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2022年5月29日日曜日

入口の奥にある信念

 楽しさとツッコミが入口になる


 先日、「情報メディア白書」や「メディアリテラシー~吟味思考(クリティカルシンキング)を育む~」の著者である天野彬さんの新著「ショームービー時代のSNSマーケティング 新世代のビジネスはスマホの中から生まれる」を読みました。
 電通メディアイノベーションラボ主任研究員である天野さんだけあって膨大なデータやマーケティング分析から、ショートムービー時代が何故来たのか?2018年以降のTikTOKの進化はどんな風に起こっていったのか、約380ページに渡って分析・展望しています。

 驚くほど雑に説明すると、進化心理学学者のダグラス・ケンリックの説をヒントに人間が持っている様々な欲をSNSは刺激していきます。2010年代はどちらかというと、自分の環境適応力を「見せびらかす」発信がもてはやされましたが、後半になると「自分自身を使って創作する」というフェイズに入っていきました。
 天野氏の言葉を借りるならば、「2.5性の自分」を出しやすくなったそうです。
 栄えを意識した2枚目なInstagramの自分と、Twitterでリツイートされるネタを仕込んだ3枚目な自分。そして、その中間にTikTokはあるそうです。「生身の自分」と様々な音楽や〇〇チャレンジなどによる「面白い自分」。その二つの自分がTikTokのショート動画の中で融合するわけです。
 そして、TikTokで何百万というフォロワーがいるインフルエンサーに取材をしていくと、「うまさ」よりも「かわいさ」が大事で、なおかつスキルよりもやる気や楽しさが重視されていることが見えてきます。
 これはアマチュアの方でも、気軽に参入しやすい文化が成立しやすいですよね。
 また、「おすすめ」機能が充実していて「自分で探さなくて良い気軽さ」があるそうです。これはこれまでのネットが「検索機能」による能動的な情報の取得に対して、受動的に情報を得つつ、短い尺が多いのでガンガン回っていくという利点もあります。

 この背景には、コロナの影響で「栄える」ところに足を運びにくくなったのも関係しているかも知れません。また、TikTokのユーザーは、日本国内では田舎の方が沢山インストールしていることとも関係してくるかも知れません。

 今回の文章、えらい「かも知れません」が多いんですが、僕自身がTikTokをやっていないことが大きいです。 
 ちなみにTikTokを広告に利用している企業も年々増えています。TikTokを入口にして、他のSNSや自社サイトにお客さんを流していく、という流れが出来始めているようです。「入口」としての相性が凄く良いことも凄く書いていましたね。
 コーセーが化粧品のCMでNiziUを起用し、彼女たちの曲をTikTokにも収録し、人気のインフルエンサーたちにお願いし、スローで左右反転の動画を作ってもらい、観た人達が動画投稿をするハードルをグッと下げる工夫をしていたのは、凄く勉強になりました。ダンス練習動画の次は、さらに親切なものがヒットするのかも知れません。
 また、同じくTikTokをうまく広告利用した企業でブルボンがあります。ブルボンの広報担当の方によると、「楽しさ」に加えて、ツッコみが入れられるような余白があると、コメント欄も盛り上がり、さらにヒットにつながるのでは、語っています。

 この箇所を読んだ時に、ううむ、SKE48でTikTokで相性が良いメンバーって誰だろう、と考えてしまいました。青木詩織さんと荒井優希さんの「おしゆき」コンビは2022年5月29日現在、フォロワーが約73万フォロワーといますが、彼女たちから何かミーム(模倣と拡散)は生まれていません。ただ、このアプローチはこれから更に可能性が拡大していくはずなので、一日でも早く新しい動画をおしゆきコンビには望みます。
 TikTokの利点としては、言葉が関係ないことも多いので国外の方のフォロワーや若いフォロワーの方が増えやすいそうです。
 そこで、新たな可能性がどこに無いかと考えていると、ふと、あるショート動画を思い出しました。



 いかがでしょうか?
 先ほど書き忘れていましたが、TikTokで一番人気がある音楽のジャンルは米国の「The Year on TikTok Top 100」によるとヒップホップが過半数を占めています。日本でもクリーピーナッツがTikTokライブをしてましたね。
 この「ふぃ~る ダッチムホ!」を聴いた時、僕はそのリズムの良さに、「ううむ、素晴らしいリズムメーカーが生まれたものだ」と思いました。
 そして、この動画のポイントは、SKE48運営さんの公式動画からも分かるように、「楽しさ」と「ツッコミ」どころがあります。
 ううむ、ダッチムホをなんとかして広められないものか…。
 めちゃくちゃミーム化しやすそうなんですけどね。
 ちなみに、彼女は、このダッチムホに限らず様々な音楽的な才能の持ち主です。
 僕の推しメンだったSKE48の五十嵐早香さんの作詞に曲をつけてくれたのも彼女でしたね( 遠い目 )。
 さて、まだ18歳の彼女、音楽の才能は勿論ですが、人間としてもしっかりしています。
 ちょっと、2022年5月21日に行われた彼女の生誕祭で読まれた手紙を読んでみましょう。

「奏音ちゃんへ

 18歳のお誕生日おめでとう。そして、チームEへようこそ!

 改めて昇格おめでとう!

