるはずなのに、夏の球場の暑さと高揚感が伝わってくる。

 何故、僕らは誰かを応援するのか。
 それは多分、動き出すきっかけをくれるからじゃないか。
 何かに立ち向かう姿に感動して、自分も力をもらえる。
 いつか、自分も応援する側から誰かのきっかけになりたい。
 丁度、あの映画では映らなかったが、みんなの心を動かしたあの人のように。


 

 

だってだってだって①

ハスってしまう自分


 皆さん、音楽を聴いていると、「あっ、この歌詞凄く共感できる!」というものや「こんな発想や心情があるのか」というものはありませんか。
 2000年頃、僕は自分のワンルームマンションの部屋で、MDに録ったラッドウィンプスの曲を、当時付き合っていた彼女と聴いていました。
 曲名は忘れたんですが「サヨナラって言ったのは君なのになんで泣いたの?」という歌詞があったんですね。
 僕は全くピンとこなかったんですが、彼女は「別れたくなかったからやん!」と言い物凄く共感していたのを覚えています。彼女はそこから僕以上にラッドウィンプスが好きになっていきました。僕は、「えっ、そういうもんなの?」と自分の想像力の無さにガッカリしたもんです。
 彼女にとってその曲は最初に僕が問題提起したことの前者であり、僕にとってこの曲は後者だったわけですね。

 時は流れて2020年。
 すっかり48曲や日向坂46の曲が大好きになった僕ですが、2020年に「これは、凄いな」という曲が登場しました。
 それがNMB48の「だってだってだって」です。


 
 まず、歌詞の世界から見ていきましょう。
 まず、いきなりサビから始まるんですが、「だって」という接続詞がここまで輝く歌詞があったでしょうか。多くの場合、反論や理由や言い訳をする時に使われる言葉ですよね。
 じゃあ、何に対する言い訳かというと、素っ気ないリアクションをしてしまったことに対してです。そして、また「だって」の3連発の後、ドキドキした内面を語ります。
 つまり、「だって」をはさんで「行動→心情」という説明から始まっています。
 素直になれない主人公の心情から歌詞の世界がスタートしていきます。

 1番のAメロなんですが、最初の1行目で答えが出てる気がするんですね。「恋をすると~」からの1行ですね。もう徹底的にこれを描いているんじゃないか、と思います。
 「後悔」→「内省」→「現実」という、最初のサビの背景が描かれています。
 
 別に異性とのコミュニケーションだけではなく、シンポジウムとか会議とかで多くの人の前で対話する時にこういうことってないですか?

 1番のBメロでは、この曲の季節が明らかになります。
 どうやら、色々な恋のイベントがありそうな夏がもうすぐ来るようですね。 

 そして、1番のサビ。
 「だって」が「なんで」という副詞に変わります。
 「だって」と比較すると、同じ理由を考える言葉なんですが、「なんで」は自問する時にも使うんですね。「だって」が対象に対して使うことが多いのに対して、「なんで」は自問の要素が含まれています。
 「なんで」を挟んで「行動→心情」という説明の流れは同じなんですが、その事象に対して、曲の主人公が主体的に向き合い始めていることが分かります。
 ちなみに、「なんで」が3回続いた時に、SKE48の古畑奈和ちゃんが思い浮かんだアナタは、結構昔から、SKE48が好きな人だと思います。

 2番のAメロは、他の異性と好きな人とコミュニケーションする時の比較です。
 他の人とは普通に話せるのに、あなたとだけは普通に話せない。
 僕の大好きな番組「オードリーさん ぜひ会って欲しい人がいるんです」の中で「美人な女性と話せない」というぜひらーが(素人の方)が「ブスとオバサンとは普通に会話できるんですけどね」という「令和の社会において、それは大丈夫なのか」と心配になることを公共の電波に乗せて語っていました。
 でも、自分と関係のない人の前ではマイペースにふるまえる、というのは分からなくもないなあ、と思います。好きな異性だからこそ、緊張してしまう。
 1番と合わせて考えると、自分という人間の価値をちゃんと分かって欲しい、高くみて欲しい人に対してなのかなあ、とも思いました。
 そして、第3者的な目線で自分というものを評価していきます。
 でも、その評価は結構厳しく自分を見ているんですね。かと言って好きな相手のことを諦められない。「あなた」と出会ってから自分が変化してしまったことを語っています。
 
