その好奇心は正しいのか?
好奇心というのは良い方に働くこともあれば、悪い方に傾くこともあります。
良い方に働く場合は、学術的な発見であったり、技術の革新であったりなんですが、悪い方に働くと、ストーカーからのサスペンス映画の犯人へという道になることもあるんですね。
「Is that your secret」は、簡単に訳すと「あなたの秘密」という意味になります。
まず、歌詞の世界を見ていきましょう。
最初はサビから始まりますが「Is that your secret?」「君のsecret」と相手の女性の「secret」が強調されます。そのまま1番を見ていくと、「いなくなる前兆は」 、「タクシー拾ってどこかに消えてく」「夜と朝の隙間へと吸い込まれる」という内容です。
どうやら相手の女性が夜に抜け出している。何か秘密を抱えている。そして、1番のサビの最後に「どうして秘密に 惹かれるのだろう?」と主人公が秘密に惹かれていることがわかります。
続いて2番ですが、「何事もなかったようにこの場所に戻るだけ」「少し乱れた息遣いが物語る"訳あり"」「『まだまだ夜は長いわ』なんて」「明かされないミステリーに巻き込むのか?」と「秘密」の断片だけが出てくるんですね。
ここで注目したいのは、2番のサビは「Is that my secret?」と「your」から「my」と自分も秘密を抱えることを表す歌詞になっています。とどめに「誰もが一つは 隠し事がある」となります。大サビの前の「光だけじゃない 愛は幻」と実体のない「幻」という言葉から、「なんらかの裏切り行為があったの?」と暗示してきます。で、大サビはもう一度1番のサビに戻ります。
整理していくと、こんな感じで読み取れます。
女性「何か秘密を持っている」
男性「女性の言動を疑っているという秘密を持っている」
そうすると、「愛は幻」という信頼関係が崩れている歌詞も納得です。
1番と2番で秘密を持っている人間が逆転するというのも良いですね。
同じ秘密を持つ側になるというか。
うーん、これは付き合いが長くなればなるほど、夫婦やカップル関係で起こる危険が多い現象ですよね。感情に流されてしまって、秘密を抱えてしまうというのは。僕の願いとしては、この女性が実は、夜の街を守るヒーローで、男はずっと疑っていて、女に付いてきて、なかなか女がヒーローに変身できない、というヒーローあるあるにならないかな、と思います。そしたら歌詞の中の「少し乱れた息遣いが物語る"訳あり"」も納得なんですけどね。まあ、歌詞の中にショッカーもテレスドンも出てないですし。「タクシー」がせめて「レオパルドン」だったらなあ。
と、もうそんな馬鹿な妄想をしたくなるぐらい、パートナーの秘密を疑い始めたら、しんどいわけです。本当は不幸な秘密なのに知りたくなるという。特に向こうがヒント出しまくってる場合は、別れの匂いもしてきますしね。この曲の女性目線から男のことがどう見えているのか、という歌詞も読んでみたいですね。
さて、この歌詞の世界を踏まえておすすめしたいのは、「SKE48 MV COLLECTION ~箱押しの中身~」です。
まずはこちらのMVをご覧ください。
https://youtu.be/kJ3soGJk8kI
サスペンスでしたねえ。
映画秘宝のギンティ小林さん風にいうと、「ナメてたアイドルが殺人マシーンならぬ追跡マシーン」MVでしたねえ。
今回MVを撮った二宮“NINO”大輔監督なんですが、SKE48だと「GALAXY OF DREAMS」や「青春カレーライス」を撮ってらっしゃる監督なんですね。我らが三浦大知の「EXCITE」もこの方が撮ってらっしゃいますね。カメラを人間に固定して、主人公の視点でMVの世界が進んでいくわけです。しかもここぞというところはスローを使ってメンバーの表情を見せます。
