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2020年12月2日水曜日

秦佐和子さんの動画からコミュニケーションについて考えよう!

想像力のアップデート


 ※今回の記事はいつも以上に私的な見解が多めなので、苦手な方はどうぞこの記事を閉じて、次の記事へジャンプ!


 「美しく年をとること」について皆さんは、考えたことがあるでしょうか?
 ただ、年をとるのではなく「美しく」です。
 僕が今回紹介したいのは、元SKE48の秦佐和子さんです。
 3期生として入ってきた彼女は、短い活動期間ながら数々のバラエティ番組で結果を残し、松井玲奈と並んでSKEに「知的で上品な美人がいる」という新しい入り口を生んでくれた人でした。現在は、声優としてバリバリ活躍している彼女ですが、アイドル時代に「結婚は人生の墓場」と言っていた彼女がブライダル関係の動画に出たという噂を旅の虚無僧から聴きましてね(大嘘)。
 前後編で30分ぐらいので、ちょっと見てみましょう。

前編



後編


 いやあ、素晴らしかった。思わず、「地球人よ、秦佐和子さんの着物姿を称えずして、何が人間か!」というタイトルをつけそうになりましたよ。
 どうでも良いけど、あの結婚式の時に流れる馴れ初めVTRって何なんですかね。羨ましい。
 もし、僕が結婚式をするなら、キャンドルサービスの時にこの音楽で登場して、式場に謎の緊張感を漂わせたいですね。



 話を戻すと、なかなか考えさせられる内容でしてね(勿論、ロメロ監督の『ゾンビ』も考えさせられる内容である)。
 特に後編のプロポーズについてですよ。
 「プロポーズされる側の気持ち」、さらに「予約した店員さんの視点」という、どこまでこの人は想像力のリーチが広いんだと思いましたよ。見方をひっくり返すと、「自意識過剰なのでは?」となりますが、僕が好きな人は自意識が過剰な人が多いです。歌人の穂村弘さんとか、オードリーの若林さんとか。
 そういえば、オードリーの春日さんがテレビ番組の中でだいだい的にプロポーズしたのに、対して若林さんが凄く控えめに帰り道かなんかにプロポーズしたのも思い出しましたよ。コンビでも対照的だなと。
 話を戻しましょう。
 SKE48ファンの方は年齢層も高めで、既婚の方も結構いらっしゃるんですが、皆さんのプロポーズはどんな感じだったんでしょう?
 僕自身は、誰かと付き合うとすぐにサプライズを考えたいタイプでしてね。
 諸葛孔明の八陣図とか、「絡新婦の理」の犯人とかレベルの緻密な計画ではないんですが、ワクワクしながらサプライズしていました。
 今、考えると、果たして急にどこかへ連れて行くとか、そういうのが相手にとって嬉しいことなのか、というのをふと秦さんの話を聞いていて考えましたよ。楽しいのは僕だけだったんじゃないか?
 映画「葛城事件」の親父のカラオケみたいになってないか、と心配になりましたよ。



 更に、秦さんの理想のタイプを聴きながら、自分の人と接する際の価値観もわりかし昔っぽい感じがしてきて、「もっと相手に寄り添える人間になりたい!」と思った次第です。
 ううむ、この反省を握手会などの短い時間でのコミュニケーションで、相手が何を言ったら喜ぶか、何を求めているのかを考え直す良い機会になりましたよ。
 それにしても、秦さん、ぶれてないなぁ。

2020年2月22日土曜日

おすすめのアニメ「AKB0048」

彼女たちが名もない頃


 2011年11月25日。
 AKB48がアニメ化されることが発表されました。
 正式タイトルは「AKB0048」。
 メンバー内でオーディションを行うことになりました。
 2011年12月8日、1次オーディション。
 2011年12月13日、最終メンバーが決定します。
 メンバーは下記の通りです(発表順 チームは発表当時のもの)。
最終メンバー
 佐藤亜美菜 (AKB48 チームB)
 岩田華怜  (AKB48 研究生)
 矢神久美  (SKE48 チームS)
 仲谷明香  (AKB48 チームA)
 秦佐和子  (SKE48 チームK2)
 佐藤すみれ (AKB48 チームB)
 石田晴香  (AKB48 チームB)
 三田麻央  (NMB48 2期研究生)
 渡辺麻友  (AKB48 チームB)

 現在、声優として活躍しているメンバーの名前もちらほらありますね。
 僕はこのアニメがきっかけで三田麻央という人を知りました。
 ユニット名は後日、「NO NAME」という名前に決まります。
 この名前の意味をまだ、発表時は分かりませんでした。

 さて、2012年3月13日。
 「AKB0048」のサンプル映像がグーグルプラスに投稿されます(現在はサービス終了)。
 この映像に思わぬメンバーが反応します。

「松井玲奈 23:09
  歌とロボット・・・

  これはっ!!

