偶然の出会いをプレゼントする
皆さんの推しが、もし卒業を考えた時に、皆さんはどんな言葉をかけるでしょう。
そして、戻ってくるまでどれぐらい待てるでしょう。
初めて熊ちゃんこと、熊崎晴香をしっかりと認識したのは、2013年12月5日の全国ツアー「箱で推せ!」横浜アリーナ初日だった。
「フィンランドミラクル」を松井珠理奈、宮前杏実と一緒に踊っている研究生を観て、なんとも爽やな笑顔のメンバーだな、と感じたのを覚えています。あとで、確認すると、研究生としては、決してめぐまれたポジションでのスタートではなかったんだ、と知ります。
「箱で推せ!」名古屋ドームで研究生MCの時間に「やっぱ、ダジャレと言えば熊ちゃんやろ!」と後ろの席で仰っている方が居て、ああ、この子はダジャレも得意なのか、珠理奈みたいに頭の回転が早いタイプかな、それにしても、見ていてこっちも笑顔になる明るい笑顔だな、と思ったもんです。
2014年2月24日にさいたまスーパーアリーナで行われたコンサートで、ステージから彼女は落下。右手首を骨折し、全治3か月の怪我をします。
この期間についてドキュメンタリー映画「アイドルの涙」4枚組の特典映像の中で、その時の心境が残されています。
「何もかもがダメになっちゃった。
学校も書けないし、SKEの活動も何もできないし。
どうしようって悩んで悩んで。
とにかく誰とも話したくないって時がありました。
自分の部屋から出なかったこともありました。
けど、その時期があったからこそ、ファンの方とのきずなができたり、とか自分自身を見つめ合う時間があったし、気持ち的にも強くなれたんじゃないか、と思います」
「出遅れたっていうそこが悔しくて。
なんですかね。
その頃は、この活動をまだ続けていけるかなという思いも出てきて、骨折も治らないかもしれないって言われて、もうひっつかないかも知れないって言われて。
ここで諦めろって言われてるのかな、と思って。
何度もそういうのも考えましたし、ここが卒業する時期なのかなって、考えたりもしたんですけど。
けど、ファンの方から凄く会えなかった分、手紙とか、その時丁度ぐぐたすっていうツールも増えていて。
コメントしてくださる方が沢山いて。
『(卒業したら)絶対ダメだよ』
『待ってるから』っていう言葉が、凄い皆さんからいただいて、ここで諦めたらダメだなって元気をもらいましたね」
この言葉を聞くと、相手に応援のメッセージを伝えることの大切さをつくづく感じさせられます。「味方がいるよ」、「待ってるよ」と伝えることの大切さ。そして、会えない時期をどう乗り越えるのか、というのは、新型コロナウイルスの影響で、活動が止まっている今だからこそ、考えさせられるものがあります。
この時期、SKE48モバイルでは、「ハルカミライヘ」というWEB連載がスタートし、彼女の様子をマネージャーの八木さんの筆で語られます。怪我をした彼女をそのままにしない、ちゃんとファンの皆さんと繋げるという凄く良い企画でした。
骨折したまま出場することになった総選挙では、速報にランクインします。
活動できていない状態でのランクインは、彼女への大きな後押しになったのではないでしょうか。
そして、2014年7月10日の公演で「不器用太陽」の選抜としてお披露目に参加します。
この日のファンの皆さんの「おめでとう!」という言葉と熊ちゃんの涙が本当に良いんですよね。
同年8月18日に公演に復帰。
元気な姿を見せます。
この年の終わり、「12月のカンガルー」で、彼女の同期の北川綾巴は宮前杏実とのダブルセンターに選ばれます。選抜に入れたものの、まだセンターとの距離は遠く離れていました。
2015年には、カップリング曲「制服を着た名探偵」のセンターに選ばれます。
さらに、年末にはSKE48の次世代ユニット「ラブクレッシェンド」に選ばれ、各種メディア出演を続けていきます。このメンバーの中には、同期の北川綾巴だけでなく、この数年後にセンターになる小畑優奈がいました。年末には、眼鏡のブランド「メガワールド」のCM選抜に抜擢されます。
実は、彼女の魅力を活かせる分野がこの年から、徐々に見えてきたんじゃないか、と思っています。
2016年9月21日の熊ちゃんの生誕祭で、彼女は「SKE48の表題曲のセンターに立ちたい!」という目標を語ります(奇しくも手紙は、松井珠理奈から)。
この日のアメブロを読んでみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12202321564.html
この時の正直な感想としては、「いや、確かに熊ちゃんはカワイイけど、まだ早いんじゃないか?」というのが僕の正直な感想でした。2016年の総選挙の順位は67位、外仕事もまだソロでガンガン取ってきている、というものでもないですし、握手もグループの中でナンバー1という状態でもありませんでした。
