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2019年10月26日土曜日

おすすめの映画と本「いんへるの」

闇に魅入られる瞬間


 以前、ブログでカラスヤサトシさんの漫画をお勧めしたんですがね。
※詳しくは、こちらをチェック!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/04/blog-post_16.html

 彼の新作、「いんへる」のが発売されました。
 カラスヤさんと言えば、愉快なエッセイ的な4コマが有名で、僕は彼の日常生活を読むことで、特撮や時代劇が好きな自分に自信が持てたという、ある意味、恩人的な方なんですね。
 この方、実はフィクションがずばぬけて面白いんですね。
 「強風記」「おとろし」も良かったんですが、今回の「いんへるの」も良かった。



 ※ここからは、ネタバレ全開で行きます。

 もう全編いやあな感じの終わり方をするんですね。
 もう、カラスヤさん、よくこんなの思いつくな、と思うぐらいのね。
 特に僕は「落下節」が印象に残ってましてね。
 他の話は、登場人物の心情の変化が起こることが多いんですよね。プラスからマイナスへとか。でも、この話だけ、更に深いマイナスへと進んでいく感じが恐ろしいんですよね。「これはいよいよやめられぬ」という最後のセリフの怖さ。
 それから、「手足尻髪」「まがざる」がリンクしているように家の絵から感じましたよ。
 で、この本の表紙にもなっている「大人形」
 すごい不吉。
 もう、本棚に置いといて大丈夫かなと不安になりますよ。
 最後の「大人形は今も立っている」が怖すぎる。
 
 それから、「狼の祀り」
 これも印象に残ってまして。
 僕のふるさとでは、節分の夜に豆をティッシュにくるんで、四つ角に捨てに行く風習があるんですが、それを思い出しましたよ。
 思い出されることで復活するという発想は、面白かったですね。


 人間のずるい部分や弱い部分、少し狂った部分、全部味わえる。そして、そんな世界に惹かれてしまう人間にはたまらないです。
 「春を見る」とかは、凄く純文学的な話で、カラスヤさんには、是非こっちの分野も読ませてほしいなと思った作品集でした。