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2020年3月8日日曜日

「おすすめの映画と本 ウルトラセブンが『音楽を教えてくれた』」

好きの拡大の仕方



 昔、友人に言われたことがある。
 「Zガンダム好きな人は、セブン好きな人多いよね」
 むむ、僕はまさにそれに当てはまる。
 「そして、面倒くさい性格の人多いよね」
 ああ、面倒だよ。

※「ウルトラセブン」の公式動画もチェック!



 でも、好きだからこそ、面倒になっていくのだ。
 普通の人の作品に対する「好き」の広がり方は、作品や世界観、キャラクターへの思いや考察に向かうことが多い。
 しかし、青山通さんは違った。いや、それだけにとどまらなかったと言った方が良いだろう。
 「セブン」最終回でシューマンのピアノ協奏曲に出会った青山さんは、インターネットがなかった少年時代、お小遣いをはたいてLPレコードを買うが、「本物」とは違う!
 それはそうだ、指揮者もピアニストも違うからである。
 ここから、青山さんの闘いが始まる。
 その期間7年!
 7歳から14歳になるまで、あの最終回のバージョンに出会うために、様々なシューマンの「ピアノ協奏曲」に出会っていく。
 本書の61ページにある演奏スピード表を速い順に並べた表を見て、思わず声が出た。28バージョンもあるのだ。この人、どんだけ「ピアノ協奏曲」聴いてんだよ!
 また、セブンの劇中の音楽を担当された冬木透さんのお話も面白い。なぜ、カラヤン盤を選んだのか、は是非読んで確認してほしい。
 僕は「盗まれたウルトラアイ」の最後に流れるあの悲しい音楽が、冬木さんの音楽で一番好きだ。
 
 読んでいきながら、青山さんが提示したカラヤン・リバティ盤とウルトラセブン最終回に共通する「運命に抗う推進力」をつなげる言説は本当に素晴らしかった。曲に関するブログを書いている人間としては、とても勉強になったし、本当にこの曲について考えてきた、いや、考え続けてきた人だからこそ、繋げられた線かもしれない。

 2章の「ウルトラセブン 音楽から見たおススメ作品集」は、いち特撮ファンとして、読んでいて楽しかった。
 青山さんのストーリーの語り口も面白いが、音楽のおすすめを読むことで、どんな音楽だったかなあ、と再び見返したくなる。
 それにしても、なんであんだけ前編で強かったガッツ星人が、後編であんなにアタフタしているのか、大人になっても謎だ。別に、セブンがめちゃくちゃ強くなったわけでもないのに、と子供の頃からずっと謎だ。

 さて、この青山さん、著者の紹介を読んで驚いた。
 「クラシック音楽から欅坂46まで幅広い音楽領域に関心をもつ」。
 青山さんの欅坂46論、ぜひ読んでみたい。
 できたら、SKE48論なんか、どうだろう。