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2021年2月3日水曜日

Change Your World①

新しいSKE48イズムへ


 2020年3月24日のFMラジオ「佐藤光春のON8プラス1」のゲストにオードリーの若林さんが来た時のことです。日本語ラップが学生の頃から好きだった若林さん。順番に好きな曲をかけていくんですが、その中で「ラップスター誕生」に出ていたレジェンドラッパーたちと芸人についてこのように語っています。
 「芸人さんと一緒だと思うんだけど、人間の力と言葉の力が合わさって、パンチラインになるもんだろうなと俺は思ってて。漫才もそうだから。その人間の力がやっぱりね。舞台、ライブしてるの袖から見させてもらったけど、やっぱあるね。やっぱ色んな経験されてきてるから。舞台たった時の韻の力がANARCHYさんとか、CIMAさんとか凄いよ。(中略)やっぱ言葉だけで人間が伴ってないと、やっぱり1曲2曲で長続きしなかったりするすんのよ。(中略)自分の人生と歴史としょった言葉だから。(中略)俺は偉そうに言えないんだけど、漫才にたとえると、あの人が言うからあの言葉面白いよねっていうのがあるから。」
 
 そうなんですよね。
 人の生き方や生き様がにじみ出る歌詞や漫才は、凄く心が動かされます。
 クリーピーナッツの「かつて天才だった俺たちへ」やオードリーの武道館での漫才での「いつまで漫才する気だよ?」「命尽きるまでだよ!」というやりとりには、この人達だからこそというドラマがあります。
 そういえば、入江悠監督の名作「サイタマノラッパー」の一番最後のシーンで交わすフリースタイルのラップは、ヒップホップと程遠い場所で歌われるのにも関わらず、主人公たちしか言えない言葉で綴られていたからこその感動がありました。

 じゃあ、SKE48の中でそんな曲はあるんでしょうか?
 たとえば、佐藤実絵子さん作詞の「5色の虹」は彼女ならではの言葉ですし、1期生の5人だからこそ唄える歌詞だと思います(いますぐ、音源化してほしいです)。
 そして、「恋落ちフラグ」のカップリング曲である「Change Your World」も、作詞を担当した松井珠理奈ならではの世界観になっています。
 そう、ずっと48グループの最前線にいた彼女だからこそ、説得力が伴うメッセージがあります。
 まずは、聴いてみましょう。



 僕の感想としては「そう来ましたか」というMVでした。
 まず、歌詞の世界から見て行くと、1番のAメロでは周りの声に惑わされる自分に葛藤しつつ、走り出す主人公の状況が描かれます。そして、1番サビ前からは「神の導き」が聞こえてきます。サビではAメロで示された周りの評価なんて気にせずに変えていけ、というメッセージが語られます。「強い雨」や「強い風」が「批判」や「周りの言葉」とリンクしそうですね。
 2番では努力だけでは認められない世界に昔から居たことが語られ、自分の内面の声と向かい合います。2番のサビ前では1番のサビ前と同じく「今」が強調されます。そして、2番のサビが印象的でしてね。過去と比べずにどんなに世界が暗くてもそれを照らす存在になれ、というメッセージが語られます。また暗黒期が来ても、君たちが照らす光になれ、というメッセージにも聞こえます。
 大サビ前では、生きて行く上で辛い局面が何度も来ることを語った上で、その度に強くなれるはずだということが語られます。そして、1番のサビを繰り返して曲は終わります。

 もの凄くストレートなメッセージで、松井珠理奈が書くからこその説得力があると思います。加入当初から「批判」にさらされつつも、評価を変えて行った珠理奈。彼女の歴史と実績が歌詞の説得力を助けていると思います。
 曲は突き抜けるような感じが心地よく、聴けば聴くほど心地よくなるスルメ曲の予感がします。

 さて、選ばれたメンバーに関しては、珠理奈選抜ということで、それぞれが選ばれた意味があるようで、詳しくはタイプBのメイキングで明らかになりますが、個人的には水野愛理が再浮上するチャンスが巡ってきて欲しいなと思っています。MVでは、江籠ちゃんの新しい表情が見られて良かったですね。

 ただ、この曲の真の主役はダンスではないかと思いましてね。
 クレジットをチェックすると、ダンスの振り付けには珠理奈や桑原みずきさんの妹の桑原あやねさんの名前もあります。
 「ダンスのSKE48」を思い出させるような振り付けがカッコ良かったです。

 さて、このBlack Pearlが今後も続くのか1回だけなのかによりますが、カミングフレーバーの路線とは、また違うユニットが出てきましたね。どちらのユニットにも属している青海さんが今後のキーパーソンになりそうな予感もしています。
 新しいダンスのSKE48としてのBlack Pearlと新しい若手ユニットとしてのカミングフレーバーと二つのイズムが出てきていますが、そろそろ別のイズムが出てきても面白いかも知れません。
 たとえば、かつての二次元同好会のような文科系の趣味で番組やムックが出るぐらいのユニットを売り出していくのも面白いかも知れません。
 とにかく、あまりにも大きな松井珠理奈という存在が卒業する不安はありますが、それと同じぐらいに新しい可能性を探すタイミングが訪れている気がします。

 さて、色々と書きましたが、珠理奈が卒業しても曲に込められたメッセージはSKE48に残っていくというのが素敵ですね。
 果たして誰がSKE48のトップランナーになっていくのか。
 プレイヤー兼プロデュサーの松井珠理奈の仕掛けがSKE48の活性化を促すと期待しています。特に上記の2つのユニットに居ないメンバーが燃えるとさらに面白くなるかな、と思います。