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2018年12月15日土曜日

君はペガサス①

その涙も曲になる


 ミュージカルはお好きでしょうか。

 SKEのミュージカルと言えば、「AKB49」ですよね。
 他店メンバーありだと全3回に渡って行われたこのミュージカルですが、まあ、泣けるわけです。僕も観るまでは、完全にナメてたんですね。映画「ジョン・ウィック」のドラ息子みたいに。で、ライブビューイングで観て、号泣ですよ。ジョンに車で殴られたように。まだ観てない方は是非!

 宮澤佐江主演版(公式版紹介動画)


  古畑奈和主演版(公式動画)

須田亜香里・東李苑版(公式紹介動画)



 さてさて、この「君はペガサス」先に歌詞を見てみましょう(曲は公式が上がってなかったんで、ぜひダウンロードしてね)。もう、歌詞が滅茶苦茶良くてね。全部載せたいぐらいなんですが、雑に紹介するとこんな感じです。

 「君の背中の翼が折れて 夢はあけなく終わる この手を伸ばしても 愛は跡形もなくサヨナラ」から始まることから、既に別れが起こっていることが分かります。
 1番で「君」との出会いが語られ、サビではやはり別れが描かれます。
 2番では、近づいていくことで、お互いの幻想が崩れていくことが描かれています。
 そして、「君は初めから想像上の僕が描いたペガサス 誰も見たことない 愛を思い続けた罰さ」と「君」に対して想像を膨らませ過ぎてしまったことを後悔するわけです。
 なんとなく「ラブファントム」を思い出しましたよ。

 で、もう、この曲がミュージカルの主人公である実(みのり)の気持ちをよく表していて、悲しみや絶望をここまでドンピシャで当てはめるとは。演出の茅野イサムさん、恐ろしい人!って感じなんですが、メイキングでこのミュージカルに取り組むにあったて、こんなことを仰ってるんですね。

最初は心情や会話をオリジナルで曲を作る予定だった。ところが、聴けば聞く程、AKBほど、ジュークボックス・ミュージカルに向いているアーティストはないんじゃないか、と確信を持つようになった。曲のおかげで色々ブワァーと浮かんできましたね

 ジュークボックス・ミュージカルというのは、オリジナル曲を作らずに既存の曲を作ってミュージカルを作り上げたもののことですね。曲だけで色んな感情が組み立てられるというのは、やっぱり曲数の多い48グループならではですね。

 で、この君はペガサスなんですが、物語の終盤、実が公演をほっぽりだして、吉永のところに駆けつけたところで使われているんですね。

 1番は公演をしているメンバーたちが唄います。
 で、実はサビあたりからメンバーにどんどん追い詰められていくわけですよ。リアルに追い詰められるというよりは、精神的なプレッシャーであり、罪悪感ですね。公演をすっぽかしたということと、吉永のことを理解しきれていなかったことの。
 2番は実と吉永が唄うんですが、「その姿 ああ見えなくても そこにいると 今の僕にはわかるよ」で二人は、メンバーに担がれたり引き離されたりなんですね。
 吉永は実の知らないうちに、公演を成功させるために、陰ながら様々な努力をしていたんですが、それに気づけなかった自分を実は後悔するわけです。自分は吉永の傍にいるつもりでもわかっていなかった。

 この絶望感とペガサスが見事にマッチしましてね。
 それで、曲を紹介する上で、どの公演がいいかな、と6公演をここ数日で見比べてみたんですね。
 そして、結論から言うと。
 選べぬ

 宮澤佐江さん版は、だーすー、岡田奈々、大島涼花、かおたん、という珍しい組み合わせのあと、宮澤さんへと移ります。宮澤さんが、元々、AKB48歌劇団の方でも唄ってましたし(アカペラから始まるのが好きです)、公演でのオリメンというのもあるし、一番、唄いなれていますよね。歌の世界を大事にした表現の仕方だと思います。1番終わりの遠くを見るまなざし、2番の視線の動かし方が曲と凄く合っています
 古畑奈和ちゃん版は、1番がちゅり、東李苑という歌巧いコンビから始まり、奈和ちゃんの黄金リレーが素晴らしい。北川綾巴、宮前杏実の両吉永が指をさす時の表情もいいですね。「もっと近づくことが」の前の歌い方が追い詰められてる感があって好きです。さらに「吉永~!」という叫びもここから入りますね。
 だーすー版は、すーめろ、みなるん、花音、鈴蘭という並びで始まるんですが、この並びが僕は一番好きですね。目を見開いただーすーの追い詰められた表情もいんですよ。奈和ちゃん版と比べて、2番で表情がみるみる変わっていくところが見どころです。
 李苑版は、動きで絶望を表すんですね。一番動いていると思います。訴えるような、懇願するような唄い方で、吉永への必死さが伝わってきます。
 それぞれのペガサスへのアプローチが違うのが面白いですね。  
 
 ここからの「AKB参上!」がめちゃめちゃ燃えます。
 「やっと見つけた、見つけたよ、吉永。俺の夢、新しい夢。吉永と一緒に選抜のメンバーに入る。それが俺の夢、新しい夢だああああ!吉永、俺、夢叶えに行ってくる。しゃあああばっちこおおおい!!
 この曲の並びは本当に素晴らしいです。
 ペガサスでどん底まで落ちてからの、夢の発見。
 何回観てもここで泣きます。
 
 そういえば、花音が昔やってくれてたんで、張っておきますよ。
https://youtu.be/Wf4w1y1miwA

 いつかまたSKE48で再演してほしいですが、漫画の栄編を舞台化もして欲しいですね。
 まだ未挑戦のメンバーでやるなら、実は楽々さんとかで観てみたいですが、皆さんはどんなキャスティングが見たいですか? 吉永はゆなな、岡部はよこにゃんで。ダブルキャストでいくなら、実は菅原、吉永はひゅーさん、岡部はぴよすとかどうですか?
 また、公演の最後に「ファーストラビット」「オキドキ」「アイシテラブル」の解放感たるや。次やる時は、「Stand by you」で観たいなあ、とも思います。

 ミュージカルという曲と物語が融合した空間でメンバーが役になり切って、感情を爆発させるところをまた観たいです。
 少なくとも、僕はこのミュージカルで、それまでSKEに来た宮澤佐江さんに対しては、否定的だったのが、掌をくるりと返すぐらい見直しました。元々AKB48の最初の推しが宮澤さんだったのに、大組閣でこっちに来た時には、「ああ、にししのポジションがああ」と勝手にかなりネガティブにとらえてたんですね。でも、全部、どうでも良くなりました。だって、本当に凄かったから。こんなに感情を揺さぶられるとは!あと、このミュージカルで僕は宮前杏実への味方も変わりました。あの「ざまあ宮前」にこんな一面が、と。茅野イサムさんもメイキングでこんなことを仰っています。

演劇ってうまいものを観たいわけじゃない 素敵なものを観たい、素敵な人に会いたいんですよね

 メンバーの素敵な一面に気づける機会が、またいつか観られますように。