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2019年1月9日水曜日

本性①

4分22秒の告白


 さて、今回紹介する「本性」なんですが、showroom recordsから期間限定で発売している「Dear 君とボク。」に収録されている曲です。2019年の1月9日までの期間限定販売なので、まだ手に入れてない人は、ちょっと急いだ方が良いかも。


 この曲、DVDが付いていないので、各自、唄っている奈和ちゃんを想像して楽しんでください。

 「本性」はアルバムの1曲目にあたるんですが、静かに始まり、徐々に盛り上がっていく構成になってましてね。凄く刺激的な歌詞で、普段のSKE48では聞けないフレーズも多くてですね。
 ザ・テレビジョンさんのインタビューを読むと「ちょっと闇があってカッコいい曲が欲しい」とのリクエストが奈和ちゃんからあったようなんですね。そして、作詞を担当したオリエンタルラジオの中田敦彦さんとのディスカッションを経てこの曲が誕生したそうで。「この言葉は使いたくない」とか「奈和ちゃんが言いたいのはこういうことだよね」とか、かなり綿密な作業が行われていたようです。深作監督の「赤穂断絶」でもこれが行われていれば…。


 まずは、歌詞の世界を見ていきましょう。
互いにとっての理想を 押し付け合うような時間が 最近はずっと苦痛なんだ
 奈和ちゃんのインタビューを読むと一つのカップルの関係として語っているようです。紅條の悪い癖で、つい「アイドルとファンの関係?」と穿った見方をしてしまいます。次のメロディではお気に入りだった絵を不燃ごみとして捨ててしまいますよ。物の見え方が変わってきているわけですね。

 愛や恋もすべては利害関係の上という、そんなこと言うなよ、ということが続きましてね。相手からもらったであろう美辞麗句も虚しく響くだけなんですね。なんというか、もう別れそうな気配がしない?

白く綺麗な豪邸が 内側から腐り始めてる
 「白く綺麗な豪邸」というのは、美辞麗句で作られた二人の関係とも取れますし、自分自身とも読めますね。

シビアな損得勘定を 抜きにして世界を語るのは不毛だよ 笑うのは僕だ平伏して泣け
 
 先ほどあげた恋愛関係に利害関係が含まれるように損得勘定も世界を包んでいる。そして、この後、「笑うのは僕だ」とあるので、有利な立場にあるんですかね。なんか、凄い支配欲が強そうな人ですね。

剥きだしていたい 愛してよ 退屈で死んでしまいそう
 自分の本音を剥きだしていたい、ということでしょうね。そんな自分を「愛してよ」と。もう「理想を押し付け合う時間」は退屈なわけですね。なんか、カップルで喧嘩した時の「じゃあ、本音を言うけどさ」みたいにも聞こえてきます。

 2番ではですね、神経を逆なでされたり、気力を削がれたりでイライラしているわけです。

黙れよ虫けらども

 この「虫けらども」というフレーズがなかなかSKE48の曲では聞けませんが、アイドルの口から出るとわりと刺激的ですね。自分をイライラさせる原因はこの「虫けらども」のようですね。「虫けらども」って、本当に最近多くてですね。紅條みたいな小鳥と歌が大好きな気のいい市民でも「うわあ、こいつ虫けらみてえだな」と思うことがあるんですから、芸能人になれば、うじゃうじゃ出てくるんでしょうね。あと、この歌詞の男の選民意識高いなあ。

 そして、単純労働なんぜ反吐が出るぜ、と来るわけです。
 君、今すぐ映画「パターソン」を観なさい。何気ない日常にも変化はあるぞ。

全部を出したい ぶちまけて 軽蔑されてもいいから
 人間生きてたらこういう時ってありますよね。しかも、一番親しい人が相手となると、勇気がいりますが、この曲の主人公は「軽蔑さてもいいから」伝えたいぐらい言いたいんですね。

うしろめたさが風になびく どこで間違ったのか どちらが被害者かも分からずに今
 この「うしろめたさ」は相手に対してでしょうね。「どちらが被害者か分からず」ということは、お互いに悪い要素があるんでしょうね。最初の「互いにとっての理想を押し付け合うような時間」が関係していきます。悪いのは剥き出しの僕?理想を押し付ける相手?

