謎解きはダンスの後で
※今回の記事は「それでも彼女は」のネタバレに触れています。そういうの嫌っていう方はご購入後に読んでくださいませ。メンバーが握手会などで色々なコスプレをしてますが、個人的には男装と映画的なコスプレが好きでしてね。中西チームSの「奇跡は間に合わない」とか最高です。
で、映画的なコスプレというと、少しぼんやりしてますが、例えば、「ホラー映画」とか「恋愛映画」とかそういうジャンル物というんですかね。
今回、紹介する「それでも彼女は」は48グループの大人選抜で組まれたユニットです。ミステリー映画のようなMVになってますよ。
ちょっと聴いてみましょう。
うーん、ホテルでの殺人事件ですね。
センターを務めたゆいりーの警察役がホームズっぽくてカッコいいです。
先に歌詞の世界を見ていきましょう。
特に「彼女」が想像しにくいという方はかおたんを想像してください。
「最後に存在が目撃されたのは 誰もが絶望したあの時代」
ということは、今は居ないのか。
しかも、そうとう暗い時代のようですね。
「傷ついた人々は 生きる意味 失って 広場の片隅でじっと固まっていた」
「生きる意味を失う」というのは、相当ですね。
戦争の後だったり、震災の後だったりを想像してしまいます。
「それでも彼女は歌って踊り続けた 悲しみを振り払うように それでも彼女は諦めたりはしない ふいに希望が見えた気がした どん底にいても何か信じれば 頭上には限りない空が広がってる」
1番のサビは、彼女の歌と踊りが人々の希望になっていくところが描かれています。人々が絶望しても「彼女は諦めたりはしない」わけです。この辺りは、48グループの被災地訪問も連想してね。「頭上には限りない空」とかもまさにそうだな、と。2012年のドキュメンタリー映画を観ていただくと、まさにそんな風景が広がっています。
「いつしかあの人は英雄と祀られ 多くの若者が集まった」
この「あの人」というのは「彼女」ではなさそうですね。「彼女」だったら、「いつしか彼女は」と書けば良いわけですから。「彼女」に読み替えたら、後ろの歌詞が握手会みたいにも読み取れますが。
「誰もみな問いかけた 今 何をするべきか? 答えが見つからぬまま路頭に迷う」
「今 何をするべきか」は自分で決めるしかないことですよね。
「英雄」と呼ばれた人にどんどん人が集まって聞いているわけです。
これは結構怖いことで、思考を止めたらだめなわけです。
日本放送の吉田久則アナウンサー風に言うとドント思考停止ですよ。
オードリー若林風に言うとドンしこですよ。
「それでも彼女は舞台に立ち続けた ただ単に立ちたかっただけ それでも彼女はやりたいことをやった 自分の意志が大切なんだ ツイテナイ時もツイテル時も しっかりと踏ん張ってそこに立つしかない」
周りは人の意見に流されているけど、「彼女」はそうじゃないわけです。
自分の場所を知っている。どんな時でもやることは変わらない。
やりたいことだけやるわけです。
「風の向きを感じて 右へ左へ 合わせるよりもブレない方がいい」
自分の筋を通すわけですね。「彼女」の場合は歌って踊ることですね。
「彼女の名前は歴史に残っていないが 人々の記憶には残る」
「英雄」が「彼女」ではないと判断したのは、この歌詞からです。
「戦火に焼かれた広場のその真ん中 自分の場所を守っていただけ」
ここで「絶望した時代」というのが戦後だったのか、というのが見えてきます。
絶望した人々に希望を音楽で希望を感じさせるというのは、先日観た映画「この道」でもありしてね。絶望した心を豊かにしてくれるものがある。それが希望や未来を連想させる。逆に音楽やダンスが無くなったら、いよいよかもしれませんね。
最後に1番のサビを大サビに持ってきて終わります。
歴史に名前は残らない、決して「英雄」とは言われないけれど、人々の心を救った「彼女」。我々は実際に戦争を経験していませんが、心の中が絶望という戦火に包まれる時はあります。そんな時に希望をくれる「彼女」が皆さんにもいないでしょうか。僕は若い頃はそれが好きなロックバンドでしたし、今はSKE48です。前職でイライラしてた時に「コップの中の木漏れ日」を聴いてよく浄化されてたもんですよ。SKE48も歴史という大きな時間の流れには残らないかも知れませんが、我々の人生には大事な記憶として残っているはずです。大人選抜なので、踊り続けた彼女たちが唄うからこその説得力もあったと思います。
さて、今度はMVですね。
これが素敵でね。
まずは、ホテルで悲鳴が!
コンチネンタルホテルで殺しは禁止だ!(映画「ジョン・ウイック」の観過ぎ)
この時、ピタリと止まるゆいりーがカッコ良くてですね。
まずは、遺体発見だ!
容疑者は15人。
ここから人物紹介が始まりますよ。
まずは、警察役のゆいりー。細かく設定が書いてるのもいいですね。アウトローなんですね。ジャック・リーチャーかな?
尋問が始まりますよ。
綾巴は副マネージャー(副支配人)。野心家でテレビショッピング中毒って、滅茶苦茶怪しい。
みなるんは、受付だ!このホテルの影のボスらしいですね。怪しい。
さりーは、ベルガール。テクニシャン?怪しい(強引)。
なおちゃんはロッカー。器械音痴のロッカー。怪しい。
15人みんな怪しいわけです。
何故か、歌とダンスだ!操作しろよ!てか、そこ人死んでなかった?
さりーもノリノリですよ。
みなるんのゆるキャラ感。
事件は昨夜に戻りますよ。いったい何があったんだ。
マネージャー、ノリノリじゃないですか。
肖像画も歌いだすという話ですよ。
再び尋問開始。ゆいりーの目つきがカッコいい。
ところがみんな怪しい。何かヒントはないものか。
ハゲのマネージャーにいったい何が。
いよいよ真実が明らかに。
その前に歌って踊ろう。
結局誰が殺したのか…。
なんとマネージャが目覚めます。寝てただけかい!
事件を解いたゆいりーは去っていくのでした。
この遠くからの引きのショットがカッコいい。
いやあ、品の良い映画を見させてもらった感じがして好きでしてね。
「本店のカップリングまでいちいちチェックしてらんないよお。今回、だーすーとまーやんだけだし」と思ってましたが、やはり良いものは良くてね。侮りがたし!と「るろうに剣心」の佐渡島方治のごとく、後悔しましてね。栄メンの新しい一面が見られつつ、素敵なメンバーの発見がありますね(今回であればゆいりー)。
今後も潤沢な予算を使ってジャンル映画ものMVもたまには撮ってほしいですね。「アクシデント中」みたいなのとかもね。とにかく良作だったので、おすすめ!
ジャンルは違うけど、こっちは探偵物の「DADAマシンガン」の記事はこちら
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/11/dada.html
(AKB48 「NO WAY MAN」収録「それでも彼女」はから引用)