 12月の中野で10期生の昇格発表した時、奏音ちゃんがチームEに加入と知って一番嬉しかったです。

 奏音ちゃんには発表の直前、先ほども言っていましたが、声色と私から溢れる笑顔でチームEだってバレちゃってたと思います。実際にそうでした。

 私がオーディションから立ちあわせてもらったこともあって、10期生の皆はめちゃくちゃ可愛くて愛しい存在なのはもちろんだけど、その中でも特に奏音ちゃんは10期生で初めて仲良くなったメンバーでした。

 2020年の夏のコント劇。奏音ちゃんの演技力やストイックさ、それとは裏腹に時折見せる天然でチャーミングな姿にイチコロでやられてしまい、今に至ります。

 一緒にご飯を食べたり、タピオカを飲んだり、稽古以外にもたくさんの時間を一緒に過ごしましたね。歳の離れた可愛い妹ができたみたいで嬉しかったです。

 ただ、SKE48に入って間もなかったのにも関わらず、初めての現場でしっかり自分の芯を持ち、堂々とこなしていて、『この子は只者じゃないな』と震えたことを覚えています。

 奏音ちゃんの存在が刺激的で、『私ももっと頑張らないと』と思わされました。本当にありがとう。

 17歳の1年は毎日が目まぐるしく、あっという間に過ぎていったと思います。本当によく頑張ったね。

 会う機会は少なかったけど、奏音ちゃんの頑張りはいつも自然と私の耳にも入ってきていました。毎日のSHOWROOM配信や劇場でのスクランブル出演。奏音ちゃんの日々の活動に本当に誇らしく思っています。

 誰にもできることではないから本当に凄いことだし、奏音ちゃんは自分の個性をよくわかっていて、それを楽しく届けて伝える力があると思うので、これからもファンの皆さんをたくさん楽しませてあげてください。

 そしていつも積極的に私に連絡をしてくれて、こんなに頼りにしてくれてありがとう。

 私がアドバイスする隙もないぐらいにしっかりとした考えを持っているので、私はほぼ聞いているだけの状態でごめんね。あまり気の利いたことを言ってあげられなくて申し訳なく思っています。

 仲間思いで、正義感が強く、本当にストイックで、やると決めたことはやり遂げる奏音ちゃん。奏音ちゃんのその姿勢はいつか絶対に報われる時が来るし、間違ってなかったと確信できる日が必ず来るので、これからもその強い信念とユーモアあふれる独創力に更なる磨きをかけていって欲しいです。

 見てくれている人は必ずいます。私もずっと見守ってるからね。

 これからはチームメイトとして一緒に頑張っていきましょう。

 悩んだらいつでも相談に乗ります。話何でも聞くからね。

 楽しいことたくさんしましょう。

 奏音ちゃんの成長をそばで見守って、感じられることが何よりの幸せです。

 18歳、素敵な1年になりますように。

 SKE48キャプテン・斉藤真木子」


 真木子の手紙の中に出てきた「仲間思いで、正義感が強く、本当にストイック」という辺りは、まさに手紙を書いている真木子にも近い気がします。また、そのことを踏まえた上で「強い信念とユーモアあふれる独創力」とありますが、このユーモアの部分もちゃんと評価できているのが、真木子のキャプテンとして素晴らしいところだな、と思います。
 そういえば、珠理奈も印象的な言葉を残していましたよね。

10期研究生の澤田奏音です(^-^)v | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 澤田奏音さんは、生誕スピーチの中で「18歳まで自分のやりたいこと、夢とか目標とかそれに向かって全力でやる、18歳までは何も考えずにやるということを決めていて」と語っていました。
 そして、これまでの人生でギリギリになって拾われてきたことを語ります。小学校時代に夢に向かってレッスンを受けていたもののなかなか結果が出なかったそうです。しかし、小学校卒業のギリギリのタイミングで映画に少し出ることができたそうです。また、中学の時も通っていたスクールの中学卒業ギリギリのタイミングで、同じカテゴリークラスのグランプリを獲得することが出来たそうです。
 だから、自分を追い込みつつ頑張りたいということ、そして、目標を女優と設定することを語ります。女優の仕事を20歳までにどんどんやっていきたいとも。
 悔いのない18歳を目指すと澤田奏音さんは語ります。
 先ほどの真木子の手紙の中でしっかりしているということが語られていましたが、それは彼女が幼い頃から芸事の世界に居て、周りの子供より先に大人の観点を持つことが出来たからかも知れません。それは、きっと「結果が出なかった」という言葉から分かるように、挫折もあったかも知れません。「ギリギリ」という言葉からは、最後の最後まで諦めなかった彼女の強さを感じます。

 今回、彼女のことを調べながら、ひょっとして、この人なら他者の痛みや辛さが分かる人、キャプテンとかリーダーが似合うんじゃないか、とも思いました。少なくとも10期生の奇才オブ奇才だった五十嵐早香に対しても優しく接してくれた、孤立させないでいてくれた恩を僕は多分、一生忘れないと思います。

 少し、話が私的なことになったので、話を戻します。
 今、TikTokでは、「ストーリー性」のある動画も伸びているそうです。短い中で観る側を引っ張れる動画です。ふと、澤田奏音さんなら、短い演技動画を差し込んでみるのも面白いかも知れません。「ダッチムホ!」のクリエイターがこういうことも出来るのか、という新鮮な驚きがあると思います。日本初の「TikTok売れ」女優が誕生しても面白いと思います。
 彼女の凄いところは作り続けることが出来るところだと思います。これは、物作りをしている方ならご理解いただけると思いますが、かなり大変なことです。是非、この才能を活かして欲しいです。


 今、少しずつSKE48に良い風が吹きそうなところなので、是非、若い才能にチャンスをどんどん与えて行って欲しいと思います。その為にも運営さんには途中で投げ出さずにSNSのハックは続けて行って欲しいと思います。
 澤田奏音という「楽しさ」と「ツッコミ」のクリエイターは、入口から奥に入って行くと、深い信念と独創性、そして優しさが隠れていました。僕と同じ体験を是非、まだ知らない人たちにもして欲しいな、と思いました。

 そして、次の「ギリギリ」では、どんな結果を彼女が出すのか楽しみに待ちたいと思います。

2022年5月15日日曜日

痛みを知るただ一人であれ

姿見えずとも遥か先で見守ってる

 今年の夏に自分の雑誌を自費で作ることにしました。
 といっても、まだ創刊準備号なんですが、テーマは「推し事3.0」と設定し、これからの時代の推し事について、信頼できる方々と書いております。
 興味のある方は是非!

