人気の投稿

2020年5月8日金曜日

出逢ってしまった二人

同じ時代にいたこと


 最近、ここ数年、NHKの大河ドラマをビンジウォッチするのにハマっています。
 昨日も「太平記」を見ながら寝落ちしてしまったらしく、目覚めたら、鎌倉の北条氏が滅んでいて驚きました。
 大河ドラマの面白さは、約50回近くのドラマの中で歴史という大きな波に、人間たちが飲み込まれたり、うまく乗ったり、という不思議な人間ドラマがあるので面白いんですよね。
 それから、この人がこの身分で生まれていなかったら、とか、この二人がもし、もっと違う時代で出会っていればと、妄想を広げることも多いです。

 「SKE48」という大河ドラマならば、どうでしょうか?
 僕は、江籠裕奈と小畑優奈の二人について考えてしまいます。
 
 江籠裕奈は、2011年10月16日、まだ小学生の時にSKE48に5期生として入ります。翌月のリクエストアワーでお披露目。
 まだ幼いけれど、整った顔立ちで静謐な美しさに満ちていました。
 少し照れ屋だけれど、真面目にレッスンに取り組んでいることが、「最強研究生」時代の真木子の口や生誕祭でのご家族の手紙から語られています。
 同期で同い年の市野成美との「えごなる」コンビが、SKE48の未来を作っていくことになるんだろうなあ、と2012年頃に本店からSKE48にスライドした僕は感じていました。
 
 
 時は流れて2015年。
 彼女は「コケティッシュ渋滞中」で選抜入りします。
 この年は、彼女は総選挙での速報にランクインするも、残念ながらランクインは出来ませんでした。この時の総選挙のソフトの特典で江籠ちゃんが、控室で人知れず涙を流しているのが、とても印象的でした。何か、彼女のイメージを勝手に自分はつけていないか、と反省しました。
 ただ、彼女にもSKE48にとっても2015年は節目の年で、松井玲奈がこの年に卒業し、SKE48を支える大きな何かが失われてしまった気がしました。
 そして、奇しくも2015年にSKE48に合格し、「コケテッシュ渋滞中」でお披露目されたのが、7期生の小畑優奈。後のSKE48のセンターでした。

 
 小畑優奈の良さは、彼女が醸し出す和やかさだと思います。
 奇しくも同時代に欅坂46のセンターをしていた平手友梨奈さんと真逆のベクトルの輝きだと当時は感じていました。その人が笑うだけで、周りが明るくなる感じ(ちなみに『けやけ』の運動会とかで笑うてちも好きです)。
 「意外にマンゴー」で彼女がセンターになった時、SKE48に新しい風が吹いた気がしました。
 なんだか抽象的な表現になりますが、「こういう選択肢もあるよ」というのを提示された気がしました。
 彼女がセンターになるまでの布石としては、2015年の加入から湯浅支配人が「エースの大本命になる可能性も」と評価していましたし、同年、SKE48の次世代ユニット「ラブ・クレッシェンド」に江籠ちゃんと共に選ばれています。
 2016年のSKE48全員でのソロコンサートでは、各グループの曲を唄い、様々な表情を魅せることで引き出しの多さも見せつけ、カワイイだけではなく、表現力もあるところをファンに見せていきました。

 江籠ちゃんとゆななの共通点を考えると、入ったばかりの頃は、二人とも自分から喋るタイプではないこと、実は負けず嫌いな努力家なところ、そして、同期が逸材揃いだったということがあります。
 江籠ちゃんが加入した期である5期は、菅なな子、古畑奈和、新土居さやかを達が、どんどん選抜に入っていき、宮前杏実は「12月のカンガルー」でWセンターになります。
 同じくゆななが加入した7期も、「前のめり」で選抜に選ばれた後藤楽々を始め、野島樺乃、末永桜花、浅井裕華たちもいますし、ここにドラフト2期の5人が加わる「7D2」というくくりが生まれます。
 どちらも、SKE48の歴史の中で重要な期だったと思いますし、今も残っている各期のメンバーは、それぞれのポジションで活躍しています。
 二人の違いを強いて挙げるとするならば、江籠ちゃんが期の最年少グループだったのに対して、ゆななは、期の平均年齢ぐらいだったということぐらいでしょうか。
 そういえば、江籠ちゃんは「天使」と形容され、ゆななは「カワイイのレアル・マドリード」など凄い形容をされていましたね。
 
 「意外にマンゴー」のリリースと共に、SKE48運営はゆななの売り出しをスタートします。雑誌の表紙や各種ポスター等にゆななが前に出ていきます。この時、江籠ちゃんの方は、「P4U」のイベントで1位になって獲得した、初めてのセンター曲である「奇跡の流星群」を唄っています。それぞれが自分のセンター曲を手に入れていたわけです。

 SKE48がリリースされた2017年の総選挙では、ゆななは72位にランクイン。江籠ちゃんは、36位にランクイン。この年、江籠ちゃんは速報圏外というまさかのスタートでしたが、そこから見事にまくってランクインします。
 この時のブログが凄く良いので、是非、ご一読ください。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12284704226.html

 「どんなときでも 諦めない心が大切なんです!」をまさに体現した選挙だったと思います。また、江籠ちゃんが自分の気持ちを熱く語る文章に、今読んでもちょっと泣きそうになります。
 2017年は江籠ちゃんとファンの方たちにとって、大躍進の年だったんですね。
 