  テンションあがるぅぅぅぅぅ×! 」


「松井玲奈 23:20
 でもキャラクターのステップの動きがもっと自然にならないとアイマスは越えられない!サンプルだからしょうがないのか・・・?
 でも・・・

 気になってしまう!
 悲しい性だ!」


「松井玲奈
 いや、しょうがなくない!だってメカはあんなにぬるぬる動くんだから!(CGだからなんだけどさ)

 でもね、ステップもそれぞれ癖があるわけで、全員同じなんてないんですよ!そういうとこにもこだわって欲しいなって!キャラに愛を持って欲しいなって!

 あ、細かいですか?」
 
 この後も続くんですが、割愛します。
 現在、女優として大活躍中の松井玲奈さんですが、SKE48の二次元同好会の会員で、すさまじいアニメへの愛があるからこその言葉だと思います。特にダンスに関する動きについては、現役アイドルならではないかと思います。

 アニメの映像に先駆けてストーリー設定も紹介されていきます。
 芸能を禁止された近未来の宇宙で、AKB0048たちが、芸能を禁止するDES軍と戦いながら、コンサートで愛を届けるというストーリーです。「前田敦子」、「高橋みなみ」という有名メンバーは、襲名生になっています。「6代目高橋みなみ」といった風に研究生が襲名していくわけです。オーディションで選ばれたメンバーたちは、襲名前の研究生を演じていきます。
 では、襲名後のメンバーたちは誰が演じているか?
 下記の通りです。(番組表記のそのまま)

あっちゃん(13代目 前田敦子) 沢城みゆき
ゆうこ(9代目 大島優子) 神田朱未
ゆきりん(6代目 柏木由紀) 堀江由衣
まゆゆ(3型目 渡辺麻友) 田村ゆかり
こじはる(8代目 小嶋陽菜) 能登麻美子
たかみな(5代目 高橋みなみ) 白石涼子
ともちん(11代目 板野友美) 植田佳奈
さえ(10代目 宮澤佐江) 中原麻衣
さやか(10代目 秋元才加) 川澄綾子


 あまりアニメを見たことがない僕でも聞いたことがある名前の人が多いです。
 オーディションを乗り越えて、研究生を演じるメンバーたちと、すでに活躍している正規メンバー役の声優のみなさん。キャストの配置と物語もこの時点からリンクしています。
 
 声優初挑戦というメンバーがほとんどの中、声優経験のあった佐藤亜美菜は、最終オーディション後、「本当に2回ほど、ちょこっとですけど、声優さんのお仕事をさせてもらった時に、あまりにできなくて。もう何度も恥ずかしい思いをしてきているので、この0048で実力を上げていければと思っています」と意気込みを語っていました。
 彼女は友歌という、男友達に密かな恋心を持ちながらも、アイドルであるがゆえに恋愛はできないというキャラクターを担当することになります。彼女だけに限らず、それぞれのメンバーが自分の役と向き合いながら、成長していくことになります。

 このアニメに対して、みんながみんな歓迎しているわけではありませんでした。
 2012年6月30日。
 TOKYO-MXの職員がTwitterで「AKBアニメやるのは、会社の恥だと思ってたんですが、大人の事情が、、、」というツイートをし、21時03分にTOKYO-MXが「視聴者及び関係者の皆様へ」という謝罪声明を出しています(現在は削除されています)。
 これは、たまたま表に出ただけで、声に出さずとも不快感を感じた人は多かったかもしれません。
 「AKB」というだけで批判されていた当時は、アニメの世界観とどこかリンクしているような気もします。
 
 さて、まずはシーズン1では、主人公が故郷を飛び出して、AKB0048の研究生として、成長していく過程が描かれていきます。そこには、SFというフォーマットを使いつつも、現実のアイドルの葛藤とリンクすることが描かれています。
 初めて観たアイドルのコンサートの華々しさ。先輩たちとの意識の違い。なぜ、自分は昇格できないのか。アンチとどう向き合っていけばいいのか。何故、後輩たちに曲がもらえるのか。周りから求められる自分と本来の自分との違い。
 様々な葛藤が、描かれながら、「センターノヴァ」という一番輝く状態になったら消えてしまうという現象についてのヒントが出てきたところでシーズン1は終わります。
 シーズン1の良さとしては、曲と物語のリンクでしょうか。
 1話で、主人公がラストシーンで家を飛び出してオーディションを受けるために自転車で走るシーンで流れる「希望について」。
 「その手伸ばしても今は届かないよ」という歌詞から始まるんですが、1話の最後で仲間たちが手を伸ばすことによって手が届いて、主人公はなんとか、オーディションに向かう宇宙船に乗ることが出来るんですね。