https://camp-fire.jp/projects/view/578639


 さて、宣伝はこれぐらいにして、その「推し事3.0」のヒントとして僕は二つのものを持ってきました。一つは「Web3」。もう一つは「ウェルビーイング」です。
 僕のブログを以前から読んでいる方は、「こいつ、2022年に入ってからやたらと、カタカナワードの本ばっかり読んでるなあ」と思った方もいらっしゃるかも知れません。しかし、それは全てこのテーマの為だったんです。
 自律分散型の推し事の場の形成に「Web3」。
 そして、推し事の意義ややりがいについての「ウェルビーイング」。
 この二つの文脈の組み合わせで考えて行くんですが、自分が一番生産的になれることは何か、自分が一番興奮して情熱を傾け没頭できるかを考えていく必要があります。自分が一緒に作ることで価値が育っていくものも「Web3」の世界では多いです。

 何を好きになるのか、何があると幸せなのか。
 僕はあるメンバーのことを思い出します。
 

 それはSKE48の10期生。
 現センターであるチームEの林美澪です。


 2022年5月現在、彼女はまだ13歳です。
 13歳にして2作連続センター。
 彼女には、今どんな景色が見えているんでしょうか。


 まずは、2022年4月7日に行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。


「美澪ちゃんへ

 13歳のお誕生日おめでとう。


 最初の印象は、『新しく入ってくる10期生の中に凄いダンスを踊る子がいる』ってことがメンバーの中で話題に上がり、『凄い子が来るんだろうなー』って思ったのを覚えています。

 その子が小学生っていうのを聞いて、さらに驚きました。

 そんなある日、私のことを待ち受け画面にしてたよってメンバーが教えてくれて『えっ!?まさか?嘘だろうなー』って思いつつ、私は密かにずっと気になっていて、早くお話ししたいなって思ってました。

 個人的なお話になっちゃいますが、SKE48 12周年特別公演に向けて皆が色んな曲をたくさん覚えていかないといけない時、まえに飼っていたワンちゃんが天国へ行ってしまい、心も体もボロボロでレッスン場に行った日がありました。

 その日、ちょこちょこっと私のところに来て、恥ずかしそうに声をかけに来てくれたのがみれいたんでした。なんと、お菓子もくれました。それが最初の関わりだったのかな?

 みれいたんは私の出来事を知らないはずなのに、なんか励まされているようで、元気出してって言われているようで、その時くれたみれいたんの笑顔に私は救われたし、さりげなくくれた優しさで、その時の悲しみを乗り越えることができました。『この子は本物の天使だ!』って思ったよ。あの時は本当にありがとう。

 そして「るーちゃん」って呼んでくれるまで距離が縮まったね。

 私のことを『神推しです、大好きです』って言ってくれる後輩メンバーは初めてだったから、実は涙が出るほど嬉しくって、会うたびにニコニコ笑顔で来てくれるみれいたんがたまらなく可愛くて、いつも癒しをくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう。

 何気ない日に私の好きなキャラクターグッズに、しかも私のペンライトカラーを揃えてプレゼントしてくれたり、『ファンの人かなー?』って思うくらい公演の感想を長文でくれたり、『るーさん卒業する時は私も卒業します』って不意に言ってくれた時は笑いを通りこしてビックリしちゃったよ。

 まだみれいたんと一緒に頑張りたいし、みれいたんの輝く姿をこれからもそばでたっくさん見たい。だからこれからもよろしくね。

 Black Pearl( ブラックパール )のMV撮影の帰りだったかな?新幹線を降りてから『るーさん、チケットがないです』って言った時は二人ともとっても焦りました。そしたら、『もしかしたらゴミ箱に捨てちゃったかもしれません』って言ったので、今なら間に合うと思って急いでゴミ箱のところに行ったらチケットがあって一緒に安心したね。

 『明日学校に行けるんです』ってワクワクウキウキしてるところ。うさぎのリュックサックを背負ってるところ。『シー』って言っちゃうほど笑い声が大きくて、ツボが浅いところ。メイクさんにメイクをされながらコクコク寝てるところ。たくさんの時間を過ごすようになって、みれいたんの赤ちゃんな一面が見れてとっても嬉しいです。

 でもステージ上やカメラの前になるとダンス、歌、表情、何もかも完璧で、SKEのセンターになるために生まれてきたんじゃないのかな?って疑っちゃうくらいキラキラオーラが凄いなっていつも見ています。

 まだ産まれたばっかりなのに新世代コンサートの時は大きな会場でソロで歌っている姿だったり、新曲『心にFlower』の落ちサビで一人だけ立って歌っているみれいたんを見ると毎回感動して泣きそうになるのはここだけの話。

 常に全力で、弱音を吐かず、色んなお仕事に挑戦しているみれいたんを見て『ちゃんと寝れるかな? ご飯食べてるかな?』って心配になる時があります。

 みれいたん、みれいたん自身が13歳ってことを忘れないでね。これからももっと甘えてきてほしいし、困ったことがあったら何でも言って欲しいし、全力で助けます。いつだって、み~んなみれいたんの味方です。全力で守ります。

 みれいたんはいてくれるだけでいいんです。私が頑張れる一つの理由はみれいたんの存在です。

 これからもみれいたんの神推しの一人でいられるように頑張ります。

 あっ、みよまる、るーちゃん、みれいたんの3つ子トリオも広めていこうね。

 改めて、お誕生日おめでとう!

