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2021年2月2日火曜日

Memories~いつの日か会えるまで~①

 スタートライン


 ついに松井珠理奈の卒業曲「Memories~いつの日か会えるまで~」が本日から聴けるようになりました。
 48グループの卒業曲といえば、秋元康先生がメンバーに当て書してリリースということがほとんどでしたが、今回は松井珠理奈自身が作詞しています(仕上がりの確認は秋元先生もされています)。作曲は福田貴訓さんが担当。48グループの曲だと、「ハステとワステ」や「動機」、「ぽんこつブルース」や「やさしくするよりキスをして」を作曲された方です。SKE48だと「あうんのキス」を担当されています。

 まずは、聴いてみましょう!


 これまでの自分を纏って旅立つという美しいMVですね。
 旅立ちを題材に描かれた歌詞の世界をまずは見て行きましょう。
 非常に私小説的な内容だと思っています。
 1番の歌詞は、これからを振り返る内容がメインになります。
 「階段」というキーワードが、「大声ダイヤモンド」のMVや「総選挙」をイメージさせられますね。「階段、登らせてもらおうか」という。「無邪気」というワードから年少メンであった頃から、48グループの前線を走っていたことが伺えます。
 そして、1番のサビ前で「倒れそうになった私」の手を握ってくれた人というのは、メンバーであり、ファンの皆さんやご家族でもあったんだと思います。この箇所は彼女が作詞した「あなたの手」の歌詞と繋がる感じもしますね。
 そして、1番のサビでは、「旅立ち」を意識させるものになっています。
 旅といえば、宮澤佐江の卒業曲「旅の途中」が、次の旅路に向けての曲であれば、この曲は初めての旅への気持ちが綴られています。
 

 トランクの中に「記憶」という貴重な財産を持って、強くなることを誓いながら彼女は待っていて欲しいと願います。
 
 2番は、「オレンジ色」というSKE48カラーを連想させる歌詞が出てきます。「オレンジ色」を構成するのがサイリウムだとすれば、ファンの方々もこの言葉には含まれるかも知れません。自分が進んできた「軌跡」をファンの方々も知っているからこそ、聴いている我々にも見えるはずだと問いかけます。それは自身の裏返しでもあるのかな、と思います。
 2番でトランクに詰めたのは「大事な想い」。「記憶」と「想い」が重なるともうそれだけで随筆が書けそうな気がしますが、次に会えるまで笑っていて欲しいと願います。
 2番のサビでは、アイドルとして「サヨナラ」した後も、好きでいてほしいという願いと、別れの場面であるのに、記憶は一気に出会った日を意識させます。

 大サビでは、1番と2番のサビが繰り返されます。
 ここで二つのサビを重ねることで浮き上がってくるのは、「また会える」というメッセージです。「ありがとう」や「サヨナラ」といった別れを連想させる言葉の後で、それぞれのサビが来るんですが、「待ってて」「会えるまで」というもう1回会えることを連想させる言葉が呼応するように書かれています。
 
 アイドル松井珠理奈の終わりと女優でありプロデュサー松井珠理奈のスタートラインを意識させる歌詞の世界になっています。

 MVは、一歩一歩が年表のような区切りになっていて、プロジェクションマッピング
のようにMVなどが映り、時には彼女が着ているドレスに映り込むこともあります。「記憶」というのが、自分の脳の中にあるのではなく、ふと身体の中にも眠っているのではないか、と思わされます。
 また、思い出が今の自分を彩るというのは、本当に技術と発想がマッチしていて、お見事という感じです。多分、生きている間、ずっとドレスの柄は変わり続けるんでしょうね。
 狭い部屋の中で3方がスクリーンがあり、それを珠理奈が見ているというのは、人間の内面世界のようにも見えました(特に真っ白な背景の時は)。スタートラインに立ち、ほんの一瞬、思い出を振り返るかのような世界にも見えました。
 最後に強く眼を閉じて、もう一度開いた時の珠理奈の表情はが意味するものは。僕は映画「新聞記者」のラストシーンを思い出しました。

 できれば、SKE48卒業後も大切に聴いていきたい1曲です。

※個人的に1番好きな珠理奈作詞曲「あの日交わした約束」の記事はこちら!