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2021年10月30日土曜日

いつか最高の夜に

ロックンロールは鳴りやまない

 いきなりですが、問題です。
 「バットとボールがセットで1ドル10セントします。バットはボールより1ドル高いです。ボールはいくらでしょう?」

 これは行動経済学の第1人者であるダニエル・カーネマンが挙げた有名な問題です。
 
 ちなみに正解は5セントです。
 ボールが5セントでバットが1ドル5セントであることで、きちんと問題の条件と合致しますね。
 しかし、多くの人が10セントと答えたそうです。
 この問題を元にダニエル・カーネマンは人間が判断を誤る原因として、認知バイアスや経験則による歪みを挙げていました(ただし、『スロー&ファースト』の中ではその直感性の面白さにも触れています)。
 この研究を読んで思い出したメンバーがいます。
 それはSKE48の10期生、青木莉樺です。

 まず、彼女について知るためにアメブロを読んでみましょう。

#青木莉樺のあめぶろ!! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 蕎麦好きなんて素敵じゃないですか。
 お酒好きというところで、当時、20歳の誕生日が近かった僕の推しの五十嵐早香先生について触れているのも嬉しいです。
 お酒の記述からも分かる通り、青木莉樺は20歳を超えてからSKE48に入ってきました。
 もう一つ、彼女の自己紹介アメブロを読んでみましょう。

 第二回!趣味についてのブログ! 10期研究生 #青木莉樺です | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 ううむ、「年に洋画200本ほど」って凄すぎでしょ。
 映画好きとしてはいつか洋画の話をしてみたいですね。
 個人的には、「シング・ストリート」とか「ハートビーツ・ラウド」の話とか気になります。
 話を戻すと、SKE48に入る前はバンドもしていたんですね(さらにオーボエまで出来るとは!)。
 アイドルとはまた違った表現の仕方を経験しています。この辺りは、僕はNMB48のさや姉を思い出しました(彼女の場合はちゃんとバンドの方でもデビューをしていますが)。
 いつか、彼女のオリジナルのソロ曲なんかも聴いてみたいですね。
 そして、ギターを弾く写真は、アイドルとは違うカッコ良さがありますね。

 さて、そんな青木さんですが、ちゅりこと高柳明音さんのことが憧れの存在だったそうです。ちょっとこちらのアメブロを読んでみましょう。
高柳明音さん!! 10期研究生の青木莉樺です! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 このブログで注目したいのが、「小学生の頃からずっと見ていた憧れの存在でした」という記述。彼女が小学生の頃ということは、今から約10年から12年前ぐらいと見積もって、48グループが物凄く勢いがあった頃ですね。
 ふと思ったんですが、果たして、今の小学生でSKE48に憧れる小学生ってどれぐらい居るんでしょうか?
 メディア出演って本当に大事だな、とこういう時に感じます。
 彼女のような未来の有望メンバーが、「あっ、このアイドルいいな」と思ってくれるきっかけになりますね。運営さんは、是非頑張っていただきたいです。
 ちゅりと同じく珠理奈についてのブログもあります。

10期研究生 青木莉樺です! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)


 いやあ、「桜の木になろう」が懐かしいですね。
 そして、彼女が練習したりコンサートをしたりして感じた「卒業コンサートが終わってもこれから先ずっと何故だか一緒に活動させていただいているという気持ちになっていると思います」という思い。
 これは珠理奈が残してくれた曲たちもそうですが、彼女のイズムが後輩達になんらかの形で残ったのではないか、と僕は思っています。

 やがて、時は経ち、デビューから1年の月日が経ちます。
 彼女の過去を振り返ったブログを読んでみましょう。
 そこには、普段は明るい彼女の努力の日々が書かれています。

祝 劇場デビューから一年 10期研究生 青木莉樺 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 今まで出会ったことのなかった苦手なものであるダンス。
 「毎日毎日誰か嬉しくて泣いたり悔しくてないたり」のとこなんて、それを青春と呼ぶんじゃないか、と思わず僕まで泣きそうになりました。
 努力を続けながら、徐々に彼女は変化をしていきます。
 その辺りのことは好きな公演について語っているこちらのブログでも語っています。

10期研究生 青木莉樺です! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)


 ここまでは、彼女の視点からでしたが、ご家族の視点からも見た青木さんはどうでしょう?

