自由に生きること・自分を更新していくこと
皆さん、プロレスってご覧になりますか?
僕がプロレスにはまったのは、高校3年生ぐらいの時でね。
2011年の10月ぐらいの新日本プロレスの武藤・馳組対永田・秋山組をテレビ中継で観たのがきっかけでしてね。
そこから新日本プロレスを中心に見ていくようになりましてね。
当時、愛媛県宇和島市というド田舎に住んでいた僕は、インターネットもまだそこまで利用できていなかったので、『週刊ゴング』を中心に読んで情報を収集していました。
当時、読んでて思ったのが、ただの試合をここまで妄想を広げて書ける人達がいるのか、という衝撃がありました。失礼な言い方ですがね。週刊プロレスとかのキャッチコピーの付け方にはしびれましたね。試合の見出しに「刺激中毒」とつけたりとかね。
そんな中、僕は中邑真輔というレスラーと出会います。
彼は、現在、日本を飛び出してWWEというアメリカの一流ブランドでパフォーマンスしています。
新日本プロレスが最後の試合の時に、簡単にこれまでをまとめてくれているので、まずは、この動画を観てくださいな。
いかがでしたでしょう?
彼は若手時代に総合格闘技に駆り出され、結果を出していきます。
そして、最年少でIWGPという団体最高峰のベルトを奪取。
その後は、脱アントニオ猪木化を進める新日本プロレスで、あえて猪木の名前を出して「過去と戦う」ということをしようとしたところがカッコ良くてね。
そして、メキシコに渡り、自分を解放していく、ということで、誰とも違う「中邑真輔」というものを手に入れていきます。
その一つが「イヤァオ!」という叫びです。
これは、固定的な意味はないんですね。
中邑真輔の言葉を借りると、「投げかけ」なんですね。
この言葉は現在、海を越えて、世界で叫ばれています。
また、入場時に身体をくねくねさせるようにもなりましてね。
これは緊張を緩和させたり、無駄な力を抜く効果があるそうなんですが、トークイベントでは「相手をなめ腐っているから」と言ってましたがね。
彼は、2013年に新設されて間もないIWGPインターコンチベルトの第4代王者になります。そこから、防衛回数を重ねていき、2014年の東京ドームで棚橋弘至と戦うことになります。その際の会社側の仕掛けとして、IWGPインターコンチ戦とIWGP戦のどちらの試合をメインで見たいかという人気投票がファンを対象に行われます。結果は中邑真輔対棚橋弘至戦がメインに。IWGPという「過去」の集積を見事に超えて行った瞬間だと思います。
ちなみに珠理奈もこの試合は、プロレスにはまってから映像で観たと握手会の時に、聞きました。
2015年、中邑真輔はアメリカへ。
世界最大のプロレス組織、WWEへ行きます。
NXTで活躍した後、いよいよ1軍へ。
その時の衝撃はWWEが公式で残しています。
ちなみに、僕が考える中邑真輔のベストバウトは、2013年1月4日の東京ドームでの桜庭和志戦です。あのヒリヒリするような緊張感とどっちが勝つのか直前まで分からないという、観客としてワクワクするような試合でした。
ちなみに、中邑真輔は大のウルトラセブンファン。
セブンの話をさせると、かなり詳しいんだな、と感じます。
好きなシーンの一つとして、41話の「水中からの挑戦」の河童クラブの面々の「河童はいいなあ」というモノマネをしていたところは、この人、本物じゃねえか!と震えたものです。恐竜戦車の回の隊長の怖さとかも語ってましたね。ペガッサ星人の真似の「誰にも言わないでくれ~」もよく咄嗟に出るなと思いましたよ。
それから、大阪であった円谷展に行った時、ウルトラセブンの「ダリ」の回の絵を描いて出展されていました。そう、彼は青山学院卒の美術部でもあったんです。
そんな彼のセブン好きを知ってか知らずか、こんな煽り映像も。
最終的に円谷とコラボしたTシャツも発売。
僕の誕生日プレゼントに友人が買ってくれたんですが、サインをしてくれたババルウ星人さんは「滾るのどうしようっかなー」と分かり過ぎている言葉も書いてくれていました。
現在は、着まくってクタクタになってますが、これからも着たいTシャツの1枚です。
モチロンとの死闘も。
https://www.njpw.co.jp/48525
さて、そんな中邑真輔選手なんですが、自分も元プロレスファンということもあって(ちなみにジャッキー・チェンにも詳しくてジャッキー・チェンのムックにインタビューが載っている!)、独特のプロレス観と言葉を持っているんですね。
珠理奈がプロレスにはまるのがもう少し早ければ、ひょっとしたら、コラボがあったかもと思うと残念です。
TEMPURA KIDZさんがコラボされてますね。
結構好きな曲。
まず紹介したいのが、彼の自伝です。
インタビュー形式で、2014年までのことを語っています。
特に印象に残ったのが、ここで負けたら人生が終わるというイグナチョフ戦と、桜庭戦のことですかね。それから、各レスラーへの視線も独特でね。鈴木みのる率いる鈴木軍のことを「鈴木再生工場」とレスラーに新たな価値観を加えていると評価したりしてます。まずは、この本からどうでしょう?