さて、このMVですが、まずチームEメンバーが周りを囲む中、めちゃくちゃSっぽいさーなんの笑みのカットで始まります。1番では主人公が港やその付近らしき建物を逃げまわってて、「なんで追われてるの?ザフトのモビールスーツでも盗んだの?」と思うぐらいなんですが、すぐに原因がわかります。チームEのメンバーをカメラで盗撮していたようなんですね。笑顔でサロンを出るなっきーとるみ。カフェで嬉しそうにメニューを選んで座席に座るだーすー、楽々、真木子。ボーリングに興じるあやちゃん、めいめい、ATMさん、谷、菅原、花音。街を楽しそうに歩くれお様、どんちゃん、谷。で、ここで急にれお様、めいめい、なるちゃん、どんちゃんが車を覗き込むカットが入ります。そして、メンバー全員とすれ違った時、全員が振り返ってこっちを見ているんですが、誰一人として笑顔を見せていない。
サビでは既に追われ始めています。ここのBGMが「ルパンⅢ世」のテーマにしてたら、愉快なんですが「シークレー、シークレー」と「海をよこせ」と聞こえかねない不気味なサビが続きます。で、結構、メンバーが捕まえかける描写が出てきます。しかし、そこはなんとか振りほどいて逃げてるんでしょうね。
2番からは、完全に主人公はメンバーに気づかれています。
まず熊ちゃんがすれ違いざまに何か罵倒する言葉を言っています。たぶん、ナ行はサ行で変換されているんでしょうね。
次にファインダー越しにるみたちを見ているんですが、メンバーは盗撮に気づいています。楽しそうな表情からの冷たい表情に変化するわけです。
で、ついに家を突き止められたのか、なんとドアの覗き窓の向こうにはなるちゃんが!
エレベータでメンバーとばったり、みたいなことがあって、最終的に夜の倉庫らしきところに来るわけです。夜の倉庫といえば、みんな大好きファン・ジョンミン主演の「新しき世界」の拷問シーンですが、一体に何が!とみてみると、さーなんが震えて縮こまっているではありませんか。と、振り返ると、鈍器を持ったあやちゃんが!振り下ろされて、気を失います。
再び、「逃げてたあの頃」が走馬燈のように甦るのですが、ここでのジャンプ飛び移りの数々がなかなか凄いんですね。特にホテルなのかホールのロビーみたいなところでのジャンプは「さ、真田広之なのか!」と驚くぐらいです。で、なるちゃんのライダーきりもみシュートを喰らい、なんか体育館みたいなところで、じりじり追い詰められ、再び倉庫に戻ります。
ここからのメンバーの攻めが怖いわけです。
さーなん「頬杖でニコニコ」
めいめい「ビンタ」
菅原「ビンタ」
なるちゃん「左からのビンタ」
鎌田「顔を起こして不気味ににっこり」
あやちゃん「ボディに一発入れている?」
谷「ポンポンと叩いて起こす」
だーすー「手を握って語りかける」
すーめろ・花音・楽々・熊ちゃん「睨む」
るみ「バックで叩く」
めいめい・れおな「ざまあ、みたいな笑顔」
最後はさーなんがカメラを手で隠して終わります。
歌詞と同じように主人公は秘密を追う側だったのに、気付いたらメンバーに追われて捕まり、誰も助けのこなさそうな「秘密」の空間で出来れば体験したくない報復タイムが始まります。
このMVを繰り返しみている時、ずっと「僕、なにも悪いことしてないのにな」と思うぐらいメンバーの不機嫌顔やS的な顔が、観られるます。メンバー同士で喋っている時の笑顔からの冷たい視線。普段、笑顔が多いだけに、こういう心の底から嫌いみたいな顔を楽しみたい人にもおすすめですね。逆のギャップというかね。「めちゃめちゃ優しい人たちが不意に見せた 厳しさのせいだったり」するんでしょうね(と幽遊白書でごまかしたり、ありがとうございーます)。
で、このご時世、一億総文春化なんて言われていますが、「あっ、SKE48のメンバーだ」と後を付けたり、隠し撮りをしたりだとか、こういう好奇心の使い方は間違っているわけです。有名税とかいうひどい言葉もありますが、メンバーのプライバシーは、守り続けてほしいところです。ある意味、追われる側のメンバーの逆襲のようにも見えますね。「撃たれる覚悟のあるやつしか、撃ってはいけない」のようなメッセージを感じますね。でも、秘密には惹かれてしまうという堂々巡り。節度は守って、メンバーのSNSとかモバメで楽しみましょう。
あの後、MVの主人公はどうなったのか。
何でもやりすぎはよくないですね。