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2019年2月9日土曜日

12月のカンガルー①

その実験は成功か失敗か


 2014年11月2日。
 SKE48の歴史が動きました。
 絶対的センターとなっていた松井珠理奈が6期生の北川綾巴、5期生の宮前杏実にセンターを譲ることになりました。
 この決定は当時のAKS主導で各支店グループのセンターを新しくしていこう、という動きが背景にあったのだと思います。たとえば難波も「らしくない」で山本彩と渡辺美優紀から、白間美瑠と矢倉楓子のダブルセンターで行くことにしました。 
 なんでこのタイミングでやったの?という疑問もありましたが、一旦それは置いておきましょう。

 さて、この曲の選抜発表は「リクエストアワー2014」のアンコール明けに行われました。選抜メンバーを発表した後に、最後に「センターが変わる!」という感じでWセンターが発表されました。二人とも涙ながらにSKE48を引っ張ることを誓いました。紅條も当日は会場に居ましたが、新しいセンター二人を後押しする声援が響きわたっていました。1期生に推しがいた紅條は、時代の流れを感じると共に、これからどんなSKE48になるんだろう、と期待と不安が半々ぐらいでした。

 メンバー達はどうだったんでしょう?
 ドキュメンタリー映画を参考にすると、まず、センターの珠理奈は「実際発表されると悔しくなってきて、でも、そのセンターの辛さや大変さを分かってあげられるのは、やっぱ自分だし、だから、ちゃんと支えてあげなきゃ二人を」と語っています。
 同期が選抜になったのに自分が選抜に入れてなかった悔しさを感じた江籠さん。
 同じく悔しさを感じつつも今回は綾巴を支えなきゃと思う東李苑。
 ゆりあと共に新しいSKE48を作っていけたらいいな、と思っていたが、センターにから漏れることになった花音は頼もしさを感じたと語ります。
 悔しさを感じたとストレートに語るちゅり。
 センターを目指すと語るはるたむ、阿弥ちゃん、奈和ちゃん。
 そして、ひょっとして自分がセンターでは、と思っていただーすーは、自分で掴む、越されたとは思っていないと語ります。

 そんな中、ダブル松井として同じく珠理奈と共にSKE48を牽引してきた松井玲奈は「どの程度本気なのかな?と私は感じていました」と冷静に分析しています。
 シングルの発売に合わせて、各メディアでもこの二人の出演は増えていきました。この頃のインタビューを読んでいると二人ともグループを背負うという気概が感じられるんですね。
 そんな中、北川綾巴に関しては、色々と思うところがありましてね。
 正直、綾巴は自分の意志とは関係なく、表舞台に立たされ続けた人だと思うんですね。
 「賛成カワイイ」の選抜に関しては1ミリも文句はないんですが、チームS「RESET」公演での珠理奈のアンダーとしてセンターを務めた時に、「何故この子を珠理奈のアンダーに?ゆりあは?まなつは?てか、ダンスのSKE48じゃなかったの?」という疑問が僕の中にも少なからず湧きました。運営が推したいのね、という意図が少なからず伝わってきましてね。更にグループをまたいだ「てんとうmuchu!」という会社の上司に言うのはちょっと恥ずかしい感じの名前のユニットにも選抜されました。渋谷凪咲ちゃんとも仲良くなっていくのは微笑ましいものの、なんかもう運営がこの子を推していくんだろうなあ、と思ってしまいましてね。泥臭いメンバー好きな紅條としては、僕が応援しなくても良いか、と思うようになりました。恐らく、アンチも少なからずいたでしょう。それでも彼女は、踊り続けたわけです。紅條としては、自分の考えを思った通りに伝える言葉が足りないのかなあ、と思いつつも彼女の成長していく姿は、だんだんこちらを惹きつけていきます。ドラフト生の後でかましたRESETのセンターとかしびれましたよ。そして、12月のカンガルー。「まあ、そうですよね。頑張ってね」という気持ちと「じゃあ、6期をセンターにすることで、1期からスキップされた世代は、もう次世代じゃなくなるの?」といった疑問もわきましてね。花音は?奈和ちゃんは?となりました。
 2015年3月31日。この「12月のカンガルー」の次のシングル「コケティッシュ渋滞中」では、センターはダブル松井に戻ります。その背景にはNMB48との売り上げ対決というのもあったんでしょうが、向こうが卒業する山田菜々を据えてくるというあくまでコンセプトがはっきりしたセンターにしたのに対して、こちらは確実に勝ちに行く選択肢を取ったわけです。それから北川綾巴がSKE48のシングルになることは2019年2月9日現在までありません。
 どの程度本気なのか、という疑問の答えが出たわけです。
 様々な逆風にさらされ続けた綾巴。
 それは松井珠理奈が加入時から与えられた試練と規模は違うかもしれないですが、やはりエースを託されたものならではの辛さだと思うんですね。しかも、未完成の状態で放り込まれるわけですから、一番みんなが行きたい位置に。1年間、走り続けた彼女は、「SKE48 冬コン2015 リクエストアワー」のシングル部門で2位にランクインした「12月のカンガルー」を踊ります。この時のオーディオコメンタリーの宮澤佐江さんのコメントが印象的でね。「綾巴の顔が一年前と違う」と言っているんですね。笑顔で生き生きとした顔で踊る綾巴。センターを経験したことで一回り大きくなったわけです。
 後藤楽々が「前のめり」の選抜、しかも1列目に大抜擢された時は傍にいて、声をかけています。その姿は、かつての自分に声をかけているようにも見えましてね。本店の名曲「あの日の自分」みたいなね。「泣いてる理由が分かるから」という気がしまして。

