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2019年5月11日土曜日

愛してるとか、愛してたとか①



才能同士がスパークする瞬間


 古畑奈和の代表曲というと、皆さんは何を連想しますかね?
 2019年5月現在でしたら「オルフェス」「おしべとめしべ夜の蝶々」を挙げる人が多いかも知れません(僕は『観覧車』でしょうか)。
 じゃあ、時計の針を少し昔に戻しましょう。
 たとえば、2016年だったら、10分間のソロコンサートで「10クローネとパン」をイメージする人もいらっしゃるかも知れませんし、2013年頃でしたら中森明菜さんの「デザイア」をイメージする人もいるかも知れません(意味が分からない人は『マジカルラジオ3』を観てください)。
 でもね、2015年に発表された「愛してるとか、愛してたとか」を忘れてはいけませんね。
 この曲は、当時、チームSだった東李苑とのユニット曲でして、二人の才能が絡み合った名曲になってましてね。ちょっと聴いてみましょう。



 発表された当時は、化粧品のCMっぽいという評価が多かったんですが、確かに。スタジオ撮影を上手くいかしているな、と思いましてね。白と黒のモノトーンの世界なのに、もの凄い色気がある作品になっています。
 歌詞の世界は、とても短い時間を表してましてね。
 「あの人」がいるコンドミニアムに行き、ドアを開けるまでの心情の流れが描かれています。ちなみに「コンドミニアム」というのは長期滞在用の宿泊施設なんですね。つまり、「あの人」はもともと自分と同じ町に住んでいる人ではないと考えられます。アスファルトと霧のイメージからロンドンとかかな、と僕は想像しました。
 「あの人」との刹那的な関係と、多分、この後の進展はあまり期待できない、けれど、会わずには居られないという心情が描かれています。
 年表的に見ると、この辺りから古畑奈和ちゃんの大人路線へのシフトが始まり、引き出しが一つ増えて行ったのかな、と思います。


 MVは2種類の衣装があるんですが、1番は白、2番は黒の衣装で、化粧の種類も全く変わってきます。


 大サビではその二つが交錯していきます。僕は1番の白衣装とメイクの方が好きなんですが、ライブではだいたい、2番の黒衣装ですね。

 この衣装、『SKE48 衣装図鑑 全力制服』をチェックすると、照明が反射するようにビニールやエナメル素材を使ってるんですね。胸元の模様も二人とも違ってますし、スカートの形状も違います。この本の「メンバーの好きな衣装」のコーナーでは、奈和ちゃんがお気に入りの衣装として挙げています。

 この曲は、前奏で奈和ちゃんが得意とするサックスと、李苑が得意とするキーボードの音色が絡み合う感じで進んでいくのがカッコ良くてですね。


 歌唱力のある二人がお互いを高め合っている感じが好きです。「リクエストアワー2015」のコメンタリーで東李苑が「奈和さんは、なかなかのアレンジャーで(中略)一緒にやっていると表現力が上がって行く」と言っていました。

 東李苑が卒業した後は、奈和ちゃん単独でダンスして踊っているこの曲。
 今後も一人で披露していく可能性が高いと思いますが、あえて隣りにくるメンバーを考えると、誰が皆さん、思い浮かぶでしょうか。

 歌が上手くて、鍵盤楽器ができる人。
 僕が思い浮かんだのは、野島樺乃です。彼女の歌唱力と奈和ちゃんの歌唱力がぶつかった時にどんな化学反応があるのか。「スクラップ&ビルド」の時みたいに後輩を引っ張る姿も観たいですしね。
 楽器なしのダンスバージョンでしたら、山内鈴蘭と組んでいるのも観てみたいですね。曲の世界観と近そうです。
 同期の江籠ちゃんとやるとどうなるのかも気になります。

 妄想は広がりますが、2015年のSKE48曲のMVでベスト3に入る良作だと僕は思ってます(残りの2つは『前のめり』と『2588日』)。


 「10クローネとパン」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/11/blog-post_30.html

 「オルフェス」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/04/blog-post_81.html

 「スクラップ&ビルド」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/01/blog-post_63.html

 「観覧車」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_30.html

 


    

2018年12月15日土曜日

君はペガサス①

その涙も曲になる


 ミュージカルはお好きでしょうか。

 SKEのミュージカルと言えば、「AKB49」ですよね。
 他店メンバーありだと全3回に渡って行われたこのミュージカルですが、まあ、泣けるわけです。僕も観るまでは、完全にナメてたんですね。映画「ジョン・ウィック」のドラ息子みたいに。で、ライブビューイングで観て、号泣ですよ。ジョンに車で殴られたように。まだ観てない方は是非!

 宮澤佐江主演版(公式版紹介動画)


  古畑奈和主演版(公式動画)

須田亜香里・東李苑版(公式紹介動画)



 さてさて、この「君はペガサス」先に歌詞を見てみましょう(曲は公式が上がってなかったんで、ぜひダウンロードしてね)。もう、歌詞が滅茶苦茶良くてね。全部載せたいぐらいなんですが、雑に紹介するとこんな感じです。

 「君の背中の翼が折れて 夢はあけなく終わる この手を伸ばしても 愛は跡形もなくサヨナラ」から始まることから、既に別れが起こっていることが分かります。
 1番で「君」との出会いが語られ、サビではやはり別れが描かれます。
 2番では、近づいていくことで、お互いの幻想が崩れていくことが描かれています。
 そして、「君は初めから想像上の僕が描いたペガサス 誰も見たことない 愛を思い続けた罰さ」と「君」に対して想像を膨らませ過ぎてしまったことを後悔するわけです。
 なんとなく「ラブファントム」を思い出しましたよ。