 他にも「beginner」や「約束よ」と物語のリンクも素晴らしいんですが、1番この演出が輝いたのが12話です。
 先ほど挙げた佐藤亜美菜演じる友歌が、恋心を寄せる護と故郷の星で再会。
 AKB0048を守る「WOTA」(私設の軍隊のようなイメージです)として友子のことを守るとコンサート前に誓う護。それに複雑な気持ちで答える友子。
 ちょっとややこしいんですが、護は友歌の前では他のメンバー推しを公言しています。しかし、実はその推しメンの写真の下に、友歌の写真を隠して持ち歩いていたんですね。
 やがて、コンサートで「大声ダイアモンド」が流れます。 




 敵からAKB0048を守るために援護射撃をする護。
 護が心の中で「俺、お前のこと、きっと、ずっと、この想いは…」と思っているところで、唄っている友歌が目の前に来ます。この時、二人の声がリンクして「ずっと胸にしまって」という心の声を重ね合わせます。
 サビの「大好きだ」というメロディーが流れる中。
 やがて、DES軍の攻勢が激しくなったため、ライブを中断し、護と再び離れ離れになることになった友歌は「感情吐き出して、今すぐ素直になれ」と涙ながらに唄いながら消えていきます。
 この切ないストーリーが、僕はシーズン1では印象に残っています。
 「大声ダイアモンド」という超前向きな曲をこんなに切なく料理できるのか、と感動しました。また、この回は「シアターの女神」のオーケストラバージョンが使われていますが、護の心の声のようで切なくなります。
 この曲のようにこの番組では、「ヘビーローテーション」などのオーケストラバージョンが聴けるところも良かったです。
 
 この1期の収録中に我々の知らないところで苦労していたメンバーがいます。
 それが秦佐和子です。
 彼女の卒業報告した時のアメブロを読んでみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-11485671860.html

 歯科矯正をしながらの0048の収録。舌やうち頬がえぐれ、血を流しながらの握手会。鈴子という役への思い。
 皮肉にも卒業する時に歯科矯正が終わるという切ない物語。
 改めてこの記事の為に全話観ましたが、そこまで違和感を感じていませんでしたが、最後まで隠していたところが彼女らしいと思います。

 そして、シーズン2(NEXT STAGE)が開始されます。
 総選挙、襲名、卒業への思い、48グループのさらに中核に迫る事象に触れていきます。
 僕は、18話の「禁じられた星」というエピソードが印象に残っています。
 前話までの軸であった総選挙でランクインすることが出来なかった、三田麻央演じる横溝真琴が、自分の存在価値について悩むところから話はスタートします。
 彼女はさらに少し前の話で、バラエティ番組でバンジージャンプが飛べずに終わってしまっています。何をやってもダメな状態が続く真琴は、仲間たちと一緒にDES軍の軍事基地に労働しながら、相手の実態を探る任務をこの回ではすることになります。
 彼女たちの労働部門の担当者である東野は、DES軍の中年の男性であまり仕事ができる感じではないですが、油断はできません。真琴のちょっとしたしくじりで、仲間が窮地に陥ります。窮地に陥った彼女たちを助けてくれたのは、なんと、東野でした。彼は、DES軍でありながら、真琴の隠れヲタで、総選挙でも4票投票してくれた人でした。
 敵でありながら自分の価値を認めてくれた人の助けを借りて、彼女は仲間の危機を救うために、数回前に飛べなかったバンジージャンプの形式で施設の地下までジャンプし、敵の装置を破壊します。
 主人公たちのエピソードや「センターノヴァ」とはあまり関係のないエピソードですが、とても心に残っています。票数という数字だけじゃなくて、声が届かなくても応援している人たちが居るということを、今、くすぶっているメンバーにも見て欲しいエピソードです。

 話は進み、物語はいよいよ終幕へ。
 自分たちのホームである秋葉星(アキバスター)を敵の組織に占拠され、敵のプロパガンダで星の皆さんは、AKB0048を憎んでいる状態であることが最終回1話前に判明します。せっかくAKB0048が星を取り戻しに来たにも関わらず、「帰れ」コールが鳴り響き、火炎瓶が飛び交うというアイドルのアニメとは思えない形で、最終1話前は終わります。
 「Zガンダム」や「仮面ライダー龍騎」の最終回1話前を観た時のような、「えっ、これどうすんの」という終末感を僕は感じました。若い方の為にたとえると、「アベンジャーズ・インフィニティーウォー」のラストをイメージしていただければと思います。

