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2019年2月27日水曜日

僕の打ち上げ花火①



現れて消えていったもの


 皆さん、「あっ、今この人のこと好きだ」と感じる時ってありますかね。
 お互いに付き合っていて、相思相愛の時はそれでいいんですけどね。片思いだったとしたら…。そして、そのことを伝えられずに時間が過ぎて行ったら…。

 紅條は、中学生の頃、GLAYの「HELLO MY LIFE」という曲が「SUMMER FM」ぐらい好きでよく聴いていたんですが、その歌詞がこんな歌詞だったと思うんですね。「言えないままの片道の恋 ずっと好きだった 季節外れの粉雪が振り忘れられてる」「春の日に散る片道の恋 ずっと好きだったってね」
 曲全体の歌詞をおさえると、卒業式を思わせる感じでとても切ない名曲です。


 あとは、松田聖子の「制服」とかもいいですよね。
 こっちも卒業式関連で、言えないままの思いを抱いて別れていく二人の曲です。
https://youtu.be/214j2y-5Jyo

 さて、なんで急にこの2曲を挙げたかというと、「卒業式」という普段とは違う非日常的な環境で、自分の視線も変わり、初めて自分の気持ちを認めて行くということを言いたかったんですね。「意外にマンゴー」とかも「海」という非日常で「水着」という普段とは違う「君」を観て気づくわけです。それに対して「Stand by you」は普段の生活の中で気づくという点では異質ですね。

 この曲の普段と違う場所はどこかというと、「夏祭りの夜」なんですね。金魚すくいをしている普段とは違う「浴衣」を着た「君」の姿を見つけるわけです。


 お祭りの時にクラスメイトに会うと、なんか嬉しくなりますよね。しかし、傍に「彼」がきてそっと抱くわけです。なんか、映画「桐島、部活やめるってよ」を思い出しましたね。
 僕は急にそこに居られなくなるわけです。「まるで君に恋をしてたように…」とあります。ここでは、自分の行動の比喩として恋をしていることを使っています。
 そこで見上げたのか分かりませんが、サビでは、打ち上げ花火を見て、悲しさを感じます。「美しい光も 一瞬の過去」という表現が切なくてね。もう現れて消えているわけです。「開く花は静かに消えていく」というのもどこか寂しい。胸の奥にあった「愛しさ」に実は「気づかぬふりをしていた」ことをここで吐露しています。そして、「友達だと思っていた君が遠くに見えた」という表現は、物理的には近くに行こうと思えばきっと行けるのに、心理的に遠くなってしまったわけです。そして、最後に現れる「彼」への嫉妬。紅條みたいな、器の小さい人間は「君」の幸せより「彼」への嫉妬を語るところに共感しまくりですよ。

 2番では、主人公は仲間と離れてしまい、一人で祭囃子を遠くで聴きながら、淋しさを感じます。「人はみな 自分に 嘘をついて生きてる ずっと隠してた ホントの気持ち」と実は気持ちを隠して生きていたことを明かします。「学校では見られない 素顔の君を知って もっと もっと もっと 好きになった」と普段とは違う環境での「君」の姿で、その気持ちが表層化したことも。Jam Projectかっていうぐらい「もっと」を言ってますね。
https://youtu.be/qCE4pHiGTXs

 2番のサビでは夏を経験していくことで大人になっていくんだ、と感じます。そして、切なさが広がる様子を花火で表していますね。そして、片思いは続き、自分の恋は「線香花火」だと例えます。「打ち上げ花火」のように一瞬現れて消えて行くものではなく、時間が長い線香花火。しかし、線香花火が最後はどうなるか…。


 そして、大サビは1番のサビで終わります。
 自分の意識の中に生まれた恋心は、打ち上げ花火のように自分の意識の表舞台に現れて、儚く消えて行った。しかし、きっとまだ線香花火のように心の中に残って片思いは続く、という内容になっているんですね。

 もうね、アイドルソングって、肯定感を与えてくれる歌詞が多いんですが、これは全く違うわけです。主人公に全然優しくない。でも、僕みたいな器の小さい人間や報われない片思いをしたことがある人間には、言い知れない共感を与えてくれるわけです。それは決して癒しではないのですが、「ああ、こういう思いでがあったなあ。うまく行かないことを上手く呑み込んで大人になるんだなあ」という少し苦い郷愁を与えてくれる曲だと思います。これが青春ガールズ公演という、まさに今青春を送っている研究生たちが唄っているのも良いわけです。

 この曲でメンバー達は浴衣を着て歌っているんですが、これが良くってね。
 時代劇好きの紅條からしたら、自然と点が甘くなるんですが、メンバーごとに浴衣の柄が違いましてね。紅條は坂本真凛ちゃんが着ていることが多い三筋立ってぽい柄が、一番町娘っぽくて好きですよ。あとは、るーちゃんやおーちゃんがよく着ている金魚らしきものがあしらわれた薄桃色の浴衣も良いですね。皆さんもお気に入りの模様を見つけてみるのはどうでしょう?

 聴く度に切ない夏祭りの夜に連れていってくれる名曲ですよ。

「海」という異なる環境の「意外とマンゴー」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_13.html


同じく着物曲ですが、こっとはアレンジがカッコいい「恋のお縄」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_14.html