生きることは食べること、居てもたっても居られず
皆さん、Amazonプライムビデオって、普段観られますかね?
僕は、言うほど利用してなくてですね。
町の映画館やレンタルビデオショップを応援するために、公開中で観たいものはだいたい映画館、住んでいるエリアで上映されていないものは、レンタルビデオショップという感じで観ていたわけですよ。
ところがですね。
現在、ゴリゴリの無職期間に入って、ちょっとした無駄遣いが命取りという「動けなくなる前に動きだ」せなかった感じなんですね。
それでまあ、仕方ないから会費を払ってるAmazonビデオでも観るか、と思いましてね。
僕は特撮作品では、平成仮面ライダー派なので、「仮面ライダーアマゾンズ、なんか評判良いから、観てみるか、なはは」と金曜日の夜に1話をスタートしたんですね。
ええ、日曜日の夜までぶっ通しで劇場版とイベントまで観ましたよ。
とりあえず、未見の方は騙されたと思ってみてください。
【ここからは、ネタバレ全開で語ります。】
いやあ、恐ろしい話でしたよ。
毎回、ドラマの引きが良いから、止まらなくなりました。
まずは、シーズン1から振り返っていきましょう。
正直、1話は色々と話を進めて行く上での土台を作っている感じだったんので、長く感じたんですが、もうアマゾンマンションぐらいから(素敵な名称)、一気にテンションが上がっていきましたね。
シーズン1の迷いながら戦っていく水澤悠と、ひたすらアマゾンを狩っていく鷹山仁さん。この二人とアマゾンズの駆除班の3つの視点が中心となって進んでいきます。
まあ、ハンバーガーが食べたくなりますけど、ハンバーグは暫くいいかな、と僕は思いましたよ、ええ。
マモちゃんが三崎さんの腕を食べてからの、ああ、やっぱりきっかけ次第では一線超えちゃうんだなあ、というそこまで仲間感がたっぷりだっただけに非常に、悲しい気持ちになりましたよ。さらに言うと、これ、悠にも起こるんじゃ…と考えてしまいました。
そして、1期と言えばアマゾンシグマの前原くんですよ。
「あんたは4手で詰む」という決め台詞もカッコいいですし、元々の仮面ライダーアマゾンに近くて、こいつ、どうやって倒すんだよ、と絶望を感じたものです。
さらに、弓削さん演じる連続殺人犯のアマゾンより人間の方がひでえじゃん、というエピソードも印象的でした。こいつ、人間だけど殺すべきでは、という疑問がよぎってしまいます。
最終回のどうかしちゃってる仁さんも最高でしたね。
海辺で暮らすアマゾンの皆さんが、帰っていく姿がとてもシュールでもありました。
この1期のテンション、エンディングで流れる小林太郎さんの「Armour Zone」が毎回テンションを上げてくれるんですよね。ここ数日、「オゥーイエー」と歌いながら過ごしてますよ。
狩る狩られる、食べる食べられる、という関係や、食物連鎖の上に人間じゃないものが来た時の恐怖を感じましたね。人間側で観るか、アマゾン側で観るかで大分感想が変わりそうなシーズン1でした。
そして、シーズン2ですよ。
シーズン1が視覚的に衝撃を与えていくタイプだとしたら、シーズン2は精神的に衝撃を与えていくタイプだと僕は考えています。
最初は千翼とイユの関係を軸に進んでいくのかな、と思いきや、悠が出てきて、視覚が弱まった仁さんが殺しにくるというね。もう1話進むごとに千翼が、後戻りできない地獄へと進んでいく感じがたまりません。
映画のポスターは知っていたので、悠と仁さんは何らかの方法で生き残るんだろうけど、他のメンバーは死ぬんじゃないかな、と予想してましたが、マモちゃんとフクさんのお母さんが死ぬとは。あと、野座間かあちゃんの秘書の人も衝撃でしたね。
