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2020年4月18日土曜日

幻の写真集

歩いてもいいんだと大人たちは言うけれど




 人は、人を推したくなる時に、様々なきっかけがあります。
 MVでアップになった顔、公演でのパフォーマンス、握手の対応、SNSの何気ない「いいね」やコメント。
 僕の場合は、その人のドラマがやはり好きでしてね。
 1推しだった中西優香や岡田美紅なんかも色々なドラマがありました。それを知ったり、体験したりすることで、ああ、この人を応援したいな、この人の物語の続きがみたいな、と思っていきました。
 
 よくこのブログでは古畑奈和ちゃんについて、取り扱うことが多いので、「奈和ちゃん推しなんですか?」と聞かれることも多いんですが、実はそうではないんです。でも、奈和ちゃんに惹かれるエピソードは沢山あります。
 その中でも、一番心に残っているのは、「UTB」の755イベント、通称「755戦争」です。

 このイベントのレギュレーションは755の個人トークのウォッチ数の伸び数です。 
 期間は4月20日0時00分から5月3日23時59分。
 参加者は、奈和ちゃん以外にNMBの上西恵さん、AKBの込山さん。
 普段は優しいのに「げいにん!」では猟奇的な漫才をしたけいっちも、結構好きだったので、河島英五の「てんびんばかり」ばりに複雑な気持ちになりましたが、奈和ちゃんを応援することにしました。
 何故なら、このイベントはこれまでと違い、栄と難波の主力級が投入される代理戦争的な要素もあったからです(実際にそういう風に書いて煽っているまとめサイトもありました)。一人のSKEヲタとしては、負けられない。
 2015年の春先にあったシングル同日発売対決では、SKE48がミュージックカードまで導入して勝利しましたが、こんな形で再び対決することになるとは、思ってもいませんでした。

 ちなみにウォッチというのは、コメントのランをポチっとひと押しするだけで、1カウントされます。つまり、連打すればするほど、数が増えていきます。この仕様を頭に入れておくと、この後に登場する数字についても見えやすくなるかと思います。
 
 2015年4月19日の握手会で、このイベントは発表され、奈和ちゃんよりも先にファンの方々が知ることになりました。
 この日の古畑奈和ちゃんのアメーバブログを皆さん、ご一読ください。
 イベントへの熱い意気込みが伝わってきます。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12016414444.html

 さて、4月20日の0時00分にイベントはスタート。
 開始1時間で、奈和ちゃんのウォッチ数は、23万。
 けいっちのウオッチ数が21万という壮絶な数字で開幕しました。
 この数字がどれだけ凄いかというと、1週間以内に48グループ総監督の高橋みなみの総ウォッチ数を抜いてしまうぐらいの速度です。

 そして、9時間経過した朝9時のウオッチ数は、下記の通りでした。

 けいっち 69.7万
 奈和ちゃん 66.2万
 込山さん 22.9万
 
 トップとの差 3万4000

 ただし、この2時間後の11時には、差が1万2000まで縮まります。
 ここから分析されることは、起きている時間は、奈和ちゃん勢の方がペースが速く、深夜になってくるにつれて、けいっち陣営の数字が伸びていくということでした。
 その日のうちに、みなるんやかおたんから援護のメッセージが発令されました。また、前日には珠理奈からも応援のメッセージがありました。

 当日の16時の時点で、奈和ちゃん約137万ウォッチ、けいっち146万ウォッチという異次元の数字に到達しました。もちろん、755ウォッチランキングは数日後にトップになり、二人を含めてイベント参加者はランキングから除外されます。
 つまり、お前らはお前らでやってろ、という感じになります。
 初日終了時点での数字は下記の通りです。

奈和ちゃん 4,213,851
けいっち  4,065,049
 ここから、すさまじいスピードでウォッチ数は加速していきます。
 4月23日の時点で累計30000万ウォッチ突破。
 4月24日の時点で累計4000万ウォッチを突破します。 
  4月25日のアメーバブログにはファンと一緒に、熱くなれることを「幸せウォッチっち」というタイトルで書いています。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12018893176.html
 
 参考までにこの4月25日のウォッチ数も書いておきます。
 奈和ちゃんが7,514,317。
 けいっちが6,683,607。
 奈和ちゃんが前を走っている状況でした。

 ちなみに僕個人はどうしていたかというと、奈和ちゃんが定めたウォッチタイムには、なかなか参加できず、会社の休憩時間や夜に寝る前の時間を利用してウオッチしていました。
 すぐにスマホが熱くなってしまうのが、凄く怖かったですね。
 ちなみに、この頃の奈和ちゃんのコメントの時間を見ると、深夜に寝て早朝に起きるという生活を繰り返していて、ほとんど寝てないのではないかと心配でした。
 このまま日々は過ぎていきます。
 途中でアンチのような人から、奈和ちゃんへ直接文句を書かれたこともありましたが、奈和ちゃんはとても丁寧な対応で返していきます。

 運命の最終日。
 5月3日の20時の時点で、奈和ちゃんは約8350万、けいっちは約7750万。
 奈和ちゃん勝利が見えていた状態でした。
 流石に600万差はひっくり返せないだろうと。
 
