人気の投稿

2020年4月7日火曜日

鳥は青い空の涯を知らない①

新しい世界を乗り越える勇気


 2020年4月7日現在、世界はCOVID-19による影響を受け、日本でもついに緊急事態宣言が出ました。
 僕は関西に住んでいるんですが、休みの日はほとんど家から出ずに過ごしています。
 僕らの「日常」は、ゆっくりと失われて無味乾燥な「非日常」が新しい日常になり始めています。
 SNSでは、不安や将来の先行きの見えにくさから、2011年3月11日の東北の大震災の時のような「極端な分かりやすさ」に逃げてしまう人がちらほら出始めていて、情報を整理するために僕はミュートやブロックを進めています。
 確かに状況はどんどん複雑になって行って、考えずに誰かの考えに乗っかることの方が楽なんですが、その危険性を僕たちは学んでいるはずです。
 まあ、気持ちも分かるんですよ、解決までのロールモデルがまだぼんやりとしか示されてないし、終息が見えないから。 
 
 さて、偉そうなことを書きましたが、すっかりと気持ちが沈んでしまって、SKE48の曲で何かこんな気分を変えてくれるものはないかな、と思ったんですね。
 秋元康の曲に限らず、アイドルの曲って凄い肯定的だったり、無責任に前向きな曲が多かったりするんですが、なかなか聴くような気分にもなれなくて。
 NONAMEの「希望について」にしようかと思ったんですが、実は「0048」関連は今、準備している記事が一つあるので、そちらに回すとして、SKE48の曲を朝から色々聴いてたんですね。
 そこで、ああ、今の気分にぴったりなのはこれだ、と思ったのが、「鳥は青い空の涯を知らない」です。ちょっと聴いてみましょう。



 まず、歌詞の世界から見ていきましょう。
 この曲の歌詞は、実は2者の視点から構成されています。
 一人目は鳥に対して自分の疑問を問いかける「君」。
 二人目は「君」を「ガンバレ!」と応援する「僕」(あるいは僕たち)。
 「君」が知りたいものは非常に抽象的です。
 1番で聞きたいのは、空の涯についてであったり諦めそうになる気持ちであったりです。2番では「雨雲」という比喩的なものですが、これは困難な状況の比喩ではないか、と僕は考えています。
 そして、「僕」は、空を「飛ぶ」という夢へのアクションが取れない「君」に考えるよりもアクションを起こすしかないというアドバイスをします。
 いや、当たり前だろ、と思う方もいるかも知れませんが、新しいことや一度困難な状況に陥って、再び動きだすのって、本当に大変なんですよ。無職を半年やってた僕が言うんだから、間違いありません。でも、いつかは動きだすんですよね。
 その辺りが2番の歌詞で、自分たちの憧れたあの「美しく飛ぶ鳥」だって、羽を畳んで休む時もあると伝えています。
 ここでいう「美しく飛ぶ鳥」というのは、「飛ぶ」というのが夢へのアクションという文脈で考えていくのであれば、「君」の夢を既に叶えた人のことなのではと僕は考えています。
 「地平線」という涯が見えない先を考えていても仕方がない。
 逆に「空」というのはどこまでも続いてると考えろ、と答えを出します。頭上にもあるし、きっと「夢」にもつながっています。
 ここまで読みながら、「僕」というのは、実は「君」が質問している「鳥」なのではないか、と推測もしました。
 なんで、わざわざガンバレとか負けるなというメッセージをかっこ書きにしているのか、という謎がありましてね。本当は、通じていないけれど、「鳥」の方が励ましているのではないか。だから、2番の歌詞でわざわざ「答えて」という言葉を入れているのではないかと。
 ちょっとロマンチックな解釈なので、整合性があるか分かりませんが、皆さんの解釈はどうでしょう?
 先のことを考えず、がむしゃらに「空」を飛ぶ勇気が「君」には必要で、あきらめずに「夢」を見続けることが重要であるということを伝える名曲では、と僕は考えています。

 曲はとても静かな立ち上がりで、サビになるとメンバーのコーラスが入っ、立体的にメロディが聞こえてきます。僕はこの曲の「ガンバレ」のメロディがとても好きで、暑苦しくなく、静かに励ましてくれている感じがして、僕は好きです。そして、聴いていると、ふいに空を見上げてしまいます。

 MVは写真部が舞台になっているんですが、金子の金ちゃんと木下ゆっこが主人公になっていて、ちょっとしたすれ違いから、険悪になった二人の仲が写真を通して再生されていきます。写真という時間を閉じ込めて、思い出の中で再生させる装置にスポットが当たっているのも凄くよくて、モノトーンの世界が写真を撮った時だけ色が付くという白黒写真とは逆転のアプローチになっているのも面白いですね。
 二人が最後に一瞬、触れ合ったあとの表情がとても好きなんですよね。
 ゆっくりと味わいたい名作です。

 さて、こんな日の夜だからこそ、じっくりと聞いて考えたい曲を選んでみました。

 SNSによる動員でフェスやライブなどが伸びた2010年代。
 コロナによって、これがまた変わっていくんじゃないか、と思います。
 「非日常」の場から再び「日常」という生活の場へ。
 このブログに関しては、SKE48の曲を中心としたアイドルの曲をどう面白く楽しめるか、皆さんの発想が生まれるきっかけになれるかを、じっくりと考えて模索していくと思います。
 今のブログという形態の方が良いのか、もっと別のメディアの方が伝わりやすいのか、「飛び方」を考え続けていこうと思っています。
 
 じゃあ、将来の不安に飲まれずに、未来で美味しいものを呑んでやりましょう。
 地平線が見えなくても、僕らが飛ぶための「青空」は常にそこにあります。