 2021年10月24日に行われた彼女の生誕祭で読まれたお母さまからの手紙を読んでみましょう。

「はじめに、いつも応援してくださってるファンの皆様、SKE関係者・スタッフの皆様、メンバーの皆さん、この場をお借りして感謝と御礼を申し上げます。いつも本当にありがとうございます。

 莉樺、お誕生日おめでとう。

 あっという間の22年間でしたね。

 ママなりに振り返ってみました。

 小さい頃の莉樺は食べてるか寝てるかで、ほんと手のかからない子でした。

 それになんでも知らない間に自分でできるようになってたり。自転車や鉄棒とかね。

 小学生の時には生徒会長になり、学校行事の時には朝礼台に上がり挨拶をしたり。中学校では厳しい吹奏楽部に入り、大きなホールでの演奏会。高校ではバンド活動をし、ライブハウスでの演奏。そして今はSKE劇場のステージに立ち、皆さんのまえでパフォーマンスを披露している莉樺。

 音楽が大好きなのも勿論、大勢の前で何かを披露したりすることが莉樺は好きなんだろうなーと感じました。

 もちろん楽しい時ばかりではなかったと思います。中には莉樺が望んでないこともありましたね。

 SKEに加入させていただいてからの莉樺はいつも『できない、もう無理』と言いながら何度も繰り返し練習をし、『そろそろ寝たら?』と言っても『無理!』と言っても朝まで練習してました。

 莉樺は弱音をうまく吐くこともできないし、人に涙を見せることも苦手な困ったちゃんです。だから、周りからしっかりした強い子と誤解や勘違いを受けるかもしれないね。

 だけど、今ではこんなに莉樺のことを応援してくださるファンの皆様や支えてくださってるスタッフの皆様、そして一緒に泣き、笑い、励まし、寄り添ってくれる同期の皆さんがいてくれます。

 どんな時も感謝を忘れず、これからも努力を怠ることなく一人でも多くの方に笑顔になっていただけるようなパフォーマンスを見せてくださいね。莉樺なら大丈夫だから、もっと自信を持ってください。何もしてあげられないママだけど応援しています。

 最後に一つ。罪悪感からかスイーツを食べる時にママを巻き込むのはやめてください。

 ママより」

 

 小学生の頃から積極的に様々なことにチャレンジして、何かを披露することもしてきたんですね。だけど、弱音を吐くことや涙を流すことがなかなかできないというところ、だから「しっかりした強い子」と勘違いされてしまうところ。
 かくいう僕も、明るくて愉快な華のある美人だなあ、ぐらいの認識だったんですが、華やかな一面だけではなく、その陰で流れていた汗や涙が徐々に浮かび上がってきました。
 僕の認識や先入観が彼女の像を表層だけで勘違いしてしまっていたのかも知れません。

 生誕祭の中で彼女は、周りに自分の夢を笑う人はいなくて、応援しくれる理解者たちがいたことを語ります。そして「年齢が上ということもあって、年齢がネックで挑戦ができないこともたくさんあって、もっと早くSKEに出会えてなかったんだろうと思うこともありました」、「みんな分かってると思いますが、私はこのステージに立っている誰よりもアイドルとしての賞味期限は短いです。1日1日を大切にしてアイドル人生を過ごしていきたいと思います」と覚悟を伝えました。
 上記の言葉を聞いた時、僕は頭をこん棒で殴られたような衝撃を受けました。
 「この子、SKE48だ!」と。

 そして、アイドルという限られた時間の中で輝く存在について考えさせられます。今、だーすーこと須田亜香里や柏木由紀などの活躍によってアイドルをする年齢は延命しつづけていると個人的には思っています。
 なので、アイドル=若い子たちというイメージは上記の「バットとボールの問題」でいえば先入観や経験則で間違いを選んでいるのではないか、と思います。いやいや、ずっと居てね。生き急がないでね、と思います。
 でもね。
 偉大なるロックバンド、ローリングストーンズのキース・リチャーズは言っていましたよ。

 「一晩二晩は世界最強のロックンロールバンドって言ってもらってもいいけど、毎晩毎晩違うのが最高のロックンロールバンドなんだ。波があるに決まってるんだ。そうじゃないと味気ない、ただの直線だよ。心電図みたいなもんで、直線だっていうのはつまり死んでるってことだよ」