 みれいたんが幸せな13歳の1年を過ごせますように。

 お手紙を書かせてくださったみれいたんファンの皆さん、本当にありがとうございました。

 みれいたんのことが大好きなチームS井上瑠夏より」 

 るーちゃんの美澪ちゃんへの愛が伝わる素敵な手紙ですね。
 「みれいたんはいてくれるだけでいいんです。私が頑張れる一つの理由はみれいたんの存在です」という箇所は、まさに彼女がコミュニティの中にいてくれるだけで多くの人が幸せを感じる「ウェルビーイング」に通じるものがあると思います。


 では、美澪ちゃん自身はどう考えていたんでしょう。
 この時の生誕祭のスピーチで彼女は、「12歳の年は凄くほんとにビックリすることが多くて、胃が痛くなることが凄く多かったです」と語っています。そして、大きな4つの出来事が挙げられていきます。

 一つ目はガイシホールの「虫のバラード」。
 まだ新人の彼女がソロ曲を任せられる。しかも、ガイシで「虫のバラード」というと、矢神久美さんを思い出すファンの方もいるかも知れません。歌唱力だけではなく思い出を越えられるか、という戦いにもなります。「今まで自分はダンスしかしてこなかった」、という不安を見事に乗り越えたと思います。披露の場を与えてくれた感謝の言葉も忘れていません。
 二つ目は、「あの頃の君を見つけた」のセンターです。
 珠理奈の次のシングルセンターで「自分で大丈夫だろうか?」という不安があったそうです。先輩たちを後ろに従えてできるのか、という不安をレッスン場で感じたということを語っています。しかし、「美澪ちゃんがセンターで良かった」という言葉に「嬉しくて、頑張ってやってきて良かったなっていう風に思って」と語ります。センターに選ばれた背景には、自分が習ってきたダンスとは違うアイドルダンスを頑張って研究してきたこともあるのではと分析しています。この時、印象的なのが、アイドルダンスを研究してもなかなか上達せずに「なんか努力する諦めようかなと思った時期もあった」という言葉です。
 美澪ちゃんの人間味と、諦めかけた時に努力を止めなかった人間だけが、センターに行けるんだな、というのを感じました。
 三つ目は、「心にFlower」でもセンターに選ばれたことです。
 連続して選んでもらえたからには、前作と同じではダメだ、と自分のいいところを見せられるようにダンスを頑張ったそうです。今回のダンスは美澪ちゃんとの相性も良く、「ダンスのSKE」、「SKEらしさ」を感じさせるものになったのではと思います。
 美澪ちゃん自身も「ダンスが凄いね」と言われることが凄く嬉しくてと語っています。
 四つ目は、「Seventeen」の専属モデルになったことです。
 SKE48には、素敵な先輩たちが沢山いるのに自分で大丈夫なんだろうか、という不安もあったそうですが、「せっかく私に声をかけてくださったのにそこで諦めるのは、その選んでくださった方々にも申し訳ないし、私の心も許せなかったので」という決心でモデルにも挑んでいきます。
 この四つ目の「Seventeen」専属モデルになったのは、かなり大きいことだと僕は思います。なんの配信イベントでもゲームのイベントの賞品でもないんです。
 そして、彼女は先輩たちへの感謝の言葉を次のように語ります。

「そして何より近くにいる先輩に凄くたくさん支えられてきて。最初はちょっと先輩にお話しかけることが凄く『大丈夫かな?』っていう風に思っていて。『私迷惑じゃないかな?』っていう風に思っていたんですけど、凄い今ではたくさん話しかけてくださる先輩や、今日はもう誕生日プレゼントだったりをいただいたりとか、本当に本当に幸せで、SKE48の先輩方と出会えて良かったなっていう風に凄く思っています。」

 自分がSKE48にいること、そして、選抜にいて、センターにいることについて、彼女は不安を抱きます。しかし、その不安は先輩たちによって氷解されていきます。しかし、彼女の不安はまた新しいものが生まれていきます。

「なんか最近というか、そのセンターになってからというか、なんか自分のやりたいことがわからなくなってきて。

 なんか、凄い周りの、なんか友達とか、凄い自分に目標がある子が多くて。でも、その自分はセンターになってからというかアイドルになってから何を目標にして今まで生きてきたのかなって思うと、ちょっと分からなくて。

 なんかそんな人が今センターにいて大丈夫なのかなっていう不安も凄くあって。

 だからなんだろう、凄い最近は色んなことを考えて、なんか毎日泣いちゃったりとか凄い周りの方に迷惑しかかけてなくて。特に、その家族にはほんとに迷惑しかかけてなくて。だから、何だろう、なんか『自分がいて大丈夫かな』って思うことがたくさんあって。」


 彼女の中の不安の正体は、僕には分かりません。ただ、先ほどの「胃が痛くなること」がヒントになるかも知れません。
 2作連続センターや専属モデル。
 先輩たちや同期の目標を短時間で、一気に手に入れてしまった。
 彼女が13歳の間に「目標」を作りたい、と語っているのもここと繋がっている気がします。
 彼女は目標について、生誕祭のスピーチの中で下記のように語っています。

「やっぱり目標に向かってないと自分はほんとに生きてる感じがしなくて。最近とか何を楽しみに生きてるかなって考えて、なんも出なかった自分が一番嫌いなので、もっと人生を楽しめるように、自分も頑張りたいと思うし、そしてほんとに家族には謝ることしかなくて。ほんとにいつも困らせてしまってごめんなさい。

 だからもっと中学2年生、13歳はもっと、周りから、何だろう、心配されないように、ちゃんと頼ってもらえるように頑張りたいと思います。後輩も、学校でも入ってくるし、SKEの中でも入ってくるので頑張りたいと思います、もっと。

 そして、活動でもちゃんと目標を見つけないと、自分が見失われていきそうで怖いので、自分の好きなことをやりたいと思います、これからも。これからは自分の好きなことをたくさんしていきたいなっていう風に思ってます。」

 「目標がない」ことに関しては、自分が彼女と同じくらいの年の頃に、果たして目標なあっただろうか?という疑問が生じてきましたが、皆さんはいかがでしょう。ただ、彼女のスピーチを知れば知るほどに、「今はそんなに焦らなくていいんだよ」と声をかけたくなります。
 先輩の鎌田菜月さんも、2022年4月18日に放送されたラジオ番組「サクラバシ919」で、「13歳の子が家族に迷惑をかけるのは当たり前だと思うのに、心配かけちゃって…と泣いている姿にすごくくるものがあって」と語っていましたね。

 じゃあ、僕らファンにできることは何なんでしょう。
 まず、彼女の活躍できるSKE48という場を守り続けることは大前提だと思うんですが、「運営の推され」とか「ゴリ推し」いう言葉で彼女の努力や苦悩を貶めるのではなく、きちんと評価するべきところは評価し、新しいSKE48の入り口になる人を大事にしていくべきではと思います。
 松井珠理奈から、小畑優奈から何も学ばないほどSKEファンは幼くないと信じています。

