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2019年3月1日金曜日

兆し①



現実と曲がリンクする瞬間


 SKE48のチームKⅡになかなか新公演「ラムネの飲み方」が来なかった、ということは、以前「お待たせSet list」の記事で書きました。この記事を読んでおくと、より今回の記事が分かりやすいかと思まいます。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/11/set-list.html


 今回、考えていきたいのは、この「ラムネの飲み方」公演の1曲目、「兆し」です。
 公式チャンネルに上がってないので、各自、自分で見つけてくんなんし。

 さて、この曲なんですが、歌詞の世界は夜明けなんですね。
 校舎の屋上に集まった「僕たち」「星もない暗闇」の中で「段ボールを敷いて 未来を語りあってた」ところから始まります。
 この時点で、ずっと公演が来なかったチームKⅡの境遇と重なります。

 「大きな悲しみ 途方に暮れた日々に」、「明日の光を探しに来たんだ 希望をください」
 まあ、作詞してる人間が途方に暮れさせてる、っていうシチュエーションがなんとも言えないですが。屋上に「明日の光」である朝日を待っているわけですね。

 「君がいて 僕がいて 彼がいて 彼女がいて 東の空が白んで 新しい朝が来る」という表現もみんながいて、新しい朝が迎えられる喜びを感じます。「新しい朝」というのは「新公演」をイメージさせますね。

 「涙して 抱き合って 肩組んで 前を向こう 兆しに照らされて 僕たちはもう一度強くなれるさ」
 悲しみを乗り越えて強くなるということで1番のサビは終わります。

 2番では、時間が経過し、視点も広がります。
「もう この街は目覚めて動き始めたんだ なくした時間を取り戻すように…」
「ほら 変わらない太陽 みんなで手を伸ばせば ぬくもり掴めるだろう」
 まず、夜明けが訪れ、「校舎の屋上」から「街」へと広がっていきます。

「見えない痛みにみんなで怯えないで どんな涙も乾くものさ 自分の心を信じてみようよ 力をください」
 「未来」という遠くのものから自分に接続する「力」に欲しいものが変わっています。ここから再び立ち上がるぞ、という感じでしょうか。

 「君のため 僕のため 彼のため 彼女のため やさしい風が吹き抜け 輝いた今日が来る 生きること 感謝して 巡り逢い 愛し合おう 兆しを感じたら 僕たちはいつだって一人じゃないさ」
 1番のサビとは対照的に今度は、「居る」から「ため」に変わります。
 自分ではなく誰かのため。
 そりゃ「優しい風」が吹きますよ。
 そして、誰かのために何かすることで、誰かに「一人じゃない」と感じさせることができます。

 大サビは少し1番サビが変わって、「涙して 抱き合って 肩組んで 前を向こう 兆しは地図になり 僕たちは夢の道 あきらめないよ」となります。

 最初に感じた希望の予感は「地図」になり「夢の道」が断たれていなかったことが示されます。

 苦悩の日々を超える「兆し」を感じさせる曲ですね。
 公演で有名なのは、この「兆し」はメロディに合わせて行進で入ってくるんですが、初日公演で小木曾汐莉が泣きながら出てきたところですね。もう、彼女たちの境遇を考えると、確かに涙せずにはいられません。確か、「ブブカ」の記事だと公演始まって2週間後とかも泣いてたとか。

 2018年の総選挙開票前ライブの「し、知らねえ」という曲だらけだったメンバー投票のリクアワ1票曲だらけのコンサートでも、この兆しが流れた時は、会場が盛り上がりましたもんね。ライブ始まる前にオープニングアクトとして、普通のリクアワやるなよ、普通逆だろ、とギリギリで会場入りする僕は思いましたけどね。

 僕はこの曲を聴く度に思い出す光景があります。 
 それはSKE48と離れた出来事。
 東日本大震災です。
 学校に避難した光景。
 死んでしまった街。
 なくしてしまった時間。
 大きな悲しみ。

 「兆し」が出来たのは、東日本大震災よりも前です。
 でも、僕はこの曲と「目撃者」の2曲はどうしても震災のことや避難所で過ごした方々のことを思い浮かべてしまいます(『目撃者』は天安門だと思いますが)。https://youtu.be/ulPhBNiEqGw

 抽象的な内容で、なんならKⅡのことを感じさせる曲に別の意味が加わるという現象は、とても興味深く、今回この曲のことを考えました。
 皆さんもこういう現象ってないですかね?
 問題提起というか、新しいアプローチとして今回は書いてみました。ただの深読みなんですが、ずっと胸の中にあったことなので、書きました。

 なんとなく、イメージしたスガシカオの「兆し」も貼っておきますね。
「死にたくても死にきれない君と 生きたくても生ききれない僕」どちらも同じ光を求めているのが興味深いです。
https://youtu.be/84uJBE5sCbQ