 ロックンロールだからこそアップダウンがある。
 おそらく、毎日様々なライブハウスで一番カッコいいバンドを決める闘いが行われているんでしょう。時には、ドーム会場でライブをしているあのバンドが世界最高になるときもあれば。時には地方のまだ名前を知られていないようなバンドが世界最高になる時もある。
 まだ青木莉樺はアイドル界では無名です。
 ひょっとすると、SKE48の研究生もまだまだ他のグループのファンの方には知られていないのかも知れません。
 でも、限られた時間の中で命を燃やす者が、世界で一番最高のアイドルになる夜が必ず来ると思っています。
 彼女は生誕祭のコメントで、「期待して欲しい」という言葉も残しました。
 僕は彼女なら「SKE48の研究生公演が、今夜は世界のアイドルのライブの中で一番良かったなあ」と彼女自身やファンの皆さんに感じさせてくれる公演やライブをしてくれると期待しています。


2021年10月23日土曜日

雨のち奇跡的に晴れ①

 雨と動物園とセンター


 2020年末に発表され、2021年の2月に決まったSKE48のティーンズユニット。個人的には選び方は久々の総選挙方式で、結構げんなりしたところがあるんですが、それでも選ばれたメンバーたちの涙を見ると、「ううっ、ファンの方々が後押しして選ばれたからには、末永く愛されるユニットであってほしい」と願うばかりです。
 まずは、このティーンズユニット「プリマステラ」の「雨のち奇跡的に晴れ」を聴いてみましょう。



 ううむ、多幸感あふれるMVとメロディですね。
 それじゃあ、まずは歌詞の世界から見て行きましょう。

 まず出だしでは、曲の主人公が雨が上がった野外にいるところから始まります。
 太陽の言い訳を聞こうか、という言い回しが洒落てますね。
 主人公の晴れてほしかった思いが伝わる表現だと思います。

 1番のAメロで初めてのデートなのに、天気予報は雨だったということで、時間が出だしから少し戻ります。必死の願いも虚しくて「今日は中止かなあ、家で『ああ、デンジマン』でも歌って過ごすかなあ」と諦めかけます(一部嘘が書かれています)。
 しかし、結果オーライ、空は晴れてくれます。幸い雨が降っていたおかげで人影も全くが無いわけです。そこで「俺はここだぜ!一足お先」と誰もいない動物園を二人で貸し切ることも出来るんですね。絶望の後に希望が見えて来る歌詞の物語が、天気の移り変わりと合っていて素敵です。「この動物園」とあることから、動物園の近くか動物園に来ていることが分かります。

 2番のAメロでは、なんとこの主人公は眠れなくて夜明けまで空を眺めていたという、「アニメじゃない~夢を忘れた地球人たちよ~」みたいなことをしていることが分かります。つまり、歌の出だしの時間(雨上がりの昼ぐらい)から、1番のAメロ(今日の朝)、さらにその前に時間(前日の夜)が戻るわけです。
 待ち合せの午後1時になんとか雨が上がっていて欲しいという願いと焦りも、この夜眠れない表現からは伝わってきます。
 サビでは、残念な展開からの逆転を期待する曲の主人公の心情が語られていて、天気と同じように、恋もこれから良い方向に行くんじゃないか、と期待しています。傘を持たずにという表現からは、荷物が一つ減るというのもあるんですが、不安からの解放感も僕は感じました。
 大サビ前では、雨の後に晴れが来て、その後に虹が出ることが描かれます。
 気付けば天気が恋の明暗を分けるところまで話が広がっていきますが、意外と初デートの日の天気はバカに出来ないのでは、と思います。
 大サビは1番のサビと同じですが、最後に持ってくることによって、デートの集合時間が近づいてきたのでは、と考えられます。

 デート初日が晴れるのか、という他人からみたら、そんなこと拘らんでもと思うかも知れませんが、当人からしたらめちゃくちゃ重要なことなんですよね。「もう無理かなあ、うおー、神様なんとかして、効き目があったら子分になるからさ」というカクレンジャーのオープニングみたいな神にもすがる気持ちで過ごしたから、昼頃に晴れた喜びが大袈裟に聞こえません。

 メロディは、王道のアイドル曲で、Aメロの少しゆっくりとしたテンポからサビではアップテンポになるのが、残念からラッキーへの心情の変化ともリンクしていて良いですね。個人的にお気にいりポイントとしては、「さっきまで降っていたから」のメロディが良いんですね。アッパー気味な気分から、現実のデートに意識へと少し落ち着く感じが好きです。
 雨上がりの朝に聴きたい名曲です。

