意味は自分で付け加えるもの
皆さんは、ゲームが好きだろうか。
僕は丁度、ファミコン黎明期に物心がついたので、家庭用ゲーム機がどんどん進化していく過程を学生時代は体感していた。また、アーケードゲームも好きでSNKやカプコンのゲームの対戦格闘ゲームから「ぐわんげ」などのシューティングゲームもよくやった。
ただ、社会人になってからは、仕事に支障が出てはいけない、というのと、読書や映画などに時間を使いたいと思い、ゲームから離れた。
「SKE48パッション FOR YOU」が出るまでは。
やがて、スマートフォンに機種変更すると、日常にゲームが入り込む時間は増えた。
「SKE48の大富豪は終わらない」もプレイしているし、坂道グループの「ユニゾンエア」もリリース時はライブ映像でゲームができるわ、インタビューやドラマが楽しめるわで結構やった。
ちなみに、多分、今いちばんしているのは「シャドウバース」である。
さて、そんな中2020年2月13日に「STU48 ぷるぷる!on Stage」がリリースされた。「STU48」と言えば、既に7ならべのゲームがある。
このぷるぷるは、どんなゲームなんだ?
よく分からないがスマホゲームはスタートダッシュが大事。
僕は、すかさずインストールした。
グーグルプレイストアのレビューが、星一つだらけだったのが気になったが、とにかくプレイを開始した。
ルールはシンプルだ。
数字をつないでいき、合計数が指定された数字以上になれば、「LIVE」を1回したことになる。5人のメンバーがランダムに配置されて、5人全員終わればクリアー。
これだけ。
シンプル過ぎる。
最近のゲームでよくあるチュートリアルもなければ、ミッションもない。
クリアーを重ねるごとに指定される数字が増えていく。
メンバーごとに50回クリアー、100回クリアーで衣装が変わってくるらしい。
それだけだ。
メンバーのボイスもない。
穏やかな波音みたいな感じのBGMと、カモメの声だけだ。
クリアーするごとに回すボーナスも、あまり、嬉しさを感じない。
僕はプレイをしながら思った。
「なんか、ファミコンやゲームボーイでこういうのあったな」
僕と同世代の読者の方は、お分かりいただけるかも知れないが、昔のゲームはシステムがそこにあるだけで、目的だったりクリアーだったりは、ある程度、自分で勝手に設定すればよかった。
このゲームは凄くそれに近い。
そこで、僕は決めた。
「よし、兵頭葵さんで100回ライブをするまではやってみよう。あと甲斐心愛ちゃんも…」
書き忘れていたが、僕はSTU48では、同郷の兵頭葵さんを推している。
今は、短髪になってボーイッシュな要素も加わった、素敵なメンバーだ。
ゲームはなんでもやり始めが面白い。
小説家の森博嗣が「なんでも初心者の時が一番楽しい」とエッセイで書いていたが、僕は新しい趣味を始める度にそう思う。
映画「ロッキー4」のトレーニングテーマである「ハーツ・オン・ファイアー」にのって、僕はどんどん数字をつなげて、ルーレットを回し、数字をつなげていった。
やがて、ある現象が起こる。
メンバーがランダムに出るので、思ったより兵頭葵さんが出現せず、同郷の中村舞さんが、先にライブ50回を突破する。なんなら、甲斐心愛ちゃんなんかは、この時点で60回は行っていた。
まずいな。
そう思いながら、ひたすらプレイを続ける。
指が大きいせいなのか、全然違うところにセンサーが反応する。
しかたがないので、スマホ用のペンを使って、数字をつなぐ。
それでも、初手を上手く認識してくれずに、全然違う数字からスタートすることもあった。
3日ほどたった頃だろうか。
なんとか兵頭葵さんのライブが100回終了した。
100回の画像はまさかの制服だった。
特に称号も祝福画像もない。
僕が勝手に決めただけだからだ。
昔、銀杏BOYSでそんな曲あったな、と思いながら、次の可能性を探した。
もしかしたら、全員100回ライブをしたら、何か演出があるんじゃないか?
ここから、僕の新しい闘いが始まる。
「クリード2 炎の宿敵」の特訓BGMがいつも頭に流れていた。
ゲームをインストールして、10日ほどたった頃、最後の新谷野々花さんのライブが100回終わった。
ここまで長かった。
全員100回以上ライブをしているメンバーが3回連続で来た時は、泣きそうになった。ゲーム性がシンプルなせいか1時間ぐらい連続してやっていることもあった。
でも、これで終わりだ。やっと終わったんだ。
画面は。
何も変わらない。
次のLIVEが始まった。
そう、これも僕が勝手に決めただけだ。
なんとも無情な気持ちになったが、デューイの『民主主義と教育』の中に「思考という要素を何ら含まないでは、意味を持つ経験はありえない」という言葉もある。
ゲームをしながら、僕が考えた、ああ、僕ならこのゲームをどうアップデートするかなあ、という案を書いておきたいと思う。
せめて、ランキングを作る。
メンバーの声を収録する。
推しメン設定を作る。
スコアによって、もらえる画像を増やす。
通信対戦を可能にする。
BGMをマツムラブ!にする。
1回クリアーするごとに一番憎い相手の家のネジが一本緩むようにする。
今後、「STU48ぷるぷるをするごとに1億円」と国からのリリースがない限りは、おそらく頻繁にプレイすることはないだろうが、あの気軽に線を引いて楽しめるゲーム性はまだまだ活かせるのではないか、と僕は思っている。
なんでもそうだ、楽しさや価値は自分から作ろう。