この妄想を仮にAとして、この現実をBとする
皆さん、朝食は食べていますかね。
僕は「食」に全く興味がなかったんですが(よくそんなやつが某酒番組の感想を50回近くかけたな、というツッコミは置いておいて)、この2週間、朝ご飯を食べるように生活習慣を変えましてね。
なるべく朝食を食べるようにしています。
読者にとって、本当にどうでも良い情報から始まりましたが、今回取り上げる「体育館で朝食を」は、まさに夢のような朝食曲なんですよね。ちょっと、聴いてみましょう。
さて、まずこちらの衣装、『SKE48衣装図鑑 全力制服』によると、レトロ路線で「魔法使いサリー」をイメージしたそうなんですね。白い方の衣装も実は水色のストライプなんですね(リクアワ2014はこちらの衣装で出てますね)。こういう発見があるから、衣装本は読むのが楽しい。
まず、歌詞の世界から見ていきましょう。
朝のまだ誰もいない校庭を抜けて、昇降口へ主人公の「僕」は入っていきます。
好物のオムレツが食べられるか期待していますね。オムレツ上手は料理上手ですからね(ポンポッキーズ世代)。そして、ランチョンマットを敷いて、二人でご飯を食べるわけです。
僕は1番のサビの歌詞が大好きで、「天窓に秋の陽射し」というのが、風景や温度を想像させていいんですよね。バスケットコートでコーヒーを飲みながら、チャイムが鳴るまで過ごす「僕たちの日常」。
いいですよね。
男しかいない、工業高校で青春時代を過ごしていた僕としては、夢のような生活です。
体育館の朝なんて、バスケやバレー部、卓球部の朝練で、男たちの声で溢れていたので、そんな静かな朝に憧れます。
2番では、この朝の時間は二人だけの秘密で、体育館に泊まったような錯覚を感じます。そして、こんな体育館で朝ご飯を食べることを「馬鹿馬鹿しいこと」と客観視しながらも、「楽しい」と幸せいっぱいな感じなんですね。ええ、あっしに関わりねえことで(『木枯らし紋次郎』の影響)。
ただ、大サビの最後が気になりましてね。
「ありえない日常」と来るんですよね。
ここでは、2つの説が考えられましてね。
一つは、「僕」が歌詞の最後の1行以外の内容そのままに「君」と幸せな「日常」を送っていて、「いやあ、僕の日常って、まるで非日常みたいだよね。ありえないよね。くほほ。っていうか、ホント、体育館って、天井にバレーボールが挟まってるよね。あれって、だいたいバレー部の練習終わりにどこまで高く上げられるか、試すやつのせいなんだよね。あれって、突然ボールが落ちてくる時があるから怖いよね」と、町田康みたいな感じで現実を語っている説。
もう一つは、すべて「僕」の「そうだったらいいのにな」と、いう昔のファンタのCMみたいな妄想の可能性。
どちらでも読めそうなんですが、わざわざ最後のひっくり返すような位置に配置していることを考えると、後者の方が有力なんですかね。皆さんはどちらを考えたでしょう。
さて、この曲は、振り付けが素敵なんです。
まず、イントロからAメロまでの振り付けが、料理をしている動作になっているんですね。2014年のリクエストアワーのオーディオコメンタリーでの古川プロのコメントでは、こんな感じです。
「・・かきまぜて、トントントントン、フライパン♪」
松井玲奈ひょんも「振り付けが超かわいいの」と言ってましたが、その通りですね。江籠ちゃんがフライパンの仕草をする振り付けとかも注目してましたね。間奏で相手に食べさせるふりつけもカワイイ。
それから、この年だと、皆さんが「谷ってかわいいんだよね」と言っていたのが、印象的でした。
最近は、COVID-19の影響でお家時間が増えた方も多いのではないかと思うんですが、今までよりも「食事」について僕は考える時間が増えました。
瀬尾まい子のデビュー作「卵の尾」の中で、おいしい物を食べた時に、それを食べさせたいと思う人のことを思い浮かべるというようなことが描かれていましたが、この朝ご飯を誰とどこで食べたいだろう、そんなことを考えたりします。
きっと「体育館で朝食を」の「僕」は、「君」と「体育館」で「オムレツ」を食べるという、特別な時間を過ごしたかったんでしょうね。
僕も、誰とどこで何を食べたら幸せかな、と考えながら、明日の朝ご飯を考えています。