 最終話。 
 主人公の顔は観客から投げられた物で、アイドルとは言えないぐらい膨れていきます。
 それでも、諦めずに「風は吹いている」を唄いながら、徐々に観客の心に訴えかけていきます。
 シーズン1で、離れ離れになった友歌と護も再会します。
 敵の撃った弾に被弾した友歌は上空から落下してしまいますが、友子を護がクッション代わりになります。
 「護?」
 「良かった、無事か…」
 「守ってくれたの?」
 「当然だろ、俺はいつだって友歌を守るさ」
 「護!」
 抱きつこうとした友歌の手は止まります。
 彼女はAKB0048、抱きつくことは出来ません。
 瞼に涙をためながら、友歌は歌います。
 「この涙を君に捧ぐ」




  そして、護のモノローグが彼女の歌声に乗せて続きます。
 「もっと君が輝くなら 僕はずっと君を見守っていく」

 この辺りで、ひょっとして「この涙を君に捧ぐ」というのはファン目線の曲なのではないか、ということが見えてきます。
 「NO NAME」というのは、「名もなき者たち」。
 「この宇宙に散らばる名もなきいくつもの思いたち」という大島優子の台詞と共にサイリウムを振るファンやこれまでメンバーを応援してきた人や縁のある人達が映し出されていきます。
 そうか、ひょっとしたら、僕も「NO NAME」の一人だったのか、と気づかされます。
 さらに言うなら「主なきその声」というシーズン2の主題歌や歌詞の内容も、「NO NAME」とつながります。
 また、この最終回ではシーズン1が終わった後に開催されたライブでの観客の声が「希望について」で流れます。まさに「主なきその声」たちが彼女たちを後押しして、勝利に導くわけです。
 で、色々あって主人公は前田敦子を襲名、渡辺麻友演じる「智絵里」がセンターノヴァになります。
 一気に見ていくと、シーズン1ではまだ、たどたどしかった岩田華怜の演技が上手になっているのに気づきます。彼女は、「収録の帰りは地下鉄の中でいつも泣いていた」と自分の実力と与えられたポジションとの差にもがいていたかも知れませんが、最後に見事、演じきったと思います。

 この「NO NAME」というユニットはこのアニメが終了後、フルメンバーで再結成されることはありませんでした。
 矢神久美の芸能界引退や、秦佐和子の卒業(後に声優としてデビュー)があったからです。また、AKB48の仲谷明香も卒業していました。
 この作品を通してみると、矢神久美という人の才能は、声優というジャンルでもしっかりと発揮されたな、と思います。
 秋元康をして「矢神は天才だからな」と言わしめた才能の持ち主ですが、河森監督からも「これからどうしていくか、色々あると思いますが、僕らとしては、声優の仕事いつでも待ってますから」という言葉をいただいています。
 彼女は今、主婦をしていますが、いつかまた「NO NAME」の再結成をしてほしいなと思っています。僕の個人的な予想ですが、2020年9月にある松井珠理奈の卒業コンサートにくーみんは出てくれるんじゃないか、と思っています。
 声優業界で「名もない」ところから、一人一人が努力し、自分の夢や目標に向かって旅立っていったからこその、良い意味での幻のユニットになったと思います。
 収録最終日に号泣するまゆゆの姿は、「NO NAME」というユニットが彼女にとって大事なユニットだったことが伺えます。既にくーみんの卒業が決まっていたので、もうこのユニットが戻ってこないことへの寂しさもあったかもしれません。
 
 アニメが終了しても、曲の力は強く、2015年のAKB48グループの楽曲人気投票であるリクエストアワーでは、見事20位にランクインします。当時残っていたのは、渡辺麻友、岩田華怜、佐藤すみれ、石田晴香、三田麻央の5人だけでしたが、2年ぶりにランクインした時は僕も嬉しかったです。
 2016年のSKE48のソロコンサートのアンコールでは、「NO NAME」のオリジナルメンバー佐藤すみれ(2014年に移籍)が踊る「希望について」が観ることができましたし、2019年の三田麻央卒業時には、NHKBSで放映されていた「AKB48SHOW」で過去の「NO NAME」曲が一挙放送されました。
 僕が一番、印象に残っているのは、NGT48の山口真帆さんの卒業公演のアンコールがこの曲だったんですね。どんな心境でこの曲を彼女が選んだのかは、想像するしかありませんが、中継でイントロがかかった瞬間に、色々な思いが駆け巡ったのを覚えています。