 そして、共にセンターを務めた宮前杏実の卒業。彼女が大好きな宮澤佐江との別れ。いや、段々、カンガルーのオリジナルメンバーが減っていきます。

 今の彼女は、SKE48のチームSでリーダーを務めています。
 ドキュメンタリー映画「アイドル」では、彼女の頑張る姿が描かれています。夏のライブでフラフラになりながらも、チームを引っ張る姿。そこには、実力でチームを引っ張っていく汗まみれの泥臭い姿が映っていてます。
 不器用で言葉にするのが苦手なところもある綾巴。でも負けず嫌いな美人でもある綾巴。総選挙も選抜まであと一息。
 険しい道を走っていた頃、綾巴に共感する人はひょっとしたら少なかったかも知れません。同じ境遇の人は一握りだと思いますしね。しかし、今、彼女は自分らしく生き生きと踊っています。一度苦労を知ったからこそ分かる優しさ。紅條個人としては、去年のマラソンの頑張りが好きでした。これからも運動系でも活躍してほしいな、と思う次第です。センターから離れて、再びセンターに返り咲くというワンスアゲインの物語を描けるのは、ひょっとしたら綾巴かも知れません。その反面、新日本プロレスでメインのベルトであるIWGPのベルトよりもインターコンチネンタルのベルトの方が価値があるんじゃないか、という認識をファンにさせた中邑真輔のように、独自のポジションで暴れまわって欲しいな、とも思うんですね。そして、綾巴待望論がきた時に再びセンターに返り咲く、とか燃えません?
 最後の方は妄想になりましたが、ソロコンでのお芝居を観る限り、彼女はまだまだ様々な可能性をポケットの中に隠していると思うんですね。別れていった仲間たちも「僕の中には君がいる」と思いますしね。もう一度、綾巴が誰よりも高く飛ぶ時が来るのはいつか、2019年の彼女の活躍に期待しています。あの時の実験を成功に変えられるのは、もう彼女だけなんですから。
(「12月のカンガルー」より引用)
綾巴も出ている「それでも彼女は」の記事はこちら!綾巴の副支配人姿が見えますよ!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/01/blog-post_65.html