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2020年9月9日水曜日

12周年公演に向けて⑧「ぴよすは間に合うのか?」

 RESETは可能なのか?




 いつからか失敗した人に当人以外が石を投げて、自分たちはまともな側だということを確認する文化がSNSやワイドショーを中心として生まれてしまったと思います。詳しくは宇野常寛さんの「遅いインターネット」を読んで欲しいが、条件反射的に誰かを叩くのではなく、じっくりと情報と向き合うこと、これは僕が目指すブログの世界観の元になっています。
 

 芸能界には多くの才能が溢れています。
 若い頃から、芸事に親しんでいるおかげで我々とは違う豊かな表現力や、感受性を持っています。その反面、我々が経験しない辛いこともあると思います。そのせいで、時には心が弱ってしまい、ある者は引退したり、ある者は道を踏み外してしまいます。
 個人的には、元ジャニーズの田中聖の役者としての才能の高さは、本当に素晴らしくて時代劇の「必殺!」シリーズに出ていた時は、久々にこんなに時代劇にハマる役者が出てきたと嬉しくなったものです。その後、あることをきっかけに芸能界から彼はドロップアウトします。
 今、彼は自分がやったことを反省し、音楽の道を生きています。ライブハウスに自分で機材を持ち込んで、地下アイドルやまだ無名のバンドたちと混ざって歌い、物販にも立つ姿は、かつてドームで踊っていたアイドルとは遠い姿でしたが、同時にとても良い笑顔だったのを覚えています。

 一度、失敗して0からのスタートをした者を応援する人達が、まだちゃんと残っていて、悪い道に流れずに生きていく。
 この難しさは本人の意志もさることながら、道を踏み外さないで良い何かがあればと思います。田中聖にとって音楽がまだ残っていたように。

 何の話がしたいかというと、都築里佳ことぴよすのことです。
 彼女は4か月ほど前にSNSでHKT48に対する暴言を誤爆してしまい、SNSアカウントが停止になると共に、彼女の元には様々なメッセージが届きましたし、彼女を知らない人たちが好き放題におもちゃにしました。あいつは悪いやつだから、何してもオッケーみたいな考えの人たちですね。
 彼女は以前も後輩の悪口と思われるツイートをしてしまったことがあります。
 ここから「都築里佳」って性格わるいよね、で終わるのか。
 なんでぴよすは、こんなことを言わずにいられなかったのか、誰も彼女を止められなかったのか、他に不安や不満を吐き出すものはなかったのか、とかですね。勿論、ぴよす自身も悪いのは大前提ですけどね。


 ただ、一度失敗した人間は二度と幸せになったらいけないのか、という視点にどうしても僕は立ってしまうんですね。文句を言われたHKT48のファンの方々からしたら、「一生許さん!」という人もいると思います。僕も某女優がSKE48の名前を紅白歌合戦で言い間違えた女優に「お前の代表作は一生ヒットしないし、雑なドラマの依頼しか来なくなるだろう」という呪詛の言葉をかけた経験があるだけに、自分たちの推しをブスと言われたことは、なかなか許せないと思います。ただ、謝罪して反省した彼女を遠いいつかで良いから許して欲しいな、と思ってもいます。

 さて、ぴよすの魅力といえば、圧倒的な演技力だと思います。
 曲の世界に没入して、自分でも泣いてしまうこともある。
 ダンスのスキルも高く、歌唱力もある。
 本当にSKE48の中でも実力はのメンバーであると思います。
 勿論、性格の「めんどくささ」もあると思いますが、それも彼女の個性ではないか、と僕は思っています。少し厳しい書き方をすれば、その「めんどくささ」の幼稚な面が出てしまい、誤爆があったのではないかとも分析しています。
 

 今回の12周年公演は先日の29時間配信に続き、多くのSKE48ファンが観ると思います。今、公演等で少しずつ活躍している彼女が果たして、ブレイクスルーする再起ができるのか?

 僕が注目しているのは、「RESET」公演です。
 おそらく「制服を着たレジスタンス」を踊る可能性大だと思いますし、奇しくも彼女の境遇とリンクして良いな、とは思います。
 ただ、この公演で「奇跡は間に合わない」を彼女が踊れないだろうか、と願望として思っています。
 そう、彼女が尊敬する宮澤佐江のユニット曲です。
 2016年のソロコンサートの時のように、もう一度、自分を見つめなおして、目指す場所へ向かってほしいな、という願望も込みです。

 また、ぴよす自身が「RESET」をする意味を見出すとすれば、そこも面白いんじゃないかな、と思います。

 でも、「引っ越しました」を歌っているところで、僕もぴよすも泣いている気がします。

 もう一度RESETするチャンスとそれを受け入れてくれる仲間がいるSKE48からは、まだ引っ越して欲しくないな、と願いながら。