 で、もう、この曲がミュージカルの主人公である実(みのり)の気持ちをよく表していて、悲しみや絶望をここまでドンピシャで当てはめるとは。演出の茅野イサムさん、恐ろしい人!って感じなんですが、メイキングでこのミュージカルに取り組むにあったて、こんなことを仰ってるんですね。

最初は心情や会話をオリジナルで曲を作る予定だった。ところが、聴けば聞く程、AKBほど、ジュークボックス・ミュージカルに向いているアーティストはないんじゃないか、と確信を持つようになった。曲のおかげで色々ブワァーと浮かんできましたね

 ジュークボックス・ミュージカルというのは、オリジナル曲を作らずに既存の曲を作ってミュージカルを作り上げたもののことですね。曲だけで色んな感情が組み立てられるというのは、やっぱり曲数の多い48グループならではですね。

 で、この君はペガサスなんですが、物語の終盤、実が公演をほっぽりだして、吉永のところに駆けつけたところで使われているんですね。

 1番は公演をしているメンバーたちが唄います。
 で、実はサビあたりからメンバーにどんどん追い詰められていくわけですよ。リアルに追い詰められるというよりは、精神的なプレッシャーであり、罪悪感ですね。公演をすっぽかしたということと、吉永のことを理解しきれていなかったことの。
 2番は実と吉永が唄うんですが、「その姿 ああ見えなくても そこにいると 今の僕にはわかるよ」で二人は、メンバーに担がれたり引き離されたりなんですね。
 吉永は実の知らないうちに、公演を成功させるために、陰ながら様々な努力をしていたんですが、それに気づけなかった自分を実は後悔するわけです。自分は吉永の傍にいるつもりでもわかっていなかった。

 この絶望感とペガサスが見事にマッチしましてね。
 それで、曲を紹介する上で、どの公演がいいかな、と6公演をここ数日で見比べてみたんですね。
 そして、結論から言うと。
 選べぬ

 宮澤佐江さん版は、だーすー、岡田奈々、大島涼花、かおたん、という珍しい組み合わせのあと、宮澤さんへと移ります。宮澤さんが、元々、AKB48歌劇団の方でも唄ってましたし(アカペラから始まるのが好きです)、公演でのオリメンというのもあるし、一番、唄いなれていますよね。歌の世界を大事にした表現の仕方だと思います。1番終わりの遠くを見るまなざし、2番の視線の動かし方が曲と凄く合っています
 古畑奈和ちゃん版は、1番がちゅり、東李苑という歌巧いコンビから始まり、奈和ちゃんの黄金リレーが素晴らしい。北川綾巴、宮前杏実の両吉永が指をさす時の表情もいいですね。「もっと近づくことが」の前の歌い方が追い詰められてる感があって好きです。さらに「吉永~!」という叫びもここから入りますね。
 だーすー版は、すーめろ、みなるん、花音、鈴蘭という並びで始まるんですが、この並びが僕は一番好きですね。目を見開いただーすーの追い詰められた表情もいんですよ。奈和ちゃん版と比べて、2番で表情がみるみる変わっていくところが見どころです。
 李苑版は、動きで絶望を表すんですね。一番動いていると思います。訴えるような、懇願するような唄い方で、吉永への必死さが伝わってきます。
 それぞれのペガサスへのアプローチが違うのが面白いですね。  
 
 ここからの「AKB参上!」がめちゃめちゃ燃えます。
 「やっと見つけた、見つけたよ、吉永。俺の夢、新しい夢。吉永と一緒に選抜のメンバーに入る。それが俺の夢、新しい夢だああああ!吉永、俺、夢叶えに行ってくる。しゃあああばっちこおおおい!!
 この曲の並びは本当に素晴らしいです。
 ペガサスでどん底まで落ちてからの、夢の発見。
 何回観てもここで泣きます。
 
 そういえば、花音が昔やってくれてたんで、張っておきますよ。
https://youtu.be/Wf4w1y1miwA

 いつかまたSKE48で再演してほしいですが、漫画の栄編を舞台化もして欲しいですね。
 まだ未挑戦のメンバーでやるなら、実は楽々さんとかで観てみたいですが、皆さんはどんなキャスティングが見たいですか? 吉永はゆなな、岡部はよこにゃんで。ダブルキャストでいくなら、実は菅原、吉永はひゅーさん、岡部はぴよすとかどうですか?
 また、公演の最後に「ファーストラビット」「オキドキ」「アイシテラブル」の解放感たるや。次やる時は、「Stand by you」で観たいなあ、とも思います。

 ミュージカルという曲と物語が融合した空間でメンバーが役になり切って、感情を爆発させるところをまた観たいです。
 少なくとも、僕はこのミュージカルで、それまでSKEに来た宮澤佐江さんに対しては、否定的だったのが、掌をくるりと返すぐらい見直しました。元々AKB48の最初の推しが宮澤さんだったのに、大組閣でこっちに来た時には、「ああ、にししのポジションがああ」と勝手にかなりネガティブにとらえてたんですね。でも、全部、どうでも良くなりました。だって、本当に凄かったから。こんなに感情を揺さぶられるとは!あと、このミュージカルで僕は宮前杏実への味方も変わりました。あの「ざまあ宮前」にこんな一面が、と。茅野イサムさんもメイキングでこんなことを仰っています。

演劇ってうまいものを観たいわけじゃない 素敵なものを観たい、素敵な人に会いたいんですよね

 メンバーの素敵な一面に気づける機会が、またいつか観られますように。