 2番のBメロでは、外面の変化として髪型を変えたことを挙げています。
 ここで、「純情」という単語が出て来るんですが、ここまで内省して恋に対してしっかりと向き合ってたら、十分「純情」だろ、と思うんですが、やっぱり自己評価が厳しいんじゃないか、と考えてしまいます。

 2番のサビは「もっと」に変わります。
 この言葉は、何かを更に強めようとする時に使われることが多いです。
 じゃあ、何をしたいかというと、自然に振る舞いたいということなんですね。
 「あなた」の見ている自分は、本当の自分だったり、こうなりたい自分とは違う全くの別人なんだよ、と。
 「自然」つまり、本来の自分を知ってほしい、ということですよね。
 だから、不自然になってしまう現状を顧みて自己嫌悪してしまったり、悔しさで泣いてしまったりするわけですね。
 今日は上手く行かなかったけれど、ちゃんと自分を理解してもらいたい。
 髪を切った外面的な興味の喚起だけでなく、内面ももっと知ってもらいたい。
 そんな気持ちが伝わってくる名曲だと思います。
 
 さて、曲についても聴いていくと、本当に素敵なメロディーだと思います。
 サビも好きですが、1番のサビ前でテンポが少し落ちて、内面をじっくりと伝えてくれるメロディが好きです。
 
 MVも現在、2種類でていますが、僕は#stayhomeバージョンが好きです。
 名前のテロップがあるのがありがたい!
 総選挙が無くなった弊害として、他グループのメンバーの名前を覚えることが少なくなりましたよね。
 暇な人は、曲が終わるまでに僕が誰に惹かれたかも予想しながら観てみてくださいませ。



 着ている衣装もそれぞれ違いますし、部屋の様子が違うのも面白いですね。
 さらに言うと、どんな自分を見せたいかという自己プロデュース面もみられて面白いと思います。
 ちなみに僕はこのMVで、こじりんこと、小嶋花梨さんがなかなか素敵だなと感じましたよ。ショートカットが曲の世界とマッチしてますし、綺麗なターンがいいですね。
 あと、みるるんのお家のワンちゃんたちも。はあさちゃん家のワンちゃんの「ん?何やってるんですか?」という感じの見上げ方もカワイイですね。

 SKE48ファンの一人としては、「何故、こういうのをうちもしない!」と思ってしまいます。少なくとも名前のテロップをつけることで、僕みたいなボンクラでもこじりんについて知ることが出来ましたし、MVとは違った楽しみを一つ提案してくれますしね。SKE48はダンスバージョン動画で差別化してるんでしょうか。でも、こういうやり方もありなんだな、という発見もありました。

 共感と発見、どちらもある素晴らしい名曲だと思います。
 
 久しぶりにNMBの曲、買ってみようかしら。
 (個人的にNMB48も好きな曲が多いです。『存在してないもの』とか『北川謙二』とか)


2020年8月2日日曜日

空は今、何色か?

今、何色の空が見えますか?