 この作品が作られた時代に目を向けると、2011年3月11日に東日本大震災が起こり、東北は大変なことになります。AKB48はいち早く、出張コンサートに行きます。人数の多さを活かして、被災地各所で次々とコンサートをしていきます(この辺りは岩波ジュニア文庫から出ている、NHKの石原真プロデューサーの著作を読んでください)。
 当時は、「不謹慎」という名の雲が日本中を覆おうとしていました。ドキュメンタリー映画の2作目を確認すると、自衛隊が取り囲む中、歌って踊るメンバーたちの姿があります。もちろん、歓迎されているかどうかは分かりません。ただ、AKB0048の第1話と同じように、子供たちが「会いたかった」に合わせて踊っている姿が残されています。その数か月後にこの作品が発表されます。
 総監督の河森正治総監督は、「マクロスフロンティア」という作品も担当していましたが、それとは違ったアプローチで歌とアイドルを描くことに成功したと思います。





 アニメという虚構を通して、AKB48という現実を違った角度で僕らに見せてくれた「AKB0048」。
 僕がここまでで書いたように、「曲」に様々な「物語」を付加していった、本当に素晴らしいアニメだと思います。
 アイドルを応援している人たちには、是非見て欲しい作品の一つです。

2020年1月12日日曜日

孤独なバレリーナ①

あの頃の夢から片手を離すけど


 凄い個人的な話から始めるんですが、SKE48の3期生がわりと好きでしてね。
 SKE48の上昇期に現れた黄金世代として、それぞれが別々のチームに配置され、選抜入りや総選挙へのランクイン、外仕事での活躍とSKE48を牽引する働きをしていきました。

 ただ、この期を代表する曲って、なかなか無いんですよね。
 「少女は真夏に何をする?」か、「Dear my teacher」かなあ、とか思って、2012年のガイシコンサートをぼんやり観てたんですね。で、1日目はここかなあ、どうしようかなあ、と思いながら、2日目に突入しましてね。



 ぼんやり見ていると、ある曲に行きつきました。
 それが「孤独なバレリーナ」です。
 ガイシの楕円形のステージの、メインステージにチームK2、サブステージに須田亜香里が出てくるんですね。
 なんと、だーすーがサブステージ独り占め!
 でも、それも当たり前で、彼女はバレエで全国第2位(その年は1位なし)まで行っているわけです。
 彼女のバレエの凄さは、もはやSKE48ファンの間だけではなく、最近ではバラエティでも語られていますね。
 
  ちなみに純白の公演バレリーナ衣装と違い、だーすーはオリジナルの青い衣装でしたね。
 この白い方の衣装に関しては、大矢真那さんが、KⅡ公演を観に行った時に白いバレエシューズの裏が黒くなっていることに気づいて、衣装さんに「変えた方が良い」と助言したそうです(リクエストアワー2015年のコメンタリーより)。「やってる方は気づきにくいもんな」と真木子も感心していましたが、大矢真那さんって、他のコンサートでのリハーサルでも孤独なバレリーナのリハを観る程のバレエ好きでもあるんですよね。
 
 で、話を「3期生の曲」という観点に戻すと、この個性派集団は全員でまとめるより二人ずつとかで考えて行った方が分かりやすくなるんじゃないかな、と思いました。
 「孤独なバレリーナ」の場合は、秦佐和子と須田亜香里のコンビですね。
 この振り付けは、バレエ経験者の秦さんが中心となって考えたものなんですよね。
 秋元康がバレエを題材にした曲としては、「ドガとバレリーナ」が本当に静謐な美しさを持っていると思うんですが、そのプロトタイプが「孤独なバレリーナ」なのかなと思います。
 踊っている秦さんの表情の美しさが凄く良いんですよね。同じく惣田さんバージョンでも同じく美しい。
 是非是非、公演やコンサートで踊るときはバレリーナを担当するメンバーの表情や動きの滑らかさにも注目して欲しいと思います。
 秦佐和子が、この曲を踊った期間のことを考えると、余計に儚さを感じてしまいます。
 
 そして、もう一つの楽しみ方があります。
 だーすーの著書である「コンプレックス力」の第1章を読んでから、もう1度ガイシの2日目やなんなら「箱で推せ!」の横浜アリーナ2日目の最初を観ていただくと感じ方に一つ感情が乗って来るんですね。
 バレエの為に彼女のお母様が様々なことを我慢しながらサポートしてくださったエピソードなんかは、涙なしでは読めないとこなんですが、色々なことを犠牲にしながらストイックに頑張ったバレエを辞めてアイドルになる決心。そして、SKE48というアイドルになった彼女が、曲を通して、再びバレエと再会するというこのドラマが凄いんですよね。
 騙されたと思って「コンプレックス力」のP38~P42をチェックしてみてください。
 こういう「間テクスト性」的な楽しみ方もたまにはいいかなと思って紹介しました。
 写真集の「可愛くなる方法」での静止した1枚の絵画のような美しさも良いですが、曲の世界の中で躍動するだーすーが本当に美しい1曲です。


※写真集の感想はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/04/blog-post_21.html

※「SKE48このコンビが好き 須田亜香里×3期生」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/10/blog-post_57.html

 

