配置を変えて見えて来るもの、最初から提示されていたもの
さて、一つ前の「セットリストと重力」の記事でセットリストについて書いてみたんですが、その最後に自分なりにセットリストを作ると楽しいよ、的なことを書いたので、僕もやってみたいと思います。
ルールは48と46と関連するユニット曲は全部OKとさせていただきました。
公演メンバーは、今のルールにのっとって8人としました。
それでは、まずはセットリストを考えますよ。
0、OVERTURE
1、恋を語る詩人になれなくて(SKE48)
2、暗闇(STU48)
3、想像の詩人(NMB48)
4、希望について(NONAME)
MC
5、君は僕だ(前田敦子)
6、四字熟語ガール(NMB48)
7、JOKER(山本彩)
8、10クローネとパン(AKB48)
MC
9、ドガとバレリーナ(NMB48)
10、誰かの耳(SKE48)
11、ときめき草(乃木坂46)
MC
12、前のめり(SKE48)
EN1、波が伝えるもの(AKB48)
EN2、君の名は希望(乃木坂46)
MC
EN3、手紙のこと(SKE48)
メンバー
都築里佳、古畑奈和、惣田紗莉渚、野島樺乃、北川愛乃、入内嶋涼、深井ねがい、澤田奏音
キャリアと表現力で選びました。
特に演技経験がある人、歌える人、読める人、書ける人で選びました。
ギリギリまで大場美奈さん、鎌田菜月さん、竹内ななみさん、五十嵐早香さんを入れようか迷いましたが、このメンバーにしました。9期10期の二人に関しては、最近のブログや配信が良かったので、期待の意味を込めて。
公演について
実は、「制服の芽」公演の1曲目と最後の曲を変えてないことに、お気づきになりましたでしょうか?
この「恋を語る詩人になれなくて」で、「詩人」つまり、「書くこと」という行為をする人になれないと思っていた人が、公演の最後に取っていたことは何か?そう、手紙を「書くこと」なんですよね。「詩」で用いられるような美しい言葉ではなく、等身大の言葉で。その距離の間には「君」との出会いがあったんです。
今回の「世界が文学なら公演」は、秋元作品で美しい歌詞のものを並べつつ、「制服の芽」公演の最初と最後に秘められたテーマをより拡張できればと思いました。
1曲ずつの選曲理由とメンバー
① 恋を語る詩人になれなくて(SKE48)
「恋を語る詩人になれなくて」という、「なんだその初めて聞く日本語」というタイトルから、遠くから見つめているだけで良い、語らなくて良いという主人公のスタンスから公演はスタートします。
サビで「夜よ僕を詩人にするな」とキレイな言葉で語るのではなく、もっとふさわしい言葉があるのではと自省していきます。
そして、「目を凝らしてみれば何かが見えて来る」と世界を見て行くことを意識します。
そう、書いて行く上で外の世界を「見る」ことが重要であると。
「独り言で語るぐらいなら」と迷いましたが、今回の公演との関係を考えるとこちらの方が相性が良さそうなので、選びました。
ブログを読んでものの見方が面白いな、と最近気づかされた入内嶋さんのセンターで見てみたい1曲です。彼女はどんなことを思いながら、暗闇を歌うんでしょう?
「透明な僕」が、ここではないどこかを想像する歌詞です。
タイトルにもなっている「想像の詩人」は、自分の中に潜んでいるでは、と僕は解釈しています。
3曲目とは逆に自分の内面の声に耳を澄ませて表現する必要もあるな、と思い選びました。
未来を予感させる曲でもあるので、澤田さんセンターで聴いてみたい曲です。
「希望について」でしょう!
歌詞のレイヤーが増えるようにしたかったので、この位置にしました。
本当は1曲目の位置が良かった気もしますが、今回はコンセプトにしたがってここで。
もともと、声優選抜曲なので、ぴよすセンターでどうでしょう?
北川愛乃、入内嶋涼、深井ねがい、澤田奏音の4人から日替わりでどうでしょう?