 MVでは、足元に散りばめられたの花びらがメンバーたちの動きを映えさせます。
 照明も太陽のように上から差し込むんですが、MVの前半で上を向いて歩く真凛ちゃんが印象的です。メンバー一人一人の花の色も違いますし、そのままNFTトレカに使えそうなカットも沢山あります。これは、それぞれの推しの方にはたまらないんじゃないでしょうか。
 
 ちょっと曲との距離を離して考えると、センターの坂本真凛ちゃんは、かつて「青春ガールズ」公演で「雨の動物園」を担当していました。「雨の動物園」は女の子視点で、雨が降る動物園を二人で貸切るようにデートする世界観です。今回の「雨のち奇跡的に晴れ」は「雨の動物園」と兄弟のような関係の曲かも知れません。雨のデートと雨上がりのデート、どちらも二人きりで動物園を楽しむというモチーフです。
 坂本真凛ちゃんのこれからともリンクしそうな素敵な曲になっています。
 ちなみに、センターを務めることについて、少しだけ彼女はアメブロに書いていますね。
 連続して読んでみましょう。



 センターが自分に務まるかな、という不安から実際にセンターとして笑顔いっぱいで活躍している今を見ていると、まさに「雨のち奇跡的に晴れ」。
 いや、今回のプリマステラのメンバーたちには、雨の期間を経験したメンバーも居るのではと思います。僕は坂本真凛ちゃん視線で曲を楽しみましたが、たとえば、水野愛理視点で聞いてみたら、上村亜柚香視点なら、岡本彩夏視点なら…。
 一人一人の視線でも楽しめる曲だと思います。

 青天を衝く彼女の笑顔が、今度は虹をかけるところを見てみたいと思いながら、今回の記事を終えます。
 やったね!

2021年10月17日日曜日

虹の色を増やせる人

 届けてもらった分だけ


 小説家の京極夏彦さんの講演集「『おばけ』と『ことば』のあやしいはなし」を読みました。タイトルの通り、妖怪に関することと、言葉に関することに関する2012年から2019年に行われた講演を収録している本です。
 京極夏彦作品の特徴としては、難しいことを分かりやすい言葉やたとえで伝えてくれることが挙げられます。脳の認識に関することや哲学に関して、僕みたいな無学な人間にもなるほどなあ、と納得できる表現で作中では説明されています。何故、彼は我々に難しい内容をするりと伝えてくれるのでしょう?

 講演集の中にある「世界の半分は書物の中にある」という東京ビックサイトで行われた講演の中で、京極夏彦は言葉と文化の関係について語ります。
 びっくりするほど、雑に説明すると、日本では虹の色というと7色を思い浮かべますが、国によっては5色で表すそうです。
 中間色が見えていないわけではないんですが、それを表す言葉がないんだそうです。
 日本も本来は、伝統色といって紫ひとつでも20以上色の名前が厳密にあるそうなんですが、今は「紫」と表すことが多いですよね。
 色の数は言語圏によって異なってきます。だから、言語というのは文化なのであると。
 語彙が減れば減るほど、世界を表現する手段、伝える手段が減る、ないしは文化が減ってしまうということになります。
 じゃあ、語彙を増やすためにはどうすれば良いのか、本を読もうぜ、となってくるわけです。 
 そこから、世界を自分の頭に取り込んで、概念に置き換えて言葉として出力する本というものの話に展開していくんですが、面白いので気になる方は是非是非読んでみてください。


 この講演集を読みながら、ふと鎌田菜月さんについて思い出しましてね。
 以前、鎌田菜月さんと言葉の受け取り方について考えてきましたが、今回は鎌田菜月さんとコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
 思えば鎌田さんは読書家であり、様々なサブカルチャーをインプットしているので、当然ですが、ブログでの表現や映画の感想を語る時の言葉でも語彙力の高さを感じさせられます。
 たとえば、こちらのブログを読んでみましょう。
 (鎌ºωº田)<地元の味。 #うま屋 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 まず、写真の力も大きいんですが、麺やスープじゃなくて九条ネギやニラ辛子といった脇役たちにフォーカスして書いている着眼点も素敵ですが、おいしさが伝わってきそうな文章が素晴らしいですよね。