2018年12月29日土曜日

この涙を君に捧ぐ①



NO NAMEのこと



 このNO NAME、2011年12月13日にデビューしましてね。AKB48を元に作られたSFアニメ「AKB0048」の中に登場するキャラのオーディションから誕生した選抜なんですね。
 AKBからは渡辺麻友、仲谷明香、佐藤亜美菜、石田晴香、岩田華怜、佐藤すみれ(!)、SKEからは矢神久美、秦佐和子、NMBからは三田麻央が選ばれました。

 1期と2期に分かれて放送されたこのアニメ。
 「この涙を君に捧ぐ」は2期のエンディングテーマなんですが、ちょっと曲を聴いてみましょう。
https://youtu.be/ubnzBL2xt6E

 宇宙でしたね。
 この歌詞なんですが、「いつかの願いが土の中で眠って 約束の時刻に 希望の芽が出るんだ」と「願い」を「土の中」に埋まる植物に喩えているんですね。「二人が出逢った頃 夢などまだ種だった」、「花は咲くのだろう」と。
 そして、1番のサビです。
 「この涙を君に捧ぐ もっと君が輝くのなら ずっと見守ってた沈黙の空から 今 僕は雨になろう

 植物が育つための「雨」が「この涙」なんですね。しかも「今 僕は雨になろう」と自分から「雨」になろうとする「涙」を流そうとする。アニメを最後まで観た方ならご存知の通り、これって、アイドルとファンとの関係ですよね。
 
 2番では、未来こそ「蕾」とし、「心が渇いた時、誰かの愛を求めた」とあります。つまり、渇きをいやせるものが「誰かの愛」であるということ。「悲しみの風が吹き 花が枯れる日まで」と続きます。「花が枯れる日」で、「悲しみの風」、卒業を連想させられるフレーズですね。

 そして2番のサビです。
この涙を君に捧ぐ たとえ君が気づかなくても 少し温かくて 何となく懐かしい そう 僕は雨になろう

 うう、ヲタ目線で考えれば、少し悲しい歌詞。でも、アニメの「NO NAME」の解釈が宇宙に漂う名もなき者達の声を力にしているからいいのか。

 「瞼を閉じて 目尻から 流れ落ちた熱いもの あの空へと昇って 俯瞰で見る愛に変われ…

 涙は「俯瞰で見る愛」に変わる。
 これって結構難しいですよね。自分の推しを私情を交えずに俯瞰で見られるか。

 そして、大サビ「ずっと見守ってた 沈黙の空から 今 僕は雨になろう」「こんな僕にできることは 君の空しさを 少しでも癒すこと さあ 僕は雨になろう」で終わります。

 ファンが出来ることって、本当に少ないと思うんです。でも、「君の空しさを 少しでも癒すこと」が出来るのであれば、「たとえ君が気づかなくても」何かできるかもな、と思いますよ。だからこそ、雑誌に出た時のアンケートやラジオや番組へのメールは大事ですね。


 
 さあ、次はMVの世界を見ていきましょう。映像を流しながら読んでね。
 MVは、宇宙刑事が乗ってそうな宇宙船が舞台!
メンバーはコールドスリープされて、目覚めの時を待っています。
 それを上から見ているもう一人のメンバー。えっ、魂?クローン?アンドロイド?ブレードランナー?
宇宙船を活かした感じで唄うメンバー達。
 トルコアイスのCMでありそう。
 そして、宇宙船は目的地の地球にたどり着きます。
 麻友選手が突如、宇宙船のハッチを開けます。スターウォーズエピソード8の序盤か!
 さらに他のメンバーも地球に向かってダイブ!
 いったいどうなんの、ということで終わります。
 これ、ガンダムでよく見かけるシーン
 メイキングでは、メンバーがワイヤーで釣られてるシーンも入ってますよ。

 ふりを撮影中のなかやんに伝えている亜美菜も。

 このNO NAMEなんですが、かなり好きな選抜で、曲も良い曲ばかりなんです。これがきっかけで紅條は難波の三田麻央ことまおきゅんを知りましたから。しかし、2018年12月現在、オリジナルメンバーが難波のまおきゅんしか残っていない!
 だがしかーし、だがしかし(キン肉マンファンしか分からない)2016年のSKEのソロコンで「希望について」を歌ったので、いつかチャンスがあればこの曲も歌ってほしいなあ、と思う次第です。

 このNO NAMEから実際に声優になった、なかやん、あみな、はるきゃん、秦さん。それぞれの活躍していてますが、いつかまた、NO NAMEの再会があれば成長したみんなの姿が観てみたいなあ、と思う次第ですよ。

