今は誰も聞かないメロディーたちが、さまよう暗闇で僕は眠りたいんだ
10年代ももうすぐ終わりですね。
このブログでも10年代ベスト映画とか、10年代ベスト48曲とかやりたいんですけどね。
この10年間で色々な素敵な曲が生まれ、その曲に起因した思い出も生まれていきましてね。
たとえば、「夢の階段を上れ!」を聴くと、推しだった岡田美紅のことを思い出しますし、「仲間の歌」の大サビ前の間奏では名古屋ドーム2日目で、初代推しの中西優香が言った言葉を思い出したりね。「ラストエンペラー」のテーマを聴く度に、コオロギのことを思い出したりね。
プライベートなことでも、初めて付き合った彼女が好きだった曲とか、死んでしまったあの人が好きだった曲とか、もう会ってないあいつが歌ってた曲とか、皆さんもありませんか?
曲と思い出が結びつく瞬間っていいですよね。更にそれが長い時間を置いてふと思い出したものだとなおさら。
そしてね、そういう思い出ってだいたい美しいんですよね。
腹立った時とかに流れてる曲ってそんなにないと思うんですよね。
僕の場合は、必死で思い浮かべて「前しかむかねえ!」ぐらいですかね(分かる人は分かるはず)。
そんな美しい思い出と10年代の48グループの輝かしい日々を重ねたような名曲。
それが「君はメロディ」です。
ちょっと聴いてみましょう。
いやあ、美しい。
さすがは蜷川実花監督ですね。
今年観た映画「ダイナー」もそうですが、色彩が鮮やかですし、一人一人にあった花をチョイスしてるんですよね。
中国の美しい王朝のようなセットや衣装が美しいですね。
「ヘビーローテーション」を想起させるふりつけがあったり、卒業生たちが2階から見下ろすカットがあったり、色々と考えがいのありそうなMVでもありますしね。
そして、歌詞なんですが、なんで秋元康は前田敦子が関わると本気を出すんですかね。凄い良い歌詞なんですよね。
どこか、立ち上げから全盛期までの楽しかった日々を連想させつつ、春という新しい季節の暖かさを感じさせる終わり方が凄くよくてですね。
特に僕は2番の歌詞が好きでしてね。
「サヨナラに込めた永遠こそ 僕の誓い」
ここなんて、アイドルが「サヨナラ」という卒業をすることで、自分の思い出の中で「永遠」になってしまう感じがして好きなんですよね。
さらに大サビもよくて。
「きっとどこかで 君だって… 口ずさむだろう」
遠く離れたところで、もう会えないけど、君もきっと歌っているという感情。
切ないですよね。急に話が飛びますけど、母親になった前田敦子が、子供「君は僕だ」を口ずさんでるとことか、想像したら、何故か泣けてきますよ。
でもね、優しさだけじゃなくて、「ほろ苦い」感情もある曲なんですよね。
だって、「君はメロディー」であって、もう目の前には居ないんですよね。
「メロディー」という思い出と接続したものの中にしかいない「君」。
なんとも切ないじゃないですか。
推しが卒業して一般人になってもう一生出てこないよ、という人はこの感情って、どこか共感できるんじゃないでしょうか。
まず曲の中の物語としても、十分名曲なんですが、どこか自己批評性のある歌詞になってましてね。
「サビだけを覚えてる」というヒットソングを作り続けてきた秋元康だからこその説得力があります。
歌うことによって「グロリーデイズ」を思い出すというのは、これからのAKBが「ヘビー・ローテーション」や「恋するフォーチュンクッキー」や「365日の紙飛行機」を紅白とかで歌うことにより、観ている視聴者たちの当時の思い出を蘇らせたり、ついついサビを口ずさんだり、という歌謡曲というものに携わってきた秋元康の良さを感じる名曲です。
ちなみに、紅白でさや姉が1位になった時は、「難波、恐るべし」となりましたよ。
胸いっぱいの喜びの中、歌うさや姉の顔が凄い良いんですよね。
そして、しーちゃんの涙も。
この時の衣装、めちゃくちゃカッコいいんですよね。
いやあ、こう語っていくだけでも、色々な思い出が蘇っていきます。
なんとなく、このブログとも相性が良さそうな曲だと、書きながら思いました。
そして、2020年代の48グループが懐メロ専門アイドルになってしまうのか、またみんなの思い出と繋がるヒット曲を出せるのか、楽しみにしていましょう。
個人的には、10年代の本店シングルで一番好きな曲です。