 少しだけ脇道にそれますが、彼女の読書家に僕は注目しています。
 インプットがしっかりしている人は、アウトプットもやはり素晴らしいことが多いです。ボキャブラリーだけでなく、文章の組み立て方、思考の回路も豊かになっていきます。
 たとえば、先ほど挙げた4つの不安の1つだった虫のバラードについてのアメブロです。

10期研究生 林美澪☆虫のバラード | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 彼女のブログにちゃんと軸があって、内面の変化があったのに気づいたでしょうか。
 自分の声が嫌いというところからスタートして、歌うことを諦めかけた彼女が松井珠理奈という大先輩がくれたきっかけをもとに自分の声が好きになる。
 素晴らしい構成だと思います。もし、これを計算なしで構文出来ているのなら、どうか、彼女の読む時間と書く時間を確保して欲しいと思います。
 あとは、優れた歌詞を選ぶセンスにも長けていると思います。
 こちらのブログを読んでみてください。

 10期研究生 林美澪✩「卒業する貴方へ」私が選んだ曲はこれ!! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 もう一つ、お時間のある方は読んでいただきいアメブロがあります。
 それは、ファンの方々からのコメントにリプをしたアメブロなんですが、これが丁寧なんですよね。

 10期研究生 林美澪 ☆ TUメッセージのお礼です!! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 

 小難しいことを色々と書いたかも知れませんが、多分、これからの数年間で彼女の環境はまだまだ目まぐるしく変わると思います。推し方も変わっていくかも知れませんし、センターまでのゲームもアイドル業界の価値観も変わっていくかも知れません。

 でも、アイドルを推すことの基本はずっと変わらないと思います。

 林美澪という一人の少女が笑顔になったり、一つ結果を残していったりすることが、ファンの方々の幸せになっていく。
 それはあなたがいてくれることが幸せであるという「ウェルビーイング」につながると思います。

 マルチバースがあるなら、2011年ぐらいの48全盛期のSKE48に林美澪が入る世界や、総選挙で林美澪が超選抜に入る世界もあるかもしれません。しかし、彼女が現れたのはとっくに48グループブームが終わった後のSKE48です。しかも、コロナの影響でアイドル業界はまだ打撃を受け続けています。
 時代は時に若者の未来を見えにくくして行くと最近は思います。


 先の見えない時代の中で、痛みが生じるものもきっとあると思います。
 中にはセンターというただ一人のポジションだからこその痛みもあるかも知れません。
 でも、彼女なら乗り越えられる、いや、正確には彼女とファンの方々とメンバーたちなら乗り越えられると思います。彼女が声を好きになるきっかけをくれた人が、多くの痛みを知っていても、優しくみんなみんなで前に進んでいたように。
 どうか、明日も美澪ちゃんが笑顔で踊ってくれているように。その笑顔はるーちゃんの時のようにきっと誰かの悲しみを癒す優しさを持っていると思います。 

 

 林美澪さんの一日も早い回復をお祈りしております。


2022年5月8日日曜日

夢を見つけることについて

歴史の中に立てるものの強み


 突然ですが、皆さんはいまハマっているドラマはあるでしょうか?
 地上波だと大河ドラマの「鎌倉殿の13人」と「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」が面白くてですね。どちらも1年間かけて観ていく長編なんですが、毎週日曜日に観るという昭和な視聴形態を自分が取っていることに驚きつつも「リアタイ」の楽しさを味わっています。もうね、源氏の皆さんってなんであんな方々ばかりなんでしょう( 大河ドラマ『平清盛』大好き人間 )?
 そちらに対してサブスクでは、Netflixのドラマシリーズが面白くてですね。今は、韓国の「二十五、二十一」にどハマりしていましてね。1998年を舞台にフェンシングの韓国代表を目指す主人公と家が破産した大学生のロマンスを描いています。毎回、主人公は部活や学校生活の中で選択を迫られる場面があります。
 第5話で親にさえ否定されているフェンシングで試練が待ち構えています。しかし、もう会えなくなった大学生の言葉を思い出し、「私を信じてくれているあなたを信じる」というシーンがめちゃく良くてですね。まだスマホとかもなかった頃なんで、電話の録音サービスにかけてその言葉を何度も聞くというのが切なくてですね( 遠い目 )。


 さて、なんでまあ、こんなに多様なドラマを持ってこれるんだ、とNetflixのドラマについて調べてみると、北谷賢司さんの「エンタメの未来2030」(日経BP)の中でNetflixのポリシーについて次のように書いています。
 恐ろしいぐらい雑に説明すると、映画プロデューサーのエリック・ニューマンは、映画製作の今後の参考にするために「ネットフリックスの視聴者データを参考にさせてくれないか?」と同社にお願いしたそうです。
 すると「数字に囚われすぎると、同じものを何度も作ることになる。データはあくまでも過去に行われたことで、未来がどうなるかを知らせてくれない」と答え、データは開示してもらえなかったそうです。そういや、デイル・ドーンの「仕事は楽しいかね?」( きこ書房 )の老人も同じこと言ってましたね。「コア・コンピタス経営 未来への競争戦略」( 日本経済出版社 )でも似たようなことを書いてた気がしますね。こちらはより応用的で必要な過去のデータと必要ない過去のデータをもとに、ソニーが「小型化」というコア・コンピタスを持ち、新しいプロダクトを生み出していった前例が挙げられています。

 ドラマの話から偉く話が広がっていったなあ、と読者の皆さんは思っているでしょう( 慣れ慣れしい文体 )?
 実は、Netflixのドラマ「二十五、二十一」を観ながら思い出したメンバーがいます。
 