 でも、そんな鎌田さんでも伝えることについて、モヤモヤを感じた経験があります。
 こちらのブログを読んでください。

(鎌ºωº田)<まず日本語って難しいよね #手話 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 僕らが当たり前だと思っている発語による会話、でも手話を知ることでもっと多くの人とコミュニケーションを取ることが出来るようになる。言葉は文字だけではなく手話でも増えていくんですね。
 鎌田さんレーンに来てくださった手話の方とのコミュニケーションの様子を思い浮かべると、僕らが見ている虹の色の数はひょっとするともっと多いんじゃないか、そんなことを考えさせられます。
 そういえば、「SKE48と100万円」の企画の時にも耳が聴こえない方のためのコンサートについて彼女は語っていましたね。振動と光の明暗で音楽を表現する方法だったと思います。彼女の伝える為の方法への探求力には驚かされます。
 

 彼女はリアルでのコミュニケーションだけではなく、ファンの方々からの手紙も大事にしています。自分の言葉だけでなく、もらった言葉も大事にしている。

(鎌ºωº田)<ただいま〜。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 「手紙の言葉」を身近に感じるという言葉は、直接の会話とは違う手紙の時間ならではのコミュニケーションですね。
 

 以前のブログでも取り上げましたが、彼女はインプットだけではなくアウトプットも密かに続けています。

 (鎌ºωº田)<秘密の書きもの。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 ちなみに、3000文字と書いていますが、これはなかなか凄い量だと思います。
 皆さんも試しに3000文字のエッセイを10本書いてみると、どれぐらい大変なことか分かるかと思います。語彙力を増やすだけでなく、きちんとアウトプットをしながら言葉を磨いている姿勢は本当に素晴らしいです。

 そして、鎌田さんについて信用できるな、と思うのが今の自分に納得せずに初心を忘れないところです。

(鎌ºωº田)<烏滸がましくも。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 常に自分を客観視して、過去の先輩たちと照らし合わせて行く。
 その姿勢は本当に素晴らしいです。

 未だに自分に対して戸惑う時もあります。

(鎌ºωº田)<言葉より行動。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 「人と感じ方や考え方がズレてるというのも時々感じます
  そしてそれを伝えるのも下手くそです」の辺りからは、自分の秘めている心をなんとか組もうとしてくれるファンの方々とのコミュニケーションについて、もっと成長したいという彼女の意志も感じます。

 先ほどの京極夏彦の公演の後半で彼は、本を読んで面白さを感じない時は、もう一度読んで面白いところを探すそうです。決して断定せずに探求していきます。
 凄く個人的な体験になって申し訳ないですが、僕はよくyoutubeで色々な大学の公式チャンネルで様々な学問の講義を寝る時に聴きます。面白い講義だと段々目が覚めてしまうのが難点ですが、共通していえるのはみんな断言しない、ということなんです。現時点ではこうである、今の研究ではこういう答えが出ているという言い方をします。一つの答えが出て来ると次の疑問が出て来ると大学教授で小説家の森博嗣も著作の中で語っていましたね。
 逆に勉強をしなくなった人は、断定形で語ることが多いな、と個人的に思います。
 そういう人のする話は浅いことが多いですし、想像力のリーチも短かったです(あくまで僕の経験ですよ)。

 鎌田さんは、一見器用なように見えますが、常に自分の中にある「秘めたい心」を胸に進化を続けています。そこにあるのは、大事なファンの方とのコミュニケーション、そしてまだ会っていないけれど、これから会う人たちとのコミュニケーションもあるのかも知れません。
 ううむ、ここまで書くと鎌田さんとコミュニケーションをしてみたいという欲求にかられますが、どれがベストなんでしょうね。配信なのか、文通なのか、トーク会なのか。いずれにせよ、今日も新しい本を読んで、知らなかった映画に親しみ、自分の考えていることを言葉に変えて、遠くにいる誰かに伝えたい、と鎌田さんのことを調べていると刺激されました。

 まだまだ虹の色を増やしていく鎌田さんについて、来月も考えていきたいと思います。





 

 

2021年10月10日日曜日

みなるんが教えてくれたもの

 太陽は何度でも


  

 2021年10月9日夜、東海ラジオ「1+1+1は3じゃないよ!」で、チームK2の大場美奈の卒業が発表されました。

 僕の中でみなるんは、SKE48の中で貴重な俯瞰で物が見られる人でした。
 公演やメディアで語られる水野愛理の育成、ゆなながセンターになるタイミング、奈和ちゃんがセンターになることについて、対象となるメンバーのことだけではなく、SKE48やファンのことを考えた視点が多かったと思っています。

