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2020年11月1日日曜日

楽しみ方の変化について

何が面白くして何がつまらなくするのか?

 皆さんは映画「ベスト・キッド」を観たことがありますか?
 主人公のダニエル君が、日本人移民のミヤギさんから空手の極意を習い、自分に理不尽な嫌がらせをしてくるコブラ会を倒す、今観ても愉快な映画です(えっ、ネタばれじゃないかって?『関ケ原』では1600年に西軍負けるぞ。『日本の一番長い日』は1945年に二ホン負けるぞ。『マネーショート 華麗なる大逆転』で2008年にリーマンショック起こるぞ)。
 さて、ダニエル君にやられたコブラ会のジョニーがオジサンになった後の人生を描いた「コブラ会」がネットフリックスでの配信が2年前から始まっています。



 彼の価値観は昔と変わらずに、弟子にあたる子に罵詈雑言を吐くんですが、「先生、そういう発言はよくありません」と指摘されて、現代の価値観を徐々に知っていくんですね。
 このドラマを観ながらふと、気づいたことがありました。

 「これ、2019年前半ぐらいまでの僕じゃないか!!」

 どういうことか?
 皆さんの中でアイドルグループの中でこのメンバーは素晴らしい、このメンバーは素晴らしくないという基準は何でしょうか?
 たとえば、僕の好きなSKE48で言えば、かつての僕は「選挙・外仕事・握手」の順で評価していました。
 「おしゆきのTikTokの閲覧数が凄い?それは何の価値があるんだ?どんな外仕事に繋がり、選挙でどれぐらいの層が動くんだ?焼津市の観光にどれぐらいの効果があるんだ?」みたいな観点で観ていたので、これっぽっちも楽しめてなかったんですね。現在、世界中の登録者数で言えば、TwitterよりもTikTokの方が登録者数が多いのに。
 もの凄く古い価値観で生きてきたわけです。

 2020年前半からコロナ禍が広がり、価値観の変化は更に加速していきます。
 コンサートすらなくなり、毎日、配信やブログの更新が中心になっていく中、「あれ、このグループ何が面白いんだっけ?」と更に考えていくことになりました。

 これまでの自分は、あくまでイベントの「コト」としての楽しみ方が中心だったと思います。「総選挙がやってきた、腕がなるぜ」みたいな感じですね。更に言うならば、メンバーの「成長」にプレイヤーとして参加できる楽しさもあったと思います。
 総選挙がなくなって2年経ちますが、時々、グループの序列がガラッと変わる「劇薬」を求めてしまうことが未だにあります。

 でも、そんな刺激中毒の僕が、少しずつ「劇薬」離れできたのが、今の推しメンのおかげで、週に1回更新されるブログがとても楽しみなんですね。
 多分、昔の僕だったら、「なんだブログって?そんなもので何か変わるのか?」みたいな価値観だったんですが、彼女は既にそのブログのセンスで「EX大衆」や「Top Yell NEO」で取材をされています(『Top Yell NEO』さんなんかは4ページも単独で取っていただいてありがたい限りです)。
 ブログというメディアを1週間に1度楽しみにしながらじっくりと読み、「モノ」として向き合い、ブログに自分の解釈を書くという経験をしていきました。この文章はどんな意味があるんだろう。どういうことが読み取れるんだろう、と考えることはアイドルという趣味を楽しむ上では新鮮な楽しみでした。


 Twitterでタイムラインに流れてくるSTUファンの兵頭葵さん推しの方々のツイートを読んでいると、毎日のshowroom配信を本当に楽しそうにツイートしているんですね。また、多くの古畑奈和ちゃん推しの皆さんはモバメの返信などを熱心に呟いています。

 「コト」消費から「モノ」消費として、刹那的に特大の爆発をするのではなく、日常の中に趣味を置いて持続的に楽しむやり方。勿論、この辺りは推しがいると楽しくなる部分ではあると思います。うん、SDGSみたいでいいじゃないですか。うん。

 しかし、9月に発表された「12周年公演フェス」過去に行われた12の公演を現在のメンバーたちが1か月の期間で練習し挑むということは、イベントとしての面白さと過去との接続と再構築という「コト」だけではなく1か月の間に公演フェスとじっくりと向き合えるという「モノ」としての楽しみもあり、新しい何かを感じさせるイベントでした。
 僕もこのイベントを楽しむ為に心を燃やして挑んだんですね(残念ながら、仕事の関係でほとんどの公演は観られませんでした)。

 ただ、イベントが終わり、また日常が戻ってきましてね。
 1か月間、SKE48の12周年公演について書き続けてきた僕は、燃え尽き症候群みたいな感じになりました。
 シングルが出るのは来年だし、これから数か月どうしたもんかいのうと。
 そんな中、ナレッジキュレーターの山口周さんの「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」という著作を読みましてね。
 「技術やデザインはコピーできるが、意味を見つけるセンスは簡単にはコピーできない」という箇所が凄く印象的でしてた。
 物凄く雑に書くと、アップルの商品のデザインは発売当初、凄まじい革新でしたが、時が経つにつれてデザインが類似したものが発売されるようになってしまった。しかし、何かに意味を与えたり、接続させたりすることのセンスはそう簡単には真似ができない、ということなんですね(あまり、上手な説明ではないので是非、著作を読んでみてください)。

 今までは与えられるイベントという「餌」に口を開けて待っていた状態だったんですが、これからは、今あるコンテンツに自分から楽しさや意味を見つけていくフェイズなのかな、と思っています。
 それを考えると、「お前、ブログでよくやってるだろ?」と言われる方もいらっしゃるかも知れませんが、それは無意識にやっていただけなんですね。あるメンバーの歴史を追ったり、肯定したりという記事は多いんですが、「価値転倒」を起こすような意味付けをしたブログはまだまだ少ないと思います。奇しくも五十嵐早香のブログの解説が毎週安定した閲覧数を記録しているのは、上記のことと無関係ではないと思います。

 もうすぐ、ブログは2年目に突入します。
 意味付けや問題提起が、どれぐらいできるか分かりませんが、新しい楽しみ方や発見を提唱できるメディアを目指していきたいと思います。
 そして、自分のアイドルを評価する時の価値基準も今は更新されて「才能」の一つだけになっています。果たして、これが半年後にはどう変わっているのか?

 あなたは、今、どれぐらい趣味に熱くなれていますか?