 2011年11月26日「SKE48 リクエストアワーセットリスト ベスト50 2011 ファンそれぞれの神曲たち」でSKE48の5期生はお披露目されました。

 市野成美、岩永亞美、江籠裕奈、大脇有紗、荻野利沙、菅なな子、新土居沙也加、二村春香、古畑奈和、日置実希、藤本美月、宮前杏実、山田みずほの13人でした。
 
 この時点でSKE48は、チームがS、K2、Eと3チーム揃っている段階で、全員研究生からのスタートでした。
 「会いたかった」公演で5期生たちは活躍しています。
 中でもユニットの「嘆きのフィギュア」のなな子、真木子、美月、奈和ちゃんという並びは、当時、SKE48ファンになりたてだった僕には、とても未来を感じさせるユニットでした。
 当時、「最強研究生」という言葉もあったそうですが、それぐらい勢いと何か新しさが、更新されていく物語が彼女たちにはあったのではないか、と思います。難波や博多でも出張公演が行われるほどでした。
 そんな5期生たちに「目が痛いぐらい晴れた空」という曲が与えられます(研究生名義)。
 いきなり、一つの期に曲が与えられるのは衝撃でした。
 優しく爽やかな感じがするバラード曲で、風船や雲の無い青空がまだ何者にもなっていない彼女たちを連想させます。

 そんな5期生たちの中で、誰が1歩前に出るのか。
 まず、最初に出たのは、菅なな子でした。
 彼女が持つ爽やかさと愛嬌は抜群で、ダンスも勉強もできるのに、嫌みが無い特別な存在でした。
 「キスだって左利き」の選抜にいきなり選ばれます(次作の『チョコの奴隷』でも選抜)。
 そして、2012年8月29日、当時のSKE48のフラッグシップチームであるSに昇格します。
 当時のチームSの豪華さはここに書くまでもありませんが、彼女にとっては、いきなり先輩たちの中に放り込まれたわけですから、最初は緊張の連続だったかと思います。ガイシで先輩たちが卒業した時に書いたアメブロを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11514095841.html

 少し未来のことから引用しましたが、彼女はチームSやSKE48が大切にしていたものを、これから守っていく存在になるではないか、と先輩たちも期待していたんですね。思えば、菅なな子は松井珠理奈と同い年でもありました。ひょっとすると、くーみん、まなつ、ゆりあ、花音など、珠理奈と同世代、あるいは少し年齢が近い世代で、彼女と同じスピードで走れる人材を、運営は繰り返し試していたのかも知れません。ただ、この時点で5期生と先頭を走る選抜メンバーたちには、まだ大きな差がありました。

 同じく、8月29日に昇格したメンバーがもう一人いました。
 古畑奈和です。
 抜群の歌唱力と表現力、そして、独特のワードセンスを持ち合わせた彼女は、チームEという一番若いチームに昇格します。
 古畑奈和も松井珠理奈と同い年。
 なな子を含めて二人の台頭は、新しい時代の息吹を感じさせました。

 2012年10月11日から12日にかけて、「SKE48リクエストアワー セットリスト ベスト50 2012~神曲かもしれない~」が開催されます。
 この年「目が痛いぐらい晴れた空」は第4位にランクインします。
 研究生の曲がいきなりトップ3に迫るというのは、ここでも5期生の勢いを感じましたし、世代交代が近づいているのでは、とこの年は思いました。

 更に、この年の年末。
 NHK紅白歌合戦にSKE48は、単独で初出場。
 「パレオはエメラルド」で見せた5期生の藤本美月のロンダートからのバク転とバク宙。これは会場と視聴者の度肝を抜いたパフォーマンスでした。余談ですが、この映像を今観ると僕は何故か泣きそうになります。体操の床よりもおそらく堅いであろう床の上で、賢明に飛ぶ彼女の姿は未だに心を動かされます。
 

 2013年4月13日。 
 ガイシホールで行われた組閣で、5期生のメンバーたちは、次々と昇格していきました。しかし、先ほど活躍を挙げた藤本美月が4月20日に活動を辞退することが発表されます。5月6日に活動を終了。絶大なインパクトを残し、そこから一気に注目度が上がったメンバーだっただけに、非常にもったいないな、というのが当時の感想でした。

 2013年4月28日。
 「AKB48グループ臨時総会~白黒つけようじゃないか!~」で、古畑奈和のAKB48チームKとの兼任が発表されます。AKB48との兼任は、珠理奈に続いてSKE48では2人目でした。
 詳しくは、「古畑奈和と兼任」という記事をご確認ください。
 https://oboeteitekure.blogspot.com/2020/05/blog-post_18.html

