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2019年3月9日土曜日

おすすめのアニメソング②「Still Still Still」



過去と未来が秒速5センチメートルで


 皆さん、「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズは観ていましたかね。
 僕は「薄桜鬼」のシリーズ関連が一旦ストップしたタイミングで観始めましてね。
 毎週楽しく観たもんですよ。
 いつか、終電を逃して瓢箪山駅で降りた時に、当時、額田駅に住んでいた友人を電話で
友「考えてる」
僕「暇はないぜ」
友・僕「誰かが読んでる!」
と呼び出して、カラオケボックスで朝までひたすら「マジLOVE1000%」を歌い続けるという奇行に出られたのも今、考えたら若さゆえでしょう。

 さて、そんな「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズなんですが、別にCDやDVDは買わずにゆるく楽しんでいたんですね。ところが、2012年から13年に発売されたシャッフルユニットの曲が抜群に良くてね。ちょっと聴いてみましょう。


 どれも良いんですが、最後の「Still Still Still」が一番好きでね。
 今日はこの曲を考えていきたいと思います。

 まず、歌っているのが谷山紀章、宮野真守というどっちも歌手活動をされている二人なので、抜群にうまい。

 歌詞の世界を見ていくと、別れの歌なんですが、もう別れの寸前で今までの思い出をたどっていくんですね。写真のアルバムを「ショートフィルム」とたとえることで、「フィクションだというのかい」が生きてくる。
 サビ前の思い出の振り返りが本当に良くてね。1番で春と夏。2番は秋と冬なんですね。特に僕は「落ち葉をふんで曲を作ったね」が好きでね。よっぽど仲良くないと、落ち葉踏みで盛り上がれないですよ。曲を作る人が主人公かなとこの辺りで連想されます。
 
 サビでは自分の思いとは裏腹に「君」は行ってしまいます。
 ここで、「予想外れの雨」のせいで、「秒速5センチメートルで花が散って」いきます。自分の予想外れのことが起こったせいで、花が散って行く。秒速という決して早くはないスピードなんですが、確かに進んでいる。散る花というのは桜をイメージさせますが、皆さんはいかがでしょう。もし、桜だとしたら、1番の思い出がゆっくりですけど、変わっていくんですね。ただ、大サビの歌詞を考えると桜は難しいか、とも思います。冬の花ですかね。とにかく時間は過ぎていく。

 それが2番の歌詞にも見えて、主人公の「僕」は、「君」の未来を思い浮かべます。多分、髪とか服の趣味も変わって行くんだろうな、と。この後の「今以上綺麗にはならないで」という「エゴ」を感じますが、この「過去」でも「未来」でもない、今をベストにしといて、という思いは、別れ行く人の気持ちとしては、大いに共感できますね。

 「君」の未来を想像しているにも関わらず「僕」自身は、「あの瞬間」に何を言っていればよかったのか、と過去のことばかり考えているんですね。なんで未来のことを考えられないのかというと、多分、その未来には「君」がいないんでしょうね。

 サビ前では、そんな素敵な思い出を忘れようとしても無理だと。だって、その時の愛は本当だったんだと気づきます。「嘘じゃない」つまり、1番の「フィクション」ではないと。

 2番のサビは、「四季も何ももういらないのに」時間だけは過ぎていこうとするんですね。かと言って出会う前にはもう戻れない。空を見上げれば「今」はそれでいいとするんですね。やはりここでも、別れる前のあと少しの1秒1秒の「今」が貴重なんですね。

 いよいよ大サビ前なんですが、ここが良くてね。
 彼女の未来の幸せを願うんですが、「思い出がまた邪魔をするから歌や詩にできない」という部分。「君」との日々を「歌や詩」という自分の創作物にできない。創作物という「フィクション」に出来ないんですね。だって、過去の愛は本当だから。創作物にすると変わってしまうかもしれないから。ここで1番の歌詞とリンクしてきます。もう、ここの表現が滅茶苦茶好きです。

 そして、大サビ。
 雨がやがて虹へと変わっていくことで、少し明るい予感がします。
 秒速5センチメートルで、「春」がやってくるということで、ここからも君のいない新しい季節が来ることを感じさせます。

 「サヨナラアリガト」を最初と最後に挟むことによって、本当に彼女が言った一言の間の時間に頭の中で廻ったことかも知れない。本当に数秒の世界かも知れない。花が「僕」の目線から見ると、ゆっくりと映ったのかもしれない。そんなことを連想させられる1曲です。

 曲もとっても始まりと終わりのメロディが同じというのも、思い出の邂逅と終わりを感じさせられる気がして良くてね。

 2次元アイドルの羨ましいところとしては、卒業がないじゃないですか。

 けれど、僕がいつも想像するのは、歌っている四ノ宮那月か一ノ瀬トキヤのどっちかが卒業コンサートをする時のアンコール明けの1曲目で、メインステージから那月が、反対のサブステージからトキヤが登場。外周の通路ステージを歩きながら、二人は歌い。ど真ん中のステージで合流。二人でメインステージまで歩いていきます。やがて、卒業する方が上空を移動するムービングステージに乗ります。「歌や詩にできない!」のところは残る方のメンバーが絶叫。ムービングステージはやがてバックステージヘ。「春を連れてくる」で花びらがぶわああ!みたいな演出。曲終わりに一度振り返って消えていく。みたいな演出をいつも妄想してます。

 本当に完成度が高い曲なので、是非一度聴いてみてください。

 前回の「Memories」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/memories.html

 「おすすめの映画と本 薄桜鬼」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/blog-post_57.html