 SKEでもアニメ好きなメンバーが多いんで、またこういう、大々的なオーディションと20話以上のレギュラーがあればなあ、と思いますね。

 アニメは、佐藤亜美菜が演じた一条友歌と幼馴染の護との関係が凄く良くてですね。1期の「大声ダイアモンド」の「感情吐き出して 今 すぐ素直になれ」がこんな皮肉な感じになるのか、という涙だったり、2期の最終回の「この涙を」だったり、とても切ないので、こちらもお勧めですよ。各話の特典映像でオーディションとかも入ってるんですが、最終巻のメンバーの最終アフレコの涙が好きですよ。あと、AKBのヒット曲がオーケストラ仕様になってるのもいいですよ。

 はあ、それにしても声優矢神久美も観てみたかったなあ、とこの映像観てると思いますね。
(「この涙を君に捧ぐ」より引用)


 
 

2018年12月7日金曜日

ラムネの飲み方①

半分のことで良いから君を教えておくれ


 しんどい時ってないですか
 

 僕は、昼か夕方ぐらいに目覚めて。だらだら過ごして、ブログ書いて。電車が動き始めたら、駅の近くの自販機にコーヒー買いに行って。通勤するサラリーマンや通学する学生たちとすれ違って。映画「愛のコリーダ」の最後の方みたいな感じになってというエブリディですよ。もうね、精神的にしんどい。それだけです。
※ なんとなく、真夜中の散歩の時に聴く、ザ・サラバーズの「夏の夜」張っときますね。「あいつら、人間にはないしょだぜ」

 で、そんな僕が働いていた若い頃を思い出すと、まあ、ガンガン働くのが好きだったわけですね。別に半年休みなくても平気っすよ、という恐ろしい発想でして。身体はしんどいんですけど。このまま行けば、「24」のジャック・バウアーになると思ったら、バタリアンになってしまう!(しかも、オバンバ)という感じだったんですね。で、今考えると、ダセえないなあ、と思うんですが、それがカッコいいと思っていたんですね。

 ある時、同じ職場でマジカルラジオをご覧になって、秦さんファンになった方が僕にこう言いました。
 「今のあなたは『ラムネの飲み方』を聴くべきです」

 今回紹介する「ラムネの飲み方」、「ラムネの飲み方」公演の表題曲になっているんですが、なんとも優しいメロディの曲なんですね。こういう優しいメロディの曲って、SKE48でも少ないんのではないでしょうか(ぱっと思いつくのは、『大好き』ですかね)。

 歌詞の世界を見ていくと、休んでいる「君」のことを僕は、心配するんですね。休んでるけど、大丈夫か、先週会った時も無理してたんじゃないか、メールの「大丈夫!」も信用ならんと。

 それで、サビの部分で生き方をラムネの飲み方に喩えるんです。ラムネの飲み方について言及するのは、サビの3回なんですね。それぞれ微かに違います。

 ①「一気にラムネを飲めないだろう もっともっとゆっくり飲めばいい 真っ青な空 見上げながら 瓶のビー玉落ちて一休み 心の泡が苦しいなら 息をついてごらん
 
 まず、無理する生き方をするなと、そして、ラムネの瓶にビー玉が付いてて、それが落ちて、出てくる量が減ったり、止まったりするから、一回飲むのを休む。つまり、頑張りすぎずに一休みしなはれ、という感じなんですね。「息をついてごらん」は「苦しい」原因を言ってごらん、と言っているようにも聞こえます。

②「大人はラムネを飲まなくなるよ きっときっと嫌いじゃないけどね 忙しい日々 疲れ切って そんなビー玉なんか面倒で…楽に生きてくその方法は頑張らないことさ
 
 次に2番のサビですね。割と直球というか、大人になるとラムネ自体飲まない、つまり、立ち止まらなければいけないほど、一生懸命な生き方というか、無理な生き方はしない、ということ。「楽に生きてく方法」も提示するんですが、どこか自嘲的な感じがするんですね。詳しくは後で。

③「一気にラムネを飲めないだろう 半分半分残せばいいんだよ 炭酸抜けて温くなっても 胸のビー玉 息がつまるなら 今は何も考えないで ちょっと休憩しよう
 
 今度は「ゆっくり飲めばいい」から「半分残せばいい」に変わります。
 「炭酸抜けて温くなっても」ということは、時間の経過を感じさせます。
 「瓶のビー玉」が「胸のビー玉」に変わります。これは何か心の中の重しでしょう。
 「今は何も考えないで ちょっと休憩しよう」は、そのままですが、無理をしている「君」に対してのメッセージでしょう。