 2013年5月9日。
 日置実希が卒業発表をします(5月31日、卒業公演)。
 5期生最年長で、年上なのに少し幼い風貌、しかし、知的な感じがする彼女は、3期生の秦佐和子の系譜を継ぐものとして、個人的に物凄く期待していただけに非常に残念だったのを覚えています。
 

 2013年8月9日。
 日産スタジアムで行われた総選挙前のコンサートで、「美しい稲妻」が初披露されました。
 この時、5期生からは、新土居沙也加、古畑奈和の二人が選抜入りしました。
 新土居沙也加はチームSに昇格し、当時、ダンスが出来る若手が集められたチームSにはぴったりの存在でした。年上メンバーなのに、とてもおっとりした喋り方で、彼女の描くイラストも凄く心が柔らかくなるものでした。
 このギャップがとても素敵な彼女の抜擢は、大学生活との両立を考えた時に果たして大丈夫なのか、という心配もありましたが、努力家の彼女ならばなんとか両立してくれるのでは、と期待していました。
 ちなみに、彼女が「みをつくし料理帖」読者だったのが、凄く嬉しかったのを覚えています。
 選抜が3人になった5期生。
 ここから一気にこの3人の活躍が広がっていくかと思いきや、思わぬ形でそれは終わりを告げます。

 11月22日、新土居沙也加が学業専念のため、卒業を発表します。30日に行われた卒業公演が行われました。彼女のGoogleプラスに投稿された「マイリトルシスター」という長文の投稿では、彼女の正直な気持ちが綴られており、無我夢中で走り続けた日々が書かれています。「この2年間、楽しいという実感はありません」という言葉だけが、当時、一人歩きしていましたが、楽しむ余裕がないほど、必死でかけぬけてきたんではないでしょうか。
 また、29日に公式ブログに投稿した「クロスロード」では自分をメタ視点で創作していてこちらも非常に良い内容なんですが、もう観られないので、なんとかして探してみてください。

 彼女の卒業について、印象深かったブログが2つあるので、読んでみましょう。
 まずは、大矢真那のブログ。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-11715373295.html

 次に石田安奈のブログ。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-11715354188.html

 この二つを読むと、ファンだけでなく、メンバーの心も温かくしていたメンバーだったことが分かります。本当に彼女が書く文章、もっと読みたかったなあ、としみじみ思います。

 2013年12月7日。
 菅なな子が卒業発表をします。
 高校3年生になるにあたって、学業に専念するための卒業でした。
 この頃、SKE48が少なくとも2020年現在とは違って、まだ急上昇中の頃だったので、どうしても仕事が学業に食い込む割合も大きかったと思います。
 この時の古畑奈和のブログを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11721960151.html

 そして、なんなんのブログも。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11721949827.html

 さらにちゅりからみたなんなんも。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11735699777.html

 最後に活動最終日のなな子のブログも。チームEメンバーに一人一人への言葉、そして、古畑奈和への言葉が印象的です。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11734424453.html

 彼女がもし、SKE48に残っていたら、また違うイズムのSKE48になっていたのかも知れない、とふとこの4つのブログを読んで思いました。
 2013年、5期生が3人もSKE48から旅立っていきました。

 時計の針を少しだけ戻しましょう。
 
 2013年10月26日、神戸で涙を流した少女がいました。
 その少女は山田みずほ。
 彼女はチームK2に昇格。
 当時15人だったK2に、16人目のメンバーとして入ることになります。

 11月28日。
 鈴懸なんちゃらのカップリング曲として、「Escape」が発表されます。
 センターは、5期生の山田みずほ。
 W松井を従えてのセンター。
 これは普通のことでは、決してないことだというのは、メンバーにとっても同じでした。少し先の話ですが、山田みずほが卒業する時の高柳明音のブログを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-11983671330.html?frm=theme

 「SKEの当たり前だったセンターを最初に覆したみずほ」という言葉だけで、いかに彼女の抜擢が凄いことだったかが分かります。
 
 同年のNHK紅白歌合戦で披露された「賛成カワイイ!」。
 ここで、山田みずほがチアで大ジャンプする様子はカメラワークがいまいちで高さが伝わりにくかったものの、会場の声に注目すると、結構な高さまで上がっていたのではと思います。
 奇しくも2年連続、紅白で5期生が活躍することになります。

