好きの拡大の仕方
昔、友人に言われたことがある。
「Zガンダム好きな人は、セブン好きな人多いよね」
むむ、僕はまさにそれに当てはまる。
「そして、面倒くさい性格の人多いよね」
ああ、面倒だよ。
※「ウルトラセブン」の公式動画もチェック!
でも、好きだからこそ、面倒になっていくのだ。
普通の人の作品に対する「好き」の広がり方は、作品や世界観、キャラクターへの思いや考察に向かうことが多い。
しかし、青山通さんは違った。いや、それだけにとどまらなかったと言った方が良いだろう。
「セブン」最終回でシューマンのピアノ協奏曲に出会った青山さんは、インターネットがなかった少年時代、お小遣いをはたいてLPレコードを買うが、「本物」とは違う!
それはそうだ、指揮者もピアニストも違うからである。
ここから、青山さんの闘いが始まる。
その期間7年!
7歳から14歳になるまで、あの最終回のバージョンに出会うために、様々なシューマンの「ピアノ協奏曲」に出会っていく。
本書の61ページにある演奏スピード表を速い順に並べた表を見て、思わず声が出た。28バージョンもあるのだ。この人、どんだけ「ピアノ協奏曲」聴いてんだよ!
また、セブンの劇中の音楽を担当された冬木透さんのお話も面白い。なぜ、カラヤン盤を選んだのか、は是非読んで確認してほしい。
僕は「盗まれたウルトラアイ」の最後に流れるあの悲しい音楽が、冬木さんの音楽で一番好きだ。
読んでいきながら、青山さんが提示したカラヤン・リバティ盤とウルトラセブン最終回に共通する「運命に抗う推進力」をつなげる言説は本当に素晴らしかった。曲に関するブログを書いている人間としては、とても勉強になったし、本当にこの曲について考えてきた、いや、考え続けてきた人だからこそ、繋げられた線かもしれない。
2章の「ウルトラセブン 音楽から見たおススメ作品集」は、いち特撮ファンとして、読んでいて楽しかった。
青山さんのストーリーの語り口も面白いが、音楽のおすすめを読むことで、どんな音楽だったかなあ、と再び見返したくなる。
それにしても、なんであんだけ前編で強かったガッツ星人が、後編であんなにアタフタしているのか、大人になっても謎だ。別に、セブンがめちゃくちゃ強くなったわけでもないのに、と子供の頃からずっと謎だ。
さて、この青山さん、著者の紹介を読んで驚いた。
「クラシック音楽から欅坂46まで幅広い音楽領域に関心をもつ」。
青山さんの欅坂46論、ぜひ読んでみたい。
できたら、SKE48論なんか、どうだろう。