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2020年2月28日金曜日

おすすめの映画と本「すみれ色の魔法」

すみれの花言葉


 2020年2月25日に佐藤すみれさんの1stフォトブック「すみれ色の魔法」が発売されました。

 


 こちらの本は、4章立てになっておりまして、第1章で佐藤すみれという人が、今の自分になっていくまで。
 第2章では、伝説や文学作品に登場する「すみれ」の花についてを取り上げ、それぞれの文章とすみれさんがモデルになった写真。
 第3章では、すみれ大好きアーティストの方やお店に会いに行き、写真を撮ったり対談したりという内容になっています。
 そして、第4章では、彼女がこれまで様々なブランドとコラボして作ってきたアイテムの数々が載っています。

 まずは、写真と文章のバランスが抜群に良いんですね。
 写真だらけでもないし、文章が写真の邪魔をしていない。
 おそらく、それぞれの配置を凄く考慮して作っていったんだ、と完成度に驚かされます。
 そして、「すみれ色」ということで、「すみれ色ばかりで、飽きるんじゃないか」と思っていたんですが、同じすみれ色でも色の濃淡があり、全く飽きない。
 
 第1章のアイドルを辞めてから、起業家になっていくまでの物語は、なかなか読み応えがありましてですね。1回、これからの人生が白紙になった状態からスタートして、自分の「好き」ということの為に、進んでいく姿が素晴らしかったです。
 「これがやってみたいなあ」で終わるんじゃなく、その為に行動していくところは、本当に見習いたいですね。

 続く第2章が僕は一番良かったです。
 「すみれ」という自分にまつわる花が登場する伝説や文学作品を並べて行くんですが、世界観と写真が凄く合っているんですよね。
 佐藤すみれさんといえば、洋風のロリータファッションのイメージがあったんですが、和装も似合う。そして、詩歌と合う。中でも、与謝野晶子・与謝野鉄幹夫婦の歌と凄くあっていましたね。
 写真をじっくり見ていくと、百人一種の札や、『みだれ髪』といった本を持っていたり、本が好きな彼女だからこその素敵な世界が広がっていました。
 特に「そや理想こや運命の別れ路に 白きすみれをあはれと泣く身」の写真は、与謝野鉄幹この後の運命を考えると、写真のすみれさんの顔が凄く合っていて、読んでいると涙が出てきました。本当に良い写真です。山川登美子との別れを意味する解釈もありますが、そちらの解釈でも通用しそうな良い写真です。
 また、小林一茶の俳句の写真も良いですね。「にくまれし 妹がすみれは 咲きにけり」という句と表情のバランスが凄く良いです。ちなみに一茶には弟はいますが、妹はいなかったはずです。架空の妹とすみれさんの表情が凄く合っています。
 洋装だと「Angelie Pretty」さんの服を着ている時の顔が凄く素敵でしたね。透明感を感じるというか、これが表紙でも良かったんじゃないか、と思う良い写真です。

 第3章は、現役ロリータ対談が凄く面白くてですね。
 青木美沙子さん、深澤翠さんのお二人がまず、スゴイ美しいんですね。エピソードを聞いていると、服だけでなく、生き方も自分の美学というか芯を持った人達なんだなあ、と感じましたよ。
 対談の中で出てきた「気持ちが楽しくなるコーデ」というすみれさんの言葉が凄く良くてですね。
 自分が着て幸せになる服ってなんだろう、とふと考えさせられましたよ。
 また、鈴木紫帆里、小森美果との対談では、すーめろ時代の彼女の熱さを感じられるエピソードを知ることができます。しかし、この3人が揃うと「チームB推し!」が聴きたくなりますね。
  
 第4章はコラボして創ってきたものたちが登場しているんですが、彼女の意志が普段の生活品や服の中に宿っているんですよね。
 暮らしの中に小さな幸せが生まれそうなものが、沢山載っています。
 特に、シャワーヘッドとかは、毎日使うものだからこそ、ちょっとした変化で気持ちが変わってくるんだろうなあ、と思いましてね。目のつけどころが素晴らしいなと思います。

 いやあ、本当に良い1冊でした。
 とにかく、丁寧。
 すぐにバーッと売れて、ブックオフに並ぶような本ではなくて、充分、クラシックになりうる1冊だと思います。
 もし、またフォトブックが出るなら、第2章のようなアプローチもまた見たいなと思っています。
 
 僕個人としては、佐藤すみれという人を通すと、詩歌の言葉にまた新しい意味を与えてくるのか、という感動を得られた1冊でした。
 もうすぐ、来る春。
 皆さんの毎日の中に、次はどんなすみれの花が咲くのか。
 小さな幸せを感じながら、春を待ちたいと思います。