じゃあ、「12月のカンガルー」はどうなんだよ?と思われると思いますが、あれは運営からの「実績を一旦無視した未来への投資」だったのではないか、と思っています。
また、この年は、SKE48モバイルで、彼女の特集も組まれました。
SNS上で「あのポニーテールの可愛い子は誰だ?」となっていたんですね。
また、MBSラジオの「オレたちゴチャ・まぜっ!集まれヤンヤン」の第8期ヤンヤンガールズとして、極楽とんぼの加藤さんと共演もしています。
2017年から彼女の進撃が始まります。
総選挙の順位を63位に上げ、「アームズマガジン」の表紙になり、ファンの方々の後押しを得て、「P4U」のイベントで優勝。「漫画アクション」で漫画になります。
個人的には、自分の物語が漫画になるというのはなかなか凄いことだと思っています。
そして、忘れてはならないのが、この年の9月から始まった愛知トヨタさんの「ハルCarクラブ」です。
残念ながら、現在youtubeの公式動画は、非公開になっています。
ただ、インターネットの海を探せば、この世のどこで光ってるので、どうしても見たい方は「そいつ探しに行こうぜボーイ」。
地元企業の商品を紹介していく動画の顔になるというのは、彼女の魅力や誠実さがあってこそだと思います。
ファン、運営、外仕事の企業、みんなから愛されるメンバーになってきたわけです。
この頃、SKE48は「意外にマンゴー」で徐々に復活の兆しを見せていきます。ゆななもこの「はるCarクラブ」に出ていましたね。
2018年、最後の総選挙で最高位の46位にランクインします。
この年の選挙期間中は、「#くまチャレ」や願掛け投票などをして、ファンの方との関係をより深めていきます。
そして、この年、忘れられないのが、「P4U」イベントで獲得した、名古屋駅前のナナちゃんストリートを、推しメンをメインにした広告に変えられるイベントでした。
このイベントでファンの皆さんの後押しを受けて、彼女は1位になります。
その時のアメーバブログを確認してみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12419554563.html
そして、2019年2月27日。
くまちゃんストリートが名古屋の駅前に現れます。
この時の彼女の喜びを確認してみましょう。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12443136381.html
このイベントは翌年の2019年の秋にも行われ、見事に2連覇翌年もくまちゃんストリートを翌年の2020年2月に名古屋に出現させることに成功します。
この時の彼女のアメブロも良いので、ご確認あれ。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12576739399.html
なんと、今回のラッピングでは、QRコードも入れてもらえたおかげでSNSのフォロワーが増えたというのも良いですね。「このカワイイ子は誰だ」と思ってすぐにチェックできるっていうのは便利です。
そして、ファンの方々のプレゼントとしては、かなり良いプレゼントだと思いましてね。
その地方の有名な景色に自分の推しがいる。きっと熊ちゃんだけじゃなく、ご家族、親戚の方なんかも見て喜んでいただける。
これは、普段、SKE48に興味がない人の目にも止まるのが良いですね。こういう推しの広め方もあるのか、と衝撃でした。
2019年の生誕祭では、再び彼女は「SKE48のセンターになりたいです!」と宣言します。この時の僕の感想は、「ひょっとしたら、そろそろタイミングかも」と2016年の時とは、彼女を見る目が違っていました。
総選挙が無くなっていた、というのも勿論あると思います。
それよりも、彼女がSKE48の広告塔として、色々な人に注目してもらえる要素があるんじゃないかと。
2020年5月現在も、「パートナーエージェント」の広告のメンバーに選ばれています。きっと、彼女を全然知らない人も広告を見て、「この子は誰だろう?」と気になって、SKE48の入り口に立っている人が全国にいるんじゃないでしょうか。
2017年5月22日や2019年8月23日のアメブロでは、腰の悪化について語っています。腰に関しては、松井玲奈を始め、多くのメンバーを悩ませてきたことです。現在の自粛期間が、彼女の体調回復に少しでも繋がればな、と思います。
滑舌というバラエティ的にいじりやすい入り口もあると、思いますが「制服を着た名探偵」で見せた明るい笑顔や、「パートナーエージェント」の広告で見せた静かな美しさを持っていると思います。
最新シングルの「ソーユートコあるよね?」では、センターの須田亜香里の後ろのポジションまで来ました。
彼女が、新しいSKE48のセンターになるカウントダウンは、もう始まっているのかも知れません。