 そこには、AKB48の9期生という、AKBの第2の春の時代を経験した世代だからこそかもしれません。彼女のドラマを考える時に、AKB48のドキュメンタリー映画の2作目と3作目は無視できません。

 2作目でのチーム4結成とみなるんの謹慎。
 あの映画のラストで一番印象に残っているのは、過呼吸に倒れるメンバーたちやラストの「フライングゲット」で不死鳥のごとく復活する前田敦子を挙げる方が多いと思いますが、僕は、被災地の一本松を見上げるみなるんの顔が一番印象に残っています。
 被災地という一度ボロボロになってしまった土地と、自分のアイドルとしてのキャリア。それでも希望のように残った一本松は、彼女の復帰を待っていたファンの方々の気持ちや自分の中に一本通ったアイドルとしての矜持かも知れません。

 3作目の映画では、東京ドームでのコンサートで彼女の所属するチーム4の解散が告げられます。
 リーダーを務めていた彼女は、チームの一人一人に前向きな声をかけ、このチームに9期や10期の逸材が揃っていたことを未来の人々に思い出させようという話をします。
 多分、一番泣きたいのはみなるんだと思うのに、彼女の視線は揺るがずに前を向いています。
 二つの映画では直接言及されていませんが、彼女はチームAでは前田敦子や篠田麻里子のアンダー、チームBでは柏木由紀のアンダーを務めるほどの実力者でもあります。ゆいはんのアンダーでの頑張りが語られがちですが、彼女も次世代のエースとして期待をされていました。

 そこから、SKE48への兼任。
 兼任の挨拶に来た時の涙。
 今と比べるとSKE48はAKB48の背中に追いつけ追い越せムードが、まだ残っていた中での兼任でした。一抹の不安を抱えながらの兼任スタートだったと思います。
 しかし、彼女はSKE48に昔から居たかのように馴染んでいきます。
 大組閣での完全移籍。
 AKB48として思い描いていた未来は、一旦ここで終わることになります。
 ただ、SKE48に移籍することで、彼女は新しい才能をどんどん見せていくことになります。
 「エビショー!」からの彼女のシーソー対決における「太っているのでは?」というキャラは、「エビカルチョ!」まで続く名作を生んでいきます。
 また、「AKB48SHOW!」の「妄想少女大場」シリーズも名作で、共演の野間口徹さんの振り切った演技も素晴らしく、僕は一番好きなコント劇でした。
 勿論、アイドルとしての魅力も磨きをかけていて、一番僕が印象的だったのは、ななせまる大好きキャラが爆発した「気づいたら片想い」のコント劇で少しだけみせる、もしみなるんが坂道に移籍していたら、という妄想をかりたてられる正統派のアイドルとしてのパフォーマンスが素晴らしかったです。
 

 やがて、彼女はチームK2のリーダーになり、2018年総選挙ではAKB48時代ではかなわなかった総選挙選抜入りを果たします。

 SKE48時間が過ぎて行くと共に、彼女の雰囲気は張りつめたものから柔らかいものに変わっていったのは、と僕は思っています。それはSKE48に馴染んだからかも知れませんし、仕事と自身のバランスが取れてきたからかもしれません。
 ソロプレイヤーとしての彼女は、映画出演や写真集の出版。舞台出演と活躍の場を広げていきます。
 もうタレントとしても安定している感じがするんですが、もし、欲を言えば一つだけ必要なものがあると思います。
 それは、彼女のセンター曲、或いは卒業曲。
 勿論、「アンチ」という名曲もあるんですが、今の彼女にあった一曲でアイドル人生を終えて欲しいです。

 みなるんの48人生を知って行くと、学べることが沢山あります。
 人生の中で自分のキャリアが揺らぐことがあっても、自分の中に芯があれば、待っていてくれる人がいれば何度でもやり直せること。
 そして、どんな場に置かれても、そこで腐らずにチャレンジを続けることで未来は広がっていくこと。
 丁度、今観ている大河ドラマの「青天を衝け」で、主人公の渋沢栄一は何度も運命の悪戯で自分の活躍する場所を移されます。しかし、その場その場で自分が学んできたことや思考力を生かして、乗り越えていきます。
 大河ドラマ「大場美奈」はいよいよ新章に向けて動き始めたのではと思います。
 次はどんな場でどんな活躍をしていくか、今から楽しみです。

※みなるんの2nd写真集「答え合わせ」の感想はこちら!