 それは、SKE48の9期生であるえなたんこと、鈴木愛菜さんです。

 皆さんは、彼女のことを説明する時にどんな言葉で説明しますか?
 カミングフレーバーの曲の中に「We are カミフレ!!!!!!!!」という曲があります。 
 メンバー一人一人の説明をしている曲で、ちょっと聞いてみましょう。


 ううむ、「足長、舌足らず、内臓担当」という謎の紹介に、なんとなく外的な要素が伝わってきた後で、「泣き虫だけどみんなの太陽」、「甘え上手な笑顔が可愛い」というみんなから愛される人物なのかな、というのが歌詞から伝わってきます。この曲って朝聞くのに丁度良いんですよねえ。
 あとは、先輩との関係でいうとどんちゃんから凄く愛されている子というのが、以前どんちゃんのSNSから伝わってきたり、荒井さんからも愛されている印象があります。
 

 さらに彼女のことを知るために、2020年1月10日、「青春ガールズ」公演で行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。

 「愛菜へ

 16歳のお誕生日おめでとう。

 ファンの皆さん、スタッフの皆さん、メンバーの皆さん、いつものお世話になっています。この場をお借りして御礼を申し上げます。

 こうして手紙を書きながら、これまでの愛菜を思い返しています。

 このような機会がなければなかなか思い返すこともなかったかな。

 愛菜が私たちの元に生まれてきてくれてから16年間はあっという間でした。

 生まれてすぐの検診で足の異常が発見され、小さな体ながら何度も手術を体験し、それから最近まで病院へ通うようになりました。私たち家族に訪れた初の試練でした。

 『なぜ愛菜が? 申し訳ない。代われるものなら代わりたい』そんな思いで考え込んだこともありました。

 そんな時、『人は平等に苦労と幸せがある』と自分に言い聞かせて期待していたことを思い出しました。

 それからはとにかく元気なら何でもいいと思って育ててきましたが、お姉たんの入園式で先生の出欠に対して付き添いの愛菜が全て返事をしていたり(苦笑)、スーパーでお菓子を買わなかったら床に寝そべって大声で泣いてママたんがお客の冷ややかな視線を浴びてみたり、壁に取り付けたタオル掛けにぶら下がって壁ごと引っ張り抜いてみたり、『何考えとるの?』が家族の口癖になるほど常に驚かされっぱなしでした。

 めちゃくちゃなことをする度に説教しようとして真剣な顔で愛菜と向き合ってみるものの、つい愛菜の笑顔で怒る気もなくせられました。これがえなたんスマイルの始まりだったのかな?

 小学生に入ってからはどちらかと言うと内向きで、人一倍照れ屋で、演劇をしてもちょい役だったり、授業参観の発表でも手が震えているような子がまさか『アイドルを真剣にやりたい。SKE48のオーディションを受ける!』と言った時にはこれまでは何をやっても長続きしなかったし、厳しい世界だからと、期待しつつも軽く落とされるものと思っていました。

 でも結果は見事に9期生研究生となりました。

 これが遅れなせながら愛菜!鈴木家にやってきた幸せだと思い、自分のことのように喜んだことを覚えています。

 SKE48に入ってからは外に出ていることが多いので、スタッフさんやメンバー、同期の皆の前ではどのような態度で接しているのかわかりませんが、家では基本的にツンデレ、負けず嫌いで、なかなか外であった出来事を話さないので、SHOWROOMやモバメで知ることも多々あります(苦笑)。

 戦場である劇場公演では年齢の関係で年上の同期より制限がある中で本当は悩んでいたり、悔しい思いもしていると思いますが、今日からはそんな言い訳も通用しないと思います。

 今まで以上に同期の皆とどんどん刺激し合って目標に向かって突き進んでください。

 愛菜は言葉たらずの子なので常に心配になりますが、今の愛菜が劇場をはじめ、表舞台でキラキラできているのは応援しているファンの方をはじめ、SKE48のスタッフの皆さん、メンバーの皆さんや愛菜に関わってくれた全ての方々のおかげだよ。皆さんに心から感謝してください。

 感謝は表現しないと伝わらないので、しっかりと自分の言葉や態度で伝えてください。

 最後に、公演のダメ出しが厳しいDMM最前が指定席のママたん、常に愛菜のことを一番に思ってツンデレの愛菜にうざ絡みするシスコンのお姉たん、1時間おきにスマホでタイマーをかけて、オートでほぼ大貧民ながら大富豪をやって応援してくれるじいたん、ばあたん、皆で愛菜を全力応援しています。

 この1年でわかったように一瞬で時間は過ぎていきます。1秒後、明日でも、来年でもなく、たった今から始めよう。

 愛菜は待っているだけじゃダメなんだ。愛菜の可能性こそが鈴木家の未来。努力することを常に忘れず頑張れ。

 愛菜にズッキュンされたいパパたんより」


 手紙の中の「感情は表現しないと伝わらないので、しっかりと自分の言葉や態度で伝えてください」という言葉が印象的です。この頃のえなたんは、お手紙の中にあった通り「言葉足らず」な印象をご両親に与えてしまったのかも知れませんが、それは誰よりも長くえなたんのことを見ている人たちだからこその言葉だと思います。
 ただ、彼女は、SHOWROOMや公式ブログでは、わりと表現が豊かな方ではないか、と思っています。たとえば、研究生時代に書いた2020年2月20日のブログでは、昇格できなかったことの悔しさでと情けなさで涙が出たエピソードが凄く良くてですね。年齢制限に甘えていたと自己反省しつつ、先輩たちの「大丈夫だよ」や「チームで待ってるね」という言葉を胸に目標を設定して頑張るところとか、本当に素晴らしいと思います。
 さて、話を戻すと、DMM最前が指定席のお母さまのエピソードも良くてですね。
 朝日新聞デジタルの2021年9月21日号の「SKE48のfor you」でも、お母様のことをスーパーヒーローと語っていますね。SKE48のオーディションを見つけてくれたのもお母様で、アイドルとしての自分も私生活の自分も支えてくれています。
 でも、彼女を支えてくれているのは、ご家族だけではありません。
 それが伝わるエピソードがあります。 

