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2019年10月19日土曜日

京都国際映画祭 クリエーターズ・ファクトリーに行ってきた




こんな出会いがあるなら、来年も行く


 本日、2019年10月19日は、イオンシネマズ桂川で京都国際映画祭の「クリエーターズファクトリー エンターテイメント映像部門」の上映が行われました。
 クリエーターズ・ファクトリーってなんじゃい、コラ、という方は公式のサイトをご覧あれ。

 全部で10作を朝の10時から観て行ったんですが、なんていうんでしょうね。
 さすがに一日10作というと、疲れるかな、と思ってたんですが、意外とあっというまでしてね。
 過去の受賞作や授賞式も観て帰りたかったんですが、ちょっと大阪に行かなければいけない用事があったので、10作を観た時点で退出したんですが、いやあ、面白かった。
 それぞれの作品が違った良さがあって楽しかった。
 こういう上映形式の楽しさって、偶然の出会いがあるっていうところだと思うんですよね。今回もなんというか、「これ全国で公開してくれよ!」というぐらい好きな作品と出会うことができました。
 ちなみに、全作品上映後、アンケート用紙に「◎、〇、△」をひとつずつ10作品のうちのどれかに振り分けて観客も投票できるようになっています。10作品の中で僕が投票した3作品について紹介したいと思いますよ。

ベスト3「羊と蜜柑と日曜日」
 輪廻転生がストーリーの真ん中にあり、主人公の玉枝さんの心は、上がったり下がったりを繰り返しながら、死んだ夫の記憶を持つ少女のさくらちゃんと富士山が見える湖を目指します。さくらちゃんの記憶が薄れたり、戻ったりという設定も面白かったです。
 本当に美しい映像が多くて、富士山が見える湖のシーンは、変な言い方ですが「今、映画観てるなあ」と感じました。
 スタッフロール後のオチも凄く良かったです。

ベスト2「グラフティ・グラフティ」
 グラフティアートに目覚める女子高生の柚子と、グラフティアートを書かれる酒屋の店主の静かだけど熱い物語です。
 もうね、「胸の中から湧き上がる言葉を書くんだよ」という、うんちく好きそうな同級生の男の子に言われて最初に書いた言葉で僕は笑ってしまいました。そりゃ、酒屋の店主怒るわと。
 夏の間に加速する二人の戦いは、店主が言った何気ない一言で終わりを告げてしまうんですが、徐々に、店主の人生が明らかになってきて、もうそこが悲しい。そして、最後に店主が書くメッセージ。そして、柚子が選んだ未来。ここは涙でした。柚子役の人や店主の方、どちらも素敵な佇まいなんですよね。
 「Wikipediaに載ってなかったんだね」という台詞が、なぜか印象に残っています。あのヲタクっぽい男の子、好きですね。
 公式Twitterを確認すると監督と柚子役の方も観に来られてたんですね。柚子役の方は、凄く印象に残ってましたが、映画とまた雰囲気が変わっていて、気付かなかった!

ベスト1「テロルンとルンルン」
 こちらの作品は予告があったんで、こちらをチェック!
 
 とにかく主人公二人の設定が良くて、どちらも地方の町に馴染んでいない、そんな二人が偶然出会ってしまう。この作品の舞台は広島県竹原市なんですが、地方都市の美しい感じと嫌な感じも出てましてね。更に、まとめサイトとかで好き放題書いてる連中の嫌な部分もね。タイトルの「テロルン」とか「ルンルン」も自分たちで付けたあだ名じゃなくて、赤の他人たちが好きにつけたあだ名なんですよね。本当にいやあな世界。
 そんな中だからこそ、二人がガレージの窓ごしにコミュニケーションを取っていくシーンが凄く良く見えて。
 ある誤解から、二人は会えなくなってしまうんですが、真実を知っているのは二人だけ。しかも、どっちも外に事情を打ち明けないものだから、誤解を元に周りも心配したり、嫌がらせをしてくるわけですよね。
 もう、このへんのもどかしさ。
 そして、最後のシーンに至るまでの流れはずっと涙でした。いや、類が泣きながらご飯食べてるシーンぐらいから涙でした。
 あの最後は、人生の中のキラキラした瞬間として、絶対に忘れられない。
 あんな衝動的に走ることって、人生の中で何回あるでしょう?
 日本映画のラスト近くで主人公を走らせる演出って、苦手なものが多いんですが、ここは、走り出す直前のドアを開けるところから、応援したくなる感じで、本当に良かったです。
 出来たら、色々なところで上映してほしい、素晴らしい作品でした。


 他にも「エイリアンの恋」での桑野くんの挙動不審ぶりは愛しかったし、「ランチメイト症候群」のクラスと違ったところで友達が出来てい行く過程って、いいなあと思います。
 「指の輪の中で」の弟くんの翻弄されっぷりは観ていて気の毒になるぐらいでしたし、「えんむすび」は前半は観ていて恥ずかしかったんですが、後半からそういうことだったのか、となり、気付けば涙でした。
 「次は何に生まれましょうか」は、公民館のシーンが本当に辛くて、いや、君は悪くないんだよ、とお母さんにも娘さんにも言ってあげたくなりました。「トイペ!」は通り魔的な面白さでした。あのおばちゃんの得体のしれなさ。「僕だけは知っている」は、お母さんのメッセージが本当に良くて、寂しい夕暮れ空がこれからの二人の運命を暗示しているようで、切なかったです。

 とにかく、面白い映画に出会えた「クリエーターズ・ファクトリー」。
 できれば、来年も観に行きたいな、と思うぐらい良い作品に出会えました。
 いまや、日食なつこさんの「vapor」を聴けば自動的に泣くようになってしまっていましたよ。