人気の投稿

2020年4月9日木曜日

おすすめの映画と本「AKB49」

感情吐き出して、今すぐ素直になれ!


 僕は映画が好きで、黒澤明監督の作品も大好きです。
 彼が撮った映画の脚本の多くを手掛けた橋本忍の著作や黒澤関連の本を読んでいると、黒澤作品は、何人かの脚本家を集めて、毎回大喜利のように解決が無理な状況をまず考えさせて、それをどう解決させるかをさらに考えさせて、傑作を作っていったそうです。主人公たちが、置かれた状況の中で様々な知恵やスキルを発揮して解決していく。そして、毎回観終わった時には心が動かされる。だから、時代や国境を越えて残っていくんでしょうね。最近だと、「ジョン・ウィック」シリーズや「犬ヶ島」の監督も参考にしていたことを聞いて、驚きました。

 今回紹介する「AKB49」を読んだ時、まさに漫画でこの手法を真正面からしてくれているな、と思いました(そういえば、8巻で黒澤映画という言葉が出てますね)。
 AKBの中に一人の男子高校生が入り、同じく研究生として入った、自分の好きな女の子をセンターにさせてあげたい。
 まず、この大きな目標が早くも無理難題なんですよね。
① 男であることがバレないか?
② 好きな女の子である寛子をセンターに出来るのか?
 物語を通じて、まずこの二つの課題が貫かれます。
 全29巻で、何度も主人公のみのりが浦山実であることがバレそうになりますし、何度も寛子がアイドルで居られるかどうかが揺れていきます。
 また、48グループの本人メンバーが出てきます。
 もちろん、フィクションなので、そのままではないかもしれませんが、漫画版のたかみなとか、僕は大好きですね。

 アイドル漫画のようでいて、内容は真っすぐな少年漫画で、読んでいると本当に心が熱くなるし、時には涙もでてきます。
 その中で僕がおすすめのストーリーをネタバレをなるべく抜きで3編選んでみました。


① GEKOKU嬢編(7巻~12巻)

 丁度、ミュージカル版「AKB49」の少しあとのエピソードなんですが、みのり、寛子、岡部愛の3人が、CD13万枚を完売させて、正規昇格を目指して試練に立ち向かっていくんですが、ライバルであるJewelのMAYAが超嫌がらせをしてくるわけですね。
 それを毎回、みのりたちがとっさの機転やこれまで積み上げてきた努力で、乗り越えていく姿は本当に燃えます。
 また、クイーンレコードの妃先生の「1で客の目を引き、2で心を掴み、3で120%」というセットリストに関する言葉。これは、ライブを観る時、特に対バン系のライブを観る時の新しい視点になりますね。

② SKE48編(14巻~16巻)

 みのりと寛子、そして、14期生のアリスは、秋元康から「全国兼任」というなんとも夢のある人事異動を告げられます。
 まず、最初に3人がやってきたのが、栄。
 SKE48ですね。
 兼任の3人がファン全員に認められるかの投票が、毎回の公演で行われるんですが、まあ、排他的なんですよSKEファンが(まるで他人事のように書く)。
 過剰に描かれているところもあると思うんですが、なかなか賛成の白票を入れない人達の気持ちも分かるんですよね。大組閣の時、僕も最初は凄く違和感を持ってましたもん。特にチームSは。
 じゃあ、いったい3人がどう乗り越えていくのか。
 このSKE48編の最後に登場するあの曲は、涙なしには聴けません。
 ちなみに、中西推しとしては、沢山描いてもらえて本当に嬉しいです。

③ 最終公演(28巻~29巻)


 男としてAKB48に居るということ。
 この物語を通して守ってきた実が、いよいよ自分がしてきた事と向き合う時がきます。
 もう、僕は28巻のラストぐらいから、涙が止まらないんですよね。
 29巻での奥平先生の言葉。
 この言葉は、「アイドルを推すということ」が、自分たちの日常に入ってきたこと、アイドルたちのおかげで、他人の幸せが喜べるようになったこと。
 その時間が、何よりも貴重だということ。
 これだけ推して悔いがないぐらい、誰かを推していきたいですね。

 さて、短くまとめてみましたが、僕が知っているアイドル漫画の中では、ぶっちぎりの1位です。
 いったいこれだけのストーリーが完成するまでに、どれだけの時間、打ち合わせや思考錯誤があったか。想像するだけで脱帽です。
 各巻の最後にスタッフの方々の推しメンが書いてあるのも面白くて、だーすー推しの方や秦さん推しの方がいらっしゃってのも嬉しかったですね。

 いま、「AKB49」が連載していたら、新潟や瀬戸内、いや、海外編もあったのかもしれません。
 とにかく、マガジン連載時には、この漫画を入口に48に入った人もいたはず!
 当時、僕の職場のアルバイト君が、「松井玲奈ってデカいんですか?」と謎の質問のあと、「49」から48を知っていき、きたりえ推しになっていったのは、衝撃でした。
 コロナで気持ちがダウナーになりそうな今日この頃、熱い気持ちにさせてくれる漫画を読んでみませんか?

※宮島礼史先生の「彼女、お借りします」も早く読みたいんですよね。こちらもチェック!