 「君」と「僕」の関係を考えていく上でヒントになる歌詞があります。

 「強がりなんか言うなよ 僕はそのためにいるんだ 恋愛感情ないだろう?
 ダメな君と向き合おう

 男女の友人関係にも見えますし、大人と少女にも見えますし、アイドルとファンのようにも見えます。色んなとらえ方ができますが、②から察するに「僕」の方はそれなりに年がいっているような気がしますね。同じように頑張っていた経験があって、今は止めてしまった感じがします。凄く紳士的な距離感で「君」と関わっているわけですよ。「君」の生き方を否定せずにゆっくりと待つ姿勢は、今の世の中に必要なものだと感じます。無理せずに、でも頑張ることは諦めずに、今は少し休もうという。
 で、もう少し「僕」側に立って考えると君」が周りに対して、「無理」をしているのに対して、「僕」だけには本音を言ってくれ、と言っているようにも感じます。
※ ここからは完全に飛躍しますが、新公演をつかみ取ったKⅡへの秋元康からのメッセージとも受け取れます。お前らは頑張った、でも、あまり無理はし過ぎるなとも。

 さて、じゃあ、どの映像で楽しもうかという話になりますが、公演の映像やリクアワでも良いんですが、あえて、1stアルバム「この日のチャイムを忘れない」の63人PVをお勧めしたいと思います。
 
 歌っているのは、秦佐和子さん。
 秦佐和子さんといえば、バラエティーでの活躍も好きなんですが、個人的に思い出に残っているのは、握手会なんですね。握手会で、「どこから来られたんですか?」と聞かれて、関西から来たことを伝えると、「ありがとうございます」といいながら、まるで、傷をさするように僕の右手をさすってくれたんですね。なんていうんでしょう。風の谷のナウシカに会ったのかと思いましたよ。
 
 さて、話を戻して、MVを観ていくと、肩から上のショット中心で映像は進んでいきます。
 



 歌声が優しいんですよ。
 映像も余計なものがなく、これがかえって清涼感を出すことが出来ているんだと思います。こんだけアップが続いて、画面が持つのって流石はアイドルだなあ、と思う限りです。



 自分が走って生きている時(あるいはそう思い込んでる時)、無理をしている時、少しだけ立ち止まって、この映像を観てみるのもいいですし、そういう立場の人にどんな声をかけたらいいのかを考える時のヒントになるのではと思います。
 
 
 この曲は聴いていると、「自分も大人になってしまったなあ」、という寂しさもあるんですが、今、無理をしていることに年は関係ないので、無理している時にちょっと聴いて、自分の本音を話せる誰かに話してみるのもいいんじゃないでしょうか。
 


  

2018年12月3日月曜日

枯葉のステーション①

誰が歌うかという楽しみ


 枯葉のステーションは、松井玲奈の最強ソロ曲です。
                                  
                        完

 と終わりたいところなんですが、今回はあえて、違う枯葉を紹介していきたいと思います(ひょんさんの枯葉も大好きなので、ぜひそちらは、記事を改めて)。


 まず、最初に紹介したいのが、「SKE48に、今、できること」の夜公演での秦佐和子さんのバージョン。元々、色白で線の細い方なんですが、最後の涙まで曲の世界をしっかりと表現できていて、素晴らしいんですね。ある意味、松井玲奈の枯葉の世界を正当に継承している世界観を感じます。彼女のか弱い声だからこそ、表現できる世界です。


 次に紹介したいのが、「SKE48春コン2012 SKE劇場は秋までにできるのか?」の1日目の1曲目。松井珠理奈の枯葉のステーションです。

 この曲が披露される背景を書いておくと、2012年3月24日にあった本店のSSAコンサートで兼任を発表されてから、体調を崩していて、「このままではガイシは無理じゃない?」という感じだったんですね。
 そして、いよいよ迎えたガイシ初日。
 桑原みずきのピアノ演奏から始まるんですね。

 最初は、軽い失敗もあって、失笑も漏れているんですね。「尾頭さん、冗談ポイですよ」と高橋一生が言い出しそうな雰囲気に包まれるわけです。ところが、枯葉のメロディーが流れた瞬間、「オオ」と一瞬盛り上がるんですね。で、一体誰が出てくるんだ、と待機していると、そこからは珠理奈の「枯葉が枝にヒラヒラ」という歌声が!

 ウォオオオ!
 バーフバリ!バーフバリ!
 もう、この時の盛り上がりが凄くて、この盛り上がりを見るためにいまだに僕はガイシ2012のDVDをよく観ます。高橋一生も「ごめんなさい」と謝って、劇場に笑いが起こっていることでしょう。これを超える盛り上がりを体験したのは、今年の総選挙の第3位の発表の瞬間ぐらいじゃないでしょうか。SKE48のコンサートだと、リクアワ2014の小木曽の「眼差しサヨナラ」ぐらいじゃないでしょうか。

 最近だと菅原の枯葉がとても印象に残っていますが、次は誰が枯葉を歌うのか楽しみです。