入らなかった3人で次の曲ですね。
なんとなく、よこにゃんやねがいちゃんのような関西メンバーと相性が良さそうな気がしますし、入内嶋さんや澤田さんの明るい雰囲気とも相性が良さそうな気がしたので、選びました。
歌詞のポイントは「目を合わせない」、「人見知り」で、みんなのように上手く生きられないところが、僕と似ているという内容で、「透明な僕」と共通点が多そうでこちらを選びました。
ずっと男性目線曲が続くと疲れるのと、何かを書いていくには言葉が必要と思いましてね。日本語を声に出した時の面白さを込みで楽しめそうなこの曲を選びました。
なんとなく、よこにゃんの髪がサビで左右に揺れるところまでイメージ出来てます。
「君は僕だ」と対になるように選びました。「目を逸らす癖」や目を凝らしてみることによって「少しの変化」を見られるようになっていくのではないかと思い選びました。
最初は、古畑奈和のソロで聴きたい!と思っていたんですが、他にも聴いてみたいメンバーが出てきたんで、もう、日替わりで行けば良いんじゃないだろうか、と思いましてね。
公演に飽きてきたら、「君は僕だ」の4人と入れ替えでも良いと思いますしね。入内嶋さんバージョンとかも熱そうですね。
都築里佳、古畑奈和、惣田紗莉渚、野島樺乃の4人から3人日替わりでどうでしょう。
なんとなく、見るばかりで想像しないと、文学感がないなと思いましてね。
「想像の詩人」の「遠く」をイメージできる曲はないかな、と思って、こちらを選曲しました。
歌唱力が問われる曲ですし、歌詞の世界観が絶望の中で文化がいかに重要で、希望になるのかを教えてくれる曲です。
全員曲ですね。
歌詞の中の風景がとにかく美しいんです。
「書く」と隣接した「描く」ことのきっかけが曲の中で語られていきます。また、描いていく上で「見る」ということについても意識させられます。
「記憶」を具現化していく方法を探していく過程も意識させられる隠れた名曲だと思っています。
センターは、芸術家のよこにゃんで。
「書く」ことについて公演の主人公が探っている中、「書く」ことの悪い例も出しておきたいと思って選びました。
単純に曲の強度が強くて、発表されて2年経っても「今の問題」をきちんと捉えられてるんですよね。デマを流して楽しければ、ノリだったら許されるのか?
センターは、深井ねがいちゃんで情念爆発モードでやって欲しいですね。
人を好きになる瞬間について書いた歌詞なんですが、日々の積み重ねの中で、突然、ハッとするという秋元康大好きパターンですが、それを植物の開花と合わせたのが好みです。
あとは、「誰かの耳」を浄化できそうな曲はないかなと思って、爽やかなこの曲にしました。
センターは、さりーで観てみたい1曲です。
実は「この涙を君に捧ぐ」を挟むのも良かったんですが、他の曲との関連性が薄いので、今回はボツにしました。
「前のめり」の歌詞は、「初期衝動の復活」だと思うんですよね。
夢中になって頑張る「君」の姿を見て、自分も「前のめり」になる。
この公演においては、書きたいという気持ちの代弁になるでは、と思い本編のラストに置きました。あと、盛り上がる系の曲が少ないので、バランス調整も兼ねてます。
センターは、古畑奈和で締めてもらいましょう!
ちょっと和の匂いがするメロディも好きで、今回選んだ8人にも似合いそうかなと思いアンコール明けに配置しました。
坂道シリーズの歌詞では、「悲しみの忘れ方」と並ぶくらい美しいものだと思います。
「透明な僕」と「透明人間」。
「目を合わせない」と「ずっと無視してたら」と共通点を探していきました。
更に、「君」との出会いによって感情が生まれ、世界が少しだけ違ってみえた。
そして、「希望」とは何かが徐々に見えて来るところが本当に素晴らしいです。
これでラストに繋げます。
ちなみに、ボツにした案としては、「石榴の実には憂鬱の種が何粒詰まっている?」でした。歌詞が本当に良いんですが、もう結ばれた後の関係だったので、今回はボツにしました。
そして、「君」のことを考える時間が楽しくて、その思いは出さずに終わるという切ない終わり方も良くてですね。思わず、晩年のサリンジャーか!とツッコみたくなりましたが、手紙という本来、誰かに伝えるための言葉が自分に返っていくところが好きです。
「詩人」が使うような綺麗な言葉ではなく、等身大の自分の言葉で書いていく。
SNSのようにパブリックではなくて、手紙という少し私的なものが、「独り言」とつながるような気がします。
自分でセットリストを考えることで、曲の持つ重力や配置についても発見がありますし、この曲と関連しそうな曲はあるかな、と考える楽しみもありました。
ぜひぜひ、皆さんも楽しんでみてはいかがでしょう?