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: おすすめの本「答え合わせ」 (oboeteitekure.blogspot.com)

※みなるんの1st写真集「本当の意味で大人になるということ」の感想はこちら!

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: おすすめの映画と本「本当の意味で大人になるということ」 (oboeteitekure.blogspot.com)

※みなるんのセンター曲「アンチ」の感想はこちら!

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: アンチ① (oboeteitekure.blogspot.com)

※みなるんの「気づいたら片想い」の感想はこちら!

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 気付いたら片思い① (oboeteitekure.blogspot.com)

 

 

 


2021年10月9日土曜日

「作る」ことで繋がるもの

 「コト」→「モノ」→「?」

 2010年代はSNSの広がりから「コト消費」が広がった10年間だったと思います。
 ハッシュタグによる動員は、政治だけでなく、音楽のフェスやアイドルの握手会と様々でした。
 そこからコロナ禍により、「コト消費」は一旦ストップします。
 人が少なくなった街を「モノ」がどんどん動いていた季節がありました。
 AmazonやUberEATSを始めとする宅配サービスで「モノ」だけは自由に動いて行く。
 かといってそれは、ブランド物を身に着けることで、自分のステータスを上げる「モノ」消費とは少し違う気がしていました。それまで自分が買っていたものを誰かに持ってきてもらう、或いは、こういう機会だから誰かに作ってもらっていたものを自分で作ってみようという欲望からかも知れません。
 それは、ブランド品を身に着けることが、自分のステータスアップにつながるという旧時代的な考え方とは違う「消費」の仕方だと思います。自分の好きなものを買って所有するという「消費」は皆さんもされると思いますし、僕もします。でも、この2年間ぐらいで他の「モノ」との向き合い方があるんじゃないか、と僕は近頃考えています。
 それは、「推しのグッズ」という非日常的なものの所有以外の選択肢を増やせるのでは、とも。
 そして、そのヒントになるメンバーとして挙げたいのが、9期生のひめたんこと、荒野姫楓さんです。

 彼女がTwitterで発信している「#ひめ家庭調理部」では、彼女が様々な料理を作ってアップしています。




  

 

 
 いやいや、アイドルが料理の画像をSNSに挙げるなんて普通でしょ、と思われる方もいるでしょう。この「#ひめ家庭調理部」の面白いところは、「部」ということで、ひめたんが作り、ファンの方々も同じ料理を作るという流れがとても興味深くてですね。
 ひめたんという推しとファンである自分の間に料理という「モノ」を挟んで、楽しむということが凄く面白いです。大袈裟に捉えられるかも知れませんが、もしかして、これは新しい「推し事」の可能性ではと思っています。
 これまでは、所有することが推しとの繋がり方でしたが、次は自分で作るという推し事もありなのかもしれません。
 そして、「コト」、「モノ」と続いた後で、次は何が来るのかも楽しみです。再び「コト」に戻っていくのか、「モノ」がもっと深くなるのか。推しとのコミュニケーションを面白くする方法のヒントがあるのでは、と僕は思っています。
 
 ひめたんが作るものは料理だけではありません。
 たとえば絵。


 


 たとえば、写真。

 


  

 僕の9期の推しメン(なんて、便利な言葉なんでしょう)なーやんのこんな表情を撮ってくれるなんてありがたすぎる。
 
 こう見て行くと、かなり器用なメンバーのように映りますが、内面はどんな感じなんでしょう。2020年1月12日に行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。

「姫楓、18歳の誕生日おめでとう。
 

 おかあちゃんです。

 今ではすっかり大きくなって、背だって追い抜かされたけど、生まれた日のことは今でも昨日のことのように思い出せます。

 いつだって、どこへ行くのも一緒で、小学校へ通い始めて最初のお友達の家に遊びに行った時、帰り道がわからくて「遭難した」と泣きながら帰って来た子供が、あっという間に名古屋で夢のきっかけを掴んで、一人暮らしまで始めるなんて。去年は展開の早さに周りの誰もがビックリしたね。

 激動の1年間、改めてそこから見える景色はどんな風に目に映っていますか?

