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2020年7月25日土曜日

SKE48とSTU48における海

発見と満ち引き


 皆さんは「海」という場所にどんなイメージがあるでしょう?

 実はこのブログ、SKE48の曲や人物像だけではなく、STU48の曲も取り扱っていましてね。
 単純にSTU48のシングル曲の世界も凄く好きなんです。
 そして、STU48に登場する「海」という場がなかなか面白い働きをしているところになっていて、これはSKE48の曲で描かれている「海」とは少し違う場だな、と思いました。
 今回は、この2つの「海」を比べてみることで、曲の魅力をもう一度見直してみようじゃあないか、という記事です。

 まず、SKE48から。
 SKE48における「海」はまず大きくわけて3つあります。

 ① 発見型
 SKE48の代表曲である「パレオはエメラルド」、そして、センター世代交代を感じさせた「意外にマンゴー」。この2曲では一緒に来ている相手の魅力を発見する場として、「海」が登場します。いずれも彼女の大人になった一面にハッとするところが語られています。



 


 ② 準備型
 SKEのセカンドアルバムのリード曲「夏よ、急げ!」、ゆななセンターのカップリング曲「キスポジション」。男性目線、女性目線の違いはあるものの、どちらの曲も恋が盛り上がるであろう、夏に向けて、まだ骨組みだけしかない海の家の季節や5月に海に来ています。
 どちらの曲も太陽がどのように昇ったり沈んだりしているのか、ということを考えていることも印象的で、秋元康文学における「太陽」がSKE48の曲の中でどのような使われ方をしているかを考えるのも面白いな、と思いました。
 そして、この準備型の先に恋が成就した「アイシテラブル!」が来るのではと思います。





※「夏よ、急げ!」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_22.html  ③ 内観型
 SKE48の名曲「羽豆岬」。
 こちらは上記の2つとは違い、南知多の夏の風景が描かれています。
 ここで描かれる「海」は、自分の気持ちを整理して元気をもらえる場として描かれています(特に2番)。
 そして、大サビでは羽豆岬に行った時の体験が、思い出として語られます。
 心理学用語の内観が一番近いかな、と思いこちらのタイプ名をつけました。
 ちなみに、この曲に登場する「船」は、2番では港に帰り、大サビでは再び港を出ていきます。曲の主人公を連想させる描き方だと思います。
 ちなみに、「岬」・「船」という要素は、今考えるとSTU48の名曲たちとも繋がる要素だと思います。




※「羽豆岬」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_34.html
 SKE48における「海」が、恋人同士の関係性の変化や期待の場として描かれることが中心になっていましたね。

 それでは、次にSTU48の曲に描かれている「海」を考えてみましょう。
 やはり、瀬戸内を拠点に活動しているグループだけに海に関する曲が多いです。
 その中で2つのタイプに分けました。

 ① 内観型
 先ほどSKE48の「羽豆岬」に少し要素が似ているな、と思うのが「暗闇」です。
 主人公の心のよりどころになるのは、海が見える「水平線」です。
 そして、夜の暗闇の中で自分の心の声に耳を澄まします。
 詳しくは「暗闇」の記事をご確認あれ!

 また、カップリング曲の「海の色を知っているか?」でも、四国の海から主人公は様々なことを学び、成長していきます。何色の絵の具で海を描けばいいのか、というのは、物事の捉え方についてもそうですが、秋元康のSTU48の「海」に対する可能性はまだまだあるようにも、僕には聞こえます。





※「暗闇」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_24.html
※「海の色を知っているか?」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/08/blog-post_14.html
 ② 満ち引き型
 シングル曲の2枚目「風を待つ」と3枚目「大好きな人」は、非常に対照的な1曲です。
 君を乗せた船と春を岬で待つ「風を待つ」。
 海に向かって大好きな人との別れを叫ぶ「大好きな人」。
 期待と切なさが、まるで、潮の満ち引きのようにSTU48のシングルの中では描かれます。
 個人的には、「風を待つ」と「夏よ、急げ」はどちらも「君」のことを思い浮かべながら、次の季節を待つという共通点はありますが、岬と砂浜の違いや、盛り上がりのスピード感の違いが面白いですね。
 「大好きな人」は、大好きな人を送り出すことで、主人公が一つ成長するという切ない世界観(特に大サビ)が素晴らしいです。
 

 ※「風を待つ」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_60.html
 ※「大好きな人」についての記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/08/blog-post_11.html

③ 立場型
 シングルのカップリング曲に「出航」という曲があります。
 この曲はSTU48号の完成タイミングに出されたものですが、歌詞をすべて読むと、「水夫」である主人公たちが旅に出る「海」はどこかアイドル業界を連想させられるものがあります。
 詳しくは、出港の記事をごらんあれ!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/02/blog-post_82.html

 さてさて、STU48の「海」にまつわる曲を観てきましたが、特徴としては、主人公が一人で「海」に来ていることですね。
 そして、そこで自分の心を見つめたり、期待をしたり、悲しみを叫んだり、という自分の心を受け止める場所として描かれています。この辺りは「暗闇」から「大好きな人」まで繋がるものではないか、と思っています。
 「無謀な夢は覚めることはない」から「思い出せる恋をしよう」にかけて新しいフェイズに入ったのかな、と考えていますが、また新しい海曲も聴いてみたいな、と思っています。

 こうして並べてみると、SKE48の「羽豆岬」という特殊な場を除くと、SKE48の「海」は他者との関係性の変化と期待。STU48の「海」が自己の内面の調和と成長を描いた場として描かれることが多いというのが僕の結論です。
 それは、2つのグループのキャリアを考えてみると、更に納得できるかも知れません。
 SKE48で次の海曲がどのように描かれるか、新しいフェイズに入ったSTU48のシングル曲が、再び海曲に戻った時にどのような感じの世界観になっているかも楽しみです。

 最後に「いや、まだこんな海曲あっただろ!映画『透明人間』みたいな圧のかけ方をするぞ!」というあなた。
 気づけなくて申し訳ないです。
 是非、ご自身で確かめてみてください。
 今回は「海」という風景で切り取ってみましたが、他にも色々な風景から見えてくるものがあるかも知れません。