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2019年4月4日木曜日

おすすめの映画と本⑨「クリードⅡ 炎の宿敵」



一つの物語の終わりと始まり


 昨年の春ぐらいに、僕と友人の間で一大ロッキーブームが巻き起こりましてね。
 ロッキーの過去作と「クリード チャンプを継ぐ男」を観まくって、感想を語る、ということをしていたんですね。
 そこまでは、良かったんですよ。
 最初のうちは、ロッキーの生きざまに共感だったり憧れを覚えたり僕もしましてね。特に「ロッキー1」の彼の序盤の面倒くさくねじまがったところや、それを乗り越えて自分を証明するところなんて、本当に良くてね。まだ観てない人には是非観て欲しい1作です。

 ただ、徐々に、興味の対象が、ロッキーからエイドリアンの兄、ポーリーに移り始めたぐらいから雲行きが怪しくなりましてね。会うたびにお互いのことを「ポーリー」呼ばわりすることが増えていきましてね。
 多分、その友人へ2018年一番使ったツッコミが「ポーリーじゃねえか!」になるぐらいですから、推して知るべしです。2019年になっても、映画の登場人物を説明する時に「いや、ポーリーみたいな奴でさ」で通用するぐらい現役で活躍しています。ちなみに、ポーリーのことは僕も友人も大好きですよ。良さが分からんという人は3年ぐらい付き合ったら分かります。

 さて、ポーリーの話がえらく長くなりましたが、今回紹介する「クリードⅡ 炎の宿敵」は、アポロ・クリードの息子であるアグニス・クリードを主人公にした「クリード チャンプを継ぐ男」の続編でしてね。
 今回は、「ロッキー4」でクリードの父であるアポロを、リング上で殺したドラコ。その息子であるヴィクターと戦うぞ!というストーリーからして、盛り上がる要素だらけなわけです。
 えっ、「ロッキー4」のネタバレ?
 大丈夫ですよ、ロッキー4の予告でアポロ死んで、ロッキー勝ところまで流れてるし。何より、面白い映画はオチまで分かってても面白い。
 ちょっと予告を観てみましょう。
 

 予告で流れていた通り、クリードが父になるということがまず大きなトピックスとしてあるんですね。父としての自分の無力さを感じつつ、彼がボクシングジムに子供を連れていくところに注目して欲しいんですが、窓ガラスに誰が映っているか。この映画の名シーンの一つだと思います。

 そして、みんな大好き特訓シーン! 
 今回もあるんですよ。いったい、ロッキーはいつの間にこんなところを見つけたんだ、というところで修行するんですが、ここが凄い好きなんですよ、BGMになってる「Runnin」は人生における危機的状況の今、めちゃくちゃ聴きながら試験とか面接受けに行ってますよ。

 さて、こっから先はネタバレ全開でいくんで、是非、観終わってから読んでください。

 
 この映画の一番好きな場面は、ロッキーの最後なんですね。
 「お前の時代だ」とクリードに言って、長年会っていなかった家族のところへ行くロッキーのシーンが泣けましてね。まず、電話で何を話せばいいか分からずにかけようとして切ってしまうというところから、勇気を振り絞って会いに行くロッキー。7年間家族と会っていなかった僕もその気持ちは凄く共感しましてね孫や息子に迎え入れられて、良い終わり方だなあ、と感じましたよ。

 そして、ドラコ親子。
 敗者がその後、どんな辛い暮らしを送ってきたのか、どれだけの時間ひとつの出来事を引きずってきたのか、を痛いほど我々にぶつけてくるんですね。
 完全に復讐の鬼と化したドラコだったんですが、最後のトレーニングのシーン。
 僕が観に行った劇場では、すすり泣く声が。
 なんなら、もっと前のタオル投げたところで、僕は泣いてましたよ。
 ああ、間接的にだけど、ドラコはロッキーに勝ったんじゃない、と思いもしましたしね。一緒に映画を観に行った友人は、「あの試合はどっちにも負けてほしくなかった」と言ってましたが、まさにそうでね。クリードも前作同様、死の淵を彷徨うことになります。前作は一瞬、父アポロが映りますが、今回は意識の舞台に出てきたものは…。余談ですが、僕は審判の靴がアポロの靴だと思って、「おおっ、アポロ!」と一瞬勘違いした口です。

 止まっていた2つの親子(クリード入れたら3つ)の時計の針が動き出す瞬間を見せられた素晴らしい映画でした。

 まあ、なんだ、長々と書いたけど、ポーリーは出てないんですよ(振り出しに戻る)。
 ロッキーシリーズをまだ観てない人は是非、観ていただいて、この「クリードⅡ 炎の宿敵」に辿り着いてください。あなたの人生で、重いパンチを喰らわされた時、立ち上がる力をくれる映画です。