じゃあ、またね!
今朝(2020年4月11日)起きると、映画監督の大林宣彦さんの訃報を知りました。
彼の作品は、恥ずかしい話ですがあまりチェックしていなくて、「転校生」や「時をかける少女」を辛うじて知っているぐらいで、名作が多いと言われる新尾道3部作や「野のななか」、「この空の花 長岡花火物語」なんかは観られてないんですね。だから、大林監督について、僕なんかが語るのはおこがましいんですが、AKB48に関わった「so long!」について書きたいと思います。
この「so long !」のMV。
64分の長編で何の知識もなく観た僕は、衝撃でした。
きょ、曲が始まらん。
いったいどんな曲なんだ、ひょっとしてコンサートの時にはこれ、全部やってから唄うのか、とか様々な想像をしていました。いや、大げさだろ、と思われるかもしれませんが、本当に予想外の展開でした。
また、独特の編集術や合成映像に、もの凄い違和感を覚えました。
今までの48系列のMVの中でも、これと似たものを出せと言われても、出てこないんじゃないでしょうか。
だからこそ、強烈に残る作品となりました。
長岡の一つ一つの風景が美しくかった。
また、台詞に関しては、最初は説教臭い感じがするかも知れませんが、48グループの音楽に触れる人の年齢層を考えれば、間口の広い言葉になっていると僕は思います。この作品のおかげで、僕は長岡の過去と今を知ることが出来ました。
この作品の素晴らしさの一つとして、渡辺麻友の声があると思います。
もともと、綺麗な声だと思っていましたが、この作品との相性は凄く良いなあ、と思います。なんとなく、麻友選手は、NHKの生物ドキュメンタリーのナレーションとかしたら、凄く合うんじゃないか、と僕は思っています。
そして、ドラマパートを観終わってからの「so long !」はまた別の味わいがあるんですよね。
「思い出が味方になる」や「辛いこと」、「ぎゅっとハグしたら」、「夕暮れ」、色々なものに別の意味が加わる。そして、2番のサビの解放感。
大サビ前の「映画だ!」「撮影だ!」は、フィクション内フィクションってこと?と解釈していますが、皆さんはどうでしょう?
そして、この「so long !」もあくまで作品の挿入歌という感じで、曲の要所要所に台詞が入るんですが、僕はこのアプローチがわりと好きでしてね。珠理奈演じる「未来」が「夢、私、元気よ」とメッセージを送るシーンなんかも曲の邪魔になっていないと思います。
あと、「結婚式」の麻理子さまと珠理奈のカップルがもう、最高です。
全然、関係ないですが、このMVの松井玲奈ひょんの衣装が好きなのは僕だけでしょうか。
さて、話がどんどん俗っぽくなってきましたが、MVの最後に大林監督が語るメッセージを聞いていくと、なぜ、彼女たちが少しイノセントな感じに描かれていて、細かい日付の詳細が出ているのに、どこか浮世離れした感じになるのかが見えてくると思います。
きっと、今だけではなく、遠い「未来」にいるだれかのための「so long !」、日本語に訳すと「じゃあ、またね!」だったのかも知れません。
それにしても、この頃の48グループって偉大な映画監督と沢山仕事をしてきてたんですねえ。まゆゆと珠理奈、二人の女優としての大きな経験になったんじゃないでしょうか。
最後に大林宣彦監督の最新作についての情報を少し。
2019年末、時代劇・映画史研究家の春日太一さんと、映画プロデューサーの奥山和由さんのトークイベントに行きました。
その中で奥山さんがプロデュースされた大林監督の最新作「海辺の映画館」についての話。クローズドな空間での話なので、詳しくは書けませんが、是非、カットなしの完全版がみたいなあ、と思わせる作品でした。
この大きな悲しみが去ったら、大林監督の作品を観ていきたいと思っています。
奇しくも監督が撮影した「so long !」と同じく桜が咲く朝に。