 小学生の頃からアイドルになりたくて48さんや坂道さんのオーディションにチャレンジしたね。
 

 それまでは家から遠いと言っても東京でやっているオーディションだったので、高2でSKE48の9期生を受けてみると聞いた時はめちゃくちゃ驚きました。

 二次審査で初めて一人で新幹線に乗って県外へ出て、審査に通った直後、名古屋からLINEで飛んできた二次合格のお知らせと「産んでくれてありがとう」って言葉を見た時、もしかしたらこの子はここでお世話になるかもしれないなって予感がしました。

 それからは本当にあっという間だったね。

 目立つことや人前に出ることが苦手で、ちょっと飽きっぽいとばかり思っていたのに、中学校では演劇部、高校では友達に誘われてダンス部。チャレンジする部活動は人前に出るものばかり。

 ダンス部ではフォーメーションダンスのチーム練習で毎日朝早くから遅くなるまで参加をして、大きな大会で関東2位に入賞したね。

 途中でバイトも初めて、時々くじけそうになりながらも頑張って諦めずに続けたこと、今言えば一つも無駄じゃなかったね。

 アイドルになる以外に他の道は考えていなかった中3の時、進路がなかなか決まらず、高校に通わないなんて選択肢もあって、結局滑り止め受験なしで公立に挑んだでしょう。あの時は担任の先生もお母ちゃんもヒヤヒヤしたものでした。


 これまで縁もゆかりもなく遠いようで意外と近かった名古屋。離れた土地で一人暮らしをさせるのも心配でしたが、友達作りはいつも少数精鋭の姫楓がたくさんのメンバーさんの在籍する中でうまくやっていけるだろうかとても心配で、とにかく心配だらけで。

 でも新しい世界へ飛び込む本人はもっと不安だったよね。

 すぐに泣いたり、自分はいいやって人の後ろに隠れてしまう子が、仲間たちと楽しそうにステージで立っている姿を最初に見た時はビックリしました。きっと、とても頑張ったんだと思います。

 素敵な仲間にも恵まれたね。本当に良かった。

 この1年充実していただろうし、その分悔しい思いもいっぱいしたね。

 去年の今頃だったかな?まだまだ寒かった時期に初めて参加させてもらう公演の「シンデレラは騙されない」という曲でマイクを任せてもらえるポジションではないことがわかった時、悔しそうだった。

 それからしばらく経って、曲の雰囲気に合わせて気合い入れて踊ってみたら自分なりの手応えがあったことを教えてくれたね。

 悔しいことを悔しいままで終わらせていない、今まで見たことなかった成長した姿に感動しました。

 自分を超えることは、周りと自分を比べるよりも大事なことだよね。

 私たちがいつも仕事優先で姫楓にたくさんの我慢をさせてきてしまったことがこれまでずっと心に引っかかっていました。今まで協力してくれて本当にありがとう。

 これからはずっと姫楓のターンです。

 お父ちゃんお母ちゃんが引き続きサポートしていくので、周りへの感謝の気持ちと尊敬の念を忘れず、自分らしく目一杯楽しんで挑戦しておいで。いい1年にしてね。

 応援してくださるファンの皆様、メンバーの皆様、スタッフの皆様、そして今回娘のために貴重なお時間を使って準備してくださった生誕委員の皆様、今日はいつも温かいお力添えもありがとうございます。

 不器用で言葉足らずで誤解されてしまうこともあるかと思いますが、親孝行の気持ちが優しい子です。本人がのびのびと活動できる場を作っていただいていること、本当にありがたく思っております。

 18歳になったSKE48の荒野姫楓をこれからもどうぞよろしくお願いいたします。」


 ううむ、 これまであまり触れてこなかったですが、ひめたんのダンスと向き合う姿勢が素晴らしいですね。
 小学生の頃からアイドルになることを目標に、努力し続けることも本当に凄いです。
 「悔しいことを悔しいことで終わらせない」というお手紙の言葉が印象的でした。
 目の前の課題から目を逸らさずに向き合う姿勢、周りではなく自分を超えること。
 この辺りは、料理や絵のような自分と向き合う分野との関連もありそうな気がします。
 

 ティーンズユニットでの自己紹介動画でも彼女の誠実な性格が伝わってきます。 

 


 最近は麻雀にも興味がある彼女。
 「ちょっと飽きっぽい」と手紙にはありましたが、「飽きっぽい」ことは好きと出会うチャンスを沢山作ることが出来ます。
 次はどんなものに触れて、どんなものを作るでしょう?
 ひめたんの「作る」ものに20年代の「推し事」が楽しくなるヒントが隠れていると僕は最近考えています。