 しかし、21時を過ぎたあたりから、けいっちの1時間あたりのウォッチ数が120万を突破します。
 1時間あたりのウォッチ数はけいっち陣営は伸び続け、23:00を超えると、1時間あたりのウォッチ数が約700万を越えます。それに対して、奈和ちゃん陣営は、約400万。
 明らかに流れが変わり始めているのが分かります。

 23時35分。
 奈和ちゃん 90,698,115
 けいっち  90,006,967
 
 ここに来て、二人の順位が入れ替わります。
 イベント終了まで、あと25分。
 
 ちなみに、この日、イベントに参加した方なら体験したかも知れませんが、一度、ウオッチから抜けて、数字を確認しようかと思ったら、全く入れなくなりました。
 どんどん開いていく数字をみながら、夜空に向かって咆哮したのを覚えています。あの時の焦燥感は、今まで味わったことはなかったものでした。
 
 
 最終結果は、5月4日の00時05分頃からUTB編集者の山下さんから発表されました。
 奈和ちゃん 92,410,202
 けいっち  94,060,840

 また、この企画の盛り上がりを受けて、2位の奈和ちゃんにも『UTB』の付録としての20ページ綴じ込みプチ写真集権がプレゼントされました。
 3人での総ウォッチ数は1億9000万というのは、日本の人口を越えた数値でした。
 

 最終結果後の755の奈和ちゃんのコメントを抜粋します。
「手に届きそうな距離に夢が
 近くにあったから、悔しくないと
 言ったら嘘になるけど、でも
 この熱さは本物でした。

 だから、心残りはありません。

 今度は企画じゃなくて
 自分の力でソロ写真集が出せる
 ように努力していきます。

 本当に本当に
 ありがとうございました!」

 


 翌日の2015年5月5日。
 755の奈和ちゃんのコメントに対して、ファンのせいで負けたと思われるよ、的な指摘をした方に向けたコメントも同じく抜粋しておきます。

 「そっか、そんなつもりはなかったんです。
 ただ、気をひきしめてほしくて。
  
 私にしかわからないこともあるし
 そしたら、より皆が団結して
 くれるとおもったけど、ごめんね。

 私、ファンの方のせいで負けた
 なんて思ってないよ。
 皆が皆全力でやったんだから
 誰のせいでもないし。

 ファンの人が油断したから負けた

 なんて思わないくらい私たちは
 熱かったんだからさ。

 それに、私はもう過去の人
 今を戦ってるちゅりさんに心を
 向けないとね!

 教えてくれてありがとうございます!
 気をつけますね。」

 この文章を奈和ちゃんがどんな気持ちで書いていたのか、僕には分かりません。
 でも、彼女の素晴らしい性格だけはこのイベントを通して伝わってきました。
 あとは、全力に立ち向かうところも。

 2015年5月6日のオールナイトニッポンでは、このイベントに参加した奈和ちゃん、けいっち、そして博多の松岡さんが参加することが発表されます。
 本放送を聴いた時は、わざわざこの戦いの様子を再度、アナウンスするところは、いや、本人たち居る前でそれはやめてくれよ、と思いましたが、奈和ちゃんがけいっちの結果に拍手しているところが印象的でした。
 当事者たちからすれば、ファンの皆さんがウォッチしているので、「おやすみ」と書いた後も本当に寝ていいのか、という葛藤や、1秒ごとに増え続ける数字をみる楽しみもあったそうです。

 この2015年は、今振り返っても奈和ちゃんにとって、ターニングポイントになることが多くて、演技に関する仕事が増えたり、福岡での総選挙で躍進したり、年末のリクエストアワーの「前のめり」でセンターを務めたりと、様々なことがありました。
 でも、僕はこの755戦争を体験して、この古畑奈和という人の誠実さを感じましたし、良い意味での狂気も感じました(惹かれる方ですよ。引く方じゃなくて)。
 
 2020年4月18日現在、古畑奈和のソロ写真集は発売されていません。
 しかし、2017年には総選挙で選抜入り、2018年にはソロアルバム発売。
 2019年にSKE48のセンターになります。


 彼女の好きな言葉で「辛い時こそ伸びる時」という言葉があります。
 イベントでは勝利することが出来ませんでした、けれど、彼女のひたむきに頑張る姿を見て、その後の対応やコメントを読んで、彼女に心を掴まれるきっかけになった、僕のような人間もいたんじゃないかと思います。負けるという辛い体験をしたけれど、その過程で彼女に惹かれていき、ファンの総数がまた伸びていったのではないか。

 ブログを始めた時から、このことについて書きたいと思っていましたが、なかなかうまく書けず、この1年半でなんどかチャレンジしては消しました。
 皆さんも推しではないけれど、この人からは目が離せない、というメンバーがいると思います。僕にとってはそれが古畑奈和でした。

 今年は彼女のソロ写真集が発売して、5年越しに彼女の夢が一つ叶わないかな、と思っています。

 僕にとって特別な事件であり、特別なメンバーについての記事でした。
 最後まで読んでくださってありがとうございました。 

※僕のブログの2018年から2019年前半の古畑奈和ちゃん関連の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/03/blog-post_80.html