 2022年2月10日のチームK2公演で行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。

「えなたんへ

 18歳のお誕生日おめでとう。
 頼もしいチームK2の最年少です。

 えなたんがいなかったら、もっとチームK2の平均年齢は高かったよ。だから本当にありがとう(笑)。

 愛菜はK2の末っ子なのに誰よりも落ち着いていて、周りを観察できて、細かなところに気づける優しい子です。

 私の愛菜への第一印象は友達のるんるんとゆきちゃんが溺愛してる子。

 プライベートで何度も二人から愛菜の名前を聞いてたし、『とってもいい子なの』って2人が熱く語るから私もどんどん気になってきて、その当時はるんの所に行くと横にひっついてるなって印象だったけど、いつの間にか我らがK2に昇格してきて、個人的に気になってるえなたんをようやく私も堪能できるな~と密かにワクワクしてました。

 そんなきっかけから愛菜のことが気になって、色んな話をしていくうちに愛菜の人懐っこさに私もメロメロになりました。

 ただ人懐っこいんじゃなくて、絶妙な空気の読み具合で、絶妙な距離感で、心地の良い感じでなついてくれるなって私は思いました。

 嬉しい時は少し照れながら喜ぶし、悲しい時は最初強気なのに話しているうちにしょぼんとしちゃうところ、素直ってわけじゃないけれど感情が見えるところが可愛いなと思います。

 SKE48でもあり、カミフレでもあり、学生でもあるえなたん。全部の両立が大変そうで心配になります。

 10代なのにカミフレでの経験もあって、アイドルとしての姿にただ夢を見てるだけじゃないえなたん。

 えなたん推しの皆さんにお願いです。愛菜のことをどうかこれからも応援よろしくお願いします。

 今更当たり前のことを、と思うかもしれませんが、SKE48の愛菜とカミフレの愛菜、どっちも存在するのは当たり前じゃなく幸せなことです。

 愛菜はSKE48のオーディションを受けた子です。だから、SKE48としての夢も見させてあげてください。しっかり者の愛菜だからあまりわがままを言わないかもしれないけど、若手コンで『悔しい』と話してくれました。余計なおせっかいしてごめん、えなたん。

 でも私はえなたん推しに愛菜が昇格したての頃、たくさん『愛菜をよろしくね』と言われました。

 そして、私はもう卒業します。だから今度は私から皆さんへのお願いです。愛菜をよろしくお願いします。

 えなたん、甘えたい時はたくさん甘えていいんだよ。嫌だって思ったことは伝えてもいいんだよ。ファンの皆はとっても頼もしいです。なんかあって助けを求めたら全力で助けてくれます。わがままなくらいが丁度いいんだよ。
 ファンの皆様には負けますが、私もアイドル歴12年。人生もうすぐ30年。きっと少しは役に立てると思います。

 もうすぐ離れ離れになっちゃうけど、くだらない話でも、悩み事でもいつでも聞いてあげるし、たまには遊ぼうね。

 5月からは18歳と29歳のお友達です。だからこれからも仲良くしてね。

 お誕生日おめでとう。

 るんぴより」

 ううむ、えなたんの理解者の一人であるみなるんの愛が伝わる手紙ですね。 
 「素直じゃないけど、感情がみえる」という表現が良いですね。
 カミフレとしての彼女とSKE48としての彼女。
 みなるんの手紙の中にある「SKE48としての夢」は、ここに書くのは野暮なので書きませんが、新世代コンサートの「悔しい」とも通じるあれではないか、と僕は思っています。


 さて、彼女は2年ぶりの生誕祭で、まず、K2のあったかさについて語ります。
 そして、「今でも心の中で思ってることがあるけど、自分じゃ無理だなって思ったりして消極的になることが多いんですけど、18歳で変えられたらいいなと思ってて」と語ります。そして、「なんだか口下手だから凄い上手には話せないんですけど、何となく感じ取ってくださったら嬉しいです」と信頼するファンの方々とのコミュニケーションについても語ります。
 そんな彼女のスピーチの中で、印象に残った部分が一つあります。

「なんかこれから目の前のことしか見えないから未来のことを考えて未来の自分が困らないようにひとつひとつの決断に、何て言うんですか、何て言うの、決断に、自信を持って、あの、責任を持ってできたらいいなと思うので、正しい道に進めなくなりそうになったら皆さん、どうか引き戻してください。私は意思が弱いので、すぐ皆に言われたらきっと戻る人なので、助けてください」

 これは、簡単に言えることではないと思います。
 未来に責任を持ちつつも、こんな不確かな世界にいると道を間違えるかも知れない、でもファンの方々なら引き戻してくれる。そんな信頼感を感じます。
 そして、「二十五、二十一」で登場した「自分を信じているあなたの言葉を信じる」という想いに通じるものがあると僕は思います。どうしても、自分の決断に責任を持つというと、意固地になって選択を変えられなさそうですが、きちんと他の人の意見に耳を傾けられる柔軟性が彼女にはあります。 

 SKE48の良いところの一つは、歴史があるところだと思います。
 えなたんが持った目標や夢によっては、過去の素晴らしい成功例がSKE48には沢山あります。そういう意味ではキャリアが長く、多ジャンルで活躍できるメンバーの多いチームK2に居るのは、理想的なのではと思います。
 その中でNetflixのように過去のデータが全てじゃない、新しい選択肢をどんどん増やすというのも良いと思いますし、コア・コンピタスのように未来を想像しながら過去の戦略を更新し続けるのも良いと思います。
 どちらを選んでも、えなたんには頼もしいファンの方々がいます。だから、えなたんが次に言葉にする目標がどんなものか、楽しみです。
 SKE48の歴史の中にえなたんが、ファンの方々と一緒に新しい実績を残す日が近いと僕は予想してます。

2022年5月4日水曜日

もし、鎌田さんで4ページ使うなら!