 2014年。
 SKE48にとって忘れられない1年が始まります。
 まず、2月。
 名古屋ドームと大組閣が行われました。
 名古屋ドームに関しては、1曲目の「神々の領域」が印象的で、イントロで響くサックスを吹いたのは、古畑奈和でした。
 詳しくは彼女のブログを読んでいただきたいのですが、歴史的な瞬間に立ち会えたことを書いています。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11764360233.html

 ちなみに、この日。
 「未来とは?」の選抜が発表され、5期生からは山田みずほが選抜されます。
 また、古畑奈和と関係が深い梅本まどかも選抜に選ばれています。
 
 そして、混沌の大組閣が行われます。
 この大組閣を受けての奈和ちゃんのブログを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11781715152.html
 
 様々な困難にぶつかってきた彼女だからこそ、自信を持って新しい環境に臨んでいけるんだと思います。
 
 2014年6月27日。
 「不器用太陽」の選抜が発表されます。
 5期生からは、岩永亞美、二村春香の二人が選抜されます。
 徐々に5期生で活躍するメンバーが運営にも認められてきたのかな、とこの頃は思いました。
 ただ、二人が唄うパートは少なく、特につうちゃんの歌うところはもっと見たかったと今は思います。

 7月6日(7月30日卒業公演)。
 大脇有紗が卒業発表します。
 年齢よりも大人びて見える美人の彼女は、チームEに昇格してまだ数か月しか経っていませんでした。
 彼女の卒業発表について、印象深いのがはるたむこと、二村春香のブログとつうちゃんこと、岩永亞美のブログです。
 ちょっと読んでみましょう。
 まずは、はるたむ。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11890569121.html

 次につうちゃん。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11902537232.html

 あの神戸で山田みずほとは違う涙を流していたメンバーがいた、ということを初めて知りました。
 そして、見た目だけでなく、内面も大人だったんだな、と感じさせられる内容でした。

 11月2日。
 「SKE48 リクエストアワーベスト242~1位は?最下位は?曲推し集合!~」で「12月のカンガルー」の選抜メンバーが発表されました。
 ダブルセンターとして、5期生の宮前杏実と6期生の北川綾巴の二人。
 センターが変わったことと、この時の5期生のドラマはドキュメンタリー映画「アイドルの涙」を是非、観ていただければと思います。
 ちなみに、この年の「目が痛いぐらい晴れた空」のMCは本当に素敵なので、是非見て欲しいです。

 この年も紅白歌合戦に出場しましたが、歌ったのは「12月のカンガルー」ではなく、「不器用太陽」でした。衣装の変化がとても素晴らしい演出でしたが、あまりにも短い出演時間に来年はあるのか?と不安になったものでした。

 2015年1月7日。
 山田みずほが卒業を発表します。
 「衣装さん」になるという夢を見つけた彼女は、「バイバイ」ではなく、「またね」という言葉で別れを告げます。
 この時のみなるんのブログを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11984029544.html?frm=theme

 センター経験者が辞めていく時のショックの大きさは、未だにグループに大きな衝撃を与えていると思います。
 そして、奈和ちゃんのブログも読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11998281723.html?frm=theme

 支えてあげたい、という古畑奈和という人の優しさが感じられます。

 同じく2015年1月9日に、岩永亞美が卒業を発表します。
 活動最終日の彼女のブログを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11995764001.html?frm=theme

 そして、奈和ちゃんのブログも。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-11999983183.html?frm=theme
 
 夢に向かって旅立つ彼女の姿は、確かに「キラキラ」していました。
 気づけば5期生もキャリアがもう3年が過ぎていました。
 
 2月4日。
 荻野理沙が卒業を発表。
 妹さんの看病の為に、一時は活動を休止しつつも研究生として活動を続けていたおぎりー。まゆゆからも注目される中西優香とは違うアプローチの男子系キャラを確立しそうな感じだっただけに、非常に勿体ないな、と感じるメンバーでした。
 この時の奈和ちゃんのブログを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12008647211.html 