積み上げたものが全て 砂上の塔のように傾いてる 花瓶がどこか遠くで割れる
 二人がこれまでの関係で積み上げたものが危険な状態になっていますね。「遠くで割れる」花瓶の音も不吉で二人の関係の亀裂を想像させます。

炎に焼かれて笑え あるがままであろうとする不条理を 抱いて地獄の淵を這おう
 この炎が地獄の炎なのか、だとしたら1番の「笑うのは僕だ」の意味が大分変ってきます。一瞬Twitterの炎上のことかなあ、とも連想したんですね。でも、炎上だけだと弱いなあと。「あるがままであろうとする不条理を抱いて」なので、理想とは違う本当の自分であろうとすると、筋道が通らなくなってしまうから、それを抱いたままで我慢しているのか。だとしたら、「地獄の淵」とは何も本音を言えないこれまでの生活なのか。我慢した地獄の炎に焼かれて僕が笑っているよ。
 それとも、本音を言った後の現在なのか。どちらとも読めますが、紅條は一つ前の歌詞から後者ではないかと考えてます。意見がある人、教えて!

剥きだしていたい 愛してよ これがこの僕の本性

 「これ」が包括する内容が凄い! 
 国語のテストで出たら答えを作るのが大変そうな「これ」です。
 本姓をぶちまけた後、果たしてこの二人はどうなったんでしょう。
 その本性を踏まえた上で愛せるのなら、この二人には怖いものなんてないんじゃないでしょうか。
 付き合ってからの短い間は、「理想を押し付け合う時間」があるかもしれませんが、徐々に時間が経って本性を見せ合う瞬間ってきますもんね。

 奈和ちゃんが「本性」を見せる瞬間もこれまで何度かあったかも知れません。
 紅條個人としては、総選挙のスピーチでお酒好きだったのね、ちょっと意外!とかですかね。あとワードセンスが凄まじいなとメンバーのあだ名を聞く度に思います。ファンもアイドルも「本性」は簡単に見えません。でも、一瞬でも相手の「本性」を知れたら知ってもらえたら、それは怖いけど、乗り越えられたら幸せかもしれません。それに、相手はこっちが思っているほど、厳しくはないと思います。自分が好きになって、自分を好きになってくれた人なんですから。
 


 歌詞の世界を見た後は、いつもは映像に注目するんですが、今回はないので、メロディーについて。作曲は観覧車と同じJUVENILEさん。音楽センスゼロの紅條なので、詳しいことは語れませんが、この曲で鳥肌が立つぐらいスリリングに感じるのが、「積み上げたものが全て~」のメロディ。もうね、このピアノのメロディと奈和ちゃんの歌い方がたまらない。歌詞の危険な状態と相まって、スリリングに聞こえます。

 この曲の良いところとして、もう一つ上げたいのが奈和ちゃんの歌っている表情が見えてきそうなこと。たとえば「黙って不燃の日にだしたんだ」の歌い方とか。

 是非、唄っているところを観たいので、ソロコンサートもお願いしたいですね。東名阪ツアーとインタビューでも書いていたので、是非実現してほしいです。個人的には奈和ちゃんのカバー曲とか聴いてみたいです。また、奈和ちゃんのこの曲を他のメンバーがカバーしてるとことかも観たいですね。秋元康世界とは違う要素が加わることでここまで刺激的とは、と思わせる1曲でした。
(「本性」より引用)



同じアルバムの「観覧車」の感想の記事はこちら。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_30.html

奈和ちゃんが歌った「10クローネとパン」の感想の記事はこちら。
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/11/blog-post_30.html