 妄想と紙面と予算と


 「唐突だな!」と言われるかも知れないですが、あなたが雑誌の編集長になったとしましょう。「唐突だな!」というあなたの声が聞こえてきましたよ。

 自分が作っている雑誌のカラーページ4ページが余ってしまったら、あなたらどう使いますか?
 「宣伝スペースにしますね、ふっふっふ」という方もいるかも知れませんが、宣伝が付かないぐらいの大手ではない雑誌としましょう。ビレッジ・ヴァンガードに半年に1回ぐらい出るA4サイズぐらいの総300ページぐらいの雑誌としましょう。
 改めて、あなたなら4ページをどう使いますか?
 

 なんでこんな質問から今回始まったかというと、ついに自費で紙の雑誌を出すことになりましてね。現在「創刊準備号」のクラウドファンディング中なんで、もし、良かったらページだけでも覗いて行っていただければ、と控えめに宣伝させていただきます。で、そのクラファンのリターン特典の1つである「創刊号」の企画書を書いていたわけですよ。
 「だいたい依頼する方々や出版するタイミングはこれぐらいで…」と考えていたんですね。まあ、超小規模の雑誌ですし、ガンガン好きな人達に依頼できるほどの予算は無いんですが、それでも妄想だけは広がっていきましてね。
 ふと、4ページぐらいの枠で何が出来るだろう、とぼんやり考えたんです。
 これは、これまでのアイドルの楽曲やドラマからブログを書いていた頃には、全然発想しなかったことです。ただ、インデペンデントのメディアだからこそ、売り上げとかを気にせずにできることもあるのでは、と思ってもいます。

 そこで、今回はこんな記事を考えてみました!


 「もし、あなたが鎌田さんで4ページ使うなら!」

 鎌田さんって、これまでのブログでも取り上げてきた通り、様々な側面から語ることが出来る人だと思うんですよね。彼女自身の人間性。これまでの活動のドラマ。彼女の趣味である二次元、将棋、歴史、剣道、マラソンetc。
 じゃあ、4ページに落とし込んでいくなら、何がベストでしょうか?


 たとえば、僕が構想していた企画は「嫌いな君を好きになる」です。
 このブログを昔から読んでいる方はご存じだと思いますが、僕は鎌田さんが超苦手でした。でも、食わず嫌いせずに少しずつ彼女のことを知ることで、彼女の人間性の豊かさを知っていきました。
 そこで、鎌田さんが苦手だった僕だからこそできる、「価値転倒」の過程を彼女のインタビューと共に話していけないかな、と考えました。かつての体育会系バリバリのSKE48とは違う価値観を広げてきた( 松井玲奈、秦佐和子、古畑奈和という系譜はありましたが )彼女の台頭は、僕のように違和感を抱いた方もいらっしゃるかと思います。でも、違和感は新しさでもあります。そして、その新しさはやがて、足跡のない道を作っていくことになります。そんなインタビューの流れを考えていました。自分にしか出来ないことは何かと考えた末の企画です。
 ただですね、ふと思ったんですよ。 
 4ページじゃ足りん!
 ロッキンオンジャパンの2万字インタビュー並みに、1ページの紙面を3段組みで組んでも足りないかも知れません。
 

 そこで、改めて考えてみました。
 僕が次に取り出したのが、彼女の本への愛です。
 まずは、こちらのアメブロを読んでみましょう。 

(鎌ºωº田)<オタクが語るだけのブログ。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 「鬼滅の刃」の完結について書いたブログですね。 

 漫画というものが人生の中にあることで「宝物」が増えていき、自分の人生が色鮮やかになっていくというのは、読書家の彼女ならではの表現だと思います。
 そして、もう一つ読んでいただきたいブログがあります。

(鎌ºωº田)<秘密の書きもの。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 彼女の場合、インプットとアウトプットのバランスが凄く良いと僕は思います。
 宇野常寛の「遅いインターネット」の中で「優れた発信をするには、優れたインプットが必要である」という考えが登場します。現在は、発信する手段だけが発達していって、インプットである読書や映画鑑賞が無くなってしまっているということです。
 彼女の場合、その循環が凄く良いのではと思います。
 現在は、それがラジオのレギュラー番組「SKE48鎌田菜月のサクラバシ919」でのアウトプットになっているのかな、とも思います(実は秘かにメールを送っています)。
 そんなインプットとアウトプットのバランスが良い彼女だからこそ、4ページという枠の中で出きることは何か考えました。

「鎌田菜月 1万円選書」

 「1万円選書って、なんだよ。宣戦布告する文書のことかよ!」という島崎藤村マニアの方もいるかもしれませんが、「普段、忙しくて本屋に行く暇がないわあ」とか「本棚の本がかなり偏ってしまっている!」という方の為に北海道のいわた書店の店主である岩田徹さんが始めたサービスでしてね。
 1万円で店主が本を選んで申し込んだお客さんに送るサービスです。
 まず、個人カルテとして「これまで読んだ本で印象に残っている20冊を教えてください」とか「これまでの人生で苦しかったこと、嬉しかったことは?」、「これだけはしないと決めていることはありますか?」という内容です。
 そこで、鎌田さんが1万円分のおすすめの本を選び、チョイス理由を書いていく4ページはどうでしょう?
 本当は個人カルテを取りたいところですが、ペルソナをゆるーく設定してお願いしてみると逆に面白くなるかと思います。
 鎌田さんの作品に対するプレゼン力の高さは、他のメンバーへの作品の浸透度からも分かります。

(鎌ºωº田)<雨のち晴れ。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ううむ、SKE48の生誕くじの1位の特典とかでどうでしょう?
 ちなみに、なーやんこと、竹内ななみさんにお願いしてみても面白い1万円選書になりそうな気がしています。

 僕としては、一度、自分でもチャレンジしてみたいですが、同じくらい依頼してみたいのが1万円選書だと思います。

 
 今回は、鎌田さんの読書家であり、発信した際の表現の豊かさや浸透度について考えてみましたが、皆さんなら4ページでどんな企画を考えますか?

※ これまでの鎌田さんについて考えたマガジンはこちら!

https://note.com/oboeteitekure913/m/m0d193ea4aab6