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2021年2月26日金曜日

あの日の自分

 彼女にしか言えないこと


 言葉というのは不思議なもので、同じ言葉でも誰がどんな時に言うかで、大きく意味が変わってきます。
 以前、バンプオブチキンのボーカルの藤原基央さんが、ロック雑誌「ロッキンオンJAPAN」のインタビューの中で、「頑張れ」という言葉を例に出して、力になることもあれば「俺がサボってみえたかい」と不愉快になることもあると語っていました。
 皆さんも人生の中でそんな経験はないでしょうか?
 僕はどちらかというと、具体的な問題の解決策とかで上記のことを思うことはないですが、抽象的なこれからの人生とかについてでは、よくあります。
 「ああ、この人の言葉ならスッと入ってくる」というものもあれば、「いや、お前に言われても仕方ないからさ、黙ってくんないかな?」というものもあります。
 先日観に行った、よこにゃんこと北川愛乃が出演していた「BLACK SMITH」でも、フィクションを通してですが、観客達の心を動かす叫びがありました。Twitterでやりとりさせていただいている方が描いた、「声の力、言葉の力を信じている」という言葉を思い出しました。


 昨夜(2021年2月25日)、SKE48の竹内彩姫さんが卒業を発表しました。
 SKE48の6期生として活躍してきた彼女は、青春のほとんどをSKE48に捧げました。
 彼女が見てきたアイドルの世界はどんなものだったでしょう?
 丁度、48グループの全盛期に加入して、6期研究生ということでドラフト制度や大組閣の煽りをモロに受けたり、時には怪我で悩んだりということもありました。
 それでも、公演に出演しながら、SNSの更新も頑張り、握手の対応も良くて、総選挙や各種イベントで結果を出していき、SKE48のシングル選抜にも選ばれました。ファンの皆さんと勝ち取ってきた結果だと思います。

 そんな彼女が選んだ道は、5月に卒業後、ゼストの社員になることでした。
 まだ、どこの部署でどんな仕事をするのかは、分かっていません。
 アイドルのセカンドキャリアとして、これまで佐藤すみれさんがプロデュサーになったり、柴田阿弥さんや後藤楽々さんがニュースキャスターになったりしています。
 このあたりは、大木亜希子さんの「アイドル、やめました。」をじっくり読んでいただければと思います。

※「アイドル、やめました。」の記事はこちら!

https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/05/blog-post_53.html


 アイドルから運営側へというのは、48グループでAKBで既に前例がありますが、SKE48では初めてです。
 よく「メンバーの〇〇が運営側にいたら、もうちょいメンバーの気持ちを考えた采配が出来るのになあ」と思うことがあります。スポーツの監督とは少し違うのかも知れませんが、元プレイヤーだからこそ、見える視点があったり、提案できる方法もあったりすると思うからです。
 果たして、さきぽんがどのような活躍をしていくかはこれからですが、僕は彼女の性格ならば、これから入ってくるアイドルたちに寄り添った仕事が出来るのではないかと思っています。
 大組閣の際、NMB48の渡辺美優紀のアンダーに入り、彼女に振り付けを教えてくれたのは誰だったか。ドラフト1期生にも優しく接してくれたのは、誰だったか?

 そう、竹内彩姫でした。
 

 勿論、彼女の決断に戸惑った方もいると思います。
 SKE48は夢へのステップであり、劇場や外仕事で見つけてもらい自分の夢へと繋がっていくコンセプトだとしたら、「スタッフ」というのは、一見するとキラキラしたものではないかもしれません。
 でも、その場所に居たからこそ、変えたいと思うことや自分が中に入って支えたいと思うこともあったのかも知れません。そして、色々な選択肢を一つ一つ消していきながら選んだのか、真っ先に選んだのかでも違うと思いますしね。


 映画が好きで、映画監督や俳優たちの人生に関する本をここ数年沢山読みましたが、芸能の世界でしか生きられない人もいます。名監督も映画の世界を離れてすぐに孤独死したり、名俳優もドロップアウト後に社会に上手く定着できないこともあります。
 「その世界でしか生きることが出来ない人」というのは居ます。
 特に才能がある人は、人間性と社会性がアンバランスな方もいます。
 その時に遠く離れた業界に行くのではなく隣接する業界に行くことで、バランスを崩すことなく、次の成功をしやすくなります。
 その前例をさきぽんは見事に作ってみせました。
 

 そりゃ、観たいですよ。
 「黒派遣OL 彩姫」もブログのタイトルの顔文字も、特典映像で眼鏡かけて仕方ないなあ、というさきぽんも。
 でも、アイドルとは違うフィールドで、また彼女ならセンターを目指せると思います。


※なんとなく思い出した曲を貼っておきます。「progress」が出来て10周年を記念してスガシカオさんたちが作った曲です。 



 そういえば、彼女の夢は「沢山の笑顔を作れる人になること」でした。
 もう、次の場所での夢の叶え方を彼女は考え始めているかもしれません。
 そして、きっと彼女は沢山の笑顔を作ってくれると思います。
 劇場で、ネットで、スクールで、そして、メンバーたちにも。

 彼女なら、いつかSKE48の12期生の子が怪我をして悩んで泣いている姿をふと、見つけた時や、17期生の子が無力感に苛まれて泣いている時に、きっと寄り添って言葉をかけてくれると思います。そこに居るのはきっと、昔の自分だから。そして、その言葉には、同じ壁を乗り越えてきたものだけが持つ説得力があると思います。
 そして、笑顔を作ってくれると。

 ※最後にさきぽんの決断を聞いて、イメージした曲AKB48「あの日の自分」を貼ってお別れです。