 翌年の始め、「無意識の色」がリリースされます。
 センターは前作に引き続き、ゆなな。 
 このMVは、ゆななや楽々、菅原たちが、これまでのSKE48の歴史をラーニングしていく風に感じます。ナゴヤドームの映像が少しだけ出ていて、ひょっとしたら、もう一度目指せるかも、という過去と未来が繋がるMVで、僕は大好きです。
 きりっとした顔のゆなながカッコ良かった記憶があります。
 10周年という節目の年であり、この年に何か大きな発表があるのではないか、とコンサートの度にワクワクしたものです。


 
 さて、この2018年の総選挙では、速報の時点でゆななは16位、江籠ちゃんは95位にランクイン。二人とも昨年の速報値を超える順位でのスタートに成功します。最終的には、ゆななは34位に、江籠さんは35位にランクインします。奇しくも二人が並ぶ形でランクインすることになりました。

 この次にリリースされた「いきなりパンチライン」では、松井珠理奈がセンターに復帰。しかし、休養のため、メディアでのセンターは須田亜香里中心でした。この曲のカップリングでは、「花の香りのシンフォニー」が収録されています。
 この曲は「P4U」のイベントで再び江籠ちゃんがセンターを獲得した曲で、この曲の優しいサビのメロディが素晴らしくて、春先の散歩でよく聴いたものです。
 曲との相性もあると思うんですが、総選挙2位となっただーすーを代理のセンターとして持っていき、彼女の知名度はこの年に爆発的に上昇していきます。
 「Stand by you」のリリースで松井珠理奈が復帰。こちらもセンターは、松井珠理奈です。

 そして、2019年2月12日。
 小畑優奈は突然の卒業発表をします。
 3月26日には卒業公演が行われ、最後の握手会も後日して、彼女はSKE48を去りました。
 
 ゆななが書いた最後のブログを観てみましょう。
 https://ameblo.jp/ske48official/entry-12439811663.html

 「アイドルとしてやりきってしまった」という言葉が重くてですね。
 センターとしてグループの最前線に立って、テレビにも沢山出て、雑誌の表紙にもなってと、確かにアイドルとしてやれることのほとんどをやってしまった感がありますね。

 もし、2020年の今なら、もっと柔軟にゆななのハンドメイド作品をグッズとして、売るという柔軟な選択が出来たのではないか、とも思うんですが、彼女は卒業後、ユナとして、Youtubeでの動画配信や自分が作成したハンドメイドのアクセサリーの販売を始めます。
 「SKE48」という看板を捨てて、自分の力だけで自分の好きなことをしていく、という彼女の姿勢は尊敬できます。
 ただ、SKE48としては、大きな柱どころか、何か未来への可能性の核となるものを失ってしまった気も当時の僕はしていました。
 ゆななを中心に描いていた円があるとすれば、その円の周辺に居た楽々、菅原、愛理たちにも何か影響があるのではないか、と凄く心配でした。
 そして、この活動期間の短さは、なんとも儚い感じがします。
 
 やがて、夏に江籠ちゃんセンターの「FRUSTRATION」がリリース。
 この曲のカップリングには、江籠ちゃんセンターの「ゲームしませんか?」が含まれています。こちらも「P4U」でのイベントでの勝利からです。
 そして、この年、江籠ちゃんは6月10日に行われたイベントで、牧野アンナ先生からMVPをもらいます。
 「ENTAME next」の中では、2018年を「何をやってもうまくいかない1年」と語っていましたが、昨年の悔しさを払拭するかのように活躍していきます。
 江籠ちゃんは、奈和ちゃんの初センターに対して、「悔しいよりも嬉しい」と語り、自分の立ち位置にこだわらない、という思考に変化していきます。
 また、江籠ちゃんのちゅりへの信頼度が高まっていくのもそうなんですが、後輩たちの「先輩」として活躍していきます。
 最近では、江籠ちゃんの配信とかを観ていると、何かホッとするような安心感を覚えることもあります。
 この嬉しさと悔しさを感じた4年間が、江籠ちゃんの歴史の中で重要な4年の気が僕はしています。

 一方、ゆななは、動画配信と自分で作ったアクセサリーを販売していきます。
 「Lien」というブランドを立ち上げて、自分がデザインした商品をどんどん販売していきます。また、プロデュースブランド「Plume Calin」ではモデルもしています。このブランドの名前は「愛らしい羽」で、ロゴには「天使」の羽をイメージしたものがついています。
 自分のやりたかったことを、ゆななも具現化していったわけです。
 個人的には、すーめろさんとコラボしてほしいな、と願っています。
 
 2020年5月8日現在、SKE48の歴史は進み続けています。
 僕がよく見る大河ドラマでは、長い歴史の中で、表舞台に出た期間は短くても大きな改革をした人物もいれば、浮き沈みがありながらも最後には何かを成し遂げる人物もいます。

 コロナウイルス後のSKE48がどういう動きをするかは、全く予想ができません。
 ただ、二人が出会い、一緒に居たこの4年と少しの間は、長いSKE48の歴史の中で、そして、江籠ちゃんとゆななの歴史の中で、重要な期間だったと後々になって再考されるのではないか、と最近は思っています。