アマゾンズって「親子」のドラマでもあると思うんですが、最後の千翼対悠&仁さんの闘いは予想外でしたね。
生きてちゃいけない存在って、あまりにも悲しすぎる。彼がイユを背負って歩いているシーンが印象的でしてね。
最近、散歩する時は「やーがてー、星がふる」を歌いながら歩いて、悲しい気分になっています。
それから、シーズン2を観てからは、ちょっとウォーターサーバーと人の目ん玉は遠慮しとこうかな、と思った次第ですよ。
人間を食べたくなる衝動が、シーズン2ではいよいよ主人公の千翼にまで来てしまったかという恐ろしさと最終的に人間と戦うアマゾンネオ。「俺は生きたい」という切実な願いを容赦なく終わらせるしかない終わりが切なかったです。
いよいよ、劇場版なんですが、脚本が小林さんから高橋さんに代わってどうなるか心配だったんですが、「アマゾン牧場」というアイディアに「いかれてるぜ!」と安心したもんです。
最初から、自分たちは家畜と分かって死んでいくという教育も怖すぎて、しばらくステーキは遠慮しておこうと思った僕ですよ。
まあ、素朴な疑問として、仁さん、どうしてそこに居るの?という疑問はあるんですが、多分、流れ着いたんでしょうね。もう、とことん、仁さんは不幸の発端みたいにされて可哀そうすぎる。ちなみに、アマゾンズを観ていて思うのは、良かれと思ってやったことが最悪の結果に繋がってしまうという恐ろしさがあると思うんですね。いわゆる「不幸エンターテイメント」として楽しむには、あまりにも悲劇性が高い感じなんですよね。
映画の終わり方としては、それぞれ一線を越えた状態で、物語を終えていきます。
「これが鷹山さんだぁ」のぶっちぎり感と「俺の子供みたいなもんだから」という悲壮感を同時に味わうことになるんですから、仁さん完結編としては納得の映画ですよ。
さて、ストーリーも素晴らしいアマゾンズなんですが(今すぐもう1回観たいかというと、話は別だ!)、登場人物も素敵な人が多くてですね。僕は、仁さん、黒崎さん、フクさんのオジサン3強が大好きですよ。
黒崎さんの「い~ゆ~」とか、シャツと手袋の絶対領域とか、実はスイーツ大好きとか、もう、かゆいところに手が届くキャラですね。
「死にたくないと思ったことはあるか?」からの「生きたいと思ったことはあるか?」という台詞はこのドラマを考える上でとても考えさせられる台詞です。
仁さんは、2期で出てきた時のあの笑顔が恐ろしいですね。クラゲアマゾンと出会ってしまった時の「初めて見えなくて良かった」という台詞が凄く悲しい。スペシャルイベントで、感情と逆の演技を心掛けたというのも、あとで見返すとあの時、笑ってたけど本当は、というのが分かっていいですね。
フクさんは、もう「圧烈弾を出せ」の印象が強いんですが、マモちゃんを引き留めなかったことを後悔しているという最終回の台詞も凄く印象に残っています。多くは語らないけど、無言でうなずくのがカッコいいんですよね。
全体を通して、平成ライダー初期にあった「異種と分かり合えるのか?」ということや「自分が生きるために誰かを犠牲にするか?」とか、そういうテーマに10年越しぐらいの正解をアマゾンというフォーマットを使って新しい答えを出したんじゃないか、と僕は思っています。
誰かの命を「食べる」ことが「生きる」ことに直結しているアマゾンの皆さんをみていて思ったんすがね。
食事に1ミリも興味がなくお酒も飲めないので、「古畑前田のえにし酒」の感想を書く時が実は一番苦労する僕も、ちょっとだけ「食べる」ということについて新しい意味を与えてもらえた作品でした。
※ちなみにこの記事の一つ前の「古畑前田のえにし酒」の感想は完全にアマゾンズの影響を受けています。
こういう、素敵な作品だから、みんな観ようぜ!
アマゾン!