ちなみにプロレスとの出会いなどは青山学院大学での講演でも話していますね。僕は結構この公演の話が好きです。特に中学生の時の夢の「忍者」か「ジャッキー・チェンになる人」か「プロレスラー」という選択肢が素敵。
次に紹介したいのが、「KAMINOGE」という活字が中心のプロレスカルチャー雑誌のインタビューをまとめた「THE RISING SUN」。ちょっとプロレスヲタの方向けの濃いインタビューが載ってます。僕はこの本のおかげで家にたまった「KAMINOGE」を捨てる決心がついたのですが、まだ捨てられてません。
「プロレスを通して何を伝えたいか、何を自己実現したか」というプロレスは表現の手段の一つである、という言葉はプロレスの見方を一つ更新してくれた名言だと思います。クリス・ジェリコや桜庭和志とのインタビューも入っています。読み応えも滅茶苦茶ある1冊です。プロレス好きでまだ読んでない方は是非。プロレスの可能性を探り続ける人のインタビューです。
「1976年のアントニオ猪木」で有名な柳澤健さんが取材した「2011年の棚橋弘至と中邑真輔」も紹介します。これは、棚橋・中邑を軸に、新日本プロレス暗黒期からの復活までの軌跡を書いていきます。これは、本当に初めて知ることが多くて、上記の二人だけでなく、周辺の選手のインタビューで多角的に取材しているので、おすすめです。特に棚橋から見た中邑が面白くてね。ある時期から「キリスト」のようになったというカリスマへの評価は面白いです。
最後に紹介したいのが、「USA DAYS」。
新日本からの旅立ち、WWEデビュー、スマックダウン昇格までが語られています。
プロレスのことも読んでいて楽しいんですが、アメリカでの生活が紀行文としても興味深くてですね。今は、言葉の壁はパソコンやスマホが助けてくれること、車選びは慎重にしないといけないこと、地方によっては普通にワニがいること、世界一うまいと思うハンバーガーはメキシコにあることなどを写真と共に語ってくれています。
スマックダウン昇格が決まったのが2日前とか、色々とWWEの裏側も中邑の視点から知ることができるので、お勧めです。日本のスナックが恋しいという話も良くてね。中邑真輔のおかげで松田聖子の「制服」を知りました。
どの本も生き方を考えていく上でも、新しい選択肢を選ぶ勇気をくれたり、柔軟性をくれたりするものばかりです。
新たな刺激を求めて、プロレスを続ける中邑真輔。
また、新日本プロレスで活躍する姿も見たいものです。
僕が唯一、生で中邑真輔の試合を観ることができた大阪城ホールの後藤戦。
中邑真輔は忍者のコスプレで出てきました。
何度も彼の名前を叫び、ほんのわずかな指の動きに何千人が集中する光景。
試合終盤のシャワーのように降り注ぐ歓声を僕は一生忘れないと思います。