 時間の流れと共に、5期生の卒業は続きます。
 2016年3月7日。
 宮前杏実が卒業を発表。
 女優への道を選択するためでした。
 彼女を語る上で忘れられないのが、「AKB49」です。
 このミュージカルは、5期生たちも多く出演していますが、茅野イサムをして「女優としての素質がある」と褒めた彼女が、ちゃんと活躍できる環境に居続けて欲しい、ちゃんとチャンスが回ってくるところに居てほしいと思います。

 2017年6月21日(7月31日卒業公演)。
 二村春香が卒業を発表。
 運動神経抜群で、明るい彼女の卒業は本当に淋しかったもんです。
 卒業公演時の江籠ちゃんのブログを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12297604802.html

 そして、奈和ちゃんのブログ。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12297584414.html

 気づけば、5期生は残り3人になっていました。
 そして、この年。
 7期生の小畑優奈がセンターに抜擢。
 確実に時代が変わっていくことを感じさせられました。

 2018年2月15日。
 市野成美が卒業を発表します。
 卒業公演は3月27日。
 劇場を守り続けたスーパー研究生が、卒業していきました。
 僕はこの時、「本当に彼女は報われたのか?彼女に助けられた分を運営を返していたか?」と僕は感じました。
 この時の江籠ちゃんのブログを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12363970786.html

 そして、後輩目線でみたなるちゃんについて、北野瑠華のブログ。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12363775860.html

 ただ、僕はだーすーが書いたこのブログが、市野成美という人の本質をついていると思います。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12364036186.html

 たった二人になった5期生。
 しかし、彼女たちは追い詰められるどころか、逆転していきます。
 それまで積み重ねてきたものがやっと報われていくように。
 
 江籠裕奈は、ファンとの結束を強め、自分のセンター曲を3曲も手にいれました。特に「花の香りのシンフォニー」は名曲だと思います。
 彼女が自信をつけていった過程はアメブロを読んで行っていただければと思いますが、印象的なものを一つ貼っておきます。こういう言葉を推しから言われたらめちゃくちゃ嬉しいですよね。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12286671035.html

 そして、古畑奈和は数多の困難を乗り越えて、2019年のセンターになります。
 デビューした頃は何者にもなっていない、雲一つない青空だった彼女の空は様々な空模様を経験することになります。
 彼女のセンター曲「FRUSTRATION」の歌詞を思い出して欲しいんです。
 「真っ青な空だってどこか雲ぐらいあるだろう」。
 彼女が乗り越えてきたものについては、このブログの過去記事を読んでみてください。本当に何個困難をこの人は乗り越えてきたんだ、という上での彼女らしさが確立されていったのではないか、と思います。

 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12366635811.html

 5期生という才能の塊たちは、早咲きですぐに去ってしまったメンバー、遅咲きで報われたメンバー、才能を発揮する途中で去ってしまったメンバー、様々だと思います。
 しかし、彼女たちが僕たちに抱かせてくれた期待、そして、後輩たちに受け継がれていったもの、現在進行形で魅せているもの。
 まだピリピリしていたころのSKE48を知っていた世代。
 ギリギリ全盛期を感じていた世代。
 上にも下にも刺激を与え続ける世代。
 色々な言葉が思い浮かびますが、個人的には古畑奈和にはもうひと暴れしてほしいです。もっとファンを開拓してほしい。今年の後半は、仏教界から。
 そして、江籠ちゃんはシングルのセンターをそろそろ掴んでほしいな、と思っています。
 気づけばあんなに遠かった選抜も、いまや二人とも常連。
 5期生という期えお定義するのは、まだ早いと思います。
 だって、まだ二人の物語は続いていますから。
 もっと遠くまで風船のように飛んでいけるはずです。
 その軌道をこれからも見守っていきたいな、と思っています。
 
 真っ青な空の、8月の始まりに。